次は、病院でうつ病、双極性障害、適応障害などの精神疾患だと診断された場合のお話です。
病院で診断されると「診断書」を受取ることができますが、それら提出書類や条件が揃えば申請できる手当などをご紹介します。
2-1.受給できる手当
①傷病手当金
「傷病手当金」は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度です。健康保険の被保険者が病気やけがで会社を休み、事業主から十分な賃金が得られない場合に支給されます。
ですから、会社を休んだ期間に給料の支払いがあった場合、「傷病手当金」は支給されません。
「傷病手当金」を受給するためには、以下の条件をすべて満たすことが必要です。また対象となるのは被保険者のみです。
- 業務外の病気やケガで療養中であること。
業務上や通勤途中での病気やケガは労働災害保険の給付対象となりますので、労働基準監督署にご相談ください。
なお、美容整形手術など健康保険の給付対象とならない治療のための療養は除きます。
- 療養のための労務不能であること。
労務不能とは、被保険者が今まで従事している業務ができない状態のことで、労務不能であるか否かは、医師の意見及び被保険者の業務内容やその他の諸条件を考慮して判断します。
- 4日以上仕事を休んでいること。
療養のために仕事を休み始めた日から連続した3日間(待期期間)を除いて、4日目から支給対象です。
- 給与の支払いがないこと。
ただし、給与が一部だけ支給されている場合は、傷病手当金から給与支給分を減額して支給されます。
参考:全国健康保険協会
そして、申請には以下の書類が必要です。
- 申請者情報や申請内容を記入する申請用紙
- 事業主に記載してもらう証明書
- 担当医師に記載してもらう意見書
医師の意見書が必要ということは、診断を受ける必要があるということですね。なんとなく不調というご自身の判断だけでなく、医師の診断を受ける必要がある点にご注意ください。
そして申請する内容により添付資料も必要になります。添付資料や支給される金額については、全国健康保険協会のサイトをご確認ください。
参照:
全国健康保険協会
申請書類、添付資料が揃ったら、保険証に記載されている協会けんぽ都道府県支部に郵便で送付するか、窓口に提出します(ただし、提出方法はご自身の会社にも一度ご確認されることをおすすめします)。
②障害年金
障害年金は、病気やケガなどが原因で、一定程度の障害が継続する場合、生活の一部を援助するための制度です。最初の受診時に、国民年金または厚生年金に加入していた方が対象になります。
おもな相談先は、障害基礎年金の場合は市町村の年金課、障害厚生年金や障害共済年金の場合は年金事務所、または加入されている各共済組合になります。
障害年金は、受給条件や申請方法が複雑なため、年金事務所や年金相談センター、みんなねっと(全国精神保健福祉会連合会)の中にある「みんなねっと相談室」などの窓口へ、まず相談するのが良いでしょう。
参照:
みんなねっと相談室(公益社団法人 全国精神保健福祉会連合会)
2-2.医療費の負担を軽減する制度
次は、医療費の一部を公費が負担してくれることで、自己負担を減らすことができる制度を紹介します。
自立支援医療制度 (精神通院医療費の公費負担)
自立支援医療制度は、精神疾患と診断されて通院治療が必要な方に、健康保険の自己負担分を支援する制度です。ただし入院している方は対象外になります。相談先は市区町村の担当窓口です。
【目的】
自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。
【対象者】
精神通院医療:精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する者
【対象となる主な障害と治療例】
精神通院医療:精神疾患→向精神薬、精神科デイケア等
引用:自立支援医療制度の概要(厚生労働省)
申請が認められると「受給者証(自立支援医療受給者証)」が交付されます。
ただし、所得や症状の重症度に応じて負担額が設定されています。詳しくは厚生労働省のサイトをご確認ください。
参照:
自立支援医療における利用者負担の基本的な枠組み(厚生労働省)