ガン患者に向いてるのはどんな職場?闘病しながらでもできる仕事選びのポイント

生涯で2人に1人がガンを経験する現代。治療によって寛解も望めるため、多くの患者の方が病気と上手く付き合いながら働いています。

ひとくちにガンと言っても病状や治療方針はさまざまです。ガンと診断された場合に、仕事を続けながら治療を受ける方や、入院や手術を機に、治療に専念するため仕事をやめる選択をする方、治療が落ち着いてこれから再就職を目指す方など、仕事をめぐる環境も違います。

このコラムでは、障害や疾病のある方から寄せられた「職場の実体験」を企業名、障害、疾 病別にまとめた口コミサイト『Umbre』をもとに、治療を続けながら働くのにオススメの職場や、仕事復帰のためのアドバイスをまとめました。

仕事をしながらガンと闘っている方々の体験談から失敗例や成功例を紹介することで、これから復職や転職活動を考えている方のお役に立てたら幸いです。

ガン患者に向いてるのはどんな職場 闘病しながらでもできる仕事選びのポイント

目次

1.ガン患者が経験した2つの気持ち「辛さ」と「充実感」

1-1 「職場の配慮のなさ」が辛く、メンタルに不調が現れることも


繰り返しになりますが、ガンの種類も病状もさまざまで、本来はガン患者とひとくくりにはできません。それでも、ガン患者の方が仕事をする上で直面している問題や、辛く感じた点には共通するものが多くありました。

「在職中に発覚したので、退職や休職の勧めが凄かったです。」

「乳がんの化学治療中です。手・足先のしびれ、痛みがあるので、立ち仕事や手先を使う仕事は長時間できません。」

「病気に対して理解はしてもらえましたが、本来の職務から負担と責任の少ないポジションになり、社内での立場に疑問を持っています。」

この記事を読んでいる方にも、似た経験があるかもしれません。仕事をする上で苦労はつきものですが、ガンを患ったことでそれまでとは違う辛さが加わります。

・ガンを患う前には問題なくできていたことができなくなった。
・職場の人に配慮してもらえない。

こうした苦労が重なり、心身ともに辛い状況に苦しんでいる方も少なくないようです。

「乳がんから、気分の落ち込みと不眠です。心身ともに不安定で短時間勤務もできなくなりました。」

「癌がきっかけでうつ病を発症しました。家から出られなくなったりして、仕事を休んでしまうことがあります。」

「仕事は身体に負担がかかるので、できなくなりました。情緒不安定もあるので休職中です。」

ただでさえ、肉体的にも精神的にも負担を強いられる闘病中には、最大限、仕事の負担を減らす方法を考える必要があります。

1-2 ガンになってわかった「やり甲斐」と「同僚の温かさ」


アンケートでは、辛い体験だけでなく、「こんな形で働いています」「配慮してもらっています」などの声も届いています。

「自分の対応で感謝の言葉を頂くなど、やり甲斐もあります。」

「お昼行こうとかの声かけが本当に嬉しかったです。常に気にかけてくれ、ありがたかったです。」

経済的な必要性から働くと同時に、仕事をすることで得られる充実感が闘病を支える力にもなるようです。こうしたガン患者の方々の声から、働きやすい職場のヒントが見つかりそうです。

※他にも、がんと闘いながら仕事をされている方の体験談がたくさん届いています。
→体験談はこちらから
(「病気、障害ごとの体験談をみる」から選択してご覧ください。)

2.面接でガンのことを打ち明けるべき?


ガン患者の方が転職活動に臨む上で最も気がかりなのが、「面接でガンのことを正直に話すべきかどうか」ではないでしょうか。

面接のポイントをお伝えする前に、ガンと上手く付き合いつつ仕事をしている方の声から、闘病しながら働くにあたって必要な職場環境を考えてみましょう。

2-1 ガン患者が働く上で必要な職場環境とは


治療のために通院は欠かせません。仕事が休みやすかったり、時間の融通がききやすかったりする職場なら、闘病しながらでも長く働けそうです。

「精密検査のために仕事を休ませてもらえます。」

「病院の日はお休みをもらうことができました。」

「勤務時間の調整などは自由にさせてもらえた。」

また、どんなに強い責任感で仕事に取り組んでいても、ガンを患っていると急な体調の異変が起こりえます。そんな時に体調を考慮してフォローしてもらえる環境だとありがたいですね。

「再発の際に休職することに理解を示してくれ、復帰後も体調に合わせて業務内容の調整をしてもらえました。」

「業務内容や就労条件は手術前と同じですが、体調不良が発生した場合にはすぐに対応してもらえています。」

「自分の疾患について上司が良く理解してくれているので、急な検査や入院にも対応してもらえます。」

治療が功を奏し、病状が落ち着いていても、ほとんどの方が以前より疲れやすく体調に波があると答えています。ガン患者の方の職場選びにあたっては、病気や治療への理解があることが必須条件になります

2-2 避けた方がいい職場は「忙しすぎる」「人手が足りない」


次に、「病気に対する配慮が受けられなかった」という方の声から、ガン患者が避けた方がいい職場環境を考えます。

「従業員がギリギリの人数なので、個人の負担が大きい。」

「人数がギリギリの状態だったので、当日いきなり休んだりする人がいると同僚にしわ寄せがいくので、自分の体調が悪くても休むことができないと感じました。」

「ホスピタリティに優れた企業なので、気遣いやサポートをする気持ちはすごくありますが、実際の業務では、忙しさで周りの方のサポートがゼロになります。」

上司や同僚からの配慮の意志はあったものの、「業務の忙しさの中で余裕がなく、十分にサポートができなかった」という職場も少なくないようです。

ガン治療に対する理解があることに加え、周囲からのサポートが機能する職場であるかを見極める必要があります。サポートする意志があっても、人手不足や多忙で実際には難しい職場では、自身も周囲も無理を重ね、仕事が続かないという結果になりかねません。

2-3 理解を得るためにも自分の病状を知ってもらおう


就職後に職場の理解を得るためにも、面接では言える範囲でできるだけ詳しく、病状と今後の通院の予定などを伝えましょう。ガン患者の方のアドバイスを紹介します。

「絶対に病気や障がいを隠さず、言ってみてください。少しでも理解してくれるところがいいですから。」

「病気を隠していたと後になってわかると、当然、それなりの処遇になると思います。」

「伝えたことで不採用になるのでは」と不安に感じるかもしれませんが、伝えずに「ガン患者なら不採用にする」と判断する会社に採用されたとして、その後の勤務で問題はないでしょうか。体調が悪いことすら言いづらい環境で働くことが、さらなる負担にはならないでしょうか。

先にも述べた通り、ガン患者の方が働きやすいのは、体調に配慮してくれる職場です。自分の症状をちゃんと伝えることが、入社後に周囲の理解を得ながら無理なく働く上で必要になるでしょう。

2-4 面接で聞いておきたいのは「病気への理解があるか」


ガン患者の方の多くが、面接では「病気への理解・配慮があるか」を必ず確認すべきだとアドバイスしています。

「どれくらい病気や障害に理解があるのか、どんなサポートを受けられるのかは、事前にしっかり確認しておくべきです。」

「体調が悪くなったときにすぐ休めるのかなどは絶対にきくこと。」

アンケートではこんな体験談も寄せられていました。

「勤務してすぐに病気になり、退院後に呼び出され、『採用してすぐに病気になるなんて、あんたに騙された』と言われたことがあります。病気や事故は本人がなりたくてなったわけではないのに、このような考えを持つトップの下で働くのはつらいものがあります。」

ただでさえ病気で大変なのに、職場の理解がないためにさらに辛い思いをすることがないよう、健康に不安を抱えて働く人への配慮ができる企業であるか、冷静に見極めて就職を決めましょう。

※他にも、がんと闘いながら仕事をされている方の体験談がたくさん届いています。
→体験談はこちらから
(「病気、障害ごとの体験談をみる」から選択してご覧ください。)

3.ガン患者にオススメの働き方


アンケートの結果から、ガン患者の方が治療を続けながらでも働きやすい職場や勤務形態の特徴を紹介します。

3-1 オススメの職場の特徴

①業務シェアができている職場

「様々な業務をこなすことができるように日ごろから仕事を配分しているため、突然休んでしまっても適切に対応できる。」

ひとつひとつの案件を専任で担当するのではなく、全体で行うような形をとっているなど、日頃から複数のスタッフで業務のシェアができている職場なら、急な欠勤があっても他のメンバーが代わって業務を行うことができます。

②テレワークもできる職場

「自分のペースで働くことができる。 会社に出られない時には、テレワークで自宅でも仕事をすることが許可されている。」

通勤するのは負担だけど、自宅でなら仕事ができるという体調の時もあるでしょう。テレワークが許可されている職場なら、ちょっと体調が悪く職場に行けないという時でも無理なく働けます。

③フレックスタイム制の職場

「フレックスタイム制なので、出社、退社の時間に自由がきく。就業時間中の中抜けも可能なので、病院への通院がしやすい。」

「体調不良の時には、仮眠室で休憩を取ることが出来る。」

気温の変化など些細なことで不調を感じやすいガン患者の方も、午前中に休んでから出勤するなどの工夫で乗り切れることもあるようです。時間を調整して勤務ができる職場なら、無理せずに働けるでしょう。

3-2 オススメの勤務形態の特徴

①シフト制の勤務

「毎月のシフト作成時に休みの希望を最大限考慮してくれている。」

「午前中は比較的体調がよく、午後になると体調が悪くなることが多いので、早朝出勤しています。」

シフト制の勤務形態の中でも、時間帯と勤務日数の希望が申請しやすい職場なら、体調の変化に合わせて働きやすいようです。

②在宅での仕事

「自宅のパソコンを使って仕事をしている。自分のスケジュールで仕事が出来る。出来高制である分仕事量が収入に直結するが、無理をする必要がないのが良い。」

以前は副業としていたパソコンでの仕事を、闘病のために退職してからは本業にした方の例です。自分の体調を最優先させて働けるので、選択肢のひとつとして検討してみるのもいいと思います。

数ヶ月おきの経過観察のみ通院というケースだけでなく、短い間隔での精密検査が必要な方、抗がん剤治療で入院期間が必要な方など状況はさまざまです。治療が進むにつれ、希望する働き方も変化していくことが考えられます。その時々で、ある程度は柔軟に対応してもらえる企業でなら、長く働くことができるでしょう。

4.自分に合う職場の探し方


働き始めてからも、体力的に難しいと感じる場面や、予定外に通院が必要な日が出てくるでしょう。反対に、体力が回復し、当初より勤務時間を増やしたいと思うこともあるかもしれません。ガン患者の方に合う職場探しのポイントを、アンケートの結果から探っていきます。

4-1 優先順位を明確にする


「自分でこれだけは譲れないものを中心に考え、それ以外の部分は目を瞑る必要が出てくることは覚悟した。」

就職活動をするうえでの鉄則ではありますが、ガン患者の方が就職をする際には特に重要といえます。

4-2 心身の状態を把握する


「立ち仕事、力仕事など元気な頃に出来た仕事につくのはむずかしいと思うので、いままでのキャリアは考えずに仕事を探したほうがいいと思う。」

「病院でソーシャルワーカーさんとかに相談するのもいいと思います。」

以前はできたことが思うようにできないということもあります。応募するにあたって、応募先企業に考慮して欲しい内容を整理するためにも、医師の意見も聞きながらできるだけ詳細に書き出してみるのもいいでしょう。

4-3 実際に企業を訪問して雰囲気を確認する


「まず実際の現場を見学させてもらうことが大事かと思います。」

「実際にその仕事をしてみて、自分は本当にきちんと勤めることができるのかどうか判断するべきです。短期間でもいいので実習をしてからがいいと思います。」

職場見学ができるのであればできるだけ行ってみましょう。また、試用期間・トライアル雇用制度が明記されている求人に応募して、実際の業務を経験できる機会があれば利用してみるのもいいでしょう。

4-4 専門のアドバイザーを活用する


転職や就職活動を1人ではじめようとするのは、肉体的にも、精神的にも大変なことです。最近は、病気をお持ちの方を専門にしたハローワークの窓口や、人材紹介会社などのサービス機関もあります。

ひとりで1からはじめる就職活動との違いは、専門のアドバイスやサポート、自分にあった企業の紹介を受けられるため、担当者と一緒に不安を取り除きながら活動を進めていくことができます。気になる方は、活用してみてください。

①ハローワーク

病気や障害のある方専門の窓口があるため、相談やアドバイスを受けることができます。また、地域によっては、ハローワークの方が病院へ出向いて相談にのってくれるケースもあります。

②人材紹介会社

がんなどの病気や障害で、働くことに不安を覚えている方の就職活動を応援してくれる専用の人材紹介会社をご存知でしょうか?

具体的には、履歴書の書き方や面接の練習、おすすめする企業の紹介やその企業との連絡、事前見学の調整、入社後のケアや相談など、全面的なサポートなどを行ってくれます。

ハローワークなどでは公開されていない求人情報も扱っています。また企業との連絡が密なので、ホームページや求人票からは得られない職場環境なども知ることができます。

人材紹介会社も一つの企業です。紹介できる企業の得意分野や担当者の性格はさまざま。自分の希望や意見が伝えやすく、理解してもらえる人材紹介会社かどうかをチェックしてみましょう。

※他にも、がんと闘いながら仕事をされている方の体験談がたくさん届いています。
→体験談はこちらから
(「病気、障害ごとの体験談をみる」から選択してご覧ください。)

5.入社後に心がけたこと


実際に働き始めたガン患者の皆さんは、どのようなことを心がけて仕事をしているのでしょうか。アンケートから見ていきます。

「上司に早い段階から相談します。身体の状態、不在になる日数なども伝えていた。」

「なにか突発的な出来事があった場合に備えて、会社の人事担当と、働く現場の職員の方に、具体的な症状と、普段の生活の現状などを話しました。」

プライベートな内容について、どこまで伝えるかは難しい判断となりますが、一緒に働く上司や周囲の方に知っておいてもらうことで、必要なサポートが受けやすくなります。

「始めの頃は、パートの人達も私の体のことをよく理解してくれていたので、重いものは、代わりに持ってくれていました。」

この方のケースでは、入社した当時にいた同僚には事情を伝えていましたが、後に入社してきたメンバーにまでは伝えていないことで誤解されているとのことです。

「障害と言っても、見た目は普通に見えるのでとても辛いです。この人はズルイと思われてしまう様です。」

新しく入社してくる度に事情を話す必要があるのか、という点については状況次第ですが、責任者を通じて限定的に伝えるなどでもよいでしょう。理解を得られる方が周りにいるだけで、サポートを得られやすい環境になるでしょう。

「入社したては、張り切って無理してしまいがちなので、無理ができないことを周りの人達に知ってもらうようにしました。」

無理をしてでもつい頑張ってしまうかもしれませんが、せっかく就職できた職場で長く働くためにも、体調を優先しながら自分のペースで働くのがよさそうです。

※他にも、がんと闘いながら仕事をされている方の体験談がたくさん届いています。
→体験談はこちらから
(「病気、障害ごとの体験談をみる」から選択してご覧ください。)

6.最後に


ガン患者の方が働きやすい環境について、実際にガンと闘いながら働いている方へのアンケートをもとに紹介しました。
ガンの治療を続けながら働く大変さについて伝えてきましたが、最も大切なことは働くすべての人に共通することかもしれません。アンケートでこんな声がありました。

「できないことはあるが、できることをしっかりやらせてもらおうと心がけています。」

自身の病気だけでなく家族の介護や育児など、働く上で何らかの制約がある方が多い現代。今は制約がなくてもそうした時期を経験した方、また今後経験するであろう方も多いでしょう。全ての業務が得意なわけではなく、一部は周囲にサポートしてもらってスムーズに遂行できているという人も少なくないかもしれません。

できないことがあっても、できることを探して貢献していこうとする姿勢が、よりよく働くためのポイントになるのではないでしょうか

なかなか仕事が決まらず、病気のこともあって心身ともに疲れてしまうこともあるかもしれませんが、何よりも自分の健康を最優先に、働ける職場を探すチャレンジをしていきましょう。

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