てんかんのある人の働き方 仕事の悩みと解決策を体験談から学ぶ

てんかんがある人の働き方 仕事の悩みと解決策を体験談から学ぶ

てんかんのある人の中には、てんかんの症状とうまく付き合いながら働いている人もいれば、仕事に悩みを抱えている人もいるのではないでしょうか。

てんかんには「突然発作が出たらどうしよう」、「通院のために休みは取れるだろうか」、「発作時の対処法を職場の同僚に伝えたほうが良いだろうか」といった特有の悩みもあります。

そんなときは、同じてんかんの人たちの体験談を参考に、悩みを解決しながら働き方を考えていきましょう。今回のコラムでは、アンブレに届いたてんかんの方280人の口コミをもとに、「悩みとその解決策」についてのアドバイスを紹介します。

また、障害者雇用の専門家ジョジョさん(社会福祉士、プロコーチ)にもアドバイスをいただきました。

仕事との向き合い方や働き方に悩みや不安がある人は、このコラムが解決の糸口になれれば幸いです

*この記事はジョジョさんに監修していただきました
ジョジョさん

産業カウンセラー、社会福祉士(ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)、プロコーチの資格を持ち、就労継続A、B型にて支援員として、身体障害、精神障害、知的障害のある方への支援を行う。 自身も悩みを抱えギャンブル依存症になった経験から、「悩みから夢まで話せる友達が見つかる東京の居場所”ココトモハウス“と出会い、現在はその管理人として多くの方から信頼を寄せている。生きづらさを抱える人達を社会と繋げて、豊かな社会を作ることがミッション。



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目次

1.てんかんとは

2.てんかんの特性にあわせた働き方とは

3.てんかんの方の働き方① 突然起こる発作への対策を心がける

4.てんかんの方の働き方② 体調不良時の休憩や通院のための休みがとれるように相談する

5.てんかんの方の働き方③ できない仕事に不安を抱えず、できる仕事で力を発揮する

6.オープン就労か、クローズ就労か

8.専門家からのアドバイス

9.まとめ

1.てんかんとは

    私たちの体をつくっている細胞にはすべて電気的流れがありますが、大脳の神経細胞(ニューロン)も、規則正しいリズムでお互いの調和を保ちながら電気的に活動しています。

    てんかん発作はこの穏やかなリズムを持った活動が突然壊れて、激しい電気的な乱れ(ニューロンの過剰な放電)が生じることによっておきます。
    このため、てんかん発作はよく『脳の電気的嵐』にたとえられます。この電気的嵐は、脳波検査によっててんかん性異常波としてとらえることができます。

    てんかんのある人は、100人に一人の割合でいると言われていますので、日本全国にはおおよそ100万人が推定されています。
    さらに一生の間に1回あるいは数回だけしか発作をおこさないようなてんかん周辺群も含めますと、その数はおおよそ人口の5%にもなると言われています。

    参考:公益社団法人 日本てんかん協会「てんかんとは」
てんかんのある人は、治療を行い、症状と付き合いながら過ごすことになりますが、発作があっても多くの方が、普通に社会生活を送っています。

しかし、突発的な発作や症状がいつ出るのかといった心配や、職場で配慮してもらえるかなど、さまざまな不安を抱えていることと思います。

ここからは、それらの不安を内容別に取り上げ、てんかんのある人が行っている工夫と職場の対応をみていきたいと思います。

2.てんかんの特性にあわせた働き方とは

てんかんの特性にあわせた働き方とは、どのような働き方なのでしょうか?

働き方を知るために、まず、てんかんのどのような症状が仕事に影響を与え、それがどのような悩みにつながっているのかを見ていきましょう。 次に、その悩みを緩和するための解決策を知ることで、てんかんと向き合いながら働く方法を見つけることができます。

口コミを見ていくと、てんかんの特性による仕事の悩みには、以下のような傾向がありました。

【てんかんの特性による仕事の悩み】
  • 突然起こる発作への不安
  • 体調不良や通院のための休憩や休みが必要
  • てんかんの特性によりできない仕事がある
では、それぞれの悩みとその解決策を参考に、てんかんの方の働き方について考えていきましょう。

3.てんかんの方の働き方① 突然起こる発作への対策を心がける

てんかんの代表的な症状「発作」。その発作は、何の前ぶれもなく突然起こることもあり、仕事中も常に不安を抱えている人が少なくありません。

【仕事中に突然起こるてんかん発作の様子】

ストレスや睡眠不足が続くと、突然発作が起こったり、発作の予兆がでたりする。その発作というのが、一瞬意識を失うものからしばらく意識が戻らないものでかつ全身痙攣を伴う。意識が戻ってもすぐに意識がとぎれたりしばらくは起きられなかったりする。発作の後は大抵とてつもない疲労感があり休息を必要とする。全身痙攣も他人から見たら気味が悪いし死んだように見えるそうだ。そのため、発作がでたらどうしようと対人系の仕事は緊張するしそれがさらにストレスとなる。
教育、事務、女性

発作の前兆が倒れるギリギリまで感じることができないので困りました。小さな子どもを抱いて動き回ること、立ちっぱなしで過ごすことが多いため、発作で倒れて子どもにケガをさせないかという点で不安を抱えながら働いていました。
教育・女性

電車の中で倒れ一時的に電車を停めてしまい、大勢の方に迷惑をかけてしまったことがありました。これがトラウマとなり、発作とは関係なく、電車に乗ると不安で気分が悪くなるようになってしまいました。てんかんは、いつ発作が起きるかわからないので、通勤中や職場で発作が起きてしまったらどうしよう…という不安が大きかったです。
人材・女性

以前勤めていた会社を辞めることになり、体調が回復してきたので新しい仕事を始めました。しばらくは順調に仕事をしていましたが、電話やフロアにいる沢山の人の声、オフィスの蛍光灯の明かりなどに眩暈や息苦しさを感じるようになり、発作を度々起こすようになってしまいました。
女性



てんかん発作を完全にコントロールすることは難しいものです。特に、通勤の途中や仕事中に発作が起こった経験があると「また発作が起きるのでは?」という不安から、精神的な負担が増すこともあります。

一方、突然起こる発作に対して対策を講じることで、できる限りのコントロールをしながら働いている人もいます。どのような対策をしているのでしょうか?

【突然起こる発作への対策】

睡眠をしっかりとることと、服用している薬を飲み忘れないようにしている。
小売・流通・商社系、営業、男性

朝昼晩の食事は決まった時間にとる。 昼寝をする。 疲れたら何もしないで横になる。
メーカー・製造系、軽作業

発作が起きないように規則正しく生活するように努力しています。
医療・福祉・介護、女性

処方された薬は極力飲み忘れないようにするために、職場に必ず薬を持っていく。頓服をすぐに服用できるように用意する。仕事で失敗しても、くよくよする前に対策を考え、先輩に必ず相談する。
チェーンストア・スーパー・コンビニ、接客、女性

通勤途中で動けなくなった場合でも間に合うように、少し早めの電車に乗る。薬を飲み忘れない。発作の前兆を感じたら、トイレに駆け込む。万が一発作が起きても大丈夫なように、デスク周りは綺麗にしておき、誰かが代わりに仕事ができるようにしておく。
小売・流通・商社系、女性

お客さまにダイレクトにご迷惑をおかけしてしまうので、発作が起こらないようにと誘発されるようなものは避けてきました。例えば、音に反応するため、店内のBGMは耳に残りにくい音楽などに変えたりするなど。
医療・福祉・介護、男性



突然起こるてんかん発作ですが、中には起こりやすくなる要因があるというケースもあります。

【てんかんの発作が起こりやすくなる要因の一例】

  • 睡眠不足
  • 不規則な生活や仕事による肉体的な疲労
  • 精神的なストレスや緊張
  • 薬を正しく服用していない、途中でやめてしまう
  • 音や光など外部からの刺激
てんかん発作の誘因には、疲れ、ストレス、外部からの刺激などさまざまなものがあります。人により誘因は異なりますが、誘因となるものを知り、なるべく減らすように心がけることは、てんかんの発作を抑える対策になりそうです。

【てんかんの発作を抑える対策の一例】
  • 規則正しい生活をする
  • 十分な睡眠をとる
  • 適度に休憩をとるなど、肉体的な疲労をためない
  • 薬を正しく服薬する
  • ストレスをためない
  • 音や光などで刺激を受ける場合は避ける
  • このように、意識しながら生活することは、発作を抑える対策として有効です。さらに、職場ではもしものときに備え、同僚の理解や協力を得ておくと、更なる安心感につながります。

    4.てんかんの方の働き方② 体調不良時の休憩や通院のための休みがとれるように相談する

    発作の兆候がある時や体調が悪化した時は、無理せず休憩をとらなければいけません。また、定期的な通院のために欠勤も必要でしょう。自分のペースにあわせて働くためには、自分なりの対策に加え職場におけるてんかんへの理解とサポートが欠かせません。

    しかし、てんかんへの理解がある職場もあれば、理解のない職場もあります。理解を得られないと休みや休憩がとりづらく、てんかんの人にとっては働きづらい職場となってしまいます。

    【休憩や休みがとりづらい職場の様子】

    人事の人しか病気を知らなかったので、通院のたびに新人のくせに…という雰囲気の中、早退した。発作の前兆を感じた時でも、自由に休めない不自由さを感じた。
    小売・流通・商社系、女性

    体調面で不安があり(病状が出る前)、大事をとってシフトを減らしたい時、現場にいるスタッフにはよく思われなかった。またスタッフが納得していても、マネージャーに圧をかけられた。
    専門店・女性

    体調悪い日に休むと、休むことが悪みたいに言われる。
    建築・建設・設計・土木、接客、女性

    一方、休みや休憩がとりやすい職場はどのような様子なのでしょうか?

    【休みや休憩がとりやすい職場の様子】


    働き方に関する理解が得られている。年次有給休暇が取得しやすい。 団体・連合会・官公庁、男性

    てんかんは周りに言いづらい病気なので、社員メールで欠勤報告する場合も「風邪」等の理由で誤魔化して大丈夫、と気づかっていただきました。また、万が一業務中に倒れた場合の対処法を教えてほしいと、上司のほうから協力的に接してくださいました。
    レジャー・アミューズメント・フィットネス、女性

    日々体調が変化することに深く理解をしめし、休憩を取らせてくださいました。働いてすぐに発作が起こり入院してしまいましたが、その後は作業内容を変更するなど気をつかって柔軟に対応してくださいました。
    教育、女性

    営業部から経理部へ異動していただきました。また、朝方体調が悪く仕事に行けないことがよくあったので、特別にフレックスタイム制のようなものを導入してくれました。実際に使用はしませんでしたが、体調が悪くなったときのために医務室を作っていただきました。月に1回上司が一緒に病院へ同行してくださいました。
    総合電機、男性



    体調不良や通院による休みがとりやすい職場は、以下のような配慮や制度が整っています

    • 有休が取りやすい、福利厚生が充実している
    • 個人の事情に合わせて融通を利かせてくれる
    • フレックスタイム制などの導入により柔軟な働き方ができる

    配慮を得るためは、てんかんへの理解を得るための働きかけが必要です。以下のポイントを押さえながら、自分から働きかけていくことをおすすめします。

    • 自分の症状や対処法について事前に正確に伝えておく
    • 仕事ができない場合に職場の同僚の負担を減らす工夫をしておく


    5.てんかんの方の働き方③ できない仕事に不安を抱えず、できる仕事で力を発揮する

    てんかんは、発作などを考慮すると危険な仕事や運転など避けたほうが良い仕事があります。すべての仕事を担当できないもどかしさや、周囲に対する申し訳なさに悩む方もいます。

    一方で、できない仕事がある分、できる仕事で力を発揮し、自分なりの働き方を見つけている方もいます。

    【できない仕事に対する悩み】

    身体の部分的な痙攣。残業が続いたりして疲労がたまると、手の指先が痙攣する。そのため、パソコンでの仕事に支障がある時がある
    団体・連合会・官公庁、女性

    高校生くらいからてんかんで何度か検査入院していたことがあり、現在通院中。現在も発作は出ている。内勤の仕事でクリアできている面もあるが、車を使わなければならない時、人に頼まないといけないということが困ると言うより申し訳ない気持ちになる。
    運輸・交通、事務、女性

    発作の危険性があるため高所はできるだけ避けることが望ましいが、脚立にのぼる作業がある。
    ビジネスコンサルティング

    てんかん発作があるので、抗てんかん薬を服薬しています。面接時にお話をして正規職員として働いています。業務で車両を運転する機会がありますが、運転禁止のため周囲に気を遣わせてしまい、毎回気持ちが落ちてしまう。
    (医療・福祉・介護、男性

    体調がその日によって異なる。頭痛のタイプでは嘔吐やめまいで動けない時間がある。精神的に他人の対応などに敏感で、怒ったり泣いたりしたあとに無意識に倒れることもある。健康に過ごせたときは、翌日、翌々日それ以上の疲れで寝込んだりする。
    軽作業、女性



    てんかんの特性により避けたほうがよい仕事の一例は、以下のとおりです。

    【てんかんのある人が避けたほうがよい仕事】
    • 車の運転を伴う仕事
    • 高所など不安定な場所での作業
    • 長時間の残業など、生活リズムに影響を及ぼす仕事
    • 個室など、一人きりで行わなければいけない仕事

    では、避けるべき仕事がある中で仕事を続けているてんかんの人は、どのように働いているのでしょうか?

    【避けるべき仕事がある中での働き方】

    ストレスを溜めないために、休憩時間は全力で休む。業務が手に負えないときは手が空いている人に助けを求める。わからないことや不安なことはすぐ聞く。自分一人で対処しない。
    教育、介護、女性

    働く際に自分が発作を起こしたら会社に迷惑をかけますから、自分の病気の詳細をなにもかもさらけ出した上で雇用していただきました。子どもたちを送迎する車には乗らない、運転しない、一人で子どもを見ないなど、常に私は正社員のサポートに回るようにしました。
    医療・福祉・介護、女性

    発作が起こらないために、できるだけ夜勤に入らないようにし、連勤も避けていました。揚げ物関連は怖いので近寄らないようにし、極力品出しや、レジ、掃除を率先して行っていました。ストレス、疲労によるものなので、疲れが溜まっている日は代わってもらうこともありました。
    専門店、女性

    腫れ物にさわるかのような対応ではなく、私のよさを認めてくれ、フォローしてくれます。特別扱いをすることはなく、私の仕事上での要望もしっかりきいてくださいます。
    教育、女性

    ライン作業で工程が細かく分かれているため、自分の周りに何人もの作業員がいます。途中で倒れるなどの、不慮の事故と言われるものが発生すれば、即ラインを停止し、周りが集まって救助にきてくれます。常時リーダー級の方が数名、何かあった時に備えて巡回してくれています。
    家電、軽作業、男性



    まずは、ストレスを溜めない工夫や規則正しい生活を心がけ、てんかんの症状ができるだけ悪化しないような対策を講じています。

    さらに、自分のてんかんの症状や特徴について職場の方々に説明し、理解を得る事で働きやすい環境を作っています。

    理解のある職場であれば、このような自らの働きかけを考慮し、てんかんがあっても働きやすい環境を整えてくれるのではないでしょうか。働きやすい環境であれば、自分のできることで精いっぱい力を発揮することもできますし、やりがいを持つこともできます。

    【できない仕事や難しい仕事に対して配慮を得るために必要なこと】
    • わからないことやできないことは、事前にしっかりと報告する
    • 自分でできないことをしっかりと把握し、できることに関しては率先して取り組む

    ここまでは、てんかんの症状による仕事での悩みと、その対策について見ていました。働き方のヒントになったでしょうか?

    悩みは自分ひとりで解決するのは難しく、働きやすい環境を整えるためには、職場の理解が必要です。そのためには、てんかんであることをオープンにするほうが、理解を促すことになるでしょう。

    しかし、中には周囲の反応が気になり、てんかんであることを言い出しづらいという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

    この後は、てんかんを伝えて働くオープン就労と伝えずに働くクローズ就労について考えていきましょう。

    6.オープン就労か、クローズ就労か

    てんかんのある人の多くは、病気をオープンにするか、クローズにするかということで悩むのではないでしょうか?
    それは、伝えるか伝えないかで、働き方が大きく異なるからです。

    では、オープン就労した方(障害者雇用枠で働いている方)と、クローズ就労した方(一般雇用枠で働いている方)とでは、何が違うのでしょうか?

    6-1.オープン就労した人の口コミ

    まずは、てんかんであることを職場に伝えた方のコメントです。オープン就労でよかったと感じること、逆に悩んだことはどのようなことでしょうか?

    【オープン就労の良い点】

    障害者の人でも働ける環境を作ってくれて、なるべく多くの人がいる場所にしてくれていた点は配慮をしてくれていたと思います。何かあった時に、すぐ対応できるようにと考えてくれていました。私の場合は、給料も同じでした。迷惑などもかけていたと思うのですが、ちょっとしたことが認めてくれているように感じました。
    外食・フード、接客、女性

    通院しなければならなくなったが、こちらの都合に合わせてシフトを組んでくれた。また、たびたび病状や仕事に支障が出ているか、確認をしてくれた。
    団体・連合会・官公庁、受付・窓口業務

    病名がわかる前も、わかってからもきちんと理解をしてくれた所。定期的に行かなければならない病院の日でも、有給とは別に休みをくれました。
    レジャー・アミューズメント・フィットネス、女性

    スタッフが女性だったこともあり、体調については何でもオープンに話ができました。とても感謝しています。病名もスタッフ全員が理解してくれていたので、常に私の発作のことを気にかけてくれたり、業務中も棚卸等体力の使う仕事は他の方も一緒に手伝ってくれたりと、とにかくいろいろと助けてくれました。
    専門店、女性



    【オープン就労の悩み】

    言葉では「理解する」と言ってくれたものの、実際はお荷物扱いされたからです。
    物流・倉庫、軽作業、男性

    私の体調を配慮して配属を考えてくれていると思ったが、現場で働きたいという意向を考えてくれなかった。
    医療・福祉・介護、女性

    配慮がある面は、同情の目をしてこないところ、必要以上の心配をしてこないところです。配慮がない面は、障害者の目の前で「障害者になりたい」「障害者はいいなー」「障害者手帳があると、レジャーで安くなるなんて、めっちゃ得やね」など軽率な言葉が飛び交う時があるとこです。
    運輸・交通、事務、女性

    女性ばかりの部署だったが、理解があった反面、女性特有の「私さんは病気だからね」という発言もあった。
    総合電機、受付・窓口業務、女性



    オープン就労した方でも、意見は分かれています。

    オープン就労の良い点としては、てんかんという病気を知ってもらうことで、さまざまなサポートが望めることです。通院や体調不良時の欠勤や、できない仕事などについて同僚に理解してもらえば、症状と付き合いながら働くことができます。

    オープン就労の悩みとしては、てんかんをオープンにすることで差別をされることや、腫れ物のように扱われる可能性があることです。しかしこれは、オープン就労によるものではなく、その職場に問題があるのでしょう。。

    【オープン就労のまとめ】

    てんかんの症状を職場にわかってもらうことは、症状と付き合いながら働く上で大きなメリットとなります。しかし、企業によってはオープンにすることで、反対に心ない対応をされる場合もあるようです。就職や転職を行う際はそのようなことがないように、職場の取り組みや雰囲気を十分に検討することが必要ですね。



    6-2.クローズ就労した方の口コミ

    次に、てんかんのことを職場に伝えずに働いている方のコメントを紹介します。クローズ就労のよかったと感じること、逆に悩んだことはどのようなことでしょうか?

    【クローズ就労の良い点】

    過去に勤めていた企業でもてんかんはオープンにしていませんでしたので、純粋に企業として満足していました。
    ソフトウェア・ハードウェア開発、男性

    お給料のよさ、仕事の内容は自分の性格にもあっていてとても楽しい職場でした。責任の大きい仕事が多かったので病気で離れたことがいつも悔しく感じます。
    女性

    健常者だった時は、もう少し広い範囲で勤務させてもらった。
    軽作業・男性

    私はてんかんのことを内緒で働いていたので、特に特別な配慮等は受けていない。派遣社員だったが、本当の社員のように扱ってくれたことは印象深い。
    教育、事務、女性



    【クローズ就労の悩み】

    今までは、私自身があまりてんかんのことをオープンに話していませんでした。ですので、仕事内容によっては「大丈夫かな?」と思うものもありました。しかし、それは私がきちんと病気のことをオープンにしていれば、理解してもらえたと思います。
    専門商社、女性

    いつ症状がでるかなどでの、仕事勤務する上での不安がいつもあること。
    メーカー・製造系、エンジニア・技術職、男性

    面接の時に、言ったら採用されない…と思ってしまって伝えてなかったのですが、1回勤務中に倒れてしまいました。その日から、上司は常に気遣ってくださるようになったのですが、その更に上の方には伝わっておらず、もっとシフトを入れろと言われました。
    百貨店・量販店、接客、女性

    周りに隠しているので、救急車を呼ばれてしまい、大変な思いしかありません。
    ソフトウェア・ハードウェア開発、男性



    クローズ就労した方でも、やはり意見が分かれています。

    クローズ就労の良い点は、望んだ仕事に就きやすいことや、てんかんを打ち明けることで待遇に差が出るのを防げることです。

    クローズ就労の悩みは、いつ症状がでるか常に不安を抱えながら働かなければならないことです。実際に発作が起こってしまった際の対応も、クローズ就労の場合は十分に受けることができません。

    【クローズ就労のまとめ】

    確かにクローズにした方が、仕事の選択肢は広がるかもしれません。とはいえ、病気と仕事の両立を考えると、クローズ就労のほうが負担は大きいでしょう。

    てんかんのことをオープンにするか、クローズにするか。これは、働いている企業の状況に左右されます。やはり自分の症状とうまく付き合いながら、仕事にやりがいを持てることが理想です。いずれにしろ、就職や転職の際には、企業の取り組みや仕事内容などを事前にしっかり把握して選ぶことが重要です。

    8.専門家からのアドバイス

    仕事探しを考えている、てんかんのある人へ、障害者雇用の専門家ジョジョさんからのアドバイスを紹介します。

    てんかんは、環境やストレスによって発作が起こりやすくなります。
    自分にはどういった職場環境がストレスとなるのかを、働く前に把握しておくとよいでしょう。

    私が一緒に働いていた方のなかには、夏の暑さなどで発作が起こりやすくなるという方もいました。
    また、発作の度合いによっては、突然転倒をするなどの危険があります。

    発作が起こった場合に、「どう対応すればいいのか」を職場に伝えておくようにしましょう。

    9.まとめ

    これまでの内容をまとめます。

    てんかんの特性による仕事の悩みとその対策は?

    特に、通勤中や仕事中に起こるかもしれない「突然の発作」に不安を感じています。
    しかし、てんかんとうまく付き合いながら仕事をしている方の中には、てんかんの発作が起こりやすい状況を把握し、十分な睡眠や規則正しい生活を心がけることで発作をおさえる工夫をしている方もいます。

    また職場では、自分のてんかんを詳しく説明し、発作時の対応や発作にそなえて1人で仕事をしなくてよい配慮をお願いする方もいます。

    定期的な通院や体調不良による休暇も必要です。休暇をとることで、仕事に遅れが生じる可能性もありますが、配慮のある職場では、休暇を申し出やすい雰囲気や、休暇制度が充実している様子がうかがえました。 休暇について理解を得るためには自分の症状を詳しく伝えることや、自分にできる仕事を率先して行うといった働きかけが必要です。

    転職や就活では、多くの方が「てんかんをオープンにするか、クローズにするか」ということに悩んでいます。まずは、自分の症状を第一に考え、どのような働き方が最善なのかを考えましょう。通院や急な体調不良による休みを必要とする場合は、配慮やサポートを受けやすいオープン就労=障害者雇用も検討するとよいでしょう。

    てんかんと付き合いながら、理想の仕事や職場で働いている人も多くいます。てんかんのある人におすすめの企業や業界、職種には傾向がみられますので、同じような病気のある人の意見も参考にしてみましょう。

    これまでにご紹介した口コミは、ほんの一部です。症状も人それぞれ、企業の対応もそれぞれ異なります。
    まずは自分の症状や、できることとできないことについてまとめてみましょう。そして、自分に向いている職場を自分のペースで見つけてください。

    そして気になる企業の様子やサポート状況は、事前に自分の目で確かめることをおすすめします。求人票ではわからない企業の様子を知るためにも、ハローワークの専門スタッフに相談したり、人材紹介会社のアドバイザーと一緒に就職活動を進めたりするのもよいですね。

    さまざまな企業の中で、あなたが幸せに働ける環境に出会えることを、私たちは心から願っています。



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