統合失調症の方に聞く、続けられる仕事を見つけるポイントとは

統合失調症の方に聞く、続けられる仕事を見つけるポイントとは

統合失調症は、日々の生活の中で突然、妄想や幻覚などの症状が現れることがあります。また、症状を自覚するのが難しいともいわれています。

多くの方は、専門の医師に相談しながら治療を進めていることと思います。症状によっては治療をしながら仕事を探している方もいらっしゃることでしょう。

しかし、いざ仕事を探すとなると「症状が急に現れたらどうしよう...」「コミュニケーションが苦手だけれど大丈夫かな...」「そもそも就職や職場復帰ができるのだろうか...」といった心配や不安が募る方も多いのではないでしょうか?

そのようなときは、同じ障害を抱えている方の声に耳を傾けてみましょう。
アンブレには、統合失調症のある方から、転職活動や仕事に対するリアルな口コミが届いています。

口コミをもとに、「どのように転職活動を行ったのか」「就職先で仕事をする上でどのような工夫をしているのか」などの参考になるポイントや、働きやすいと感じた企業や業界も紹介します。
また、障害者雇用の専門家ジョジョさん(社会福祉士、プロコーチ)にもアドバイスをいただきました。

ぜひ、復職や転職活動の参考にしてみてください。

*この記事はジョジョさんに監修していただきました
ジョジョさん

産業カウンセラー、社会福祉士(ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)、プロコーチの資格を持ち、就労継続A、B型にて支援員として、身体障害、精神障害、知的障害のある方への支援を行う。 自身も悩みを抱えギャンブル依存症になった経験から、「悩みから夢まで話せる友達が見つかる東京の居場所”ココトモハウス“と出会い、現在はその管理人として多くの方から信頼を寄せている。生きづらさを抱える人達を社会と繋げて、豊かな社会を作ることがミッション。



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目次

1.統合失調症とは

2.統合失調症の方が経験した仕事での悩み

3.仕事を続けるために必要なこと

4.求人の見つけ方

5.気になる企業の情報を得よう

6.統合失調症と付き合いながらでも働きやすい企業

7.統合失調症であることは伝えるべきか

8.知っておきたい面接のポイント

9.入社後に心がけたこと

10.専門家からのアドバイス

11.最後に

1.統合失調症とは

    統合失調症は、幻覚や妄想という症状が特徴的な精神疾患です。それに伴って人々と交流しながら家庭や社会で生活を営む機能が障害を受け(生活の障害)、「感覚・思考・行動が病気のために歪んでいる」ことを自分で振り返って考えることが難しくなりやすい(病識の障害)という特徴を併せもっています。
    多くの精神疾患と同じように慢性の経過をたどりやすく、その間に幻覚や妄想が強くなる急性期が出現します。
 
    統合失調症の原因は、今のところ明らかではありません。進学・就職・独立・結婚などの人生の進路における変化が、発症の契機となることが多いようです。 ただ、それらは発症のきっかけではあっても、原因ではないと考えられています。

    ~中略~

    様々な研究結果を総合すると、統合失調症の原因には素因(素因:おおもとの原因)と環境の両方が関係しており、素因の影響が約3分の2、環境の影響が約3分の1とされています。素因の影響がずいぶん大きいと感じるかもしれませんが、この値は高血圧や糖尿病に近いものですので、頻度の多い慢性的な病気に共通する値のようです。子どもは親から遺伝と環境の両方の影響を受けますが、それでも統合失調症の母親から生まれた子どものうち同じ病気を発症するのは約10%にすぎません。

    【症状について】

    幻覚と妄想は、統合失調症の代表的な症状です。統合失調症の幻覚や妄想には一定の特徴があります。幻覚と妄想をまとめて「陽性症状」と呼ぶことがあります。

    【幻覚とは】 ・幻覚とは、実際にはないものが感覚として感じられることです。統合失調症で最も多いのは、聴覚についての幻覚、つまり誰もいないのに人の声が聞こえてくる、ほかの音に混じって声が聞こえてくるという幻聴(幻声)です。
    周りの人からは、幻聴に聞きいってニヤニヤ笑ったり(空笑)、幻聴との対話でブツブツ言ったりする(独語)と見えるため奇妙だと思われ、その苦しさを理解してもらいにくいことがあります。

    【妄想とは】 ・妄想とは、明らかに誤った内容であるのに信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れられない考えのことです。

    【幻覚と妄想の2つの特徴】 統合失調症の幻覚や妄想には、2つの特徴があります。その特徴を知ると、幻覚や妄想に苦しむ気持ちが理解しやすくなります。

    第1は、内容の特徴です。幻覚や妄想の主は他人で、その他人が自分に対して悪い働きかけをしてきます。つまり人間関係が主題となっています。その内容は、大切に考えていること、劣等感を抱いていることなど、本人の価値感や関心と関連していることが多いようです。このように幻覚や妄想の内容は、もともとは本人の気持ちや考えに由来するものです。

    第2は、気分に及ぼす影響です。幻覚や妄想の多くは、患者さんにとっては真実のことと体験され、不安で恐ろしい気分を引き起こします。無視したり、ほうっておくことができず、いやおうなくその世界に引きずりこまれるように感じます。場合によっては、幻聴や妄想に従った行動に走ってしまう場合もあります。「本当の声ではない」「正しい考えではない」と説明されても、なかなか信じられません。
参考:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」

統合失調症は、症状が現れるだけでなく、自分でもその状態に気づきにくい、また周りにも理解されづらいという特徴があるようです。

では、まず統合失調症の方の具体的な悩みを見てみましょう。

2.統合失調症の方が経験した仕事での悩み

突然現れる幻覚や妄想

統合失調症の方が仕事をする際にぶつかる壁や、辛いと感じることを見ていきましょう。

幻覚と妄想が顕著に現れ、現実との区別がつかなくなる為、円滑なコミュニケーションが非常に難しい。

集中力が高く、記憶力に優れていましたが、朝早く起きられないことが多く休んでしまうことも多かったです。

人間関係がうまくいかないので、医者からはひとりでやる仕事をやれと言われています。 また、長時間労働が禁止されているのでなかなか仕事が見つからないです。

病状が及ぼす影響、周囲の目、人間関係に関する悩みの声が上がっています。もしかしたら同じ悩みに苦しんでいる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、統合失調症と上手く付き合いながら、理想の職場に出会えた人や、周りの方にサポートしてもらいながら、自分らしく仕事をしている方の声もたくさん集まっています。

それでは、統合失調症と付き合いながら、続けられる仕事を見つけて、満足できる働き方を実現できた方は、どのような職場で働いているのでしょうか?

3.仕事を続けるために必要なこと

3-1.大切なのは「周囲の理解とサポートがある職場環境」

まず、満足できる職場で働いている統合失調症の方のコメントをみてみましょう。

十分な配慮を頂いており、また就労日数や就労時間の融通が利く。 職場のアクセスも駅前で働きやすい。

入社したときは病気ではなくて途中で病気になったので、周りの人たちにかなり迷惑をかけていましたが、まわりの人たちはとても優しく接してくれて無理難題な事はフォローしてくれました。

しっかりと医療ルームもあり、体調不良が起きた場合は必ず手当してくれた。しっかりと帰宅するように強制されるくらいでした。

困ったことがあったとき、上司が相談に乗ってくれた。また、周りの人も優しかった。

職場でのストレスが少なく距離感が苦しくない。仕事内容も自分のペースで進められるのでプレッシャーを感じることも少ない。

人がとても優しくて、人間関係が良かったです。 とても連携が取れていました。

私の病気をよく理解してくれて、働きやすい環境を整えてくれたので本当に助かりました。

突然現れる症状やコミュニケーションへの不安。しかし、その症状を理解して自分のペースで働くことを許容してくれ、あたたかな気持ちで接してくれる職場環境であれば、働くことへの気持ちも楽になり、長く仕事を続けられるようです。

また、仕事量や納期についても、自分ができる範囲を把握し職場に理解してもらうことで、予め調整ができます。これはお互いを思いやり、円滑に仕事を進める上でも大切なポイントです。

しかし、このような職場の様子は、実際に働いてみないわからないものですが、事前に、口コミサイトを参考にする、実際に働いている人に聞く、職場を見学させてもらうなどして、情報を得るだけでも、職場の雰囲気を感じ取ることはできます。

3-2.特例子会社という選択肢も

統合失調症の症状は説明しにくいということもあり、「社会性がない」「常識がない」「気配りに欠ける」「怠けている」などと誤解されることもあります。このような誤解や周りの目が気になるという声もありました。

そのような方は、障害者の雇用促進や就労安定を目的として作られた「特例子会社」を活用するのも一つの方法です。

特例子会社なので非障害者から特異な目で見られることはないので安心はできる。

皆さんの働き方や企業の様子を確認できたところで、次は就活や転職活動の始め方について紹介していきます。
「いったい何から始めれば良いの?」という疑問についてのアドバイスを、実際に活動した方の声を参考にご紹介します。

※他にも統合失調症の方の仕事に関する口コミがたくさん届いています。
→統合失調症の方の口コミはこちらへ

4.求人の見つけ方

4-1.働き方によって選べる「一般枠」と「障害者雇用枠」

求人には一般枠障害者雇用枠があり、障害者手帳をお持ちの方は、どちらにも応募することができます。

一般枠は、障害があることを伝えず働きます(=クローズ就労)。広い職種から選ぶことができますが、統合失調症への理解や周囲のサポートを受けることは難しくなります。

障害者雇用枠は、事前に障害があることを伝えて働きます(=オープン就労)。選べる職種が少なくなる場合もありますが、職場からの理解やサポートを受けやすくなり、それが働きやすさにつながるというメリットがあります。

4-2.求人はどこで探すのか

①ハローワーク

障害のある方専門の窓口で相談することができます。障害のある方への求人情報も扱っておりアドバイスを受けることもできます。一般枠・障害者雇用枠に関わらず活用すると良いでしょう。

ハローワークの窓口の人と話して、精神の障害枠で申し込んだ。病院の診断書から週20時間の仕事がよく、パート先に打診してみるようにアドバイスを受けた。

臨床心理士や就労支援センターの人が会社訪問をしてくれて、仕事量があまりにも少ないのでもっと仕事を与えてくださいとか、暇な日は早く帰っていいような契約にしてほしいと、お願いしてくださいました。

ハローワークとか無料の転職相談とか適職診断、就労支援施設など使えるものはどんどん使っていきましょう。私の場合は、ハローワークで相談しまくって、専門的なフォローを受けたので、決まるまでは少し時間を要しましたが、35歳で給料をあげた転職に成功しました。前の仕事を辞めたあとに、半年間職業訓練に通って、パソコンスキルを身につけたのも大きかったです。

参考:厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」

②人材紹介会社

皆さんは障害のある方を専用とした人材紹介会社をご存知でしょうか?このような人材紹介会社は、統合失調症などの精神的な障害を抱えていることで、働くことに不安を覚えている方の就職活動を応援してくれます。

企業探しや面接の練習、企業との連絡役を担ってくれるだけでなく、企業への職場見学の打診や入社後のケアを含めて、包括的にサポートをしてくれます。

また、扱っている求人情報の中には、ハローワークなどでは公開されていないものもあります。また、各企業のことをよく把握しているので、ホームページや求人票では確認できない職場環境などの情報も得られます。

人材紹介会社を活用するメリットは、アドバイザーから自分に合う仕事のアドバイスや、企業の紹介を受けられることです。ひとりで行う仕事探しが不安な方は、このようなサポートを受けられる人材紹介会社へ相談してみると良いかもしれません。

最初から病気を持ち、その病気が仕事に影響するような性質の病気の場合、転職エージェント等をおすすめします。いきなり面接に行ったら、病気についてメチャクチャ言われて、酷くショックを受け病状が悪化する場合があります。理解のある第三者機関に相談の上、転職活動することをお勧めします。

しかし、人材紹介会社も一つの企業です。紹介できる企業の得意分野や担当者の性格はさまざま。自分の希望や意見が伝えやすく、理解してもらえる人材紹介会社かどうかをチェックしてみましょう。

5.気になる企業の情報を得よう

気になる企業へ応募する前に、その会社の情報を集める方は多いのではないでしょうか。情報を集める上でおすすめなのは、実際に職場を見学することです。職場に足を運び、働いている人の様子や業務の内容を確認することで、求人票や口コミからの情報では得られない「自分目線での職場の雰囲気」を感じることができます。

自分にできる仕事が適量あるのかどうか、また、勤務時間が自分の体調と希望に基づいたものか、会社自体が障害者のことを理解できているのか。一度、職場見学させてもらって職場の雰囲気(←これが一番大事かも)をつかんで応募した方がいいと思います。

職場の雰囲気には、出来るだけ触れる場があればあるほどいいのではないか。面接だけではわからないし、実際に作業する人は面接と相手することは余りあり得ないだろうから。

人間関係と、職場の雰囲気を見学しに行って確認したほうがいいと思います。 そこで働いている人に、話しを聞くのもいいのかもしれません。

障害者に配慮があるかどうかを徹底してみることです。又配慮があるといいながら実は形だけという会社もたくさんあります。実際のところを見るようにしたほうがいいと思います。

いきなり自分から企業へ「職場を見学させてください」と依頼するのが難しい場合は、先ほどの章で紹介した「ハローワーク」や「専用の人材紹介会社」のアドバイザーに相談してみましょう。会社とあなたの間に入り、企業への連絡や日程の調整をしてくれることもあります。

ぜひ、専門家のネットワークを活用して、自分に合った企業を探してみましょう。

6.統合失調症と付き合いながらでも働きやすい企業

それでは次に、ここまでご紹介してきた口コミから、ポジティブな回答をくださった方がおすすめする企業や業界・職種の特徴を、具体的なコメントとともにご紹介していきます。

6-1.おすすめ企業

ANAウィングフェローズ・ヴイ王子株式会社
特例子会社なので非障害者から特異な目で見られることはないので安心はできる。最近、弊社は業態を増やしているが、実社会でも役立つような作業もあるかと思う。余り言えないが福利厚生はありがたいものがあって、遠隔地が郷里の妻にとっては頼りにされていて、帰省の足になっている。
満足度:★★★
配慮 :★★★★
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社会福祉法人美郷会
医療機関と連携しており、病気への理解があり、通院日を確保して頂くことができた。また、毎日必ず上司と雑談も交えて話をする時間を設けて頂いた。
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★★
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大黒天物産株式会社
みんなが黙々と作業をこなすので早く作業が終わり働きやすい職場です。
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
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株式会社インテック
給料はやすかったが、休み取りやすく人柄もよかったし、人を育てようという環境がありよかった。
満足度:★★★★
配慮 :★★★
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パナソニック株式会社
みんな人柄が優しいし和気あいあいとしているから働きやすいです。私は派遣で出たり入ったりしていますが人事の人もいい人です。社員も派遣も分け隔てなく接してくれますし私は一番Panasonicがあっているなあと思います。
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
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日立化成株式会社
担当の上司をはじめ、周りの社員の方は何かと気にかけてくれるので不安なく仕事に取り組めた。」
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
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6-2おすすめ業界・職種

医療/福祉関係
病気に対する理解もあり、診療や福利厚生の制度も整っていることが多いので、統合失調症と上手く付き合いながら働くにはおすすめの環境です。

マニュアル化されて自分のペースでできる仕事
黙々と自分のペースでできる梱包や、組み立て、書類関係などは、突然の体調不良にも対応しやすく、長く働き続ける環境が望めるでしょう。

大企業の子会社
大企業との関係があるため安定しています。比較的多くの方が働いているのでサポート体制も手厚く、働きやすい環境が整っている所が多いでしょう。

統合失調症の方が働いている企業が一覧で確認できます。
満足度の高い企業をチェックしてみましょう。

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7.統合失調症であることは伝えるべきか

統合失調症のある方は、働こうと思ったとき、会社へは病気であることを
伝えますか(=オープン就労)?
伝えませんか(=クローズ就労)?
これは、多くの方が迷うことだと思います。

口コミにも、伝えた方、伝えなかった方、両方の回答がありました。

当時はまだ、精神疾患に対しての理解はなかったので、正直に言うのはどうかなと感じます。今でも難しいかもしれません。肉体的な障害は、理解も得られてきていると思います。 大きな会社自体は、理解もあるところもあるのでしょうけど、派遣社員が務める会社はまだまだなので、保険証を使うときのことを考えて、軽めの病名を言うくらいでちょうどいいかと思います。

雇用形態によっては、会社との関係を保つために自分の病状をはっきりと伝えなかった方もいらっしゃるようです。ただし、急な体調不良の時などに相談しやすい関係を保つためにも、登録している派遣会社には自分の症状を伝えておいた方が良いかもしれません。

一方で、多かった意見は「伝える」という内容でした。

一般企業の場合には、障害名は知っていてもその特性まで理解している会社は少ないのが現実です。会社の見学を経て、自分がどの程度なら出来そうか、調子が悪くなってくるとどういう状態になるかなど、自分の障害の特性を伝えておく必要があります。

障害者ということを他人にはあまり知られたくないでしょうが、自分を守るためにも、先方に迷惑をかけないためにも、自分の状態を正確にきちんと相手に伝えて理解してもらうことが重要です。

私は精神疾患を隠して正社員で働いたこともあったが、結果精神病が再発して会社に多大な迷惑をかけてしまったことがある。働く上での障害について親身なってくれるか、どう対応してくれるのかは事前に確認しておいたほうがいいと思う。

病気を隠して働く、という考え方はやめて、病気をオープンにして周りに協力、理解してもらって働くことを意識した方がいいと思います。

このように、
  • 病気を伝えることは、自分を守るため、そして会社に迷惑をかけないためにも必要。
  • 単なる病名だけではなく、自分の症状や特性を企業に正しく理解してもらうことが非常に重要。
ということがわかります。

先述しましたが、仕事を長く続けるために大切なことは「周囲の理解とサポートがある職場環境」です。その環境を得るためには、自分の病状を詳しく伝えて、理解してもらうことが必要ですね。

そして、自分の症状をオープンにすることで、「一般枠」だけではなく「障害者雇用枠」という採用枠の選択肢も広がります。

理解とサポートを得る上で大切なのは、伝え方です。
次は、統合失調症であることの伝え方と、面接への臨み方について紹介していきます。

※他にも統合失調症の方の仕事に関する口コミがたくさん届いています。
→統合失調症の方の口コミはこちらへ

8.知っておきたい面接のポイント

8-1.面接の前にやるべきことは「自分を良く知ること」

「上手く話せるかな?」「どんな事を聞かれるかな?」面接は誰でも緊張するものです。少しでも緊張や不安を取り除くためにも、話すべき事柄を予めまとめておくと良いでしょう。

口コミでも、アドバイスとして多く述べられているのは、自分のことを良く知るということです。

これから就職する人には自己分析をしっかりしておいてもらいたいです。自分の病気はどんなところが得意でどんなことが苦手かをしっかり分析することが大事です。どれくらい体力があってどれくらい集中できるかなども日ごろの生活で訓練しておくといいですね。

どの職種でも同じことが言えると思うのですが、自分の障害についてよく理解することが大事です。悪い面だけでなく良い面も考えて箇条書きにしましょう。

社会にあった働き方よりも、自分に合った働き方をした方がいいです。収入より大切なものを見出すべきです。喜びを繰り返すことです。無理をしないことです。辛いときは我慢しないことです。医師とよく相談することです。

まずは自己分析です。 性格的にどういうタイプか 絞るべきです。 肉体派か頭脳派か。 続いて自己分析を基に 仕事の内容、給与面、 勤務先、残業時間、年間休日の順に 選択しました。

自己分析で知る項目は
  • できることは何か
  • できないことは何か
  • 一人ではできなくても、サポートがあればできることは何か
  • どのようなときに、どのような症状があらわれるのか
  • どのくらいのペースで働けるのか
など、細かく項目立てて書き出していていくと、面接で自分のことを話しやすくなります。 そして大切なことは、統合失調症についての伝え方です。

先ほどご紹介した自己分析すべき項目の中に、「一人ではできなくても、サポートがあればできること」があります。面接では「できること」だけではなく、「できないこと」も前向きに伝えることが大切です。企業に対する情熱を伝えることができますし、ポジティブな考え方ができることをアピールできるからです。
一見するとマイナスに思える点を、プラスに変える伝え方を考えてみましょう。

また、自分だけでは自己分析をするのが難しいと感じる方は、医師や周りの人、人材紹介会社のアドバイザーなどに相談してみるのもおすすめです。

8-2.面接で聞くことは「企業の体制と自分が重視する内容が一致しているか」

統合失調症のある方がうまく症状と付き合いながら仕事をするためには、適度に休憩を取りながら、自分のペースで仕事をすることが大切です。

しかし、面接ではつい「雇ってもらう」という意識になって無理な返答をしてしまうこともあります。入社してから「想像と違った」となることは、企業にとっても、自分にとっても負担が大きくなるため避けたいものです。

そのためにも、入社する前の段階で、事前に確認しておくべきことは自分から聞いて確認するようにしましょう。 面接で聞いておきたいポイントは、経験者のみなさんの意見を参考にしてください。

会社見学は当然ですが、その時に業務内容をちゃんと確認しておかないと、あとで無理な仕事を言われて結局退職になりかねない。あと上司がきちんと相談に乗ってくれるかと言うことも大事であると思います。面接時に良く話し合うことです。

自分の要求はあらかじめはっきりと伝えるほうが良い。例えば出社時間、退社時間の制約、土日祝日の出勤はしたくないなど、きちんと話しておくべき。無理して勤務しても続かない。それからできるだけ便利な場所で、一等地にある会社を選ぶほうが良いと思う。

教育体制がしっかりとしているかを第一に見れば、おのずとその会社が分かってきます。あと離職率も大事ですね。

何か問題行為が発生した際に相談窓口があるか、仮にあった場合は窓口の機能がしっかりと働いているか、従業員の在職期間はどれ位か、職場の雰囲気はどうか、を見るとともに、少しでも疑問点があったら、はっきりと納得できるまで質問する。質問に誠意をもって回答しようとしない場合や回答内容に少しでも納得できない場合はその会社への就職はやめるべきでしょう。

聞きにくいと思うかもしれませんが、面接は企業を知る最大のチャンスです。もし対面での質問が難しければ、紙面やメール、またはハローワークや専用の人材紹介会社を活用する方法もあります。自分が納得できるまで確認するようにしましょう。

※他にも統合失調症の方の仕事に関する口コミがたくさん届いています。
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9.入社後に心がけたこと

希望の会社に就職が決まると、嬉しい反面、新しい環境で働くことに不安を感じることも多いのではないでしょうか?

ここからは、実際に働いている方が心掛けていることを紹介していきます。統合失調症の症状や症状から派生する悩みは、どのような工夫で乗り越えているのでしょうか。

9-1.体調を崩さないペースづくり

生活のリズムを整える、休憩時間を活用する、仕事のペースを把握するなど、自分の特性を良く理解し、体調を整えるための工夫が多く挙げられました。

早寝早起き。疲労を感じたら休息を十分にとる。疲労の回復優先で遊びは休みの日と割り切る。

体にストレスがかかるのを最小限度に抑えるよう心がけていました。当時は対人関係を築きあげるのが私の課題だったのでテレコミュニケーターという業種を選びました。

定時で終わるように集中して仕事を終わらせるようにする。昼休みに少しでも寝るようにする

疲れがたまった時は5分休憩を取るようにしています。

毎日だと疲れてしまうので、1週間に2日程度、1日三時間程度の労働にしてもらうようお願いしています。

9-2.人付き合いは距離感を保つ

職場の方とのコミュニケーションは、仕事上で必要ですが、適度に距離をおくことも、上手く人付き合いをするためには必要です。

できるだけ仕事中は他人とは会話をしないようにしています。

9-3.幻聴や幻視による勘違いを避ける方法や、集中力をコントロールする工夫

統合失調症の症状の1つ「幻聴や幻視」は、理解が得られないと職場の上司や同僚から勘違いされてしまうこともあります。また、症状により、仕事に集中できないことや、逆に集中しすぎてしまうこともあります。このような仕事に与える影響を減らすための工夫も見られました。

ノイズキャンセリングイヤホンを使う。お薬を飲む時間を忘れないよう、集中しすぎないようアラームをかける。いつもと同じルーティーンで物事を済ます。

体調が悪い時は休むようにして無理をしない。仕事中は集中力が途切れやすいのでスイッチを入れ替えるように一旦席を外している。

変なもの、変わったもの見たり聞いたりしたときは、幻視や幻聴でないかまず疑って慎重に行動する。

困った人と思われないよう、自分の特徴である「細かいことが気になる」を有効活用することで、現場の改善をする。

中には自分の幻聴の特徴を理解して、それが幻聴かどうかを訊ねられる人を見つけ、そのつど確認してもらうなどの工夫をしている方もいました。
このようなお願いは少しハードルが高いかもしれませんが、症状を説明し理解してもらうことは、周りからのサポートに繋がるでしょう。

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10.専門家からのアドバイス

仕事探しを考えている統合失調症のある方へ、障害者雇用の専門家ジョジョさんからのアドバイスを紹介します。

統合失調症のある方は、幻覚などの症状が落ち着いてから仕事探しをすることが大切です。
症状が安定しないまま無理して仕事をすると、症状の悪化や、職場での関係性が悪くなってしまう可能性があります。

私の接してきた統合失調症の方々は、症状が安定している状態であれば、健常者と同じように仕事ができる方も多いです。
自分の体調と相談しながら、理解ある職場を探すと良いでしょう。

11.最後に

統合失調症を抱えることで、不安を感じることは多々あるかもしれません。しかし、自分のことを知り、それを会社へ説明し理解し合える関係を築くことで、理想の働き方をしている方はたくさんいます。

働こうと思ったら、まず自分のことを知ってみましょう。できること、できないことを整理して企業に説明できるようにすることが、自分に合った仕事を見つける第一歩になります。

自分を良く知り、企業にも自分を正しく知ってもらう、それはあなたと会社の信頼関係に繋がります。そして、望んでいる職場環境を見つけることに近づくのではないでしょうか。

1人で就職活動や転職活動をするのが難しいと思ったら、専門のアドバイザーの力を借りて最初の一歩を踏み出すのも良いでしょう。

時には頑張りすぎてしまうことがあるかもしれません。しかし、その無理は結果的に自分、そして会社の負担になってしまうこともあります。自分の身を守るためにも、自分のペースで働ける会社を見つけましょう。

多くの方の口コミが、誰かの役に立つことを願っています。


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監修者

就労継続A、B型にて支援員として、身体障害、精神障害、知的障害のある方への支援を行う。ソーシャルワーカー。 自身も悩みを抱えギャンブル依存症になった経験から、「悩みから夢まで話せる友達が見つかる東京の居場所”ココトモハウス“と出会い、現在はその管理人として多くの方から信頼を寄せている。生きづらさを抱える人達を社会と繋げて、豊かな社会を作ることがミッション。

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著者

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