転職、聴覚障害の方に向いている職種や業界は? 136人の実体験調査から解説

転職、聴覚障害の方に向いている職種や業界を136人の実体験調査から解説

音が聞こえない、または聞こえにくい聴覚障害。障害のある場所により、伝音難聴や感覚難聴、その両方である混合難聴に分けられ、聞こえ方の違いに差があります。

聴覚に障害があると仕事に支障をきたすことも考えられるため、適職や働きやすい職場を求めるための転職に悩むことも多いのではないでしょうか。

今回は聴覚障害(難聴)を抱える136人の体験談やアンケートから、働きやすい職場や業界、職種などを考察してみます。

聴覚障害を抱えている方は、今までよりも働きやすい環境を見つけるためにも、本記事をぜひ参考にしてみてください。

【この記事でご紹介するデータ】
調査期間:2018年2月~2020年4月
調査方法:弊社サイトUMBREから対象となる体験談を抽出
調査対象:聴覚障害(難聴)のある方のお仕事に関する体験談136件
データ集計日:2020年8月17日
※体験談として記載された内容を分類し集計したデータを使用しています。


目次

1.聴覚障害のある方の職場に対する満足度

2.聴覚障害のある方にとって満足度が高い職場とは

3.聴覚障害のある方にとって満足度が低い職場とは

4.聴覚障害のある方におすすめの業界

5.聴覚障害のある方におすすめの職種

6.聴覚障害がある方の転職活動の進め方

7.まとめ

1.聴覚障害のある方の職場に対する満足度

聴覚障害のある方が働きやすい職場を知るには、職場に対する満足度を把握する必要があります。

聴覚障害の方の仕事満足度グラフ
※アンケート「あなたはその会社の就労環境に満足していますか?」を集計して割合を抽出



グラフによると、「とても満足している」と「満足している」の合計が52%となり、聴覚障害を抱える方の半数近くが職場に満足しています

聴覚障害のある方でも職場をうまく選べば、働きやすい環境を見つけられる可能性は高いといえるでしょう。

2.聴覚障害のある方にとって満足度が高い職場とは

聴覚障害の方仕事満足度高い理由グラフ
※アンケート「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」を分類しプラス評価している内容を集計して割合を抽出。8人未満の少数回答は除く。




職場への満足度が高い理由を確認すると、

  • 病気や障害に対して理解がある 34%
  • 周囲の協力がある 19%
  • 特性にあった仕事ができる 14%

と上位を占めています。

では、聴覚障害についてどのような点を理解し、それに対してどのような協力があると働きやすい職場なのでしょうか?
また特性にあった仕事とはどのような仕事なのでしょうか?

ここで聴覚障害(難聴)についての理解を深めるために、コメントにある悩みに注目してみると以下のような傾向がみられました。

  • 聞こえづらい
  • 聞こえないことによりできない仕事がある(または支障がでる仕事がある)
  • コミュニケーションがとりづらい
  • 疲れやすい

このような悩みへの理解やそれをサポートするための周囲の協力があること、そして特性にあった仕事ができることが働きやすい職場につながるのではないでしょうか。
では、働きやすい職場、満足度の高い職場とはどのような職場なのでしょうか。先ほどの悩みをヒントに考えてみると、以下のような職場が当てはまりそうです。

  • 聞きやすいように配慮してくれる
  • 聞こえやすい環境を整えてくれる
  • コミュニケーションをとるための柔軟に対応してくれる
  • 聴覚障害(難聴)に配慮した業務が担当できる
  • 休憩や休みがとりやすい

ではそれぞれの参考になりそうな職場の様子を、コメントを交えながらみていきましょう。

満足度が高い職場の特徴1.聞きとりやすくなるための配慮がある

私と会話する時には常に話をする方向を気にしてくれていた為、トラブルなく仕事が行えたからです。
医療・福祉・介護、女性

聞き取りやすいよう「体をこちらに向け話してくれる人が多かったこと。外国人が多い部署だったのではっきりゆっくりわかりやすい言葉で説明をする習慣が根付いていたこと。
旅行・ホテル、女性



聴覚障害の程度によっては、聞こえやすい耳がきまっていることもあります。また直接体を向けて話す方が、声が直接届くので格段と聞こえやすくなったりすることがあります。また口元を見せることで、より発している言葉が理解できることもあります。
それぞれの特徴を理解し、周囲の方が話し方を少し工夫することで、より聞きとりやすい状況を作ることができます。

きっと呼び掛けたのに聞こえてなく反応しなかった事例もあったと思います。しかしそれを咎めることもなく他の社員も受け入れてくれていたことに感謝するばかりです。
サービス・外食・レジャー系、男性



また、聞き取りやすさに配慮してくれるだけでなく、症状について温かく見守ってくれる環境も、落ちついて仕事に集中するためには必要なようです。

満足度が高い職場の特徴2.聞こえやすい環境を整えてくれる

大会議室等での会議などは、遠い方の話が聞こえづらかった。正直に聞き取りづらいことを話して、理解・協力頂いた。右耳のみ聞こえづらいので、できる限り、右端に座らせて頂き、左側からはなしかけてもらった。
人材、女性

私の耳の状態を考慮して携帯のイヤホン(Bluetooth)を準備してくれていました。
サービス・外食・レジャー系、男性



聴覚障害のある方は会議といった雑音が多いところを苦手としています。必要な情報を聞き分けることが難しくなるばかりか、仕事の指示を聞き逃してしまうことがあるかもしれません。

そのような場合は、聞こえやすい方の耳を部屋の中心に向けることで、会議中の声が聞き取りやすくなったり、聞こえやすくなるイヤホンを用意してくれたりすることで、苦手な会議も参加しやすくなるようです。

ご自身の努力だけでなく、周囲のサポートによって難しかったことができるようになる職場であれば、仕事に対するやりがいも変わってきそうです。


満足度が高い職場の特徴3.コミュニケーションを取りやすくする柔軟な対応

私の耳のことを考え、毎回指示はメモを付け加えてくれ、その「手間」に対して「面倒くさい」と言ってくる人はいませんでした。
経理、マスコミ・広告、男性

アットホームな職場で、社員みんな仲がよく、和気あいあいとした職場でした。聾唖者が入った時は、終業後に簡単な手話教室を開いて聾唖の社員と少しでもコミュニケーションしやすいようにという気概もありました。
サービス・外食・レジャー系、一般事務

後ろ方面からの呼びかけは聞こえない為、肩を叩いて貰い、注意を向けて貰い会話するように配慮。
銀行・信用金庫、その他、女性

障害の有無にかかわらず、一般企業で働くならば周りとのコミュニケーションをよくとることが大事です。その中でも障害を持つ人は、意識的に自分のできることとできないことをしっかり把握し、必要に応じて周囲に相談しサポートや支持をお願いすることが必要になります。
医療・医薬、女性

アットホームな職場で、社員みんな仲がよく、和気あいあいとした職場でした。聾唖者が入った時は、終業後に簡単な手話教室を開いて聾唖の社員と少しでもコミュニケーションしやすいようにという気概もありました。
サービス・外食・レジャー系、一般事

現在はアプリなどで音を言語化できる機能があるので、支援者には、ぜひ利用してもらいコミュニケーションを円滑にとってほしい。言葉は文字にして見える化にすることを徹底してもらうことで、お互いに認識のズレを防ぐことができる。
建築・建設・設計・土木職種



聴覚障害のある方は、聞こえづらさからコミュニケーションのとりづらさに不安を抱く傾向にあります。しかし、周囲のちょっとした働きかけでコミュニケーションへの悩みを少し取り去ることができます。

コメントにもあるように、耳だけでなくメモを使えば目で情報を確認することもできます。また話しかける前に肩をたたくことで、聞く体勢を作ることもできます。もちろん、普通に話をするよりひと手間かかるかもしれません。しかし、コミュニケーションがスムーズに取れることで仕事の効率もあがり、職場全体としてプラスになるのではないでしょうか。そんな風に周囲の方がさりげなくサポートしてくれる職場は、働きやすさも増しますね。

他にも、手話教室の開催や文字の視覚化などの工夫をしている企業もあります。聞こえづらさに配慮がある環境であれば、コミュニケーションについての心配が減るかもしれません。

満足度が高い職場の特徴4.聞こえづらさや聞こえないことに配慮した業務ができる

業務の中心がデータ入力だった為難聴である事をそれほど悩まずに仕事が出来た事が本当に助かりました。
リース・クレジット・信販、女性

全ての業務をメールで行うことができる環境であったため、聞こえない分はメールで補うことができて、大変便利でした。
コンピュータ・通信・精密機器、女性



先述したとおり、聴覚障害のある方はコミュニケーションのとりづらさに悩みを抱えがちです。向き不向きがありますが、個人でもくもくと行う仕事であれば、コミュニケーションを必要以上に気にする必要はありません。
また、メールを使う環境が整っていれば、話したり聞いたりすることは少なくても、スムーズにコミュニケーションが取れます。最近は、メールだけでなくスラックやラインといった連絡ツールが多く活用されていますので、以前よりは身近に感じるのではないでしょうか。

チームワークでの仕事ではなく個人作業が多かったので、やりやすかったです。コミュニケーションを必要とするとどうしてもエラーになりやすい。情報のズレが生じやすい。
その他、女性



聴覚障害の有無に関係なく、頻繁にコミュニケーションをとることをストレスに感じる方もいらっしゃいます。そういった場合は、個人作業が多い仕事を選択するのも1つの方法ですね。

満足度が高い職場の特徴5.休憩や休みがとりやすい

疲れていないか、大丈夫か、次のアシストは自分がやるよ、など声をかけていただきました。
医療・福祉・介護 女性

不調の日は就業時間中に休憩を取ることを許してもらって、保健室のような部屋へ行き、短時間だが横になることができた。
総合電機、技術系、女性

休憩をこまめにとったり病院の通院の日には出勤時間を少しずらしてもらったり、週一休だったところを週休二休に変更してもらいました。
その他、女性



聴覚障害のある方は、聞き取れる一部の内容から残りの内容を推測するなど、パズル解くような処理を行わなければならないときがあります。それにともなってエネルギーを消耗しやすいため疲れやすく、ひどいと体調不良を起こすこともあるようです。

そのため、疲れがたまる前にこまめな休憩をとることが必要です。また体調がすぐれないときや通院のために休みが取りやすい、休みを申し出やすい職場であれば、安心して仕事が行えます。

中には、出勤時間をずらしてもらったり、休日を増やしてくれたりする職場もあるようなので、少しでも疲労を回復しやすい職場を探してみるとよいかもしれません。

3.聴覚障害のある方にとって満足度が低い職場とは

聴覚障害のある方が転職後に悩みを抱えないためには、満足度が低い職場も事前に知っておくとよいでしょう。

アンケートで満足度が低いと答えた方の理由を分類し、集計した結果をみてみましょう。

聴覚障害の方 仕事満足度低い理由グラフ
※アンケート「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」を分類しマイナス評価している内容を集計して割合を抽出。8人未満の少数回答は除く。


職場に満足していない理由は、

  • 病気や障害に対して理解がないが19%
  • その他が19%
  • 仕事量が多い、期限に追われるが17%

という結果になりました。「その他」は分類できなかった少数意見ですが、この中には聴覚障害ならではの悩みも含まれていますので注目してみてみましょう。 では、上記3点の理由に関するコメントから、満足度が低い職場とはどのような職場なのかを考察します。

満足度が低い職場の特徴1.聞こえづらさや疲れやすさを理解してもらえない

  上司は大きい声を出せば伝わると思っているが、こちらは音は聞こえても何と言っているのかがわからない。
ソフトウェア・ハードウェア開発、購買業務、男性

聞き誤りが多くお客様にご迷惑をおかけすることが多々ありました。何を言ったのかなんとなく感で行うこともありました。目に見えない病気のため上司や同僚にも理解してもられませんでした。
その他、男性



聴覚障害について正しい理解がないと間違った対応をされてしまい、余計働きづらい職場になってしまいます。聴覚障害があることは、見た目ではわかりづらいものです。聞こえづらいことを認識してもらわない限り、仕事に支障が生じてしまうでしょう。

上司がかわってから障害者の理解がまったくない。 疲れたのでリフレッシュルームに行くとさぼっていると思われている
化学・素材 一般事務、男性



聴覚障害のある方はめまいや耳鳴り、方向感覚が鈍いなどの理由で疲れやすくなっています。
特に、集中力が必要な口話や長時間にわたる手話によるコミュニケーションはストレスや疲労の原因となるので、適宜休憩をする必要があります。

しかし、具体的な症状として周りからは見えないので、休んでいるとさぼっていると思われてしまうようです。

聴覚障害について、そして個々の症状について正しく理解している職場でないと、長く働き続けることは難しいでしょう。

満足度が低い職場の特徴2.困難な業務や状況で仕事をしなければいけない

知らない人が増えてコミュニケーションが折り合わない
メーカー・製造系仕分け・商品管理、男性

ほとんど人がいないときが多い。その時、お客様相手や電話が鳴るから余計困る
団体・連合会・官公庁、一般事務、女性



コミュニケーションをとることに不安をおぼえる聴覚障害の方にとり、頻繁に周辺の人間関係が変わることは、決して安心して働ける環境とはいえません。新たな人間関係を築くときに、聴覚障害についての理解が浸透するまでは時間を要するでしょう。

また、電話対応や接客は難しい業務の1つです。それをサポートの無い状況で任せるのは、聴覚障害のある方にとって働きやすい職場とはいえないでしょう。

いずれも聴覚障害のある方の気持ちを考慮していないことが問題です。こんなつもりではなかったということにならないためにも、できる仕事、できない仕事があることを、始めにしっかり伝えておくことが必要かもしれません。

満足度が低い職場の特徴3.仕事に時間を要することを考慮されない

通院等の配慮はしていただきましたが、勤務時間は他の方よりその分長めでした。
生命保険・損害保険、営業、女性

業務の範囲やリカバリなどで負荷集中し、見合った報酬になっていない
ソフトウェア・ハードウェア開発、SE・プログラマー 男性

補聴器をしていても全く健常者と変わらない 超長時間労働 よく言えば頼られてるんでしょうが、ぽんぽんと仕事をどんどん頼んでくる
外食・フード、男性



聴覚障害がある方は筆談をしたり、声をゆっくりと聞いたりすることから、コミュニケーションに時間がかかりやすくなります。また、定期的な通院もあるので仕事のスケジュールには余裕を持ちたいものです。

もちろん協力できる範囲で行うことは必要です。しかし、通常より仕事に時間がかかることを周囲が理解せず、周囲と同じようなペースを求められると、負担が増えストレスになることもありますので、注意しましょう。

4.聴覚障害のある方におすすめの業界

業界が異なると働き方も変化し、業界ならではの悩みも現れるのではないでしょうか。 次は聴覚障害のある方が働きやすい業界について考えてみましょう。

4-1.聴覚障害のある方が多く働いている業界
聴覚障害のに人気の業界グラフ
※アンケート「働いているまたは働いていた企業を教えてください」で回答のあった企業を業界別に分類し集計して割合を抽出


一番多くの方が働いている業界はサービス・外食・レジャー系で割合は34%です。どのような職場でお仕事をされているのでしょうか。

障害を持っている子どもたちの通う場所だからか、障害や病気に関して寛容に受け止めてくださる方が多くいらっしゃったと思います。
医療・福祉・介護、女性

単発でお邪魔しているにもかかわらず、ほとんどの医療機関で理解をしてくださり、フォローしてもらえました。
医療・福祉・介護、女性

院長に感謝しています。ただ、やはり体調不良による欠勤でほかの助手の方たちに迷惑をかけていたのが心苦しかったです。それでも、たくさんの配慮をしていただき、ありがたかったです。
医療・福祉・介護、女性



サービス・外食・レジャー業界の中でも特に医療・福祉・介護に関する業界で働く方が多いようです。
医療・福祉・介護に関わる仕事は、さまざまな疾患や悩みをお持ちの方と接するので、聴覚障害についての理解も得やすいのかもしれません。

2番目に多い業界はメーカー・製造系で割合は22%です。

自分のできないことを責めたり怒ったりするのではなく、できることに対して正当に評価をしてもらえた。 どうしたら働きやすいのかを伝えればきちんと相談にのってもらえ迅速に対応してもらえた。
医療・医薬、総務、女性

障害に対しての理解を示してくれて、業務に支障がないようとりはからってくれたため
医療・医薬、女性



メーカーの中にも医療・医薬に関する職場があります。人々の病気を治す仕事であることから、口コミからは聴覚障害に対する理解度も高い傾向が読み取れます。メーカー・製造系の業界を希望するのであれば、医療・医薬系の職場も検討してみるとよいかもしれません。

4-2.聴覚障害のある方で働いている方が少ない業界
金融・保険業界は7%という結果で少ない印象です。

できるだけ耳を使わない仕事をしたいが、それができているとは言えないから。



投資信託・投資顧問・商品取引 オペレータ 男性 金融や保険などの仕事では目に見えないサービスについて説明する機会が多くなります。必然的にコミュニケーションが増えるので、聴覚障害のある方が自然と避けているのではないかと考えられます。

-4-3.聴覚障害のある方にとって働きやすい職業界とは
聴覚障害の方の業界別満足度グラフ


※アンケート「働いているまたは働いていた企業を教えてください」と「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」をクロス集計して割合を抽出。ただし、答えた人数が8人未満の業界は比較対象外とした。


「とても満足している」と「満足している」の割合が高い業界は不動産・建設・設備系で、合わせて75%の方が満足しているという回答でした。
どのような点に働きやすさを感じているのでしょうか?

皆に迷惑かけてるのに沢山給料くれるから凄く感謝しています。
建築・建設・設計・土木、男性

社員数が多いので本社などは社内に内科診療所が常設している。ゼネコンゆえ社内動線のバリアフリー化は進んでいる。
建築・建設・設計・土木 技術系、女性



建設業界は基本的にプロジェクトが大きい仕事が多いので、給料が高くなる傾向です。また、ゼネコンならでは強みとしてバリアフリーにも配慮された環境も期待できるようです。

しかし、以下のようなコメントも見られました。

残業が多いことと、天候により危険度が高くなる。気性が荒い方が多いのでメンタルが弱いかたにはおすすめしたいと思えない。
建築・建設・設計・土木



残業が多くなったり、気性が荒い方がいたりするとのネガティブなコメントもありました。この方は外で行う業務もあるようで、天候によって作業状況の危険度が変わる点も注意点として述べています。指示の聞き逃しがケガや事故につながる可能性もありますので、聞こえづらさや体調によっては再考したほうが良いかもしれませんね。

次に満足度が高いのが小売・流通・商社系です。
「とても満足している」と「満足している」の割合を合計すると64%になります。

一緒に働いている人々からの支援はさっぱり期待することはできませんでしたが、お客様にはとても歓迎され、なかには深いお話もされるかたも多々いらっしゃるので、商品の売れ行きも大変良く、働く満足感が得られました。
チェーンストア・スーパー・コンビニ、女性

大手スーパー・アピタの青果部へ果物の試食販売と営業を兼ねて派遣されましたが、担当が1日中そばにいるわけでもなく、また、このような売り場にこられるお客様は、お年寄りの方も多く、ゆったり話される方ばかりで、また女性が大半なので、こちらからの声がけにもあまり嫌な顔をせずに応じてくれ、非常に仕事がしやすいです。
チェーンストア・スーパー・コンビニ、女性

コンビニエンスストアはそれほど難しい作業もあるわけではないし、電話業務も少ないので聴覚障害の方には働きやすいかと思います。
チェーンストア・スーパー・コンビニ、女性



小売・流通・商社系の仕事は商品を販売する点で顧客と接する機会が多いといえますが、聴覚障害があってもコミュニケーションを取ることに楽しみを見出している方がいました。顧客との関係を良好に保つことで満足感を得やすくなるようです。

お店の客層によってはゆっくり話せる環境にあり、聴覚障害のある方でも仕事がしやすいというコメントも見られました。
また、オフィスでの業務とは異なり電話対応が少ないので、電話が苦手な方でも安心して働けるようです。

5.聴覚障害のある方におすすめの職種

聴覚障害の方の職種割合グラフ

※アンケート「どのような仕事を担当していましたか」で回答のあった担当業務をもとに職種別に分類し集計して割合を抽出


同じ業界でも選択する職種によって働き方が変わってきます。ここからは、聴覚障害(難聴)のある方に適した職種を考えていきます。
まずは、聴覚障害のある方が勤務している職種の割合からみてみましょう。

5-1.聴覚障害のある方が多く働いている職種
聴覚障害の方が一番多く働いている職種は事務で27%です。
では、どのような職場でどのような仕事をしているのでしょうか?

基本、キーボードやタイプでの入力のみの仕事で、依頼主ともマンツーマンで仕事の話ができるので、働きやすかったです。
サービス・外食・レジャー系、一般事務



事務の中でもパソコンの入力などを主とする仕事は、コミュニケーションを取る機会が少ないので、聴覚障害のある方が会話で苦痛を感じる機会も少なくなるのでしょう。

私が担当する業務が明確に割り振られていたので、その仕事をマスターすることに集中できました。
専門商社、一般事務 女性



仕事の内容が変化すると、慣れない仕事も発生しやすくなります。新しく仕事を覚えるごとに周囲に協力を得る場面も出てくるでしょう。その点で、一人でも業務をこなせる事務という職種に、人気が集まっているという見方もできます。 次に割合が高いのは販売・接客・サービスの13%です。

お客さんの話しがどうしても聞き取りにくい時は、仕事のメンバーにかわりに聞いてもらう。
サービス・外食・レジャー系、警備 

インカム指示の聞き逃しなどを教えてくれたり、右側から話しかける際に肩を叩くなど、右耳難聴でも業務に支障をきたさないよう協力してくれた。
医療・医薬、窓口業務、女性



販売、接客業はチームで業務にあたることが多い傾向が見られ、音が聞こえなかったときに職場のメンバーからサポートを受けやすいようです。その点で、聞こえづらさや聞き逃しが不安な方でも安心して働きやすいのではないかと考えられます。

またエンジニア・技術職も比較的多く11%の方が働いています。

ヒアリングに苦労するため、チャットやバックログやメールなどの、テキストでのやりとりをメインにした。
ソフトウェア・ハードウェア、システム・エンジニア、男性



IT職はコミュニケーションにITツールを導入しているケースが多く、チャットやメールなどで情報を共有しやすい環境にあるといえます。その点で、筆談をする手間も省けるので、聴覚障害のある方が働きやすい可能性が考えられます。

ちなみに口コミで見られたバックログ(backlog)というツールは、チームのプロジェクトを管理するコミュニケーションツールです。IT業界で働く際には、どのような方法で情報共有を行っているかを面接で確認すれば、働きやすい職場が見つかるかもしれません。

▼参考:バックログ(backlog)

5-2.聴覚障害のある方があまり働いていない職種
「コールセンター オペレーター」の職種は2%という非常に低い結果となりました。アンケートを確認すると、2名しかいないことがわかりました。br> br>

先天性の右耳の難聴があり、電話業務に支障がある
医療・医薬、窓口業務、女性

電話応対の際には左手で受話器を持ち左耳で聞き、右手でメモを取ることになっていたのですが、左耳が聞こえないため逆にせざるをえなかったが、座席の構造上、逆にできなかった。
サービス・外食・レジャー系、女性



アドバイス欄には以下のようなコメントもありました。

片耳だけが難聴の人は、普通の社会生活を送るのにそこまで支障はないかもしれません。しかし少しでも耳への負担を減らすために、コールセンターや、それに近い営業などの仕事はなるべく避けた方がいいかと思います。
サービス・外食・レジャー系、販売・接客・サービス、男性



電話業務は口の動きや表情がわからない状態で声だけを頼りに相手の話している内容を聞かなくてはなりません。聴覚障害のない方でも、電話は緊張するので苦手という方も多くいらっしゃいます。聴覚障害であればなおさら聞こえづらくて困ります。その点から、コールセンターやオペレーターの職種は人気がないと予想できます。

5-3.聴覚障害のある方にとって働きやすい職種とは
聴覚障害の方の職種別満足度グラフ

※アンケート「どのような仕事をされましたか?」と「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」をクロス集計して割合を抽出。ただし、答えた人数が8人未満の職種は比較対象外とした。


「とても満足している」と「満足している」の合計割合に着目すると、
  • 事務
  • 販売・接客・サービス
がそれぞれ42%という結果になっています。

では、働きやすい職場とはどのような職場なのでしょうか?
まずは事務についての口コミをみてみましょう。

私が担当する業務が明確に割り振られていたので、その仕事をマスターすることに集中できました。また、障がい者への偏見や嫌がらせも全くない会社だったので、とても感謝しています。
専門商社、一般事務、女性

基本的に他部署や顧客と連携を取るような業務はなく、部内でルーチン業務の繰り返しだったため、特に障害を苦にする場面がなかった。
人材、営業事務、男性

仕事内容も自分の好きなパソコン作業もあり、座り仕事や立ち仕事もあったので体に負担なく働けました。後人間関係もとても良かったです。
人材、一般事務



ルーチン業務やパソコン作業が主流であることから、顧客との複雑なやり取りが発生しにくく、マンツーマンで話を行える環境が整っている点に働きやすさを感じるようです。仕事をマスターすれば、安定して働き続けられる可能性が高くなると予想できます。

しかし、以下のようなコメントもありました。

難聴で入っているのに、率先して電話応対もしなければならなかったから。自分が居なくても良い様な、仕事内容だった為。全くやりがいがなかった。
総合電機、一般事務、女性

電話はできなくても努力でカバーしていけるという雰囲気がある。
不動産、営業事務



ただし、事務の仕事には電話対応が含まれていることもあり、聴覚障害のある方にとって避けたい業務です。電話が頻繁になる仕事かどうかを確認することと、電話対応が難しいことは予め伝えておく必要がありそうですね。しかし、電話が苦手な部分をほかの仕事でカバーするという心意気も時には必要かもしれません。

次は販売・接客・サービスの口コミを見てみましょう。

難聴なので、何人かと一緒に仕事するので、お客さんから聞かれた時に、かわりに他の人がお客さんの話しを聞いてくれるので、何とか仕事ができる
サービス・外食・レジャー系、警備 

疲れていないか、声をかけてくるたり、レジ業務を習う時も「無理な時は気にせず言ってください。他のところで活躍してもらいますね!」と明るくいってもらえたので涙が出そうでした。差別されてると感じることはありませんでした。
アパレル・日用品、接客、女性



複数人で行う仕事であれば、周囲の協力によって聞こえづらさをカバーしてもらえる職場もあります。大切なのは周囲の方が聴覚障害を理解してサポートしてくれる環境であるかどうかですね。接客業であれば、そのお店の雰囲気をあらかじめお客として訪れて確認することもできるかもしれません。

繰り返しになりますが、聴覚障害のある方にとってコミュニケーションがとりづらい点は仕事にも影響を与えます。そしてコミュニケーションの相手は大きくわけて2つあります。

  • 職場の方とのコミュニケーション
  • お客様や外部の方とのコミュニケーション

事務という仕事であれば、電話や来客を除けば外部の方と対話する機会は少なくなります。その分、職場の方とのコミュニケーションの方法を工夫することで、仕事効率は良くなります。また職場の方の理解とサポートを得ることも必要になります。

一方、販売・接客・サービスという仕事は、多くの場合顧客を主とする外部の方とのコミュニケーションが必要になります。毎回対応する相手が変わりますので、その都度聴覚障害であることを説明するのはちょっと大変なように思えます。
その分、周囲の方が一緒に仕事をしてくれる、サポートに素早く入ってくれるような環境で仕事ができれば、一見難しそうな販売・接客・サービスという仕事もこなせるようです。

6.聴覚障害がある方の転職活動の進め方

転職に活用できるサービスはさまざまありますが、聴覚障害のある方はどのようなサービスを用いているのでしょうか?

聴覚障害の方の転職サービスグラフ

※アンケート「どのようにその職場を見つけましたか。就職までに利用したサービスがあれば教えてください。(複数回答可)」の有効回答43名による46件を集計して合計人数を算出


求人メディア、ハローワーク、人材紹介会社の順に利用者が多いことがわかります。それぞれの利用状況を口コミから確認してみましょう。

【求人メディア】

一番を多く利用されている求人サービスは35%を占めた「求人メディア」です。

新卒向けのリクルート社のサイトを使用して求人情報を探しました。 特に何かのサポートがあったわけではありません。
医療・福祉・介護、医療関係、男性



聴覚障害のある方も代表的な求人サービスを利用している方が多いようです。インターネットなどを通して、気軽に検索や応募ができることが魅力です。しかし、サポートを受けられていないことが口コミからわかります。

求人サービスの中には、障害をお持ちの方専用の人材紹介会社もあり、企業と求職者の間に入って、予め双方の様子を伝えてくれるなど、ある程度安心して面接に挑めるケースもあります。

人材紹介会社の担当アドバイザーに聴覚障害があることを打ち明けることで、特性を考慮した仕事を探してもらうことも可能です。詳しい内容は後述しますので参考にしてください。

ただし、中には聴覚障害であることを始めから伝えることを迷う方もいらっしゃるかもしれません。ただ、面接で症状を伝えて反応が悪い会社は、採用されたとしても適切なサポートが得られる可能性は薄いでしょう。働きやすい会社を見極めるためには、面接であえて症状を打ち明けることも検討してみてください。

【ハローワーク】

次に利用者の多い求人サービスはハローワークで、30%です。

ハローワークは企業側に対してその障害に対してどれくらい配慮出来るのか確認してくれていました。
団体・連合会・官公庁、接客、女性

ハローワークの障害者の窓口を利用し、相談させていただきました。受付の方は困ったことがあったらいつでも相談に来てねと優しく声をかけてくださいました。
銀行・信用金庫、一般事務、女性

電話出来ないので会社に面接の日にちなど電話をしてくれた。
団体・連合会・官公庁、一般事務、女性



求人メディアの利用とは正反対に、ハローワークでは細やかなサポートが受けられていることがわかります。面接前に企業の聴覚障害に対する理解度を把握してもらえば、面接で症状を打ち明ける負担も少なくなるのではないでしょうか。

サポートが受けやすくなるにもかかわらず、求人メディアによる応募が多いのは、障害者窓口の利用に不安がある方が多いからかもしれません。
ただ、口コミを見るとハローワークには親切に対応してくれる職員の方がいることもわかります。

サポートを受けながら転職を進めた方が、働きやすい職場が見つかる可能性は高くなるといえるので、迷った際は気軽に相談してみてはいかがでしょう。

【人材紹介会社】

求人サービスとして人材紹介会社を利用する割合も高く、21%という結果になりました。

障がい者でも働きやすく、なお、私の希望する職業を探してくれました。
外食・フード、調理スタッフ、女性

マンションのモデル―ム受付ならば、込み入った対人の仕事はないので大丈夫ということで、紹介していただきました。もちろん電話応対もありませんということでした。
不動産、受付女性

事前情報はエージェントに協力してもらいますが、実際に選考に入った際に履歴書や面接でその障がいをはっきり伝え、企業側のリアクションをよく観察することなどしていき、自分が納得できるかだと思います。
生命保険・損害保険、営業補佐、女性

障害者、中途向けの就職説明会に参加しました。
ソフトウェア・ハードウェア開発、購買業務、男性



割合の順位は3番目という結果ですが、求人メディアよりも聴覚障害の症状について配慮をしてくれる場面が多く見受けられました。

また、障害者向けの就職説明会を紹介してくれるサポートもあるようです。聴覚障害のある方が働きやすい職場を見つけるために有益な情報が得られるかもしれません。このような説明会があったら、ぜひ参加を検討してみてください。

▼障害者雇用枠の求人の探し方について、詳しく紹介しています。 ハローワークだけじゃない、障害者雇用枠の求人はここでも!求人サービスを紹介 https://umbre.jp/articles/186

7.まとめ

聴覚障害(難聴)のある方の転職事情について、勤務経験者の口コミを参考に分析しました。要点は下記の通りです。

■聴覚障害のある方にとって満足度が高い職場の特徴

  • 聞きやすいように配慮してくれる
  • 聞こえやすい環境を整えてくれる
  • コミュニケーションをとるための柔軟に対応してくれる
  • 聴覚障害に配慮した業務が担当できる
  • 休憩や休みがとりやすい
■聴覚障害のある方にとって満足度が低い職場の特徴

  • 聞こえづらさや疲れを理解してもらえない
  • 困難な業務や状況で仕事をしなければいけない
  • 仕事に時間を要することを考慮されない
■聴覚障害のある方におすすめの業界

  • サービス・外食・レジャー系の業界
  • 中でも医療・福祉・介護に関する仕事に就く方が多くみられ、さまざまな疾患や悩みをお持ちの方と接するので、聴覚障害についての理解も得やすい環境といえそうです。

  • 不動産・建設・設備系
  • 給料が比較的高く、バリアフリーに配慮された環境も期待できるようです。しかし残業が多いことや天候に左右される業務内容もあり、体力を要する場合もありそうです。

  • 小売・流通・商社系
  • 顧客の客層によっては、楽しく接客ができるというコメントがみられました。接客業は一見聴覚障害のある方にとっても難しいように思えますが、店舗や客層を選べば、自分のペースで行える職場もあり、やりがいを感じることができそうです。
■聴覚障害のある方におすすめの職種

  • 事務
  • ルーチン業務やパソコン作業が主流であることから、他部署や顧客との複雑なやり取りが発生しにくく、マンツーマンで話を行える環境が整っている点に働きやすさを感じるようです。ただし、電話応対など対応が難しい業務はなるべく避けらえるように、予め相談しておくほうが良いでしょう。

  • 販売・接客・サービス
  • 業界と同様に、職種でも接客の仕事は満足度が高いようです。ただし、周囲の方が聴覚障害を理解してサポートしてくれる環境でないと難しいのも事実です。聴覚障害の方が働きやすいと感じるのは、人間関係の良さが前提となります。店舗であれば、そのお店の雰囲気をあらかじめお客として訪れて確認することもできる場合があります。可能でしたら試してみるのも良いでしょう。

■聴覚障害のある方がよく利用している転職サービス

  • 求人メディア
  • 気軽にインターネットを利用して検索や応募ができるので、一番多くの方が利用していました。ただし転職や就活にあたってのサポートが受けられないのがほとんどです。聴覚障害へのサポートや配慮を必要とする場合は、専用のサービスを利用することも1つの方法です。

  • ハローワーク、人材紹介会社
  • 最近は、障害者専用の窓口もあります。障害の特徴や企業の求める人材を熟知しながら、オススメの仕事を紹介したり、予め企業へ話を通してくれたり、面接に同行するなど手厚いサポートが受けられます。
    客観的なアドバイスを活用して、転職や就職のチャンスを広げるのも良いでしょう。


アンケートを分析すると、聴覚障害のある方の半分が満足できる職場で働いている結果となりました。これから転職や就職を検討されている方も、今よりも働きやすい職場や少しでも理想に近い企業に出会うために、様々な努力をされていると思います。
もし不安に思ったり、悩んだりしたときは、ぜひおなじ境遇の方の体験談を読んでみてください。何かヒントが見つかるかもしれません。

UMBREでは、今回紹介した以外の口コミも確認できます。転職の際に一度サイトを訪れてみてはいかがでしょう。

▼聴覚障害や難聴の方のお仕事に関する体験談はこちらからご覧いただけます。
難聴のある方がお仕事、雇用をされている企業一覧

▼こちらでも聴覚障害がある方の働き方、面接のポイントなどをご紹介しています。
聴覚障害の方に聞く、オススメの仕事と仕事探しのポイント

※この記事は投稿いただいた口コミから生まれています。
皆さんの貴重な体験談は多く方へ届き役立ちます。ぜひ体験したこと、感じたことを教えてください。
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