適応障害のある方に聞いた、続けられる仕事を探すコツ

適応障害の方に聞いた、続けられる仕事探しのコツとは

気分や行動に様々な症状があらわれる適応障害。生活環境の変化やストレスが要因とされています。そのストレスの要因が仕事にあった場合、会社に行くことが困難になり、休職や退職を余儀なくされてしまうこともあります。

適応障害は、ストレスから遠ざかることで症状が改善されるため、転職を考えている方もいるでしょう。しかし今までの経験から不安がよぎり、一歩が踏み出せないということはありませんか?

適応障害と上手く付き合いながら、自分に合った環境を見出し働いていくためにはどうしたら良いでしょう。

このコラムでは、実際に適応障害と診断された方からの口コミをもとに、適応障害のある方が自分に合った職場と出会い、仕事を続けていくためのポイントをお伝えします。

適応障害と向き合いながら始める職場復帰や就職、転職の方法など、成功の秘訣についてポイントを押さえましょう。そして、自分の望む未来を実現できるように一緒に考えていきましょう。

*この記事はジョジョさんに監修していただきました
ジョジョさん

産業カウンセラー、社会福祉士(ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)、プロコーチの資格を持ち、就労継続A、B型にて支援員として、身体障害、精神障害、知的障害のある方への支援を行う。 自身も悩みを抱えギャンブル依存症になった経験から、「悩みから夢まで話せる友達が見つかる東京の居場所”ココトモハウス“と出会い、現在はその管理人として多くの方から信頼を寄せている。生きづらさを抱える人達を社会と繋げて、豊かな社会を作ることがミッション。



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目次

1.適応障害とは

2.適応障害になりやすい職場はどんな職場?

3.適応障害を発症したことで生じた仕事での悩み

4.働きやすい職場に必要なもの

5.適応障害を伝えるということ

6.適応障害のある方におすすめの企業とは

7.働き方と求人の見つけ方

8.企業の情報の集め方

9.面接のポイント

10.入社後に心がけたこと

11.まとめ

12.最後に

1.適応障害とは

適応障害とは
    適応障害は、ある特定の状況や出来事が、その人にとってとてもつらく耐えがたく感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れるものです。

    たとえば憂うつな気分や不安感が強くなるため、涙もろくなったり、過剰に心配したり、神経が過敏になったりします。また、無断欠席や無謀な運転、喧嘩、物を壊すなどの行動面の症状がみられることもあります。

    ストレスとなる状況や出来事がはっきりしているので、その原因から離れると、症状は次第に改善します。でもストレス因から離れられない、取り除けない状況では、症状が慢性化することもあります。そういった場合は、カウンセリングを通して、ストレスフルな状況に適応する力をつけることも、有効な治療法です。

    参考:厚生労働省「e-ヘルスネット」

適応障害の症状を改善するためには、ストレス因を知りそこから離れることが必要です。もし要因の一つが仕事であるならば、働き方や職場の選び方について見直さなければなりません。

また症状が進み、他の病気を引きおこさないためにも、早めの治療が重要です。

2.適応障害になりやすい職場はどんな職場?

適応障害になりやすい職場はどんな職場
ではまず、適応障害になりやすい職場について見てみましょう。
もちろん、仕事だけが原因になるわけではありませんが、引き金となる要因はありそうです。

「チームで動くことが多かったため、スタッフ同士の人間関係が悪いとストレスになっていた。また、夜勤があったため生活のリズムが狂い、ますます体調が悪くなっていった。当時は上司との面談などもなく、上司に相談する機会を与えてもらえなかった。」

「人不足が年々深刻になり、長時間勤務が常態化、仮眠付きのシフトも段々と仮眠なしの勤務との組み合わせになり、身体的に負担が大きくなりました。現場の上司は努力をして部下を助けていましたが、本社があまり助けてくれず、今いる人員で無理やりシフトをこなすように変化しました。当然、人間関係はギクシャクし、私もシフトの組み合わせで帰宅から起床が3時間以内になり洗濯すら間に合わない状態に。何とかする為に会社には帰宅していると言って、度々自腹でホテルを借りていました。給与(月額)よりホテル代の支払いが増え働いている意味が分からなくなり、ストレスが溜まり病んでしまいました。最終的に本社の社員からパワハラを受け退職を決意しました。」

「職場の女性の先輩・同僚からのいじめにより、適応障害になって悪化して辞める事になったため。」

「パワハラと人格否定で適応障害が発病した。 給与も下げられ辞めさせられた。」

適応障害を発症した要因の多くに、人間関係が挙げられます。そして、体を休める時間が不足したり不規則になったりといった生活リズムの乱れも、体調を悪くしていく原因の一つになっていることがわかります。

では次に、適応障害がありながら働くことの悩みについて見ていきましょう。

3.適応障害を発症したことで生じた仕事での悩み

適応障害を発症したことで生じた仕事での悩み
適応障害は大きな環境の変化だけではなく、普段の生活の中で起きるできごとが発症の原因になることもあります。
適応障害のある方が実際に働きながら感じている職場への悩みには、どのようなものがあるのでしょうか。口コミを見ていきましょう。

3-1.適応障害に対する理解のなさ

適応障害であることや体調不良であることを伝えたにも関わらず、配慮やサポートがないばかりか、さらに追い打ちをかけるような態度や勤務状況では、症状の改善は難しいでしょう。

「一応責任者の方には病気による体調不良を伝えましたが、特に配慮やサポートはなく、休みの日まで仕事の話でお店に呼ばれることがあり休養すら取れませんでした。どのような薬を飲んでいるのかまで確認されたにも関わらず、薬の影響で体調不良になっても責任者に当たられ辛かったです。」

「自分の症状を上司に相談しても、何も改善されなかった。パニック障害で休職していた職員のことを、 社長が周りの職員に『あの人は弱い人』と平然と言っていた。」

「適応障害についての知識が職場になかったため、ただのおかしい人と思われ、馬鹿にされて笑われていた。辞める際も、適応障害と認めず自己都合退職に追い込まれ、あなたももう少ししっかりしなければいけない、とまで言われ、配慮なんてありませんでした。」

3-2.体に現れる不調

ストレスを感じることで、気分や行動に症状が現れるという適応障害。実際に仕事に支障が出るという意見もありました。

「会社などのストレスで、うつ状態や動悸、頭痛などの症状が出る。」

「朝起きられずに欠勤が続き、2年間休職して結局退職しました。」

このような悩みはどこの職場でも起こり得る可能性が少なからずあります。この記事を読んでいるあなたも同じ悩みに苦しんでいませんか。

では次に、働きやすい職場とはどのような職場なのでしょうか?口コミに記載されたのは、悩みや辛い体験ばかりではありません。適応障害がありながらも、働きやすい職場を見つけ仕事を続けている方はいます。
その方々の声に耳を傾けてみましょう。

4.働きやすい職場に必要なもの

働きやすい職場に必要なもの
適応障害と診断を受けながら働いている方は、職場のどのようなことに関して「働きやすい」と評価しているのでしょうか。今後の職場選びの参考に見ていきましょう。

4-1.適応障害のある方が「働きやすい」と感じられる職場とは

「休みの日数が117日と多く、有給を比較的とりやすい。」

「産業医がついている。」

「各種福利厚生が充実しています。」

「一般の方と同様の査定をしている。」

「急かされない。」

「のんびり過ごそうと思えばどれだけでものんびりできる会社。」

「職場の上司や先輩は優しく接してくれて、障害のある者としてではなく一人の人間として尊重し接してくれる。」

適応障害のある方が働きやすいと感じる職場は、以下の2つがポイントとなります。
  • ゆとりのある勤務体制
  • 適応障害に対して理解がある
ではこの2点について、どの様なサポート体制があるのかをさらに詳しく見ていきましょう。

4-2.ゆとりのある勤務体制

「疲れたり、具合が悪くなったりしたときは無理せず早く帰らせてくれる。」

「少しの間、休みをもらえた。」

「無理な時は変わってもらったり、午前中は休ませていただいたりと助けていただきました。」

「フルタイムのスタッフが欲しい中、パートで雇ってもらった。」

「私が働けないときは代わりに他の人が入ってくれています。」

人員と業務内容にゆとりのある職場は、体調が優れないときでも休みやすい傾向にあります。つまり、休んでも代わりに対応してくれる人がいて、仕事が滞らないようにスケジュールが組まれていることは、適応障害の方にとってありがたいサポートです。

4-2.適応障害に対して理解がある

「業務内容や報連相の内容を整理するのに時間がかかるため、まとめる時間を頂いている。一つずつ具体的な指示を頂いている。」

「困ったことがあれば相談するようにと言ってくださいました。」

「上司と私の間を取り持つベテラン社員が尽力してくださっていた。」

適応障害の方は体調や気分に波があり、同僚と同じペースで仕事を行ったり、業務内容を理解したりすることが難しい場合もあります。同僚たちがその状況を理解していると、それに合わせた指導やスケジュールを備えることができ、適応障害のある方が働きやすい職場に近づくのではないでしょうか。

適応障害の症状を職場に理解してもらうことは、その症状に合わせたサポートを受けることにつながっています。
自分自身の「できること」「できないこと」「苦手なこと」「どんなサポートが必要か」を明確に伝えることが、働きやすい職場の作りのコツと言えるでしょう。

5.適応障害を伝えるということ

適応障害をお持ちの方の仕事への満足度と職場での配慮の関係
前の章でも触れたように、働きやすい職場=ゆとりのある勤務体制、職場の理解やサポート体制が整っていることでした。

グラフからも、満足度の高い職場ほど同僚たちのサポートや配慮があることがわかります。当然、病気に対する配慮やサポートがない職場は満足度が低くなっています。

病気のことを職場に理解してもらい、サポート体制や配慮を得るためには、自分が適応障害であることを伝える必要があります。

口コミには、適応障害について同僚に理解してもらうことで、様々なサポートを受けられるようになったというポジティブな意見も多く見られました。
職場に症状を伝えたことによって、良いサポートを受けることができた成功例を紹介します。

「無理をしてしまう性格なので、同僚たちが無理をしないようにアドバイスをしてくださったり、お休みをとりやすくしてくださったりする。」

「体調に気を使って仕事量を調整してくれています。また、上司が私の体調に気を配ってもくれています。」

「かなりの量の負担を減らしてくれたことで、体調が少しずつ回復していきました。」

「私の障害をわかってもらっていたので、調子が悪くて休む時は理解を得られやすかった」

「口頭だけではなくメモを使って大事な予定を伝えてくださったり、仕事の配分を削ってくれたり、休みを増やしてくれるなどしていただきました。」

適応障害があると伝えることで、働きやすい環境を手に入れられるということがよくわかりますね。

ここで大切なのは、伝え方です。その詳しい内容については「面接のポイント」で説明いたします。

▼他にも適応障害のある方の仕事に関する口コミがたくさん届いています。
→適応障害のある方の口コミはこちらへ

6.適応障害のある方におすすめの企業とは

適応障害の方におすすめの企業とは
ではここで、適応障害のある方が実際に働きやすいと感じている会社について紹介していきます。

6-1.働きやすい会社・企業

・株式会社EPファーマライン
「休憩室にソファがあり、横になれる。社内にマッサージルームがあり、30分400円で受けられる。無理な仕事を押し付けられない。同僚たちが和気あいあいとしていて垣根がなく相談しやすい。業務を小分けにして振り分けてもらえる。」
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
→この企業に関する口コミはこちらへ

・岩砂病院・岩砂マタニティ
「業務時間や内容を考慮してもらえたのは良かったです。」
満足度:★★★★
配慮 :★★★
→この企業に関する口コミはこちらへ

・埼玉県白岡市役所
「専門職なので、課の異動も少なく、いつも同じメンバーで仕事ができるので、気分的にも楽に感じます。また、休憩がきちんと確保でき残業も少なく、定時で帰宅できることも良いです。利益を求める会社ではないので営業などの仕事がなく、とても気楽に感じます。困った方々の相談に乗り、正直気が重いこともありますが、やりがいのある仕事です。」
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
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・富士通株式会社
「午前休とか突然の休暇を希望してもとらせてくれます。 特に年次有給休暇は 20日ぐらいあって良かったです。」 満足度:★★★★
配慮 :★★★★
→この企業に関する口コミはこちらへ

6-2.適応障害があっても働きやすい業種

①一般企業・事務全般

書類管理・データ入力・資材セット作成・発送準備などの事務作業が主な業務です。
決まった仕事を自分のペースでこなしていくところが、適応障害の方には向いているのではないでしょうか。

事務職は体力面や継続性を考慮するといつの時代も人気の職種です。自己流で業務手順表や1ヵ月単位のチェック表を作るなどすれば、計画的に毎月の業務を遂行しやすいでしょう。但し、パソコンに関する知識とスキルを問われることがあるので、事前に確認したほうが良いですね。

②IT関連/システム開発

業務内容は、設計開発の他に、部品の組み立て、製品の動作チェックなど多岐に及びます。
IT関連は比較的新しい会社も多く、現代の生活スタイルにマッチした勤務体制や制度が設けられています。そのため、勤務体制や業務内容を選択・相談しやすいでしょう。

システム開発と言っても、ITの知識を活かした専門的な作業だけではなく、一つの製品を完成させる工程の中で作業分担することが多いので、自分に合った作業を見つけられるとより安心です。

③官公庁、団体、連合会/事務全般

事務作業一般、施設管理など様々な業務があります。
公共の職場は、正職員、パート職員共に福利厚生が整っているので、個々のケースにおいて働き方を相談しやすい環境が期待できます。

パートで働く場合は、期間雇用で更新制の形をとっていることが多いので解雇されるというリスクが少ないです。また、年齢や持っているスキルによっては正職員への道や長く勤務できる可能性もあります。安定性という意味では将来性が高い業界です。

では、このような満足度の高い企業を見つけるためには、どのように仕事探しを進めれば良いのでしょうか?
そのポイントについて紹介していきます。


適応障害のある方が働いている企業が一覧で確認できます。
満足度の高い企業をチェックしてみましょう。

詳しくはこちら

7.働き方と求人の見つけ方

働き方と求人の見つけ方
数多くある企業の中から、自分に向いている企業をどのように見つければ良いのでしょうか?口コミから皆さんの転職活動の様子をご紹介します。

7-1.適応障害をオープンにするかクローズにするか

求人には、一般枠障害者雇用枠がありますが、障害者手帳を所持している方はどちらの枠にも応募することができます。

一般枠は、障害があることを伝えずに仕事をすることです(=クローズ就労)。
多数の企業から広く求人を探すことができますが、障害のない方と同じように働けるという前提で企業側は雇用します。そのため、採用されても適応障害の症状に応じた配慮や支援を受けることが難しいというデメリットがあります。

障害者雇用枠は、障害があることを伝えて仕事をすることです(オープン就労)。
障害のことが事前に伝えられているため、職場の理解を得られ、周囲のサポートが受けやすくなるなど、働きやすさにつながる可能性があります。

「もしかしたら今度の職場では大丈夫」という期待感があり「一般枠」で応募しようかと迷われるかもしれません。応募の際には、採用された後の自分の働きやすさをイメージするようにしましょう。

一番大切なのは自分の症状とうまく付き合いながら働くことです。受診されている方は、担当医に相談するのも良いですね。

7-2.求人の見つけ方

求人探しの方法は様々あります。適応障害のある方がどのような方法で求人を探したのかご紹介します。

①ハローワーク

ハローワークには障害がある方を専門的に支援してくれる障害者専用窓口があり、専門の職員・相談員を配置しています。必要な場合は、職業紹介・就業指導なども行ってくれます。
口コミにもハローワークを活用した方のコメントが届いています。

「ハローワークで就職支援をしてもらいました。面接の受け方や履歴書の書き方などを教えてもらいました。」

「ハローワークの障害者窓口で、就職の相談にのってもらいました。私の障害特性と希望職種を考えて、一緒になって職業探しをしてくれました。」

「ハローワークで就職のための面接や履歴書の書き方を学びました。一つ一つ丁寧に教えてくれるので分かりやすかったです。」

「障害者窓口で相談をした。担当者の方は仕事探しという部分だけでなく、雑談なども含めて精神的なケアにも気を配ってくれました。」

参考:厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」

②障害者専用の人材紹介会社

障害のある方専用の人材紹介会社(エージェント)があるのはご存知でしょうか?

障害のある方の転職相談を専門とするアドバイザーが直接本人と面談し、希望の条件・障害の内容などを確認した上で本人と企業のニーズに合った求人を紹介してくれます。
中には、企業との面接日程の調整や面接に同行するサービス、入社後の状況確認と新たな相談を受けてくれる紹介会社もあります。

人材紹介会社によって、得意とする業種が異なりますので自分の希望の職種に強い会社を一度チェックしてみても良いですね。

③就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、障害者総合支援法に基づくサービスの一つで全国に3300以上あります。
障害や病気のために働くことに困難を感じている65歳未満の方を対象にした就労移行支援サービスです。

「何箇所か就労移行支援事業所を見学し、実践的な訓練を行っているさら就労塾@ぽれぽれに入所しました。セルフコントロール、報連相、スケジュール管理の訓練を重点的に行いました。入所開始から1年9ヶ月後、合同面接会で縁があった企業に2週間の雇用前実習をして採用が決まりました。今年の5月に入社して現在に至ります。」

前年度の収入によりますが、多くの方が無料で利用しており、障害者手帳の有無に関わらず、医師や自治体の判断等により、就職に困難さがあると認められる方が利用することができる施設です。

主に、自己分析・自己理解の手助け、希望する職種に向けたスキルUP訓練、ビジネスマナーや一般常識のスキルUP訓練、希望する働き方が現時点での体力や病状でできるかを試す体験実習、応募書類作成の手助け、企業開拓、面接同行、就職後の定着支援等を行っています。

就職して働き続けるために必要な支援内容・方法等を含む計画を、一人ひとりの状況に応じて数か月スパンで作ってくれます。

仕事探しは、決して一人で進める必要はありません。自分に合ったサービスを活用して、専門のアドバイスを聞きながら進めていくことも、一つの方法です。

▼他にも適応障害のある方の仕事に関する口コミがたくさん届いています。
→適応障害のある方の口コミはこちらへ

8.企業の情報の集め方

企業の情報の集め方
自分が就職したいと思う企業の情報は、できるだけ多く集めたいものです。そのため、とりあえず企業のホームページで確認することや求人票から情報を得ることが多いでしょう。しかし、それだけでは本当に自分が知りたいと思っている情報や場の雰囲気はなかなかつかめないかもしれません。

そんなときは、口コミサイトをチェックしたり、ハローワークや人材紹介会社(エージェント)のアドバイザーに聞いてみたりするなどして企業研究を行うことが重要です。

口コミには、企業の情報収集に関して以下のようなアドバイスがありました。

「焦って就労先を決めてもリスクが高い。面接だけだと職場環境をイメージしづらいため、見学または体験実習をしてから応募することをすすめます。」

職場の雰囲気に関しては、企業見学や雇用前実習等を通して事前に感じてみると良いでしょう。
障害者専用の人材紹介会社では、企業の事前見学などの調整を行ってくれる所もあるので、活用してみるのも良いですね。

9.面接のポイント

面接のポイント
さて、いよいよ面接です。面接を受けるときはだれもが緊張します。でもあらかじめ、ポイントを押さえておけば気持ちに余裕ができ、落ち着いて面接にのぞむことができます。何をすべきなのか、ぜひ参考にしてみてください。

まず、適応障害のある方が企業と面接をした様子を見てみましょう。

「明らかにできないような仕事ならばその場で断るべきですが、できそうであればその後は会社の担当者との話し合いを重視するべき。」

「採用してくれる会社でも、自分には合わないなと思った会社には入らないほうが良いと思います。」

「自分の障害について伝えた時に、その障害と向かい合ってくれる会社かどうかが大事」

まず、焦りは禁物です。おおらかな気持ちで臨みましょう。目標は「早く就職すること」ではなく「働き続けられる会社に就職すること」です。

9-1.面接で適応障害であることを伝える方法

前述しましたが、無理なく働き続けるためには自身の適応障害のことを企業側に理解してもらうことが大切です。口コミにも、自分の「できる」「できない」を明確に伝えたほうが良いという意見が多く見られました。

「自分がどの程度ならできそうか、調子が悪くなってくるとどういう状態になるかなど、自分の障害の特性を伝えておく。」

「自分の病状を正しく伝え、サポートできる環境を作って貰えるようにしたほうがいいです。」

「面接の時に、自分の障害特性をしっかりと伝えておく必要があります。」

「障害者雇用だからこそ配慮してもらいたいことの伝え方を確立しておく必要がある。」

「どうしてもできない部分に関しては、事前に上司に伝えて他の職員に浸透させる必要がある。」

「特に体調不良となった時の事をしっかり伝える事が重要。」

大切なのは伝え方です。
  • まずは自分のことをしっかり理解しましょう。症状のこと、できること、できないことなどを項目ごとに書き出すと分かりやすいでしょう。
  • 一人ではできないことも、サポートによりできるようになるのであれば、そのことをしっかり伝えましょう。できないことに対する前向きな姿勢は、できないと言うだけの場合と比べてプラスに働きます。
面接で適応障害のある自分について打ち明けることは、企業側との信頼関係を築くことにもつながります。

9-2.面接で確認するべきこと

面接は、自分のことをアピールするだけでなく、企業の人間関係や職場環境など気になる内部の情報を教えてもらうチャンスであるという意見もありましたので、ぜひ参考にしましょう。

「説明を聞いてわからないことや気になることは、うやむやにせず必ず質問したほうがいい。特に体調不良などで休みたい時などちゃんと休ませてもらえるのかということも確認したほうがいい。」

入社後の勤務体制、体調がすぐれないときや通院で休みをとりたいときの企業の体制、同じような障害のある方が社内にいるかどうかなど、入社後に不安を感じることのないように面接の時に確認しておきましょう。

面接時は緊張することが多いので、聞きたいことはあらかじめ書き出しておくことが大切です。

▼他にも適応障害のある方の仕事に関する口コミがたくさん届いています。
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10.入社後に心がけたこと

入社後に心がけたこと
見事面接に合格し採用されると、嬉しい反面、初めての職場は気になることや不安も多いことでしょう。実際に働いている方は、入社後にどのようなことを心がけているのでしょうか。
口コミには失敗例も成功例も届いています。ぜひ参考にしてみてください。

10-1.失敗例

①病気について、会社や同僚に知らせていなかった

「はじめは病気のこと等は明かさず、1年後正社員への登用を考えているということで入社しました。ですが、3ヶ月目あたりから体調を崩し、休む機会が増えてしまったため、フルタイムでの勤務はまだ自分には難しかったのかと悩み、辞める決意で管理職の方にお話ししました。」

「私は、持病があることを会社に説明せずにアルバイトとして入社しましたが、働くことへのストレスから体調不良が続いた為、会社に説明したところ、最初は受け入れて貰えず悩むことも多かった。」

適応障害にストレスは大敵です。ストレスが溜まらないようにするためにも、面接時に病状のことだけではなく、どのような配慮があると助かるのかを具体的に伝え、同僚への開示の有無やタイミングを相談することが大切です。

②自己分析や自己理解の不足

「女性の多い職場なのですが、仕事中にもぺちゃくちゃ喋っていることが多く、イライラすることも多かった。同僚間の馴れ合いが私にとって、かなりうっとうしかった。それで、人間関係に苦労して退職することになった。」

「専門職ですが、公務員は年功序列で上司や年上の方に対して、きちんと丁寧な態度で接しないと注意されます。もちろん、中途採用でも、新人だとお茶出しなどがあり、昔ながらの職場というイメージです。また、職場が駅から遠いので、通勤が不便です。内勤での採用でしたが、人手が足りないと外回りも多く、かなり疲れます。」

ストレスの要因に気づくことは、治療の第一歩だとも言われています。改めて自分のことを見つめなおしてみたり、カウンセラーや主治医と一緒に考えたりすることは、自身が特に何に対してストレスを感じるのかを知ることへもつながります。

10-2.成功例

①自分に合ったペースで無理なく仕事をする

自分のペース、自分のスタイルを保ちつつ、無理のない状態で仕事を続けるために、独自の工夫をしている方もいます。

「同僚たちのペースに惑わされることなく、意識して自分の無理にならないペースを守る努力をしていました。」

「耳栓をして周りの情報をシャットダウンするなどの対策を行いました。」

「キッチンタイマー、週間スケジュール管理表、報連相シートを使用。 5分整理する時間を設定する。」

「頑張りすぎてしまうことが多く人の言う適当ということが分からない。ゼロか百か、だから頑張りすぎないことを頑張っている。」

「無理な量の仕事を受注しないこと、手直し等人とのコミュニケーションが必要な仕事は受けないことに決めています。」

②職場の同僚に協力を求めたこと

自分がどのようなことでストレスが溜まってしまうのかを理解しておくと、症状が悪化する前に自ら予防することができます。ストレスをためる前に、同僚に協力を得ることは、長く続けて働くためには必要なことです。

「わからないことや自分では処理できないことがあったらすぐに同僚に聞くようにしています。」

「仕事中に頭痛など体調が悪くなったらすぐ休む。会社に無理して行かない。」

「体調が悪いときや、疲れがたまっているときは、正直に上司に相談して、時短で帰宅したり、残業を免除してもらったりするようにお願いしています。」

みなさん共通しているのは、「無理をせず自分のできる範囲で行うこと」「遠慮せず同僚にサポートをお願いすること」のようですね。

▼他にも適応障害のある方の仕事に関する口コミがたくさん届いています。
→適応障害のある方の口コミはこちらへ

11.まとめ

適応障害のまとめ
では、これまでの要点をまとめましょう。

  • 適応障害は、要因となるストレスから遠ざかることで症状が改善される傾向にあります。その要因の一つが仕事であれば、働き方や職場の選び方を見直すことも必要です。
  • 適応障害があっても、満足度の高い職場で働いている方はたくさんいます。その職場に共通することは「適応障害のことを理解してくれること、サポートや配慮を受けられること」です。
  • 「理解やサポートのある職場」を見つけるためには、適応障害があることを伝えることも必要です。
  • 適応障害を伝える前に、まず自分のことをよく理解することが重要です。症状についてだけでなく、できること・できないことをまとめましょう。そして、一人ではできないことでもサポートがあればできるのなら前向きに語れるようにしておきましょう。
  • 気になる企業の情報収集は大切です。ときには職場見学などを通し、前もって職場の雰囲気を知ることも必要です。
  • 仕事探しは、ハローワークや障害のある方専門の人材紹介会社などを活用し、アドバイスを受けながら進めることも一つの方法です。
  • 面接に備えて「あらかじめ自己分析すること」「企業に確認したいことを書き出すこと」で、気持ちに余裕を持ちましょう。
  • 入社した後は、自分のペースを保ちましょう。そして自分のことを同僚たちに理解してもらうことで、良い人間関係を築けるよう心がけましょう。

12.最後に

最後に
今回紹介した口コミは、ほんの一部です。適応障害の症状やストレスを感じるきっかけは人によって違います。また、企業の対応もそれぞれに異なります。

実際に働いてみると自分の思っていたイメージと違うということもあるでしょう。しかし、あまり落胆しないでください。環境の変化にリスクはつきものです。
また、働き始めてから新たに生まれた問題点があったとしても、自分の気持ちを伝えることで解決できることもあります。

ついつい頑張ってしまう方は、自分のできる範囲を知り、無理をしないようにしましょう。上手くいかないことがあっても「今はそういう時期なのだ」と割り切り、思い切って休息をとりながら目の前にあることにマイペースで取り組んでいきましょう。
それがより長く働き続けるための近道になることもあるのです。

前に進むことに戸惑いを感じている方が、少しでも居心地の良い職場に出会えることを願っています。


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▼障害者枠(オープン)や一般枠(クローズ)についてはこちらでもご紹介しています。
障害者枠(オープン)か一般枠(クローズ)か?メリットとデメリットを解説


▼障害者枠(オープン)の求人の探し方はこちらでご紹介しています
ハローワークだけじゃない、障害者雇用枠の求人はここでも!求人サービスを紹介


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監修者

就労継続A、B型にて支援員として、身体障害、精神障害、知的障害のある方への支援を行う。ソーシャルワーカー。 自身も悩みを抱えギャンブル依存症になった経験から、「悩みから夢まで話せる友達が見つかる東京の居場所”ココトモハウス“と出会い、現在はその管理人として多くの方から信頼を寄せている。生きづらさを抱える人達を社会と繋げて、豊かな社会を作ることがミッション。

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著者

障害、病気のある方の企業や仕事に関する口コミサイト「アンブレ」を運営中。 丁寧な取材や口コミの分析を通して、病気や障害の特性に配慮した働き方や仕事との向き合い方を提案。理想の職場に出会うための、そしてより働きやすくなるための情報を発信しております。障害や病気があってもぴったりの仕事を。

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