アスペルガー症候群は発達障害の1つです。その特徴から、就職や転職をしようと思ったとき、「アスペルガー症候群であることを伝えるべきだろうか?」「伝えたことで仕事が見つからないのではないか?」といった不安や悩みを抱えることもあるでしょう。
アスペルガー症候群の方は、自分の特徴が活かせる業務や環境であれば、能力を発揮して職場に大きく貢献できる可能性も高いといわれています。
逆に、特徴に対して適切ではない業務に就いた場合、仕事での失敗やトラブルが多くなり、仕事が続けられなくなることもあります。
このコラムでは、アスペルガー症候群の方から寄せられた口コミをもとに、働きやすい職場を見つけるポイントをご紹介します。
また、発達障害の専門家 松好伸一先生(石巻専修大学人間学部人間教育学科 特命教授)にもアドバイスをいただいています。
ぜひ、仕事探しの参考にしてみてください。
音に敏感なので、BGMや人の歩く音が非常に不愉快に感じます。
電話応対などで頭が真っ白になってパニックになることがよくありました。単調な作業は得意ですが、複数のことを一度に頼まれると混乱してしまいます。
一度に複数のことを指示されたときや、長い話のときは聞き漏らしが多くなります。メモを取りながらの指示受けや、電話応対ができませんでした。回りの様子を見ながら動けず、優先順位をつけて仕事をすることが難しかったです。
仕事をするうえで苦手だったことは、言われたことをメモしても何を書いてあるのかわからなくなることです。電話が苦手で相手の会話が聞き取りづらいことが多く、相手に不愉快な思いをさせてしまったことが多いです。
動きが遅いと言われます。飲食店でももっと早く動けないのかと限界なのに言われました。そのため、勤めて鬱が悪化してしまいました。
残業が異常に多く、夜勤明けもその日の夕方まで働かされることがざらにありました。案の定体を壊し、辞めることになってしまいました。
みなさんすごく丁寧にサポートしてくださいます。実習中も体調面で声をかけてくださって、とてもうれしかったです。説明も口頭だけでなく、図に書いてくださって助かりました。ここなら長く働けるという安心感があります。
入社前に総支配人の方から従業員全員に対してわたしの病気のことを説明してくださり、症状が出てしまいどうしても接客ができないと言う時には厨房の手伝いや事務の手伝いなどの仕事をしてもいいように配慮してくださった。
指示を書いてもらえたのは良かったです。非常勤講師控え室は決められていましたが、授業の準備に専念したいと訴えたところ、静かな図書室の一角を利用させてもらえたので、満足しています。
体調面で声をかけてくださって常に気を配っていただいて、一日の仕事をメモで用意していただけたりしています。
私が障害を持つことを知っていて、理解する社員が現場にいました。その社員が「やっては行けないこと」を事前に説明し、配慮してくれると思います。
私がミスをしても、どのように対処するべきかを先に一緒に考えてくれる人が多かったです。
私の病気に対する理解が深く、特性をよく理解しているので、対応の仕方などが定例化している感じがあります。仕事内容もしっかりと吟味された上で割り当てられるし、必ず何か重要な仕事やポジションを割り当ててくれます。
何が苦手で、何が得意なのかはよく話し合って、聞き込みしてくれます。定期的に状況の確認をしてくれるので、とても助かっています。
仕事を進めて行くにあたり、ミスコミュニケーションが起こらないように、極力ほかの人と接しない仕事の進め方や指示系統に関しては口答だけで行わず、優先順位をつけた上でメモを渡す、等の仕事環境をつくるという配慮をしてくれました。
障害があるとなかなか採用されにくいデメリットはあるけれども、職場で仕事をしやすく居心地をよくするためにもカミングアウトして理解をしてもらえるようにするのをおすすめします。
一度にひとつの事しかできないため、マルチタスクになると頭がフリーズし、吃音、失声となり何もできなくなります。
複数の仕事を同時に依頼されての同時進行になるため、キャパオーバーになると何もできなくなります。
いわゆる『察して』ということができません。暗黙の了解、言葉にならないあいまいなルール、意図がくみとれず、明確に言葉にされたこと以外への対応が難しいです。
人の表情や声のトーンから気持ちや意図を読み取ることができません。また言外のあいまいなことや、暗黙のルールが理解できないため、その場に不適切なことや、上司からの指示と違うことをしてしまい叱責を受けることが多々あります。
具体的な言葉や文字、映像に直して手順をしっかり把握すればその通りにこなせます。
電話応対も複雑な内容が多く、パニックになることがあったのですぐやめてしまった。
過集中のせいで、ひとつの仕事に取り組んでいるときは周囲に気を配れず、背後で問題が起きていたり電話が大音量でなっていたりしても気づけません。
個人情報を入力したり、スキャン、ファイリング、勤怠管理などの補助、営業のアシスタントなど対人関係をなるべく必要としない仕事をしています。
データ入力は単調な作業で出来る仕事だと思う。電話応対でも取次程度なら気持ちも楽に、他の仕事にも集中できる。
生徒さんとマンツーマンでの指導となるので、ひとつのことに集中して取り組むことができ、タスクのキャパオーバーとなることは基本的にあまりありません。
1杯分のコーヒーの機械包装のオペレーターをしている。こだわりが強く、印字が真ん中になっていないと直す、カッターの位置がずれていたら、機械を動かしながら直す、としていたが、最近は印字が多少ずれても大丈夫だと思うようになった。
※アスペルガー症候群の方が働いている企業を一覧で確認できます。
現在、就労移行支援センターで一般就労を目指して頑張っています。私の地域には親切なハローワークの障害者担当の職員さんがいていつも励ましてくれます。発達障害者支援センターや病院のケースワーカーさん就労移行支援センターの職員さんが熱心にサポートしてくださるので、非常にありがたいと思っています。
履歴書添削や面接対策、そして自己PRのコツなど基礎的なところから応用まで徹底的なサポートがありました。
ハローワークなどでは公開されていない求人情報も扱っています。また企業との連絡が密なので、ホームページや求人票からは得られない職場環境なども知ることができます。
就労継続事業所なので自分の体調に合わせて働く時間を増減させることは出来る。
会社見学は、必ずしておいたほうが良いと思います。経営者の思い、上司となるであろう人の価値観をよむことは、非常に大切だと感じました。
定着率の良い業種、職種を選ぶことも大切だと実感いたしました。
特に職場の環境などをよく見ておいたほうが良いと思います。仕事の知識や能力があったとしても職場の環境次第で物凄く疲れたり鬱になったりする可能性も0%ではないのでそこは慎重に選んだ方が良いです。
発達障害と言っても人により得意分野、苦手分野が大きく異なるのでできる限り明確に先方に伝えたほうがいい。 自分にとっても相手にとっても。
自分の状態を詳しく企業に説明できるようにしておくのが重要かと思います。
職場の雰囲気や業務内容を詳しく聞いておくといいと思います。
履歴書を提出する際には「私の障害について」など、説明書のようなものを自分で作って入れることも良いと思います。
自分なりのメモを作り、順番を忘れないようにしています。 わからないことは都度聞くようにしています。
各業務内容の優先順位付けと、具体的に何をするかメモをしっかり残すことを徹底しています。
周りをよく観察することと、メモを取ることを徹底しています。
出来るだけ体調を優先にして、無理をしないようにしています。1時間に1回はトイレに行ってリフレッシュします。
頼まれた仕事中に他の人から仕事が入ったら、どれを先にするか優先順位を聞くようにしています。
普段は言われなければ気が付かないことや、空気の読めない点も多いので、もし自分が人に言われる前に気がついたら率先して動くようにしています。
力仕事や、人の嫌がる仕事でも自分では苦にならないものも中にはあるので、率先してやる。それをよく頼まれるようになって得意なことになれば、苦手やどうしても正確にできないことをやることも少なくなるし、ほかの人に頼みやすくなる。
保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数で、2022年3月29日「幼児教育方法論」(共著・一藝社)を刊行。
障害、病気のある方の企業や仕事に関する口コミサイト「アンブレ」を運営中。 丁寧な取材や口コミの分析を通して、病気や障害の特性に配慮した働き方や仕事との向き合い方を提案。理想の職場に出会うための、そしてより働きやすくなるための情報を発信しております。障害や病気があってもぴったりの仕事を。