アスペルガー症候群のある方が働くには? 仕事選びのポイントとアドバイス

アスペルガー症候群のある方が働くには? 仕事選びのポイントとアドバイス

アスペルガー症候群は発達障害の1つです。その特徴から、就職や転職をしようと思ったとき、「アスペルガー症候群であることを伝えるべきだろうか?」「伝えたことで仕事が見つからないのではないか?」といった不安や悩みを抱えることもあるでしょう。

アスペルガー症候群の方は、自分の特徴が活かせる業務や環境であれば、能力を発揮して職場に大きく貢献できる可能性も高いといわれています。
逆に、特徴に対して適切ではない業務に就いた場合、仕事での失敗やトラブルが多くなり、仕事が続けられなくなることもあります。

このコラムでは、アスペルガー症候群の方から寄せられた口コミをもとに、働きやすい職場を見つけるポイントをご紹介します。
また、発達障害の専門家 松好伸一先生(石巻専修大学人間学部人間教育学科 特命教授)にもアドバイスをいただいています。

ぜひ、仕事探しの参考にしてみてください。

*この記事は松好伸一先生に監修していただきました
松好伸一先生

仙台白百合女子大学 人間学部 人間発達学科 講師。保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。日本発達支援学会(監事)。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数。


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目次

1.アスペルガー症候群とは

2.アスペルガー症候群の方が仕事で抱える悩み

3.アスペルガー症候群の方にとって満足度の高い職場とは

4.自分の特徴を知りましょう

5.向いている仕事の見つけ方

6.アスペルガー症候群の方が働きやすい企業・職種・業界

7.これから仕事探しを始める方へ

8.面接の対策

9.入社後に心がけたことや仕事の工夫

10. 専門家からのアドバイス

11. 最後に

1.アスペルガー症候群とは

1-1.アスペルガー症候群とは

    アスペルガー症候群は、広い意味での「自閉症」のひとつのタイプです。最初に症例を報告したハンス・アスペルガーというオーストリアの小児科医の名前にちなんでつけられました。

    アスペルガー症候群は、自閉症の3つの特徴のうち

    「対人関係の障害」
    「パターン化した興味や活動」


    の2つの特徴を有し、コミュニケーションの目立った障害がないとされている障害です。言葉の発達の遅れがないというところが自閉症と違うところです。知的発達に遅れのある人はほとんどいません。

    アスペルガー症候群の人々には、「表情や身振り、声の抑揚、姿勢などが独特」「親しい友人関係を築けない」「慣習的な暗黙のルールが分からない」「会話で、冗談や比喩・皮肉が分からない」「興味の対象が独特で変わっている(特殊な物の収集癖があるなど)」といった特徴があります。このほかに身体の使い方がぎこちなく「不器用」な場合が多くみられます。
参考:厚生労働省「e-ヘルスネット」

※説明はコラム作成時(2019年7月)に、上記URLを参照にしたものです。厚生労働省のサイトによる説明は、「ASD(自閉症スペクトラム症、アスペルガー症候群)について」に変更されています。

1-2.アスペルガー症候群とASD(自閉症スペクトラム症)について

アスペルガー症候群は、知的障害や自閉傾向の程度により細かく分けられた、広汎性発達障害の1つとされていました。

現在は、国際的な精神疾患の診断基準により、これまで同じように分けられていた自閉症などの疾患を含み「ASD(自閉スペクトラム症)」という診断名に変わっています。
それは、自閉症とアスペルガー症候群の境界線があいまいであったり、症状が重複していたりと、明確に分けることができないと判断されたからです。

しかし、日本の行政機関では、変更前の「国際疾病分類(ICD)」に基づいた診断名「アスペルガー症候群」が使われることもあります。たとえば、障害者保健福祉手帳などの申請に必要な医師の診断書には「アスペルガー症候群」と書かれることもあるようです。

今後は、日本の診断や行政で使用される名称も、最新の国際疾病分類(ICD)に基づきASD(自閉スペクトラム症)に改訂されていくでしょう。

※上記のようにアスペルガー症候群という名称は変更されつつあります。しかし、ASD(自閉スペクトラム症)の特徴はさまざまです。このコラムでは、ASDの中でもアスペルガー症候群の特徴がある方の口コミに焦点を絞り、仕事の悩みとその解決策を紹介していきます。

2.アスペルガー症候群の方が仕事で抱える悩み

2-1.職場で辛いと感じた体験

アスペルガー症候群の特徴のある方は、仕事ではどのようなことに悩んでいるのでしょうか。口コミをみてみましょう。

音に敏感なので、BGMや人の歩く音が非常に不愉快に感じます。

電話応対などで頭が真っ白になってパニックになることがよくありました。単調な作業は得意ですが、複数のことを一度に頼まれると混乱してしまいます。

一度に複数のことを指示されたときや、長い話のときは聞き漏らしが多くなります。メモを取りながらの指示受けや、電話応対ができませんでした。回りの様子を見ながら動けず、優先順位をつけて仕事をすることが難しかったです。

仕事をするうえで苦手だったことは、言われたことをメモしても何を書いてあるのかわからなくなることです。電話が苦手で相手の会話が聞き取りづらいことが多く、相手に不愉快な思いをさせてしまったことが多いです。

アスペルガー症候群の方には、特徴がみられます。

  • 得意なことと苦手なことの差が大きい
  • 聴覚が敏感なので雑音が多い職場では集中しづらい
  • あいまいな指示では混乱してしまう
これらは特徴の一例です。このようなアスペルガー症候群の特徴に理解のない職場では、誤解を生むこともあります。信頼関係を築くことも難しいかもしれませんね。

無理して仕事を続け、不眠やうつ症状などの二次的な障害に悩む方からは、切実な声もあがっています。

動きが遅いと言われます。飲食店でももっと早く動けないのかと限界なのに言われました。そのため、勤めて鬱が悪化してしまいました。

残業が異常に多く、夜勤明けもその日の夕方まで働かされることがざらにありました。案の定体を壊し、辞めることになってしまいました。

どのような仕事でも負担に感じることはありますが、我慢や無理をし続けることは決して良い結果にはつながりません。

それでは、どのような職場環境であれば、無理なく仕事を続けることができるのでしょうか。

3.アスペルガー症候群の方にとって満足度の高い職場とは

満足できる職場で働いている方からも、口コミが多く届いています。職場への満足度が高くなる理由をみていきましょう。

みなさんすごく丁寧にサポートしてくださいます。実習中も体調面で声をかけてくださって、とてもうれしかったです。説明も口頭だけでなく、図に書いてくださって助かりました。ここなら長く働けるという安心感があります。

入社前に総支配人の方から従業員全員に対してわたしの病気のことを説明してくださり、症状が出てしまいどうしても接客ができないと言う時には厨房の手伝いや事務の手伝いなどの仕事をしてもいいように配慮してくださった。

指示を書いてもらえたのは良かったです。非常勤講師控え室は決められていましたが、授業の準備に専念したいと訴えたところ、静かな図書室の一角を利用させてもらえたので、満足しています。

体調面で声をかけてくださって常に気を配っていただいて、一日の仕事をメモで用意していただけたりしています。

私が障害を持つことを知っていて、理解する社員が現場にいました。その社員が「やっては行けないこと」を事前に説明し、配慮してくれると思います。

私がミスをしても、どのように対処するべきかを先に一緒に考えてくれる人が多かったです。

私の病気に対する理解が深く、特性をよく理解しているので、対応の仕方などが定例化している感じがあります。仕事内容もしっかりと吟味された上で割り当てられるし、必ず何か重要な仕事やポジションを割り当ててくれます。

何が苦手で、何が得意なのかはよく話し合って、聞き込みしてくれます。定期的に状況の確認をしてくれるので、とても助かっています。

仕事を進めて行くにあたり、ミスコミュニケーションが起こらないように、極力ほかの人と接しない仕事の進め方や指示系統に関しては口答だけで行わず、優先順位をつけた上でメモを渡す、等の仕事環境をつくるという配慮をしてくれました。

どの口コミにも共通していえることは、会社がアスペルガー症候群の特徴を理解しているということ。会社や上司、職場の同僚の理解は、働きやすい環境を整えることにつながるようですね。

4.自分の特徴を知りましょう

先述のように、アスペルガー症候群の特徴について理解のある職場は、働きやすさへつながります。正しく理解してもらうためにも、まず自分の特徴を伝えてみましょう。

4-1.配慮を得るために必要なことは「アスペルガー症候群の自分の特徴を伝えること」

理解をしてもらうためには、自分の特徴を正しく伝えること。これが無理なく働ける職場を見つけるための、大切なポイントになります。

障害があるとなかなか採用されにくいデメリットはあるけれども、職場で仕事をしやすく居心地をよくするためにもカミングアウトして理解をしてもらえるようにするのをおすすめします。

気を付けたいことは、自分の特徴について正しく伝えることができるかどうかです。1章で取り上げたように、アスペルガー症候群の特徴はさまざまです。
自分の苦手なこと、できること、得意なことを知っていますか?

まずは、自己分析をして自分の特徴を知りましょう。医師や家族に協力を得ると、より多角的な意見を聞くことができます。

    【例】

    ・苦手なこと
    ・苦手なものや苦手な環境(例:聴覚過敏)
    ・苦痛に感じること
    ・自分の行動傾向(例:集中しすぎる、早口で話す)
    ・得意なこと(例:パソコンを使った文章の入力が早い、大きさを揃えるのが早い、数を数えるのが正確)
自分の特徴を知るためには、今まで経験した仕事や生活を思い出してみると良いかもしれません。アピールしたいこと、配慮が必要なこと、これらをまとめたものが、自分の特徴になるはずです。

次は、自分の特徴を知った上で行う仕事探しについて、ポイントを確認していきましょう。

5.向いている仕事の見つけ方

仕事を探す際に気を付けたいポイントは、特徴により異なります。特徴ごとにみていきましょう。

①マルチタスクが苦手

一度にひとつの事しかできないため、マルチタスクになると頭がフリーズし、吃音、失声となり何もできなくなります。

複数の仕事を同時に依頼されての同時進行になるため、キャパオーバーになると何もできなくなります。

アスペルガー症候群の方の悩みで多いことは、マルチタスクが苦手なことです。
「一度に複数の指示を出されると混乱する」「業務の途中で別の指示を出されると混乱する」という方もいらっしゃるでしょう。

マルチタスクが苦手な方は、ひとつの業務に集中できる環境であれば、落ち着いて仕事に取り組むことができます。得意な業務であれば、自分のスキルを活かして働くこともできるでしょう。

②あいまいな指示が苦手

アスペルガー症候群の方は、あいまいな指示や、暗黙の了解で決まっているような社内ルールを察するが難しいといわれています。

いわゆる『察して』ということができません。暗黙の了解、言葉にならないあいまいなルール、意図がくみとれず、明確に言葉にされたこと以外への対応が難しいです。

人の表情や声のトーンから気持ちや意図を読み取ることができません。また言外のあいまいなことや、暗黙のルールが理解できないため、その場に不適切なことや、上司からの指示と違うことをしてしまい叱責を受けることが多々あります。

程度や量、期間などをあいまいな言葉で言われると、どのぐらいの程度なのかを判断することが難しくなります。しかし、数字な図などを使った明確な指示であれば、判断することができます。

具体的な言葉や文字、映像に直して手順をしっかり把握すればその通りにこなせます。

マニュアル化されていない業務でも、明確な指示を受けられる環境であれば、その内容を理解し取り組むことができます。

仕事の指示を受けるときのポイントは、指示を細かく確認することです。
「業務のやり方」「量」「期限」「優先度」などの項目に分けて聞くことも有効です。また、絵や図、映像などを活用しても良いでしょう。

マルチタスクが苦手なのに、業務中に別の仕事を指示されて困ったときは、まず「優先度」や「期限」をその場で確認しましょう。仕事の優先順位を整理することができます。

③電話応対が苦手

アスペルガー症候群の方は、聴覚過敏のある方もいらっしゃいます。 電話応対は、耳からの情報に加え、聞く、書く、確認するといった作業を同時に行うマルチタスクが求められます。それゆえに、電話応対が苦手という方は多いようです。

電話応対も複雑な内容が多く、パニックになることがあったのですぐやめてしまった。

また、過集中の傾向がある方は、自分の業務に集中しすぎるあまり、電話に気づかないということもあります。

過集中のせいで、ひとつの仕事に取り組んでいるときは周囲に気を配れず、背後で問題が起きていたり電話が大音量でなっていたりしても気づけません。

ほかにも、自分の業務を行っている最中に電話応対をすると、取り組んでいた業務がままならなくなることや、業務の優先順位がわからなくなることもあるようです。

電話応対が苦手という方は、自分の担当業務が慣れるまでは免除してもらえるよう、理由を説明しながらお願いすることも1つの方法です。

ここにあげた特徴は、一部にすぎません。仕事探しをするときは、自分の傾向や苦手なことを把握し、向いている仕事を見つけることがポイントです。理想の仕事に出会うためにも、自分の特徴をよく知った上で、仕事を探してみましょう。

※他にもアスペルガー症候群の方の仕事に関する口コミがたくさん届いています。
→アスペルガー症候群の方の口コミはこちらへ

6.アスペルガー症候群の方が働きやすい企業・職種・業界

アスペルガー症候群の方が働きやすいと答えた企業や業界を、口コミとともに紹介していきます。

6-1.アスペルガー症候群への理解や配慮がある企業

株式会社エアーポートカーゴサービス
ほかの会社にない素晴らしい理解をしていただきました。また、スケジュールを視覚的に把握しやすい場所に置いたり、朝起きてからの準備をルーティンワークにして紙に書いていただいたりとてもサポートしていただけて良かったです。
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
→この企業に関する口コミはこちらへ

日本建機株式会社
簡単に言えばコミュニケーション障害で上手く話を伝えることが出来ないので、~中略~あまり人と会話をする仕事でない方が良いと思い経理の仕事を希望して、その願いが叶い経理課で働いていました。
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
→この企業に関する口コミはこちらへ

宮川産業株式会社
みなさんすごく丁寧にサポートしてくださる。実習中も体調面で声をかけてくださって、とてもうれしかった。説明も口頭だけでなく、図に書いてくださって助かった。ここなら長く働けるという安心感がある。
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
→この企業に関する口コミはこちらへ

6-2.アスペルガー症候群の方が働きやすい職種、業界

事務
静かな場所が多く、落ち着いた環境が望めます。同じ作業を繰り返すデータ入力などの業務は、集中力が高い方におすすめです。しかし、コールセンターが併設されたオフィスもあるため、予め環境を確認したほうが良いでしょう。

個人情報を入力したり、スキャン、ファイリング、勤怠管理などの補助、営業のアシスタントなど対人関係をなるべく必要としない仕事をしています。

データ入力は単調な作業で出来る仕事だと思う。電話応対でも取次程度なら気持ちも楽に、他の仕事にも集中できる。

教育
家庭教師や個別指導など、少人数の生徒を指導する仕事であれば、マルチタスクになりづらく集中して業務を遂行することができます。

生徒さんとマンツーマンでの指導となるので、ひとつのことに集中して取り組むことができ、タスクのキャパオーバーとなることは基本的にあまりありません。

機械オペレーター
こだわりの強さが正確な操作につながるので、機械のオペレーターとしての就労が向いている方もいます。

1杯分のコーヒーの機械包装のオペレーターをしている。こだわりが強く、印字が真ん中になっていないと直す、カッターの位置がずれていたら、機械を動かしながら直す、としていたが、最近は印字が多少ずれても大丈夫だと思うようになった。

※アスペルガー症候群の方が働いている企業を一覧で確認できます。
満足度の高い企業をチェックしてみましょう。

詳しくはこちら


7.これから仕事探しを始める方へ

7-1.障害者雇用や配慮の有無を確認する

求人には一般枠障害者雇用枠があり、障害者手帳をお持ちの方は、どちらにも応募することができます。

「一般枠」は、障害であることを伝えず、周囲の方とおなじように働きます (=クローズ就労)。さまざまな職種の求人があり、昇進や昇給などの機会も望めます。しかし、障害への理解や周囲のサポートを得ることは、難しいでしょう。

「障害者雇用枠」は、障害があることを伝えて働きます(=オープン就労)。そのため、職場の方々の理解やサポートによる、働きやすい環境が期待できるでしょう。

7-2.企業の見つけ方、探し方

障害のある方の仕事探しをサポートするサービスをご存知ですか?
ひとりではじめる仕事探しとの違いは、専門のアドバイスやサポートがあることです。担当者と一緒に自分に合った企業を探すため、不安を取り除きながら活動を進められるでしょう。

①ハローワーク

障害のある方専門の窓口があり、相談が可能です。障害のある方への求人情報も多く扱っています。

現在、就労移行支援センターで一般就労を目指して頑張っています。私の地域には親切なハローワークの障害者担当の職員さんがいていつも励ましてくれます。発達障害者支援センターや病院のケースワーカーさん就労移行支援センターの職員さんが熱心にサポートしてくださるので、非常にありがたいと思っています。

参考:厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」

②人材紹介会社

障害を抱えることで、働くことに不安を覚えている方の就職活動をサポートする専用の人材紹介会社をご存知でしょうか?

この人材紹介会社では、履歴書の書き方や面接の練習、おすすめする企業の紹介やその企業との連絡、事前見学の調整、入社後のケアや相談など、全面的なサポートを行ってくれます。

履歴書添削や面接対策、そして自己PRのコツなど基礎的なところから応用まで徹底的なサポートがありました。

ハローワークなどでは公開されていない求人情報も扱っています。また企業との連絡が密なので、ホームページや求人票からは得られない職場環境なども知ることができます。

③就労移行支援施設、就労継続事業所

就労移行支援施設は、就労に関するスキルを身につけながら、自己理解を深め、向いている仕事や配慮のある職場への就職を目指します。また就労継続事業所は、体調にあわせた自分のペースで働くことができる福祉サービスです。 少しずつ仕事に慣れながら、一般企業への就職を目指す方法もあります。

就労継続事業所なので自分の体調に合わせて働く時間を増減させることは出来る。

自分が望んでいる企業に出会うために、サービスを活用することも一つの方法です。

7-3.事前見学で企業の雰囲気を確認する

気になる企業がある場合は、事前見学を行い、会社の雰囲気を見ておきましょう。
自分にとって過ごしやすい環境か」「人間関係や職場の雰囲気はどのような様子か」という視点を忘れずに、自分の目で確認することが大切です。

会社見学は、必ずしておいたほうが良いと思います。経営者の思い、上司となるであろう人の価値観をよむことは、非常に大切だと感じました。

定着率の良い業種、職種を選ぶことも大切だと実感いたしました。

特に職場の環境などをよく見ておいたほうが良いと思います。仕事の知識や能力があったとしても職場の環境次第で物凄く疲れたり鬱になったりする可能性も0%ではないのでそこは慎重に選んだ方が良いです。

自分でいきなり会社見学をお願いすることは、勇気がいるかもしれません。そのような方は、先ほどご紹介したような、専門のアドバイザーがサポートしてくれるサービスを活用すると、あなたと企業の仲介役となって希望を伝えてくれることもあります。
このような活用法があることも覚えておくと就職活動、転職活動の際に便利です。

次は、面接のポイントを紹介します。

8.面接の対策

働きやすい環境を得るためには、企業側に「アスペルガー症候群であることとその特徴」を伝えたほうが良いことがわかりました。理解と配慮を得られる職場は、働きやすい職場だからです。 気になるのは「面接では、アスペルガー症候群であることをどのように伝えれば良いのか」ということではないでしょうか?口コミにはヒントにしたいアドバイスも多く届いていますので、確認してみましょう。

8-1.面接での伝え方

アドバイスには、「自分の特徴をよく伝えて就職した方がいい」という意見が多くありました。

発達障害と言っても人により得意分野、苦手分野が大きく異なるのでできる限り明確に先方に伝えたほうがいい。 自分にとっても相手にとっても。

大切にしたいのは「詳しく伝えること」です。

    ①まずは、自分のことをしっかり理解しましょう。自分の傾向やできること、できないことなどを項目ごとに書き出すとわかりやすいでしょう。

    ②できないことでも、サポートを得ることでできることもあります。このように、仕事に対す前向きな姿勢は、良い印象を与えます。必要な配慮やサポートも相談しましょう。
自分の特徴を素直に話し、この会社で働きたいという気持ちを伝える。面接では、その熱意を企業に伝えましょう。

8-2.面接で確認したいこと

不安な点やわからないことは、面接時に質問しましょう。
面接とはお見合いのようなものです。「採用していただく」という気持ちだけでなく、「自分とこの企業が合うのか?」と冷静に見極める場だと考えて臨みましょう。

自分の状態を詳しく企業に説明できるようにしておくのが重要かと思います。

職場の雰囲気や業務内容を詳しく聞いておくといいと思います。

履歴書を提出する際には「私の障害について」など、説明書のようなものを自分で作って入れることも良いと思います。

質問を通して、面接官や企業の考え方を知ることもできます。
働きはじめてから苦労するより、解決策を一緒に考えてくれる企業を探していく努力の方が建設的ですよね。

8-3.面接に備えて考えをまとめる

面接にのぞむ前にするべきことを、まとめます。

  • 自分の特徴をできるだけ詳しく説明できるように準備しておきましょう。特に、「得意なこと」「不得意なこと」をまとめておくと良いでしょう。
  • 仕事をスムーズに行うために必要な配慮やサポートは、書き出しておきましょう。
  • 質問内容は、分類しておくとよいでしょう。順序だてて聞くほうが、面接官も答えやすいからです。
模擬面接などで、予め面接のシミュレーションをすることも有効です。落ち着いて面接にのぞめるように、事前準備をしっかり行いましょう。

※他にもアスペルガー症候群の方の仕事に関する口コミがたくさん届いています。
→アスペルガー症候群の方の口コミはこちらへ

9.入社後に心がけたことや仕事の工夫

採用が決まり、新しい職場での日々が始まった皆さんは、どのようなことを心がけながら働いているのでしょう。口コミを紹介します。

自分なりのメモを作り、順番を忘れないようにしています。 わからないことは都度聞くようにしています。

各業務内容の優先順位付けと、具体的に何をするかメモをしっかり残すことを徹底しています。

周りをよく観察することと、メモを取ることを徹底しています。

出来るだけ体調を優先にして、無理をしないようにしています。1時間に1回はトイレに行ってリフレッシュします。

頼まれた仕事中に他の人から仕事が入ったら、どれを先にするか優先順位を聞くようにしています。

普段は言われなければ気が付かないことや、空気の読めない点も多いので、もし自分が人に言われる前に気がついたら率先して動くようにしています。

力仕事や、人の嫌がる仕事でも自分では苦にならないものも中にはあるので、率先してやる。それをよく頼まれるようになって得意なことになれば、苦手やどうしても正確にできないことをやることも少なくなるし、ほかの人に頼みやすくなる。

さまざまな工夫をしながら働いていることがわかります。
働きやすくするための工夫は、自分の特徴を理解してくれる上司や職場の同僚の協力を得ることで、さらに効果を高めることができます。

※他にもアスペルガー症候群の方の仕事に関する口コミがたくさん届いています。
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10. 専門家からのアドバイス

仕事探しを考えているアスペルガー症候群の方へ、発達障害の専門家 松好伸一先生からのアドバイスを紹介します。

■働くことを迷っているアスペルガー症候群の方へ

面接では「少し変わっているなぁ」という印象を持たれることがあるかもしれません。できれば、アスペルガー症候群であることは伝えた方が良いでしょう。

加えて「できること」のアピールは、自分の興味のある分野の話になるため、止まらなくなってしまうこともあるでしょう。事前に自己アピールの方法を考えておくと、しゃべりすぎのセーブに役立ちます。

■これから働くアスペルガー症候群の方へ

入職後に同僚との日常会話で、自分の事ばかりしゃべってしまったり、相手の話を途中で奪ってしまったり(自分の興味ある分野の話の場合に多い)、相手への質問が止まらなくなることがあるかもしれません。
逆に、興味のない話題にはあからさまに興味がない様子を表してしまうこともあるため、意識しておくと良いでしょう。

自分の適性やコミュニケーションに関する特徴は、自覚できていないことも多いでしょう。また、それを改善しなければならない理由が理解できないことも考えられます。
他者からのアドバイスが理解できない、納得できないということもあると思います。

しかし、それが周囲の方が自分を見たときの「(問題となる)自分」なんだ、それが「社会」なんだと受け入れることが大切です。

11. 最後に

「仕事を辞めてからアスペルガー症候群だと判明し、人間関係で悩んで生きにくさを感じていた原因がわかりました。」

この口コミのように、今までアスペルガー症候群の診断を受けることなく生活していた方もいらっしゃいます。

また、アスペルガー症候群の方の中には、特徴が活かせる仕事で、高い評価を受けている方もいます。自分に向いている仕事であれば、能力を発揮することも望めます。

「会社の漠然としたイメージだけでは図れないことが多いので、社内の状況をじっくりと調べ、自分に合った職場かどうかを良く考えてから行動するべきだと思います。」

「自分の障害を説明できるような雰囲気の職場ならいいが、そうじゃないところなら考え直したほうがいいと思います。」

自分にとって働きやすい職場を探すこと、必要なサポートをお願いすること、自分でできる工夫を心がけることは、アスペルガー症候群の方が働く上で大切なことです。

自分に合う職場を探すためには、まず現状をしっかりと把握すること。 うつ症状などの二次障害が起きるリスクを避けるためにも、自分の状態を観察する習慣をつけると役立つでしょう。

社会の理解とサポートはいまだ十分とはいえませんが、それでも10年前、5年前に比べて格段に進んでいます。
経験者のアドバイスに耳を傾け、可能な限り自分に向いている仕事を探すためのチャレンジをしていきましょう。


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発達障害のある方の面接のコツや求人の探し方をはじめ、仕事探し、転職活動自体のアドバイスも実施中。
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監修者

保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数で、2022年3月29日「幼児教育方法論」(共著・一藝社)を刊行。

保有資格

著者

障害、病気のある方の企業や仕事に関する口コミサイト「アンブレ」を運営中。 丁寧な取材や口コミの分析を通して、病気や障害の特性に配慮した働き方や仕事との向き合い方を提案。理想の職場に出会うための、そしてより働きやすくなるための情報を発信しております。障害や病気があってもぴったりの仕事を。

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