【アスペルガー症候群 転職】 アスペルガー症候群の方が実際に就いている職種や業界は? 転職前に見るべき!136人のアンケート結果から見るリアルな本音

アスペルガー症候群の方の転職 向いている職種や業界を アンケート結果から分析

アスペルガー症候群の方が就職を考えるとき、自分の特性に合う職場かどうか、人間関係はどのようなものか、不安を抱える方も多くいるのではないでしょうか。

また一度就職した場合でも、自分に合わないと思ったら無理をせずに、転職を考えてみることも一つの方法です。その際、自分に合う仕事を見つけるために、業界や職種ごとの特徴を知ることはもちろん、自分にとってどのようなことが重要なのか、どういったことは避けたいのかを把握することが重要です。

そこで今回、アスペルガー症候群の方で働いている(または働いていた)136名にアンケートを実施しました。

アンケート結果を踏まえながら、アスペルガー症候群の方が実際に仕事をして感じたこと、就職や転職の際に気をつけるべきことなどを具体的なコメントを交えて紹介していきます。

自分らしい仕事探しや転職を考える際のヒントとして、是非参考にしてみてください。

【この記事でご紹介するデータ】
調査期間:2018年2月~2020年4月
調査方法:弊社サイトUMBREから対象となる体験談を抽出
調査対象:働いた経験のあるアスペルガー症候群の方の体験談136件
データ集計日:2020年8月14日
※体験談として記載された内容を分類し集計したデータを使用しています。


目次

1.アスペルガー症候群の方の職場への満足度

2.アスペルガー症候群の方の職場への満足度が高い理由

3.アスペルガー症候群の方の職場への満足度が低い理由

4.アスペルガー症候群の方が働いている業界

5.アスペルガー症候群の方が働いている職種

6.アスペルガー症候群の方が仕事探しで活用した求人サービス

7.まとめ

1.アスペルガー症候群の方の職場への満足度

アスペルガー症候群の方の仕事満足度グラフ
※アンケート「あなたはその会社の就労環境に満足していますか?」を集計して割合を抽出



アスペルガー症候群の方136名に「職場に対する満足度」について聞いたところ、「とても満足している」が12%、「満足している」が31%であり、「とても満足している」と「満足している」を合わせた割合は43%でした。対して、「満足していない」と「全く満足していない」を合わせた割合は38%であり、全体としてみると、職場に対して満足している方の割合がやや高い結果となりました。

2.アスペルガー症候群の方の職場への満足度が高い理由

「職場に満足している」と回答した人は、どのような点に満足しているのでしょうか。上記のアンケートにて「とても満足している」、「満足している」と回答した人に、その理由を聞きました。

アスペルガー症候群の方の満足度が高い職場の理由
※アンケート「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」を分類しプラス評価している内容を集計して割合を抽出。7名未満の少数回答は除く。


2-1.職場に対して満足している理由で最も多いのは「病気や障害に対して理解がある」

アスペルガー症候群の症状は多様であり、特性に個人差がありますが、一般的には以下のような傾向がみられると言われています。

・社会的関係の構築が難しい
・言語コミュニケーションが苦手(あいまいな表現を理解することが苦手)
・決められた手順や自分の興味ある事柄にこだわりがあり、臨機応変な対応が難しい
・文字や図形、物に対する関心が強い
・音や気温などの感覚刺激への敏感さがある
・記憶力に優れている

職場がこうしたアスペルガー症候群の特性について理解しているというのは重要なことです。実際に働いている方々は、どのような場面で職場に理解してもらうことの必要性を感じたのでしょうか。アンケートのコメントから具体的な意見を見てみましょう。

「アスペルガーはこだわりが強く、印字が真ん中になっていないと直す、カッターの位置がずれていたら、機械を動かしながら直す、結果として作業の開始が遅くなることがたびたびである。」
(専門商社、軽作業、女性)

「コミュニケーションが上手く取れないため指示を違うように解釈してしまう。」
(金属・鉄鋼、軽作業、男性)

「疲れやすい。必要な音を選べず、全部の音を聞いてしまう。聴覚過敏である。感情を我慢するとしんどくなる。」
(メーカー・製造系、介護、女性)



職場に対して満足している理由で最も多かった「病気や障害に対して理解がある」については、このようなアスペルガー症候群の特性への理解が、職場の満足度を左右していると言えるのではないでしょうか。

それでは、「病気や障害に対して理解がある」職場とは、具体的にどのような職場なのでしょうか。アンケートのコメントを見ていきましょう。

「障がいや病気に関してしっかりと教育がなされていて、こちらから言い出すことなく合理的配慮をしていただけることになったから。」
(百貨店・量販店、女性)

「勤め先では精神障害に関して配慮する必要のあるスタッフをあらかじめリストアップしており、具体的なケア方法を社員が事前に研修を受けているので、何かあっても大丈夫という安心感があります。」
(ビジネスコンサルティング、ゲーム、デバック、男性)

「私の病気に対する理解が深く、特性をよく理解しているので、対応の仕方などが定例化している感じがあります。仕事内容もしっかりと吟味された上で割り当てられるし、必ず何か重要な仕事やポジションを割り当ててくれます。何が苦手で、何が得意なのかはよく話し合って、聞き込みしてくれます。定期的に状況の確認をしてくれるので、とても助かっています。」
(自動車・運輸・輸送機器、男性)



コメントを見ると、研修の機会を設けるなど会社全体としてアスペルガー症候群をはじめとした障害への理解を促進している職場は、実際に働いている方からの満足度が高いことがうかがえます。

また、本人と話す時間を設けて得意なこと・不得意なことの具体的把握に努め、意見に耳を傾けて合理的配慮に取り組む職場の満足度が高いことがわかります。
「自分のことをわかってくれる」という信頼感があるからこそ、安心して上司や同僚に自分の意見を伝えることができるものです。職場が本人に向き合う姿勢を持っていることが、満足度につながっていると言えます。

それでは、アスペルガー症候群の特性の理解を推進している職場は、具体的にどのように合理的配慮を実施し、業務遂行をサポートしているのでしょうか。職場に対する満足度が高い理由として2番目に多い「周囲の協力がある」について見ていきましょう。

2-2.職場に対する満足度が高い理由で2番目に多いのは「周囲の協力がある」

「すごく丁寧にサポートしてくださいます。実習中も体調面で声をかけてくださって、とてもうれしかったんです。説明も口頭だけでなく、図に書いてくださって助かりました。ここなら長く働けるという安心感があります。」
(食品・化粧品、一般事務、男性)

「自分が不適切な発言をしてしまった時などは、直接伝えてくれるのではなく、柔らかい表現でかつ、分かりやすく伝えてくれる配慮を周りがしてくれています。また、作業工程なども文字だけではなくイラストや番号を振ってくれる事で分かりやすくしてくれています。」
(医療・福祉・介護、男性) 「元々人の話を聞き取る能力が低く、一回で聞き取れないことが多々あるため、何度聞き返しても怒らないでくれました。また、重要な連絡に関してはLINEなど記録に残るようにして連絡してくれていたので助かりました。」
(ビジネスコンサルティング、女性)

「指示を書いてもらえたのは良かったです。控え室は決められていましたが、授業の準備に専念したいと訴えたところ、静かな部屋の一角を利用させてもらえたので、満足しています。」
(教師、塾講師、学童担当、女性)

「責任者が各スタッフの性格を見抜くのが上手く、気の利いた会話力が必要な部署や、少人数で作業する部署など適材適所の人員配置をしてくれます。」
(マスコミ・広告、イベント企画、イベント制作、男性)



適切に能力を発揮できる環境は、本人のみならず職場にとっても喜ばしいものです。コメントを見ると、アスペルガー症候群の特性を理解して体調を気遣うだけでなく、適性を見極めてわかりやすい指示を出してくれる、適材適所に配置してくれるなど、業務上の配慮を行ってくれる職場は、満足度が高いことがうかがえます。

+ 具体的な特性を理解した指示の出し方としては、紙やメールなどを使って文章で指示を伝えてくれることのほか、アスペルガー症候群の特性として読解が得意と言われている図形などを用いて指示を出すという工夫を行っている職場がみられました。

また、アスペルガー症候群の特性として、音や光など周囲の環境に敏感になってしまう点が挙げられます。こうした特性も理解し、集中できる環境を用意してくれることも満足度につながっていることがわかります。

「職場への満足度が高い理由」として、3位以下の理由を挙げていた方のコメントは、次のようなものでした。

「人間関係のストレスがなく、黙々と終始自分のペースで仕事ができることにおいて大きな満足感を覚えます。」
(サービス・外食・レジャー系、女性)

「自分自身の障害の特性を事前に迷惑をかけてはならないと思い、マネージャーに相談できたことが良かったと思います。そこからは、配慮ある場所への柔軟なポジションチェンジ等をして頂きました。」
(外食・フード、接客、女性)

「障害があっても特に分け隔てなく接してくれたので楽しく仕事に取り組めました。」
(ビジネスコンサルティング、女性)



「職場の満足度が高い理由」に対するコメント全体を見ると、満足度が高い職場には、以下のような点があることがわかります。

    【アスペルガー症候群の方が働きやすい職場とは】

    ・研修の機会を設けるなど、職場として障害の理解を促進している
    ・特性を理解し、合理的配慮を行う(例:感覚過敏を理解し、静かな休憩室を用意するなど)
    ・障害を過剰に特別視することなく受け入れている
    ・困りごとを相談しやすい雰囲気がある
    ・特性を見極めて、適材適所に配置したり、特性に合った指示の出し方をしてくれる
    ・人間関係のストレスがない(人との関わりが少ない職場または、関わりが良好な職場)
自分の能力を発揮し、周囲に感謝される職場は理想的です。しかし、誰もが必ずしも恵まれた職場環境に出会えるわけではありません。

特に転職を考える際は、職場環境や仕事内容のデメリットも注意して見ていく必要があります。

そこで、次の項目では、職場に「満足していない」、「全く満足していない」と回答した方の「満足度が低い職場の理由」を見ていきましょう。

3.アスペルガー症候群の方の職場への満足度が低い理由

アスペルガー症候群の方の満足度が低い職場の理由グラフ


※アンケート「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」を分類しマイナス評価している内容を集計して割合を抽出。7名未満の少数回答は除く。


3-1.職場に対する満足度が低い理由で最も多いのは「仕事量が多い、期限に追われる」

仕事量が多く、期限に追われるような業務内容は、複数の業務を同時進行させたり、臨機応変な対応が求められたりしてしまうため、アスペルガー症候群の特性に合わない場合が多いようです。

アンケートのコメントから、具体的にどのような点に不満を感じていたのか見てみましょう。

「求人情報とは違って、ハードな作業が多かった 電話応対も複雑な内容が多く、パニックになることがあったのですぐやめてしまった。」
(総合商社、一般事務)

「残業が異常に多く、夜勤明けもその日の夕方まで働かされることがざらにあった。案の定体を壊し、辞めることになった。」
(医療・福祉・介護)

「サービス業がゆえに、人材不足がかなり激しい。バタバタしている。」
(百貨店・量販店、管理業務・折衝業務、女性)



仕事量が多い職場はそもそも人手不足である場合が多いため、残業が増えてしまったり、本来業務ではない仕事内容まで任されてしまう様子がうかがえます。

3-2.職場に対する満足度が低い理由2番目は「病気や障害に対して理解がない」


職場に満足している方が最も多く挙げていた理由は「病気や障害に対して理解がある」であったことからも、職場の病気や障害に対する理解の有無は満足度を大きく左右するものであることがわかります。

この点を不満に思っている方は、具体的にどのようなことに気が付いたのでしょうか。アンケートのコメントを見ていきましょう。

「発達障害や鬱に関しての理解度が低く、退職するまで怠けているだけだと思われていたから。」
(団体・連合会・官公庁、女性)

「理解も少なく、職場の雰囲気すら悪く、先輩が後輩に暴言を吐いたりしていたから。」
(外食・フード、調理スタッフ、女性)

「障害特性を発信してもしばらくすると周囲は忘れてしまい苦しむことが多かった。」
(その他(サービス/外食/レジャー系)、男性)

「自分のペースで仕事をすることはできたが、職場環境(明るさや音)については自分での対応を余儀なくされた(対応してもらえなかった)。」
(マスコミ・広告、営業事務、男性)



アスペルガー症候群の特性への理解がないゆえに、怠けていると思われてしまったり、叱責を受けてしまうケースがあることがうかがえます。

理解を求めるべく自ら障害の特性を発信しても、そもそも職場側に受け入れる土壌がなければ理解が定着しない場合もあるようです。

また、仕事内容は本人に合っている場合でも、職場の障害に対するの理解が乏しいゆえに、明るさや音などの職場環境改善までは行われない場合もあります。

「職場への満足度が低い理由」として、3位以下の理由を挙げていた方のコメントは、次のようなものでした。

「賃金が安く自分の将来の為に続けられないと思ったから。」
(サービス・外食・レジャー系、デザイナー・クリエイティブ、男性)

とにかく他人とのコミュニケーションを取ることを強制する風潮があったため、私には苦痛に感じました。
(IT・通信・インターネット系、エンジニア・技術職、男性)

「作業が遅ければ置いていかれるし、完全に能力主義で、できる者しか生き残れないと言う風潮でありました。」
(金属・鉄鋼、男性)

「仕事ができるようになろうと質問をしても「それは自分で考えること」ときちんとした説明を頂けなかったです。」
(医療・福祉・介護、福祉関係_その他、男性)



職場に対する満足度が低い理由として挙げられたコメントを全体的にみると、以下のような要因が満足度の低下につながることがうかがえます。

    【アスペルガー症候群の方が働きづらい職場とは】

    ・障害や病気への理解がなく、相談しても対応してもらえない
    ・仕事量が多く、ハードな勤務スケジュール
    ・賃金が低い
    ・職場の人間関係が悪い(パワハラなど)
    ・職場の風潮に馴染めない(能力主義、コミュニケーションを密にとる、暗黙の了解があるなど)
    ・業務内容の説明が不十分


こうした点は、実際に就労してみないとわからない場合も多いと思います。しかし、転職の際に事前に職場見学の機会がある場合や、仲介者に相談できる場合などは、是非これらのポイントを念頭において職場をチェックしてみて下さい。

4.アスペルガー症候群の方が働いている業界

次に、アスペルガー症候群の方が実際に働いている(働いていた)業界について見てみましょう。

アスペルガー症候群の方が働いている業界の割合

※アンケート「働いているまたは働いていた企業を教えてください」で回答のあった企業を業界別に分類し集計して割合を抽出


サービス・外食・レジャー系が約4割を占めており、次いで、メーカー・製造系(18%)、 小売・流通・商社系(14%)と続きます。

1割以下の割合となっている業界も複数あり、グラフを見ると、アスペルガー症候群の方が働いている業界は多様であることがわかります。

では、多くの人が働いている業界は、働きやすい業界であると言えるのでしょうか。次の項目では、働いている業界ごとの満足度を見てみましょう。

アスペルガー症候群の方が働いている業界別満足度グラフ


※アンケート「働いているまたは働いていた企業を教えてください」と「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」をクロス集計して割合を抽出。ただし、答えた人数が8人未満の業界は比較対象外とした。


「とても満足している」、「満足している」を合わせた割合が最も高い業界は、小売・流通・商社系(合わせて53%)です。次いで、IT・通信・インターネット系(合わせて51%)メーカー・製造系(合わせて46%)と続きます。これらの業界の満足度の高さはどれも、概ね5割となっています。

対して、「満足していない」、「全く満足していない」を合わせた割合が高い業界は、その他(合わせて72%)、IT・通信・インターネット系(合わせて51%)、サービス・外食・レジャー系(合わせて40%)

IT・通信・インターネット系は、「とても満足している」、「満足している」を合わせた割合と、「満足していない」、「全く満足していない」を合わせた割合が共に約5割という結果となりました。また、サービス・外食・レジャー系も同様に、満足している割合、満足していない割合が共に4割となっています。

この2つの業界は、特性が合う人とそうではない人がはっきりと分かれる場合があると考えられます。また、業界の特徴だけでなく、職場や仕事内容が満足度に与える影響が大きい可能性があります。

4-1.満足度が高い業界

グラフ中で満足度が上位であった小売・流通・商社系やIT・通信・インターネット系、メーカー・製造系で働いている方は、どのような点に満足しているのでしょうか。アンケートのコメントより、満足度が高い理由を見ていきましょう。

「自分の好きな仕事をしているので満足している。」
(IT・通信・インターネット系、デザイナー・クリエイティブ、男性)

「時短勤務のため、早めに帰宅して疲れを取ることが出来る。 一日の流れが一定している。勤務日が固定されているため、有休など休みを取りやすい。」
(メーカー・製造系、介護、女性)

「仕事に慣れない内はベテラン社員さんが隣に着いてくれて、何かあった時にはすぐに質問できるので不明点を抱えてもやもやすることが少ないです。」
(IT・通信・インターネット系、デザイナー・クリエイティブ、男性)

「体調を崩してしばらく仕事に行けない日が続きました。でも、職場の人たちはすごく心配してくれてLINEや電話をしてくれました。上司も優しく声をかけてくれ、体調が悪いときに休める所を作ってくれました。」
(チェーンストア・スーパー・コンビニ、女性)



興味のある業界の仕事に就くことで、アスペルガー症候群の方の特性のひとつと言われる記憶力や集中力の高さなどが発揮され、満足度が高まっている可能性があります。

また、仕事の流れがある程度決まっており、臨機応変な対応が少ないこと、休みを取りやすいことなども満足度につながっていることがうかがえます。

さらに、質問をしやすい職場の雰囲気か、従業員への教育体制が整っているか、体調への配慮があるかという点も満足度と関わっていることがわかります。

それでは、満足度が低い業界には具体的にどのような特徴があるのでしょうか。

4-2.満足度が低い業界

「満足していない」、「全く満足していない」と答えた人のうち、特に満足度が低い人の割合が高い業界である、その他、IT・通信・インターネット系、サービス・外食・レジャー系の業界にて働いている人のコメントを見てみましょう。なお、ここでいう「その他」とは、グラフでは分類できなかった少数の業界のことを指します。

「人員が少なく、自分のキャパシティー以上の仕事をする必要があった。」
(団体・連合会・官公庁、一般事務、女性)

「働いてる社員の人が気に入らないと物に当たったり、さぼる人が多かったので、私も放って置かれて、仕事をなかなか覚えられなくてどうしていいかわからなかった。」
(サービス・食・ジャー系、一般事務、女性)

「機器専用のオペレーターとして入社しましたが、入社後、事務の欠員としてあてがわれました。最も苦手な分野だったので、ミスや営業からのクレームが相次ぎ辞めざるをえなくなりました。」
(ソフトウェア・ハードウェア開発、営業事務、女性)



慢性的に人手不足の業界では、社員教育の時間や業務上の不安を解消する時間、休みの取得などが難しいことが予想されます。
転職や就職を考える際は、業界全体として人手不足ではないか、慢性的な課題を抱えていないかなど、業界ごとの特徴を考慮する必要があると言えるでしょう。

また、コメントにあるように、興味のある業界を選んで就職した場合でも、入社後の配置換えによって適性が発揮しにくい仕事内容を担わざるを得なくなる場合があります。

アスペルガー症候群の方の転職・就職活動においては、業界のみならず職種も非常に重要であることがうかがえます。

それでは、次に、アスペルガー症候群の方が実際にどのような職種に就いているのか見てみましょう。

5.アスペルガー症候群の方が働いている職種

アンケートにて、アスペルガー症候群の方が働いている(働いていた)職種について尋ねた結果は、次のグラフの通りです。

アスペルガー症候群の方が働いている職種の割合

※アンケート「どのような仕事を担当していましたか」で回答のあった担当業務をもとに職種別に分類し集計して割合を抽出


「軽作業」と「事務」がともに18%で最も多く、次いで「販売・接客・サービス」が16%、「医療・介護・福祉」が10%という結果となりました。

アスペルガー症候群の特性として、集中力が高いことが挙げられます。軽作業や事務は、黙々と作業する場面があるため、こうした特性が発揮できる場合が多い可能性があります。

対して、柔軟な顧客対応が求められる接客業はアスペルガー症候群の特性にはマッチしないと言われることがあります。しかし、アンケートからは、一定数の人が「販売・接客・サービス」の職種についていることがわかりました。

それでは、こうした職種に就いている人は、その職種に満足しているのでしょうか。次に、職種別の満足度を見てみましょう。

アスペルガー症候群の方が働いている職種別満足度グラフ


※アンケート「どのような仕事をされましたか?」と「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」をクロス集計して割合を抽出。ただし、答えた人数が8人未満の職種は比較対象外とした。


「とても満足している」、「満足している」を合計した割合が最も高いのは「事務」(合わせて40%)であり、次いで、「軽作業」(合わせて27%)という結果になりました。

対して、「満足していない」、「全く満足していない」と回答した割合を合計した場合、「医療・介護・福祉」が最も割合が高く(63%)、次いで「販売・接客・サービス」(46%)でした。

「満足している」もしくは「満足していない」具体的な理由はどのようなものなのでしょうか。まずは、満足度の高い職種に就いている(就いていた)方のコメントを見ていきましょう。

5-1.満足度が高い職種

■事務

「支援員の配置があり、時間的な融通も利きます。人間関係も基本的には悪くないように思います。」
(専門店、一般事務、女性)

「スケジュールを視覚的に把握しやすい場所に置いたり、朝起きてからの準備をルーティンワークにして紙に書いていただいたりとてもサポートしていただけて良かったです。」
(運輸・交通、一般事務、男性)



■軽作業

「月1回の通院の休みも有休扱いしてもらえたのは良かったです。身内が亡くなった時も忌引きが取れたので良かったです。」
(専門商社、軽作業、女性)

「同じ障害を持つ方が店長を務められているため、周りからの理解がありとても働きやすい。」
(医療・福祉・介護、軽作業、女性)



コメントからは、以下のような点が満足度につながっていることがうかがえます。

・休みがとりやすいなど、時間的な融通が利く
・周囲のサポートがある(支援員の配置・従業員からのフォローなど)
・特性に合った業務内容

事務や軽作業は、一般的に同様の仕事内容を担っている人が複数いる場合が多いことも、時間の融通が利くことや周囲からのサポートがあることにつながっていることが考えられます。

次に、満足度の低い職種について、その理由を見ていきましょう。

5-2. 満足度が低い職種

■医療・介護・福祉

「上司からのあたりが厳しく臨機応変に対応できないという点で非常に悩みました。」
(医療・福祉・介護、男性)

「夜勤のシフトが非常に多く、新人はとにかく夜勤をしなければならない状況になるからです。」
(医療・福祉・介護、医療関係、男性)



■販売・接客・サービス

「残業代がつかないなど納得がいかなかった。シフト制で心身ともに疲れ切った。」
(チェーンストア・スーパー・コンビニ、接客、女性)

「勤務後にファミレスで会議や話し合いがあり、人との食事が苦手という特徴もあり苦痛だった。休憩時間中であってもお客様が増えたらいつでもフロアに戻らなければいけない。」
(専門店、接客、女性)



満足度が低い職種に就いている方からのコメントを見ると、以下のような要因によって満足度が下がっていることがうかがえます。

・臨機応変な対応が求められる
・上司や同僚などからの威圧的な態度
・夜勤など、不規則な勤務スケジュール
・就業後のミーティングや休憩時間中も業務対応を迫られるなど、曖昧な就業規則

アスペルガー症候群の方は、二次障害としてうつ病や睡眠障害を持っている方もいます。不規則な勤務スケジュールは、こうした二次障害の発症や悪化につながりかねません。

また、アスペルガー症候群の特性として、社会関係の構築の難しさや柔軟な対応の難しさが挙げられます。

接客や医療・福祉・介護分野は対人での業務が多いことに加え、同僚や上司などとチームで仕事を進めていくことが求められる場合があります。そのため、こうした職種では臨機応変な対人業務に加え、同僚や上司と人間関係を構築する必要があり、アスペルガー症候群の方にとって適性を発揮しにくい職種となっている場合が考えられます。

一方、接客の仕事に就いている方で、職場に満足している方からは以下のようなコメントもありました。

「一度に多くのことを同時にこなさなければいけない場面に慣れることができました。もともと、同時進行がとても苦手でしたので、自信がつきました。また、記憶力には自信があったので、たくさん覚えなきゃならないところではそこまで苦労しませんでした。先輩方とコミュニケーションを取る機会があったことで、人と話すことに対する苦手意識が少し和らぎました。」
(チェーンストア・スーパー・コンビニ、接客、女性)



こうしたコメントを見ると、一般的には適性を発揮しにくい職種であっても、記憶力など得意なことを少しでも発揮できる機会があったり、コミュニケーションを取りやすい雰囲気の職場であるなどの要因があれば、満足度が高くなる可能性があるようです。

6.アスペルガー症候群の方が仕事探しで活用した求人サービス

これまで、アンケート結果を基に、アスペルガー症候群の方で働いている(働いていた)方のリアルな本音を見てきました。

それでは、アンケートに回答してくださった方は、どのようにしてその仕事に就いたのでしょうか。

アスペルガー症候群の方が実際にどのような求人サービスを活用して就職したのかについて尋ねた結果は、次の通りです。

アスペルガー症候群の方が利用した求人サービス割合

※アンケート「どのようにその職場を見つけましたか。就職までに利用したサービスがあれば教えてください。(複数回答可)」の有効回答67名による129件を集計して合計人数を算出


最も多く利用された求人サービスは「ハローワーク」(75%)、次いで「求人メディア」(34%)、「人材紹介会社」(24%)と続きます。

ハローワークを利用した75%の方は、具体的にどのような点をメリットと感じたのでしょうか。アンケートのコメントを見ていきましょう。

ハローワーク

「ジョブコーチをつけた方がよい。会社側、自分とお互い疲弊しなくてすむ。」
(メーカー・製造系、軽作業)

「ハローワークへ行くと、障害担当の方がいます。障害の特徴に照らし合わせ、どういう仕事、職場に行くのがよいのかアドバイスが頂けます。その障害担当の方から数社紹介してもらい、面接の仕方から面接日のセッティングまでしていただきました。」
(医療・福祉・介護、医療関係、男性)



ジョブコーチとは、国の制度として、障害者の職場適応をサポートすべく配置されている方のことです。配置場所は企業内部である場合や、地域障害者職業センターである場合、障害者の就労支援を行う社会福祉法人に雇用されている場合など様々です。

ハローワークは公的機関であることから、同じく公的制度であるジョブコーチの情報に精通しており、制度活用がスムーズに行える可能性が高いと言えます。

また、ハローワークは求人紹介だけでなく、無料の職業訓練や適性検査、面接練習など、求職者をサポートする様々な取り組みを行っています。必要に応じて多様なサポートを一つの窓口で受けられることは、ハローワーク活用の大きなメリットと言えるでしょう。

次に、ハローワーク以外の求人サービスを活用した方のコメントも見てみましょう。

就労移行支援施設

「支援員さんの話だけでは全体像を把握できないので、会社見学→実習の手順がベストかと思います。障害の程度によっては(数か数えられるかなど)仕事のできる範囲が変わってきます。」
(専門商社、軽作業、女性)



求人メディア

「求人情報や面接だけでは中身などがよくわからず、入ってからこうじゃなかったと思うこともあるので、出来るだけ慎重に色々な人に相談してみて決めたほうがいいと思う。自分の障害を説明できるような雰囲気の職場ならいいが、そうではないところなら考え直したほうがいいと思います。」
(総合商社、一般事務)



知人などの紹介

「障害に対する理解については、実際に障害を告白していても理解されないことがあります。私は入職後に告白をしたのですが、できることなら入職前・入職直後に告白し理解の上での配置をしてもらうべきだったかと思います。」
(医療・福祉・介護、医療関係、男性)



こうしたコメントからは、ミスマッチを生まないため、自分の特性を把握すること、企業に理解してもらえるよう伝えることの重要性がうかがえます。
企業へ自分の特性を伝えるにあたっては、自ら面接の際に伝えるほか、事前に履歴書とは別にシートを作成し、履歴書と一緒に送付する方法や、ジョブコーチや求人サービスの担当者に企業との間に立ってもらい橋渡しをしてもらうなど、様々な方法があります。

7.まとめ

最後に、項目ごとの傾向をまとめます。

■満足度の高い職場の傾向

アスペルガー症候群の方にとって「障害や病気への理解がある」こと、「周囲の協力がある」ことが重要であり、これらが満たされている職場は満足度が高い傾向がありました。

満足度の高い職場が行っている具体的な取り組みは、研修の機会を設けて従業員へ障害や病気への理解を促進すること、面談の時間を設けアスペルガー症候群を持つ本人の意見に耳を傾けることなどが挙げられます。
こうした職場で働いている方からは「仕事上の悩みの相談ができる」、「質問をしやすい雰囲気がある」等のコメントが寄せられていました。

「障害や病気への理解がある」、「周囲の協力がある」職場では、体調への気遣いにとどまらず、言語コミュニケーションが苦手で図形や文字の認識能力が高いというアスペルガー症候群の特性を把握したうえで、文字や図形を用いた業務の指示出しが行われていました。

また、音や光に過敏であるという特性を理解し、静かな休憩場所を確保するなどの合理的配慮も行われていました。

さらに、複数の業務を同時進行することが苦手という傾向を把握したうえで適材適所への配置を実施したり、同僚や上司などからの業務上のフォローがある場合も満足度が高い傾向がありました。

こうした状況の下であればリラックスして業務に取り組めることから、自らの能力を発揮しやすい環境となり、それが結果として満足度につながっている可能性も高いと言えるでしょう。

■満足度の低い職場の傾向

満足度が低い職場には、「病気や障害への理解がない」、「臨機応変な対応を求められる」、「仕事量が多くハードな勤務スケジュール」、「低賃金」、「人手不足」のような傾向がありました。

「病気や障害への理解がない」については、満足度の高い職場に見られるポイントと真逆と言える点が多く、配置や業務内容への合理的配慮に欠ける点、障害の特性への理解がなく、本人の気質によるものと判断されてしまう点などが満足度の低さにつながっていました。

また「人手不足」の職場であるがゆえ、本来の業務範囲を超えた仕事を行わざるを得なくなってしまったり、残業が増えたり、休みを取りづらくなってしまい、こうしたことが満足度の低下につながっている様子がうかがえました。

■満足度の高い業界の傾向

アンケートでは、アスペルガー症候群の方にとって満足度が高い業界は小売・流通・商社系やIT・通信・インターネット系、メーカー・製造系となっていました。

満足している理由としては、興味のある業界であることが挙げられていました。興味のある分野の仕事に就くことで、アスペルガー症候群の特性の一つと言われている特定の事柄への興味の強さや高い集中力・記憶力が発揮できている可能性があります。

まずは自分の興味がある業界を知っておくことが、就職や転職活動の手がかりになると言えるでしょう。

また、満足している理由として休みが取りやすいということも挙げられていました。定期的な通院が必要な人にとっては、休みの取りやすさは特に満足度を左右する項目であると言えます。休みの取りやすさは職場の状況に依る場合が多いものですが、業界全体としての働き方の特徴を知っておくことで、休みの取りやすさをある程度予測することができるでしょう。

■満足度の高い職種の傾向

満足度が高い職種は「事務」と「軽作業」となっていました。

満足している理由としては休みの取りやすさや勤務時間の融通が利くこと、特性にあった仕事内容である点が挙げられていました。事務や軽作業は一般的に複数人が同様の仕事内容を担う場合が多いことから、時間の融通が利いたり休みが取りやすい状況となっていることが考えられます。

また、これらの職種は仕事内容もある程度決まった流れがある場合が多いことから、臨機応変さが求められる場面も少なく、黙々と作業に集中できる点も、アスペルガー症候群の方にとって働きやすいと感じられる要因となっている可能性があります。

■活用した求人サービスの傾向

「ハローワーク」を活用した人が最も多いという結果となりました。活用した理由としては、障害者の雇用に特化した窓口があることが挙げられています。一方、求人メディアや人材紹介会社でも同様に障害者雇用に特化して取り組んでいる部門を設けている場合があります。また、複数の求人サービスを組み合わせて利用している方もいました。

アンケートでは、職場見学や実習などに参加し、実際の職場の雰囲気や業務内容を把握してミスマッチをなくすよう努めること、職場内外に仕事のことを相談できる人を確保することの重要性がコメントとして寄せられていました。

こうしたポイントを押さえて、各求人サービスのサポート内容を比較し、自分に合うサービスを組み合わせて活用することが、満足度の高い求職活動につながると考えられます。

■アンケート全体の傾向

アンケート全体としては、「自分の特性を把握すること」の重要性が多く寄せられていました。自己分析にて得意なこと、苦手なことを把握することはもちろん、求人サービスが提供する職業適性検査の活用も役立つことでしょう。更に、職業訓練や職場体験を行うことで、自分の特性の理解を深めることも可能です。

最後に、アンケートに寄せられた、これから仕事を探す人へのアドバイスをいくつかご紹介します。

「自分の特性をよく理解しておく事が必要です。自分は何が得意で、何が不得意なのか。何ができて何ができないのかを把握することです。世間的なステータスや給料は低くても、確実にできそうな事を仕事にした方がいいと思います。高望みしずぎず、等身大の自分を大切にすることです。」
(団体・連合会・官公庁、一般事務、女性)

「自分は病気だからとネガティブに考えずに、何をしたいのかよく考えて仕事を選ぶことが大切です。そうすれば何とかなるもので信念を持って働いていれば職場の人達も分かってくれるので、先ずはやりたいことを見つけるようにした方が良いと思います。」
(住宅・建材・インテリア・エクステリア、経理、女性)

「自分の譲れない条件を書き出して待遇面と照らし合わせて少しでもやりたいと思った求人には応募する、自分の弱みを把握して強みと合わせて配慮して欲しい点もオブラートに伝えられるようにする、自分の興味があることを伝えることです。」
(ソフトウェア/ハードウェア開発、その他、女性)

「自分に合う仕事場を焦らずに探していったほうがいいと思います。少し働いて、合わないと思う所は思い切って辞めるという決断も必要になってきます。自分を守れるのは自分だけなので、やれる事から頑張ればいいと思います。」
(レジャー・アミューズメント・フィットネス、女性)



自分の特性を把握し、また体調とも相談しながら、自分にぴったりの仕事を見つけられるよう、願っています。



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