ADHDで転職を繰り返す方へ オススメの仕事を315人の体験談から紹介

ADHDで転職を繰り返す方へ オススメの仕事を315人の体験談から紹介

ADHDのある方は転職を繰り返した経験から、自分に向いている仕事を知りたいと思ったことはありませんか?

何度も転職を繰り返してしまう、転職に失敗し仕事が続かないと悩む方がいる一方で、転職に成功し自分に向いている仕事で楽しく仕事を続けている方も多くいらっしゃいます。

今回は、アンブレに届いた「働いているADHDの方315人の体験談」をもとに、ADHDのある方にオススメの仕事、業界、職種を分析しました。

発達障害の専門家 松好伸一先生(石巻専修大学人間学部人間教育学科 特命教授)にもアドバイスをいただいています。

同じADHDでも、向いている仕事は特性によって異なります。
体験談とご自身の特性を比べながら、今後の転職に役立ててください。

*この記事は松好伸一先生に監修していただきました
松好伸一先生

仙台白百合女子大学 人間学部 人間発達学科 講師。保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。日本発達支援学会(監事)。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数。


*この記事でご紹介するデータ
調査期間:2018年2月~2020年4月
調査方法:弊社サイトUMBREから対象となる口コミを抽出
調査対象:働いた経験のあるADHDの方の口コミ315件
データ集計日:2020年9月22日
※口コミの内容を分類し集計したデータを使用しています。


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目次

1. ADHDとは

2. ADHDの方の職場満足度

3. ADHDの方にとって満足度が高い職場とは?

4. ADHDの方にとって満足度が低い職場とは?

5. ADHDの方に向いている業界とは?

6. ADHDの方に向いている職種とは?

7. ADHDの方の転職活動

8.専門家からのアドバイス

9.まとめ

1. ADHDとは

    「発達障害」は、子ども特有のものではなく、成長した後も症状が持続したり、大人になってから気づいたりする人も増えています。
    中でも、「注意力に問題が生じる・落ち着きがない」などの特徴がある「ADHD(注意欠如・多動症)」は、成人の3~4%が持っていると言われており、診断を受ける大人が増えています。

    【大人のADHDの特徴】
    子どもも大人も同じく、「多動性・衝動性」による特徴と「不注意」による特徴があります。

    ■多動性・衝動性による特徴

    ・目的のない動きをする
    ・感情が不安定になりやすい
    ・過度なおしゃべりや不用意な発言

    ■不注意による特徴

    ・注意を持続するのが難しい
    ・ケアレスミスが多い
    ・片づけが苦手
    ・忘れ物が多い

    参考:厚生労働省「e-ヘルスネット」

ADHDによる特徴は人により異なりますが、ある程度の傾向があります。そして、「注意しているのにミスが続いてしまう」とか「いつも何かを忘れてしまう」といった自分ではどうしようもない困りごとが仕事上の悩みに発展することもあります。

悩みを解決しながら働くためには、働きやすい職場や自分に向いている仕事に出会うことが必要です。

2. ADHDの方の職場満足度

まずは、転職に成功した方のコメントが多い「満足度の高い職場」について、傾向を見てみましょう。 このグラフは口コミを分析し、仕事への満足度の割合を出したものです。

ADHD仕事満足度グラフ
※口コミの項目「あなたはその会社の就労環境に満足していますか?」を集計して割合を抽出



「とても満足している」「満足している」が45%
「まったく満足していない」「満足していない」が28%
「どちらともいえない」が27%

という結果になりました。
満足している方が多い傾向にあるようです。
では、仕事に対する満足度は何によって決まるのでしょうか?

3. ADHDの方にとって満足度が高い職場とは?

では、グラフの45%を占めた「職場に満足している」と述べている方は、どのような理由で満足しているのでしょうか。満足度が高いと述べた方の理由を分類して、集計をとりました。

ADHD仕事満足度高い理由グラフ
※口コミの項目「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」を分類しプラス評価している内容を集計して割合を抽出。10人未満の少数意見は除く。




このグラフからは、以下のような傾向が見られました。

    【満足度の高い職場であるために特に重要なもの】

  • ADHDに対して理解がある
  • 職場の同僚の協力がある
  • 職場の同僚との人間関係が良好
これらは転職を成功させるために必要な企業の見極めにも関わってきますので、詳しく見ていきましょう。

3-1.満足度が高いと感じる1番の理由は「ADHDに対して理解がある」こと

ADHDの方の症状は、多くの場合、見ただけではわかりません。それだけに誤解されてしまうこともあるのではないでしょうか。
自分から説明しないと伝わりにくいADHDの特徴。その特徴に理解を示してくれる職場であれば、ADHDの方も安心感がもてます。

では、ADHDについて理解がある職場とは、どのような職場のことを言うのでしょうか?
その様子を見てみましょう。

■ADHDの方の得手不得手なことを理解し、得意なことを活かす職場

従業員の得手不得手を理解してくださり、その人にあった働き方を提案してくれます。
メーカー・製造系、コールセンター・オペレータ、男性

専門学校を卒業後、初めて社会に出て働いた職場だったので右も左も分からず職場にも多くの苦労をかけたことと思います。しかし、自分の長所を理解していただいて働くことができたので、のちに働く上での自信へとつながっていると感じるからです。
女性

このようにADHDの方は、得手不得手がはっきりしているケースがみられます。担当業務が苦手なことだと、ミスにつながることもありますが、得意なことで力を発揮している方もいらっしゃいます。

では逆に、苦手なことに対してはどうすれば良いのでしょうか?
これは、満足度の高い職場の2番目の理由に挙げられた「職場の同僚の協力がある」にも関わってきます。次の章で詳しく見てみましょう。

3-2.満足度が高いと感じる2番目の理由は「周囲の協力がある」こと

ADHDの方は、得意なことではスキルを発揮できる反面、その特徴により苦手な作業や業務では、ミスを生じることもあります。仕事に支障をきたせば、自信をなくしてしまうこともあります。しかし、職場の同僚がADHDの特徴を理解し、苦手である理由に納得することができれば、自分へのサポートや配慮へつなげることができます。

苦手なことに対しての周囲のサポートとは、どのようなことを言うのでしょうか?コメントから具体的な事例をみてみましょう。

■苦手なことに対して、職場の同僚のサポートがある職場

物忘れをしてしまう私のために仕事のスケジュールや仕事内容を一覧にした紙をいつも作っていただいています。
メーカー・製造系、軽作業、男性

仕事の納期が決められていないと作業を先延ばしにしてしまう癖があるので、些細な作業にもいついつまでに提出してくれる?などと明確に指示を貰えるようになった。
メーカー・製造系、軽作業、男性

耳からの情報処理に遅れがあるので、電話対応について相談したところ、どうしても電話番を行わなくてはいけない場合を除き、電話番から外してもらっています。
小売・流通・商社系、事務、女性

まずは、ADHDが具体的にどのような内容のものかを真摯に聞いてくださり、理解してくださいました。その上で、数字が関わる業務 (Aの食器を25個並べ、Bの食器を13個並べる等) など、ADHDゆえに支障が出そうな仕事はなるべく現場の他のスタッフの方が代わりにやってくださり、食器洗いや清掃などで作業が遅い時には周りのスタッフの方が丁寧にフォローしてくださいました。
メーカー・製造系、販売・接客・サービス、男性

自分が多動傾向にあるので、じっとしなくて済む車両誘導等の業務をサポートありでやらせてくれて、一定の配慮はあった。
サービス・外食・レジャー系、販売・接客・サービス、女性

出社して仕事を行うとき、オフィスの物音で精神が消耗しないように別室を用意してもらっています。
サービス・外食・レジャー系、デザイナー・クリエイティブ、男性

少しでも不明な点があると、「会社に大きな損失を与えるミスを起こしてしまってはいけない」と考えて、頻繁に質問をして上司の方の手を止めてしまっていたのですが、社内メールのシステムを使って、質問をしやすい仕組みを作ってくださいました。
マスコミ・広告・デザイン・ゲーム・エンターテイメント系、軽作業、女性



これらの口コミから、ADHDの方が苦手だと感じることは、人それぞれ異なることがわかります。そのため、自分の特徴に対する理解と、自分の苦手なことに対する配慮やサポートがある職場は、理想的ですね。

あるとうれしい、職場の配慮事項には以下のような傾向がみられました。

    【あるとうれしい職場の配慮事項】

  • 苦手なことへのフォローや見守りがある
  • 苦手なことではなく得意な業務への変更が可能
  • 指示の仕方や進め方などわかりやすく伝えるための工夫がある
  • 質問しやすい環境づくり
  • 大きな音など苦手な環境を避ける配慮
さらに、口コミで寄せられた悩みから、ADHDの方が苦手なことについての傾向を見てみましょう。

    【ADHDの方が仕事をする際に悩むこと、苦手としていること】

  • 話を理解するのに時間がかかる
  • 曖昧な指示がわかりにくい
  • ミスが多い
  • マルチタスクが苦手
  • 時間が守れない
  • 優先順位が決められない
  • 人付き合いが苦手
  • 落ち込みやすい
  • じっとしていられない
  • 音などに過敏、神経質
このようなADHDの方の特徴を理解している職場は、満足度が高い傾向にあります。

また、満足度の高い理由の3番目に挙げられた「職場の同僚との人間関係が良好である」というのは、前述の「ADHDへの理解」や「職場の同僚のサポート」と関わりがあります。
つまり、ADHDへの理解があることで周囲の協力や特徴にあった仕事が得られますし、人間関係が良好だから理解や協力も得られるといったように、それぞれが関連しているのです。

職場の同僚に、ADHDの特徴を理解してもらうだけでは、働きやすい職場は望めません。
しかし、職場の同僚は、ADHDの方が苦手なことを理解することで、必要なサポートを知りサポートなどの行動に移すことができます。また、得意なことを理解することで、特徴にあった仕事を任せることができます。
理解を得るためには、自分の得手不得手を理解し、職場に説明することが必要です。
これから転職活動を行う方は、まず自分のことをよく理解することから始めると良いかもしれませんね。

自分の理想の職場を見つけるためには、避けるべき職場の様子も知る必要があります。次は「満足度が低い職場の理由」について見てみましょう。

4. ADHDの方にとって満足度が低い職場とは?

4-1. 満足度が低い職場の特徴

27%を占めた「満足度が低い職場」とは、どのような職場なのでしょうか?
満足度が低いと述べた方の理由を知ることは、転職に失敗しないためにも必要なことです。詳しくみていきましょう。

ADHD仕事満足度低い理由グラフ
※口コミの項目「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」を分類しマイナス評価している内容を集計して割合を抽出。10人未満の少数意見は除く。


このグラフからは、以下のような傾向がみられました。
    【満足度の低い職場の理由】

  • 病気や障害に対して理解がない
  • 自分の特徴に合わない仕事
  • ハラスメントや叱責を受けた
では、それぞれの職場の様子を見てみましょう。

4-2.満足度が低いと感じる1番の理由は「ADHDに対して理解がない」こと

この結果からは、満足度が高い理由として一番多く挙げられた「ADHDに対して理解がある職場」と真逆にある職場ということがわかります。つまり職場の満足度にはADHDに対する理解が大きく影響するということです。

実際、ADHDに対して理解がない職場とは、どのような様子なのでしょうか。

■ADHDに対して理解がない職場

記憶が弱いことを話すと、自分の努力不足だと言われ、あなたはこの仕事に向いていないと言われたから。病棟移動になったが、また同じような扱いを受け、対策どころか退職に追いやられた感じだったから。
メーカー・製造系、清掃、女性

苦手だと感じていることに対して、合理的配慮がなく、個人の努力によるところとみなされたため。
メーカー・製造系、コールセンター、オペレータ、女性

発達障害や鬱に関しての理解度が低く、退職するまで怠けているだけだと思われていたから。
女性

上司がある程度勉強してくれたおかげで居場所はあった。だが、周りの対応が不正解でしかない対応で満足はできない。
サービス・外食・レジャー系、男性 

提出した発達障害の資料や私の特徴、要望について対応してくださらなかった。障害について理解がなかったです。
サービス・外食・レジャー系、女性

不具合報告は、文章だけだとわかりにくいところが多々あったため、図解とかで説明できるようにしたほうが良いと提案したのだが、「この部署ではそのようにすることは認められていないため」というだけで、「なぜダメなのか?」など具体的な理由は説明してもらえなかった。
IT・通信・インターネット系、エンジニア・技術職、女性



ADHDの特徴について理解がないと、わからないこと、ミスをすること=努力不足、怠けていると誤解されることもあるようです。また上司が理解していても、職場の同僚に理解やサポートする気持ちがないと誤解を生みやすく、良好な人間関係を築くことができません。

中には、自ら発達障害について説明をし、配慮をお願いした方もいらっしゃいます。本来なら、職場の同僚にそのような説明をして要望を伝えることは、職場全体の働きやすさにつながることでしょう。しかし、職場の同僚に理解しようとする気持ちがないと、その説明や要望も聞き入れてもらえないために、悪循環に陥ってしまいます。

4-3.満足度が低いと感じる2番目の理由は「自分の特徴に合わない仕事を行う」こと

前述したとおり、ADHDの方は特徴により苦手な業務や作業があります。自分の得手不得手を理解されないないまま、不得手な仕事を頼まれると、自分の力を発揮するところか、仕事のやりづらさやミスを生じてしまいます。

■ADHDの特徴を考えず仕事を依頼する職場

業務時間内に仕事を終えるためにマルチタスクが必要で発達障害者には向かない。
サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、女性

あまり調べずに社員になれるというだけで入ってしまいましたが、やることが多すぎてパニックになりました。
小売・流通・商社系、軽作業、女性

大量の注文を正確に覚えなければいけないため、注意欠陥型のADHDには向いていないと感じました。
サービス・外食・レジャー系、女性

最終確認者が自分になってしまう仕事だったため、ミスが許されないもので、向いていなかったと思います。
運輸・交通・物流、倉庫系、女性

書類ひとつにしても正しい書式というものが存在しなかったため、私のような発達障害をもった人間には、特に環境が合わない。(あるいは自分がルールを作り出す)「大体でいいよ」「慣れるよ」と言われることが多く、基本的に放任主義なのがとてもつらい。
サービス・外食・レジャー系、事務、女性

一般の顧客対応なのでイレギュラーが多く、混乱するタイプの人にはつらい職場だと思います。常にBGMや話し声や雑音があふれているので、聴覚が敏感な人にも負担が強い。
小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、女性

結婚披露宴の配膳などは空気を読むことが求められます。(例えば 感動的な場面では場を白けさせないように動くなど)発達障害の特徴かもしれませんが、最後まで慣れることができず注意されてばかりでした。
サービス・外食・レジャー系、女性 



ADHDの方が苦手とする行動やシチュエーションを避けることや、サポートを得ることは、働きやすさにつながります。逆に、向いていない仕事や苦手なシチュエーションで仕事をすることは苦痛になってしまいます。

企業側が特徴を理解して、実力を発揮できる仕事や場所を提供できるかどうかが、仕事や職場への満足度に直結しています。

4-4.満足度が低いと感じる3番目の理由は「ハラスメントや叱責を受ける」こと

ハラスメントや叱責を受けることは、どんな人でもつらいことです。悲しい様子がリアルに伝わってきますが、その様子を少しご紹介します。

■ハラスメントや叱責を受ける職場

とにかくパワハラが酷いです。言われる側か言われない側に真っ二つに分かれる形になり、ことごとく毎日のように怒声と罵声を浴びせられ、さらに集団で問責、威圧されることも頻繁にありました。
公務員、男性

できなかった、失敗してしまったことに対して、なぜ起きてしまったのか?起こさないためにどうしたらいいか?などの振り返りは一切なく、入れ忘れの電話が入る誰だ!?と大声で犯人探しを始めてただただ怒鳴られたからです。
サービス・外食・レジャー系、女性

「なぜ1回で理解できないんだ!」と怒鳴られると、頭が真っ白になって体が固まってしまうのも事実なのです。八方塞がりでした。
メーカー・製造系、女性

まだ、一年目なのに関わらず、重度な叱責を受けたことです。仕事で失敗すると、「もう帰って」と言われてタイムカードを押した経験もあります。勤務年数が経過するにつれて、叱責や罵声が酷くなり、途中で帰らされることも多くなりました。
メーカー・製造系、軽作業、男性



ADHDの方は感受性が強く、落ち込みやすいと言われます。向いていない事やミスをするだけでも気分は下がってしまいますが、叱責をあびることでさらに大きなダメージを受けてしまいます。

できない理由やミスした理由を聞くことなく、頭ごなしで叱られるのはつらいことです。ADHDの特徴についての理解があれば、誤解を避けられます。やり方を工夫すればミスを減らすことにもつながります。ここでも大切なことは、ADHDについての理解がある職場かどうか、ということのようです。

パワハラや叱責が日常的にある職場は、その企業や職場にADHDを理解する取組みや制度がないことも、ひとつの原因です。転職や就職で仕事を探す際には、ホームページなどの情報をもとに、企業としての姿勢を確認することが大切です。

4-5.満足度が低いと感じる3番目の理由「その他」

その他という意見も、同率で3番目に挙げられました。その他には分類できない少数意見が含まれており、ADHDの方ならではの悩みや不満点が多くあったという結果の表れでもあります。

現状の役職に見合った業務を果たせていない。業務達成のための知識や技能が不足している。
IT・通信・インターネット系、事務、男性 

忙しい職場で、周りの職員がテキパキと働く中で、自分だけがうまく動かず、取り残されることが多かったです。
不動産・建設・設備系、事務、男性 



これらの口コミを見ると、自分ができないことや職場の同僚と同じように働けていないことへの、後ろ向きな気持ちが感じとれます。

しかし、このような後ろ向きな思いをしないためにも、ADHDであることやその特徴を説明し、理解やサポートを得ることで「できない」を「できる」に変えることも必要ではないでしょうか。働きやすい職場づくりには、自分で発信する努力も大切なのかもしれません。

とは言え、前提となるのはADHDについて職場がどれぐらい理解できているのかという点です。転職や就活で企業を調べる際は、以下の点に注目しましょう。

  • ADHDについて理解がある職場なのか
  • 特徴にあった仕事内容なのか
  • 職場の雰囲気や人間関係は良いのか

ただ、特に職場の雰囲気やADHDへの理解度は、実際に働いてみないとわからないというのも正直なところです。
検討している段階で職場見学をお願いしてみたり、働いている方に聞いてみたり、口コミから様子を感じとってみたりするなど、得られる情報はできるだけ収集しましょう。

5. ADHDの方に向いている業界とは?

5-1. ADHDの方が働いている業界の割合

次に、ADHDの方が働いている業界の傾向を見てみましょう。様々な業界で多くの方が活躍されています。

ADHD人気業界グラフ
※口コミの項目「働いているまたは働いていた企業を教えてください」を業界別に分類し集計して割合を抽出


働いている方が多い業界は、以下のとおりでした。
  • サービス・外食・レジャー系 38%
  • 小売・流通・商社系 23%
両方合わせると61%を占め、半数以上の方がこれらの業界で働いていることがわかります。

では、これらの業界への満足度は高いのでしょうか?
業界別にそれぞれの満足度を比べてみましょう。


5-2. ADHDの方の満足度が高い業界

ADHD業界別満足度グラフ


※口コミの項目「働いているまたは働いていた企業を教えてください」と「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」をクロス集計して割合を抽出。ただし、述べた人数が10人未満の業界は比較対象外とした。


満足度の高い業界は、以下のとおりでした。
  • メーカー・製造系
  • 小売・流通・商社系
小売・流通・商社系は人気も満足度も高いようですが、メーカー・製造系の人気は3番目でしたので、必ずしも満足度が高いから多くの方が働いているとは言えないようです。

では、ADHDの方が「メーカー・製造業」「小売り・流通・商社系」業界が働きやすいと感じる理由は何でしょうか。口コミを見ていきましょう。

■メーカー・製造系■

常に仕事に取り組む様子を気配りする上司がいるので、何でも相談していい。
メーカー・製造系、男性

社長が気遣ってくださり、できるだけ簡単な仕事を与えてくれました。ですので、仕事的には非常に単調な仕事でやりやすかったです。
メーカー・製造系、軽作業、女性 

私が動きやすいやり方を工夫し、業務に携わっていけるように配慮してもらえています。
メーカー・製造系、軽作業、女性

ある程度業務量を調整してもらえるので、パニックになる回数は多少減っているように思える。
メーカー・製造系、営業、男性

感情の起伏が激しく、落ち込み易かったりイライラしたり、周囲に悪い影響を与えそうな時がありますが、そういった時は小休憩を取らせてくれますし、急な体調不良で欠勤になった時は有給を当ててくれるので安心して生活できます。
メーカー・製造系、コールセンター、オペレータ、男性



「メーカー・製造系」の業界で働いている方からは、以下のような傾向がみられました。

    【メーカー・製造系の業界にみられる傾向】

  • 上司が周囲の様子を気にして見守っている
  • 業務量や仕事の進め方を個々にあわせて調整してくれる
  • 休憩や休みが必要なときに取りやすい
同じ業界でも担当している業務はそれぞれ異なりますが、ある程度のチームとなって仕事をするケースが多く、そのリーダーがチーム全体や個々の様子を常に把握している様子がうかがえます。
また、把握するだけでなく、個々の様子に合わせて仕事を調整してくれるので、安心して仕事に取り組めるのではないでしょうか。

次に、「小売・流通・商社系」の業界で働く方の口コミを見てみましょう。

■小売・流通・商社系

仕事が集中した時は分担して手伝ってくれました。クレーム等の対応も代わりに対応してくれることもありました。
小売・流通・商社系、女性

適性をわかってくださった上で、店舗移動の話を持ちかけてくださいました。百貨店という壁がないフラットなフロアにあるお店だとどうしてもお客様の通行量が多くパニックになりやすいので、結果は壁がしっかりあるボックス型の店舗になりました。混雑していても店舗の外に立って客観的に見る事で落ち着くことができますしお店的にもゆったりとした場所だったので、パニックになることも少なかったです。
小売・流通・商社系、女性

まず、現在の業務から私の得意とする単純作業に変えていただきました。障害やうつ病の特徴をすでに理解しておられたので、体調に波があることもご存じで、体調がいいときに働けるよう、休職することを薦めていただけました。(退職を考えていました。)
小売・流通・商社系、女性

他者と連携しながら行う仕事は、抜け漏れが出やすいため、自分のペースでできる仕事を割り振ってくれました。
小売・流通・商社系、男性

暖かな声かけがあり、必ず複数で仕事をチェックすることを心がけてくださいました。
小売・流通・商社系、男性

忘れないように自分の特徴をメモで渡してくれた
小売・流通・商社系、軽作業、女性

何度も確認の声掛けをしてくれたり、ミスがないようダブルチェックを欠かさず行ってくれました。
小売・流通・商社系、女性 

自分自身がどうしても理解できないこと無理なことを少しずつ話していった時、私に合わせた話の仕方に変えてもらったり心の病の事を理解し、病院や自宅でゆっくりできるよう勤務時間を変えてもらうことができました。
小売・流通・商社系、女性

タスクがあまり積み重ならないように仕事量を加減してくれたり、長期的タスクを振らないようにしてくれている。
小売・流通・商社系、女性



「小売・流通・商社系」の業界で働いているからは、以下のような傾向がみられました。

    【小売・流通・商社系の業界にみられる傾向】

  • 適正に応じた配置転換や業務変更をしてくれる
  • ミスを減らすためにダブルチェックや声かけなどを行いサポートしてくれる
  • 仕事がしやすいように、業務量を調整してくれる
「メーカー・製造系」業界と同様に、「小売・流通・商社系」業界も、職種により仕事内容が異なります。しかし、この業界は店舗で働くことが多く、チーム単位で仕事をする傾向があります。

その場合、チームの一員として周囲のサポートが得られるかがとても重要です。口コミからは、周囲の方々がADHDについて理解し、その上で仕事をうまく遂行するための工夫がされている様子がわかりました。時には自分にふさわしい環境へ異動しすることで、働きやすくなったという方もいらっしゃいます。

そのような点から「小売・流通・商社系」業界は、他の業界と比べると配置や業務内容の変更がしやすいのかもしれません。
また店舗は、チームワークが求められます。そのためにも、良好な人間関係を築くために協力しあうカルチャーが自然と作られるのかもしれません。

一方で、同じ業界でも以下のような口コミがみられました。

当時はADHDの認識がなかったため、ミスの多い一般人として仕事をしていた。 慢性的な人手不足の業界だったため、周囲の人にもサポートする余裕などなかった。
小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、女性

かなり忙しい店舗で本当にミスが多くなってしまったが、異動させてもらえなかった。親切にしてくれるスタッフもいたが、仕事のできなさから他のスタッフから毎日のように陰口を言われ、ストレスを感じた。
小売・流通・商社系、事務、女性



忙しい職場や人手が不足している職場は、異動やサポートなどをお願いしても受け入れる余裕がないところも多く、状況を変えることが難しいようです。

職場が店舗であれは、入社する前にお客として訪れることで雰囲気を知ることや感じることができるかもしれません。スタッフ同士が協力しているか、表情はどうか、といった様子をチェックしてみてはいかがでしょうか。



▼他にも「メーカー・製造系」「小売・流通・商社系」それぞれの業界でお仕事されている方の体験談がたくさん届いています。
ぜひこちら↓を参考になさってください。

メーカー・製造系の口コミ
小売・流通・商社系の口コミ

6. ADHDの方に向いている職種とは?

6-1. ADHDの方が働いている職種の割合

次はADHDの方が働いている職種について見てみましょう。
ADHD職種割合グラフ

※口コミの項目「どのような仕事を担当していましたか」をもとに職種別に分類し集計して割合を抽出


ADHDの方が多く働いている職種は、以下のとおりでした。
  • 販売・接客・サービス
  • 軽作業
  • 事務

  • ちなみに、一般労働人口の多い職業は以下のとおりです。
  • 事務
  • 専門職・技術職
  • 生産工程従事者
  • 販売
  • サービス
  • 軽作業

  • ▼参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「職業別就業者数」

    順位は違うものの、上位を占める職種は一般労働もADHDの方も同様であることがうかがえます。

    また、ADHDの方の職種の傾向は、業界の割合とも大きく関係しています。
    先ほど紹介した、一番多くを占めた「サービス・外食・レジャー系」業界や二番目に多い「小売・流通・商社系」業界で働いている方は、接客や販売などを担当している方が多いということがわかります。

    また、軽作業は様々な業界で求められる仕事ですし、研修などの準備期間がなくてもすぐ行える仕事なので、気軽に始められるのかもしれません。

    職種を選ぶときは、人気がある、お給料が良いといった条件だけではなく、ご自身がストレスを感じる業務ではないかという点に注目する必要があります。そのためにも、具体的な作業内容とご自分の特徴を考慮しながら選ぶと良いですね。

    では、これらの職種の満足度は高いのでしょうか?
    職種別に満足度を比べてみましょう。


    6-2. ADHDの方の満足度が高い職種

    ADHD職種別満足度グラフ

    ※口コミの項目「どのような仕事をされましたか?」と「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」をクロス集計して割合を抽出。ただし、答えた人数が10人未満の職種は比較対象外とした。


    満足度が高い職種は、以下のとおりでした。
    • 軽作業
    • 事務
    どちらも「とても満足している」「満足している」と述べた方が40%以上います。「軽作業」は働いている方の割合も多く、かつ満足度も高い職種だということがわかります。

    では、どのような点が働きやすいのか、口コミをみてみましょう。

    ■軽作業

    工場がきちんと設備管理していましたので快適にお仕事ができました。
    メーカー・製造系、軽作業、女性

    最初は冷蔵・冷凍庫内作業員のアルバイトでの雇用でしたが、一人で黙々とこなす作業で気楽に働くことができていた。
    メーカー・製造系、軽作業、男性

    ピッキング作業なので、個々のペースで仕事ができてゆっくりと作業をしても大丈夫なので、注意障害になりにくく助かりました。
    運輸・交通・物流・倉庫系、軽作業、男性

    アスペルガーや発達障害のある方は、静かな環境なので一番働きやすいのではないか?と思います。
    小売・流通・商社系、軽作業、男性



    「軽作業」の仕事には、以下のような傾向がみられました

      【軽作業の仕事にみられる傾向】

    • 個々のペースで仕事ができる
    • 場所によりますが、清潔に管理された場所で仕事ができる
    • 作業内容によっては静かな場所で働ける
    ADHDの方には、コミュニケーションをとることや予定の急な変更が苦手な方も多くいらっしゃいます。
    ある程度作業工程が決まっている軽作業は、自分のペースで行いやすく、ADHDの方にとって働きやすい仕事の一つといえるでしょう。

    次は「事務」についての口コミをみてみましょう。

    ■事務

    障害が発覚してから部署異動をしてもらい、落ち着いて作業が行えるスペースが与えられた。お客様に失礼な発言をしないよう、他の職員との摩擦が少ない業務を任せて貰えた。
    事務、女性

    ゆっくり自己で解決できるようサポートをしてくれたり、一般事務のノウハウを少しずつ自分に合わせて教えてもらえたということです。
    小売・流通・商社系、事務、女性

    とてもまじめな雰囲気の方が多い職場だなと感じました。また、困っているととても親切に個人的にマニュアルを作ってくださる方がいたりして、部署によっては和やかな雰囲気のする会社だったなと感じました。
    サービス・外食・レジャー系、事務、女性



    「事務」の仕事には、以下のような傾向がみられました

      【事務の仕事にみられる傾向】

    • 落ち着いた雰囲気で仕事ができる
    • マニュアルやノウハウをすれば仕事が覚えやすい
    • 社外や取引先とコミュニケーションをとるのが苦手な方には、主に社内に向けた仕事を行う部署もある
    静かな場所を好む音に敏感な方にとって「事務」という仕事は向いている職種の1つかもしれません。しかしコールセンターが併設されているなど、電話対応が頻繁に行われる部署もあるので注意が必要です。

    また、社内の教育体制が整っている企業であれば、わからないことは担当者に聞けるので、安心して働くことができますね。

    転職先の企業を見極めるときは、給料、待遇面、勤務地、スキルアップができるなど、いくつか確認したいポイントがあります。

    さらに、仕事を長く続けるためには、担当している業務にやりがいをもつことも必要です。そのためにも、自分の特徴をよく理解し、どのような職種が向いているのかを考えてみましょう。

    例えば
    • 1人でもくもくと業務に集中できる環境が好ましい
    • 大勢でも自分のペースで仕事ができれば大丈夫
    • 長い時間続けても苦にならないことや得意なことは何か
    など、働きやすい環境や向いている仕事をよく考えてみましょう。

    7. ADHDの方の転職活動

    転職活動や就職活動の進め方にはいろいろな方法があります。最近はインターネットなど情報元も多く、選択肢も増えています。

    皆さんはどのように転職先を見つけているのでしょうか?
    次のグラフは、ADHDの方が転職活動や就職活動に利用したサービスの割合を表したグラフです。

    ADHD転職サービスグラフ

    ※口コミの項目どのようにその職場を見つけましたか。就職までに利用したサービスがあれば教えてください。(複数可)」の有効回答132名による135件を集計して合計人数を算出


    一番多かったサービスは、ハローワークでした(複数サービスを利用した方も含まれるため、全体に占める割合ではなく回答者の約27%がハローワークも使ったという結果になります)。
    次いで多かったのは、求人メディアでした。その他にもエージェント(人材紹介会社)、就労移行支援施設など様々なサービスを利用し、相談しているようです。

    では、サポート内容を利用した方の口コミからご紹介します。

    ■ハローワーク(障害者枠採用)

    ハローワークは、障害者用の求人窓口に相談しながら仕事探しをした。障害者職業センターを紹介され、センターで1か月ほど職業訓練を受けた。ジョブコーチ制度を利用し、職場見学、面接に付き合ってもらい、スムーズに職場に入れたと思う。
    ハローワーク利用、旅行・ホテル、調理スタッフ女性

    大田区のハローワークで、障害者雇用担当のベテランの方に、面接で話すことができない自分に同伴して説明を代行してもらいました。それどころか、本来求人票は一般の障害者向けの軽作業系だったのですが自分のスキルを売り込んでもらったおかげで業務内容から雇用条件までガラッと変わり給与も大幅向上しました。
    ハローワーク利用、人材、専門職、技術職、男性



    ハローワークは全国に544カ所(平成29年度現在)あり、比較的気軽に利用できる施設です。最近は、自宅でハローワークのホームページを利用し求人を検索することもできます。行政が行っているため、安心感もありますね。

    ハローワークは、様々な業界や職種の求人を多く扱っています。
    また障害者専用窓口もありますので、障害者雇用枠(オープン就労)と一般雇用枠(クローズ就労)で迷っている方や、障害者雇用枠の求人を探している方は相談してみると良いでしょう。

    また、求人紹介だけでなく、履歴書の書き方や面談の受け方も相談できます。そして求職者に代わり企業への質問や職場見学を依頼してくれるなど、仲介するようなサポートもあるようです。

    その他、利用できるサービスの一部を紹介します。

    ■エージェント(人材紹介会社)

    エージェント(人材紹介会社)から第二新卒という扱いでサービスを受けました。私の障害のことを担当者の方にお話ししましたら、担当者の方が、非常に配慮してくださり、私を導くような形でデイサービスセンターを紹介してくださったことに感謝しております。
    人材紹介会社利用、医療・福祉・介護、介護スタッフ、女性

    私がADHDであることを理解してくださり、できる仕事とできない仕事を綿密にヒアリングして理解してくださいました。担当者が、私の障害を前もって企業に伝えてくださり、入社後も企業とスムーズにやりとりができました。
    人材紹介会社利用、メーカー・製造系、調理スタッフ、男性



    ■就労移行支援施設

    日常のプログラムのほかに、月に1回自分たちで行程を計画して外に出かけるソーシャルクラブも勉強になりました。展覧会やバイキング、ダーツ、工場見学など、普段行かないところに行けたのも新鮮でした。
    就労移行支援利用、物流・倉庫、軽作業、男性



    最近は、障害のある方専用の転職、就職サービスも多くあります。障害の特徴を理解しながら相談にのってくれるなど、専門窓口ならではの手厚いサービスを受けられるほか、障害者雇用枠などの求人情報も多く扱っています。

    ・自己分析をしたいけど、自分のことがよくわからない
    ・気になる会社を見学してみたい
    ・自分のことを面接で話すことが苦手

    そんな悩みや不安はありませんか?

    障害を熟知した専門スタッフに、転職や就職のことだけでなく不安なことを相談してみましょう。視野が広がるかもしれません。
    また求職者に代わり、企業との調整を行ってくれることで、よりスムーズな転職活動が望めるでしょう。

    ▼障害者雇用枠の求人の探し方について、詳しく紹介しています。
    ハローワークだけじゃない、障害者雇用枠の求人はここでも!求人サービスを紹介

    ▼障害者雇用枠と一般枠について詳しく紹介しています。
    障害者枠(オープン)か一般枠(クローズ)か?メリットとデメリットを解説

    8.専門家からのアドバイス

    仕事探しを考えているADHDの方へ、発達障害の専門家 松好伸一先生からのアドバイスを紹介します。

    ■働くことを迷っているADHDの方へ

    就職に不安がある場合は、精神障害者保健福祉手帳を取得し障害者雇用から始めるとよいでしょう。
    または就労移行支援を利用し、ジョブコーチの助けを得ながら「働くこと」の経験を積むことが大切です。就労経験やジョブコーチの意見から、自分に向いている仕事が見えてきます。

    なお、障害者雇用は給与形態や福利厚生が異なることがあります。一般枠採用なのか、障害者雇用枠での採用なのかは、自分が働く上でどのような配慮が必要だと感じているかによって変わってきます。

    ■これから働くADHDの方へ

    仕事には、自分が「やりたい」仕事と、障害特性により「できない」仕事があります。上司や同僚の理解があるかも重要ですが、何より自分の傾向を理解し、向き不向きを考えることが、仕事を長続きさせるポイントになります。

    ADHDは社会性の問題を抱えている場合があり、自己分析ができない人も多いです。また、優先順位がわからない人、気になることを優先してしまう傾向が強い人もいます。

    信頼できる友人などに自分のことを分析してもらい、どのような仕事が向いているかといったアドバイスを受けることが必要でしょう。

    9.まとめ

    満足度の高い職場、低い職場どちらの口コミにも、働きやすい職場を見極めるためのヒントがたくさんありました。
    また、業界や職種を探すときに参考にしたいポイントも見えてきました。
    ここでおさらいしていきましょう。

    ■ADHDの方にとって満足度の高い職場とは?
    満足度の高い職場に一番必要なことは「ADHDに対して理解がある」ことでした。特に、ADHDの方が苦手とする作業やシチュエーション、逆に得意とすることなど、個々の特徴を理解してもらいましょう。

    さらに、特徴を理解した上であるとうれしい配慮には以下のことが挙げられました。
    • 苦手なことへのフォローや見守りがある
    • 苦手なことではなく、得意な業務への変更が可能
    • 指示の仕方や進め方など、わかりやすく伝えるための工夫がある
    • 質問しやすい環境づくりがある
    • 大きな音など苦手な環境を避けるための配慮がある
    配慮を望むためには、職場の同僚と良好な人間関係が築かれ、協力が得やすい職場環境であることが必要不可欠です。

    ■ADHDの方にとって満足度が低い職場とは?
    満足度の低い職場の理由として一番多く挙げられたことは「ADHDに対して理解がない」ことでした。
    ADHDの特徴について理解がないと、努力不足や怠けていると誤解されることもあるようです。また上司が理解していても、職場の同僚に理解やサポートする気持ちがないとさらに誤解を生みやすく、良好な人間関係を築くことができません。

    さらに「自分の特徴に合わない仕事」を任される職場も、ADHDの方の仕事に対する満足度が低くなる傾向にあります。ADHDの方は苦手とする行動やシチュエーションがあり、それを避けることやサポートを得ることが、働きやすさへとつながります。逆に、特徴にあわない仕事やシチュエーションで仕事をすることは苦痛になってしまいます。

    そして「ハラスメントや叱責を受ける職場」も、働く意欲をなくしてしまいます。ADHDの方が苦手とすることを理解していれば、叱責することもないでしょう。これもADHDへの理解のなさが引き起こしてしまうのです。

    まずは、自分のADHDの特徴をよく理解し、そして職場の同僚にも理解してもらうことが働きやすさへの第一歩になります。

    ■ADHDの方に向いている業界とは?
    ADHDの方の満足度が高い業界は「メーカー・製造系」や「小売・流通・商社系」でした。

    メーカー・製造系にみられる傾向は
    • 上司が周囲の様子を気にして見守っている
    • 業務量や仕事の進め方を個々にあわせて調整してくれる
    • 休憩や休みが必要なときにとりやすい
    小売・流通・商社系にみられる傾向は
    • 適正に応じた配置転換や業務変更をしてくれる
    • ミスを減らすためにダブルチェックや声かけなどを行いサポートしてくれる
    • 仕事がしやすいように、業務量を調整してくれる
    でした。職種による違いはありますが、仕事探しの参考にしてみてください。

    ■ADHDの方に向いている職種とは?
    ADHDの方の満足度が高い業界は「軽作業」や「事務」でした。

    軽作業にみられる傾向は
    • 個々のペースで仕事ができる
    • 場所によりますが、清潔に管理された場所で仕事ができる
    • 作業内容によっては静かな場所で働ける
    事務にみられる傾向は
    • 落ち着いた雰囲気で仕事ができる
    • マニュアルやノウハウを活用すれば仕事が覚えやすい
    • 社外や取引先とのコミュニケーションをとるのが苦手な方には、主に社内に向けた仕事を行う部署もある
    でした。雰囲気や人間関係も大きく影響すると思いますが、向いている仕事探しの参考にしてみてください。

    これらを見ると、自分に向いている仕事へ転職するためには、求人票や会社情報だけではわからない情報も重要だということがわかります。専門サービスへの相談やアンブレのような仕事の口コミサイトもぜひ活用してみてください。
    理想の仕事に出会えることを応援しています。

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    ▼ADHDの人が仕事を続けるコツとは?悩みや対策、強みの活かし方を紹介


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    監修者

    保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数で、2022年3月29日「幼児教育方法論」(共著・一藝社)を刊行。

    保有資格

    著者

    障害、病気のある方の企業や仕事に関する口コミサイト「アンブレ」を運営中。 丁寧な取材や口コミの分析を通して、病気や障害の特性に配慮した働き方や仕事との向き合い方を提案。理想の職場に出会うための、そしてより働きやすくなるための情報を発信しております。障害や病気があってもぴったりの仕事を。

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