麻痺のある方が仕事を続けるために 115人から学ぶ工夫とサポート

麻痺のある方が仕事を続けるために 115人から学ぶ工夫とサポート

麻痺のある方の中には、症状とうまく付き合いながら理想の職場で働いている方もいれば、悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

例えば、「通勤に時間がかかる」、「定期的な通院のために休みがほしい」、「パソコンを使う仕事なら能力を発揮できる」など、麻痺があることによる特有の悩みや不安、そして職場への要望はありませんか?

そんなときは、同じように麻痺を抱えながら仕事をしている方々の声に耳を傾けてみるとヒントがみつかるかもしれません。今回のコラムでは115人の麻痺のある方の口コミをもとに

・仕事の悩みとその解決策
・仕事探しの方法

についてのアドバイスを紹介します。
障害者雇用の専門家 中村旬さん(社会福祉士)にもアドバイスをいただいています。

仕事との向き合い方や職場に悩みや不安がある方は、解決のヒントとしていただけますと幸いです。

*この記事は中村旬さんに監修していただきました
中村旬さん

社会福祉士(ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)、介護支援専門員。製薬会社にて勤務したのち社会福祉士の資格を取得、専門学校教職員を経て、協同組合にて通所介護事業所の管理者・生活相談員や福祉用具貸与事業所福祉用具専門相談員、生活困窮者支援員を経験。精神障害のある方を対象にした介護職員初任者研修を運営し、講師も務めた。現在はコミュニティ施設運営、放課後等デイサービス運営、介護職員初任者研修講師等。「月刊デイ」への寄稿や社会福祉士全国大会での発表経験あり。


障害者雇用で転職をお考えの方、無料で転職相談しませんか?
神経系疾患のある方の面接のコツや求人の探し方をはじめ、仕事探し、転職活動自体のアドバイスも実施中。
すぐに転職するかわからない、障害者雇用で働くか迷っている方のご相談も承っていますご相談はこちらから

目次

1.麻痺の特性による仕事の悩みと対策

2.麻痺のある方が職場で直面する悩みとその対策

3.仕事探しの時、麻痺があることをオープンにするかクローズにするか

4.麻痺のある方におすすめの企業・業界・職種

5.求人の見つけ方

6.企業情報の集め方

7.専門家からのアドバイス

8.まとめ

1.麻痺の特性による仕事の悩みと対策

麻痺とは、感覚が鈍くなったり、力が入らなくなったり、じんじんした感覚をおぼえたりすることで、手足を思うように動かせなくなることを言います。多くは神経系の病気が原因ですが、その他の原因があることもあります。また、その症状がある部位や症状の程度には個人差があります。

麻痺の症状は人それぞれですが、仕事の悩みについてはいくつか共通する傾向がありました。麻痺のある方は、仕事をするうえでどのような悩みを抱えているのでしょうか。口コミからは、以下のような悩みの傾向がうかがえました。

【麻痺による仕事上の悩み】
  1. 期限や時間に追われる仕事への対応が難しい
  2. 通勤や仕事中の外出など、移動に困難を伴う
  3. 身体的な負担がある
それでは、それぞれの悩みの具体的な内容とともに、その対策をみていきましょう。

1-1.期限や時間に追われる仕事への対応が難しい

麻痺のある方は、素早い動きをすることが困難であることも多く、期限や時間に追われるような業務への対応が難しくなります。

【仕事上の悩み】

装具や杖を突きながらの歩行が余儀なくされるので、走ることや「テキパキ動く」ことができません。
ソフトウェア・ハードウェア開発、一般事務、女性

左手と左足の麻痺があり、思うように動かすことができません。歩くことはできますが、走ることはできません。左手は荷物を持つことができないため、右手で持ちます。主な仕事はパソコンを使用するもので、右手のみしか使えないので時間がかかります。
医療・福祉・介護、一般事務、女性

車いすでの生活なので身体を使った作業はできません。移動速度ももちろん遅いので、他の人より作業スピードが遅れて困ることがあります。
外食・フード、マーケティング、広報、宣伝、女性

手に障害があるため、タイピングスピードなどひとつひとつの作業に時間がかかります。他の人の4倍の時間がかかっているといわれました。
団体・連合会・官公庁、女性



麻痺のある方にとって、仕事の作業スピードを自分でコントロールすることは難しいですが、工夫している方もいました。

【対策や工夫】

時間に余裕を持って仕事を行い、会社の上司にも理解していただきました。
環境、営業事務、男性

自分に無理なことは素直に人に頼む。人に遅れないように10分早く行動を起こす。
団体・連合会・官公庁、総務

タイムマネジメントをしっかり行い、仕事を積み残さないようにしました。自分がボールを持つ時間を短くすることに努めました。
医療・医薬、営業、営業補佐

パソコンを使い勝手のよい仕様に変更しました。また職場の協力を得て、オフィス内の動線を動きやすいようにしてもらった。
団体・連合会・官公庁、公務員



仕事にかかる時間を逆算して、早めに作業にとりかかる方が多くいました。また、対応が難しい仕事は、周囲から協力を得やすくするため、事前に自分の症状を説明して理解を得ておく方もいました。

パソコンを使う仕事に就いている場合は、ショートカットなどを設定することで作業時間を短縮することができます。最近のパソコンは「アクセシビリティ」の機能が充実しています。ご自身の障害特性にあった機能にカスタマイズすると、使いやすくなるでしょう。

 

1-2.移動が困難

毎日の通勤する場合は、通勤にかかる負担も悩みのひとつです。また、通勤だけでなく、客先への訪問など、移動を伴う業務に就いている方は、移動に伴う悩みも生じることになります。具体的な様子をみていきましょう。

【仕事上の悩み】

階段の上り下りが困難なので、電車通勤は負担が大きいです。
コンピュータ・通信・精密機器、営業事務、女性

下半身不随により歩くことができないため、仕事で移動する時はとても困った。他の人の助けが必須であることが申し訳なく思えて、ストレスがどんどん増えていった。
団体・連合会・官公庁、男性

通勤に電車を利用していましたが、車椅子を利用しているため、悪天候のときは欠勤しなくてはなりませんでした。それゆえ、仕事に対してやる気はあるのですが、その意志とは裏腹にどうしても欠勤しなくてはならないという歯がゆさがありました。
医療・福祉・介護、男性

車いすでの生活なので通勤が大変であることです。基本的に電車通勤ですが、ラッシュ時など電車に乗ることができません。また、天候にも左右されやすく、雨の日は傘をさすことができなくて、ずぶ濡れになってしまいます。
専門店、男性



麻痺のある方は、移動による負担だけでなく、介助を頼むことへの精神的ストレスも抱えていることがうかがえます。また、車いすや松葉づえを利用している方は傘をさすことができず、天候によっては欠勤を余儀なくされる場合もあります。

次は、こうした状況についての対策や工夫をみていきましょう。

【対策や工夫】

移動に時間がかかるため、いつも1時間程度の余裕をもって行動していました。
システムインテグレータ、経理、女性

仕事上、電車での移動や物を運ぶことがあったため、一緒に仕事をする人には事前に自分の障害の概要とできること、できないことを伝えるようにしています。
ソフトウェア・ハードウェア開発システム、エンジニア、女性

雨が降っていても傘をさせないので、タクシーを利用する。必要経費と割り切ってタクシーを使う。出張の際は配偶者に付いてきてもらい、グリーン車を利用する。一緒に仕事する人には今の私の状況を伝える。
マスコミ・広告、出版、デザイナー・クリエイティブ



移動時間に余裕をもって行動することは、比較的取り入れやすい対策かもしれません。仕事中の移動を職場の同僚や上司とともにする場合は、移動の際に時間を要することや介助が必要な場面を事前に伝えておくと、協力が得やすくなるでしょう。

また、障害者手帳を取得している方は、タクシー乗車時に提示することで運賃の割引を受けることができます。特に急ぎの移動時や天候の悪い時は、タクシーの活用も検討するとよいでしょう。

1-3.身体的な負担

麻痺のある方は、麻痺のある部分をカバーするために身体の他の部分に負荷がかかることがあります。また、服用している薬の副作用などにより、身体的な負担が積み重なりやすい傾向もあります。

【仕事上の悩み】

左半身に痺れがあり動かしづらい。薬の副作用により居眠りしやすい。免疫力が弱っていて感染症になりやすい。
ソフトウェア・ハードウェア開発、総務、男性

麻痺があったために長時間の歩行や座ったままの状態、階段の登り降りも負担で辛くなることがありました。
専門店、女性

歩行不可というほど悪くないが、健常者よりもつまずきやすい。ずっと立っていると疲労が溜まりやすい。
チェーンストア・スーパー・コンビニ、女性

右側に温度感覚がなく、仕事でハンダゴテを使用するときに注意が必要。また右半身に感覚がほとんどなく、右靴は視覚でしか確認できない。
メーカー・製造系、技術系、男性



こうした身体的な負担の蓄積について、働いている方々はどのように対処しているのでしょうか。具体的な対策方法をみていきましょう。

【対策や工夫】

疲れると持病が再発しやすくなるので、適度に休憩をとることを上司と約束している。
メーカー・製造系、営業

身体的に困難な作業は、時間や日を短くする等、上司と相談し無理しない程度にしています。片麻痺なので、なるべく健常者と同じような作業を工夫して行っています。どうしてもできない作業は職場の同僚にフォローしてもらっています。
医療・福祉・介護、清掃

疲労骨折が怖いので、疲れたら休憩をとり無理をしないようにしています。特に、骨に負荷を掛けないことが大切です。
化学・素材、一般事務、男性



適度に休息をとり、疲れを溜めないよう心がけている方が多くいました。体調が優れないときは、休息がとりやすいように日ごろから周囲の理解を得ておくことが大切です。

2.麻痺のある方が職場で直面する悩みとその対策

口コミをみると、麻痺のある方は多様な職種や業界で活躍していることがうかがえます。しかし、職場での悩みには、次のような共通点がありました。

【麻痺による職場での悩みとその傾向】
  • 休みがとりづらい
  • 正当な評価を得ることができない
  • 能力を発揮できない、やりがいを感じない
それぞれの具体的な悩みの内容とその対策について、口コミをみていきましょう。

2-1.休みをとりにくい職場とその対策

職場に満足していない理由には、休みがとりづらいことが挙げられました。麻痺のある方は、具体的にどのような不満を感じたのでしょうか。

【休みをとりにくい職場の状況】

病欠や検査などで、露骨に嫌な顔をされたことがある。
コンサルティング・専門サービス系、事務系、男性

あまり休むことができない。客先からも土日関係なく呼び出されることが多々ある。
サービス・外食・レジャー系、営業、男性

残業が多い分、自分の時間がない。シフト制なので連休が少ない。看護研究や委員会の仕事など、本来の業務以外で休日の時間を費やすことも多い。
医療・医薬、医療関係



反対に、休みがとりやすい職場にはどのような特徴があるのでしょうか。

【休みをとりやすい職場の状況】

体調や家庭の事情などで比較的自由に休むことができた。仕事も無理をしないで自分のペースで働けた。
医療・福祉・介護、技術系

週休2日、残業なしで定時帰宅できる。また、出張は行かなくて良いように気を遣ってくれている。
メーカー・製造系、技術系、男性

発症後、有休や欠勤、休職期間がありました。その間も給料を満額くれました(休職期間は本給の7割)。
マスコミ・広告、デザイナー・クリエイティブ



麻痺のある方の中には、定期的に通院する方や、服用している薬の影響で体調が優れない方もいます。そのため、休みがとりにくい職場で働き続けると、疲れやストレスが溜まってしまい、職場への満足度が下がる傾向にあります。

休みがとりにくい職場と、休みがとりやすい職場にはどのような違いがあるのでしょうか。双方のコメントから、違いについて整理しましょう。

休みがとりやすい職場は
  • 病気や障害を理解し、体調への配慮がある
  • 通院の有無や麻痺の症状など、個人の状況を把握している
  • 遅刻や早退など、勤務時間の変更にも柔軟に対応している
  • 残業が少ない
求人情報からはこうした職場の様子はわかりません。面接などで企業の担当者に直接質問をすることや、求人サービスのアドバイザーに確認することで、事前に職場の休みのとりやすさは、ある程度把握できます。 休みの取りやすさは、以下のようなポイントを押さえておくと把握しやすいでしょう。

【休みをとりやすい職場で働くために確認すべきこと】
  • 有給休暇の他に活用可能な休暇制度(通院休暇など)
  • 各種休暇制度を利用した場合の給与の扱い
  • 有給休暇の取得単位(時間単位での活用有無)
  • 人員の充足状況
  • 個人面談など、従業員個人の状況を把握する機会を設けているか
  • 病気や障害のある方の雇用実績
こうした情報を収集するためには、その企業で勤務経験のある方の口コミが載っているサイトを参考にする方法も有効です。アンブレにも多くの口コミが届いていますので、ぜひご覧ください。

▼麻痺のある方の口コミはこちらからご覧いただけます。

2-2. 正当な評価を得ることができない職場とその対策

口コミを見ると、正当な評価が得られないということについて、職場に不満を持っている方が多くいることがわかりました。具体的にどのような点が不満につながったのでしょうか。

【正当な評価を得ることができない職場の状況】

人並みにはやってきたつもりだが、昇進に差がついているような気がする。
団体・連合会・官公庁、総務

体が不自由になったことにより、昇級や昇格が不可能となった。
一般事務

年功序列がある程度は残っているので、実力はあるのにと悔しい思いをすることもある。
医療・医薬、営業、営業補佐

どんなに頑張っても、パートのままです。社員にはしてもらえません。
リース・クレジット・信販、営業、営業補佐、女性



それでは反対に、正当な評価を得ることができる職場とはどのような状況なのでしょうか。

【正当な評価を得ることができる職場の状況】

身体障害があっても仕事を任せてくれて、健常者と同じ扱いで働かせてくれたこと。
環境、営業事務、男性

時給がよかった。自分のペースで仕事ができたので、障害のためにほかの人に迷惑をかける心配がなかった。
専門店、男性

職場の人々に恵まれ、障害者だという意識を持たず、責任のある仕事を多数任せていただきました。
システムインテグレータ、経理、女性



正当な評価が得られる職場と、そうではない職場の違いについて、口コミをもとに整理すると次のようなことがわかります。

正当な評価が得られる職場は

  • 病気や障害を特別視しない
  • 報酬や待遇の条件に差をつけない
  • 昇進、昇格、昇給、キャリアアップの機会がある
  • 従業員一人ひとりの仕事のキャパシティを把握している
  • 責任のある仕事を任せてくれる
このような正当な評価が得られる職場を探すにあたっては、次のような点を確認しておくとよいでしょう。

【正当な評価が得られる職場で働くために確認すべきこと】
  • 病気や障害のある従業員への理解を促進しているかどうか
  • 昇進、昇格、昇給などの基準が明らかにされているかどうか
  • 資格取得費の補助の支給や研修への参加機会の確保など、自己研鑽を奨励する仕組みがあるかどうか
  • マネジメントを行うポジションに就いている従業員の属性(年齢や性別など)に偏りがないかどうか
障害や病気への理解があるからこそ、職場として麻痺のある方に合理的配慮を実施することができます。病気や障害への理解がない職場では、合理的配慮の必要性も理解できません。従業員の個々の事情に配慮せず、一律の評価基準を適用することが「平等」であると考えている場合があります。

麻痺のある方にとって、遂行が難しい業務があることは事実です。合理的配慮を理解していない職場は、できない業務があることをマイナスに評価する可能性があります。

麻痺のある方が正当な評価を得ることができる職場を見つけるためには、その職場が病気や障害を理解する姿勢を持っているかどうかを把握することが重要なポイントです。

 

2-3. 能力が発揮できない職場とその対策

口コミには、自分の能力を職場で発揮できないことへの不満も挙げられていました。能力が発揮できない状況とは、具体的にどのようなものでしょうか。

【能力を発揮できない、やりがいを感じない職場の状況】


病気があるので、あまり責任のある立場に立てない。最近ではデスクワークがほとんどになってしまい、働き甲斐がない。
メーカー・製造系、営業

設備面では十分に配慮してもらっているが、業務内容が自分の能力に対し容易すぎる。
化学・素材、技術系

できればプログラミングの技術を活かして、仕事に役立てたいが、案件が少ない。
ビジネスコンサルティング、総務、男性



仕事で自分の能力を活かすことができなければ、やりがいを見つけることが難しくなり、仕事へのモチベーションが下がってしまいます。反対に、能力が発揮でき、やりがいを感じる職場についてもみていきましょう。

【能力が発揮でき、やりがいを感じる職場の状況】

土木の仕事でしたので、障害者はほとんどいないのが普通でした。始めは作業員も付き合い方に迷っていたようでしたが、次第に私が仕事を知っていることで、作業員も普通に接するようになり、同じチームのようになりました。障害者に対する理解も増したのだと思います。
建築・建設・設計・土木、管理業務、男性

障害を前提として働きやすい環境を整える風土が職場にあるため、自分の努力次第で道が開けていく。自分の後に続く者のためにも、周囲の期待に応え、実績を作ることが自分の役割と考え、日々の業務に取り組んでいる。
団体・連合会・官公庁、公務員



麻痺のある方は、麻痺のある部位に負担がかからない業務内容であれば、その能力や経験、知識を活かした仕事をすることが可能です。そのため、職場の過度な配慮により本来の能力を発揮できない状況に置かれてしまうと、満足度は下がってしまいます。

反対に、満足度を高めるためには、自分の頑張りが認められ、自分の役割に希望を持てるようになることが必要です。また、自分の知識を深められ、その知識や経験が評価につながるという実感があれば、さらに満足度は高まるでしょう。

能力を発揮できてやりがいを感じる職場の状況と、能力を発揮できずやりがいを感じない職場の状況の双方に寄せられたコメントを比較し、ポイントを整理すると、以下のようなことがわかります。

  能力を発揮でき、やりがいを感じる職場は
  • 個人の仕事を認め、対等に接する
  • 個人の役割が明確で、将来の展望が見える
  • 知識や経験を活かした仕事ができる
こうした点を踏まえたうえで、能力が発揮でき、やりがいを感じる職場かどうかを見極めるために、次のことを確認するとよいでしょう。

【能力を発揮でき、やりがいを感じる職場で働くためにすべきこと】
  • 自分の興味ある分野を明確にする
  • 個人の能力を発揮させるため、職場として積極的に業務改善や就労環境の改善に取り組んでいるか確認する
  • 年齢や性別に関わらず仕事を任せてくれる、オープンな風土があるか確認する
  • 研修やセミナーの参加機会を設けるなど、スキルアップの機会があるか確認する

知識や経験を活かした仕事を得るために、まずは自分の興味のある分野について掘り下げてみましょう。職場の風土については、働き始めるまで確認が難しいかもしれませんが、職場見学を通して、雰囲気を感じ取ることもできます。そして、スキルアップの機会については、面接などで事前に尋ねることをおすすめします。

また、従業員が能力を発揮しやすい職場では、従業員の要望を受けてバリアフリーを推進したり、柔軟な勤務スケジュールを取り入れたりするなどの業務改善に取り組んでいるところもあります。

3.仕事探しの時、麻痺があることをオープンにするかクローズにするか

麻痺のある方の中には、障害をオープンにするか、クローズにするかということで悩む方もいるのではないでしょうか?

それは、伝えるか伝えないかで、働き方が大きく異なるからです。

では、オープン就労した方(障害者雇用枠で働いている方)と、クローズ就労した方(一般雇用枠で働いている方)とでは、何が違うのでしょうか?

3-1. オープン就労した方の口コミ

まずは、麻痺があることを職場に伝えて働いている方のコメントです。オープン就労でよかったと感じること、反対に悩んだことはどのようなことでしょうか?

【オープン就労の良い点】

私自身が本当に働けるかどうかが不安だったので、上司と頻繁に面談し、問題点を話し合いました。仕事にも自信がつき、上司の推薦で定時職員になりました。障害を公表して、周りのサポートを感じられているので、継続して働くことができました。
医療・福祉・介護、清掃

できることとできないこと、配慮が必要なことを隠さず伝えること。その上でアピールすべきです。そうすれば、勤務し始めても相談しやすく、目標を設定しやすくなります。
運輸・交通、接客

自分のできる範囲で頑張ればいいと思う。障害があることを知った上で働かせてもらっているので、へりくだって考える必要もないし、マイナス思考になる必要もない。
物流・倉庫、一般事務、男性



【オープン就労の悩み】

持病があることを上司に伝えたところ、結局、辞職を勧告されてしまいました。気を付けていても、障害があることでの差別は解消されないと、あきらめています。
不動産・建設・設備系、営業事務、女性

仕事量に関しては、障害の有無は関係ありませんが、配慮もほぼありません。障害に関する差別的な扱いはないが、配慮もないのが現状。身体の不調に対する配慮を訴えても、なかなか改善されない。
医療・医薬、医療関係

配慮に欠けている。自分の病状を知っているのが、上司とその他一部の人しかおらず、情報が共有されていなかった。
サービス・外食・レジャー系、営業、営業補佐、男性



オープン就労の良い点は、雇用側の合意が確認できること、合理的配慮が受けやすいことです。就労開始前に、自らの麻痺の症状について相談しておくことで、実際に仕事を開始してからの困りごとも相談しやすくなります。

一方、オープン就労の悩みは、必ずしも職場の理解を得られるわけではなく、配慮を求めても受け入れられない場合があることです。麻痺のある方は、移動や重いものを持つ時など、周囲のサポートが必要な場面もあります。そのため、周囲のサポートの有無が、職場の満足度に大きく影響します。

職場に病気や障害を理解する風土があるかどうか、合理的配慮が受けられる職場であるかどうかを確認するためにも、就労開始前に病気や障害について相談しておくことが重要です。

 
【オープン就労のまとめ】

オープン就労の良い点は、周囲のサポートを受けやすくなることです。面接時など、雇用前から麻痺の症状などについて相談しておくことで、雇用側とのミスマッチを避けることにもつながります。

また、就労開始前に職場の理解を得ておけば、就労後の困りごとも相談しやすくなります。具体的な困りごとは、実際に働いて感じることもあります。困ったときは、周囲の協力を得ながら働けるように、自分の麻痺の症状は、就労開始前に相談しておくとよいでしょう。

3-2. クローズ就労した方の口コミ

麻痺の症状は、身体や触覚、聴覚などの感覚器官に現れるという特性上、クローズ就労することは難しいかもしれません。口コミにおいても、一般雇用、障害者雇用に関わらず、自らの麻痺の症状について職場に伝えている方が大半を占めていました。
しかし一方で、ごく少数ながら、麻痺のことを職場に伝えずに就労した方もいらっしゃいましたので、その状況を紹介します。

自分が障害者というのは伏せてしまいました。最初はよかったのですが、歳とともに麻痺は酷くなり、職場に迷惑をかけたくないので辞めました。
チェーンストア・スーパー・コンビニ、男性



麻痺の症状が軽度であれば、クローズ就労が可能かもしれません。クローズ就労は、自身の麻痺の症状やお願いしたい配慮事項を、企業とすり合わせる必要がないため、面接がスムーズに進むこともあります。

しかし、麻痺の症状はこの先もずっと同じであるとは限りません。加齢による身体の衰えや症状の悪化などにより、対応可能な業務が変化する可能性を考慮しておくことも必要です。

 
【クローズ就労のまとめ】

クローズ就労は、自身の麻痺の症状が進行しても相談しづらいかもしれません。通院のための休暇をとることも難しく、無理をすることで身体への負担が大きくなることも考えられます。

職場としても、麻痺の症状について知らされていなければ、配慮をすることもできません。麻痺があることを知らないために、適さない業務を任され、物を落としたり怪我をしたりという事故につながる可能性もあります。自身の体調のためにも、職場の安全確保のためにも、麻痺の症状については就労前に職場に相談しておくことが望ましいでしょう。

4.麻痺のある方におすすめの企業・業界・職種

ここでは、転職や就活を考えている麻痺のある方に、おすすめの企業を紹介します。 「本当に理想の職場や麻痺のことを理解してくれる会社なんてあるの?」と疑問をお持ちの方もいると思います。 アンブレには、様々な企業についての口コミが多く寄せられます。そのなかには、麻痺の症状とうまく付き合い、理想の職場で働いている方がたくさんいらっしゃいます。口コミの中から、評価の高いものをピックアップしてみました。

4-1. おすすめの会社、企業名

・株式会社石川製作所
客先満足度が重点だが、自己尊重を考えてくれる。ノー残業日を水曜日に設定していて、定時に必ず帰宅している。健康などを総合したリスク管理を行っている。自己能力向上のため、積極的に講習会の参加と展示会の見学などを行っている。
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
→口コミの続きはこちらへ

・株式会社北菱モールド
製造現場のある会社ですが、生産ラインのスピードに追い掛け回されることなく、自分のペースで動けるので、働きやすい職場だと思います。重量物がたくさんありますが、人力で運搬するのではなく、主にクレーンを使うので、あまり気になりません。
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★
→口コミの続きはこちらへ

・株式会社スタッフサービス・ビジネスサポート
重い障害があり、なかなか仕事が見つからない方にぴったりだと思います。在宅業務なので、一番いい環境で働くことができます。 基本的なパソコン操作ができれば入社できます。 給料は安いですが、残業もなく人間関係の悩みもありません。
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★★
→口コミの続きはこちらへ

・株式会社三井住友銀行
お客様のお金を扱うので営業中はピリピリしているところはありました。しかし、店が閉まれば皆仲良く、特別扱いをしてほしくない私の意向を尊重してくれました。また、同じ内容と量の仕事与えてくれるますが、配慮は忘れず、上司がなんでも相談しやすく話しやすい雰囲気を作り出してくれました。できないことは、みんなが自然に助けてくれる心地よい職場です。
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★★
→口コミの続きはこちらへ

・国立大学法人東京大学
職場に障害者が多く、それぞれの障害に合わせた仕事のプランを作ることができます。私は昼の休憩時間を長くすることでリハビリの通院時間を作ってもらうことができました。また、大学の研究室という環境もあり、休暇の取得についての心配はありませんでした。
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★
→口コミの続きはこちらへ

・スターバックスコーヒージャパン株式会社
私自身の仕事への思いなどをしっかり聞いてもらえました。そして、できることとできないことの線引きをしてくれました。常に座ったままできる仕事を割り振ってくれたり、やむを得ず移動を伴うときには作業を変わってもらえたり、車いすを押してもらえたりと気遣いや配慮をしてもらえました。おかげで、他の方と変わらない心持ちで仕事をしていくことができました。
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★★
→口コミの続きはこちらへ

・TIS株式会社
子会社があり、私よりも重度な障害を持った人々が働いています。そのため、好奇の目で見られることもなく、健常者と同じように働くことができました。また、仕事ができれば、どんどんあらゆる仕事をさせてくれるため、スキルアップにもつながります。セミナーや講習会にも参加させてもらえ、社会人としてあらゆる知識を身に付けることができました。
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
→口コミの続きはこちらへ

・テレビ大阪株式会社
直属上司や人事部は、無理をしないように声を掛けてくれます。総務部は「何か困ってることがあれば、お金を掛けてでも改善します」と言ってくれます。月に1回の脳の定期検診のときは休ませてくれますし、会長や社長も何かと気に掛けてくれます。
満足度:★★★★
配慮 :★★★★★
→口コミの続きはこちらへ

4-2. おすすめの業界・職種

では次に、麻痺のある方におすすめの業界や職種について考えてみます。しかし、業界や職種はさまざまあります。麻痺の症状は人により異なるため、自分に合った業界や職種を見つけるのは簡単ではありません。
そこで一つの手がかりとして、アンブレに届いた麻痺のある方からの口コミ約100件の統計をとり、傾向をみてみました。

まずは、業界です。

麻痺のある方が働いている業界グラフ

麻痺のある方の業界別満足度グラフ


統計の結果を見ると、多くの方が勤めている業界は「メーカー・製造系」「サービス・外食・レジャー系」でしたが、満足度が最も高い業界は「その他」「IT・通信・インターネット系」でした。
その他には、分類できなかった少数回答の業界や公務員などが含まれています。

口コミの回答からみると、満足度は、業界の特徴というよりも職場環境が大きく関わっていることがわかりました。
・余裕を持った仕事の配分がなされている(期限に追われることが少ない)
・身体的に負荷がかからないよう、移動のサポートなど周囲の協力を得やすい雰囲気がある

▼さらに詳しいコメントや分析結果は以下をご参照ください。
転職・麻痺のある方に向いている仕事は?115人のアンケート結果から解説

次は、職種です。

麻痺のある方が働いている職種グラフ

麻痺の方の職種別満足度グラフ


結果を見ると、多くの方が勤めている職種は「事務」「人事・経理・総務・企画」でしたが、満足度が高い職種は「事務」「エンジニア・技術職」という結果になりました。「事務」は人気も満足度も高い職種のようです。

皆さんの予想は、どの業界と職種でしたか?
業界と職種に関する詳しい調査結果は以下のコラムでご覧いただけます。ぜひ参考にしてみてください。
転職・麻痺のある方に向いている仕事は?115人のアンケート結果から解説

5.求人の見つけ方

5-1. 働き方によって選べる採用枠「一般枠」と「障害者雇用枠」

求人には一般枠(クローズ就労)と障害者雇用枠(オープン就労)があり、障害者手帳を取得している方は、どちらにも応募することができます。

先にも述べたように、麻痺があることをオープンにするか、クローズにするかといった悩みは応募できる雇用形態にも影響してきます。
少し重複する部分もありますが、もう一度簡単に説明します。

「一般枠」は、障害があることを伝えずに働くことです(=クローズ就労)。募集している職種が多く、昇進や昇給などの機会もあります。しかし、麻痺があることへの理解は得られにくく、周囲のサポートを受けることは難しいのが現状です。

「障害者雇用枠」は、障害があることを伝えて働くことです(=オープン就労)。障害について理解している職場ということが前提なため、周囲のサポートが受けやすくなるなど、働きやすさにつながることも考えられます。

▼障害者枠(オープン就労)や一般枠(クローズ就労)についてはこちらでもご紹介しています。
障害者枠(オープン就労)か一般枠(クローズ就労)か?メリットとデメリットを解説

5-2. 求人の見つけ方

①ハローワーク

障害のある方専用の窓口があります。就職に関する相談やアドバイスを受けることができます。障害のある方への求人情報も多く扱っています。

ハローワークに通っていた際、先方の担当者が親身になって会社をさがしてくれたのが印象的です。
マスコミ・広告、営業、男性

ハローワークには障害者の就職サポート体制がしっかりしているので、信頼できます。利用して思ったことは「遠慮しないで自分の気持ちを話すこと」です。そうすれば理想に近い職場がみつかると思います。
外食・フード、マーケティング・広報・宣伝、女性



▼参考: 厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」

②人材紹介会社(エージェント)

麻痺などの障害を抱えることで、働くことに不安を覚えている方の就活や転職を支援する専用の人材紹介会社(エージェント)をご存知でしょうか?

履歴書の書き方や面接の練習、向いている仕事の相談やおすすめの企業の紹介、事前見学の調整、入社後のケアなど、全面的なサポートなどを行っています。

ハローワークには未公開の求人情報もあります。また、各企業のことをよく把握しているので、ホームページや求人票では得られない職場環境などの情報も知ることができます。

ひとりではじめる就職活動との違いは、専門のアドバイスやサポート、自分に合った企業の紹介を受けられることです。そのため、担当者と一緒に不安を取り除きながら就職活動を進めていくことができます。

口コミにも、専用の人材紹介会社を活用したという声が多くありますので紹介します。

仮に障害があっても何の問題もなく働けます。その状況を理解してくれる会社というのが絶対に存在するので、体験談や口コミを見ながら就職サービスのスタッフをいい意味で利用し、妥協せずに根気よく仕事を探していくことだと思います。
ソフトウェア・ハードウェア開発、一般事務、女性

人材紹介会社の担当者にアドバイスをいただいた。
専門商社、エンジニア・技術職、男性



しかし、人材紹介会社も一つの企業です。紹介できる企業の得意分野や担当者の性格はさまざまです。自分の希望や意見が伝えやすく、理解してもらえる人材紹介会社かどうかをチェックしてみましょう。

次は、気になる企業の情報収集の方法について紹介していきます。

▼障害者雇用の求人サービスについてはこちらでもご紹介しています。
ハローワークだけじゃない、障害者雇用枠の求人はここでも!求人サービスを紹介

6.企業情報の集め方

会社紹介の採用ページや企業サイトだけでは、あなたが実際に働くことになるであろう職場の雰囲気は掴めないかもしれません。できるだけ自分の目で確かめてみましょう。

6-1. 事前に見学して企業の雰囲気を確認

企業によっては職場を事前に見学させてくれるところもありますし、人材紹介会社に登録している方は、アドバイザーを通して見学をお願いすることもできます。まずは確認してみるといいでしょう。口コミにも、事前に見学を行うことで、面接だけではわからない職場の雰囲気がわかるとの意見が多くみられます。

会社の雰囲気を知っておくためにも、会社見学ができるならした方がよい。障害の内容を理解してもらうのは難しいが、担当者にできるだけ、これはできる、できないなど具体的に伝える。面接の際には十分に仕事内容についても相談する必要がある。
ビジネスコンサルティング、総務、男性

会社見学をして、設備や仕事内容を見て、これから働けるかどうかを見極めること。自分の障害名を伝えるとともに、どんなことができるかできないかを明確に伝えておく。 そうすることで仕事の割り振りを考えてくれる。
メーカー・製造系、営業事務、男性

職場の動線やトイレは見ておいた方がよい。通勤のルートも見て、できれば実際に一度は通ってみるのがよい。
マスコミ・広告、デザイナー・クリエイティブ



6-2. 面接はその企業をよく知るチャンス

面接は、企業側があなたを審査するだけの場ではありません。大事なのは、あなたが企業に求めるものと、企業があなたに求めるものがマッチングすること。

不安や疑問がある場合は、面接時に確認しましょう。具体的に聞いておきたい内容については、以下の経験者の声を参考にしてみてください。

面接時に、自分の障害について正直に話しておいた方がいいと思います。 入社してからじゃないとわからないこともありますが、最低限配慮してほしいことを言っておかないと苦労すると思います。
ビジネスコンサルティング、一般事務

自分の病気の特徴、障害の悪化する可能性、できること、できないこと、将来できなくなるであろうことを明確に伝えておく。主治医の診断書を提出して、無理な労働はないようにして、突然の病気再発でも休暇を無理なくとれるか確認しておく。
メーカー・製造系、営業、営業補佐

人間関係はもちろんのこと、障害がある場合は特に職場環境(バリアフリーであるか、障害に対する理解や配慮があるかなど)、有休消化率、年休日数、部署による残業のばらつきの有無、本来の業務以外の仕事の有無など、その職場独自の行事なども含め、あらかじめ把握しておくことが大事。
医療・医薬



面接で緊張しすぎて質問できなかったということがないように、あらかじめ知りたいことをまとめておきましょう。あらかじめ準備をしておくだけで心に余裕ができ、面接にものぞみやすくなります。

働きはじめてから大変な思いをすることは、大きな負担になってしまいます。心地よい職場環境で、病気と上手に向き合っていくためにも、面接時での質問の機会は大事にしましょう。

7.専門家からのアドバイス

仕事探しを考えている麻痺のある方へ、障害者雇用の専門家 中村旬さんからのアドバイスを紹介します。

■働くことを迷っている麻痺のある方へ

後天的な麻痺の状況であるなら、職場環境に対して合理的配慮を求めることができ、継続就労が可能な企業もありますので相談してみましょう。

しかし、その企業や職場がご自身の病状に対して理解があるかどうか不安になり、働くことに迷われている方もいると思います。
ご自身の身体状況や症状をオープンにすることは大切です。障害者就労支援に積極的に取り組まれている企業を見つけることが、就労への近道だと思います。

■これから働く麻痺のある方へ

私の経験では、後天的(事故)な両下肢麻痺の方がホームヘルパー2級(現介護職員初任者研修)を受講し、資格を取得した実例があります。
ご本人の障害特性を活かし、移乗方法などを逆に実習先の施設職員に享受する、という場面がありました。

麻痺があっても、創意工夫次第で就労は十分に可能です。就労への意欲を大切にし、ご自身に何ができるのか、どのような業務が難しいのかを明らかにし、それを企業側や採用担当者にしっかりと伝えて理解を求め、実りある就労が実現できることを切に願います。

8.まとめ

これまでの内容についてまとめます。

■麻痺のある方が仕事を続けるために大切なこととは?

まず、自分が仕事でどのようなことに悩んでいるのかを考えてみましょう。そしてその悩みは、工夫や対策を講じることで和らげることができる場合があります。悩みや対策は、同じ境遇の方の体験を参考にすると考えをまとめやすくなりますので、口コミをもとに傾向をまとめました。ぜひご活用ください。

■麻痺のある方の仕事の悩みと対策とは?

・麻痺のある方は、身体を素早く動かす動作が難しく、時間に追われる仕事への対応に悩みを抱えていることがわかりました。
悩みへの対策としては、早めに仕事にとりかかり、時間に余裕を持たせることや、業務の効率化を図るために、パソコンなど仕事で使う機器の設定を調整して作業効率を上げること、などの方法を取り入れてみましょう。

・特に通勤に公共交通機関を使用する場合、移動による身体的負担を感じている方が多いことがわかりました。また、公共交通機関内で介助を依頼するたびに精神的ストレスがあるというコメントも寄せられていました。
対応としては、同行者がいる場合は麻痺の症状をあらかじめ伝えておくほか、公共交通機関を利用する際は時間に十分な余裕を持つこと、天候によっては遅刻する場合もある旨をあらかじめ職場に伝えておくことを心がけると良いでしょう。

・通院をしながら仕事をしている方もいるため、麻痺のある方にとって休みがとりやすい職場であることはとても重要です。休みのとりやすい職場の特徴としては、通院の有無や麻痺の症状など個人の状況を把握したうえで勤務時間の変更などに柔軟に対応している、という点が挙げられます。
転職活動の際は、企業の各種休暇制度の活用状況について確認することも大切です。また、実際に勤務した方の口コミが閲覧できるサイトなどで、情報収集をすることも有効です。

・麻痺のある方は、麻痺のある部分に負担をかけない業務内容であれば、幅広い分野で活躍できます。そのため、正当な評価が得られる職場であること、能力が発揮できてやりがいを感じる職場であることも必要です。 自身の興味のある分野について調べることや、知識を得ておくことも転職活動の大切なポイントになります。転職活動をしていて気になる企業を見つけた際には、資格取得費への補助の有無など、自己研鑽を認める風土のある企業かどうかを確認しておくのもよいでしょう。

・転職や就職活動を行う上で、麻痺があることをオープンにするか、クローズにするかも多くの方が悩むポイントです。まずは自分の症状を第一に考え、どのようなスタイルで働きたいのかを考えましょう。通院や急な体調不良による休みを必要とする場合は、配慮やサポートを受けやすいオープン就労=障害者雇用も検討するとよいでしょう。

・麻痺の症状と付き合いながら、理想の仕事や職場で働いている方も多くいます。麻痺がある方におすすめの企業や業界、職種には傾向がみられますので、同じような障害のある方の意見も参考にしてみましょう。


これまでに紹介した口コミは、ほんの一部です。症状も人それぞれ、企業の対応もそれぞれ異なります。
まずは自分の症状や、できること、できないことについてまとめてみましょう。そして、自分に向いている職場を自分のペースで見つけてください。

そして、気になる企業の様子やサポート状況は、事前に自分の目で確かめることをおすすめします。求人票ではわからない企業の様子を知るためにも、ハローワークの専門スタッフに相談したり、人材紹介の専門アドバイザーと一緒に就職活動を進めたりするのも有効です。

さまざまな企業の中で、あなたが幸せに働ける環境に出会えることを、私たちは心から願っています。

※この記事は投稿いただいた口コミから生まれています。
皆さんの貴重な体験談は多く方へ届き、役立ちます。ぜひ体験したこと、感じたことを教えてください。
口コミの投稿はこちら
↓↓↓
口コミの投稿


障害者雇用で転職をお考えの方、無料で転職相談しませんか?
神経系疾患のある方の面接のコツや求人の探し方をはじめ、仕事探し、転職活動自体のアドバイスも実施中。
すぐに転職するかわからない、障害者雇用で働くか迷っている方のご相談も承っていますご相談はこちらから

監修者

製薬会社にて勤務したのち社会福祉士、介護支援専門員の資格を取得。専門学校教職員を経て、協同組合にて通所介護事業所の管理者・生活相談員や福祉用具貸与事業所福祉用具専門相談員、生活困窮者支援員を経験。精神障害のある方を対象にした介護職員初任者研修を運営し、講師も務めた。現在はコミュニティ施設運営、放課後等デイサービス運営、介護職員初任者研修講師等を行っている。「月刊デイ」への寄稿や社会福祉士全国大会での発表経験もあり。

保有資格

著者

より望ましい職業の選択や能力開発における相談・助言を専門とする国家資格「キャリアコンサルタント」のほか、米国CCE, Inc.認定の「GCDF-Japanキャリアカウンセラー」の資格を取得。福祉・医療介護分野の研究などにも従事しています。

新着口コミを毎週火曜に定期配信中
働きやすい環境を見つけるきっかけに


新着口コミを受け取る

関連するコラム

神経系疾患に関する記事一覧就職・転職のヒントに関する記事一覧