障害者枠(オープン)か一般枠(クローズ)か?メリットとデメリットを解説

障害者枠(オープン)か一般枠(クローズ)か?メリットとデメリットを解説

精神障害や身体障害、発達障害や知的障害のある方が就職や転職を考えるとき、雇用形態は一般雇用枠と障害者雇用枠の2つから選ぶことができます。

しかし、

・障害者雇用枠って何?
・一般雇用枠と何が違うの?
・障害者雇用枠の対象となる疾患は決まっているの?
・障害者雇用枠の求人はどこで探せるの?

といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

そのような疑問にお答えするために、一般雇用枠と障害者雇用枠それぞれの特徴を確認しながら、メリットとデメリットをまとめました。
また、障害者雇用の専門家 水谷愛さん(精神保健福祉士、公認心理師)にもアドバイスをいただいています。

就活や転職活動の悩みや疑問を解決するために、役立てていただけますと幸いです。ぜひ、ご自分にふさわしい職場や理想の仕事を見つけるためのヒントにしてください。

*この記事は水谷愛さんに監修していただきました
水谷愛さん

精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)、公認心理師、臨床心理士、産業カウンセラーの資格を取得。精神障害者デイケアにて5年、スクールカウンセラーとして10年、発達障害者就労支援センターにて4年の経験を積み、現在は障害者就労移行支援事業所にてサービス管理責任者として勤務しています。著書『「がんばり屋さん」のこころのトリセツ』も好評。


障害者雇用で転職をお考えの方、無料で転職相談しませんか?
精神疾患のある方の面接のコツや求人の探し方をはじめ、仕事探し、転職活動自体のアドバイスも実施中。
すぐに転職するかわからない、障害者雇用で働くか迷っている方のご相談も承っていますご相談はこちらから

目次

1.障害者雇用枠とは

2.障害者雇用枠のメリットとデメリット

3.一般雇用枠のメリットとデメリット

4.専門家からのアドバイス

5.まとめ

1.障害者雇用枠とは

1-1.障害者雇用枠とは

障害者雇用枠とは障害のある方専用の求人枠のことをいいます。
実際には「障害者採用」「障害者の雇用」「障害のある方の求人」といった書き方がされていることが多いでしょう。

では、障害のある方専用の求人枠とは何でしょうか?

障害のある方を雇用するために作られた法律「障害者雇用促進法」には、以下のように定められています。

    民間企業の法定雇用率は2.2%です。従業員を45.5人以上雇用している企業は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。

    ※令和3年3月1日から法定雇用率が2.3%に引き上がるため、対象となる事業主の範囲は43.5人以上に広がります。

    引用:厚生労働省ホームページ「障害者雇用のルール」


それでは、こに記載されている「障害者」に定めはあるのでしょうか?厚生労働省のホームページには以下のように記載されています。

    《「障害者」の範囲》
    障害者雇用率制度の上では、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者を実雇用率の算定対象としています(短時間労働者は原則0.5人カウント)。

    ただし、障害者雇用に関する助成金については、手帳を持たない統合失調症、そううつ病(そう病、うつ病を含む)、てんかんの方も対象となり、またハローワークや地域障害者職業センターなどによる支援においては、「心身の障害があるために長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な方」が対象となります。

    引用:厚生労働省ホームページ「障害者雇用のルール」


このように、

・原則として身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を持っている方を障害者雇用という枠で採用する

・手帳を持たない統合失調症、そううつ病(そう病、うつ病を含む)、てんかんの方も企業への助成金の対象となる

という基準のもと、企業は障害者を採用しています。

障害に関する手帳をお持ちの場合は、障害者雇用に応募することができます。しかし中には、手帳の取得を迷っている方もいらっしゃるかもしれません。また取得していないけれど障害者雇用を希望している方もいらっしゃるでしょう。

その場合は、応募している企業に手帳をもっていることが必須かどうかを確認してみましょう。求人情報に応募資格として記載されていることもあります。



▼精神障害者保健福祉手帳の取得を迷っている方は、
手帳を取得したあとの生活や仕事についてまとめたこちらを参考にしてみてください。
「精神障害者手帳を取得したら仕事は? 続けられる仕事探しのコツ」



「障害者雇用枠」に対し、一般的な求人や雇用のされ方を「一般雇用枠」とよぶことがあります。
では、障害者雇用枠と一般雇用枠では何が違うのでしょうか?

2.障害者雇用枠のメリットとデメリット

2-1障害者雇用枠のメリット

一般雇用枠と比較した障害者雇用枠のメリットは、以下の2つです。


・障害や病気について配慮される
・障害者が多く働く「特例子会社」に応募できる

それぞれ詳しくみてみましょう。

①障害や病気について配慮を得られる環境

一般雇用枠と比較した障害者雇用枠のメリットの1つ目は、「自分の障害について配慮してもらえる」ことです。

企業には、障害のある方が仕事をする上で負担となる要因を取り除く義務(合理的配慮の提供義務)があります。どこまでの配慮が合理的配慮なのかは、障害者本人と企業側のすり合わせで決まります。

そのため、どのような配慮を受けられるかは一律には言えませんが、アンブレに届いた口コミから具体的な配慮内容を一部ご紹介します。ご自分の受けられたらうれしいサポートと照らし合わせながらご覧ください。

身体に障害がある人は満員電車が辛いので、希望があればラッシュ時の通勤を避けれるように、働く時間を調整してくれました。
肢体の機能障害、女性

ほかの従業員と同じ接し方はしてくれるものの、しっかりと「できることとできないこと」を考えた上で仕事の振り分けをしてくれて、「無理強いをしない」というサポートをしてくれるところにとても配慮を感じています。
肢体の機能障害、男性

今年の1月から言葉が聞こえなくても言ったことが文字にできるようにiPadのUDトークで文字変換できるようにしてくれたことです。そのおかげで皆さんとのコミュニケーションが良好に保てるようになった。
耳に関する疾患

人工透析を受けているため、透析のある日は時短勤務対応してもらったり、疲れていないかなど体調面でもかなり気にかけていただいた
腎機能障害、女性

飲み会のときは自分が食べられる店を聞いてくれたり、 なにが食べれるか聞いてくれたりする。そういったところはとても親身になってくれる。
クローン病、男性

品だしやレジ打ちの業務中であっても、別の社員が定期的に僕の元に見回りのようなことをしてくれ定期的に大丈夫かと話しかけてきてくれました。業務で困っているときには積極的に話しかけてくれたこともとても良いサポートだなと思ったのです。
精神疾患、男性

コールセンターで鬱病が発症したことを話したら電話応対からは外してもらったり、体調の悪いときはすぐ休むよう言われたりする。
うつ病、男性

体調が悪い時は、休めるスペースがある。サービス管理責任者は研修を受けており、対応のノウハウがある。作業内容も軽作業で比較的簡単な作業であり、納期も充分に考えられている。
双極性障害、男性

できないことや体調が悪いときなどは無理せず仕事を配慮してもらえたり、休ませてもらえます。そしてそれに対して誰も何も言わないところです。
不安障害、男性

私の「記憶することが得意」というところ活かせるような仕事の割り振りをしてくれたり、逆に苦手なところはほかの人の仕事と交換をしてくれたりと「持ちつ持たれつ」といった関係の中、平等の立ち位置で仕事ができるように努めてくれたからです。
自閉症、女性

一つ目は、お客様のお問い合わせに対する受け答えが上手くできなかった時に、他の担当者が代理に答えてくれたからです。二つ目は、トランシーバーで他の担当者に繋げると、直ぐに上手く販売してくれるからです。三つ目は、確実にできる安全な仕事のみ、任せられるからです。
ASD、女性



症状や障害は異なりますが、これら障害者雇用枠で入社した方のコメントからは、一人ひとりにあった配慮やサポートを得られていることがわかります。 そのためには、ご本人の努力も必要です。企業に就職するにあたり、ご自分のことをよく説明し、理解していただく必要があるからです。

このような工夫をされている方もいらっしゃいました。

障害の診断を受けてからは、障碍者手帳を取得し、障害があることをオープンにして就職しました。あと、配慮してほしいことを「私の説明書」として作成し、面接で提出しました。
うつ病、ADHD、女性



説明をするからには、まずご自分のことをしっかり理解することが大切です。

  • 病気や障害の特徴や傾向
  • 得意なこと、できること
  • 苦手なこと、できないこと
  • 苦手なことやできないことでも、サポートがあればできることはあるのか
  • あるとうれしいサポート(合理的配慮)はどんなことか
このように、具体的な説明をすると、企業も働いている様子をイメージしやすくなります。

    【あるとうれしいサポート例】

  • 1人ではできないけれど手伝ってもらうことで可能になるサポート
  • 急な体調不良や通院のために、勤務時間の調整や休みがとりやすいこと
  • 通勤時間や通勤手段に関する配慮
  • 仕事内容や量、スケジュールに対する配慮
  • 苦手なこと、苦手な場所、苦手なものに対する配慮
  • 特別視しないこと
障害や病気についてオープンにし、障害者雇用枠で働くことは、お互いが理解しやすくなるため、より働きやすい環境が期待できるでしょう。

②障害者が多く働く「特例子会社」に応募できる

「一般雇用枠」と比較した「障害者雇用枠」のメリットの2つ目は、障害者が多く働く「特例子会社」に応募できることです。

「特例子会社」は、障害者が働く会社として設立された会社で、障害者が働きやすいように、施設面、仕事内容、就業規則などへの配慮やサポートを手厚くしています。そのため一般企業に比べると、障害者の働きやすい環境が整っているといえるでしょう。

そして「特例子会社」は、大企業が障害者雇用枠での雇用を中心とした系列子会社として作ることが多いのも特長です。

アンブレには、特例子会社で働いている方の体験談も届いています。

今の自分を受け入れてくれて、出来る範囲で最大限に仕事を与えてくれるので、やりがいもあるし、信頼されているのも分かるので。また将来的には正社員まで登用される可能性があることを伝えていただいたり、本当にここにいてもいいんだ、という安心感もあります。
株式会社NTT西日本ルセント

毎日朝礼と終礼があり、体調確認や業務上悩んでいること困ったことを話して振り返る時間がある。業務上の悩みや困ったことはすぐに解決したり、アドバイスをくれる。 いかに長く働き続けるかを考えてもらえ、無理をしないペースで働くように指導してくれる。
株式会社アダストリア・ゼネラルサポート

月に1回は上司と面談し、困っていることはないか聞かれたり、障害状態が悪くなってないかなどを面談で聞かれて、配慮することがあるかどうかを聞かれ、内容によっては配慮してもらえる。
SMBCグリーンサービス株式会社



働いている方の多くが障害のある方であるため、多くの会社ではサポート方法や専用のノウハウを培う取り組みが積極的になされています。

全国には517社の特例子会社があります(2019年6月現在)。それぞれ業種、業界、規模も異なりますし、身体、精神、知的のどの障害の方が多く働いているのかという雇用状況も様々です。
気になった会社は職場見学などを行い、事前に雰囲気を確認しておくとよいですね。



▼特例子会社の特徴や様子をこちらでご紹介しています
「特例子会社とは?仕事内容や職場の様子、求人の見つけ方を紹介」



中には、障害者雇用枠を利用すると
・給料が安いのでは?
・昇進が期待できないのでは?
という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、障害者であることを理由に採用や賃金、昇進に条件を課すことは障害者雇用促進法によって禁止されています。

賃金や昇進、昇給については、入社してから話が違うということにならないためにも、必ず入社前に確認しておきましょう。
また、福利厚生や各種制度についても確認すると良いでしょう。休暇制度や福利厚生の有無は、働きやすさに関わる大切な要素です。

2-2.障害者雇用枠のデメリット

一般雇用枠と比較した障害者雇用枠のデメリットは、以下の2つです。

  • 障害を開示する心の負担
  • 利用するためには条件がある
では、それぞれ詳しくみてみましょう。

①障害を開示する心の負担

障害者雇用枠を利用するデメリットの1つ目は『、「自分の障害を開示する必要がある」ということです。

障害や病気によっては、外見からではわからない場合もあります。その場合は、自分の障害や病気の特徴を説明しなくてはなりません。
オープンにする範囲は特に決まっていませんが、人事や上司には話す必要があります。それを心の負担と感じることがあるかもしれません。

以下のコメントにあるように、障害や病気のある方の中には、特別な配慮やサポートが無くても働けると判断している方もいらっしゃいます。

平日に休みがあるので、通院のために仕事を休む必要がない事が気楽。 クローズで働きたい人には良いかもしれない。
女性、PTSD、精神疾患

私は基本、クローズにして伝えていませんでしたので、気遣いは無用と思っていました。 なので、特に気遣いが足りないと感じたことはありません。女性、関節リウマチ
女性、食品・化粧品

自分の体調を自分でコントロールできる自信があるのであれば、クローズで早く就職することをおすすめします。その自信がないのであれば福祉的就労やサポートがないと就労を継続することは難しいでしょう。理解を求めるのでなく、自己管理ができるかがポイントです。また社外に何でも相談できる第三者がいるとよいです。私はカウンセラーを利用しています。
女性、双極性障害



自分の症状をよく理解し、自己管理やコントロールできる方はクローズという選択もあるかもしれませんね。

ただ、先に述べたようにオープンにすることで理解を得られることや、誤解されなくて良いというメリットもあります。
障害や病気をオープンにし、サポートを受けながら働くか、クローズにして自己管理だけで働くかは、ご自分の症状や特徴を考慮しながらよく検討しましょう。

①利用するためには条件がある

障害者雇用枠を利用するデメリットの2つ目は、「利用するためには条件がある」ということです。そしてその条件とは、ほとんどが障害者手帳を取得しなくてはならないことです。

先にも述べたように、障害者雇用枠に応募する条件の多くには、「障害者手帳をお持ちの方」と記載されています。記載されている場合は、障害者手帳をお持ちでないと応募できません。

    障害者手帳は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種の手帳を総称した一般的な呼称です。
    制度の根拠となる法律等はそれぞれ異なりますが、いずれの手帳をお持ちの場合でも、障害者総合支援法の対象となり、様々な支援策が講じられています。
    また、自治体や事業者が独自に提供するサービスを受けられることもあります。

    ・身体障害者手帳
    身体障害者手帳は、身体の機能に一定以上の障害があると認められた方に交付される手帳です。
    原則、更新はありませんが、障害の状態が軽減されるなどの変化が予想される場合には、手帳の交付から一定期間を置いた後、再認定を実施することがあります。
    身体障害者手帳制度は、身体障害者福祉法に基づき、都道府県、指定都市又は中核市において障害の認定や交付の事務が行われています。
    身体障害者手帳の交付申請は、都道府県知事、指定都市市長又は中核市市長が指定する医師の診断書・意見書、身体に障害のある方の写真を用意し、お近くの福祉事務所又は市役所にて行います。
    具体的な手続方法等については、お住まいの市町村の担当窓口にお問い合わせください。

    ・療育手帳
    療育手帳は、児童相談所又は知的障害者更生相談所において、知的障害があると判定された方に交付される手帳です。
    療育手帳をお持ちの方は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスや、各自治体や民間事業者が提供するサービスを受けることが出来ます。
    療育手帳制度は、各自治体において、判定基準等の運用方法を定めて実施されております。
    具体的な手続方法等については、お住まいの市町村の担当窓口にお問い合わせください。

    ・精神障害者保健福祉手帳
    精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることを認定するものです。 精神障害者の自立と社会参加の促進を図るため、手帳を持っている方々には、様々な支援策が講じられています。
    精神障害者保健福祉手帳の等級は、精神疾患の状態と能力障害の状態の両面から総合的に判断され、1級から3級まであります。
    申請は、市町村の担当窓口を経由して、都道府県知事又は指定都市市長に行います。
    詳しくは、お住まいの市町村の担当窓口にお問い合わせください。

    引用:厚生労働省ホームページ「障害者手帳」


障害者手帳を取得する場合は、お住まいの市町村の担当窓口へ相談に行くことや、主治医または指定医に診断書を書いてもらう必要があります。

申請方法も自治体により異なります。また、療育手帳は手帳の名称が異なる場合もありますし、年齢により判定機関が異なります。

交付までに2,3ヶ月かかることが多いので、障害者雇用枠を利用する予定であれば、あらかじめ障害者手帳を取得しておくことをおすすめします。なお、障害者手帳申請中でも就職活動は可能です。しかし、多くの企業は、入社時に障害者手帳があることを条件としています。

アンブレにもこのような意見がありました。

障碍者手帳の種別と等級を就職する前に把握しておき、必要があれば取り直すこと。
麻痺

自分の障害について正確に把握し、身体障害者手帳にも正確な内容が反映されるようにしておいた方がよい。自分の場合には視覚障害が手帳に記載されていなかったとの理由で、入社後に困難が多かった。
弱視、麻痺

最終学歴になる専門学校の就職課の求人から就活したが、まず未取得だった障害者手帳をとり在学していた学校からの採用実績が多くあった会社に障害者枠の嘱託で採用された。
難聴、女性

どの企業にも言える事だとは思うけれど、障害者手帳(精神)の更新が途切れたあとの雇用について会社としての明確な方針が示されておらず、長期的な雇用に対して不安が残る。
うつ病



企業に応募する際は、障害者手帳の提示を求められます。取得して時間が経っている方は、注意しましょう。
特に、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方は、2年ごとに更新が必要です。期限が切れていないか、もうすぐ切れそうではないか、確認しておきましょう。

3.一般雇用枠のメリットとデメリット

次に、一般雇用枠のメリットとデメリットを考えてみましょう。

3-1.一般雇用枠のメリット

一般雇用枠はだれでも応募することができる求人なので、多くの求人情報から選ぶことができます。
そのため障害者雇用枠に比べると、業界、職種、雇用形態などの選択肢が広がることが最大のメリットといえます。

また、一般雇用で入社した方と同様の働き方をします。残業や早出、休日出勤を命じられることもあるでしょうし。特別なサポートや支援がなくても働けるという方には良いですね。異動や昇格なども考えられますので、仕事の幅が広がるかもしれません。

鬱をクローズで入職したので、社員の皆さんは自分が鬱だとは知らない。病気という点での配慮はないが、基本親切なので問題なくやれている。
うつ病、男性

クローズで働いていたので、普通の人と同じように対応してもらえた。
うつ病、女性

クローズにすれば幅も広がりますし、給与面でも優遇されますが欠勤や遅刻早退が病気を理由にできないため苦しいなかで就業することになりますので、ご自身の体調と相談して決められることをすすめます。
双極性障害、男性



クローズにすると、周りと同じ待遇にやりやすさを感じる方や、仕事の幅の広がりにやりがいを感じる方もいらっしゃいます。
一方で、体調不良などのつらいときにどう乗り越えるか、という課題があることも事実です。

3-2.一般雇用枠のデメリット

一般雇用枠は、病気や障害があることをオープンにせずに働きます。つまり障害や病気のない方と同じように働けることが前提になります。

そのため、障害や病気に対する理解や配慮は得られにくいといえるでしょう。それがデメリットです。

障害や病気とうまく付き合いながら長く働こうとしたときは、少し厳しい状況といえるかもしれません。通院による休みの申し出や、急な体調不良による欠勤が続くと、仕事への支障を来す可能性が高いからです。

特に、見た目ではわからない精神疾患や病気をお持ちの場合は、障害や疾患があることを伝えない限り理解を得ることは難しく、逆に誤解を招くことも考えられます。

休みたいときは他の人と変わる工面を自分がしなくてはいけなかった。また、当日具合が悪くても休みづらく、時間が短くてもクローズ就業は大変だった。
パニック障害、うつ病、不安障害

クローズ就労の方は、仕事が激務だったり、自分自身の許容範囲の仕事か見きわめる必要があると思います。
不安障害、パニック障害、女性



このように、サポートが受けられないため、体調が悪いときや休憩をとりたいときなども、基本的には自分で対応しなくてはなりません。
ご自分の体調や症状をよく理解したうえで、何を優先すべきかをよく考えましょう。主治医に相談するのも良いですね。

4.専門家からのアドバイス

仕事探しを考えている障害のある方へ、障害者雇用の専門家 水谷愛さんからのアドバイスを紹介します。

■働くことを迷っている方へ

障害者手帳をお持ちの方は、障害者雇用枠でも一般雇用枠でも働ける可能性があります。主治医や周りの人たちとよく話し合って、ご自身の障害についてよく知り、説明できるようにしておくと良いと思います。

また、障害者雇用枠でも一般枠でも、サポートしてくださる方が必ずいてくれると、働く時にきっと心強いですね。あらかじめサポートしてくださる方を探しておくと良いでしょう。

職場での配慮が必要ならば、障害者雇用枠を考えていきましょう。障害者を守る法律もありますから、サポートもしてもらえます。

■これから働く方へ

障害者手帳をお持ちの方で、これから働こうと思っている方は、具合が悪くなったときのサポートを考えておきましょう。また、主治医やサポートしてくださる方と、どんな時が不調のサインかをしっかり話し合っておくと、いざ具合が悪くなっても軽いうちにケアをすることができます。

また、どんなことができてどんなことができないかをハッキリさせておくと、「この仕事だったら任せられる」という企業側の安心感にもつながり、採用されやすくなります。
まずは自身の障害について説明できるようにしておきましょう。

5.まとめ

病気や障害のある方が仕事を探す際は、障害者雇用枠が良いのか、一般雇用枠が良いのか、迷うこともあるでしょう。

ご紹介したとおり、障害者雇用枠は、自分の症状に対して配慮が受けられることが大きなメリットです。
しかし、障害者雇用枠を利用するためには、多くの場合、障害者手帳を取得する必要があります。取得には主治医の診断書が必要なので、主治医とご自分の症状、そして今後の障害や病気との付き合い方をよく話し合ってみると良いですね。

大切なのは、病気や障害とうまく付き合いながら、長く働き続けられる職場を見つけることです。ご自分の病気や障害を理解し、どのような働き方が望ましいのかを考えてみましょう。

理想の仕事に出会えることを応援しています。


▼障害者枠(オープン)の求人の探し方はこちらでご紹介しています
ハローワークだけじゃない、障害者雇用枠の求人はここでも!求人サービスを紹介


▼病気や障害により働き方や向いている仕事は異なります。病気や障害の特性に合わせた仕事の見つけ方も紹介しています。
詳しくはこちらをご覧ください。


障害者雇用で転職をお考えの方、無料で転職相談しませんか?
精神疾患のある方の面接のコツや求人の探し方をはじめ、仕事探し、転職活動自体のアドバイスも実施中。
すぐに転職するかわからない、障害者雇用で働くか迷っている方のご相談も承っていますご相談はこちらから

監修者

精神障害者デイケアにて5年、スクールカウンセラーとして10年、発達障害者就労支援センターにて4年の経験を積み、現在は障害者就労移行支援事業所にてサービス管理責任者として勤務しています。著書『「がんばり屋さん」のこころのトリセツ』『【HSPの会社員】が自分らしく楽に働くトリセツ』『発達障害の人が「うまく」働いて幸せに生きるトリセツ』も好評。

保有資格

著者

障害、病気のある方の企業や仕事に関する口コミサイト「アンブレ」を運営中。 丁寧な取材や口コミの分析を通して、病気や障害の特性に配慮した働き方や仕事との向き合い方を提案。理想の職場に出会うための、そしてより働きやすくなるための情報を発信しております。障害や病気があってもぴったりの仕事を。

新着口コミを毎週火曜に定期配信中
働きやすい環境を見つけるきっかけに


新着口コミを受け取る

関連するコラム

就職・転職のヒントに関する記事一覧