「精神障害者手帳」を取得したら仕事は?続けられる仕事探しのコツ

精神障害者保健福祉手帳を取得したら仕事は 続けられる仕事探しのコツ

精神障害と診断された方の中には、「精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)」を取得した方もいらっしゃるでしょう。もしかしたら、申請を迷っている方もいらっしゃるかもしれません。

精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)は、取得することで、さまざまな支援が受けられることをご存知ですか?

精神障害と診断された方でも、通院や服薬で症状をコントロールし、仕事をしている方が多くいらっしゃいます。
しかし一方で、「ブランクがあっても就職できるのだろうか」「再発しないだろうか」と悩む方もいらっしゃいます。

そんなときは、自分のペースでかまいません。少しずつ悩みを解決して前に進んでみませんか?

今回は、精神障害とうまく付き合いながら働いている方の口コミをもとに、働き方や仕事探しの方法についてまとめてみました。
障害者雇用の専門家ジョジョさん(社会福祉士、プロコーチ)にもアドバイスをいただいています。

ぜひ、自分の望んでいる仕事に出会うためにも、同じ症状をお持ちの方の意見を役立ててください。
精神障害があっても、転職活動や就活を通して自分の望む未来を実現するために、一緒に考えていきましょう。

*この記事はジョジョさんに監修していただきました
ジョジョさん

産業カウンセラー、社会福祉士(ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)、プロコーチの資格を持ち、就労継続A、B型にて支援員として、身体障害、精神障害、知的障害のある方への支援を行う。 自身も悩みを抱えギャンブル依存症になった経験から、「悩みから夢まで話せる友達が見つかる東京の居場所”ココトモハウス“と出会い、現在はその管理人として多くの方から信頼を寄せている。生きづらさを抱える人達を社会と繋げて、豊かな社会を作ることがミッション。



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目次

1. 精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)とは

2. 精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得するメリットは

3. 精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得した方が抱える仕事の悩み

4. 精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)をお持ちの方におすすめの職場とは

5. 職場の配慮は仕事への満足度につながる

6. 仕事を続けるためには復職?それとも転職?

7. 精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得している方が働きやすい企業・業種

8. これから仕事を探す方へのアドバイス

9. 面接でのアドバイス

10. 入社後や復職後に心得ておきたいこと

11. 専門家からのアドバイス

12. 最後に

1. 精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)とは

精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)とは
厚生労働省のホームページによると、精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)は、このように定められています。
さらに、精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)の対象について詳しくみてみましょう。

    何らかの精神疾患(てんかん、発達障害などを含みます)により、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約がある方を対象としています。
    対象となるのは全ての精神疾患で、次のようなものが含まれます。

    •統合失調症
    •うつ病、双極性障害(躁うつ病)などの気分障害
    •てんかん
    •薬物やアルコールによる急性中毒又はその依存症
    •高次脳機能障害
    •発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)
    •その他の精神疾患(ストレス関連障害等)


    ただし、知的障害があり、上記の精神疾患がない方については、療育手帳制度があるため、手帳の対象とはなりません。(知的障害と精神疾患を両方有する場合は、両方の手帳を受けることができます。)
    また、手帳を受けるためには、その精神疾患による初診から6ヶ月以上経過していることが必要になります。

    精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)の等級は、1級から3級まであります。

参照:厚生労働省 「みんなのメンタルヘルス 総合サイト」より

厚生労働省の推計では、日本には何らかの精神障害を抱えた人が約419万人、そのうち精神障害者保健福祉手帳を取得されている方は約59万人とされています。つまり、約1.4割の方が取得されているのですね。

次は、精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得すると受けられるサービスについてみていきましょう。

2. 精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得するメリットは

2-1.暮らしの中で受けられるサービス

精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得すると、以下のようなサービスが受けられます。

・公共料金等の割引
・税金の控除や免除
・生活福祉資金の貸付


これらは、全国一律で行われているサービスです。
他にも、地域や事業者により行われているサービスもあります。以下は一例です。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口へお問い合わせください。

・鉄道、バス、タクシー等の運賃割引
・携帯電話料金の割引
・上下水道料金の割引
・公共施設の入場料等の割引
・公営住宅の優先入居


参照:厚生労働省 「みんなのメンタルヘルス 総合サイト」より

2-2.仕事に関連するサービス

次は、精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得することで受けられる、仕事に関連するサービスを紹介します。

①障害者職場適応訓練を受けられる

「障害者職場適応訓練」は就職後に行う仕事を、実際に職場で体験することができる実習制度です。
訓練は原則2週間以内で、訓練(実習)手当も支給されます。
この制度を管轄しているのは、ハローワークです。お住まいの地域のハローワークにお問い合わせください。

参照:厚生労働省 「みんなのメンタルヘルス 総合サイト」より
参照:埼玉県庁 ホームページ「障害のある方、就労支援者の方へ」より

②障害者雇用枠で就労できる

求人には「一般枠」と「障害者雇用枠」があり、精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得している方は、どちらにも応募することができます。

■一般枠
「一般枠」は、障害があることを伝えず働きます(=クローズ就労)。障害のない方と同じように働くため、職種の選択肢も広く、昇進や昇給などの機会も望めます。しかし、精神障害への理解や周囲の方のサポートを期待することは難しいのが現状です。

■障害者雇用枠
「障害者雇用枠」は、障害があることを伝えて働きます(=オープン就労)。募集職種は、一般枠に比べると少なくなることもあります。しかし、職場の理解や周囲の方のサポートが得られるなど、働きやすい環境が期待できます。

あなたの理想の働き方はどちらですか?
口コミをもとに様々な働き方を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

3. 精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得した方が抱える仕事の悩み

まずは、精神障害のある方が抱えている仕事の悩みや不安を知りましょう。共感できることもあるかもしれません。その上で、理想の仕事を探すためのポイントについて述べていきます。

それでは、精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得している方は、どのような点に不安や働きにくさを感じているのでしょうか。

「慢性的な不眠症があるため夜なかなか寝付けないことがあります。眠れない日が続くと翌朝起きるのがしんどいため、欠勤することがありました」

「強迫性障害で確認グセが酷いのでその点では仕事でも困っていました」

「数を数えられないことや突然違うことになるとパニックになって固まってしまいます」

「身体は元気でも、精神的に調子が悪いと朝起きられません。」

精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得している方は、年齢も障害の程度も様々です。しかし、悩みには以下のような共通点がありました。

  • 環境の変化や新しいことへの順応が不得意
  • 心身のバランスを崩しやすい
これらの悩みに対し、周囲の方のサポートを受けながら仕事を続けているという声もあります。この声に注目し、働きやすい環境を得るためのヒントを見つけていきましょう。

4. 精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)をお持ちの方におすすめの職場とは

障害による体調不良は、本人の努力だけでカバーできるものではありません。
周囲の方によるサポートや、整った職場環境が必要です。そのことを念頭に置いて、精神障害のある方が働きやすい職場の様子をみていきましょう。

4-1.満足度が高い職場環境の条件は「精神障害に対して理解があること 」

「周囲の方が障害者の事をよく理解してくれました。急な体調の変化にも柔軟に対応してくれて手助けもしてくれました。」

「適応障害の自分でも邪険に扱う社員は一人もおらず、言動で嫌な思いをしたことがありません。」



精神障害のある方が働きやすい職場とは、「精神障害があることを理解してくれる職場」です。
しかし、就職活動を進めていく中で、給与や勤務時間など他の条件を優先して、「障害者への理解」という点をつい後回しにしてしまうこともありえます。

ただ、体調が悪化して今の勤務体制では働けないと思ったとき、精神障害についての理解が無い職場ではどうすれば良いのでしょうか?
本人と企業との相互理解ができていなければ、この先働き続けることは難しくなるでしょう。

障害の症状はそれぞれ異なります。精神障害のある方を雇用した前例がある企業であっても「その人の症状と気持ちの理解」が出来ていなければ意味がありません。

仕事選びでは「障害を理解しようという方針のある職場」を探すことが大切です。さらに、企業や周囲の方に、自分の精神障害の特徴や、必要な協力や支援を知ってもらうことも大切です。そのためには、自分で伝える努力が必要です。

企業が、精神障害のことを理解しようとしても、自分が受け身では、個々の特徴を理解してもらうことは難しいでしょう。自分の症状や思いを伝えなかったばかりに、手に入るはずだった働きやすい環境を失ってしまうことがないように、自分の障害のことを正しく告げる勇気を持ちましょう。

次は、自分に精神障害があることを告げることの大切さについて、詳しく説明します。

4-2.精神障害のことを職場に伝える大切さ

精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)の交付対象となる病気には、統合失調症や発達障害、高次機能障害やてんかんなどがありますが、多くは一見しただけでは症状が分かりません。

また、その時の体調や精神状態、おかれている状況によっては症状が全く無く、就職した後に症状が現れて、初めて周囲が気づくこともあります。

そのため、その企業で長く働き続けるためには、精神障害をオープンにしておくことがとても重要です。

しかし、精神障害をオープンにすることをためらう方もいらっしゃるでしょう。 そこで、精神障害のをオープンにしたとき、クローズにしたときのメリットやデメリットをみてみましょう。

①精神障害をクローズにしたことによるデメリット

「障害があることを隠して就職したので、当然のごとく配慮はないし、責任のある仕事は任されてしまうし、そういうストレスを背負ってとにかくしんどかった。」

「障害をクローズで入社しました。結局思った以上の激務だったため、もともと不安定だった体調がさらに悪化してしまい、退職することになりました。」

障害をクローズにしているため、企業側はその症状や辛さを知ることはありません。そうなれば障害に対しての配慮を受けることは期待できないようです。
そのような中で生じた悩みや不安を持ったまま、仕事を長く続けるのは難しいかもしれませんね。

次は逆に、精神障害をオープンにして就職した方の声を聞いてみましょう。

②精神障害をオープンにしたことによるメリット

「障害者であることを認めて雇用してくれていたので周りの目も気になりませんでした。体調の悪いときは一休みさせてもらえて、とても配慮が行き届いていました。」

「クローズにすることで得られることより、オープンにするメリットの方が大きいと感じました。」

障害者雇用を積極的に推進している企業でなくても、通院による欠勤や勤務時間の短縮を認める環境があれば、障害を抱えながら働き続ける可能性も広がっていきます。

精神障害であることを伝えることは、働きやすい職場を得ることへの第一歩と言えるかもしれませんね。

5. 職場の配慮は仕事への満足度につながる

精神障害者手帳をお持ちの方の仕事への満足度と職場での配慮の関係

5-1.職場での配慮と仕事への満足度の関係

精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)をお持ちの方に、仕事への満足度と職場での配慮の有無を伺ったところ、以下のような結果になりました。

このグラフからは
・仕事や職場への満足度が高い→周囲からの配慮やサポートを受けている
・仕事や職場への満足度が低い→周囲からの配慮やサポートを受けていない

という結果がわかります。

満足度の高い職場は、その仕事を長く続けられる可能性が高くなります。それは、症状の改善にも少なからず影響してくるのではないでしょうか?

やはり、仕事をする上で不可欠なのは、周囲からの配慮やサポートのようです。

では、具体的にどのような配慮があると良いのでしょうか?

5-2.嬉しかった職場での配慮

周囲の方からはわかりづらい精神障害。
障害のことを職場にオープンにしたことで、どのような支援や配慮を受けることができたのでしょうか?

大きくわけると以下の3つです。
  • 通院への配慮
  • 欠勤の際のカバー
  • 業務内容での配慮
では、具体的な声とともに詳しく見ていきましょう。

①通院への配慮

「通院の日は1時間早く仕事を切り上げさせてもらっていました。」



定期的な通院だけでなく、急な体調の悪化により通院する可能性もあります。
そんなときは「午前中に病院に行き、その後出社できれば欠勤しなくて済む」かもしれません。フレキシブルな勤怠についての配慮が得られれば、仕事と通院の両立も望め、安心して働くことができます。

②遅刻や欠勤への理解

「体調が悪くて休んでしまっても、理解してくれるので助かっています。」

「体調不良による遅刻もありましたが許容してもらえました。」



急な遅刻や欠勤は避けたいことですが、コントロールできない体調の変化もあります。
朝「今日は思うように体が動かない。少し出勤を遅らせて体調が回復するのを待ちたいけれど言いづらい」と思うことはありませんか?

精神障害により急に体調が悪化することを予め周知している職場であれば、自分の状況を伝えやすくなります。
本当の気持ちを伝えられる環境は、長く働くために大切です。

③業務内容への配慮

「メンタル面で不調なときは、清掃や品出しなど、接客の少ない業務をさせてもらっていました。」



例えば「今日は立ち仕事は厳しいけど、座ってできる仕事なら大丈夫」というケースもありますが、中には、その日の体調を考慮して、配置や担当業務を変更してもらえる業種もあります。

周囲の協力を得ることで欠勤せずに働ける体制があれば、ストレスの軽減にもつながります。
そのためにも、周囲の方々との信頼関係を築くことが大切です。よりサポートをお願いしやすくなるでしょう。

6. 仕事を続けるためには復職?それとも転職?

このコラムを読んでいる方の中には、休職中の方、そして少しずつ快方に向かい復職や転職活動をしようと考えている方もいらっしゃるでしょう。

精神障害と付き合いながら仕事を始める場合、様々な不安や悩みが頭をよぎることもあるでしょうが、まずは続けられる職場で働くことが大切です。続けられる職場であるということは、精神障害を悪化させる要因にもなるストレスが少ない職場とも言えるからです。

では、あなたにとって「長く働きつづけられる職場」は以下のどれですか?

  1. 今まで働いていた会社で、同じ仕事に復職することができそう
  2. 今まで働いていた会社で理解を得られそうだが、部署は変更してもらいたい
  3. 今まで働いていた会社では難しそうなので、新たな仕事を探し転職する
  4. すでに仕事を退職しているので、新しい仕事を探す
それぞれの状況をさらに詳しくみてみましょう。ご自分の環境に置き換えて考えてみてください。

①今まで働いていた会社で、同じ仕事に復職することができそう

休職と復職に対する理解があり、復職後も安心して仕事ができる体制が整っている会社であれば、復職に対する不安も少ないでしょう。実際にもこのような会社があるようです。

「職場のおすすめポイントは、福利厚生が充実していて、病気になっても、診断書を出して、3ヶ月程度は、仕事を休むことができ、それでも、病気が良くならない場合は、休職もできるということです。その後、復職も可能です。 復職する際には、保健師さんなどが復職に向けて、サポートして下さり、復職後、1か月間は、短縮勤務も可能です。」

「3度休職しましたが、復職のたびに段階的な慣らし勤務や産業医の面接手配、担当のパートナーが付くなどの配慮をしていただきました。」



②今まで働いていた会社で理解を得られそうだが、部署は変更してもらいたい

会社に相談窓口や相談制度があり、自分の症状を理解しサポートしてくれる会社であれば、部署を変更して仕事を続けることを検討しても良いですね。

サポート体制の整った会社で、復職後は部署を変更して働いている方もいらっしゃいます。

「会社は大きな会社だったので、休職をした際にもしっかりと手当が出て、復職をした際も、部署移動のサポートを受けました。」

「自分の症状をしっかり見据えて、できない場合は、たしか1年に1回部署変更希望を出せるので、自己管理がしっかりできる部署に異動したほうがいい。」



③今まで働いていた会社では難しそうなので、新たな仕事を探し転職する

自分の症状を説明し、相談したいのにできないという会社は、復職したところでその先を望むことは難しいかもしれません。
周囲の理解を得られない職場であれば、症状の悪化につながるケースもあります。 実際にもこのような経験をした方もいます。

「うつで休職した際どのタイミングで復帰するのがベストか相談する相手がいない。休職していると金銭面で大きな不安があるが、うつで休職した際、その間有給休暇が使えるのかどうかも分からず、何も連絡がなく不安な毎日を過ごす。うつに対して理解もなく、気軽に相談できる上司がいない。」

「精神的にやられてしまい2017年7月から8月まで休職しました。その後、復職はしたものの周囲の態度は変わらず体調を崩しては休むの繰り返しになってしまいました。出勤時、周囲の怒りがこちらにも伝わってきてとても怖く、暴言を吐かれました。それが引き金になり2度目の休職。このまま居ても二次障害に悩まされると思い、医事課宛てに手紙を書いてそのまま退職しました。」

「過去働いていた会社ではサポートは休職期間を設けるのみだったのですが、今後転職するとしたら、時短勤務と通院のための休暇を認めてもらえる企業で働きたいです。」



④すでに仕事を退職しているので新しい仕事を探す

休職には期間を設けている会社もあり、相談することもなく退社を余儀なくされたケースもあります。

「2014年頃から体調を崩す。(その後、双極性障害と診断される。)同年8月頃休職する。休職は8ヶ月しか猶予がなく、そのまま退職。」



次は、精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)をお持ちの方で、今の仕事や職場に満足しているという方が働いている会社を集めました。口コミとともに紹介します。

7. 精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得している方が働きやすい企業・業種

寄せられた口コミの中で、精神障害のある方から「働きやすい」と回答があった企業と特徴を紹介します。リアルなコメントが届いていますので、仕事選びの参考にしてみてください。

・イオンリテール株式会社
「職場の社員の方々も適応障害の僕のような人に気にかけてくれ、職場の雰囲気としてはこれほど良い環境は今まで目にしたことがありません。」
満足度:★★★★
配慮 :★★★★★
→この企業に関する口コミはこちらへ

・磯子中央病院
「障害者雇用の方だけの部屋を用意され、相談員の方を1人付けてくれました。障害で仕事が遅くても文句を言われない。3カ月に1度面談してもらえます。」<
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★
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・株式会社オハラ
「会社も職場の上司も私の障害にとても理解があり、自分のペースで働かせてくれています。加えて、休んでしまった時にも理解を示してくれています。又、職場の先輩も理解してくれています。」
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★★
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・キユーピー株式会社
「僕のような精神障害を患っている人でも気配りのできた素晴らしいスタッフがたくさん配置されていることです。」
満足度:★★★★
配慮 :★★★★★
→この企業に関する口コミはこちらへ

・株式会社資生堂
「こまめに休憩を取り、同じ社員の方が気を使ってくれます。精神障害を持っているのに特にストレスに思う事のない職場だったからです。」
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★★
→この企業に関する口コミはこちらへ

・日本アイ・ビー・エム株式会社
「福利厚生の充実が図られている。 職場の人も対応が良い。出張手当が同業他社よりも手厚く保障がなされている。 有給休暇の取得がしやすい。 障害者雇用も同業他社よりも積極的に行っている。」
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
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回答から傾向をみると、多くの従業員を抱えている大企業の方が、障害者の雇用経験が多く、周囲の理解やサポートも受けやすいようです。
しかし、中小企業の中にもアットホームな雰囲気で働きやすい職場はたくさんあります。

また医療・福祉系の業種は、他の業種に比べて障害や病気に接する機会が多いため理解が得られやすいようです。しかし、人手不足の現場では十分な配慮が得られにくいということもあるようです。

今回紹介した企業以外にも、興味のある企業は情報を収集していきましょう。

次は、転職を考えている方へのアドバイスです。
転職を成功させるための参考にしてみてください。

精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)をお持ちの方が働いている企業が一覧で確認できます。満足度の高い企業をチェックしてみましょう。
詳しくはこちら

8. これから仕事を探す方へのアドバイス

精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳を取得されている方が就職をする際、前述でも触れましたが「一般枠」と「障害者雇用枠」のどちらの求人にも応募することができます。

それぞれメリットとデメリットがありますが、「求人の枠が2つある」と捉えて、自分に合った働き方を考えながら、前向きにチャレンジすると良いでしょう。

ここからは、仕事の探し方を紹介します。

8-1.ハローワークで探す

「ハローワークの障害者合同会社面接会というイベントを利用しました。」

「ハローワークで障害者向け雇用を中心に探してもらいました。障害者雇用をしていないところにはハローワークが、障害者だけど大丈夫か、と問い合わせてくれていました」



ハローワークでは「障害者雇用枠」「一般枠」の求人の中から希望に近い条件を探すことができます。民間の就職・転職情報サービスも積極的に活用して情報を集めましょう。
ハローワークでは、障害者のための専門職員や相談員が、ケースワーク式で対応してくれます。また、就職後のアフターケアも行っています。

その他にも、行政が運営している「障害者しごとサポートセンター」を利用した声も寄せられています。

「障害者しごとサポートセンターを利用しました。履歴書の添削、面接の練習などに加え、面接日の当日も付き添いに来てくれました。就労中も月に1回のペースで面談をし、働く上での不安を聞いてくれました。」



障害者しごとサポートセンターの情報は、ハローワークのように全ての地域にあるわけではありません。自分の住んでいる地域にも、同じように国や県が主体的に取り組んでいるサービスがあれば活用してみると良いでしょう。

8-2.精神障害のある方専用の人材紹介会社

「企業研究を一緒に手伝ってもらいました。履歴書の書きかたから面接の練習をしました。面接のポイントなども教えてもらえました。」



精神障害のある方専用の人材紹介会社は、精神障害について勉強を重ねたアドバイザーに相談しながら就職活動を進めることができます。個々の状況や要望を聞きながら仕事探しをサポートしてくれます。

また、職場見学の申し出や、企業との調整、面接への同行、就職後のサポートなど、きめ細やかで継続性のあるサービスが用意されています

企業との連携を密にし、ハローワークには無い求人情報を扱っていることもありますので、より広い求人情報から選ぶことができるかもしれません。


8-3.就労移行支援事業所の利用

精神障害のある方の就労支援を行っている施設は日本全国に様々ありますが、その1つである「就労移行支援事業所」では、障害者総合支援法にもとづいた職業訓練や求職活動のサポートが受けられます。

例えば、退職してブランクがあると、就職活動を始めることに不安を感じる方もいるでしょう。そのような方は、就労移行支援事業所で、職業訓練を受けながら生活のリズムを整えることから始めても良いかもしれません。徐々に自信をつけて職場復帰を目指すプログラムなどが用意されています。

実際に、就労移行支援事業所を利用した方の声を紹介します。

「就労支援サービスのスタッフと人と接するための訓練を行い、実際に近くのコンビニで付き添いのもと働いていた時期がありました。」



就職した後も、自分ひとりではうまく伝えられない要望を職場に伝えるサポートをしてもらったり、相談をすることで不安を解消したりすることで、仕事を続けやすくする「職場定着支援」が受けられるサービスもあります。

「職場まで訪問したり、相談をしてもらうこともありました。」

「会社訪問や、ワークスのセンターにきて面談しました。電話面談もよく活用していました」



就労移行支援事業所を利用して企業に就職する割合は、年々増えています。就労移行支援事業所は、ハローワークや障害者職業センターなどの求人を紹介してくれる機関と連携しているので、適性にあった職場探しが可能です。



▼障害者雇用枠の求人サービスについて紹介しています。
ハローワークだけじゃない、障害者雇用枠の求人はここでも!求人サービスを紹介

9. 面接でのアドバイス

精神障害があっても働きやすそうな職場環境や就職活動の心構え、向いている仕事についてみてきました。

次は面接についてのアドバイスをご紹介します。

まず、模擬面接を行うことは、本番で慌てないためにも必要です。また、働き始めてからのイメージもつかみやすくなります。
面接で伝えておきたい障害のことや配慮事項、質問したい内容は、主治医や周囲の方とも相談しながらよく考え、チェックシートを作ってまとめておくと良いでしょう。

確認したい内容や注意点は、以下も参考にしてください。

9-1.面接で確認したいポイント

面接では、気になることは些細なことでも質問するようにしましょう。

「可能であるなら忙しい時間帯とそうではない時間帯の両方で職場見学を行うことが必要だと思います。」

「会社見学は当然ですが、その時に業務内容をちゃんと確認しておかないと、あとで無理な仕事を言われて結局退職になりかねません。上司がきちんと相談に乗ってくれるかと言うことも大事であると思います。面接時に良く話し合うことです。」

「自分自身の障害の特性の説明や理解、又、その会社が障がいについて事前に社内研修を行っているか等は入社前に聞いておいたほうが良いと思います。」

「拘束時間がフルタイムか時給制で短いか、自分に合っているか、考えた方が良いでしょう。作業内容が自分に合っているか、しっかりと説明を受けましょう。又、自分の苦手な事を説明して受け入れてくれそうかどうか確認しておきましょう。」



「採用してもらえるなら」と質問を控えてしまいがちですが、働き始めてから後悔しないように、できるだけ面接の場で疑問点は確認し不安要素を解消しておきましょう。

9-2.面接では自分の症状を正しく伝えましょう

ここで、長く働ける企業、満足できる職場に必要なことをもう一度思い出してみましょう。

「精神障害への理解があること」
「周囲のサポートや配慮があること」


でしたね。

繰り返しになりますが、企業にこの2つがあるかどうかを確認するためには、診断名を伝えるだけでなく、自分の精神障害について詳しく伝えることが必要です。

精神障害の症状により「できること」と「できないこと」があること、そして症状が現れやすい環境やその症状も伝えるようにしましょう。

また、無理せず働くことができれば再発を防げることや、自分でもできる仕事のペースなどを伝えることは、企業側にとっても採用後の状況を想像しやすくなります。理解のある職場ならサポート体制を整えるなどの対応を考えてくれます。
そのためにも、まず自分の特徴を良く知ることが大切ですね。

口コミにも、アドバイスが届いています。

「障害者雇用枠による就職活動でとても苦労し、症状が安定した状態だった為障害を隠して入社しました。服薬の必要があった為、パセドウ病だと嘘をついての入社でした。2~3時間残業する日が週に数日あり、元気なフリをして働いていた所、軽い鬱症状が出始めて欠勤が多くなりました。」

「障害を開示していなかったこともありますが、体調が悪くても患者さんに対して笑顔で明るく接しなければいけなかったことがしんどかったです。」

「自分が仕事をする上で何か障害や病気を抱えていて、他の方に比べて同じようなスピードや量をこなせないことがある場合は、それを隠して仕事探しをすると、逆に自分の病気が悪化したり、勤務先の会社側の配慮も期待できませんので、隠さず面接の 時に正直に話しておいた方が、より理解をしていただけると思います。」



仕事をする関係性において、雇われる側と雇われる側と言う立場を考えると、雇われる側としては自分の特徴や合理的配慮が必要であるということを雇い主に伝えておくことは、仕事に対する責任の現れにもなります。
そして精神障害のある方にとっては、それが自分自身を救うことにもつながります。
すぐに望んでいる仕事が見つからないこともあるでしょう。面接を何回受けても、なかなか採用されないかもしれません。

しかし、焦って理想とかけ離れた企業に決めるのではなく、自分と相性の良い企業をしっかり見極めることが大切です。じっくり転職活動を行ってみてはいかがでしょうか。

10. 入社後や復職後に心得ておきたいこと

面接を経て就職に成功したら、働く日々が始まります。
復職した方も、久しぶりの職場の様子に緊張することもあるでしょう。
新たに始まる職場での心得を確認しておくと、気持ちを落ち着かせることができます。何よりも口コミに届いた経験者のアドバイスは、心強い味方になるでしょう。

10-1.体調管理について

「休み明けが苦手なので、休み明けの出勤日の前日は早く寝るようにしています。」

「気分が悪くなったりすると備え付けのベッドで横にならせてもらっています」

「無理をしない。駄目だと思ったらすぐにやめる。薬は忘れずに服用する。」

「適度に休憩を入れ、飲み物やストレッチをすることでリフレッシュするようにしています。昼食時に人が多い食堂に行かず、コンビニ等の食事で済ませ、オフィスで静かに過ごしています。」

「なるべくストレスを溜めず、人間関係にもあえて気にしないように過ごし、自分勝手を我儘して、だけど仕事は最低限こなすようにしている。」



仕事を続けていくうえで大切なのは、体調を最優先にすることです。責任感をもって仕事をやり遂げることは立派なことですが、無理をして一人で仕事や辛い気持ちを抱え込んでしまうと、結果的に失敗に繋がるリスクが高くなってしまいます。

「長い目でみて今は何を優先するべき時期なのか」と自問自答することも必要です。

10-2.仕事での工夫

「なるべく同僚の方の付き添いのもと、作業を覚える際にサポートを行ってもらいました」

「できることから少しずつがんばります。言われたことをメモに書いて忘れないようにしています」

「なるべくミスをしないように教えてもらったことは全てメモに残す」

「メモを取る、取ったメモを確認する、怒られても何度でも担当の方に確認する。付箋や色ペンなどで視覚的に覚えられるようにしています。」



自分の「できること」と「できないこと」、「得意なこと」と「苦手なこと」を把握し意思表示しておきましょう。できないことがあっても、できることをしっかりと行い、努力していく姿勢を常に持ち続けることで、周囲からの理解も得やすくなります。
仕事で受けた指示や教わった内容などはメモに残し、同じ質問を繰り返さない努力も大切です。

また、手順書やメモ、to doリスト(やるべきことリスト)のようなチェックリストを活用することは、仕事を進めやすくする効果的な方法です。 チェックリストの作り方は自分が分かりやすければ問題ありません。

チェックリストは、自分の業務に役立つばかりではなく、仮に体調の変化で欠勤し、周囲にサポートをお願いするときにも業務の進捗状況が分かるため、周りへの連絡や連携、引継ぎがスムーズにできます。

11. 専門家からのアドバイス

仕事探しを考えている精神障害のある方へ、障害者雇用の専門家ジョジョさんからのアドバイスを紹介します。

精神障者手帳の取得は、公共サービスの割引や支援が利用できるなど、多くのメリットがあります。

また、障害者雇用のためには手帳は必須となります。
取得が可能な場合は、取得のうえ転職活動をされることをお勧めいたします。

12. 最後に

社会的な支援体制の拡充だけでなく、精神障害のある方が積み上げた実績もあり精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得している方の就労数が年々増えています。

精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得されている方が満足できる職場で働くことを目指す過程では、心身の調子が整わない時もあり辛い思いをすることもあるでしょう。

今回は、仕事探しの方法や向いている企業、働き続けるためのコツを紹介しました。
多くの情報や判断材料を得て、自分に向いている仕事の選び方がわかった方もいるのではないでしょうか。

大切なのは、自分の症状を良く知り、企業に伝え、正しく理解されることです。

すぐに就職を目指すのではなく、まずは生活リズムを整え、心身のコンディションを整えることが必要な方もいるでしょう。
また、必要な勉強をして就職を目指す段階にある方もいるかもしれません。

少し時間がかかったとしても、自分にあった進め方で就職することを目指しましょう。焦らず、頑張りすぎずにじっくりと進んでいくことが一番の近道です。

歩みはゆっくりでも、ここまでの努力や経験に誇りを持って新たなチャレンジにのぞんでください。


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監修者

就労継続A、B型にて支援員として、身体障害、精神障害、知的障害のある方への支援を行う。ソーシャルワーカー。 自身も悩みを抱えギャンブル依存症になった経験から、「悩みから夢まで話せる友達が見つかる東京の居場所”ココトモハウス“と出会い、現在はその管理人として多くの方から信頼を寄せている。生きづらさを抱える人達を社会と繋げて、豊かな社会を作ることがミッション。

保有資格

著者

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