うつ病の方999人の実体験を調査。転職、向いている仕事は?

うつ病の方の転職、向いている職種や業界を実体験から解説

うつ病の方が転職を考える時、無理なく続けられる仕事は何か、どんな仕事が向いているのか、といったことで悩む方は多いのではないでしょうか。

自分に向いていない職場に転職してしまうと、せっかく良くなった症状も再び悪化しかねません。日々、体調の波があることも考えられます。職場には定期的に通うことになりますから、慎重に選びたいものですね。

今回は、働いているうつ病の方999人の口コミから、うつ病の方が考える「働きやすい職場」、「業界」、「職種」を調査・分析しました。
障害者雇用の専門家 水谷愛さん(精神保健福祉士、公認心理師)にもアドバイスをいただいています。

同じうつ病といっても悩みはそれぞれだと思います。ご自身の悩みと照らしあわせながら転職のヒントにしてみてください。

*この記事は水谷愛さんに監修していただきました
水谷愛さん

精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)、公認心理師、臨床心理士、産業カウンセラーの資格を取得。精神障害者デイケアにて5年、スクールカウンセラーとして10年、発達障害者就労支援センターにて4年の経験を積み、現在は障害者就労移行支援事業所にてサービス管理責任者として勤務しています。著書『「がんばり屋さん」のこころのトリセツ』も好評。


*この記事でご紹介するデータ
調査期間:2018年2月~2020年4月
調査方法:弊社サイトUMBREから対象となる体験談を抽出
調査対象:うつ病をお持ちの方で働いた経験のある方の体験談999件
データ集計日:2020年9月30日(更新)
※体験談として記載された内容を分類し集計したデータを使用しています。

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目次

1.うつ病とは

2.うつ病の方の職場満足度

3.うつ病の方にとって満足度が高い職場

4.うつ病の方にとって満足度が低い職場

5.うつ病の方におすすめの業界

6.うつ病の方におすすめの職種

7.うつ病の方の転職活動の進め方

8.専門家からのアドバイス

9.まとめ

1.うつ病とは

    うつ病は、気分障害の一つです。一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいといった身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じている場合、うつ病の可能性があります。気分障害には、うつ病の他に、うつ病との鑑別が必要な双極性障害(躁うつ病)などがあります。うつ病ではうつ状態だけがみられますが、双極性障害はうつ状態と躁状態(軽躁状態)を繰り返す病気です。うつ病と双極性障害とでは治療法が大きく異なりますので専門家による判断が必要です。

日本では100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているという調査結果もあり、うつ病は日々の生活や人間関係、家族の問題など様々な理由が原因となっています。
もちろん、仕事が原因でうつ病を生じた方ももいらっしゃるでしょう。いずれにしても、原因となるものを遠ざけた環境が必要になってきます。

まずは、ストレスを生じる原因を医師に相談しながら見つけることが大切ですね。
そして、うつ病の症状を緩和させることができれば、うつ病とうまく付き合いながら仕事を続けることもできます。

今回は、うつ病を抱えながらも働いている方の貴重な体験談をヒントに、向いている仕事について考えていきましょう。

▼参考:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス うつ病」

2.うつ病の方の職場満足度

まずは満足度の高い職場について、その傾向をみてみましょう。
このグラフは、今回口コミを投稿してくださった方の仕事への満足度の割合を表したものです。

うつ病の方の仕事への満足度グラフ

※口コミの項目「あなたはその会社の就労環境に満足していますか?」を集計して割合を抽出


「とても満足している」「満足している」が39%
「まったく満足していない」「満足していない」が33%
「どちらともいえない」が29%

という結果になりました。
満足している方がやや多い傾向にあるようです。
では、仕事に対する満足度は何によって決まるのでしょうか?口コミのコメントを交えながら詳しくみてみましょう。

3.うつ病の方にとって満足度が高い職場

39%を占めた「満足度が高い職場」にはどのような特徴があるのでしょうか?
満足度が高いと回答した方の理由を分類して、集計をとりました。

うつ病の方の仕事への満足度が高い理由グラフ上位


うつ病の方の仕事への満足度が高い理由グラフ下位

※口コミの項目「満足度の理由」を分類し、プラス評価している内容を集計して割合を抽出。20人未満の少数回答は除く。


このグラフからは以下のような傾向がみられました。

    【満足度の高い職場に必要なもの】

  • 病気や障害に対して理解がある職場
  • 人間関係が良好な職場
  • 休みをとりやすい職場
では、それぞれの職場の様子を、口コミのコメントとともに紹介していきます。

3-1.満足度が高いと感じる1番の理由は「うつ病に対して理解があるから」

多くの場合、うつ病の方の症状はその人を見ただけではわかりません。それだけに誤解されてしまうこともあるのではないでしょうか。

では、うつ病について理解のある職場とは、具体的にどのようなことを理解してくれる職場なのでしょうか?コメントから傾向をみてみましょう。

■無理のない仕事量やペースで働ける職場

症状を理解し、なるべく無理のない仕事の方法でやっていいよと声をかけてくれるので精神的に楽でした。
メーカー・製造系、女性、飲食

毎朝、自分の精神状態の確認し仕事量を決めていただけたので、無理なくテンポよく仕事ができました。また、終業後に今日感じたことを聞いてくださり、体調に関して心配な点や周囲から見た客観的な自分を把握することができ、治療に役立ちました。病気と向き合って仕事をすることができたためです。
メーカー・製造系、事務、男性

今の自分を受け入れ、出来る範囲で最大限に仕事を与えてくれるので、やりがいもあるし、信頼されているのも分かった。また将来的には、正社員まで登用される可能性があることを伝えてくれたので、本当にここにいてもいいんだ、という安心感がありました。
メーカー・製造系、人事・経理・総務・企画、男性

会社も職場の上司も私の障害にとても理解があり、自分のペースで働かせてくれています。加えて、休んでしまった時にも理解を示してくれています。また、職場の先輩も理解してくれています。
メーカー・製造系、清掃

障害配慮があり、業務量などについて困っている時は、気軽に上司に相談できる。
エンジニア・技術職

チームワークもあるが、個人で責任を持って担当する仕事が多くて、自由裁量がとてもやりやすかった。 上下関係にうるさくなく、知識と身につけたもので協力して業務ができた。
金融・保険系、人事・経理・総務・企画、男性

とても親身になって相談やケアをしてくれる上司に恵まれていました。頑張りすぎて発症したという理解をしてくれ、以前のようなパフォーマンスを発揮できなくなってもゆるい量の仕事に変更してくれました
事務、女性

うつ病の方は体調に波があり、昨日は体調が良かったのに、翌朝になると急に体調が悪くなってしまうということがあります。もしくは1日の中でも体調が変わることもあるのではないでしょうか。

常に体調への不安を持ちながら、スケジュールに追われる仕事やノルマのある業務をこなすことは、症状を悪化させることにもつながります。
逆に体調を最優先にし、無理のないペースで仕事ができる職場であれば、心身ともに安定した状態で働けそうです。

コメントの中には「毎朝、精神状態を確認して仕事量を決めてもらえた」という方もいらっしゃいました。これは、うつ病であるという事実を認識しているだけでなく、うつ病の特徴をよく理解して配慮できている職場の好事例といえるのではないでしょうか。

■勤務時間に関する配慮がある職場

体調に波があるため、体調がすぐれない日は無理をしないで欠勤を認めてくれる。現在は週2日の勤務で自分のペースで働かせていただいている。
IT・通信・インターネット系、事務、女性

現場の同僚が和気あいあいとしていて馴染みやすかったのと、短めの勤務時間で雇ってもらえたので、体調を整えながら働くことがしやすかった。
エネルギー・環境・リサイクル系、コールセンター、オペレータ、男性

週4日10~14時の勤務なので拘束時間が短く、自分には恵まれている。基本ひとりで行う仕事なので、気を使わなくてよいのも楽です。
軽作業、女性

先ほどは、体調にあわせて「業務のペース」を調整できる職場の様子を紹介しましたが、今度は「勤務時間」を調整できる職場に関するコメントです。

会社へ行くことや、職場にいることがつらいと感じる日もあります。しかし、拘束時間が短ければ少しだけ前向きになれる、乗り越えられそうと思えることもあるのではないでしょうか。

また、休職明けや久しぶりの出勤であれば、少しずつ職場に身体や感覚を慣らすことが必要な場合もあります。

個人の症状を理解してくれている会社であれば、個々の状況に合わせた働き方も受け入れてくれる可能性があります。無理のない時間内で働くことができれば、仕事に対するハードルも低くなるのではないでしょうか。

■相談できる環境がある職場

病気のことを打ち明けた後に「何かあったら些細なことでも相談してくれ」と言われたので、悩みや不安があってもきちんと対応してくれるのだなと思った。
小売・流通・商社系、販売・接客・サービス

症状の程度によって内勤へ異動させてくれた。上司もすぐに相談できる状態にしていてくれて、「電話がしんどかったら休みの連絡はメールでも良いから」と言ってくれていた。入院中に病院から出社するという特例も認めてくれた。今でも連絡を取ってくれる人が元職場にたくさんいることなど、複数良いところがあります。
マスコミ・広告・デザイン・ゲーム・エンターテイメント系、デザイナー・クリエイティブ、女性



うつ病の方は悩みを1人で抱えがちです。例えば、職場の人間関係のことを同じ職場の同僚や上司に相談することで、どんな風に思われるだろうといった心配もあることでしょう。気軽には相談しづらいと思う方もいらっしゃるかもしれません。

また、相談してほしいと言われても、誰に言えば良いかわからないという経験はありませんか?

そんなときに何でも良いからこの人に相談できるという特定の人が決まっている、自分のことを理解してくれる人がいるというのは、うつ病の方にとって大きな安心材料になります。

入社するときに、相談できる特定の人をあらかじめ決めてもらうのも良いかもしれませんね。

■同じうつ病の方が働いた経験がある職場

上司や同僚にも同じ病気を罹っている人がいて、わりと理解のある職場でしたので、オープンにしてからはプレッシャーからも解放されてストレスが減りました。
メーカー・製造系、エンジニア・技術職、男性

今までにうつ病の方が働いた経験のある職場であれば、どのような配慮が必要かを周囲の方がある程度学んでいる可能性があります。うつ病の方が働いたことがなく、これからうつ病のことを理解しようとしている職場と比べると、周囲のスムーズな対応が望めるのではないでしょうか。

■うつ病について特別視しない職場

精神障害者だからといって変に特別扱いをすることなく、仕事をする仲間の一員として受け入れて頂けた。また、何でも相談できる環境で仕事上不安に感じることが少ない。
サービス・外食・レジャー系、事務

健常者と同様に扱ってもらっている。差を感じることはないので満足している。
小売・流通・商社系、人事・経理・総務・企画、男性



精神疾患があるというだけで、腫れ物に触るような対応をする方もいらっしゃいます。それは、うつ病についての正しい理解が無いからでしょう。

うつ病だからといって、いつも全ての仕事ができないというわけではありません。体調がよく仕事がスムーズにできるときなどは、休んだ時の分まで役立ちたいと思うこともあるでしょう。働き続けるモチベーションを保つためには仕事にやりがいがあることも大切です。

サポートを必要としない場面では、周囲と変わらず接してくれる職場であれば、居心地も良いのではないでしょうか。

3-2.満足度が高いと感じる2番目の理由は「人間関係が良好だから」と「休みを取りやすいから」

うつ病への理解があるだけでは、働きやすい職場とは言い切れません。理解があることに加えて、実際に周囲からのサポートが得られると、より安心して働けるものです。
そのようなサポートを得るためには、周囲の方々との良好な人間関係が必要です。

また、うつ病の方の中にはコミュケーションをとることにストレスを感じる方もいらっしゃるでしょう。職場の雰囲気がギクシャクしていては、ストレスも増えるばかりです。

では、人間関係が良好な職場とはどのような職場なのでしょうか?

■人間関係が良好な職場

社員一人一人が親切で、丁寧に指導してくれるのでストレスを感じず働けている。
メーカー・製造系、軽作業、男性

人間関係が良好で、困ったときにすぐに相談できる。
サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、女性

業務内容で分からないことなどをすぐに上司に聞ける環境で、人間関係に悩むことがありませんでした。本部の方に話を聞くと、どの店舗でも人間関係が歪だという情報はほぼないとのことでした。同期は全員バラバラの店舗でしたが、どこの店舗の人もやりやすい、これなら続けられるとのことでした。
金融・保険系、事務、女性

人間関係が良いと話しやすくなります。理解のある職場と重複しますが、うつ病の方にとって誰かに聞ける、相談できる人がいることはとても心強いのではないでしょうか。

ただ人付き合いにストレスを感じる方もいらっしゃいます。
中には人間関係が良すぎて常にコミュニケーションをとらざるを得ない、就業時間外も仲間と一緒に行動することが多いという職場もあります。
そういう場合は、できるだけ1人で仕事ができるような職種を検討することも1つの方法です。


次に休みの取りやすさについてみていきましょう。
前述しましたが、うつ病の方の体調は日によって変化しやすく、順調に働けていると思っても、翌朝には突如として起きられないくらい体調が悪くなることも考えられます。

だるいとき、体が重いときには無理して会社に行くのではなく、仕事を休んで体調を整えたいものです。しかし、「急に仕事を休めるのか?」「自分が休んだ分の仕事は誰がやるのか?」「休むことで周囲の人はどう思うのか?」という様々な思いも生まれることでしょう。

そんな悩みを抱えるうつ病の方にとって、「仕事を休む」という選択を寛容に受け入れてくれる職場環境であれば、ストレスを最小限に抑えて体調を整えることに専念できるのではないでしょうか。


■休みをとりやすい職場

午前中は気分がすぐれないことが多かったため、自分のペースで出社し、自分のペースで仕事を進めることができた。他の職員も、自分の就業時間に合わせての出社だったため、罪悪感を覚えずに済んだ。
サービス・外食・レジャー系、エンジニア・技術職 女性

自分の症状に合わせ、勤務形態の自由が効くようにしてくれている。また遅く出社しても、ある程度は大目に見てくれている。
メーカー・製造系、営業、男性

調子が悪い時は休ませて頂けるし早く帰らせて頂けるし、とても働きやすい。
コンサルティング・専門サービス系、女性

精神疾患があることを考慮して雇用してもらっており、定期的な通院時にも休めるようにしてもらっている。
メーカー・製造系、エンジニア・技術職

具合が悪い時は無理しないように当日でも休暇をくれ、シフトを組む段階で通院日を考慮してくれた。
メーカー・製造系、販売・接客・サービス、女性

施設長が自分の病気に対して理解してくれていたので、休職する時なども色々な制度利用して休ませてくれました。
IT・通信・インターネット系、医療・介護・福祉、男性

これらのコメントからは、休むことに対して以下のような対応が望める職場は、うつ病の方にとって働きやすいといえそうです。

  • 朝、急にやってくる体の不調を受け止めて当日の休みを許可してくれる
  • 休みや早退の申し出をしやすい雰囲気がある
  • 午前中に気分がすぐれないことが多いことを考慮して、出勤時間を変更できる
  • 仕事中、体調不良になったら休憩できる
  • 定期的な通院のための休みをとれる
  • 休暇制度などの各種制度や福利厚生が整っている
症状に合わせて柔軟な働き方ができる環境が整っている職場が、うつ病の方にとっての「休みをとりやすい職場」といえるのではないでしょうか。

では、反対に「満足度が低い職場の特徴」にはどのようなものがあるのでしょうか。

4.うつ病の方にとって満足度が低い職場

33%を占めた「満足度が低い職場」にはどのような特徴があるのでしょうか?
満足度が低いと回答した方の理由を分類して、集計をとりました。

うつ病の方の職場満足度が低い理由グラフ上位


うつ病の方の職場満足度が低い理由グラフ下位

※口コミの項目「満足度の理由」を分類し、マイナス評価している内容を集計して割合を抽出。26人未満の少数回答は除く。


このグラフからは以下のような傾向がみられました。

    【満足度の低い職場である理由】

  • 仕事量が多く期限に追われるなど忙しすぎる
  • 給料が低い
では、それぞれの職場の様子を、コメントとともに紹介していきます。


4-1.満足度が低いと感じる1番の理由は「忙しすぎるから」


うつ病を抱える方は心や体の状態に波があるので、仕事へのやる気やモチベーションをいつも同じように保つことが難しいかもしれません。スケジュール通りに仕事を進めることができない場面も出てくるでしょう。

そのような状況で、仕事量が多く次から次へと仕事を任せられ、いつも期限に追われるスケジュールで働いていると、余計に症状を悪化させてしまう可能性が考えられます。本当は自分のせいではないのに、「仕事を上手くこなせないのは自分に原因がある」と自己嫌悪に陥ってしまっては、仕事の目的を見失ってしまいます。

仕事量や忙しさでつらい思いをされたうつ病の方のコメントも届いています。

与えられる仕事自体に無駄な作業・無駄な残業が多く、本人の努力では対処できない状況だった
ソフトウェア・ハードウェア開発、エンジニア・技術職

定時に退社は可能でしたが、そもそも普段の業務量が多いのと、プレッシャーが非常に辛くて、病気が悪化する環境が整っていました。うつ病が悪化する前に、対策をして欲しかったです。
IT・通信・インターネット系、デザイナー・クリエイティブ、男性

仕事ができるようになってくると、どんどん仕事を増やされ、できないと言っても通じず、慢性的に人手不足でした。それから、私は40歳を過ぎて社員になったので、周りの同年代のパートさんや元社員にねたまれ、嫌味を言われたり、わざと指示を聞いてくれなかったりして精神的にきつくなりました。
小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、女性

数字に追われる。期待され過ぎる。数字が達成出来なかったら、帰るに帰れない雰囲気。朝昼晩、いつでも出動。接待。斡旋。お金がかかる。子供との時間を奪われる。身体を壊す。
金融・保険系、営業、女性

現実に即していない過剰なノルマの設定、そのノルマを達成するために自爆営業(社員が自腹を切って商品購入)。頑張れば頑張るほど仕事が上乗せされきつくなってゆく。
郵便、販売・接客・サービス

日付が変わるくらいの残業は当たり前で、会社もそれが当然と思っていた。
IT・通信・インターネット系、人事・経理・総務・企画

主に大企業の下請けなので突然、新規の仕事が入り、無理難題を押し付けられても断れない状況を良く作っていました。これにより遅くまでの残業が長く続いたり休日出勤が何日も続いたりしました。
不動産・建設・設備系、エンジニア・技術職、男性





これらのコメントから、忙しすぎる職場には以下のような傾向がみられます。

  • 厳しいノルマや数字設定が課せられる
  • 頑張れば頑張るだけノルマや仕事が押しつけられ、それに応えようとすることで精神的に追い詰められる
  • 仕事を押し付け、断れない雰囲気や相談しづらい環境を作っている
  • 残業が当たり前になっている
  • 無駄な業務が多く、状況を改善しようとしない

  • 「仕事量が多い・期限に追われる」というだけでなく、仕事がうまく配分されない、上司へ相談したことが反映されないという企業もあるようです。そのような環境では、うつ病の方に限らずどんな人であっても仕事を続けるのは困難になってしまうでしょう。


    4-2.満足度が低いと感じる2番目の理由は「給料が低いから」


    うつ病の方が、休職期間を経て新たな企業への転職を考える時、その目的の1つには「生活の自立」があるのではないでしょうか。そのためにも、生活していけるだけの給料が得られる職場でないと、仕事だけでなく生活に対する不安も増幅してしまいます。

    自分のような障害者も受け入れてくれる体制はありがたいが、給料が安すぎて困っている。
    旅行・ホテル、人事

    私のようなものを雇って頂けて感謝をしておりますが。とてもやっていける給料ではなく困っています。もう少し上げてほしいです。
    男性、アパレル・日用品、一般事務

    どちらの方も働ける環境に満足しているけれど、生活していくには厳しい給料だというご意見ですね。
    ここで「障害に対するサポートの手厚さ」と「給料の良さ」が両立するのかという点について、雇用形態の視点からみてみましょう。

    うつ病などの精神障害のある方が転職や就職をする際は、「一般雇用枠」で働くか、「障害者雇用枠」で働くかを選択できます。両者の違いを簡単にまとめると以下の通りです。

    ・一般雇用枠
    病気や障害に関係なく、周囲と同じように働くことが求められます。例えば業務内容や業務量、休みの取り方について融通がききづらいことも考慮しなければなりませんが、給料などの待遇は他の方と同じです。

    ・障害者雇用枠
    病気や障害を考慮しながら働くことができます。例えば休みの取りやすさや業務などは、体調に合わせられることや、周囲のサポートを得やすいというメリットがあります。ただし、出勤日数や勤務時間が短くなると、それがそのまま給料に反映されるため、給料が安いと感じることもあります。

    ▼障害者雇用枠と一般枠について詳しく紹介しています。
    障害者枠(オープン)か一般枠(クローズ)か?メリットとデメリットを解説


    ここからは、周囲からの配慮やサポートの有無、給料について、雇用形態別に口コミをみてみましょう。

    ■一般雇用枠で「給料が良い」と答えた方

    給与と福利厚生が充実している。また従業員に優しい企業である。
    運輸・交通・物流・倉庫系品、営業

    会社でのハラスメント行為によりうつ病になり休職することになった。しかし、休職中も給与は8割、賞与も基本分は支給されるので満足度としてはどちらとも言えない。
    男性、小売・流通・商社系、社内研修の講師

    残業代が出るので生活が安定したのはうれしい。でもコミュニケーション能力は高さを求められる
    男性、小売・流通・商社系、商品検査

    ■一般雇用枠で「給料が良くない」と答えた方

    仕事の内容や人間関係は良好で満足しているが、給与に不満がある。
    男性、物流、運搬、運転手

    給料がものすごく安く、生活していくのには十分とは言えない。もっと欲しいと思います。
    団体・連合会・官公庁、一般事務

    自分ではもっと仕事の成果、価値を給料に還元して欲しいし、もっと社員を大事にする会社であって欲しい!
    小売・流通・商社系・接客

    一般雇用枠で就職し給料に満足している方が働いている職場は、福利厚生や休職制度などが充実していることがわかります。しかし、ハードな仕事を求められることで体調を崩してしまったという方もいらっしゃいました。

    ■障害者雇用枠で「給料が良い」と答えた方

    月給制なので収入が安定し、業績次第で賞与が貰えた。
    メーカー・製造系、技術系

    部門の社員との関係も良好だし、上司も仕事の負担具合を常に注意してくれている。 また毎年、業務実績より給与を上げてもらっている。
    男性、不動産・建設・設備系、総務

    ■障害者雇用枠で「給料が良くない」と答えた方

    うつ病に配慮してくれている。メンタル的に追い込まれないような仕事ができる。定時退社ができる。幅広い仕事が経験できている。給与は満足していないが。
    不動産・建設・設備系、総務

    時給計算のため、残業なく就業できているが給与が低く安定していない。
    女性、医療・福祉、介護

    最低賃金で働いていても生活出来るほど稼げないので、生活が苦しい。
    IT・通信・インターネット系、接客



    障害者雇用枠で就職し給料に満足している方は、月給制のため安定した収入を得られることや、業績が給料に反映される点を評価しています。

    障害者雇用枠で就職し給料に満足していない方は、ハードな仕事は求められないけれども、その分残業代もなくプラスアルファの収入が見込めないという意見や、最低賃金なので稼げないという切実な悩みも聞かれます。

    そして一般雇用枠で働く方の中にも、給料が良くないと答えている方も多くいらっしゃいますので、決して「障害者雇用枠だから給料が安い」という因果関係にはならないようです。

    給料などの待遇面は、福利厚生、制度、給与、賞与などの求人情報として提示されている項目からある程度は確認できます。企業選びをする際は、はじめにその企業の待遇面についてよく調べましょう。得られる情報をあらかじめしっかり収集しておくことが大切ですね。

    ここまでの結果をまとめると、満足度の低い職場である理由に挙げられたことは
    ・仕事量が多く、期限に追われるから
    ・給料が安いから
    でした。

    一番大切なのはご自身の体ですので、症状と付き合いながら働ける仕事を探したいものです。ただ、仕事の具体的な進め方や職場の雰囲気は、入社前にはわかりづらいものです。また、上司や同僚がうつ病に対して理解があるかも重要なポイントです。

    同じ企業でうつ病の方が働いているかどうかを知ることで、企業としての取り組みやうつ病に対する理解の有無を知るきっかけになるかもしれません。また、可能であれば職場見学や働いている方の話を聞いてみるのも良いですね。

    給料などの待遇面については、求人情報に記載されていることが多いですが、その条件を再確認する意味でも、面接などのタイミングで直接聞くことも大切です。
    さらに、急な休みが欲しいときに休暇制度を利用できるかどうかも給料に関係してくる内容です。細かい話だと思うかもしれませんが、不安な点は明確にしておくことで、入社した後で「話が違った」ということにならないようにすると良いでしょう。

    5.うつ病の方におすすめの業界

    次に、うつ病の方が働いている業界の傾向を見てみましょう。様々な業界で多くの方が活躍されています。

    うつ病の方が働いている業界の割合グラフ


    ※口コミの項目「働いている、または働いていた企業」で回答のあった企業を業界別に分類して集計し、割合を抽出


    グラフから、うつ病の方が多く働いている業界は以下のような結果になりました。
    • サービス・外食・レジャー 27.3%
    • メーカー・製造業 15.4%
    • 小売・流通・商社 14.3%

    では、これらの人気の業界は、満足度も高いのでしょうか?
    業界別にそれぞれの満足度を比べてみましょう。

    うつ病の方が働いている業界別満足度グラフ


    ※口コミの項目「働いている、または働いていた企業」と「満足度の理由」をクロス集計して割合を抽出。ただし、答えた人数が45人未満の業界は比較対象外とした。


    「とても満足している」「満足している」と答えている方が多い業界は以下の通りでした。
  • メーカー・製造業
  • サービス・外食・レジャー


  • この2つの業界は、うつ病の方が多く働いている業界でも1位、2位に入っていました。働いている方も多く、満足度も高い人気の業界といえそうです。

    では、うつ病の方は「メーカー・製造業」「サービス・外食・レジャー」業界のどういった点に働きやすさを感じているのでしょうか。

    ■メーカー・製造業

    大手の子会社なので、近隣の企業と比較すると福利厚生はしっかりしているほうです。 パートの保険や有休の制度もしっかりしています。
    食品・化粧品、営業事務、女性

    会社が設けている制度、組合や共済会の支援は非常に手厚いです。一定の条件を満たせば、病欠→有給休職→無給休職を取得でき、その間の所得も保障されます。定期健診まで会社負担で受診できます。ただ職場や職種により、認知度や理解度、活用度に差があります。理解のある職場や上司に恵まれれば、安心してリスタートできます。
    化学・素材、営業、女性

    最近は、研修教育でうつ病についての理解が深まるよう全社で取り組んでいて、うつ病の社員も無理なく働ける配慮をする空気が生まれてきました。 周りに助けられながら仕事が出来ています。 他にもうつ病の社員がいるので、部署にも助け合いの気持ちがあるのがありがたいです。
    総合電機、技術系

    社員を大切にする社風があると思います。又、比較的、社員のペースで自由に仕事に取り組ませてくれていると思います。社員食堂では社員は半額で昼食を食べる事ができ、この辺も社員に対する待遇が良いと感じています。
    メーカー・製造系、清掃

    単純作業の仕事で、病院へ行く等休暇の配慮してくれた。複雑な仕事を押し付けられることもなく、わからないことや仕事は親切丁寧に教えてくれる気が楽な仕事です。障害者も多く周りの理解も得やすいです。上下関係などもなく和気あいあいとした職場です。
    医療、医療事務

    全社的に精神的疾患について理解があり、かつ専門の産業医・保健師がおり、状態が悪くなる前に相談できる体制になっている また、状態が悪くなったら、無理せず休暇をとらせてくれ、会社復帰へも産業医・保健師がきちんとサポートしてくれる。
    自動車・運輸・機械系、男性

    給与および賞与、休暇日数が一般的水準よりも良い。また休暇も取得しやすい。特別な職務的な事情が無い限り、残業もほとんどすることが無い。 社員の人柄が良く優しい。部署にもよるが、高圧的な上司もおらず、比較的フレンドリーに接することができる。今回の自分の病気の件も含めて、事情を話せば寛容に受け止めてもらえる。
    化学・素材、営業、男性

    体のリズムを作りやすいような勤務シフトを考慮してくれている。 定期的に産業医と面談している。 体調の悪い時には、遅く出社したり有給を取ったりすることも、ある程度認めてくれている。
    食品・化粧品、営業、男性

    これらのコメントをみると、メーカー・製造業の傾向としては、福利厚生や休暇制度などが整っている企業が多く、中にはうつ病についての理解を深める研修に取り組んでいる企業もあります。また、産業医や保健師との相談やサポート体制が整っているケースも見受けられました。

    それぞれ会社の規模が異なるため一概には言えませんが、大手企業は従業員が多いことで、組合の呼びかけにより働きやすい環境作りへの取り組みが進んでいる可能性もあります。
    また、規模が小さくても比較的新しい会社は、規則にとらわれず個々の働き方を受け入れやすい柔軟な対応が期待できるかもしれません。

    しかし、同じメーカー・製造業界でも以下のようなコメントも見られました。

    勤務状況が、事業所や部門により差が大きいので、自分が所属するところを良く確認すること。またローティションの転勤や人事異動もあり、いつまでも居心地がいい同じ事業所部門では働けないと思った方が良い。
    化学・素材、技術系

    私の職場は、年中無休なので連休が取りにくい。無理すれば取れないことはないが、あまり自分の権利ばかり主張すると、周りから総スカンを食らう。また幅広い商品知識が求められるので年配者が多い。いずれにしても周りの人間を味方につけないと、色々と苦労することになりかねない。
    食品・化粧品、企画、男性 

    数量限定の製品が多いので、精度の高さを維持しながら製品を完成まで仕上げるのが難しいです。工作機械の操作やプログラムを勉強しなければならないところが大変でしたが、一度おこなった作業を徐々に効率を上げていければなんとかなります。
    技術、男性 

    私の所属部署ではクーラーも無く暖房もありません、その為、暑さ寒さに比較的強い方が望まれます。外作業も多いので体力がある程度必要になります。拘束時間がフルタイムに近いので、この点でも体力がある程度必要とされます。
    清掃

    飲食店ということもあり、忙しい時間帯と暇な時間帯の差が激しいので、気持ちに余裕を持たせることができないと忙しい時に舞い上がってしまい、水出しを忘れたり商品の提供を間違えたりと失敗してしまいがちになる。
    食品・化粧品、接客、女性

    「メーカー・製造業界」は仕事の内容も様々です。中には高度な技術が求められることもあるでしょう。
    また大企業であれば事業規模も大きく、頻繁に転勤や人事異動が命じられることもあるため、中には環境が変わりやすい職場もあるようです。

      【メーカー・製造業の傾向】

    • 福利厚生や休暇制度、産業医や保健師によるサポートなどの制度が整っている会社が多くみられますが、従業員の人数や会社の規模によりその傾向は異なります。
    • 制度については、企業のホームページや求人情報などでも得られる情報なので確認すると良いでしょう。
    • 全国展開している企業も多く、働き方によっては転勤や人事異動を強いられることもあります。どのようなスタイルで働きたいのか、働けるのかを十分に検討する必要があります。
    ■サービス・外食・レジャー系

    基本的に体育会系の方が多く、職場自体は活気がありました。たまたま上司に恵まれていたのもありますが、仕事のことで相談するのに困ることはありませんでした。
    教育、営業、男性

    社員の年齢層が20代~30代と若く、和気あいあいとしていて、活気のある職場だった。そこに40代~50代のパートさんも混じり、若年層から吸収し、熟年層から学ぶという良い循環があった。お互いに助け合い、補い合いながら仕事ができた。
    医療、技術系、女性 

    アットホームな職場であり、上下関係もそれほどきつくので、新しく入った人でもすぐに馴染みやすいです。障害のコンディションについても常に気にかけてくださいますので、障害のある人でも働きやすいと思います。
    人材、軽作業

    上下関係があまりなく、和気あいあいとした職場だと思います。また、分からない事などがあっても上席の方が親身になって答えてくれるので、大変仕事がやりやすい環境だと思います。体調が悪い場合も相談がしやすく、気にかけていただける職場です。
    人材、事務

    従業員数も1万人を越えており福利厚生やコンプライアンスも充実しています。お給料はよかったです。
    レジャー・アミューズメント・フィットネス、接客、女性

    残業がまったくなく定時であがることができる。 有給休暇の消化も100パーセント取ることができる。 六本木の駅から近いので通勤が楽である。 調子の悪いときは遠慮なく休暇を取ることができる。 仕事は単調なので複雑な仕事をしたい方にはおすすめしない。
    人材、事務

    サービス・外食・レジャー業界は、お客様を相手にする仕事が中心となります。中でも教育や福祉に携わる仕事は、お子様や高齢者と接するため常に緊張感をもった対応が要求されます。

    しかし、仕事仲間に対しても常に緊張していたのでは長く続けることができません。その緊張感を解消するために、職場内に相談しやすい雰囲気があり、人間関係も比較的良好に保たれている印象を受けます。上司の信頼性の高さも垣間見えます。

    一方で、以下のようなコメントもありました。

    事務職ではなく介護職に就く場合、精神的にも肉体的にもきついわりに給与が低めに設定されている。また、自分でシフトを選べるとはいえ、早朝から夜まで仕事があり、曜日によって勤務時間帯がバラバラなので、体調管理が難しい。
    医療、技術系、女性 

    人手不足のため、新人にもある程度高度な仕事が割り振られることがあります。研修制度が確立していないので、実地で経験していく中で仕事を覚えなければならないのが大変な点です。パソコンの技術もあらかじめ自分で覚えておく必要があります。
    教育

    とにかく人手不足。仕方なく少々具合が悪くても無理をして仕事へ行ってしまう。ここで調子の悪いときは無理せず休養ができるようであれば、離職も減るのではないか。介護の仕事から離れていく人は賃金の少なさもあるとは思うが、人間関係や自分の思った介護ができないフラストレーションによって、心を痛めて離職する人が多いと思う。まずは人員の確保が第一だと思う。
    医療、介護

    単調な仕事が多くなりやすいので飽きやすい。横のつながりがほとんどない。給料の見直しが2年経過しないと行われないし安い。比較的若い人が多く高年齢の人は少ない職場である。
    人材、一般事務

    利用者で相性の悪い人がいると、その人と関わらなければいけない時に、自分もつらいし、利用者さんもつらい思いをしてしまう。
    医療・福祉・介護、介護、女性

    教育、福祉に関わる仕事は人手不足とも言われています。また担当する業務によっては体力を必要とする仕事です。
    具体的にどのような仕事を担当するのか、人手は足りているのかが職場を選ぶうえで重要なポイントとなりそうです。

      【サービス・外食・レジャー業界の傾向】

    • 子供や高齢者と接する機会の多い教育、福祉の仕事は緊張感をもった対応が要求されますので、業務内容に興味がないと長く続けるのは難しいかもしれません。
      ただ、同じような志で働く人が集まっているため、チームワークや人間関係の良さも目立ちます。事前見学などを通して、職場の雰囲気を確認しておくと良いでしょう。
    • 人手不足が叫ばれる業界であれば、1人にかかる負担は大きくなります。担当する仕事の範囲や従業員の数をあらかじめ把握したほうがよさそうです。

    6.うつ病の方におすすめの職種

    次は、うつ病のある方が働いている職種について見てみましょう。

    うつ病の方が働いている職種別割合グラフ


    ※アンケート「担当していた業務」の回答をもとに職種別に分類して集計し、割合を抽出


    最も多くの人が就いている職種は、以下のような結果になりました。

    • 事務 17.9%
    • 販売・接客・サービス16.6%


    事務はデスクにて、コツコツ仕事を進めるタイプの職種です。
    一方で販売・接客・サービスは主に店舗にて、人とコミュニケーションをとりながら複数のメンバーと一緒に仕事を進めるタイプの職種です。
    一見、業務内容も就業場所も真逆に思える仕事が、上位1,2位という結果になりました。

    ただし「事務」といっても、業界や配属先により担当する仕事内容は変わるでしょう。また「販売・接客・サービス」についても、小売店の販売もあれば銀行の窓口業務もあります。事務と同様、仕事内容は業界によっても異なります。

    このように同じ職種であっても、業界や具体的な仕事の内容は多岐に渡っています。仕事を選ぶ際はその職種の人気や待遇だけでなく、自分が担当する仕事の内容を把握したうえで、自分にできそうな仕事かどうかを考えることが必要です。

    では、これらの多くの方が就いている職種の満足度は高いのでしょうか?
    職種別にそれぞれの満足度を比べてみましょう。

    うつ病の方が働いている職種別満足度グラフ


    ※口コミの項目「担当していた業務」と「満足度の理由」をクロス集計して割合を抽出。ただし、答えた人数が45人未満の職種は比較対象外とした。


    「とても満足している」と「満足している」が占める割合の高い職種は、以下のような結果になりました。

    • 軽作業 43%
    • 医療・介護・福祉 46%
    では、どのような点が働きやすいのか、コメントから具体的にみてみましょう。

    ■軽作業

    自由裁量で働けるので、自分の能力を発揮できる職場です。上下関係も厳しくなく自由に意見交換できます。専門外のことで分からない事があっても、専門家がいますから気兼ねなく質問できます。 各自の机はパーテーションで仕切られているので仕事に集中できます。 観葉植物があるので、目が疲れた時など目を休めることもできます。 休憩室もあり仕事が煮詰まったときには、コーヒー等を飲んでリフレッシュできます。
    メーカー・製造系

    利用者各人に対して無理がない作業を割り当てられるので、作業ができない事に対しての劣等感が殆どなく、達成感を得ることができる。また、日中を通して体調が悪い場合や通院などがある場合は、気兼ねなく休暇を取ることができる。職場での対人関係などで問題が発生した場合は、サービス管理者が親身になって相談に乗ってくれて、問題解決もほぼ的確に行ってくれる。作業内容は手先が器用でなければ難しいことが多いが、職場自体が冷暖房完備でほぼバリアフリーなので、一年を通して働きやすい環境になっている。
    小売・流通・商社系(専門店)、男性

    自分の不向きな仕事は強要されずに自分ができる仕事をさせてくれた。人よりも時間がかかってしまうのも多目に見てくれた。上下関係もなく、気を遣わずに自分のペースで仕事をさせてくれた。無理しないように配慮してくれて心強かった。
    メーカー・製造系(総合電機)、男性

    仕事自体の難易度が低いことです。絶対に誰でもできる簡単な仕事でした。
    運輸・交通・物流・倉庫系(運輸・交通)、男性

    必ず土日が休みで盆正月も休みがあります。単純作業なので、向き不向きはあると思いますが、先輩達が親切丁寧に教えてくれます。少人数の会社なので、雰囲気よく仕事ができるのではないかと思います。突然の休みにも対応してくれますし、有給休暇もきちんとしています。
    メーカー・製造系(総合電機)

    いろいろ日替わりで仕事内容が違うので、飽きっぽい人には合っていると思います。
    メーカー・製造系(食品・化粧品)、女性

    基本的に人と話さなくてもいい職場ですので、とても気楽に働けます。
    メーカー・製造系(総合電機)、女性



    軽作業は、決まった仕事を淡々とこなしていくことも多く、周りに合わせたり、コミュニケーションを頻繁にとったりする必要が少ないようです。また仕事量も個人に合わせやすい傾向にあり、自分の体調と相談しながら調整することもできそうです。

    作業内容は担当する業務によるため一概には言えませんが、簡単なものから技術や知識が必要なものまで幅広くあるようです。その違いを以下のコメントからみてみましょう。

    ついていけないのがマイナスポイントです。スピードが速すぎるのと忙しすぎるので、健常者でも少し難しいです。
    メーカー・製造系(食品・化粧品)、女性

    かなり高温なところでの仕事になるので、体力がある程度ある人間でないとなかなか続けにくい職場です。
    サービス・外食・レジャー系(人材)

    残業も認められていないので、お昼を抜いてでも繁忙期はがんばるしかないです。自分にとって残業はきついので、お昼を抜いて働くというのは助かります。考え方次第ですし、自分にとってこのペースが楽であれば、慣れたら長く仕事ができると思います
    その他、女性 

    マイナスポイントは、その日のうちにノルマを達成しなければならないこと。不良品を出してはだめなこと。1日8時間もの間ずっと立ちっぱなしで作業をやらないといけないことです。
    メーカー・製造系(アパレル・日用品)、男性

    軽作業にも色々な種類がありますが、空調が効いていない環境で作業をすることもあります。また個人ではなくチームで取り組む場合は、ある程度のスピードを要求されることもありますし、タイトなスケジュールを組んでいる職場もあるようです。

      【職種:軽作業の傾向】

      軽作業にも色々な業務内容があります。
      ライン作業のように、一度覚えたことを淡々とこなしていく作業もあれば、多くのことを覚え次々にこなしていく仕事もあります。
      1人で黙々とこなすこともあれば、チームでの協力が必要なこともあります。
      また、常に忙しい職場もあれば、ある程度は本人にペースを任せる職場もあるでしょう。

      重要なのは、ご自身の好みやストレスを感じない環境はどちらのタイプなのかということです。そして職場見学や面接などを通して、できるだけ職場の様子を把握し、自分の望む職場であるかを確認しましょう。

    ■医療・介護・福祉

    療養休暇が6ヶ月、休職制度が3年設けられている。また、有給休暇も最大40日まで取れるようになっており、万が一の急な疾患の際も対応してもらえる。また、社会福祉法人ということもあり、職員の疾患や障害への理解は、他の法人に比べてあると思う。
    サービス・外食・レジャー系(医療・福祉・介護)、男性

    休職中も給料は8割でており、傷病手当金もあったため、経済的な不安もなく療養することができました。また、復職してからは臨床心理士との定期的な面談もあり心強かったです。体調が悪いときは有休を取って休養させてくれるため、無理なく仕事を続けることができています。
    サービス・外食・レジャー系(教育)、女性

    給料は保証されているので、生活の安定にはもってこいである。また、福利厚生もしっかりしており、部署によってはかなり休みやすく、自分の趣味等に時間をあてることができるのではないか。介護や育児休暇制度もある。
    団体・連合会・官公庁、男性

    公務員という点では、他の看護学院に比べて福利厚生はいいと思います。職員のメンタルヘルスに対するサポートは、教務長の次のポジションである私が全体を見てサポートをするようにしてはいます。悩みや困っていることがあれば、相談をしやすい雰囲気があり、仕事が忙しい時はお互いに協力し合っています。
    団体・連合会・官公庁、女性

    給与体系は公務員に準じており、福利厚生も整っている。上下関係はもちろんあるが、厳しくはない。有給休暇は最大40日まで取得することができるし、夏季休暇等も充実している。
    サービス・外食・レジャー系(医療・福祉・介護)、男性

    とにかく主任が人間として素晴らしい方で尊敬できる。守られて仕事をしていると思えるので安心感があった。『鬱病の事も内臓疾患と同じように捉えているから、特別視はしないよ。何かミスがあればちゃんと伝えるし。でも、皆より真剣に真面目に仕事をしてくれているから信用しているから。』といってくれた。施設側も過呼吸が起きて午後からしか出勤出来なくても、仕事に来てくれただけで嬉しいと言ってくれていた。
    サービス・外食・レジャー系(医療・福祉・介護)、女性

    体調不良でも差別なく接してくれる職場でした。 無理なく働ける環境を整えてくれて普段から体調を気遣ってくれる人がいたので安心した気持ちで仕事に身を入れて働く事ができました。 体調で悩んでいる方にも働きやすい職場だと思います。
    サービス・外食・レジャー系(医療・福祉・介護)、女性

    無理のないシフトを組んでくれる職場でありスタッフみんながフォロー対応してくれる。 そんな大規模な会社ではないのでスタッフの気遣い心づかいが有り難い。仕事内容もハードではないので体調が悪くても、ゆったり仕事ができる。 体調に応じてシフト相談や交代、休みも貰いやすく理解のある職場で働きやすい。
    サービス・外食・レジャー系(医療・福祉・介護)、女性

    医療・介護・福祉という職種で目立ったのは、福利厚生や制度が整っていること。さらに公務員としてこの職種で働いている方は、給与の良さや安定性に満足している様子がうかがえます。

    また、医療や介護という現場で働いているからこそ、うつ病に対して理解のある方も多く、安心して働くことができそうです。

    しかし、次のようなコメントもありました。

    看護職はどこでもそうだと思いますが、とにかく忙しく体力的にしんどいです。夜勤もきついです。そんな忙しい勤務をこなせる体力がある人や夜勤が苦痛でない人はいいのですが、体調が不安定な人にはおすすめできません。ただ、体調に合わせて夜勤のない勤務(非常勤扱いになりますが)や、比較的忙しくない部署に異動させてもらうことも可能です。
    IT・通信・インターネット系、女性

    給料が安い上に仕事がハードな肉体労働の割合が多く、ずっと立ちっぱなしで自由に休憩を取りにくい雰囲気もあり、仕事にやりがいを感じていないと続けるのは難しいと感じた。また交通の便が悪く、通勤が大変だという点も仕事の疲れに影響を及ぼしていると感じた。
    医療・福祉・介護、男性

    とにかく一人で考えていろいろやらないといけないので、プレッシャーは多いです。色んな人とのコミュニケーションが必要なので、ちょっと疲れるかもしれません。移動ははじめてのルートが多く、間違わないよう注意が必要です。
    生命保険・損害保険、女性

    介護や医療の現場は、忙しく体力勝負であるというコメントもありました。夜勤がある職場もあるようです。うつ病の方は規則正しい生活を心掛ける必要がありますので、可能であれば夜勤は避けたほうがよいかもしれません。
    また、業界によってはコミュニケーションを要することもありますので、得手不得手が分かれるのではないでしょうか。

      【職種:医療・介護・福祉の傾向】

      医療・介護・福祉という職種は、どちらかというと業界の特徴がそのまま表れる職種でもあります。医療・介護・福祉に携わる企業は、福利厚生や制度が整っている企業が多いようです。特に、休職できる日数やその期間の給与補償などが手厚いと、満足度も高くなる傾向にあります。

      しかし、体力を必要とする業務も多いため、ご自身の体調や業務内容にやりがいを感じられるかどうかを十分に検討する必要がありそうです。
    満足度の高い「軽作業」と「医療・介護・福祉」は、全く違う職種です。しかしなぜ、両職種の満足度が高いのでしょうか?

    軽作業は、コミュニケーションをとるのがあまり得意でないうつ病の方にとって満足度が高く、医療・介護・福祉は、コミュニケーションをとることが好きなうつ病の方にとって満足度が高いという考え方もできます。

    うつ病のある方の中には、人と接することが苦手な方と、人と接することで気分が軽やかになる方がいらっしゃいます。それぞれのタイプにあった職種で働くことが、その職種への満足度に繋がっているのではないでしょうか。

    7.うつ病の方の転職活動の進め方

    転職活動や就職活動の進め方にはいろいろな方法があります。最近はインターネットなど情報元も多く、選択肢も増えています。

    皆さんはどのように転職先や就職先を見つけているのでしょうか?
    次のグラフは、うつ病の方がどのようなサービスを利用して転職活動や就職活動を行ったのかを表したグラフです。

    うつ病の方が利用した転職サービス割合


    ※口コミの項目「職場を見つけた方法、ならびに就職までに利用したサービス(複数回答可)」の有効な口コミを投稿した765名による894件を集計して合計人数を算出


    最も多かった回答はハローワークで約44%でした(複数回答による調査のため、全体に占める割合ではなく回答者の約44%がハローワークも使ったという結果になります)。多くの方が、ハローワークを活用していることがわかります。

    次いで多かったのは求人メディア人材紹介会社と続きます。 では、利用した方のコメントから、どのようなサポートがあるのかメリットをみてみましょう。

    ■ハローワーク(障害者枠採用)

    就労支援施設でしばらく働き、一般に行っても大丈夫だとのことで、ハローワークの障が者雇用求人で探してもらい、地域の福祉サポートセンターの方にも協力してもらい応募した。
    専門商社、軽作業、女性

    ハローワークの担当者がうまく会社と寄り添ってくれたところが助かりましたね。
    総合電機、エンジニア・技術職、男性

    ハローワークにて見つけた障害者雇用枠で採用して頂いた。定期的にヒアリングを行ってくれて、問題点につては早々に改善をしてくれている。
    設備・プラント、人事・経理・総務・企画、男性

    ハローワークを利用しました。障害があることを職場に知ってもらうことでのメリットや デメリットなどを教えてもらい、親身に接してくれた。
    医療・福祉・介護、女性

    ■ハローワーク(一般枠採用)

    松戸ハローワーク。障害者窓口と一般窓口の両方で相談しました。どちらも親身になって相談に乗ってくれました。ハローワークの情報量とサービスは、トップクラスだと思います。
    ソフトウェア・ハードウェア開発、エンジニア・技術職、男性

    一般非公開の障害者として職員募集していた企業の情報を提供してもらった。
    医療・福祉・介護、事務、女性

    ハローワークは、全国に544カ所(令和3年1月現在)ありますので、比較的近くの施設を利用することができる身近な存在です。最近は、自宅にいながらハローワークのサイトで検索することもできます。行政が運営しているという点で安心感もありますね。

    ハローワークは、様々な業界や職種の求人を数多く扱っています。また障害者専用窓口もありますので、障害者雇用枠(クローズ就労)と一般雇用枠(オープン就労)で迷っている方、障害者雇用枠の求人を探している方も相談しやすいでしょう。

    また、求人の紹介だけでなく、履歴書の書き方や面接の受け方の指導、企業と求職者の間に入って障害の状況をあらかじめ伝えてくれるといったサポートもあります。

    ■求人メディア

    ホームページを見て自分なら大丈夫だと思い応募した。 サポートは一切無かった。
    教育、男性

    求人メディアを利用して就職しました。求人検索のみの利用でしたので、特にサポートは受けていません。
    専門商社、人事・経理・総務・企画、男性

    マイナビ転職。サポートは特に無しで、自身で就職活動の媒体として利用しました。
    医療・福祉・介護、男性

    求人サイトindeed。必要項目だけ入力すればあちらから電話が来るシステムです。
    チェーンストア・スーパー・コンビニ、販売・接客・サービス、女性

    求人メディアのメリットは誰でもいつでも気軽に利用できることです。検索も応募も入力するだけで完了することが多く、とても簡単です。ある程度、働きたい会社が決まっている場合や、1人で行う就活や転職活動に不安が無い場合は、うまく活用するとスムーズに仕事探しができるでしょう。

    また、企業によっては自社のホームページに募集要項を載せているところもあります。
    当サイト「アンブレ」にも、各企業の障害者雇用の情報や求人募集ページを以下のように掲載しています。気になる企業の求人情報をチェックしてみてください。
    ※口コミの最後(画面下)にありますので、スクロールして確認してください。

    求人募集ページ


    最近は、精神障害のある方を専用とした転職、就職サービスも多くあります。障害の特性を理解しながら相談に乗ってくれるなど、専門窓口ならではの手厚いサービスを受けられるほか、障害者雇用枠などの求人情報も多く扱っています。

    就労移行支援で各種資格を取得し、私に合いそうな会社を紹介して頂いた。 会社見学や面接、体験にも同行してもらい、今でも定期的にヒアリングしてもらっている。
    就労移行支援利用、女性、その他、事務

    希望職種や給与を細かく伝えてもそれを考慮し、最大限対応して貰えるサービスでした。細かい要求もしっかり聞いて貰える丁寧さがありました。
    人材紹介会社利用、女性、金融・保険系、コールセンター・オペレータ



    ・自己分析をしたいけれど、自分のことがよくわからない。
    ・気になる会社を見学してみたい。
    ・自分のことを面接で上手く話すのは苦手。

    そんな悩みや不安はありませんか?

    障害について、そして転職や就職を熟知した専門スタッフであれば、適確なアドバイスにより、新しい視野が広がるかもしれません。
    また企業との間に入ったサポートで、よりスムーズに転職活動を進めることもできます。 自分と相性の良い転職・就職サービスを活用してみましょう。

    ▼障害者雇用枠の求人の探し方について、詳しく紹介しています。
    ハローワークだけじゃない、障害者雇用枠の求人はここでも!求人サービスを紹介

    8.専門家からのアドバイス

    仕事探しを考えているうつ病の方へ、専門家 水谷愛さんからのアドバイスを紹介します。

    ■働くことを迷っているうつ病の方へ

    ご自身の体調や気分の波があり、一歩が踏み出せない方もいるのかもしれませんね。
    主治医やサポートしてくれる方を味方につけて、就職活動を少しずつ行ってみると良いと思います。

    ハローワークや専門的な支援機関なども、あなたのことを後押ししてくれます。
    ひとりで悩まずに、いろいろな人に相談しながら働くことを考えてみましょう。いろいろな人を巻き込んで一緒に考えることが、働くことへの第一歩を踏み出す勇気につながると思います。

    ■これから障害者雇用枠で働くうつ病の方へ

    今はうつ病でも働いている人はたくさんいます。そして、うつ病の理解が進んでいる会社もたくさんあります。

    主治医や支援機関の人たちを交えながら、働く際にどんなことに気を付けて働けば良いのかを整理しておくと良いですね。
    不調のサインをしっかり把握し、早めに休むように心がけることも必要です。そして、働くために生活リズムをしっかり整えておくと、スムーズに働く準備ができますし、体調も良くなりますので、実践してみてください。

    9.まとめ

    誰しも転職を考えるときは、今よりも自分の望んでいる会社に入りたいと思って仕事探しを始めるものです。そして、うつ病の方にとって一番大切なのは、うつ病とうまく付き合いながら働ける会社を見つけることです。「どんな会社がふさわしいのか」悩んだときは、ぜひ今回のコラムをヒントに検討してみてください。

    ここで、今までのおさらいをします。

    ■うつ病の方にとって満足度の高い職場とは?

    ①うつ病について理解がある職場
    具体的には以下のような点について理解があると働きやすいようです。
    • 無理のない仕事量やペースで働ける
    • 勤務時間に関する配慮がある
    • 気軽に相談できる環境がある
    • 今までにうつ病の方と働いた経験がある
    • うつ病について特別視しない
    ②人間関係が良好な職場
    長く働き続けるためには、うつ病についての理解があるだけではなく、周囲のサポートが必要です。周囲のサポートを得るためには、人間関係が良好であるほうがお互い仕事がしやすくなります。また話しかけやすい状況がある、相談できる人がいることは、うつ病の方にとってとても心強いものです。
    ただ、コミュニケーションをとるのが苦手な方にとって、仲間意識が強すぎる職場は逆にストレスを感じるかもしれませんので、注意が必要です。

    ③休みをとりやすい職場
    具体的には以下のような対応が望める職場は働きやすいようです。
    • 朝、突如としてやってくる体の不調を受け止めて、当日の休みを許可してくれる
    • 休みや早退の申し出をしやすい
    • 午前中に気分がすぐれないことが多いことを考慮して、出勤時間を変更できる
    • 仕事中、体調不良になったら休憩できる
    • 定期的な通院のための休みをとれる
    • 休暇制度などの各種制度や福利厚生が整っている
    ■うつ病の方にとって満足度の低い職場とは?

    ①仕事量が多く期限に追われる忙しすぎる職場
    特に以下のポイントに気を付けましょう。
    • 厳しいノルマや数字設定が課せられる
    • 頑張れば頑張るだけノルマや仕事が押しつけられる。それに応えようとすることで精神的に追い詰められる
    • 仕事を押し付け、断れない雰囲気や相談しづらい環境を作っている
    • 残業が当たり前となっている
    • 無駄な業務が多く、状況を改善しようとしない
    ②給料が安い職場
    障害者雇用はうつ病への配慮やサポートを望めますが、給与が安いという意見もありました。ただ、一般雇用で働く方の中にも給与が安いという方もいらっしゃいます。
    一方で、どちらの雇用形態でも給与に満足している方もいらっしゃいました。その違いは、職場に福利厚生や休職制度などが充実しているかどうかも関係してきます。

    給料、そして福利厚生、制度、賞与などの待遇面は、募集要項で確認できることがほとんどです。企業選びをする際は、まず企業についてよく調べましょう。得られる情報は応募する前にしっかり確認ことが大切です。

    ■うつ病の方に向いている業界とは?

    ①メーカー・製造業
    • 福利厚生や休暇制度、産業医や保健師によるサポートなどの制度が整っている会社が多くみられますが、従業員の人数や会社の規模によりその傾向は異なります。
    • 制度については、企業のホームページや募集要項などでも得られる情報なので、事前に確認すると良いでしょう。
    • 全国展開している企業も多く、働き方によっては転勤や人事異動を強いられることもあります。どのようなスタイルで働きたいのか、働けるのかを十分に検討する必要があります。
    ②サービス・外食・レジャー
    • 子供や高齢者に関わる教育、福祉の仕事は緊張感をもった対応が求められるので、業務内容に興味がないと長く続けるのは難しいかもしれません。ただ、人のために働きたいという志を持つ方が集まっているため、チームワークや人間関係の良い職場でもあるようです。事前見学などを通して、職場の雰囲気を確認することが大切です。
    • 人手不足が叫ばれる業界であることも事実です。1人にかかる負担が多いとストレスの原因にもなるため、担当する仕事の範囲や従業員の数を把握したほうが良いでしょう。
    ■うつ病の方に向いている業種とは?

    ①軽作業
    軽作業にも色々な業務内容があるため、あらかじめ担当業務を確認すると良いでしょう。
    黙々と1人で行う作業もあれば、チームワークを要する仕事もあります。自分の好みのスタイルがどちらなのか、自分にあった仕事を見つけることが大切です。

    ②医療・介護・福祉
    医療・介護・福祉に携わる企業は、福利厚生や制度が整っている企業が多いようです。特に、休職できる日数やその期間の給与補償などが手厚いと、満足度も高くなる傾向にあります。
    しかし、体力を必要とする業務も多いため、ご自身の体調や業務内容にやりがいを感じられるかどうかを十分に検討する必要がありそうです。

    ■うつ病の方はどのように転職活動を行っていますか?

    最も多くの方は利用しているのは「ハローワーク」でした。
    ハローワークは、扱っている求人数も多く、様々な業界や職種を扱っています。また障害者専用の窓口もありますので、障害者雇用と一般雇用で迷っている方、障害者雇用枠で検討している方は相談しやすいでしょう。

    さらに、求人の紹介だけでなく、履歴書の書き方や面接の受け方、企業との間に入って障害の状況をあらかじめ伝えてくれるといったサポートもあります。
    最近は、精神障害のある方を専用とした転職、就職サービスも多くあります。障害の特性を理解しながら相談に乗ってくれるなど、専門窓口ならではの手厚いサービスを受けられるほか、障害者雇用枠などの求人情報も多く扱っています。

    障害について、そして転職や就職を熟知した専門スタッフであれば、適確なアドバイスにより、新しい視野が広がるかもしれません。
    また企業との間に入ってもらうといったサポートを受けることで、よりスムーズな転職活動が期待できます。
    自分と相性の良い転職・就職サービスを活用してみましょう。



    働いたことのあるうつ病の方の口コミには、貴重なアドバイスとなるコメントが多く寄せられています。中には仕事が原因でうつ病になられた方もいらっしゃいます。そのような経験があると、うつ病と付き合いながらできる仕事を見つけることに不安を感じるかもしれません。

    一番大切なのは、うつ病とうまくつきあいながら無理のないペースで仕事探しを行うことだと思います。悩んだり迷ったりしたときは、同じような経験のある方のコメントを参考にしてみてください。ヒントとなりお役にたてれば幸いです。
    理想の仕事に出会えることを応援しています。


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    精神障害者デイケアにて5年、スクールカウンセラーとして10年、発達障害者就労支援センターにて4年の経験を積み、現在は障害者就労移行支援事業所にてサービス管理責任者として勤務しています。著書『「がんばり屋さん」のこころのトリセツ』『【HSPの会社員】が自分らしく楽に働くトリセツ』『発達障害の人が「うまく」働いて幸せに生きるトリセツ』も好評。

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