【車いすを利用している方の転職】向いている業種や業界とは?78人の実体験調査から解説

車いすを利用している方の転職 向いている業種や業界 78人の実体験調査から解説

車いすを利用している方が転職を考えるとき、どのような仕事が自分に向いているのか、適職は何かと迷われることもあるのではないでしょうか。

仕事で苦労している方がいらっしゃる一方で、自分にあった仕事を見つけることで楽しく仕事が続けられているという話も耳にします。

今回は、車いすを利用しながら働いている方78人の体験談やアンケートから、働きやすい職場、業界、業種を調査・分析いたしました。

車いすを利用している方に人気の仕事や満足度の高い職場、おすすめの業界や業種など、実際の分析データとともにご紹介していきます。

車いすを利用していることは同じでも、生活状況や働き方などにより悩みはそれぞれだと思います。ご自身の特徴などと見比べながら転職のヒントにしてみてください。

【この記事でご紹介するデータ】
調査期間:2018年2月~2020年4月
調査方法:弊社サイトUMBREから対象となる体験談を抽出
調査対象:働いた経験のある車いすを使用している方の体験談78件
データ集計日:2020年8月24日
※体験談として記載された内容を分類し集計したデータを使用しています。


目次

1.車いすを利用している方にとって満足度が高い職場と低い職場

2. 車いすを利用している方が就いている業界

3. 車いすを利用している方が就いている職種

4. 車いすを利用している方が仕事探しで活用した求人サービス

5. まとめ

1.車いすを利用している方にとって満足度が高い職場と低い職場

まずは満足度の高い職場について、その傾向をみてみましょう。

車いすの方の仕事満足度グラフ
※アンケート「あなたはその会社の就労環境に満足していますか?」を集計して割合を抽出



このグラフは、今回アンケートに回答してくださった方の職場に対する満足度の割合を表したものです。

「とても満足している」が15%、「満足している」が41%、反対に「満足していない」「全く満足していない」はそれぞれ9%、10%となりました。半数以上の方が職場に対して満足していることが分かります。

1-1. 満足度の高い職場の特徴

では、「満足度が高い職場」にはどんな特徴があるのでしょうか?

車いすの方の満足度が高い職場理由グラフ
※アンケート「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」を分類しプラス評価している内容を集計して割合を抽出。5人未満の少数回答は除く。


満足度が高いと感じる一番の理由は「施設や設備が整っている」
車いすを利用する方が働く際には、職場の施設や設備が働きやすいよう整っていることが必要不可欠です。トイレやちょっとした段差、道の広さなど一般の方には何ともないことでも、車いすを使用している場合は働きやすさに直結します。「施設や設備が整っていること」は職場の満足度が高いと感じる上で必須と言えるのではないでしょうか。

では「施設や設備が整っている」職場に関して寄せられたコメントを見ていきましょう。

「上司に相談し、トイレの改造を始め、車椅子で働けやすい環境に対応して頂いた」
(自動車・運輸・輸送機器、エンジニア・技術職)

「バリアフリーで車椅子動線が確保され、病気についての理解があったから」
(医療・福祉・介護、福祉関係、男性)

「物のしまう場所の変更とレイアウトの変更。車椅子で移動しやすいところに座席がある」
(団体・連合会・官公庁、一般事務、女性)

「設備やスペースには不自由がなく、通勤手段も自家用車の利用が認められていること」
(化学・素材、軽作業、男性)



紹介したコメントから、具体的に「施設や設備が整っている」とはどういうことか考えると

・車いすでも利用しやすいトイレの有無
・職場内をスムーズに移動するための動線確保
・物をしまう場所やレイアウトの工夫
といったものが挙げられます。

また、車いすを利用している方の大きな悩みの一つに「通勤が大変」というものがあります。職場の中の設備が整っているだけでなく、車通勤の可否や職場までの距離といった面も重要になりますね。

一番上に紹介したコメントで「上司に相談し、トイレの改造を始め、車椅子で働けやすい環境に対応して頂いた」というものがありました。働きやすい環境が整っていない場合は、車いすの方の雇用に合わせて設備の改装を施してくれるのが理想ですが、全ての職場でそのような対応ができるとは限りません。とはいえ、大きな改装ができなくても、職場の物の配置や車いすの方が働く場所周りの工夫をしてくれることは満足度の高さにつながります。

では次に満足が高い職場の2つ目の理由について見ていきましょう。



満足度が高いと感じる2番目の理由は「病気や障害に対して理解がある」と「周囲の協力がある」
職場の満足度が高いと感じる2番目の理由は「病気や障害に理解がある」と「周囲の協力がある」の2つでした。

まずは「病気や障害に理解がある」職場について寄せられたコメントを見ていきましょう。

「私は車椅子を使っていました。会社に行くのも車椅子だったので、ラッシュのときには乗れないので、仕事の時間を遅らせてもらえました。」
(運輸・交通・物流・倉庫系、コールセンター、オペレータ、女性)

「昼休み、大変混み合うので、10分早く、昼休みを取っていいと言ってくれた」
(メーカー・製造系、オペレータ、エンジニア・技術職)

「できることとできないことの線引きをしっかりしてくれたこと、そして私自身の仕事への想いなどをしっかり聞いてももらえて配慮してもらえたからです。」
(サービス・外食・レジャー系、人事・経理・総務・企画、男性)

「突然休むこともありましたが、上司が病気を理解してくれていたので次に出勤しても嫌な顔をするどころか体調を気遣ってくれていました。」
(小売・流通・商社系、女性)

「長時間、車椅子に乗っていると疲れてくるので、20分×3回など短い休憩で回数を増やしてくれました。」
(サービス・外食・レジャー系、女性)



これらのコメントから、車いすの方が働く上での代表的な悩みを読み取ることができます。

・通勤手段が限られ、天候や時間帯によっても左右されてしまう
・ランチタイムなど混雑時の移動が困難
・病気や障害の都合上、どうしても苦手な仕事が発生する
・急な体調の変化や通院で欠勤せざるを得ない場合がある

「病気や障害に理解がある」職場で働いている方のコメントでは、このような車いすの方が抱える悩みに対して理解があり、それに対して具体的な配慮を受けていることが分かります。

例えば通勤が大変という悩みに関しては、通勤時間を遅らせてもらうことで混雑を避けたり、マイカー通勤を例外的に認めてもらった、という声も寄せられています。加えて、出勤時以外にもお昼時や退勤時などの混雑を避けられるような配慮があればなお嬉しいですね。

車いすの方にはその特性上、どうしてもできない仕事が発生してしまうことも悩みです。また、体のどこに障害があるかによってもそれぞれできる仕事が異なってきます。車いすに乗っているということで一括りにするのではなく、その人がどんな症状で車いすに乗っているのか、どんな仕事ができるか理解してくれる職場であれば、働きやすさは格段に上がってきます。

通院や急な体調の変化による休みに対しての理解があるかどうかも重要なポイントです。病気で仕事を休むことに関して以下のようなコメントも寄せられました。

「障害があっても(発症しても)休職しても基本的に待遇は変わらず復職できる」
(IT・通信・インターネット系、エンジニア・技術職、男性)



休みを取ることができるのは大事ですが、それによって給料が下がってしまったり、簡単な仕事しか任せてもらえないのであれば本末転倒です。「休まざるを得ない」という事情を汲んだうえで、ただ休ませてくれるだけでなく待遇面でも何かしらのサポートがあることが重要ですね。

では、次に2つ目の特徴として挙げられた「周囲の協力がある」について見ていきましょう。

「その会社は決まったデスクがなく、行くたびに毎回デスクが変わりますが、私に関しては足の負担を感じさせないデスクの場所に決めていてくれ、自分の荷物も社員さんが手伝ってくれたり、色々とサポートがあったので働きやすかったです」
(シンクタンク・リサーチ・マーケティング、女性)

「座ったままできる仕事を常に振ってくれたり、やむを得ず移動を伴うときには作業を変わってもらえたり車いすを押してもらえたりと気遣いや配慮をしてもらえたからです。お陰でほかの方と変わらない心持ちで仕事をしていくことができました」
(外食・フード、人事・経理・総務・企画、女性)

「身体の状態を理解し、室内事務を優先させてくれ、移動のともなうものは、できる範囲で協力していただいた」
(医療・福祉・介護、男性)

「最初の頃は身体に負担がかからないように週2日午後からの出勤で、それ以外の日は在宅勤務でした。褥瘡で一月寝込んで以降は完全在宅勤務にしてくれました」
(WEB・インターネット、エンジニア・技術職、男性)



車いすに乗りながら仕事をしている以上は、どうしても一人ではできないことが出てきてしまいます。一般の方ができる仕事と車いすの方ができる仕事をしっかり区別して割り振りができる職場であれば、やりがいを持って働けるのではないでしょうか。

車いすを利用しながら仕事をしていると、一般の方への劣等感で悩むこともあるかもしれません。しかし、自分がする仕事がはっきりしていてそれが適切であれば、精神的にも楽に生活することができますよね。

そして、もしサポートが必要なことや、サポートがあることでできる仕事がある場合は、企業や周囲の方への伝え方も大切です。

このようなアドバイスがありました。

「自分の障がいを踏まえ、自分のことを的確に把握しておくこと。そして的確に把握した自分のことを会社の担当者に細かく説明できること。 さらに、アクシデントが生じたときは、どのように対応してほしいか、ちゃんと伝えること。伝えるための方法として、コトバでの会話に加えて、事前に書面でわかりやすく理解できる方法も準備した方がよいと思う。担当者が、書面を見て感じたことを質問してくることも想定して、しっかり、自分のことを把握して、スムーズに自分のことを理解してくれる環境づくりも大事だと思える。
(メーカー・製造系、医療・介護・福祉)



確かに周囲のサポートを得るためには、先述した「障害への理解」を得ることが必要です。そのための努力をすることが、働きやすい環境づくりの一歩へつながるのではないでしょうか。

また、「在宅勤務の可否」も重要な要素になります。車いすを利用している方にとって通勤は一つのハードルです。普通の日は出勤できても、天候が悪くなってしまうだけで通勤が困難になることもあり得ます。そんな状況の中で在宅勤務ができる職場であれば、通勤の負担や周りの同僚への遠慮を感じずに働けるのではないでしょうか。

これらのグラフのデータやコメントの内容を踏まえて、満足度が高い職場の特徴をまとめると

・バリアフリーなどの施設面での働きやすさ
・病気や障害への積極的な理解
・車いすの方が自らの役割をしっかり果たせるような周囲の協力

これらの特徴があることが分かりました。もちろん職場からの支援を期待するだけではいけません。面接等の場でどんな支援が必要なのか、遠慮せずはっきりさせておくことも重要ですね。

では今度は反対に満足度が低い職場の特徴について紹介していきます。

1-2. 満足度が低い職場の特徴

では19%を占めた「満足度が低い職場」にはどのような特徴があるのでしょうか?グラフを見ていきましょう。

車いすの方の満足度が低い職場の理由グラフ


※アンケート「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」を分類しマイナス評価している内容を集計して割合を抽出。4人未満の少数回答は除く。


満足度が低いと感じる一番の理由は「施設や設備が整っていない」
「満足度が高い職場」の特徴として挙げられた一番の理由は「施設や設備が整っている」でしたが、逆に施設や設備が整っていない職場は、満足度が低くなってしまうことが分かります。

では「施設や設備が整っていない」とは具体的にどういうことなのでしょうか?寄せられたコメントを見ていきましょう。

「仕事先の建物が古くて、オストメイト・多目的トイレではなく、ただの車椅子用トイレで微温湯がでない。手指の洗浄・消毒に影響する」
(ビジネスコンサルティング、医療・介護・福祉)

「比較的大きなビルだったのですが、エレベーターが2基しかなく、出社時や昼休みは結構エレベータの利用者が多かったため、車椅子の自分は利用をはばかられました。そこは不便だと感じた点です」
(ソフトウェア/ハードウェア開発、デザイナー・クリエイティブ、男性)

「車通勤は偉い方のみでしたが車椅子なので車通勤許してくれた。一流企業の床はカーペットがひいてありタイヤに絡み移動は大変だった」
(デザイン・出版・印刷、経理、男性)



仕事中の何気ない移動やトイレなど、普通の人には何ともないことでも車いすに乗っている方にとっては大きなハードルとなることがあります。特に建物が古い職場や、狭いスペースで働かなければならない場合の支障は一般の方の比ではないでしょう。

またコメントで「カーペットがタイヤに絡み大変だった」というものがありました。これは車いすに乗って生活をしないとなかなか気付けない悩みでしょう。そういったなかなか気付けない悩みに対しても、積極的に働き掛けてくれる職場であれば比較的満足して働くことができるのではないでしょうか。

次に「満足度が低い職場」の2番目の理由について見ていきましょう。

満足度が低いと感じる2番目の理由は「ハラスメントや叱責を受けた」と「病気や障害に対して理解がない」
「職場への満足度が低い理由」の2番目として挙げられたのは「ハラスメントや叱責を受けた」と「病気や障害に対して理解がない」の2つでともに15%を占めていました。

ハラスメントを日常的に行うような職場で働くのは苦痛に他なりません。特にハラスメントの要因が車いすに乗っていることに起因している場合、車いすの方が抱えがちな劣等感や周りへの罪悪感が理不尽に大きくなってしまいます。そのような職場で働いていては、たとえ待遇が良かったとしても長期的に見て悪い影響を受けてしまうでしょう。

では「ハラスメントや叱責を受けた」について寄せられたコメントを見ていきましょう。

「障害を持つ私にわざと通路の狭いところを通らないと外に出られないところに配属になったり、車椅子に乗っていないと仕事はできないのか、トイレには行かれないかといわれるとか、ここには書ききれません」
(一般事務)

「障害があるからか、理不尽に怒られたりきつく怒鳴られたりしたため」
(食品・化粧品、軽作業/男性)

「病気が酷くなり、休みが多くなると退職の話が出る。 トイレに行くと、サボっているように思われる」
(半導体・電子・電気機器、軽作業、男性)



車いすに乗っているのですから、多少普通の方よりも苦手なことがあるのは当たり前です。とはいえ中にはそれをやり玉に挙げて、理不尽な叱責をしたり退職をせまる職場もあるようです。就職前にはできるだけ情報収集を心がけ、そのような職場は避けるようにしたいものです。

次に「病気や障害に理解がない」職場について、寄せられたコメントを見ていきましょう。

「他人の痛みには皆鈍感なので私が痛くても演技だと思われる」
(外食・フード、男性)

「設備は良かったのですが能力やスキルを理解してもらえず上手く仕事ができないことも多かったため」
(団体・連合会・官公庁、女性)



本人が感じる症状や痛みはあくまで本人のものであって、第三者が「大げさだ」とか「演技に違いない」とか決めつけていいものではありません。一つ目のコメントを見ると「病気や障害に理解がない」とは「他人の悩みを尊重することができない」とも言い換えられますね。

また、車いすに乗っている方にどのようなスキルがあるのか把握してもらうことも大切です。なんとなく腫れ物のように扱われるのでなく、どんな仕事ならできるか、どんなスキルがあるかに応じて適切な業務配分を行ってくれる職場であれば、必然的に満足度は高くなります。

ここで、満足度の低い職場の特徴をまとめると、

・職場の設備が整っていない
・車いすに乗っていることを責めるかのようなハラスメントがある
・症状に対して理解が無い

これらの特徴が挙げられました。

また、これらの反対の特徴が「満足度の高い職場の特徴」で取り上げられていました。「施設が整備されている」「病気に対して理解がある」といった特徴の有無は多くの車いすを利用している方にとってとても重要であることが分かりますね。

ここまでは車いすの方が満足できる職場について紹介しました。では具体的に、どのような業界で働いている方が多いのでしょうか?次は車いすを利用している方が働いている業界についてグラフをもとに解説します。

2. 車いすを利用している方が就いている業界

車いすを利用しながら働いている方がどのような業界で働いているのか、まずはグラフを見てみましょう。

車いすの方が働いている業界の割合グラフ

※アンケート「働いているまたは働いていた企業を教えてください」で回答のあった企業を業界別に分類し集計して割合を抽出


業界の特徴としては最も多い業界が「サービス・外食・レジャー系」で25%、次いで「メーカー・製造系」が22%を占めていました。

ではそれらの業界の満足度はどうなっているのでしょうか?

車いすの方が働いている業界別満足度グラフ


※アンケート「働いているまたは働いていた企業を教えてください」と「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」をクロス集計して割合を抽出。ただし、答えた人数が7人未満の業界は比較対象外とした。


最も満足度が高い業界は「サービス・外食・レジャー系」で70%、次いで満足度が高かった業界は「小売・流通・商社系」で63%となりました。

一方で、2番目に働いている方が多かった「メーカー・製造系」の満足度は44%と半分以下に留まっています。必ずしも働いている人数と満足度が比例するわけではないようです。

2-1. 車いすを利用している方の満足度が高い業界

では、まずは最も働いている人数と満足度が高かった「サービス・外食・レジャー系」で働いている方のコメントを見ていきましょう。

「患者さんの生活と生命をあずかる意識の高い職員。その都度の密なミーティングの開催。建設的な意見交換。それに加えて、障害者用トイレ、エレベーターなど、ハード面・設備などの充実」
(サービス/外食/レジャー系、医療・介護・福祉、男性)

「本来は店舗のホールを経験しなければならないのを免除してもらったり、仕事も基本的にパソコンと向きあう事務作業で移動を伴わない仕事を気にかけて配慮してもらえています」
(サービス/外食/レジャー系、経理、男性)

「事前に障害についてお伝えしていたため、色々な場面で他の職員の方に助けていただきました。また特別支援学校という環境だったので車いすで使用できるトイレがある、廊下が広い等施設的に整っていたのがよかったです」
(サービス/外食/レジャー系、女性) 



「サービス・外食・レジャー系」の業界には医療や福祉に関する仕事が含まれています。そのため、他の業界よりも職場のバリアフリー化や障害への理解があるというコメントが多数寄せられました。

また、飲食店のような仕事でも表の仕事を免除し裏方に徹してもらう、といったそれぞれの役割に集中できるような配慮を受けているという声もありました。

比較的他の業界よりもバリアフリーが行き届いていること、車いすの方が担うべき役割をはっきりさせている職場が多いこと。これらの要素が「サービス・外食・レジャー系」業界の満足度が高くなっている理由になっているようです。

次に2番目に満足度が高かった「小売・流通・商社系」について寄せられたコメントを見ていきましょう。

「ハード面で環境を整えて下さったこと。状況に応じて無理のない範囲で仕事と勤務時間の調整をしていただけたこと」
(小売・流通・商社系、女性)

「対応として、フレックス制度により出社時間をずらしてもらいました。また、雨の日は他の社員と最寄りの駅から会社までサポートしてくれています」
(小売・流通・商社系、男性)



「小売・流通・商社系」の業界では自身の状況に応じて柔軟な働き方ができたという声が多数寄せられました。特に通勤に関しての苦労が人よりも多い車いすの方にとって、勤務時間をずらすことができたり、フレックス制を導入している職場であれば比較的長く働きやすいのではないでしょうか。

では反対に満足度が低くなっている業界ではどのような意見が寄せられたのでしょうか?

2-2. 車いすを利用している方の満足度が低い業界

上のグラフを見ると、最も満足度が低い業界として「メーカー・製造系」が挙げられます。

では、実際に「メーカー・製造系」で働いている方のコメントを見ていきましょう。

「フリーフレックスは良いが、毎日残業のため折角のフレックスがあまり使えてない」
(メーカー・製造系、エンジニア・技術職)

「時間外勤務時間がおおく、仕事量と比例していない。 名前を変えた同じ経営者の別の部門で副業的に多重労働を強いられた」
(メーカー・製造系、介護管理者、女性)

「期限が短く仕事量が多い。残業時間も多く、帰宅後も仕事する事が多い」
(メーカー・製造系、エンジニア・技術職、男性)



「メーカー・製造系」で職場への満足度が低い方の傾向として、勤務時間が長い、仕事量が多いというコメントが複数寄せられました。 「メーカー・製造系」で働いていらっしゃる方は技術職などのスキルが求められる仕事に就いている方が多いです。そのようなスキルを持っていれば、車いすに乗っているかどうかは関係なく、様々な職場で活躍できる人材と言えます。

しかし、スキルを持っているからといって必ずしも良い職場に巡り合えるとは限りません。むしろ、企業側から個人への要求が大きくなってしまう場合もあり、それが満足度の低さにつながることもあるようです。

次に満足度が低い業界は「その他」でした。その他とは他の項目には含まれない業界ということですが、どんな業界で働いている方がどのようなコメントを寄せてらっしゃるのでしょうか?

「ガバナンスがなっていない。コンプアイアンスより和を重んじるという理不尽がまかり通っている」
(金融・保険系、女性)

「理解出来ない上司のパワハラ的な態度が、結局最終的に身体的な事以外にも、食生活など多方面の事に対しても長々と説教するようになりました。その事を上司に散々相談しましたが、結局何もその上司に対し、行動を起こしてくれませんでした。」
(物流・倉庫、女性)

「会社の同期は無理するなとみんな心配してくれていましたが、上司は気の持ちようだからとか、気合いが足りないなどの言葉を言われたことが多かったです。目眩で倒れた時も同期はすごく心配して帰してくれようとしましたが、上司は笑い飛ばしながら今日はじゃあ休みなよと渋々でした。体のことは自分にしか分からないし、人の痛みを理解できない人が会社には多かったです」
(不動産、女性)



「その他」に含まれる業界は金融や物流、不動産、官公庁など様々ですが、それらの業界で満足度が低い方のコメントの傾向として

・障害に対する理解の無さ
・車いすの方に対するハラスメント

これらの声が共通して寄せられました。

「その他」には様々な業界が含まれる以上、特定の業界と車いすの方を結び付けることは難しいですが、ハラスメントがある職場の満足度が低くなるのはどの業界も共通しているようです。

自分に向いている業界を見つけられたとしても、必ずしも安定して働くことができるとは限りません。せっかく入った職場でも人間関係が悪かったり、設備が整っていない場合は長く働くことは難しいでしょう。自分に合った業界を探すことは重要ですが、それと並行して職場の雰囲気や具体的な仕事内容を調べることも必要になります。

ここまでは車いすを利用している方が働いている業界について解説しました。ですが、同じ業界であってもその職種は様々です。次では車いすの方が働いている職種について解説します。

3. 車いすを利用している方が就いている職種

車いすを利用している方の中ではどのような職種で働いている方が多いのでしょうか。グラフを見てみましょう。

車いすの方が働いている職種の割合

※アンケート「どのような仕事を担当していましたか」で回答のあった担当業務をもとに職種別に分類し集計して割合を抽出


最も働いている方が多い職種は「事務」で33%、次いで「コールセンター・オペレータ」と「医療・介護・福祉」がともに15%となりました。

ではそれぞれの職種の満足度について見ていきましょう。

車いすの方が働いている職種の満足度グラフ


※アンケート「どのような仕事をされましたか?」と「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」をクロス集計して割合を抽出。ただし、答えた人数が6人未満の職種は比較対象外とした。


最も満足度が高かったのは「人事・経理・総務・企画」で、働いている全ての方が「満足している」もしくは「とても満足している」と回答しました。2番目に満足度が高かったのは「コールセンター・オペレータ」で76%の方が満足しているという回答をしています。

反対に最も「全く満足していない」「満足していない」という回答が多かった職種は「医療・介護・福祉」で38%、次に多かったのは事務で23%という結果となっています。

3-1. 車いすを利用している方の満足度が高い職種

まずは最も満足度が高かった「人事・経理・総務・企画」で働いている方のコメントを見ていきましょう。グラフでは全ての方が「満足している」という回答をしていますが、具体的にどのような点が良かったのでしょうか?

「自分のペースでストレス少なく仕事が遂行できていることが満足している理由である」
(メーカー・製造系、人事・経理・総務・企画、男性)

「座ったままできる仕事を常に振ってくれたり、やむを得ず移動を伴うときには作業を変わってもらえたり車いすを押してもらえたりと気遣いや配慮をしてもらえたからです。お陰でほかの方と変わらない心持ちで仕事をしていくことができました」
(サービス・外食・レジャー系、人事・経理・総務・企画、女性)



「人事・経理・総務・企画」は現場でせわしなく働くというより、座りながらパソコンを操作したり、電話応対をしたりなどがメインの職種です。そのような仕事であれば移動の大変さをあまり感じずに済みますし、他の人への負い目も感じずに済むはずです。

比較的自分のペースで仕事を進めやすい、というのもこの職種のポイントです。仕事中に他人の助けを借りなければならない場面があると、どうしても自分の仕事のペースが乱れてしまいます。ですが、移動が少なくて済むデスクワークであれば他人の様子を窺ったりせずに、自分の仕事に集中できますよね。

では次に2番目に満足している方が多かった「コールセンター・オペレータ」の職種について寄せられたコメントを見ていきましょう。

「私は車椅子を使っていました。会社に行くのも車椅子だったので、ラッシュのときには乗れないので、仕事の時間を遅らせてもらえました」
(物流・倉庫、コールセンター・オペレータ、女性)

「勤務時間が少ない 体調で休める 仕事中、休憩がとりやすい」
(コールセンター・オペレータ、女性)



「コールセンター・オペレータ」の業務も「人事・経理・総務・企画」と同様に比較的自分のペースで取り組みやすい職種と言えます。そのため、出勤時間の調整や休憩が取りやすいという声が寄せられました。 また、このような声もありました。

「作業内容は、他の人と差別なく扱ってくれたが、給料等の査定が低く給料が安い」
(メーカー・製造系、コールセンター・オペレータ、男性)



給料が安い、というのはマイナスポイントですが、他の人と変わらない仕事内容ができるというのは重要な要素です。これは仕事の上で他人の助けを借りる機会が少なくて済むと言うことですから、その分精神的な負担も軽くなるのではないでしょうか。 では今度は逆に満足度が低い職種についても見ていきましょう。

3-2. 車いすを利用している方の満足度が低い職種

最も満足度が低い職種は「医療・介護・福祉」、次いで「事務」という結果となっています。ではまず「医療・介護・福祉」について働いている方のコメントを見ていきましょう。

「病気がわかった時点で自己退職に持っていかれ、一切の対応は無い」
(メーカー・製造系、医療・介護・福祉、女性)

「職場環境により、希望する部署に異動できない。(物理的環境に障害がある。)」
(医療・介護・福祉、男性)



「医療・介護・福祉」は病院や福祉施設での仕事がメインなので、比較的バリアフリーが行き届いている職種と言えます。しかし、人と接する仕事が多いことや、特に病院などでは仕事に対する責任が重くなってしまうことから、車いすに乗っていることによる制約を受けてしまいやすいようです。

医療事務のような座り仕事であれば問題なくこなせるかと思いますが、介護などの仕事ではやりたい仕事があっても物理的な制約によりできないということも十分考えられますね。

では次に「事務」で仕事をしている方のコメントを見ていきましょう。

「私は2か所就労の経験がありますが、両方とも、障害を持つ私と一緒に働きたくない人たちばかりだったので、ハラスメントを受けたり、窓際族にされて、わたしから依願退職するように促された。初めのところでは、ハラスメントにより鬱病になって、でもうつ病になったことを認めてもらえず、嫌な思いをしました。雇う側と配属先が障害者を雇用するという考えや理解を共有しないと、私だけではないであろうこの事実はなくならないと思います。健康であってももしかすると病気やけがで証貸を持つかもしれないのだから、その辺の当たり前であたりまえでないことを本当の意味で理解する必要があると思います」
(事務) 

「給料が安いのとボーナスが出ない。頑張っても給料が上がらない」
(事務、男性) 

「臨時職員だったこともあり、取得できる休暇が年休10日間しかなく、毎月通院していると年休が不足します。そうなった時に、通院時に取得できる休暇が無く、残りは欠勤になりますが、その際上司から文句を言われたこともあります。面接時に、「毎月通院が必要である」ことは伝えていただけに、納得できませんでした。ただ、車いす利用していますので、移動スペースの確保等配慮してもらったところは、とても助かりました」
(サービス・外食・レジャー系、事務、男性)



事務職は働いている方の数は多いですが、必ずしも満足できる仕事かと問われればそうでもないようです。

まず、最初のコメントでは障害を理由にハラスメントを受けたというコメントが寄せられています。事務職は良くも悪くも自分のペースで黙々とこなす仕事と言えます。コメントのようなハラスメントは、事務職が自分一人で仕事が完結してしまうために、同僚に対して無関心になってしまうことが原因なのではないでしょうか。

また、「給料などの待遇が悪い」という声も比較的多数寄せられました。事務職は肉体的に体力を使うことが少なかったり、そもそも人気のある職種であることが原因となっているのかもしれません。

ここまで車いすの方が働いている職種の満足度について見てきました。自分に合った職種を見つけるのも大事ですが、希望の仕事ができなかったり、職場環境が悪かったりすれば本末転倒です。特に事務職などは一般的に人気の職種ですが、だからといって事務職が全ての人に合うというわけではありません。自分ができることをしっかり定めた上で、それが叶えられそうな職場、待遇と両立できる職場を根気よく探すことが重要ですね。

では、次に車いすの方が利用した求人サービスについて紹介していきます。

4. 車いすを利用している方が仕事探しで活用した求人サービス

転職活動や就職活動の進め方にはいろいろあります。最近はインターネットなど情報元も多く、選択肢も増えています。

皆さんはどのように転職先や就職先を見つけているのでしょうか?
次のグラフは、車いすを利用している方がどのようなサービスを利用して転職活動や就職活動を行ったのかを表したグラフです。

車いすの方が活用した求人サービス割合

※アンケート「どのようにその職場を見つけましたか。就職までに利用したサービスがあれば教えてください。(複数回答可)」の有効回答23名による30件を集計して合計人数を算出


最も多かった回答は「ハローワーク」でした。実際にハローワークで就職活動を行った方のコメントを見てみましょう。

「ハローワークに行き、障害者雇用担当の方に相談にのっていただきました」
(サービス・外食・レジャー系、事務、女性)

「市区町村のハローワークの障害者部門のかたの手助けを受けました。身体障害者施設の方にもお世話になりました」
(物流・倉庫、コールセンター、オペレータ、女性)

「私の条件を考慮した上で現実をみながら可能な限りそれに近い企業を紹介してくれました。また「トライアル雇用制度」がとても充実していて、実際に働いてみながら感覚的にやっていけそうかを感じられたのがよかったです」
(サービス・外食・レジャー系、経理、男性)



ハローワークには「専門援助部門」があり、障害のある方が支援を受けたい場合はその窓口で行います。また、障害者としてハローワークを利用したからといって必ずしも障害者枠での仕事しか受けられないかと言われればそうではなく、一般の方と同様の支援も受けることができます。

「トライアル雇用」が活用できるのもハローワークの特徴のひとつです。トライアル雇用とは仕事に就く際に短期間の試用期間を設ける制度のことで、この制度を利用すれば職場の雰囲気などをよりつかみやすくなります。

次いで活用している方が多かったのは「就労移行支援施設」と「求人メディア」の2つでした。それらを利用した方のコメントも見てみましょう。

「慣れるまでの20日位は、毎日交替で1・2時間程度様子を伺いにきました。その他は、1週間ごとにきていろんな仕事のサポートでした」
(就労移行支援、メーカー・製造系、事務、男性)

「就労移行支援施設でパソコンを使用した職業訓練を受けました。その最中に「障がい者就労サポートセンター(通称:ナカポツ)」から、ハローワークに求人情報が出ていることを聞きました」
(就労移行支援、サービス・外食・レジャー系、事務、男性)

「行政の広報紙に毎年障がい職員の募集があって、時期になると掲載されるのでそれをみて応募しました」
(求人メディア、事務、女性)



就労移行支援施設を利用するメリットは単に仕事を紹介してくれるだけではありません。実際に作業を行うことで仕事をする上での困り事や向いていることを理解することができます。

また「求人メディア」には行政の広報やインターネットの求人メディアが含まれています。上で述べたように最近では就職活動で利用できるサービスが多様化しています。定番の手段だけでなく、自分に合ったサービスやメディアを見つけることも重要ですね。

・自己分析をしたいけど、自分のことってよくわからない。
・気になる会社を見学してみたい。
・自分のことを面接で上手く話すのって難しい。

そんな悩みや不安はありませんか?

障害について、そして転職や就職を熟知した専門スタッフであれば、適確なアドバイスにより、新しい視野が広がるかもしれません。
自分と相性の良い転職・就職サービスを活用してみましょう。

5. まとめ

車いすを利用している方が考える満足度の高い職場の特徴には以下のものがありました。

・施設や設備が整っていて物理的に働きやすい
・障害に対して理解があり、ハラスメントなどを行わない
・車いすの方が担うべき役割がはっきりしていて、できないことに関しては周囲の協力がある


また、過度に気を使うのではなく、車いすの方が職場の一員としてやりがいを持って働けるような配慮が満足度が高い職場にあることが分かりました。

そして、車いすの方の満足度が高い業界として

・サービス・外食・レジャー系
・小売・流通・商社系


といった業界が挙げられました。

これらの業界は比較的バリアフリー化が進んでいること、自分の症状や都合に応じて柔軟な働き方ができることが満足度の高さにつながったようです。

続いて、満足度が高い職種として

・人事・経理・総務・企画
・コールセンター・オペレータ


以上の2つが挙げられました。

これらの職種では他の職種に比べて自分のペースで働きやすいこと、必要に応じた時短勤務や通勤時間の調整ができることがコメントから分かりました。

また、利用した求人サービスに関しては「ハローワーク」が最も多く、「就労移行支援施設」「求人メディア」と続きました。昨今では就職活動に関する選択肢が増えていることから、ハローワークや就労移行支援施設だけでなく、自分に合った方法を模索することも重要です。

これらを見ると、自分に向いている仕事へ転職するためには、求人票や会社情報からだけではわからない情報も重要ということがわかります。
専門サービスへの相談やUMBREのような職場口コミサービスもぜひ活用してみてください。

理想の仕事に出会えることを応援しています。

▼車いすを利用している方への仕事選びのアドバイス
車いすの方が働きやすい仕事を見つけるためのポイントを紹介しています。
詳しくは こちらへ

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