麻痺のある方が転職に成功するために、115人の実体験を調査

麻痺のある方が転職に成功するために、115人の実体験を調査

麻痺があると仕事に支障をきたすこともあり、転職に悩む方も多いのではないでしょうか。麻痺のある部分に負担をかけずに働くためにも、職種や仕事内容の見極めが大切です。

今回は、麻痺のある就業経験者115人の口コミをもとに、働きやすい職場の特徴や人気の職種などを解説していきます。
障害者雇用の専門家ジョジョさん(社会福祉士、プロコーチ)にもアドバイスをいただきました。

ご自身の状況と比較しながら、転職活動の参考にしてみてください。

【この記事でご紹介するデータ】
調査期間:2018年2月~2020年4月
調査方法:弊社サイトUMBREから対象となる口コミ115件を抽出
調査対象:麻痺のある方で就業経験のある方
データ集計日:2020年8月17日
※口コミに記載された内容を分類し集計したデータを使用しています。


*この記事はジョジョさんに監修していただきました
ジョジョさん

産業カウンセラー、社会福祉士(ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)、プロコーチの資格を持ち、就労継続A、B型にて支援員として、身体障害、精神障害、知的障害のある方への支援を行う。 自身も悩みを抱えギャンブル依存症になった経験から、「悩みから夢まで話せる友達が見つかる東京の居場所”ココトモハウス“と出会い、現在はその管理人として多くの方から信頼を寄せている。生きづらさを抱える人達を社会と繋げて、豊かな社会を作ることがミッション。



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目次

1.麻痺のある方の職場満足度

2.麻痺のある方にとって満足度が高い職場とは

3.麻痺のある方にとって満足度が低い職場とは

4.麻痺のある方に向いている業界とは

5.麻痺のある方に向いている職種とは

6.麻痺のある方が仕事探しで活用した求人サービス

7.まとめ

1.麻痺のある方の職場満足度

麻痺のある方は、自分の職場に満足しているのでしょうか。職場に対する満足度は次の通りです。

麻痺のある方の職場満足度
※口コミの項目「あなたはその会社の就労環境に満足していますか?」を集計して割合を抽出



「とても満足している」「満足している」を合わせた割合42%
「満足していない」「全く満足していない」を合わせた割合21%

職場に満足している方は、職場に満足していない方の2倍という結果となりました。

しかし「どちらとも言えない」の割合は37%と最も高く、職場には良い面と悪い面の両方があることがうかがえます。

2.麻痺のある方にとって満足度が高い職場とは

では、どのような要素があれば麻痺のある方にとって「満足度の高い職場」と言えるのでしょうか。職場に満足している具体的な理由について見ていきましょう。

麻痺の方の仕事への満足度高い理由グラフ
※口コミの項目「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」についてプラス評価している内容を分類・集計して割合を抽出。5人未満の少数回答は除く。


口コミから満足度が高い理由を分類し集計したところ、以下のような結果となりました。

  • 病気や障害に対して理解がある 20%
  • 同僚の協力がある、その他 各14%
それぞれ詳しく見てみましょう。

2-1.満足度が高い職場の特徴①「麻痺に対して理解がある」

麻痺の症状や程度はみな違います。個々の事情に耳を傾け、理解を示してくれる職場は理想的ですね。
それでは、職場に満足している理由を「麻痺に対して理解がある」と述べた方は、具体的にどのような場面で職場に理解があると感じたのでしょうか。

自分の身体のことをすべてわかってくれて、調子の悪い時や急に具合が悪くなった時でも親身になって対応してくれる。
物流・倉庫、事務、男性

通路を広くしてくれたり、高いところのものを皆が快く取ってくれたりして、働きやすい環境づくりをしてくれる。具合がすぐれない時は、休憩を進めてくれた。
銀行・信用金庫、受付、窓口業務、女性

「できることをさせる」ということです。早く動けないので、同僚がその部分を担当し、代わりにその人の事務作業を私が受け持ちます。障害のことを考えてくれながらも特別扱いされず平等に接してもらえたことが、気遣いを感じ嬉しかった点です。
ソフトウェア・ハードウェア開発、事務、女性

退院後は、訪問リハビリの時間を融通してくれた 。
医療・福祉・介護、事務、男性



これらのコメントから、「麻痺のある方への理解がある職場」には、以下のような要素が見られます。

【麻痺のある方への理解がある職場】

・勤務時間の融通が利き、休憩や休暇がとりやすい
・ハード面の環境(通路の広さや物の配置など)を麻痺のある方が働きやすいように整えている
・麻痺の症状を含めた個人の状況を把握し、適材適所に配置するなど本人の能力が発揮できる環境を整えている
麻痺のある方は、移動や荷物の持ち運びが難しいと感じる場合があります。そういう場面では、高いところにある物をとってくれる、重い物を持ってくれるといった同僚のサポートが自然に得られると助かります。また、廊下の障害物の撤去や仕事に必要な物品の保管場所の整理、バリアフリーの推進など、職場のハード面における物理的な整備も大切なポイントです。

麻痺のある方への理解がある職場だからこそ、ハード面の整備の必要性に気付けると言えるでしょう。また、病気や障害への理解を促進することは職場の同僚同士が協力し合う雰囲気づくりにもつながります。

加えて、麻痺の症状がある部位に負担がかからない仕事内容であることも重要です。外出が少ないポジションや、荷物の持ち運びの必要がない仕事など、人員配置に配慮のある職場は、満足度が高いでしょう。

続いて、職場に満足している理由として2番目に多く挙げられた事柄を見ていきましょう。

2-2.満足度が高い職場の特徴②「同僚の協力がある」「その他」

「同僚の協力がある」と「その他」が職場への満足の理由として挙げられた割合はともに14%でした。ここで言う「その他」とは、分類できなかった少数意見のことです。それぞれの満足している理由について、口コミを詳しく見ていきましょう。

1.同僚の協力がある

職場の同僚の配慮があるので働きやすいです。重いものなどは運ぶことができないので、同僚に依頼しますが、協力的でありがたいです。
医療・福祉・介護、一般事務、女性

障害があると、偏見の目で見られることがありますが、職場では、いつもフォローしてくれたり、対等に接してくれたりするので、居心地が良いです。
コンピュータ・通信・精密機器、男性

重いものを持たせない様に配慮してくれました。関節炎が辛い時は、団地の階段配達などは代えてもらいました。
専門店、女性



2.その他

基本在宅就労であったため、通勤の負担がなかった。就労時間についても、決められた時間内のみで行うことができた。
教育、教育、保育

パソコンを使いますが、キーボードよりマウスを使うことが多く、障害をあまり気にせずに仕事ができます。
メーカー・製造系、エンジニア・技術職

職場の人々に恵まれ、障害があるという意識を持たず責任ある仕事を多数任せていただきました。
システムインテグレータ、経理、女性



これらの理由をまとめると、満足度の高い職場には次のような要素があることがうかがえます。

【麻痺のある方が職場に望むこと】

・勤務時間、勤務形態への配慮がある
・個人の麻痺の部位や程度を把握し、無理がない範囲で、なおかつ本人の能力を発揮できる仕事を任せている
・重い物を代わりに運ぶなど、同僚間で気遣い合える雰囲気がある
・病気や障害の特性は理解しつつも、障害を特別視しすぎることはない

麻痺のある方は、身体的に対応が難しい業務がある一方で、本人の適性を発揮できる仕事もあります。麻痺があるからという理由で、過剰な気遣いがなされ本来の能力を制限されてしまうことは望ましくありません。

麻痺への理解はしつつも特別視しすぎず、また本人の能力を制限することなく業務を任せてくれ、適切な評価が得られる職場が理想的ですね。

しかし、こうした理想的な職場に出会うことはとても難しく感じるかもしれません。
そこで、次の章では、麻痺のある方で職場に満足していないと述べた方の口コミを参考に、避けたほうが良い職場のポイントについて見ていきましょう。

理想的な職場のポイントだけでなく、不満の多い職場のポイントを知っておくことも、仕事探しの際の重要な手がかりとなります。

3.麻痺のある方にとって満足度が低い職場とは

麻痺の方の職場満足度が低い理由
※口コミの項目「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」についてマイナス評価している内容を分類・集計して割合を抽出。5人未満の少数回答は除く。


口コミから職場満足度が低い理由を分類し集計したところ、以下のような結果となりました。

  • その他:様々な少数意見 25%
  • 仕事量が多い、期限に追われる 16%
  • 仕事にやりがいを感じない、給料が安い 各14%
それぞれ詳しく見てみましょう。

3-1.職場への満足度が低い特徴①「その他」

「その他」には分類できない少数意見が多く寄せられていますが、具体的な内容を詳しく見ていきましょう。

通勤時間が1時間半かかり不便だった。営業担当者が自由に出入りし、いつも無茶苦茶な要求をされた。
不動産・建設・設備系、事務、女性、女性

乗り換えや公共交通機関の本数、手段など、通勤にとても不便。
ソフトウェア、エンジニア・技術職、男性、

会社の仕組みに障害者短時間勤務制度があり活用したいが、職場からの無言の圧力で利用できない状況である。また、同じ職場に長くいるからか、だれかのミスや手助けを私に振られる事が多く、業務量が非常に多い。
エネルギー・環境・リサイクル系、男性



麻痺のある方にとって、公共交通機関での移動は不便を伴うことがあります。そのため、毎日の通勤が必要な仕事の場合は、特に、職場へのアクセスの良さが重要なポイントです。

また、人手不足や激務、正当な評価が得られない勤務環境に加え、休みを取りにくい雰囲気のある職場は満足度が低くなる傾向がありますので、仕事探しをするときは、職場見学を通して、雰囲気を感じ取ることも必要です。

次に、職場の満足度が低い理由として2番目に多く挙げられていた「仕事量が多い、期限に追われる」という特徴について、見ていきましょう。

3-2.職場への満足度が低い特徴②「仕事量が多い、期限に追われる」

仕事量が多く、期限に追われるような職場では休みがとりにくく、協力も頼みづらい雰囲気であることが想像できます。具体的にコメントを見ていきましょう。

慢性的な人手不足とサービス残業の多さによるブラック企業化への懸念。
旅行・ホテル、接客

仕事がきつい。休めない。人手不足。オーバーワーク。無給で残業がある。
チェーンストア・スーパー・コンビニ、接客、男性

好きな仕事なので夜遅いことや休みが少なくなることは納得していたが、障害を負って続けるのは難しかった。
教育、教師、塾講師、学童担当



人手不足の職場では、休みがとりにくく、残業が常態化している状況がうかがえます。加えて、残業代の不払いや昇給・昇進の機会の不平等性など、労働に対する評価が正当に得られない職場は満足度が低い傾向があります。

満足度が低い理由として挙げられたコメント全体から、麻痺のある方にとって満足度が低い職場の傾向をまとめると、次のようなことが言えます。

【麻痺のある方にとって働きづらい職場】

・乗り換えが多い、時間がかかるなど通勤が不便
・休みがとりにくい。休暇制度の活用ができない雰囲気がある
・人手不足で業務量が多く、残業が常態化している
・昇給や昇進の機会が不平等であるなど、能力が適切に評価されない
麻痺のある方にとって、長時間の通勤や毎日の残業は身体的な疲れの蓄積を招いてしまいます。通院しながら仕事をしている方もいるため、休みの取りにくさや休暇制度の活用の難しさは、直接的に職場への満足度を下げることにつながります。

また、麻痺のある方の多くは、素早い動作をすることが困難です。そのため、期限に追われ、スピードを求められるような激務の就労環境では、適性を発揮できないケースが多いことがうかがえます。

自分が行った仕事が正当に評価されないと、モチベーションや仕事に対する意欲が低下してしまいます。そのため、仕事を探す際は、職員構成や昇給・昇格の基準はどのようなものなのか、年功序列の雰囲気があるかなど、企業風土や人事評価の制度について知っておくことも必要でしょう。

4.麻痺のある方に向いている業界とは

ここまで、職場に対して満足していること、不満に思っていることなどを見てきました。
それでは、麻痺のある方は実際にどのような業界で働いているのでしょうか。また、業界によって満足度に差はあるのでしょうか。

麻痺の方が働いている業界
※口コミの項目「働いているまたは働いていた企業を教えてください」で述べられた企業を業界別に分類し集計して割合を抽出


グラフを見ると、最も多くの方が働いている業界は以下の通りでした。
  • メーカー・製造系 23%
  • サービス・外食・レジャー系 23%
次いで、小売・流通・商社系(14%)、その他(11%)の業界が続きます。

次に、業界ごとの満足度を表したグラフを見てみましょう。

麻痺の方の業界別満足度
※口コミの項目「働いているまたは働いていた企業を教えてください」と「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」をクロス集計して割合を抽出。ただし、述べられた人数が8人未満の業界は比較対象外とした。


「とても満足している」と「満足している」を合計した割合が最も高い業界は、以下のとおりでした。
  • その他 53%
  • IT・インターネット系 51%
  • サービス・外食・レジャー系
「全く満足していない」と「満足していない」を合計した割合が最も高い業界は、以下の通りでした。
  • サービス・外食・レジャー系 23%
  • 小売・流通・商社系19%
「IT・インターネット系」「サービス・外食・レジャー系」は満足している方が約40~50%いる一方、満足していない方が約25%いるという結果でした。業界による特徴以外にも、職種や職場の雰囲気など、その他の要因によって満足度が変わる可能性がありそうです。

4-1.満足度が高い業界

満足度が高い「IT・インターネット系」、「サービス・外食・レジャー系」「その他」の業界で働いている方は、具体的にどのような点に満足しているのでしょうか。

自分のできる範囲で仕事をさせてくれるし、時間の余裕がもてた。和気あいあいとした職場だったので、問題が起きても一人ではなく、みんなで解決する雰囲気だった。毎年、人事異動があるが、みんないい人だったので特に問題はなかった。
団体・連合会・官公庁、軽作業

納期の短い仕事はほとんどなく、終業時間内に十分できる内容でした。また、通勤(在宅就労なので、1か月に1~2回ミーティングに行く程度)も、悪天候の際には別の日に変えてくれることがありました。
教育・保育

急ぎでない仕事を任され、追い立てられる状況を作らないようにしてくださっています。
IT・通信・インターネット系、一般事務、男性

座ったままできる仕事を常に振ってくれました。やむを得ず移動を伴うときには、作業を代わってもらえたり車いすを押してもらえたりと気遣いや配慮を感じました。おかげで同僚と変わらない心持ちで、仕事をすることができました。
外食・フード、人事・経理・総務・企画、女性

私と接する方は、私の利き腕に麻痺があることを理解してくださり、利き腕を使わなくても済むような業務を振るように配慮していただけるようになりました。
ソフトウェア・ハードウェア開発、男性



業界ごとに働き方や勤務環境は大きく異なるものですが、コメントを見ていくと、満足度の高い業界には、以下のような共通点がありました。

【麻痺のある方にとって満足度が高い業界の特徴】

  • 余裕を持った仕事の配分がなされている(期限に追われることが少ない)
  • 身体的に大きな負担がかからないよう、移動のサポートなど同僚の協力を得やすい雰囲気がある
  • 「IT・インターネット系」「サービス・外食・レジャー系」の業界は、オフィスや接客の場など、周りに同僚や先輩がいる場合が多く、サポートが得やすい状況である可能性があります。

    しかし一方で、集計できない少数意見である「その他」が多かったことから、麻痺のある方にとっての仕事の満足度は、業界ごとの特徴というよりは上記のような要素の有無によって決定づけられている可能性が高いでしょう。

    次に、麻痺のある方にとって満足度の低い業界の特徴を見ていきましょう。

    4-2.満足度が低い業界

    満足度が低いと述べた方の割合が高かった
    ・IT・インターネット系
    ・サービス・外食・レジャー系
    ・小売・流通・商社系
    で働いている方は、どのような点に不満を感じているのでしょうか。

    「IT・インターネット系」「サービス・外食・レジャー系」に勤めた経験のある方は、満足度が低いと回答している割合が高い一方、満足している方の割合も高いという結果でした。上に示した「1.満足度が高い業界」の集計結果も念頭におきながら、満足度が低い業界で働く方のコメントを見ていきましょう。

    気の利かなさがある。地方の企業は通勤手段にマイカーが使えないと、残業もできないなどといった不便さがある。
    ソフトウェア・ハードウェア開発、エンジニア・技術職、男性 

    あまり休むことができない。客先から土日関係なく呼び出されることも多々ある。
    サービス・外食・レジャー系、営業、男性 

    仕事がきつい。時給が安い。サービス残業の強要。慢性的人手不足。顧客の質が悪すぎる。休みがとれない。キャンペーンなどでノルマが課せられる。弁償、自腹の負担が大きい。温水が使えないなど過剰な節約精神のため従業員への無理が多い。
    小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、男性 

    病気になると早い段階で退職勧奨されます。復職後、違う部署での勤務を希望していたのですが、元の部署で延々読書レポートを書かされました。
    専門店、男性



    コメントを見ていくと、満足度の低い業界には次のような特徴があることがうかがえます。

    【麻痺のある方にとって満足度が低い業界の特徴】

  • 仕事がハードで、休みがとりにくい
  • 個々の事情に合わせた柔軟な対応がなく、画一的な対応(自家用車での通勤の禁止など)
  • 病気や障害を受け入れる土壌がない
  • 「IT・インターネット系」「サービス・外食・レジャー系」「小売・流通・商社系」の業界では、人手不足の課題を抱えている企業が多いく休みがとりにくいというコメントが目立ちました。加えて、通勤手段の融通が利かない場合、麻痺のある方にとっては負担が大きい環境になります。

    先に示した「1.満足度が高い業界」において、「IT・インターネット系」「サービス・外食・レジャー系」は、一般的に同僚と一緒に仕事をすることが多く周囲のサポートを受けやすいことが、満足度を高めていると言及しました。これは「小売・流通・商社系」も同様のことが言えるでしょう。

    しかし、全ての従業員に均一のルールを適用している企業もあります。通勤方法や業務内容に対する個別の合理的配慮が受けられないと、疲れが蓄積され、能力を発揮しにくい状況にもなりかねませんし、麻痺のある方の職場満足度は低下してしまいます。

    業界全体の考え方や方向性、風潮、人手不足の状況などについて事前にある程度知っておくことが、転職活動に役立つのではないでしょうか。

    5.麻痺のある方に向いている職種とは

    次に、麻痺のある方はどのような職種に就いているのかを見ていきましょう。

    麻痺の方が働いている職種
    ※口コミの項目「どのような仕事を担当していましたか」で述べられた担当業務をもとに職種別に分類し集計して割合を抽出


    麻痺のある方が多く就いている職種は以下のとおりでした。

    • 事務 26%
    • 人事・経理・総務・企画 16%
    • エンジニア・技術職 15%
    事務や人事・経理・総務など内勤の仕事が上位を占めていることから、麻痺のある方は移動の負担や身体的負荷の小さいオフィス内での業務に就いている方が多い結果となりました。

    これらの職種は、麻痺のある方にとって満足度が高い職種といえるのでしょうか。次は、職種別の満足度について見ていきましょう。

    5-1.満足度が高い職種

    麻痺の方の職種別満足度
    ※口コミの項目「どのような仕事をされましたか?」と「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」をクロス集計して割合を抽出。ただし、コメントした人数が8人未満の職種は比較対象外とした。


    「とても満足している」と「満足している」を合計した割合が高い職種は、以下のとおりです。
    • 事務 52%
    • エンジニア・技術職 46%
    • 人事・経理・総務・企画 43%
    対して「全く満足していない」「満足していない」を合計した割合が高い職種は、以下のとおりです。
    • 販売・接客・サービス 50%
    • 営業 25%
    次に、満足度が高い職種に就いている方のコメントに注目して、具体的な理由を探ってみましょう。

    ■事務

    時間がある程度自由です。短時間勤務の事務系の仕事なので、体調に合わせて仕事を続けることができています。
    エネルギー・環境・リサイクル系、事務、男性

    勤務地や職種に配慮してくれて、車通勤も認めてくれた。健常者と同じ額の給料をもらえた。正社員で責任のある仕事も任された。
    コンピュータ・通信・精密機器、事務、女性

    パソコンワークをしていますが、右手のみでタイピングを行うため時間がかかってしまいます。もちろん右手だけでも早く仕事ができるように意識していますが「焦らなくていいんだよ」や「しっかり仕事できているよ」など声をかけてくれるので、仕事をする上での励みになっています。
    医療・福祉・介護、事務、女性

    急ぎでない仕事を任され、追い立てられる状況を作らないようにしてくださっています。
    IT・通信・インターネット系、事務、男性



    事務系の職種に就いている方からは、休みがとりやすく時間の融通が利くこと、責任のある仕事を任せてくれて自分の能力が発揮できること、麻痺の症状を理解し対応可能な業務を任せてくれることなどが、満足度の高い理由として挙がりました。

    麻痺のある方は、一般的に身体を素早く動かすことが難しいのですが、事務職でルーティン業務を担当するのであれば、スケジュールが明確で急な対応を迫られることも少ないでしょう。仮に急ぎの業務が発生した場合も、同様の仕事内容を担っている人が複数いる職場であれば、同僚の協力を得やすいという利点もあります。

    ■エンジニア・技術職

    週休2日で残業無しで定時帰宅になっている。また、体を気にして、出張は行かないように気をつかってくれている。
    メーカー・製造系、エンジニア・技術職、男性

    特別な配慮をしてもらいませんでしたが、特別な扱いをされるより良かったと思います。一生懸命頑張っている姿を見てもらうことができ、障害のある人を特別扱いしないことが、健常者と一緒に働ける環境につながるのだと思います。
    建築・建設・設計・土木、エンジニア・技術職、男性

    製造現場のある会社ですが、生産ラインのスピードに追い掛け回されることなく、自分のペースで動けるので、働きやすい職場だと思います。重量物がたくさんありますが、人力で運搬するのではなく、主にクレーンを使うので、あまり気になりません。
    メーカー・製造系、エンジニア・技術職



    コメントを見ると、麻痺のある方は、身体的負担が大きい仕事を担うことは難しいことがわかります。一方で、身体的負担が少ない業務では自らの能力を発揮できるため、正当に評価されることを望んでいることがうかがえます。

    自分の持っている知識や技術を存分に発揮でき、それが直接的な評価につながる「エンジニア・技術職」は、麻痺のある方にとって満足度の高い職種であることにも納得ができます。

    ■人事・経理・総務・企画

    就業時間や作業内容など、私に無理のないように配慮して下さり、定期的に話をする時間も設けてくださった。
    メーカー・製造系、管理業務、折衝業務、女性

    同僚達に、それとなく病気のことを伝えてくれていました。通院優先で業務を調整してもらい、さらに、待遇面でも大幅に不利な扱いを受けることもありませんでした。また上司が常に声かけをしてくれました。
    団体・連合会・官公庁、経理、男性

    好奇の目で見られることもなく、一般人と同じように働くことができました。また、仕事ができれば、さまざまな仕事をさせてくれるため、スキルアップにもつながります。セミナーや講習会にも参加させてもらえ、社会人として豊富な知識を身に付けることができました。
    IT・通信・インターネット系、経理、女性



    「人事・経理・総務・企画」系の職種は、同様の仕事内容を複数人で担っている場合が多く、比較的業務分担もしやすいため同僚のサポートを受けやすいようです。また業務スケジュールの見通しが立ちやすいことが、勤務時間の調整や休みのとりやすさにつながっています。

    「事務」「エンジニア・技術職」「人事・経理・総務・企画」の職種で働いている方のコメントを見ると、麻痺のある部分に負担が少ない仕事内容で、なおかつ自分の知識や能力を発揮できる職種での満足度が高いことがうかがえます。業務に関する知識を深め、経験を積むことで、キャリアアップできるという展望が見えることも満足度が高い理由と考えられます。

    まずは、自分の興味のある分野について考えを深めてから、麻痺のある部位に負担がかかりにくい職種について調べていくことが、向いている仕事への転職のヒントとなることでしょう。

    5-2.満足度が低い職種

    それでは、満足度が低い業種である「販売・接客・サービス」「営業」に就いている方は、具体的にどのようなことについて不満を感じるのでしょうか。

    ■販売・接客・サービス

    売り上げが上がらず、収入が少なかった。長い間乗務していると、体全体が硬直してしまう。
    物流・倉庫、販売・接客・サービス

    タクシードライバーは一人で仕事をするものだが、洗車・掃除はどうにか工夫次第で会社でもできる事だと思う。
    運輸・交通、販売・接客・サービス、男性

    給料が下がって来ている。コンプライアンスにがんじがらめになっている。昔からいる社員を大切にしないで、やる気を削いでいる。それに伴って職場の雰囲気が、かなり悪くなって来ている。
    接客



    「販売・接客・サービス」の職種で働いた経験がある方の口コミには、不満の理由として、収入の少なさや配置転換の融通の利かなさ、周囲の理解やサポートのなさ、身体的に負担がかかる業務も一人でこなさなければならない状況などが挙げられています。

    ■営業

    病気があるので、あまり責任がある立場に立てない。最近ではデスクワークがほとんどになってしまい、働き甲斐がない。
    メーカー・製造系、営業

    自由な雰囲気や新しいことにチャレンジしたい場合、スピード感がないため、なかなか社内で承認を得るのが難しく窮屈な印象を受ける。また、年功序列がある程度は残っているので、実力はあるのにと悔しい思いをすることもある。
    医療・医薬、営業



    営業職の場合は、責任のある仕事を任せてもらえない、能力が発揮できないなど正当な評価が受けられない状況になった場合、満足度が低下する傾向があることがうかがえました。

    しかし、コメントの中には、営業職に就いた経験がある方で、満足度が高いと回答した方もいました。その理由を見ると「病気や障害に関わらず、業績が上がれば評価に反映されるため」となっていました。このことからも、正当な評価を得られる職場であるかどうかが、営業職での満足度を左右するポイントになるでしょう。

    6.麻痺のある方が仕事探しで活用した求人サービス

    ここまで、麻痺のある方の口コミをもとに、向いている業界や職種について見てきました。
    それでは、どのようにしてその仕事に就いたのでしょうか。麻痺のある方が仕事を探す際に活用した求人サービスについて、示したグラフは次のとおりです。

    麻痺の方が活用した求人サービスグラフ
    ※口コミの項目「どのようにその職場を見つけましたか。就職までに利用したサービスがあれば教えてください。(複数回答可)」に記述のあった89名による106件を集計して割合を算出


    利用した求人サービスの割合は、以下のとおりでした。
    • ハローワーク 43%
    • 行政サービス 15%
    • 求人メディア 13%
    これらの求人サービスを使った方は、どのような点についてメリットを感じたのでしょうか。活用した求人サービスごとに、コメントを見ていきましょう。

    ■ハローワーク

    ハローワークの担当者に紹介してもらい、面接と筆記試験を普通に受けて就職することができました。
    環境、営業、男性

    「ハローワークインターネットサービス」を利用しました。インターネット上で求人の検索をしたり、メールなどのオンラインで担当者とやりとりをしたりしました。選考当日も同行してもらえました。
    外食・フード、マーケティング、人事・経理・総務・企画、女性

    ハローワークに通っていた際、担当者が親身になって会社をさがしてくれたのが印象的です。
    マスコミ・広告、営業、男性



    ハローワークは、障害のある求職者向けに専用の窓口を設けており、自分の障害の特性について担当者に相談したうえで仕事探しができます。麻痺のある方は、身体的に遂行が困難な業務をあらかじめ避けることもできるでしょう。

    また、担当者が面接に同行してくれる場合もあり、病気や障害について、企業への伝達の橋渡しをしてくれることもあります。

    続いて、「行政サービス」を活用して求職活動をした方が利用した具体的なサポートの内容などを見ていきましょう。

    ■行政サービス

    「行政サービス」と一言で言っても、市区町村役場で直接受けられるものから、行政が外部機関に委託している専門サービスまで、そのサポート内容は多岐に渡ります。
    「行政サービス」を利用して求職活動を行ったと述べた方に対して、活用した具体的なサービスの内容を尋ねました。結果は次の通りです。

    麻痺の方が活用した行政の求人サービス
    ※前述のグラフ「麻痺の方が活用した求人サービス」の内「行政サービス」と述べた方の内訳を表示。コメントした15人の複数記述による16件を集計して割合を算出


    多く活用された行政サービスは「就労移行支援施設」「障害者職業能力開発校」「地域障害者職業センター」と続いています。

    次に、行政サービスを活用して求職活動をした方のコメントを見ていきましょう。

    ■就労移行支援施設

    就業移行支援施設に移り、様々な仕事を行った。
    食品・化粧品、総務、男性



    ■障害者職業能力開発校

    職業リハビリテーションセンターに半年通い、そこで半年に1回開催される面接会に参加し、就職しました。
    IT・通信・インターネット系、経理、女性



    ■その他の行政サービス

    県の労働相談センターに相談し、職場とのやりとりの方法を教えてもらいました。
    団体・連合会・官公庁、経理、男性



    麻痺のある方の中には、仕事を始めるにあたって不安があり体調と相談しながら徐々に就職活動を始めたい方も多いでしょう。そうした方々にとって、働くための準備として基本的な知識を身に付ける期間を設けることは、心身の健康を保つうえでも非常に重要です。

    「就労移行支援施設」や「障害者職業能力開発校」を活用している方は、仕事に必要なスキルを身に付けながら、就労に向けて心の準備も整えたうえで、仕事への応募や面接などの具体的な求職活動に移っていったことがうかがえます。

    また、事業所ごとに提供しているサービス内容は異なりますが、「就労移行支援施設」で様々な作業を経験することができれば、自分の得意なこと、不得意なことの把握に役立つため、求職活動の手がかりとなるでしょう。



    ▼障害者雇用枠の求人の探し方について、詳しく紹介しています。
    ハローワークだけじゃない、障害者雇用枠の求人はここでも!求人サービスを紹介

    ▼障害者雇用枠と一般枠について詳しく紹介しています。
    障害者枠(オープン)か一般枠(クローズ)か?メリットとデメリットを解説

    7.まとめ

    ■満足度の高い職場
    病気や障害に対して理解があり、周囲のサポートが受けられるなど、本人が能力を発揮できる環境が整っている職場は満足度が高い傾向にありました。

    「麻痺に対して理解がある」職場では、体調への配慮があるために休みのとりやすさが利点として挙がりました。また、移動動線の整備や高い所にある物品の整理など、職場内のハード面の環境整備に取り組んでいる職場もありました。

    麻痺のある方は、麻痺のある部位を使う業務を除けば、能力を発揮できる仕事はたくさんあります。例えば「重い物を代わりに運んでくれる」など、気遣いのある職場であれば、物理的なハードルが取り払われ、自らの能力がより発揮しやすくなり、働きやすい職場環境になるでしょう。

    ■満足度の低い職場
    通勤に時間がかかることや期限に追われ休みが取りにくいなど、身体的な負担が積み重なってしまう職場は満足度が低い傾向にありました。

    麻痺のある方にとって、公共交通機関での長時間の移動は負担が大きいため、職場へのアクセスの良さや、自動車通勤が認められているかどうかなども仕事選びの一つのポイントとなります。

    また、麻痺のある方は素早い動きが困難という特性があるため、期限に追われ、スピードを求められるような職場では能力を発揮しにくい状況となります。

    ■満足度の高い業界
    「IT・インターネット系」、「サービス・外食・レジャー系」、「その他」。
    ここで言う「その他」とは、分類不可の少数意見を指します。このことからも、麻痺のある方は多様な業界で活躍し、それぞれの業界で自分が満足できるポイントを見出していることがわかります。

    業界ごとに働き方や勤務環境は大きく異なるものですが、コメントを見ていくと、満足度の高い業界では、余裕を持った仕事の配分がなされており、納期に追われることが少ないようです。また身体的な負担が大きくならないよう、移動のサポートなど同僚の協力を得やすい雰囲気があり、なおかつ柔軟な勤務形態など個人の事情を鑑みた対応がとられていることがわかりました。

    ■満足度の高い職種
    「事務」、「エンジニア・技術職」、「人事・経理・総務・企画」。
    「事務」、「人事・経理・総務・企画」では、休みがとりやすく時間の融通が利くこと、麻痺の症状を理解し、対応可能な業務を任せてくれることなどが満足度を高めています。

    「エンジニア・技術職」においては、麻痺のある部分に負担が少ない仕事内容で、なおかつ自分の知識や能力を発揮できるという傾向がありました。

    また、麻痺のある方は、一般的に身体を素早く動かす動作が難しいため、急ぎの業務への対応に困難を感じるケースがあります。「事務」、「エンジニア・技術職」、「人事・経理・総務・企画」は、他職種と比較して業務スケジュールが明確である場合が多く、急な対応を迫られにくいため、麻痺のある方にとって働きやすい職種と言えるでしょう。

    ■麻痺のある方が多く活用した求人サービス
    「ハローワーク」、「行政サービス」。
    ハローワーク、行政サービスともに障害者雇用に特化したサービスを提供しています。就職に不安を抱える方も、職業訓練や面接練習など様々な方法で心身共に就労に向けた準備ができる点が、これらの求人サービスを活用するメリットです。

    ■全体を通して
    麻痺の症状は、その程度も箇所も、一人ひとり全く異なるものです。麻痺のある部分に負担がかからない業務であれば、麻痺のある方が担当できる仕事内容は多岐に渡ります。口コミからは、麻痺のある部分に負担がかからないことを前提条件としつつも、自分の得意な仕事内容であることや、自分の興味関心が活かせる分野であること、自分の能力が正当に評価されることなどが、麻痺のある方にとって満足度の高い仕事の要素であることがわかりました。

    そのため、まずは自身の興味・関心を探ったり、興味のある業界の将来性について調べたりしたうえで、負担を感じにくい職種などについて探っていくことが、転職活動のポイントになると言えるでしょう。

    一人ひとりが、いきいきと働ける仕事に出会えることを願っています。



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    監修者

    ジョジョ

    産業カウンセラー、社会福祉士(ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)、プロコーチの資格を持ち、就労継続A、B型にて支援員として、身体障害、精神障害、知的障害のある方への支援を行う。 自身も悩みを抱えギャンブル依存症になった経験から、「悩みから夢まで話せる友達が見つかる東京の居場所”ココトモハウス“と出会い、現在はその管理人として多くの方から信頼を寄せている。生きづらさを抱える人達を社会と繋げて、豊かな社会を作ることがミッション。

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    著者

    鈴木 杏奈

    より望ましい職業の選択や能力開発における相談・助言を専門とする国家資格「キャリアコンサルタント」のほか、米国CCE, Inc.認定の「GCDF-Japanキャリアカウンセラー」の資格を取得。福祉・医療介護分野の研究などにも従事しています。

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