アスペルガー症候群の方の仕事の悩みと対策 136人の働き方とは

アスペルガー症候群の方の仕事の悩みと対策 136人の働き方とは

アスペルガー症候群のある方の中には、特性とうまく付き合いながら理想の職場で働いている方もいれば、悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

例えば、このような仕事での悩みはありませんか?

・周囲とのコミュニケーションがうまくとれない。
・騒がしい職場は落ち着いて仕事ができない。
・上司からの指示があいまいでわからない。

そんなときは、同じ境遇の方々の声に耳を傾けてみませんか? このコラムは、アスペルガー症候群のある方136人の口コミをもとに、悩みとその解決策や仕事探しの方法を紹介します。
発達障害の専門家 松好伸一先生(石巻専修大学人間学部人間教育学科 特命教授)にもアドバイスをいただきました。

仕事の悩みを抱えている方や、就職や転職を考えている方は、ぜひご覧ください。

*この記事は松好伸一先生に監修していただきました
松好伸一先生

仙台白百合女子大学 人間学部 人間発達学科 講師。保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。日本発達支援学会(監事)。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数。


現在、アスペルガー症候群については以下のように自閉スペクトラム症と表現されています。

これまで、自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていましたが、2013年のアメリカ精神医学会(APA)の診断基準DSM-5の発表以降、自閉スペクトラム症(ASD;Autism Spectrum Disorder)としてまとめて表現するようになりました。

▼参考:e-ヘルスネット ASD(自閉症スペクトラム症、アスペルガー症候群)について

ASDの特性は広範囲であるため、このコラムでは、ASDの中でもアスペルガー症候群の特性がある方の口コミに焦点を絞り、仕事の悩みとその解決策を紹介していきます。


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目次

1.アスペルガー症候群とは

2.アスペルガー症候群の特性による仕事の悩みと対策

3.アスペルガー症候群の方が職場で抱える悩みとその対策

4.転職や就活ではアスペルガー症候群をオープンにするかクローズにするか

5.アスペルガー症候群の方におすすめの企業・業界・職種

6.求人の見つけ方

7.企業情報の集め方

8.専門家からのアドバイス

9.まとめ

1.アスペルガー症候群とは

    アスペルガー症候群は、広い意味での「自閉症」のひとつのタイプです。最初に症例を報告したハンス・アスペルガーというオーストリアの小児科医の名前にちなんでつけられました。

    アスペルガー症候群は、自閉症の3つの特徴のうち

    ・対人関係の障害
    ・パターン化した興味や活動

    の2つの特徴を有し、コミュニケーションの目立った障害がないとされている障害です。言葉の発達の遅れがないというところが自閉症と違うところです。知的発達に遅れのある人はほとんどいません。

    アスペルガー症候群の人々には、「表情や身振り、声の抑揚、姿勢などが独特」「親しい友人関係を築けない」「慣習的な暗黙のルールが分からない」「会話で、冗談や比喩・皮肉が分からない」「興味の対象が独特で変わっている(特殊な物の収集癖があるなど)」といった特徴があります。このほかに身体の使い方がぎこちなく「不器用」な場合が多くみられます。

参考:厚生労働省「e-ヘルスネット」
※上記URLは「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について」に移行しますが、上記の記載内容は、移行する前に同URLで掲載していた内容(2020年10月13日時点に書かれていた内容)を参考にしています。

アスペルガー症候群による特性はさまざまです。
では実際にどのような悩みを感じているのか、そして悩みを解決するためにどんな工夫をしているのか、口コミをヒントにみていきましょう。

2.アスペルガー症候群の特性による仕事の悩みと対策

アスペルガー症候群のある方は、仕事をする際にどのような悩みを抱えているのでしょうか。口コミからは、以下のような悩みを抱えやすいことがわかりました。

【アスペルガー症候群による仕事上の悩み】
  • コミュニケーションが苦手
  • こだわりが強く、臨機応変な対応が難しい
  • 感覚過敏がある
それぞれの悩みの具体的な様子と、その対策を照らし合わせながらみていきましょう。

2-1.コミュニケーションに関する悩みとその対策

アスペルガー症候群のある方は、コミュニケーションをとることが苦手です。それは、以下のような特性があるからです。

  • あいまいな指示を汲み取ることができない
  • 言葉を字義通りに受け取ってしまう

仕事の指示を受けるとき、わからないことを質問するとき、何気ない会話をしているとき、接客などで顧客対応をするとき、電話をするとき、どれもコミュニケーションを伴います。仕事とコミュニケーションは切り離すことができません。
口コミにも、コミュニケーションに関する悩みが多く届いています。

【仕事上の悩み】

対人関係で、比喩的な言い回し、いわゆるオブラートに包んだ表現が全く理解できない。人の目を見ると非常に緊張する。
チェーンストア・スーパー・コンビニ、接客、女性

あいまいな指示が理解できませんでした。
専門店、女性

コミュニケーションをとることが苦手で、お客様との会話を続けられなかった。
百貨店・量販店、女性

言葉の裏表や含みを理解できず、字義通りに受け取ってしまいます。自分へ皮肉としてぶつけてきたとしても、私には理解できないため、誉め言葉である場合にはそのまま喜んでしまい、それが相手の更なるいら立ちにつながっていたと思います。
教育、男性



あいまいな指示がわからず、誤って認識してしまうことや、言葉をそのまま受け取ることで、会話がうまくいかない、誤解を招くなどの悩みがあります。

どちらの悩みも意思疎通の齟齬によるものですが、アスペルガー症候群の特性によるものであることを理解されない場合は、職場の人間関係の悪化や顧客とのトラブルにもつながる可能性があります。こうした悩みを抱える方は、どのような工夫をしているのでしょうか。

【対策と工夫】

徹底して理解するまで人に聞く。納得して理解できるまで何回も恥ずかしがらずに聞くこと。重要なことについては、何回も同じ話を聞き、メモを必ず取ること。という内容を実践しております。それによって何回も怒られることはありますが、仕事を失敗するよりはマシであると言い聞かせております。
メーカー・製造系、軽作業、男性

仕事を教えてもらうとき、説明で理解できないときは見本を見せてもらう。
総合電機、軽作業、男性

あいまいな指示には、「何を」「いつまでに」「どのような手順で実施すれば良いか」を細かく質問してメモを取り、ノート(タスクリスト)に書き直ししていました。作業が終わり報告をしたら、レ点チェックして完了。完了しても、次回同じような作業があったときのために、ノートは取っておいていました。
専門店、女性

言葉を字義通りに受け取る点については、反射的に返事をする前に、意識して一瞬の間を置き、今の言葉はそのまま受け取ってよいかどうかのブレーキをかけました。
教育、男性



アスペルガー症候群のある方は、口頭での指示ではなく図形などを用いて指示されることで認識することができます。こうした特性から、聞いたことはメモを取り、視覚情報として記録すると良いでしょう。

メモの取り方にも少し工夫をしてみましょう。口コミにもあったように「何を」「いつまでに」「どのような手順で実施すれば良いか」をあらかじめメモに書き、その答えを聞いて記入しておくのです。そうすることで、必要最低限の情報を知る事ができます。 また、メモを取ることは、手順を明確にし、目の前の仕事に集中しやすくする効果も期待できます。複数のことを同時に処理することが苦手な方にも有効です。

さらに、反射的な返事をする前に、意識して間をとっている方もいます。会話で誤解を与えないために、人の話をよく聞き、一度自分で飲み込んでから応えることを心がけてみてはいかがでしょうか。

2-2.こだわりが強く、臨機応変な対応が難しいことに関する悩みとその対策

アスペルガー症候群の方は、見通しが立っている仕事や決められた手順に沿って行う仕事などを納得した上で行えば、スムーズに進めることができます。
一方、臨機応変な対応や複数の業務を同時にこなす仕事は苦手な傾向にあります。
具体的な様子を見てみましょう。

【仕事上の悩み】

アスペルガーの特徴である急な予定の変更が苦手なことで、自分が仕事している際に他の仕事を頼まれると、計画を立て直すまでに時間がかかってしまい、対応が遅れてしまうことがある。
医療・福祉・介護、女性

ある特定のことに対してのこだわりの強さやプライドが高く、柔軟性がありません。仕事中も複数の業務を円滑に進めることができず、ミスを頻発していた。
医療・福祉・介護、医療関係、男性

やる作業がいっぺんに重なってしまうと、なにが一番重要かという優先順位がうまくつけられなくなってしまうところです。なにかの作業中にかかってくる電話など、うまく対応するのに時間がかかりました。また、作業途中に”これを至急で”と言われてしまうと、作業が未完了のものを途中で投げ出せないので、至急のものがすぐにできないケースもありました。
自動車・運輸・輸送機器、女性



仕事をしていると、急にかかってくる電話への応対や、上司や先輩から想定外の仕事が振られ、あらかじめ決めていた予定通りに仕事ができないことがあります。そんなときは、どのような工夫や対策が有効なのでしょうか?

【対策や工夫】

予定の変更に関しては、時間をもらい、頭の中で計画を立て直すようにしていました。
医療・福祉・介護、女性

メモ帳に1日の仕事の順番(タイムスケジュール)を書くようにし、休憩時間のときに確認するようにした。
医療・福祉・介護、医療関係、男性

あらかじめ、苦手な作業は周囲に伝えておく。自分のことを理解してくれている人に迷惑がかからない程度に協力してもらう。
食品・化粧品、技術系、女性

そのときに取り掛かっている作業に全て優先順位をつけて、紙に書いてパソコンに貼っていました。電話は保留にもできるので、一回電話にでてから、気持ちがパニックにならないよう落ち着いてから対応をするように心がけました。
自動車・運輸・輸送機器、女性



避けられない急な予定変更は、一旦落ち着く時間を設けて対応しています。
  • 自分の中で計画を立て直す
  • 優先順位をつける
  • こまめに1日のスケジュールを見直す
など、手順を組み立て直したうえで、仕事を始めるとよいでしょう。

また、職場の同僚にあらかじめ苦手なことを伝えることで、協力を得ている方もいます。業務が滞ると結果的に本人も周囲も業務負担が増えてしまいます。そのような事態を避け、仕事を円滑に進めるためには、事前に理解と協力が得られるようにしておくことも必要かもしれません。

2-3.感覚過敏に関する悩みとその対策

アスペルガー症候群の方の中には、音や気温、においなどに対する感覚が過敏な方もいます。仕事をするうえで、感覚の過敏さはどのような悩みにつながるのでしょうか。

【仕事上の悩み】

ボディタッチされるのがひどく苦痛、音やにおいに過敏で人混みが苦手。
エネルギー・環境・リサイクル系、教師、塾講師、学童担当、女性

感覚過敏があり、視覚等を敏感に感じすぎてしまい、不眠症になってしまう。
人材、接客、女性

疲れやすい。必要な音を選べず、全部の音を聞いてしまう。聴覚過敏である。感情を我慢するとしんどくなる。
メーカー・製造系、介護、女性



感覚過敏のある方は、職場の音やにおい、目に見えるものなどを全て受け取ってしまい、疲れやすくなるという悩みを抱えています。しかし職場の環境は、すぐに変えられるものではありません。そこで感覚過敏の悩みを抱えながら働く方々が実践している工夫を見ていきましょう。

【対策や工夫】

できるだけ静かな環境で作業できるように場所を確保してもらいました。
エネルギー・環境・リサイクル系、教師、塾講師、学童担当、女性

大きな音のする場所や騒がしい場所へできるだけ近づかない、または最小限にとどめ、ざわつきやすい心を整理しています。
マスコミ・広告、イベント企画、イベント制作、男性

疲れたら、その都度水分補給など行い休憩をとる。ドアを閉め静かな場所に移動するなど、音声を遮断して作業を行う。
メーカー・製造系、介護、女性



感覚刺激の多い場所をできるだけ避け、短時間であっても作業場所から離れる時間を設ける方がいます。また、職場に自分の特性を説明し、理解を得ることで、静かな作業環境を用意してもらうケースもありました。

職場の理解を得たうえで合理的配慮を受けることが最も望ましいですが、職場のスペースなどの都合上、物理的に難しい場合もあります。そんなときは、音やにおいなどの感覚を遮断できるスペースを見つける、こまめに休憩をとるなど、自分でできる対策を組み合わせてみましょう。

3.アスペルガー症候群の方が職場で抱える悩みとその対策

口コミを見ていくと、アスペルガー症候群の方は、職場でさまざまな悩みを抱えていることがわかります。その中でも、特に共通して見られた悩みは以下です。

【アスペルガー症候群の多くの方が抱える職場での悩み】
  • 仕事量が多い、期限に追われる(忙しい、残業が多い)
  • アスペルガー症候群に対して理解がない
それぞれの具体的な状況をみていきましょう。

3-1.仕事量が多い、期限に追われる職場の状況とその対策

口コミからは、「仕事量が多い、期限に追われる(忙しい、残業が多い)」職場によるプレッシャーや過酷な労働に悩む様子が伝わってきます。

【仕事量が多い、期限に追われる(忙しい、残業が多い)職場の状況】

仕事量が多く困ったときは、相談にのってくれたり、時々手伝ってくれたりしたのはありがたかった。しかし、アスペルガー症候群が苦手とする接客やマルチタスクを窓口業務でやらなければならなかった。窓口の人数が足りないので、苦手ながらやるしかなかったし、プレッシャーをかけられた。
団体・連合会・官公庁、一般事務、女性

体の調子があまりよくなかったため、毎日、定時で帰宅したかったが、毎日のように残業があり、それが半強制状態だった。
デザイン・出版・印刷、軽作業、男性

残業が異常に多く、夜勤明けもその日の夕方まで働かされることがざらにあった。案の定、体を壊し、辞めることになった。
医療・福祉・介護



アスペルガー症候群のある方の中には、マルチタスクが苦手な方がいます。しかし、仕事量が多く期限に追われるような職場では、複数の業務を同時にこなさなければいけない状況で、担当外の仕事も担うこともあります。それが職場への不満や悩みにつながっていることがうかがえます。

また、残業が多く、有給休暇の取得も難しい職場は、仕事をしながら通院している方や、体調に波がある方にとっては、非常に働きにくい環境になります。

それでは、反対に「仕事量が適切で、期限に追われることがない」職場の様子をみてみましょう。

【仕事量が適切で、期限に追われることがない職場の状況】

休みたいときに休ませてくれる。
WEB・インターネット、デザイナー・クリエイティブ、男性

時短勤務のため、早めに帰宅して疲れを取ることができる。 一日の流れが一定している。勤務日が固定されているため、有休など休みをとりやすい。
メーカー・製造系、介護、女性

休憩を挟んで作業をするのを許してもらえました。体調に異変を感じたら、できるだけシフト調整をしてもらって、休めるような体勢を整えていました。
メーカー・製造系、介護、女性



両方の口コミを比べると、次のようなことが見えてきます。

仕事量が適切で、期限に追われることがない職場は
  • 病気や障害に理解があり、体調を気遣ってくれる
  • 自分のペースで仕事を進められる
  • 休憩や有給休暇がとりやすい
  • 時短勤務やシフト調整など、本人の状況に合わせて、柔軟に勤務形態や勤務スケジュールが変更できる
こうした職場に巡り合うのは、なかなか難しいかもしれません。しかし、転職や就職の際に、いくつかのポイントに気を付けることが、理想の職場を見極めるヒントとなります。

【仕事量が適切で、期限に追われることがない職場を見つけるために確認すべきこと】

  • 企業としてアスペルガー症候群を含む病気や障害についての理解を促進しているか(支援員の配置有無、従業員研修の実施有無など)
  • 自分が担う業務に十分な人員が配置されているか
  • 従業員の休暇の取得状況(有給休暇の消化率や産休・育休取得率、その他の休暇制度の有無)
  • 自分が応募する勤務形態の他に、どのような勤務形態で働いている人がいるのか
求職活動を行う際は、ぜひ上記のポイントを職場に確認してみてください。

3-2.病気や障害に対して理解がないという悩みとその対策

アスペルガー症候群に対して理解がない職場では、苦手な仕事を回避できないだけでなく、能力が適切に発揮できず、本人も職場も良い結果を生みだせません。

【病気や障害に対して理解がない職場の状況】

私は障害を告白していたつもりですが、「仕事上そんなこと関係ない」と言われていました。せめてそのような言葉は軽はずみに言ってほしくないと思っていました。
医療・福祉・介護、医療関係、男性

発達障害やうつに関しての理解度が低く、退職するまで怠けているだけだと思われていたから。
団体・連合会・官公庁、女性

病気に関して配慮されていません。むしろ、何かあったら責任が取れないので辞めることを考えてほしいと言われた。
団体・連合会・官公庁、接客、女性



アスペルガー症候群であることを職場に伝えても、理解を示していない職場もあります。理解されないと、苦手な業務やミスをアスペルガー症候群の特性によるものではなく、本人の気質の問題として捉えられ、より仕事がしづらい状況になってしまいます。

一方、「アスペルガー症候群に対して理解がある」職場もあります。

【病気や障害に対して理解がある職場の状況】

障害や病気に関してしっかりと教育がなされていて、こちらから言い出すことなく、合理的配慮をしていただけることになったから。
百貨店・量販店、女性

会社全体が障害に対して理解をしてくれて、困ったときや悩みがあったときに気軽に相談して、一緒に考えてくれるから。
コンピュータ・通信・精密機器、男性

私の病気に対する理解が深く、特性をよく理解しているので、対応の仕方などが定例化している感じがあります。仕事内容もしっかりと吟味された上で割り当てられるし、必ず何か重要な仕事やポジションを割り当ててくれます。何が苦手で、何が得意なのかはよく話し合って、聞き込みしてくれます。定期的に状況の確認をしてくれるので、とても助かっています。
自動車・運輸・輸送機器、技術系、男性

精神障害に関する事前面談を行っており、これまでの仕事で苦労したポイントを具体的に聴取してくれました。
ビジネスコンサルティング、ゲーム、デバック、男性



両者の口コミを比べると、次のようなことが見えてきます。

アスペルガー症候群に理解がある職場は
  • 研修を実施するなど、企業としてアスペルガー症候群を含む病気や障害についての理解を促進している
  • 個別面談などの機会を設け、本人のニーズに耳を傾けている
  • 困ったことを気軽に相談できる雰囲気がある
  • アスペルガー症候群の特性を把握し、適材適所の配置を行っている
アスペルガー症候群に理解がある職場の状況を踏まえると、現在の職場で理解を得たり、もしくは理解のある職場を見つけたりするための対策がみえてきます。

【アスペルガー症候群に対して理解のある職場で働くための対策】

  • 自分の得意なこと、苦手なことを把握する
  • 職場に配慮して欲しい点を適切に説明できるようにする
  • 障害者の雇用実績について確認する
  • 病気や障害への理解をどのように推進しているか確認する(研修の実施の有無、支援員の配置の有無など)
  • 個別面談など、職場が個人の困りごとを受け止める機会を設けているか確認する
病気や障害への理解がある職場を探す際は、ぜひ上記のポイントに注意してみてください。

 

4.転職や就活ではアスペルガー症候群をオープンにするかクローズにするか

アスペルガー症候群のある方の中には、アスペルガー症候群であることをオープンにするか、クローズにするかということで悩むのではないでしょうか?
それは、伝えるか伝えないかで、働き方が大きく異なるからです。

では、オープン就労した方(障害者雇用枠で働いている方)とクローズ就労した方(一般雇用枠で働いている方)とでは何が違うのでしょうか?
 

4-1.オープン就労した方の体験

まずは、アスペルガー症候群であることを職場に伝えた方のコメントです。オープン就労で良かったと感じること、反対に悩んだことはどのようなことでしょうか?

【オープン就労して良かった点】

A型事業所なので、以前勤めていた一般企業と比べて自分のペースで働かせてくれました。
医療・福祉・介護、デザイナー・クリエイティブ

自分自身の障害の特性を、事前に迷惑をかけてはならないと思い、マネージャーに相談できたことが良かったと思います。そこからは、配慮ある場所への柔軟なポジションチェンジ等をしていただきました。
外食・フード、接客、女性

色々なことを相談しやすい職場でした。得意なこと、苦手なこと、体調によるシフトの微調整など、きちんと相談する時間を作ってもらえ、それについての対応もきちんとしていただきました。
専門店、女性

他部署に同じ障害者がいて、お互い仕事の悩みを相談できたことです。健常者にはわからないことも、同じ仲間なら理解しあえました。
デザイン・出版・印刷、技術系、男性



【オープン就労したことによる悩み】

障害特性を発信しても、しばらくすると周囲は忘れてしまい、苦しむことが多かった。オープンで働いているはずが、クローズと同じ働き方になってしまう。
サービス・外食・レジャー系、男性

最初は障害を隠して入社したのですが、業務上お客様の予約の手続きの接客があり、言葉遣いが難しくクレームになってしまった。その結果、カミングアウトしたのですが、その後は掃除ばかりさせられたり、邪魔者扱いされたりなどの扱いを受けて辞めてしまいました。
リース・クレジット・信販、清掃、男性

病気があると申告しても、そのことは他の職員には言わないと言われました。ほかの職員に言うと、気を遣って普通に仕事ができないからとのことでした。なかなか仕事がうまくいかないから申告をしたのに、配慮はしないというのはサポートをする気はないのだと感じました。
医療・福祉・介護、男性

ハローワークの障害者担当の方とケースワーカーの方が来られて、私の障害を説明してくださいましたが、職場は聞く耳を持たず、かえって働くうえで悪影響となった。
教育、接客、男性



オープン就労した方や、仕事上で必要性を感じてアスペルガー症候群について相談した方のコメントを見ると、職場の受け止め方に違いがあることがわかります。

オープン就労の良い点としては、適材適所への配置転換や体調を考慮したシフトの調節など、合理的配慮が得られるようになったことが挙げられます。また、同じアスペルガー症候群を持つ人や障害者雇用で働いている人がいる職場の場合、互いに障害をオープンにしていることで、悩みを共有でき、相談がしやすいというメリットもあります。

対して、オープン就労の悩みとしては、オープンにしても理解が得られなかったことや、能力が発揮できないポジションに不当に配置転換されてしまったことなどが挙げられました。また、病気や障害への理解が乏しい職場であるがゆえに、オープンにしたものの、理解が進まない場合もあるようです。

【オープン就労のまとめ】

アスペルガー症候群をオープンにして働くことで、その特性への理解が得やすくなります。適材適所への配置、勤務時間の融通など合理的配慮が得られる可能性も高くなります。

しかし、残念ながら、必ずしも全ての職場が病気や障害への理解があり、合理的配慮を実施できるとは限りません。そのため就労前に、病気や障害のある方が働いているかどうかや、離職率の状況などを確認しておくことが重要です。

4-2.クローズ就労した方の体験

次に、アスペルガー症候群であることを職場に伝えなかった方がクローズ就労で良かったと感じた点、反対に悩んだ点について見ていきましょう。

【クローズ就労して良かった点】

私は、昔から好きな職場で働くことができたので、障害に対して配慮がない職場でもうまくやっていけると思いました。大好きな仕事をさせていただいているという使命感みたいなものがあり、職員さんの中に溶け込むことはできませんでしたが、それなりに満足して働くことができました。
サービス・外食・レジャー系、営業事務

障害に対してオープンにしないで働いていました。それでも特に支障が出ず、作業できました。社長も、早く覚えようとしないでいいよ、と言ってくれました。
専門店、女性



【クローズ就労したことによる悩み】

以前、障害のことをクローズにして(明らかにせず)一般枠で大学の契約職員として働いていたことがありました。私は議事録の作成をする仕事が苦手でした。発言者の会話を聞きながら、内容の記録をとるというマルチタスク作業が難しかったからです。
教育、女性

健常者枠で就職することは、採用の枠は広がるが、求められるハードルが高すぎて、結局辞めることになるのでおすすめしない。障害者枠の中で自分に合った仕事を探して、地域のセンターの支援を受けつつ、自分の障害の特性をしっかりと会社側に伝えて、長く勤められそうなところを探していく方が絶対に良い。
医療・福祉・介護

自分に障害があるということは隠していた。事務の仕事なら、パソコンでデータを打ち込むなどすればいいだけだし、なんとかなると思っていたのだが、事務所内での連携や、作業に入っている社員との関係など、人間関係の調整力が必要な仕事で、自分の悪いところがすべて出ていたと思う。それに対して、職場の同僚は真摯に向き合ってくれて、毎回怒られ、こうしてみて、という指示をくれた。でも、わたしの行動は障害に由来するものだったと思うので、なぜわたしがそんな行動をするのか、理解できないようで、適切な指示や改善策はもらえていなかったと思う。そのため、どれだけ怒られても、わたしの苦手分野の仕事ぶりに関しては、一向に改善しないままで、あまりにいたたまれなくて、仕事をやめてしまった。
環境・リサイクル、女性



クローズ就労の良い点は、職業選択の幅が広がることです。興味のある分野が決まっている方は、障害者雇用枠での求人がなくても一般枠であれば求人があることもあります。また、アスペルガー症候群の特性に合った仕事内容であれば、クローズ就労でも仕事を無理なく行える場合があります。

クローズ就労による悩みは、アスペルガー症候群であることの理解を得られないため、合理的配慮が受けられない点です。何か問題があった際に本人の気質の問題としてみなされることや、向いていない業務に配置されることもあります。

【クローズ就労のまとめ】

希望する業界が決まっており、障害者枠での採用がない場合は、クローズ就労にチャレンジすることもあるでしょう。
しかし、希望した業界で働けたとしても、アスペルガー症候群の特性に向いていない業務を割り振られる可能性もあります。


5.アスペルガー症候群の方におすすめの企業・業界・職種

5-1. おすすめの会社、企業名

・株式会社エアーポートカーゴサービス
ほかの会社にない素晴らしい理解をしていただきました。また、スケジュールを視覚的に把握しやすい場所に置いたり、朝起きてからの準備をルーティンワークにして紙に書いていただいたり、とてもサポートしていただけて良かったです。
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
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・株式会社サウンズグッド
おすすめポイントとしては、一度仕事を教わってしまえば、あとは黙々と一人で集中して作業でき、基本的にマルチタスクにはならない点です。またイヤホンを装着しての仕事となるので、外部の話し声が気になることもありません。
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
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・凸版印刷株式会社
障害者雇用率が2%以上なので、他部署になら同じ障害者がいて、お互い仕事の悩みを相談できたことです。健常者にはわからないことも、同じ仲間なら理解しあえました。また、大企業なだけあってコンプライアンスが徹底されており、いじめや差別はほとんどなかったです。
満足度:★★★★
配慮 :★★★★★
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・日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社
やはり、いっぱいいっぱいになってきたなと上司が判断していただき、適材適所という形で、場所を変更していただける部分が本当に嬉しく思いました。また、それに甘んじてはいけないという自分自身の気概も芽生える形となりました。
閉店後は、ミスのことを忘れる形で、みんなでお店一丸となって盛り上がれる所が良かったです。「また明日頑張りましょうよ!」と言う上司の声の一言でさまざまな場面で助けられました。
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
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・ユニー・ファミリーマートホールディングス株式会社
客として利用しているときの視点とは違った視点に気づけるところが楽しいなと思えます。 お客さんが入ってこない時間帯には、自分でできることを探しあてて行動するのが基本なので、視野が広がり、日常生活でも気づけなかった部分を発見できます。
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
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5-2. おすすめの業界・職種

次は、アスペルガー症候群の方におすすめの業界や職種について考えてみます。アスペルガー症候群の特徴は人によって異なるため、自分に向いている業界や職種を見つけるのは簡単ではありません。
そこで一つの手がかりとして、アンブレに届いたアスペルガー症候群の方からの口コミ約130件の統計をとり、傾向をみてみました。

まずは、業界です。

アスペルガー症候群の方が働いている業界の割合


アスペルガー症候群の方が働いている業界別満足度グラフ


統計の結果を見ると、多くの方が勤めている業界は「サービス・外食・レジャー系」「メーカー・製造系」でしたが、満足度が最も高い業界は「小売り・流通・商社系」「IT・通信・インターネット系」でした。
人気のある業界が、必ずしも満足度も高いとは言えないようです。

次に、職種です。

アスペルガー症候群の方が働いている職種の割合


アスペルガー症候群の方が働いている職種別満足度グラフ


統計の結果を見ると、多くの方が勤めている職種は「軽作業」「事務」でした。そして満足度が高い職種も同じく「軽作業」「事務」でした。

皆さんの予想はどの業界と職種でしたか?
業界と職種に関する詳しい調査結果は、以下のコラムでご覧いただけます。ぜひ参考にしてみてください。
アスペルガー症候群の方の転職、136人の実体験を調査、向いている仕事は?

また、アスペルガー症候群の方が働いている企業が一覧で確認できます。
満足度の高い企業や気になっていた企業の口コミをぜひこちらでチェックしてみましょう。


このような企業はどのように探せばよいのでしょうか?
次は、仕事の探し方を確認していきましょう。

6.求人の見つけ方

6-1. 働き方によって選べる採用枠「一般枠」と「障害者雇用枠」

求人には、一般枠(クローズ就労)障害者雇用枠(オープン就労)があり、障害者手帳を所持している方は、どちらにも応募することができます。

先にも述べたように、アスペルガー症候群をオープンにするかクローズにするかは、応募できる雇用形態にも影響します。
少し重複する部分もありますが、もう一度簡単に説明します。

「一般枠」は、障害があることを伝えずに働くことです(=クローズ就労)。職種の選択肢は広がり、昇進や昇給などの機会もあります。しかし、アスペルガー症候群への理解を得られにくく、周囲のサポートを受けることは難しいのが現状です。

「障害者雇用枠」は、障害があることを伝えて働くことです(=オープン就労)。職場の理解を得られ、周囲のサポートが受けやすくなるなど、働きやすさにつながることも考えられます。

▼障害者枠(オープン就労)や一般枠(クローズ就労)についてはこちらでもご紹介しています。
障害者枠(オープン就労)か一般枠(クローズ就労)か?良い点と悩みを解説


5-2. 求人の見つけ方

ハローワーク

障害のある方に対する専門の窓口があるため、専門スタッフに相談することができます。障害者雇用に関する求人情報も多く扱っていて、アドバイスを受けることもできます。

ハローワークの障害者用の求人窓口で相談しながら仕事探しをした。障害者職業センターを紹介され、センターで1か月ほど職業訓練を受けた。ジョブコーチ制度を利用し、職場見学、面接に付き合ってもらい、スムーズに職場に入れたと思う。
旅行・ホテル、調理スタッフ、調理補佐、女性

ハローワークと発達障害者支援センターが一体となって、面接に同行してくださるなどのサポートがありました。
ソフトウェア・ハードウェア開発、エンジニア・技術職、女性

ハローワークへ行くと、障害担当の方がいます。障害の特徴に照らし合わせ、どういう仕事、職場に行くのがよいのかアドバイスがいただけます。その障害担当の方から数社紹介してもらったら、面接の仕方から面接日のセッティングまでしていただきました。
医療・福祉・介護、男性



▼参考: 厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」

人材紹介会社(エージェント)

障害を抱えることで、働くことに不安を覚えている方の就職活動を支援する専用の人材紹介会社をご存知でしょうか?

履歴書の書き方や面接の練習、おすすめの企業の紹介やその企業との連絡、事前見学の調整、入社後のケアや相談など、全面的なサポートなどを行っています。

また、ハローワークなどでは公開されていない求人情報を扱っているところもあります。また、各企業のことをよく把握しているので、ホームページや求人票では得られない職場環境などの情報も知ることができます。

ひとりではじめる就職活動との違いは、専門のアドバイスやサポート、自分に合った企業の紹介を受けられることです。そのため、担当者と一緒に不安を取り除きながら就職活動を進めていくことができます。

しかし、人材紹介会社も一つの企業です。紹介できる企業の得意分野や担当者の性格はさまざまです。自分の希望や意見が伝えやすく、理解してもらえる人材紹介会社かどうかをチェックしてみましょう。

次は、気になる企業の情報収集について方法を紹介していきます。


▼障害者雇用の求人サービスについてはこちらでもご紹介しています。
ハローワークだけじゃない、障害者雇用枠の求人はここでも!求人サービスを紹介

7.企業情報の集め方

会社紹介の採用ページや企業サイトだけでは、あなたが実際に働くことになる職場の雰囲気は掴めないかもしれません。できるだけ自分の目で確かめてみましょう。

7-1. 事前に見学して企業の雰囲気を確認

企業によっては職場を事前に見学させてくれるところもありますし、人材紹介会社に登録している方は、アドバイザーを通して見学をお願いすることもできます。まずは確認してみるといいでしょう。口コミにも、事前に見学を行うことで、面接だけではわからない職場の雰囲気がわかるとの意見が多くみられます。

【就職する前に職場見学をした方からのアドバイス】

説明会だけでなく、会社見学に行くと会社の雰囲気がよくわかります。自分の障害、病気について、できることとできないことを人事の人と話し合う必要があります。無理せずできることを一緒に考えることが大事です。
メーカー・製造系、介護、女性

会社見学は、必ずしておいたほうが良いと思います。経営者の思い、上司となる人の価値観を読むことは、非常に大切だと感じました。
教育、接客、男性

会社見学の際に、障害を持っていればその障害を受け入れてくれるような職場環境であるかどうかを確認すると良いです。もし、インターンシップ等が実施されているようであれば、受けてみて、その企業風土を知ることも大切です。
専門店、接客、男性



7-2. 面接はその企業を良く知るチャンス

面接の場は、企業側があなたを審査するだけではありません。大事なのは、あなたが企業に求めるものと、企業があなたに求めるものが合致することです。

不安や疑問がある場合は、面接時を利用して解消しておきましょう。具体的に知りたい内容については、以下の経験者の声を参考にしてみてください。

【面接で企業の情報や職場の様子、障害に対する配慮などの情報を得るための工夫】

第一には職場の支援体制が重要です。支援員が常駐しているかどうかなら、面接でも聞きやすいんじゃないでしょうか。
専門店、一般事務、女性

特に職場の環境などをよく見ておいたほうが良いと思います。仕事の知識や能力があったとしても、職場の環境次第で物凄く疲れたりうつになったりする可能性も0%ではないので、そこは慎重に選んだ方が良いです。履歴書を提出する際には、「私の障害について」などの障害についての説明書のようなものを自分で作って入れることも良いと思います。
医療・福祉・介護、デザイナー・クリエイティブ

自分の譲れない条件を書き出して、待遇面と照らし合わせて、少しでもやりたいと思った求人には応募する、自分の弱みを把握して強みと合わせて配慮して欲しい点もオブラートに包まず伝えられるようにする。自分の興味があることを伝える。
ソフトウェア・ハードウェア開発、女性



面接で緊張しすぎて質問できなかったということがないように、あらかじめ知りたいことをまとめておきましょう。準備をしておくだけで心に余裕ができ、面接にものぞみやすくなります。

心地よい職場環境で病気と上手に向き合っていくためにも、面接での質問の機会は大事にしましょう。

8.専門家からのアドバイス

仕事探しを考えているアスペルガー症候群の方へ、発達障害の専門家 松好伸一先生からのアドバイスを紹介します。

■働くことを迷っているアスペルガー症候群の方へ

「決まったスケジュールが必要」「一定量の仕事」「タスクワーク・ルーティンワークが安心」などの特性があることも考え、「臨機応変な対応を求められる職場は避ける」「チームで行う仕事は難しい」「自分の専門性を理解する」ことが大切です。

また、人間関係に煩わされない職場環境を第一に考えましょう。

人間関係に関して意識する際は、「自分のことを聞かれたから答える」ことだけで会話を終わらせてしまいがちなことに気を付け、「あなたはどうですか?」と同じ質問を相手に返してみましょう。
例えば「その洋服かわいいですね、どこで買ったんですか?」と聞かれたら、「〇〇です」ではなく、「〇〇です。△△さんもいつも素敵ですけど、どちらで買うんですか?」のように同じ質問を返すことを意識してみましょう。

■これから働くアスペルガー症候群の方へ

一般就労の場合、職種によって仕事が自分の思うように進まないことや、急な変更が生じることも十分あり得ます。それが難しいのであれば、別の職種を考えるか就労支援を利用することも検討しましょう。

不安を抱えつつも「意外といけるかも」と考えることで、「理解されない」という被害者意識を持ちやすくなっていることもあります。人とのコミュニケーションでもその特性が表れやすいことも。
他者批判、被害者意識につながりやすい方は、コミュニケーションを前提とした職種・業務は避けたほうがよいでしょう。

自分の「好きなこと」でチームで行う必要のないもの、またはマニュアルがしっかり決まっている業務をおすすめします。

業界への思いが強ければ強いほど独りよがりになりやすいため、「他者の意見を聞く」ことを大切にしましょう。

9.まとめ

これまでの内容をまとめます。

アスペルガー症候群の特性による仕事の悩みとは?

  1. コミュニケーションに関する悩み
  2. こだわりが強く、臨機応変な対応が難しいことに関する悩み
  3. 感覚刺激に関する悩み
コミュニケーションに関する悩みへの対策とは?

口頭の指示をメモに書き出して確認することをおすすめします。文字や図形などの視覚情報を用いて、自分が覚えやすい形式で、指示を書き出せるようにすると良いでしょう。また職場の同僚にも、文字や図形を用いた説明をお願いしてみるのも良いかもしれません。

こだわりが強く、臨機応変な対応が難しいことに関する悩みへの対策とは?

柔軟な対応を求められた際に自分の中で計画を立て直したり、落ち着いて考える時間を設けたりすることが役立ちます。そうした時間を設けるためにも、周囲の方々には自分の苦手なことを伝えておき、協力が得られるようにしておくと良いでしょう。

感覚刺激に関する悩みへの対策とは?

職場に説明をして合理的配慮を受けることを考えてみましょう。例えば、静かなスペースを確保することやこまめに休憩をとることを相談してみてはいかがでしょうか。

アスペルガー症候群の方にとって理想の職場とは?

「仕事量が適切で、期限に追われることがなく、病気や障害に対して理解がある」職場です。理想の職場を見つけるためには、企業としてアスペルガー症候群を含む病気や障害への理解を促進しているかをチェックすることや、人員や障害者雇用の実績を確認することが有効です。また、職場に配慮して欲しい点について、自ら適切に説明できるようにしておきましょう。

転職や就職活動を行う上で、アスペルガー症候群をオープンにするか、クローズにするかを悩む方もいます。まずは自分の特性を考え、どのようなスタイルで仕事を行うことが望ましいのかを考えましょう。通院や急な体調不良による休暇を必要とする場合、職場からの配慮やサポートが不可欠となります。配慮やサポートをお願いしたい場合は、サポートを受けやすいオープン就労=障害者雇用も検討すると良いでしょう。

アスペルガー症候群と付き合いながら、理想の仕事や職場で働いている方も多くいます。アスペルガー症候群の方におすすめの企業や業界、職種には傾向がみられますので、同じ境遇の方の意見も参考にしてみましょう。


これまでに紹介した口コミは、ほんの一部です。特性も人それぞれ、企業の対応もそれぞれ異なります。
まずは自分の特性や、できることとできないことについてまとめてみましょう。そして、自分に向いている仕事を自分のペースで見つけてください。

そして気になる企業の様子やサポート状況は、事前に自分の目で確かめることが理想的です。求人票ではわからない企業の様子を知るためにも、ハローワークの専門スタッフに相談したり、人材紹介の専門アドバイザーと一緒に就職活動を進めたりするのも有効です。

さまざまな企業の中で、あなたが幸せに働ける環境に出会えることを、私たちは心から願っています。


※この記事は投稿いただいた口コミから生まれています。
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監修者

保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数で、2022年3月29日「幼児教育方法論」(共著・一藝社)を刊行。

保有資格

著者

より望ましい職業の選択や能力開発における相談・助言を専門とする国家資格「キャリアコンサルタント」のほか、米国CCE, Inc.認定の「GCDF-Japanキャリアカウンセラー」の資格を取得。福祉・医療介護分野の研究などにも従事しています。

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