車いすを使用している方へ 仕事を続けるための工夫と職場サポート

車いすを使用している方へ 仕事を続けるための工夫と職場サポート

車いすを使用して仕事をしている方の中には、うまく工夫をしながら理想の職場で働いている方もいらっしゃれば、悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

例えば、仕事のやりにくさやもどかしさを感じること、同じ体勢を続けることで疲れやすいなど、障害や疾患による特有の悩みを感じることはありませんか?

そんなときは、同じように車いすを使用しながら仕事をしている方々の声に耳を傾けてみましょう。今回のコラムでは、78人の車いすを使用して働いている方の口コミをもとに

・どのようなことに悩み、どのように解決しているのか
・どのように仕事を探したのか

といったアドバイスをご紹介していきます。
また、障害者雇用の専門家ジョジョさん(社会福祉士、プロコーチ)にもアドバイスをいただきました。

仕事との向き合い方や職場について、悩むことや不安に感じることがある方は、ぜひ寄せられた声を解決のヒントとして役立ていただけますと幸いです。

*この記事はジョジョさんに監修していただきました
ジョジョさん

産業カウンセラー、社会福祉士(ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)、プロコーチの資格を持ち、就労継続A、B型にて支援員として、身体障害、精神障害、知的障害のある方への支援を行う。 自身も悩みを抱えギャンブル依存症になった経験から、「悩みから夢まで話せる友達が見つかる東京の居場所”ココトモハウス“と出会い、現在はその管理人として多くの方から信頼を寄せている。生きづらさを抱える人達を社会と繋げて、豊かな社会を作ることがミッション。



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目次

1.車いすを使用することで生じる悩みと対策

2.車いすを使用している方が職場で抱える悩みとその対策

3.車いすを使用している方からの「仕事で実践したいアドバイス」

4.車いすを使用している方が就職や転職の際に注意すること、伝えるべきこと

5.転職や就活の参考に、車いすを使用している方におすすめの企業・業界・職種

6.求人の見つけ方

7.企業情報の集め方

8.専門家からのアドバイス

9.最後に

1.車いすを使用することで生じる悩みと対策

車いすを利用している方は、仕事をする際にどのような悩みを抱えているのでしょうか?障害を抱えている箇所や程度により悩みも異なりますが、アンブレに寄せられた多くの口コミから悩みの傾向をみてみましょう。

【車いすを使用していることで生じる悩み】

  • 通勤や移動に時間がかかる。特に雨など天候が悪い日は大変さが増す
  • 疾患によっては体力が消耗しやすく、症状のコントロールが必要になる
では、これらの悩みへの対策、皆さんはどのようにしているのでしょうか?ここからは具体的なコメントとともに紹介していきます。

1-1. 移動の不便さに関する悩みとその対策

車いすを使用している方にとって、まず挙げられるのが移動に関する悩みです。特に通勤に関しては、交通手段や通勤時間に関する悩みが多いようです。

【悩み】

電動車いすなので通勤ラッシュの時間には電車に乗ることができません。それなのでとても不便です。
運輸・交通・物流・倉庫系、経理、女性

天気が悪い日の通勤です。自家用車で通っていましたが車からの乗り降りの際に車のドアをずっと開けておかないといけないので、車の中や車いすが濡れてしまい天気の悪い日は大変でした。また長期休みで生徒がいないと学校の空調が切られてしまうので体温の管理も大変でした。
サービス・外食・レジャー系、女性

車いす使用、視覚障害もあるため、車を運転できず、公共交通機関での通勤で非常な困難がある。
事務、女性

朝、起きる時、足先のこわばりが強く、起き上がろうとしても、ふらつきと痛みがある。落ち着くまでの時間がかかるため、仕事行く前の2時間、早く起きないと仕事に行くことができないのが、一番困っていたことです。施設には、関節リウマチのことは言えないので、たまに遅刻とかもあるため、嘘をつくことが辛かったです。
サービス・外食・レジャー系、女性



車いすを使用している場合、時間帯により公共交通機関がラッシュなどで混雑していると、乗り物に乗りづらい状況が出てきます。また、症状によりマイカー通勤が困難な場合もあります。

では移動に関する悩みに対して、同じく車いすを使用している方はどのような対策や工夫をしているのでしょうか?

【工夫や対策】

ラッシュ時は比較的に空いている車両や全駅止まらない、一部期間の電車に乗ることで、満員電車を避けるようにしています。雨の日は車いすでも脱ぎ着しやすく、着ていても自走できるポンチョを使用しています。
小売・流通・商社系、男性

送迎車で送り迎えしてもらっています(車いす使用)。 トイレ、昼食など、自分で出来ない所をカバーしてもらっています。
IT・通信・インターネット系、男性

基本的に在宅勤務なので通勤の手間がない、定時に終わり残業がない。
サービス・外食・レジャー系、事務、男性

それなりに会社側には理解があり労働時間や出勤、終了時間をある程度、自分で決められる。
事務、女性

対応として、フレックス制度により出社時間をずらしてもらいました。また、雨の日は他の社員が最寄りの駅から会社までサポートしてくれています。
小売・流通・商社系、男性



車いすを使用している方の場合は、ラッシュ時間を避けるなど混雑を避けることが通勤のしやすさにつながります。また、その日の天候も通勤に使う労力を左右します。

そのため、通勤時間をずらしてもらう、天候を理由とした遅刻を認めてもらうことで、通勤に関する悩みを解消できます。また、車を利用できる方は自家用車での出勤を認めてもらうことも有効です。自ら理由と状況を詳しく説明し、会社に正しく理解してもらう工夫も大切です。

さらに、送迎がある企業や在宅勤務が可能な企業もあるようですので、就活や転職活動の際は確認してみるのも良いですね。

1-2. 体力の消耗や疲れやすさに関する悩みと対策

車いすが必要な疾患のある方は、一般の方よりも体力を消耗しやすく、その日の体調が仕事に影響することもあるでしょう。症状による日常生活の悩みについて、実際にコメントを見ていきましょう。

【悩み】

障害について、脳性麻痺による突発的な緊張感があり、コントロールがしにくい障害。特徴は、何かを始めると緊張してしまいます。言語の方もあります。初めは聞き取りができないが徐々に慣れて会話もできる様になります。
メーカー・製造系、事務、男性

関節痛や筋力低下のため中長距離の移動は車いす利用です。 体調は日によって変動があります。 ステロイド服薬のため下肢に皮膚潰瘍ができやすいです。 全身性エリテマトーデス治療薬を自己注射しています。
サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、女性

この病気の特徴が、元々骨折しやすいという症状で、尚且つ、以前骨折した場所が神経痛になることもあります。気温差や、湿気など天候によって症状が悪化し、休まざる得ない時に上司にその旨連絡をしていたのですが、その上司からは、「いつ治るの?」「いつまで出勤しないつもり?」と回数が増える度に語気が強くなりました。何度も、話はしましたが、理解して頂けない上司からは最後、パワハラのごとく、周囲の前でも恥をかかす様に「怠けている」など暴言を吐かれ、その度に、心理的にもダメージを負ってしまい、心療内科まで行く羽目になりました。
運輸・交通・物流・倉庫系、女性

車いす移動なので、事務所スペース内での移動が困難。気分変動が激しく、時に強迫観念が強くなり、家から出たくなくなることも度々ある。
医療・介護・福祉、男性



車いすを使用している理由は人それぞれです。足が不自由な方もいらっしゃれば、全身に及ぶ疾患を抱えている方もいらっしゃいます。
疾患の症状に加え、移動の不自由さや同じ姿勢を保つことによる疲れが体調に与える影響は大きいようです。

これらの悩みに対して工夫をしている方の声をみてみましょう。

【対策】

毎日、規則正しい生活をこころがけています。今現在、作業所に、週2日行っていますが、職員の方に、机の上でできる内職のような物を、指導してもらって作業しています
IT・通信・インターネット系、男性

できる限り同じ時間におき、同じ時間に食事をして、同じ時間に寝るようにする (1日のサイクルを一定にするようにする)
サービス・外食・レジャー系、事務、男性

無理はせずマイペースでおこなう。時間のメリハリをつけて仕事をする。
メーカー・製造系、人事・経理・総務・企画、男性

やる気が出ない日はどんどん休む 出来ないことは人に頼む 自分が出来る範囲を明確に 気分の状態をグラフ化して管理
IT・通信・インターネット系、エンジニア・技術職、男性



まずは、基本である「規則正しい生活」が重要です。そして薬を服用している方は、決められた処方を守ることで症状が安定し、仕事もしやすくなります。

そして最も大切なことは、無理をせず自分のできるペースを保つことです。残業が多くストレスを溜めてしまうような仕事のしかたでは、心身の疲労が蓄積する一方で体調を整えることが難しくなります。まずは自分のペースを理解し、そのペースを尊重した働き方をすることも重要ですね。

ここまでは、車いすを使用している方が抱えている特有の悩みに注目し、その対策を紹介してきました。次は、職場で抱える悩みについてみていきましょう。

2.車いすを使用している方が職場で抱える悩みとその対策

口コミをみると、車いすを使用されている方は様々な業界や職種でお仕事をしていらっしゃいます。しかし、職場で感じる悩みには共通することも多いようです。中でも目立った悩みは以下の通りです。

【車いすを利用している方の職場での悩み】

  • 社内の移動や動作に時間がかかる
  • 座り続けることで疲れやすい
  • 周囲のサポートを要することがある
  • 自分のできる仕事で力を発揮したい
  • それでは、それぞれの悩みについて具体的なコメントをみながら、寄せられたアドバイスを参考にその対策も紹介してきます。

    2-1. 社内の移動や動作に関する悩みとその対策

    車いすの方が働く際、職場の設備環境はとても重要です。バリアフリーが整っていない職場や通路が狭い職場は、仕事をすること以外での体への負担が大きくなってしまいます。

    【悩み】

    筋力が低下する進行性の疾患で、現在は車いすにて生活をしています。荷物の運搬が出来ない、段差がある場所へは行けない等、仕事探す段階で苦労します。
    サービス・外食・レジャー系、事務、男性

    制服に着替えなくてはならない職場だったのですが、配属された職場の更衣室が階段の途中の中二階にあり、利用することが出来なかった。また、車いすのまま働くことになったのだが、通路が狭くて通れない所があったり、必要な書類などが手の届かない高い場所にあったりした。
    金融・保険系、男性

    車いすユーザーで、会社が工場だったので、社内の移動など気をつけました。あと、体調不良で下痢をしたりした時の処理が大変でした。また、事務所の鍵置き場が二階にあった為、他の人が出勤するまで事務所に入れませんでした。
    メーカー・製造系、男性

    比較的大きなビルだったのですが、エレベーターが2基しかなく、出社時や昼休みは結構エレベーターの利用者が多かったため、車いすの自分は利用をはばかられました。そこは不便だと感じた点です。
    IT・通信・インターネット系、デザイナー・クリエイティブ、男性



    これらの悩みは、自らの少しの心がけや、会社に対して具体的なお願いをすることで、緩和されることもあるようです。具体的な対策をみてみましょう。

    【対策】

    集合時間の15分前行動を意識し、やむを得ない移動を伴うときにはその移動距離を最低限で済ませられるように常にスケジューリングしています。
    サービス・外食・レジャー系、人事・経理・総務・企画、男性

    階段の途中の中二階の更衣室は使えないので、別の課の更衣室を間借りさせてもらった。通路は模様替えをしていただいて、通れるようにしてもらい、手の届かない書類に関しては、普段使いするものは手の届く位置に下ろしてもらい、それ以外は必要に応じて、誰かにとってもらうことにしました。
    金融・保険系、男性

    最低何cmあれば通れる。何cmの段差なら越えられる。と明確な数字を言うようにした。また自分でスロープを用意して置いてもらう工夫もしました。
    サービス・外食・レジャー系、女性

    車いすだと人ごみの中の操作が難しいので、混雑する前に早目の昼休みを取得。
    メーカー・製造系、エンジニア・技術職、男性

    物をしまう場所の変更とレイアウトの変更。車いすで移動しやすいところに座席がある。
    事務、女性



    職場内での移動に関する悩みを解決するためには、時間にも気持ちにも余裕を持って行動することが大切です。あらかじめ行く場所や道順を確認しておけば、所要時間や必要なエレベーターの数や場所を事前に知ることができ、予定を立てやすくなります。またサポートが必要な場合は、事前に職場の方に頼んでおくこともできますね。

    車いすを使用していると、設備の都合上、自分一人ではできないことも出てきます。そういった場合は、職場に相談することで解決できることもあります。

    例えば、スロープや身障者用トイレを用意してもらった、という声がありました。このように、すぐ設備を整えることが難しい場合は、頻繁に移動する場所への動線の確保や、物の場所やレイアウトを変更してスムーズに移動ができるよう対策をしてもらうことでも、負担は大きく減りますね。

    そして、これから就職しようと考えている方は、職場を見学させてもらうことも有効でしょう。使用できるトイレの有無、動線の広さなどを確かめることで、働きやすいかどうかを検討できます。

    これまでの意見から、職場内での移動に関する悩みの解決策をまとめます。

  • 気持と時間に余裕を持った行動を心がける
  • 周囲の方に必要なサポートを具体的に伝え相談する
  • 行動する場所に関しては、あらかじめ下調べをしておき必要に応じてサポートをお願いする


  • また仕事を探す際も、具体的なサポートは得られそうか、職場環境はどのようになっているかを事前に確認しておくことも必要ですね。

    2-2.座り続けることによる疲れやすさと、その対策

    車いすを使用していると、長時間同じ姿勢でいることを強いられます。体位を変更しづらいと疲れも溜まり体力を消耗しやすくなります。具体的な悩みとその対策を見ていきましょう。

    【悩み】

    脊髄損傷の痙性、痺れ下半身不随 車いすで長いこと座ると痺れ仕事が厳しい。
    マスコミ・広告・デザイン・ゲーム・エンターテイメント系、経理、男性

    股関節脱臼、足の長さが左右違います→同じ姿勢を長時間取れない。
    メーカー・製造系、事務、女性

    下肢機能全廃、上肢機能の著しい障害、直腸機能障害、排尿機能障害 手の指も全く動かないため、パソコン入力に時間がかかる。 長時間車いすに座っていると褥瘡になりやすい。 体調を崩しやすい。
    IT・通信・インターネット系、エンジニア・技術職、男性



    では、これらの悩みについて対策をしている方のコメントも見ていきましょう。

    【対策】

    PC作業に集中する時間が長いと、肩等が凝るので、 30分おきに、座席で軽いストレッチ。肩を回したり、ぼんやり遠くをみたり。
    メーカー・製造系、エンジニア・技術職

    こまめに休憩を取り、体位変換を試みる 受動喫煙環境から逃げる 体温上昇を避ける
    サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、男性

    食生活、睡眠を規則正しくする。筋力低下や可動域の減少を防ぐためリハビリやストレッチを定期的に行う。
    メーカー・製造系、軽作業、男性

    デスクワークが主なので、脚が浮腫まないように時々脚を動かしたりしている。
    (メーカー・製造系、事務、男性)

    自分なりの楽な体勢を維持できるように、クッションや椅子、杖などで作業場を工夫している。
    事務、女性

    関節がかたまることがあるため、1時間ごとに席を立つようにしている
    メーカー・製造系、軽作業、男性



    長時間同じ姿勢でいると単に疲れてしまうだけでなく、二次的な症状が現れる心配もあります。それを防ぐためには、定期的な体位変更やストレッチが有効です。

    しかし、周りの目が気になってこまめな休憩がとりづらい、ストレッチができるスペースがその場にない場合もあります。

    そのような場合は、周りの理解を求めることが大切です。移動に関する悩みと共通しますが、こまめな休憩の必要性や同じ姿勢でいることのつらさを予め周囲に伝えておけば、周囲の目を気にすることも減りますし、自分なりの対策が取りやすくなりますよね。

    加えて、無理をしないということも重要です。
    仕事に集中してつい無理な姿勢を続けることや、周りに合わせてつらいことを我慢すれば、後々悪い影響が出てしまいます。限界まで我慢するのではなく、仕事に集中する時間と、休憩をとる時間を決めて、仕事を進めることが重要です。場合によっては、体勢が楽になるクッションや違う椅子を使うなど、道具を工夫するのも良いかもしれませんね。

    2-3. 周囲のサポートを要することへの悩みとその対策

    車いすを使用していると、周りのサポートが必要なこともあります。しかし、周囲の方の仕事の手を止めてサポートをお願いするのは、気が引けるという方もいらっしゃるかもしれません。ではそのような悩みは、どのように解決すればよいのでしょうか。

    【悩み】

    事務長として勤務。主に人事、不動産管理、経理を担当しておりました。来院者(取引先、患者)の対応が必要な時、下肢不自由なためすぐに面会できずもどかしい気持ちで一杯でした。また、設備の修理等で現場の確認が困難な場合があった。
    サービス・外食・レジャー系、男性

    進行性筋ジストロフィー顔面肩甲上腕型であり、移動は電動車いすを使用しています。運転免許がないため外回りや、物理的にできないこと(重たいものを持つ等)が難しいです。
    サービス・外食・レジャー系、事務、女性

    同僚など、人に関して不満はなかったのですが、施設のバリアフリーなど、そういった面では不便を感じたことがあるためです。
    IT・通信・インターネット系、男性

    進行性の右手感覚麻痺が発症中。右手を使った細かい作業に難有り。
    メーカー・製造系、エンジニア・技術職、男性

    職場内の移動が可能なよう、家具の配置や配線等に気を配ってもらった。弱視や視野狭窄については全く理解されていなかった。
    事務、女性



    では、周囲にサポートをお願いする場合は、どのように伝えるのが良いのでしょうか?伝え方や心がけによって、よりスムーズに仕事を進めることができるかもしれません。アドバイスをみてみましょう。

    【対策】

    初めて訪問する場所のトイレ設備や段差などは、事前に確認するようにしています。そして困難な段差がある場合は、杖を持って行き介助してくださる方の負担を減らすようにしました。また可能な場合は、単発でアルバイトを雇って介助してもらうこともあります。トイレに関しては最悪のケースに備えてオムツを持参しています。
    男性

    一度自分の力で行けない箇所を確認し、そこは代わりの方に行ってもらうようにした。
    サービス・外食・レジャー系、女性

    極力、現場へ視察に行かないで済むように配慮をしていただきながら、わからないところだけを担当者から現場の状況を聞いたり、上司に教えてもらいながら確認して設計したりしていました。通勤時間では早く慣れるように対応しました。
    不動産・建設・設備系、男性

    自分からあまり言いたくはなかったが、迷惑をかけない為にも周りの人に自分の病気のことを話し、どこまでやったかをすぐにわかってもらえるように行った作業内容をノートなどにまとめていました。
    小売・流通・商社系、女性



    これらのコメントを見ると、いずれも周囲からのサポートを極力減らす工夫をしていることが分かります。
    例えば、初めて行く場所では事前に設備やサポートが必要な場所を確認しておくことで、前もってサポートを頼んでおくことができます。そのほうがサポートする人も準備がしやすいですよね。

    仕事を進める上でも自分でできないことは何か、どんな配慮が欲しいのかを明確にして伝えておくことで、職場の同僚も心づもりができます。

    サポートに時間を割いてもらうことを考えると、別の面でやりとりを減らすように工夫すると、さらにサポートをお願いしやすくなるかもしれません。例えば、自分の作業進捗などを記しておき、必要以上の確認や連絡を減らすといった方法があります。

    人によって障害がある箇所も異なります。そのためにもやはり自分のできること、できないことをはっきりとさせておき、適切なタイミングで必要なサポートをしてもらえるような事前の働きかけが重要です。

    2-4. 仕事で能力が発揮できない悩みとその対策

    抱える病気や障害の部位により、できない仕事、やりづらい仕事はありますが、車いすを利用しているからといって、全ての仕事ができないわけではなく、能力が発揮できる仕事もあります。

    しかし、職場の同僚の中には、できる仕事、できない仕事を把握していない方もいらっしゃいます。その認識の差で、できる仕事もあるのに任せてもらえない、仕事はできるのに休まなければいけない日があることでもどかしい気持ちを持つ方もいらっしゃいます。

    【悩み】

    電話応対ができない。会議で聞き取れない。
    事務、男性

    歩行困難で車いす生活、細かい作業が苦手。字は書ける。
    事務、女性)

    車いすでの生活なので身体を使った作業はできないし、移動速度ももちろん遅いので他の人より作業スピードが遅れて困ることがあります。
    サービス・外食・レジャー系、人事・経理・総務・企画、女性

    膀胱直腸障害ということで、小便は留置カテーテルを使用し、2~3週間に一度、泌尿器科に通い交換をしてもらいます。また、普段飲んでいる薬を処方してもらうために、月に一度、整形外科を受診しています。したがって月に2回は、必ず欠勤しなくてはなりません。それ以外に、尿路感染で発熱したり、下痢になると一日中トイレから出られなかったりします。また、通勤に電車を利用していましたが、車いすを利用しているため、悪天候の時は欠勤しなくてはなりませんでした。それゆえ、仕事に対してやる気はあるのですが、その意志とは裏腹にどうしても欠勤しなくてはならないという歯がゆさがありました。職場自体はバリアフリーになっているので、環境的には言うことがありませんでした。
    サービス・外食・レジャー系、男性

    手に障害があるためひとつひとつの作業に時間がかかったことです(タイピングスピードなど)。他の人の4倍の時間がかかっているといわれました。良い姿勢を保持できないため他の人から寝ているように見えるともいわれました。
    女性



    では、症状によってできないことがある、そしてできることもある、ということを理解してもらい仕事をスムーズに進めるにはどのようにすれば良いのでしょうか?

    【対策】

    常に15分前を目指して行動しています。また、移動をしないデスクワークなどもらえるように相談しています。
    サービス・外食・レジャー系、人事・経理・総務・企画、女性

    作業に時間がかかってしまうぶん丁寧な仕事を一生懸命するように心がけました。その結果「一生懸命さが伝わってくる」との評価を頂けました。また、ミスを減らせるように確認作業をひとつひとつ丁寧にするように心がけました。
    女性

    まずは、長期休暇の連絡をする上司以外の人に、自分の病気の細かい症状や、病歴などが記載されているホームページなどを紹介し、症状自体の理解に努めました。
    それでも、難しい時は、主治医の意見書などを作成して頂き、その状況にはどのくらいの日数を要するのか事細かく記載して頂くように配慮していました。そして、万が一、勤務中に骨折など事故が生じた場合のかかりつけの病院などを予め、常時所持して、周囲に極力迷惑かけないように努力しました。
    運輸・交通・物流・倉庫系、女性



    抱える症状によって苦手なこと、できないことは人それぞれです。また、体調によってやむなく欠勤することや、平日の通院をせざるを得ない場合もあります。たとえ本人に仕事のやる気があっても、できない、休まなければならないことに歯がゆさを感じることもあるでしょう。

    そのような状況を理解してもらうためには、できないことを明確にするだけでなく、できることも併せて伝える必要があります。例えば口頭でのコミュニケーションが難しい場合は、メールでのやり取りならできるということを伝えておけば仕事に支障が出ずに済みますよね。

    自分で詳しく説明するのが難しい場合は、コメントにあるように、医師の意見書や症状を解説したホームページの情報に頼るのもひとつの手です。その場合も「症状がある」という事実だけでなく、どうすれば症状を抑えられるか、万が一のときはどうすれば良いかも伝えることで、より深い理解につながるでしょう。

    また、周りの理解を得るための前提として必要なことは、できることを一生懸命やるということです。いくら症状を抱えていてそれを言葉で説明しても、なかなか他人にはわかってもらえないもの。そんな時でも、少なくともできることを一生懸命やっている方であれば、症状に対する理解も得られやすいのではないでしょうか。ミスなく正確に作業するなど、できる範囲でやる気が伝わる行動をとることも大切ですね。

    ここまでは車いすを使用している方の仕事の悩みとその対策を述べてきました。
    さらに、すぐ職場で実践できそうな具体的なアドバイスも届いていますので、ご紹介していきます。

    3.車いすを使用している方からの「仕事で実践したいアドバイス」

    ツイッターでも、車いすを利用している方から仕事で実践できるような具体的なアドバイスを教えていただきました。

    • キーボードのショートカットとかは、知っているのと知らないのとでは全然違う
    • パソコンの入力は音声入力を使って効率よく進める
    • 同じ姿勢を維持するのは疲れるので、ストレッチなどに使ってよい場所を用意してもらう
    • いざとなったら頼れる人を一人決めておく
    パソコンを使用して仕事をしている方も多くいらっしゃると思いますが、手足が動きづらく、キーボード操作に時間がかかることもあるのではないでしょうか。パソコンで作業する上では、知っておくと楽になる機能が数多くあります。

    アドバイスにもあった「ショートカットキー」や「音声入力」もその1つ。
    音声入力は、「グーグルドキュメント」を利用すれば、特別な設定をしなくても使えます。性能も高く、読み上げるだけで自動的に文章として入力してくれるので、キーボードの操作が苦手、時間がかかるという方には非常に便利です。

    ▼参考:グーグル ドキュメントエディタヘルプ「音声入力」

    そして、先述した内容と少し重複しますが、座った姿勢を長時間保つことは疲れやすさにつながります。パソコン作業はつい続けてしまいがちですが、定期的にストレッチできる時間や場所があると、リフレッシュできますね。

    ヘルパーさんが職場へ同行してくれると助かりますが、難しいのが現状です。しかし、仕事中には1人では難しいことや、相談したいことも出てきます。そういったときに手伝ってくれる人や代わりに作業をお願いできる人、相談しやすい人が1人いると気持ちが楽になるのではないでしょうか。
    周りの方全員に気を遣いながらお願いする、または、そのつどお願いできそうな人を探すよりは、自分も周囲の方も仕事に集中しやすくなるかもしれません。

    次は、就活、転職に目を向けてみましょう。就活や転職をするにあたっては、どのようなことに気を付ければ良いのでしょうか?実際のコメントを見ながら解説します。

    ※このコラムを読んでくださっている方も、ぜひみなさんにお勧めしたい工夫やアイデア、アドバイスがありましたら、ご投稿ください。

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    4.車いすを使用している方が就職や転職の際に注意すること、伝えるべきこと

    車いすを使用している方の仕事探しで気を付けるべきことは何でしょうか?
    寄せられたコメントをもとに、転職、就職活動をする上での注意点について考えていきましょう。

    人事や採用担当者ではなく、就業先部署の上司が障害に対しての理解がきちんとあるかどうか。可視身体障害がある場合は、オフィス内通路の広さや床の状況。杖歩行であっても、通路が狭く段差があると移動に注意が必要。
    聞くべき質問は
    ・通院の際、休めるかどうか(業務優先ではなく休ませてもらえるのか)
    ・障がいの特性、程度によっては指導員の配置数
    ・休憩時間(1時間に10分、等)」
    サービス・外食・レジャー系、営業、女性

    まず、自分の症状について他人の理解が必要。プライドを捨て細かい説明が必要。できる仕事、できない仕事。他人との共同作業、クリエイティブな仕事、単純な組立作業など、希望する業務内容をはっきりさておいた方が良いと思う。突発の休暇取得もできる会社がいいと思います。
    メーカー・製造系、エンジニア・技術職

    これから就職する会社が、どういう会社なのか、そして自分ができる仕事はあるのか。自分の能力を発揮できる職場環境なのか、しっかり把握すること。そして、自分の障害を踏まえ、自分のことを的確に把握しておくこと。そして的確に把握した自分のことを会社の担当者に細かく説明できること。さらに、アクシデントが生じたときは、どのように対応してほしいか、ちゃんと伝えること。伝えるための方法として、コトバでの会話に加えて、事前に書面でわかりやすく理解できる方法も準備した方がよいと思う。担当者が、書面を見て感じたことを質問してくることも想定して、しっかり、自分のことを把握して、スムーズに自分のことを理解してくれる環境づくりも大事だと思える。
    メーカー・製造系、医療・介護・福祉

    実際の仕事内容の詳細がわかりにくいため、本人の障害や病気の程度を把握して、体調の良いときと悪いときの内容、悪いときはどういう状態をクリアすべきなのかをしっかりと伝えることが必要です。そのことを踏まえて、会社の担当者としっかり話す機会を持ち、定期的な振り返りが 行えることが大事ではないかと考えます。合理的配慮をまとめておくことをおすすめします。
    サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、男性



    これらのコメントから、就職する際に把握しておきたい企業のポイントをまとめます。

  • 職場の施設や設備は整っているかどうか
  • 現場レベルで病気や障害への理解があるか(休みや業務上の配慮など)
  • 実際にどのような仕事をしているのか
  • 自分ができる仕事、やりたい仕事、実力を発揮できる仕事は何か
  • これらのポイントは、働きやすさにつながるヒントになります。
    また、就職の際に伝えるべきポイントは以下の通りです。

  • 自身の特性について(口頭での説明が難しい場合は資料など用意する)
  • どんな仕事ができるか
  • できなくてもサポートを得ることでできる仕事はどんなことか
  • バリアフリーなどの設備の必要性
  • 症状が悪化した際にはどのような対応が好ましいか
  • 通院のために必要な、休みや早退の有無や頻度
  • 通勤時間や通勤手段に対する配慮事項
  • これらのポイントについて、自分の考えをまとめておくと思いを伝えやすくなるでしょう。

    そのためにも、自分の特性を具体的に把握し、説明できる必要があります。一見簡単なようですが、他人にわかるように説明するのは意外と難しいものです。一度ご自身の症状や必要な配慮について紙に書き出し、口に出して伝える練習をしてみるのも良いかもしれません。

    また、その職場に自分ができる仕事があるかを把握することも必要です。面接等の場では、具体的にどのような仕事をやっているのか、環境はどうなっているのか確認しておきましょう。

    さらに、取り上げたコメントには細かい病状の説明が必要というものがありました。就職活動において「できないこと」や「こんな症状がある」といった話は、伝えることに抵抗を感じる方もいらっしゃると思います。
    そんなときは、「これはできないけれど、これならばできる」「できないけれど、このようなサポートがあればできる」という伝え方を意識してみましょう。働くことへの積極的な姿勢を見せることは、プラスの印象になります。

    就職の際に大切なことは、「自分にはどのような症状があって、何が必要か」を正直に伝えることです。また、「これくらいならできるだろう」という自分の予想だけで話を進めないことも重要です。それらを踏まえた上で、ぜひとも自分に向いている仕事を探してみてください。

    5.転職や就活の参考に、車いすを使用している方におすすめの企業・業界・職種

    5-1.おすすめの企業

    ここで、車いすを使用し転職や就活を考えている方におすすめの企業をご紹介します。

    中には「本当に、車いすを使用している状況を理解してくれる理想の会社なんてあるの?」と疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。

    しかし口コミには、車いすを使用しながら理想の職場で働いている、ポジティブな回答をくださった方がたくさんいらっしゃいます。

    ・国立大学法人東京大学
    職場の上司が教授であるため、無理に利益を追求していることがないため無理やり急いで働かされるようなことはなく、ゆったりとした納期で仕事をすることができます。 また、基本的に在宅で勤務するため通勤によるロスがなく仕事のしやすい環境です。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★
    →口コミの続きはこちらへ

    ・スターバックスコーヒージャパン株式会社
    障害を持つ人への気配りや配慮はかなりあると思いますので、何も気にせず伸び伸び仕事ができるところです。
    満足度:★★★★★
    配慮 :★★★★★
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    ・株式会社テレコメディア
    仕事に慣れるまではデスクを近くして、困っている様子が分かればすぐ駆けつけてくれたので安心して仕事ができ、対応に困ったときも嫌な顔も見せずに丁寧に教えてくれて人間関係も比較的いいほうだと思います。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★★
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    ・練馬区役所
    たくさん色々な障害を持った人が長く働いている。公的機関なのでバリアフリーで移動はとてもしやすい。民間企業よりも休みも取りやすいので、無理なく働けると思う。最大限、その人にあった配慮もしてくれると思う。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★
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    ・パナソニック株式会社
    自分の在り方に合わせた会社の配慮があり生きがいだけでなく社会貢献できている実感を身にしみて感じさせてくれていると思う。このような毎日を通して多くの人に働くことの喜びや充実感を味わってもらいたいと心から感じている。
    満足度:★★★★★
    配慮 :★★★★★
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    ・本田技研工業株式会社
    職場の上司や同僚や総務課を始め他の課も理解があり、全てドアは、引き戸にするなど、環境面は、直ぐに対応してくれた。 仕事を進めるペースが遅く、そのあたりも勤務時間の配慮があった。 一ヶ月おきに産業医と面談し、面談結果を踏まえ、勤務時間を調整してくれた。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★
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    5-2.おすすめの業界・職種

    では次に、車いすを利用している方におすすめの業界や職種について考えてみます。
    といっても、皆さんが働いている職場の業界や職種は様々。そして症状の程度や特徴もそれぞれ異なります。
    そこで1つの手がかりとして、アンブレに届いた70を超える車いすを利用している方からの口コミを集計し傾向をみてみました。

    まずは業界です。

    車いすの方が働いている業界の割合グラフ

    車いすの方が働いている業界別満足度グラフ


    多くの方が勤めている業界は「サービス・外食・レジャー系」、そして満足度が高い業界も同じく「サービス・外食・レジャー系」でした。
    しかし、2番目に働いている方が多かった「メーカー・製造系」の満足度は44%と半分以下に留まっています。

    次は職種です。

    車いすの方が働いている職種の割合

    車いすの方が働いている職種の満足度グラフ


    多くの方が勤めている職種は「事務」でしたが、満足度が高い職種は「人事・経理・総務・企画」という結果になりました。

    皆さんの予想はどの業界と職種でしたか?
    業界と職種に関する詳しい調査結果はこちらでご覧いただけます。

    ぜひ参考にしてみてください。

    では、このような企業はどのように探せばよいのでしょうか?
    次は、仕事の探し方を確認していきましょう。

    6.求人の見つけ方

    障害のある方が求人を探す場合、行政機関や民間企業が行っているサービスなど、様々な方法を利用することができます。
    ここからは代表的なサービスを紹介します。

    ①ハローワーク

    障害のある方専門の窓口があり、相談をしながら就職・転職活動のアドバイスを受けられます。求人数が多く、障害のある方向けの求人情報も多数取り扱っています。

    『ハローワークインターネットサービス』を利用しました。インターネット上で求人の検索をしたり、メールなどのオンラインで担当者とやりとりをしたり、選考当日も同行してもらえました。
    サービス・外食・レジャー系、人事・経理・総務・企画、女性

    私の条件を考慮した上で現実をみながら可能な限りそれに近い企業を紹介してくれました。また「トライアル雇用制度」がとても充実していて、実際に働いてみながら感覚的にやっていけそうかを感じられたのがよかったです。
    サービス・外食・レジャー系、人事・経理・総務・企画、男性

    ハローワークに行き、障害者雇用担当の方に相談にのっていただきました。
    サービス・外食・レジャー系、事務、女性



    ▼参考:厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」

    ②専用の人材紹介会社(エージェント)

    人材紹介会社(エージェント)の中には、障害がある人の就職・転職活動をサポートしてくれる、専門の人材紹介会社があります。

    就職先を紹介してくれるだけではなく、履歴書の書き方や面接の練習、入社後のケアも含めて対応してくれます。面接や事前見学の日程調整をはじめとして、企業との仲介役になって連絡をとってくれる点もメリットでしょう。

    また、ハローワークでは公開されていない独自の求人情報も扱っていますので、できるだけ幅広い企業から選びたい人におすすめです。各企業のことにも詳しいため、ホームページや求人票ではわからないリアルな職場環境も知ることができます。

    担当者にご自身の障害の程度や特性を相談した上で、専門的なアドバイスや適切な企業の紹介をしてくれますので、就職活動で不安なことがあっても心強いですね。

    体験談にも専用の人材紹介会社を活用したという声が多くありますのでご紹介します。

    人材紹介会社から事前に病気の説明をしていただいたうえで、面談に進むことができた。また、面接日や入社希望日の調整をしてもらえた
    メーカー・製造系、軽作業、男性

    給与所得、社会保障、労働時間などは予めこちらの希望を伝え、それに沿った内容を提示された
    事務、女性



    人材紹介会社によって、紹介できる企業の得意分野は異なります。人材紹介会社を選ぶ上では、希望する業界を幅広く取り扱っているか、担当者に希望を伝えやすくスムーズにやりとりできるかも重要です。

    次は、気になる企業の情報収集についてご紹介していきます。

    ▼ここで紹介したサービス以外にも障害者雇用に関する求人サービスはたくさんあります。それぞれのメリットやデメリットをまとめましたので、よろしければ参考にしてください。
    「ハローワークだけじゃない、障害者雇用枠の求人はここでも!求人サービスを紹介」

    7.企業情報の集め方

    会社紹介の採用ページや企業サイトだけでは、職場の雰囲気や設備の状況は掴みづらいかもしれません。できるだけ自分の目で確かめてみましょう。

    7-1. 事前に見学して企業の雰囲気を確認する

    企業によっては職場を事前に見学させてくれるところもありますし、人材紹介会社に登録している方は、アドバイザーを通して見学をお願いすることもできます。まずは相談してみましょう。
    口コミにも、事前に見学することで、面接だけではわからない職場の雰囲気を感じ取ることができたとの意見が多くみられます。

    どの会社でも見学のときは、マイナス面は一切出さないと思いますので、なかなか短い時間で把握するのは現実無理です。しかし、設備、例えば、エレベーター、障害者用トイレ、手すり、車いす用駐車場などが完備されているかは、隠すことはできないので、それらが、すぐ目につくようであれば、障害者に理解を示しているかの尺度にはなると思います。
    メーカー・製造系、エンジニア・技術職

    その人その人の障害程度や症状にも同じ人はいないので、見学や就労体験等でできる仕事の範囲内を自分と会社の人に理解してもらい、かつ続けられるかどうかを判断すればいい。そして自分自身が楽しく仕事に打ち込めるかを判断すればいいと思う。
    メーカー・製造系、コールセンター・オペレータ、男性



    7-2. 面接はその企業を良く知るチャンス

    面接は、企業側があなたを審査するだけの場ではありません。大事なのは、あなたが企業に求めるものと、企業があなたに求めるものが合致し、お互いに納得することです。

    不安や疑問がある場合は、面接で確認しておきましょう。具体的に聞いておきたいことは、経験者の皆さんの声をご紹介しますので参考にしてみてください。

    とにかく仕事内容など自分の障害の程度に合わせ、就職可能かの吟味を良くする必要があると思います。面接時に自分の事をしっかり理解してもらい仕事内容の確認とその作業ができるかどうかの事まで話し合っておく必要があると思います。
    不動産・建設・設備系、事務、女性

    世の中には色んな人がいて、色んな考え方があります。就職する際には、その会社に障害者がいるかいないかを見てください。障害を持った方が何人も働いている環境なら、就職してからも悩みなども相談できるし安心して働けると思います。
    メーカー・製造系、男性

    身体が資本ですので、長く働こうと思う方は、多少言いにくくても「自分にできないこと、難しいこと」等をきちんと担当者に伝えることをオススメします。
    サービス・外食・レジャー系、事務、女性



    面接で緊張しすぎて、聞きたいことを質問できなかったということだけは避けたいですね。そのためにも、あらかじめ知りたいことは書き出し、質問事項をまとめておきましょう。事前に話せるようにしておくことで心に余裕ができ、面接本番もスムーズになります。

    働きはじめてから大変な思いをすることになっては、心身ともに大きな負担になってしまいます。心地よい職場環境で障害と上手に向き合っていくためにも、面接時での質問のチャンスは大事にしましょう。

    8.専門家からのアドバイス

    車いすを使用している方へ、障害者雇用の専門家ジョジョさんからの仕事探しに関するアドバイスを紹介します。

    車いすで勤務する場合は、できること、できない事をしっかりと伝えておくことが大切です。
    また、仕事中以外でも、休憩時間や通勤に配慮をしてくれる職場を選ぶのが良いでしょう。

    私も車椅子の方と仕事をしたことがありますが、外見からわからない部分は、当事者が職場の同僚に主張しないとなかなか手が回りません。
    して欲しいことはしっかりと伝えると、お互いに気持ちよく仕事ができます。

    9.最後に

    これまでの内容をまとめます。

    ・車いすを使用している方の多くは、通勤や職場内など色々な場面で必要不可欠な移動に関する悩みを抱えています。悩みを少しでも解決するために、余裕を持った行動を心掛ける方が多くいらっしゃいました。またサポートが必要な場面や、天候により出勤が遅れることもあるため、職場に相談した上で理解を得ることも重要です。

    座った姿勢を保ち続けることによる疲れへの悩みも切実です。こまめに休憩をとったり、ストレッチをしたりして、体をリラックスさせることを心がけましょう。こまめな休憩をとりやすくするためにも、事前に周りの理解を得ることが大切です。

    ・周囲の協力が必要ながらも、できる仕事を一生懸命取り組む姿勢を見せることも、周囲の信頼を得るためには必要かもしれません。できる仕事とできない仕事をはっきりさせた上で、自分にできることにしっかり取り組めば、周りからの信頼や理解を得ることにつながります。

    ・就職や転職の際には、「できる仕事」や「できない仕事」「協力を得ることで可能なこと」など、自分の特性を説明できるようにしておきましょう。なるべく具体的に、言いづらいことであっても伝えるべきことは伝えるようにしましょう。

    ・車いすを使用しながら、理想の仕事や職場で働いている方も多くいらっしゃいます。車いすを使用している方におすすめの企業や業界、職種には傾向がみられますので、職場選びの参考にしてみましょう。

    これまでにご紹介した体験談は、ほんの一部です。症状も人それぞれ、企業の対応もそれぞれ異なります。
    まずはご自分の症状や、できることできないことについてまとめてみましょう。そして、自分にあった職場を自分のペースで見つけてください。

    納得のいく職場を見つけるためには、気になる企業の様子やサポート状況を事前に自分の目で確かめられると一番良いでしょう。求人票ではわからない企業の様子を知るためにも、ハローワークの専門スタッフや、人材紹介の専門アドバイザーに相談しながら一緒に就職活動を進めるのもおすすめです。

    あなたが理想の職場と出逢えることを、私たちは心から願っています。



    ※この記事は投稿いただいた口コミから生まれています。
    皆さんの貴重な体験談は多く方へ届き役立ちます。ぜひ体験したこと、感じたことを教えてください。
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    監修者

    就労継続A、B型にて支援員として、身体障害、精神障害、知的障害のある方への支援を行う。ソーシャルワーカー。 自身も悩みを抱えギャンブル依存症になった経験から、「悩みから夢まで話せる友達が見つかる東京の居場所”ココトモハウス“と出会い、現在はその管理人として多くの方から信頼を寄せている。生きづらさを抱える人達を社会と繋げて、豊かな社会を作ることがミッション。

    保有資格

    著者

    障害、病気のある方の企業や仕事に関する口コミサイト「アンブレ」を運営中。 丁寧な取材や口コミの分析を通して、病気や障害の特性に配慮した働き方や仕事との向き合い方を提案。理想の職場に出会うための、そしてより働きやすくなるための情報を発信しております。障害や病気があってもぴったりの仕事を。

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