てんかんのある方の転職に向いている仕事は?222人の口コミを分析

てんかんのある方の転職に向いている仕事 222人の口コミを分析

てんかんを抱える方が転職を考えるとき、無理なく続けられる仕事は何か、どんな仕事が向いているのかと迷うこともあるのではないでしょうか。

仕事で苦労している方がいらっしゃる一方で、自分に向いている仕事を見つけることで楽しく仕事が続けられているという話も耳にします。

今回はてんかんを抱えながら働いている方222人の口コミから、てんかんのある方が考える働きやすい職場、業界、職種を調査・分析しました。

てんかんを抱える方におすすめの仕事を、満足度の高い職場や業界や職種など、分析データとともにご紹介していきます。
また、障害者雇用の専門家みちしたさん(社会福祉士、精神保健福祉士)にもアドバイスをいただきました。

悩みはそれぞれだと思います。ご自身の悩みと照らし合わせながら、転職を成功させるためのヒントにしてみてください。

*この記事はみちしたさんに監修していただきました
みちしたさん

社会福祉士・精神保健福祉士(ソーシャルワーカー、精神科ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)の資格を持つ。障害者支援施設にて支援員を8年経験した後、福祉資格を持つ地方公務員として採用され、ソーシャルワーカーとして活躍。


【この記事でご紹介するデータ】
調査期間:2018年2月~2020年4月
調査方法:弊社サイトUMBREから対象となる口コミを抽出
調査対象:働いた経験のあるてんかんの方の口コミ222件
データ集計日:2020年8月7日
※口コミとして投稿された内容を分類し集計したデータを使用しています。


障害者雇用で転職をお考えの方、無料で転職相談しませんか?
精神疾患のある方の面接のコツや求人の探し方をはじめ、仕事探し、転職活動自体のアドバイスも実施中。
すぐに転職するかわからない、障害者雇用で働くか迷っている方のご相談も承っていますご相談はこちらから

目次

1.てんかんとは

2.てんかんのある方の職場満足度

3.てんかんのある方にとって満足度が高い職場とは

4.てんかんのある方にとって満足度が低い職場とは

5.てんかんのある方におすすめの業界

6.てんかんのある方におすすめの職種

7.てんかんのある方の転職活動の進め方

8.専門家からのアドバイス

9.まとめ

1.てんかんとは

    てんかんは、突然意識を失って反応がなくなるなどの「てんかん発作」をくりかえし起こす病気です。

    「てんかん発作」は、脳の一部の神経細胞が突然一時的に異常な電気活動(電気発射)を起こすことにより生じますが、脳のどの範囲で電気発射が起こるかにより様々な「発作症状」を示します。しかし症状は基本的に一過性で、てんかん発作終了後は元通りの状態に回復することが特徴です。

    原因は様々で、脳腫瘍や頭部外傷後遺症などの明らかな原因がある場合は「症候性てんかん」、原因不明の場合は「特発性てんかん」と呼ばれます。

    てんかんをもつ人にとって、発作が起こっている時間は通常数秒から数分間にすぎないため、発作が起こっていないその他のほとんどの時間は普通の社会生活をおくることが可能です。従って、病気の特性を周囲の人がよく理解し、過剰に活動を制限せず能力を発揮する機会を摘み取ることのないよう配慮することも、てんかんをもつ人に対するケアを行う上で大切なポイントです。

参考:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」

てんかんのある方は、治療を行い症状と付き合いながら過ごすことができますし、多くの方は発作があっても、普通に社会生活をおくることが可能です。
しかし、周りの方の理解やサポートが必要になる場面も多くあります。仕事でもその傾向は強く、できない仕事や避けたほうが良い業務もあるため慎重に職場を選びたいものです。

てんかんと付き合いながら働くために、向いている仕事をじっくり探していきましょう。

2.てんかんのある方の職場満足度

まずは満足度が高い職場について見ていきましょう。
このグラフは、てんかんのある方の口コミから仕事への満足度の割合を抽出し、集計したものです。

てんかんの方の仕事満足度グラフ
※口コミの中から「あなたはその会社の就労環境に満足していますか?」を集計して割合を抽出



「とても満足している」「満足している」が47%
「満足していない」「全く満足していない」が25%
「どちらともいえない」が29%

という結果になりました。
約半数の方が、働いた企業に満足していることが分かります。

それでは、仕事に対する満足度は何によって決まるのでしょうか?
口コミのコメントを交えながら詳しくみてみましょう。

3.てんかんのある方にとって満足度が高い職場とは

47%を占めた「満足度が高い職場」にはどのような特徴があるのでしょうか? 「満足度が高い」と述べた方の理由を分類して、集計をとりました。

てんかんの方の職場満足度が高い理由
※口コミの項目「満足度の理由」を分類し、プラス評価している内容を集計して割合を抽出。10名未満の少数回答は除く。


このグラフからは、以下のような傾向がみられました。

    【満足度の高い職場に必要な要素】

  • てんかんについて理解がある
  • 周囲の協力が得られる
  • てんかんを特別視しない
ここからは、それぞれの職場の様子を、口コミのコメントとともに紹介していきます。

3-1.満足度が高いと感じる理由1「てんかんについて理解があるから」

てんかんについて正しく理解している方は、世の中にどれぐらいいるでしょう。病名については知っていても、その特性について詳しく知る機会はまだまだ少ないのが現状です。それゆえに、誤解されることも多いかもしれません。

1番の理由で挙げられた「てんかんに対して理解がある」職場とは、どのような職場なのでしょうか?また、具体的にどのような理解があるのでしょうか?実際に寄せられたコメントを見ていきましょう。

これまでは、営業としてお客様へ建設機械を納品したり、デモ操作をしたりしていましたが、できなくなりましたので経理部に異動させて頂き、社内での仕事をするようになりました。
男性、総合電機

てんかんは周りに言いづらい病気なので、社員メールで欠勤報告する場合も「風邪」等の理由で誤魔化して大丈夫、と気遣っていただきました。また、万が一業務中に倒れた場合の対処法を教えてほしいと、上司から協力的に接してくださいました。
女性、レジャー・アミューズメント・フィットネス

症状が出てしまった時でも、移動させて休ませてくれたり周りに説明をしてくれたりしました。症状が起きたあとでも、何もなかったように接してくれました。
女性、サービス・外食・レジャー系



これらのコメントに共通する要素として、以下の3つが挙げられます。

【てんかんについて理解があるとは】

・個々の事情や働き方に関して配慮がある
・通院や欠勤に対して寛容である
・症状が出た時の対処方法を知ろうとしてくれる
・周囲に知られたくない場合に、寄り添って対処してくれる


また、このようなコメントもありました。

過去にてんかんの人がいたことで、てんかんの様子を経験している人が多かった。
男性、外食・フード



自分と同じ疾患の方が職場にいるかどうかは、その企業や職場の方々がてんかんに関する知識を持っているかどうかを判断するためのポイントになりますね。

最近では、障害のある方の雇用に対して積極的に取り組んでいる企業が増えています。同じ疾患の方が職場にいるかどうかに加えて、その企業の取り組みを知ることは、企業全体の障害者雇用に対する姿勢を知る手がかりになります。
アンブレでも、それぞれの企業の取り組みについてわかる範囲で紹介していますので、参考にしてみてください。

障害者雇用への企業の取り組み

てんかんと聞くと、発作が起きたときの対応に注目されがちです。もちろん発作に対する対応も重要ですが、症状が現れていないときに対する理解も必要です。

例えば
  • 発作がなければ、比較的安定して仕事ができること。
  • できない仕事もあるけれど、それはごく一部の限られたもの。それを除けば活躍できる担当業務もたくさんあること。
  • 症状を安定させるためにも定期的な通院が必要なので、平日にお休みをいただく場合があること。
このように、自分の状態を上司や職場の同僚に詳しく伝えることで、周囲からの理解も深まるでしょう。

3-2.満足度が高いと感じる理由2「周囲の協力があるから」

てんかんへの理解があるだけでは、働きやすい職場とは言い切れません。理解がある上で、さらに周囲から協力やサポートが得られると、より安心して働けるものです。

それでは、「周囲の協力」とは具体的にどういったものなのでしょうか?実際に寄せられたコメントを見ていきましょう。

婦人服売り場で働いていたので、スタッフが皆女性だったこともあり、体調面については何でもオープンに話ができました。とても感謝しています。病名もスタッフ全員が理解してくれていたので、常に私の発作の事を気にかけてくれたり、棚卸など体力の使う仕事は他の方も一緒に手伝ってくれたりと、とにかく色々と助けてくれました。
女性、専門店

職場の方々が不安に感じることをしっかりサポートしてくれたので楽しく働けた。
男性、レジャー・アミューズメント・フィットネス

睡眠時間が大切なので、無理にシフトを組んだりせずゆとりを与えてくれました。
専門サービス

いつ発作が起きるか分からないということで、1人での外回りを無くしてくれました。
男性、人材



これらのコメントからは、様々なサポートの仕方があることが伝わってきます。あると嬉しいサポートとしては、以下のようなことが挙げられました。

【てんかんの方にとってあると嬉しいサポート】

・発作が起きないように日々の体調に気を使ってくれる
・発作が起きたときに対応できる体制がある
・ストレスなく働くために不安な部分をサポートしてくれる
・ゆとりのある勤務体制で安定した生活リズムをサポートしてくれる


困っている時に助けてくれるだけでなく、通院や体調に配慮して日ごろから勤務日や勤務時間を調整してくれることは、仕事を無理なく続けていくためには必要です。

なぜなら、てんかんの症状を抑えるためには、規則正しい生活と心理的な負担の軽減が必要不可欠だからです。本人の事情や意思を尊重してくれるような職場は、てんかんの方が安定して長く働く上で理想の職場と言えます。

このような周囲からのサポートを得るためには、悩みや困りごとを気軽に相談できる環境であることも大切です。
1番の理由として挙げられた「てんかんへの理解がある」、そして2番目の理由「周囲の協力がある」。どちらも、自分のてんかんの症状や傾向を上司や同僚に伝えることで、得られる可能性が高まるのではないでしょうか。

3-3.満足度が高いと感じる理由3「てんかんについて特別視しないこと」

「てんかんについて特別視しない」という理由についてご説明する前に、同じく理由として多く挙げられたその他についても、少し触れておきます。

「その他」には、項目に分類できなかった少数回答が含まれていますが、具体的にどのような回答があったのでしょうか?

家からすぐ近くで、乗り物に乗らなくて済む。定期健診に行くときは平日に仕事を休める。
教育、受付事務・清掃

過去に勤めていた企業でもてんかんはオープンにしていませんでしたので、純粋に企業として満足していました。
男性、ソフトウェア・ハードウェア開発



突然の発作が心配なてんかんの方にとっては、通勤時間も不安材料の1つになるかもしれません。車の運転が必要かどうかも気になるところです。そのため「勤務地が近い」ことは、仕事選びの重要なポイントの1つになります。

また、てんかんであることをオープンにせず、特別な配慮が無いほうが働きやすいという声もありました。転職や就活を考えるとき、てんかんをオープンにするかクローズにするかという選択に悩む方も多いでしょう。
この悩みについてのアドバイスは後述しますので、参考してみてください。

次に、「てんかんについて特別視しない」ことに関連したコメントを見ていきましょう。

持病があっても、対等に受け入れてくれることがありがたかったです。またそういったことも含め、仕事や他の点でも評価をしっかりしてもらえました。障害や持病を持っている人に対して誠実に対応していると感じました。
男性、外食・フード

てんかんという病気を持つ私に対しても、ちゃんと接してくれた人が多かった上に、一般と同じような仕事を任せてくれたことに対する満足感。
女性、外食・フード

私の場合は発作が起きると周りにかなりの迷惑を掛けてしまうのですが、それを理解した上で、ほかの人と平等に接してくれました。
女性、アパレル・日用品、経理

腫れ物にさわるかのような対応ではなく、私のよさを認めてくれ、フォローしてくれます。特別扱いをすることはなく、私の仕事上での要望もしっかり聞いてくださいます。
女性、教育



配慮をしてもらうのは嬉しい反面、それが過剰になり、腫れ物に触るような扱いでは働き甲斐を感じにくくなり、働きづらくなってしまうこともありそうです。ほどよいバランスを保ちながら接してもらえると嬉しいですよね。

中には、対応方法わからないためか、周囲に方に距離を取られてしまったり、簡単な仕事しか与えられなかったり、まるで「腫れ物に触るかのような」対応をする職場もあるようです。

他にこのようなコメントもありました。

基本的に、病気の件で何かあったらすぐに報告を!というスタイルには安心できました。ただ私は、対等に扱って欲しいという面もありました。どこかで病気というのを認めたくなく、健常者と同じように働けるんだ!という気持ちが強かったので、過度の心配はストレスがかかりました。私は、皆に迷惑をかけているんだとネガティブになってしまう所がありました。
女性、外食・フード、接客



てんかんは、発作に対するイメージが強いため過剰な反応をされることもあるでしょう。
しかし、服薬や生活リズムを整え体調管理を整えることでコントロールできることを知ってもらうことで、特別視されない環境づくりにプラスに働くかもしれませんね。

例えば、

  • 自分で症状をコントロールできていること
  • 発作が起きたときの様子や必要な対応
  • 目を離すことができない場所や機械を使った作業など、一部できない業務もあるが、それ以外は問題なく遂行できること
このように、ご自身の特徴や傾向を伝え、普段は過剰な対応や特別視が必要ないことを理解してもらうことも、働きやすい職場づくりにつながるのではないでしょうか。

ここまでは「満足度の高い職場の特徴」について見てきました。それでは反対に「満足度が低い職場」とはどのような職場なのでしょうか?コメントをもとに見ていきましょう。

4.てんかんのある方にとって満足度が低い職場とは

25%を占めた「満足度が低い職場」には、どのような特徴があるのでしょうか? 満足度が低いと述べた方の理由を分類して、集計をとりました。

てんかんの方の職場満足度が低い理由


※口コミの項目「満足度の理由」を分類し、マイナス評価している内容を集計して割合を抽出。4名未満の少数回答は除く。


このグラフからは、以下のような傾向がみられました。

    【満足度の低い職場になってしまう理由】

  • その他(少数派意見が多数=様々な意見がある)
  • 給料が低い
ここからは、それぞれの職場の様子をコメントとともに紹介していきます。

4-1.満足度が低いと感じる理由1「その他」

満足度が低い職場の理由として一番多く挙げられたのはその他でした。他の理由に当てはまらない意見が最も多かったということですが、具体的にどのような意見が寄せられたのでしょうか。

就労環境を改善するために様々な制度を取り入れているが、現場での運用が不十分。
男性、医療・医薬、技術系

自動車の運転免許を持つことができなかったから、通勤に時間がかかった。
軽作業

まあ、やってくれてはいるが表面上だけでしたので満足していません。
男性



運転免許の取得が難しいてんかんの方にとって、勤務地までの通勤手段や所要時間は、働きやすさに大きく影響します。
また、企業全体では障害や疾患に対する取組み行っていても、現場レベルでは十分なサポートが得られなかったという意見も寄せられました。

就職する際には実際に行う仕事の内容や通勤手段はもちろん、現場の雰囲気や、配慮が必要な場合は、それが得られそうか、しっかりと見極めることが必要です。

■満足度が低いと感じる理由2「給料が安いから」

いくら障害や病気に対する理解がある職場でも、十分な収入が得られなければ自立した生活を送ることはできません。労働に対して適切な対価が支払われない仕事であれば、自然と満足度は下がってしまうでしょう。

自分は疾患を持って仕事させてもらっていますが、仕事の内容などを含め給料にはやはり不満があります。
女性、医療・福祉・介護

体調が安定せず、休むことが多くなってしまい、迷惑を掛けているので申し訳ないが、看護と介護の両方の仕事があり、負担があるため、もう少し給与が上がると嬉しい。
女性、医療・福祉・介護

仕事としての満足度は、出来る仕事ということもあり満足です。ですが、どんなに周りよりも仕事をしようが、給料には反映されないことが難点でした。ですから、満足度としては働き甲斐はあるものの、給料が余りにも少ないのでどちらともいえないと判断しています。
男性、コンピュータ・通信・精密機器、技術系



時短勤務や欠勤の融通は聞いてもらえる一方で、「給料が減ってしまうことは仕方ないと割り切っている」という意見が多数寄せられました。また、非正規での雇用にも関わらず、仕事内容は正規職員と同様で労働と対価が釣り合っていないというコメントも届いています。

一方で給与に満足していらっしゃる方のコメントも届いていますので、比較してみましょう。

病気に対して配慮があり、時間外業務を行わない形で何年も働かせてもらっている。 病気により数ヶ月欠勤をした時も、賞与は減るが給与が減ることはなかった。
女性、銀行・信用金庫、貿易事務

てんかん発作を起こし職場で倒れ、そのまま救急車で搬送されることも二度ありました。最終的に月一のペースで入退院を繰り返した時期もありましたが、自分のペースでいいから、気負いせずに、と言っていただきました。社保がきちんとしていたことも非常に助かりました。
女性、専門店



症状や体調を考慮した働き方ができることは、とてもありがたいことです。しかし、それが原因で支払われる対価が下がってしまっては、職場への満足度も低くなってしまいます。そういったことが無いよう、福利厚生や休暇制度が充実している企業を選ぶことも就職活動を成功させるためのポイントのひとつです。

ここまで見てきた内容をもとに、満足度の低い職場の特徴をまとめます。

【満足度が低い職場の特徴】

・給料が安く、休暇制度や福利厚生が十分でない
・てんかんに対する配慮やサポートが十分でない
・勤務地まで時間がかかり、体調面での不安が残る
ひとつの職場で安心して働き続けるためには、十分な給料や安定した職場環境は必須です。それらを踏まえた上で、てんかんを抱える方が自分の症状や体調に合わせて自分のペースで働ける職場、必要な時に適切なサポートを受けられる職場であれば、働きやすいのではないでしょうか。

5.てんかんのある方におすすめの業界

次に、てんかんのある方が働いている業界の傾向を見てみましょう。様々な業界で多くの方が活躍されています。

てんかんの方が働いている業界の割合

※口コミの項目「働いているまたは働いていた企業」で挙げられた企業を業界別に分類し、集計して割合を抽出


てんかんの方が多く働いている業界は以下のような結果になりました。
  • サービス・外食・レジャー 41%
  • メーカー・製造業 16%
  • 小売・流通・商社 12%
それぞれの業界の満足度はどうなっているのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

てんかんの方が働いている業界別満足度


※口コミの項目「働いているまたは働いていた企業」と「満足度について理由」をクロス集計して割合を抽出。ただし、答えた人数が10人未満の業界は比較対象外とした。


「とても満足している」「満足している」と述べた方が多い業界は、以下の通りでした。
  • 小売・流通・商社系 58%
  • IT・通信・インターネット系 57%
最も働いている方が多い「サービス・外食・レジャー系」の満足度は48%で全体の4位になっていることから、働いている人の多さと満足度は必ずしも結びついていないことがわかります。

それでは、てんかんのある方は「小売・流通・商社系」「IT・通信・インターネット系」業界のどのような点に、働きやすさを感じているのでしょうか。

常備薬の服薬と生活リズムを守ることが特に発作の予防に重要なので、過多な残業がないよう上司や総務とも注意して作業を割り振ってくれた。
男性、IT・通信・インターネット系、エンジニア・技術職

ある程度自分の体のことは理解してくれていたので、働きやすい環境でした。分からないことが多くて、先輩に何度も聞いていましたが、親切に答えてくれました。
男性、小売・流通・商社系、営業

面接で、てんかん持ちだと言っても嫌な顔1つされないで採用してくださいました。定期的な通院のための欠勤も快く対応してくださいました。
女性、小売・流通・商社系



上記の業界では、てんかんへの偏見が無いこと、周りの人々がてんかんについて理解してくれることに関する意見が、特に多く寄せられました。

また、規則正しく生活ができるように、上司から残業についての配慮が得られたという回答も寄せられました。「満足度が高い職場の特徴」でも述べましたが、てんかんの症状を抑えるためには、規則正しい生活を心がける必要があります。ですから、勤務時間に関する配慮が得られることはやはり大切ですね。

「IT・通信・インターネット系」「小売・流通・商社系」業界には、様々な職種があります。同じ業界内でも、自分に向いている業務を担当できることや、症状によって業務量を調整できることも、働く上での満足度につながります。

次は、てんかんのある方におすすめの職種について見ていきましょう。



▼他にも「IT・通信・インターネット・小売・流通・商社系」それぞれの業界でお仕事されている方の口コミがたくさん届いています。 ぜひこちらから業界を選び参考になさってください。

6.てんかんのある方におすすめの職種

てんかんのある方は、どのような職種に就いているのでしょうか?口コミのデータからおすすめの職種を考察します。

てんかんの方が働いている職種

※口コミの項目「担当していた業務」で挙げられた担当業務をもとに、職種別に分類し集計して割合を抽出


最も多くの人が就いている職種は、以下のような結果になりました。
  • 事務 23%
  • 医療・介護・福祉 17%
  • 販売・接客・サービス 16%
事務の仕事は人と積極的に接するよりも、パソコンを使って黙々と業務をこなすことが多い仕事です。人と接することが苦手な方にとって、事務のように過度なコミュニケーションを必要としない仕事は、理想的であると言えるのかもしれません。

特に「医療・介護・福祉」に関しては、その職業の特性上、病気に関しての理解が得られやすい職種です。また、業界で最も多かったのは「サービス・外食・レジャー系」でしたが、それに関連する職種「販売・接客・サービス」は、意外にも3位と言う結果となりました。

それでは、多くの方が就いている職種の満足度は高いのでしょうか?職種別にそれぞれの満足度を比べてみましょう。

てんかんの方が働いている職種別満足度


※口コミの項目「担当していた業務」と「満足度の理由」をクロス集計して割合を抽出。ただし、答えた人数が7人未満の職種は比較対象外とした。


「とても満足している」と「満足している」が占める割合の高い職種は、以下のような結果になりました。
  • 事務 61%
  • 販売・接客・サービス 48%
では、どのような点が働きやすいのか、コメントから具体的に見てみましょう。

■事務

働いている人が優しくて、手が空いてるときは積極的に声をかけて仕事を手伝ってくださったため働きやすかった。上司も問題があったらすぐに対処してくれて、部下のミスも責任をとるような人でした。
女性、教育、事務

自分のペースで働ける事が多かった。取得した資格を活かせる仕事だった。
女性、教育、事務

小まめに休憩がとれました。個性を大事にしてくれ、急かされる事もありません。
男性、人材、事務



事務の仕事で見られた傾向は、比較的自分のペースで働くことができるということです。また、「人間関係が良い」「てんかんへの配慮がある」と言う声も多数寄せられました。

常に締め切りに追われている職場や、人間関係に気を使わなくてはならないような精神的な緊張が強い職場では、てんかんの症状に悪影響を及ぼす可能性が高くなります。自分のペースで業務を行える事務職は、てんかんの方とって望ましい職種と言えるでしょう。

■販売・接客・サービス

人手不足であったため、万全なサポート体制では無かったが、体調が優れない時は接客ではなくバックヤードで作業をすることができた。
女性、その他、販売・接客・サービス

なるべく業務量が偏らないように配慮してくれている。また、通院日には休めるように調整してもらっている。
男性、物流・倉庫、販売・接客・サービス

病気が増えて、通院しなければならなくなったがこちらの都合に合わせてシフトを組んでくれた。また、度々病状や仕事に支障が出ているか、確認をしてくれた。
団体・連合会・官公庁、販売・接客・サービス

時給が良く、子供の行事や体調にあわせて休める環境だった。
女性、その他、販売・接客・サービス



販売・接客・サービスの仕事では、病状や通院に合わせた休みを取りやすいという声が多数寄せられました。要因として考えられるのは、一般的なフルタイムの仕事ではなく、シフト制の職場が多いことが影響しているかもしれません。

定期的に通院しなければいけない場合は、シフト制で勤務日や勤務時間を調整できるほうが「周りの負担になるのではないか?」という気持ちを抱かずに済みます。接客の仕事にも様々な種類の業務があります。ファッションを扱う仕事もあれば、受付を主とする仕事もあるでしょう。中にはマニュアルの準備や事前研修などを通して、接客技術を学べる場合もあります。「人と接するのが苦手」という方も、職場のフォロー体制を確認した上で、選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか?

7.てんかんのある方の転職活動の進め方

転職活動や就職活動の進め方には様々な方法があります。最近はインターネットなど情報元も多く、方法の選択肢も増えています。

皆さんはどのように転職先や就職先を見つけているのでしょうか?
次のグラフは、てんかんのある方がどのようなサービスを利用して転職活動や就職活動を行ったのかを表したグラフです。

てんかんの方が利用した求人サービス

※口コミの項目「その職場を見つけた方法および、就職までに利用したサービス(複数回答可)」の有効な口コミを投稿した104名による267件を集計して合計人数を算出


「求人メディア、ハローワークを活用した」という方が、多くを占める結果になりました。具体的に利用した方の口コミを見ていきましょう。

求人メディアを利用しました。採用面接の指導などをしてもらいました。
男性、建築・建設・設計・土木、事務

転職フェアで見つけた企業です。サポートなどは特に無いです。たくさんの企業の説明会に参加できたところが良かったです。
男性、医療・福祉・介護、介護

ハローワークへ頻繁に出向いて、仕事を探していました。障害者登録をしたのですが、マンツーマンで同じ人と話せたので安心できました。
女性、運輸・交通、事務

ハローワークで障害者登録をしました。担当者がつき、フォローをしながら一緒に探してくれました。
女性、運輸・交通、事務



実際に地域で開かれる転職フェアや企業説明会に足を運んでみるのも良いでしょう。企業の担当者と話せる機会もありますし、雰囲気を感じとることができます。面接では聞きづらいことも、気軽に聞けるかもしれませんね。

また、ハローワークでは自身の就職に関する悩みを相談した上で、仕事探しのサポートを受けられます。気軽に利用できるので、相談してみるのも良いでしょう。

・自己分析をしたいけど、自分のことがよくわからない。
・気になる会社を見学してみたい。
・自分のことを面接で上手く話すのは難しい。

そんな悩みや不安はありませんか?

障害について、そして転職や就職を熟知した専門スタッフであれば、適確なアドバイスにより、新しい視野が広がるかもしれません。
自分と相性の良い転職・就職サービスを活用してみましょう。


▼障害者雇用枠の求人の探し方について、詳しく紹介しています。
ハローワークだけじゃない、障害者雇用枠の求人はここでも!求人サービスを紹介


参考:障害者就業、生活支援センター(厚生労働省)
参考:平成30年度 障害者就業、生活支援センター全国一覧 334センター(厚生労働省)
参考:地域障害者職業センター(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)
参考:障害者職業能力開発校(厚生労働省)

8.専門家からのアドバイス

仕事探しを考えているてんかんのある方へ、障害者雇用の専門家 みちしたさんからのアドバイスを紹介します。

■働くことを迷っているてんかんのある方へ

てんかんをお持ちの方で、働くことに迷いを生じている方も多いと思います。通勤方法・職場環境・業務内容・周囲の理解など不安を感じてしまう要素は多々あることでしょう。

すぐに理想の職場を見つけるのは難しいかもしれません。まずは焦らず「自分を必要としてくれている職場はある」と考え、動き出すことです。

少しずつ動き出すことで思いがけないところで好転することもあります。
まずは、自分のペースで動き出してみましょう。

■これから働くてんかんのある方へ

記事の紹介でもあったように、てんかんをお持ちの方でも自身の工夫や周りのサポート受けながら、社会で活躍されている方はたくさんいます。
その一方、てんかんという病名は知っていても、その特性について詳しく知らず、どう接するのが正しいのか分からない職場も多いでしょう。

そのような時は、面接などを通して、どのような特性なのか、何を配慮をしてほしいのかはっきりと伝えることが大切です。

記事の紹介でもあった通り、働きやすさは人によって様々です。
良いサポートを受けられる職場で働くことができれば、その企業にも多くのメリットがあります。
自信を持ち、自分らしく働ける職場を探してみてください。

9.まとめ

てんかんのある方が考える満足度が高い職場の特徴には、以下のような傾向がありました。

  • てんかんに対して理解があり、周囲の方が協力してくれる職場
  • 労働に対して適正な対価が得られる職場

さらに休みのとりやすさや自分のペースで働けるかどうか、職場への通いやすさ等も満足度に関わってくることが分かりました。これら全ての条件を満たす仕事を見つけるのは難しいかもしれませんが、ご自身が「仕事を続けるために重視するものは何か」を考える上でのヒントになれば幸いです。

・満足度が高い業界は、「IT・通信・インターネット系」と「小売・流通・商社系」
これらの業界は、特に「てんかんに対して理解がある」といった声が多く寄せられました。職種の幅が比較的広く、病状に応じて自分に合った業務を探すことができる点も満足度が高い理由なのかもしれません。

・満足度が高い職種は「事務」と「販売・接客・サービス」
事務の仕事は他の職種に比べ、自分のペースで働けるという声が多数寄せられました。症状と付き合いながら働くてんかんの方にとって、無理のない自分のペースで働けることは特に重要なポイントです。

また、「販売・接客・サービス」の仕事はシフト制をとっていることが多く、自分の都合に合わせて休みを調整できるという利点がありました。特に体調の変化や通院によって休まなければいけない時に休みがとりやすいことは、長く働く上であってほしいポイントです。

・転職活動で多く利用されたサービスは「求人メディア」と「ハローワーク」
いずれのサービスでも単純な仕事の紹介に留まらず、面接の指導や病状に合わせたサポートを受けられることが分かりました。最近では転職に利用できるサービスが増えているので、上に挙げたものに限らず、自分に合ったサービスを見つけることも重要です。

これまで見てきたように、自分に向いている仕事へ転職するためには、求人票や会社情報からだけではわからない情報を得ることも大切です。
専門サービスへの相談や、アンブレのような職場口コミサービスもぜひ活用してみてください。

皆さんが、理想の職場に出会えることを心から応援しています。


てんかんのある方の仕事の悩みとその対策をまとめました。
てんかんがある方の働き方 仕事の悩みと解決策を口コミから学ぶ

てんかんの方におすすめする仕事の見つけ方をご紹介しています。
てんかんでも続けられる仕事選び、ポイントとアドバイス

てんかんの方からの口コミがたくさん届いています。
てんかん(てんかん発作症候群)のある方がお仕事、雇用をされている企業一覧

障害者雇用で転職をお考えの方、無料で転職相談しませんか?
精神疾患のある方の面接のコツや求人の探し方をはじめ、仕事探し、転職活動自体のアドバイスも実施中。
すぐに転職するかわからない、障害者雇用で働くか迷っている方のご相談も承っていますご相談はこちらから

監修者

社会福祉士・精神保健福祉士の資格を取得。障害者支援施設にて支援員を8年経験した後、福祉資格を持つ地方公務員として採用され、ソーシャルワーカーとして活躍。現在はフリーのWEBライターとして、福祉に関する情報を発信している。

保有資格

著者

障害、病気のある方の企業や仕事に関する口コミサイト「アンブレ」を運営中。 丁寧な取材や口コミの分析を通して、病気や障害の特性に配慮した働き方や仕事との向き合い方を提案。理想の職場に出会うための、そしてより働きやすくなるための情報を発信しております。障害や病気があってもぴったりの仕事を。

新着口コミを毎週火曜に定期配信中
働きやすい環境を見つけるきっかけに


新着口コミを受け取る

関連するコラム

神経系疾患に関する記事一覧就職・転職のヒントに関する記事一覧