パニック障害の方が仕事を続けるために 330人から学ぶ働き方の工夫

パニック障害の方が仕事を続けるために 330人から学ぶ働き方の工夫

パニック障害のある方の中には、症状とうまく付き合いながら理想の職場で働いている方と、逆に、仕事に悩みを抱えている方がいらっしゃるのではないでしょうか。

たとえば、
・満員電車に乗るのが怖いから出勤時間を変えたい
・一人になる職場は不安
・パニックの症状が出たときは職場の同僚に対応をお願いしてもよいのか
など、パニック障害ならではの悩みや不安を感じることはありませんか?

そんなときは、同じパニック障害のある方々の声に耳を傾けてみましょう。

今回のコラムでは、330人のパニック障害の方の口コミをもとに、仕事での悩みやその解決策、仕事探しの方法をご紹介していきます。
また、障害者雇用の専門家みちしたさん(社会福祉士、精神保健福祉士)にもアドバイスをいただいています。

これから就職や転職を考えている方は、ぜひお役立てください。

*この記事はみちしたさんに監修していただきました
みちしたさん

社会福祉士・精神保健福祉士(ソーシャルワーカー、精神科ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)の資格を持つ。障害者支援施設にて支援員を8年経験した後、福祉資格を持つ地方公務員として採用され、ソーシャルワーカーとして活躍。


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目次

1.パニック障害とは?

2.パニック障害の特性による仕事の悩みと対策

3.パニック障害のある方が職場で抱える悩みとその対策

4.転職や就活ではパニック障害をオープンにするかクローズにするか

5.パニック障害の方におすすめの企業・業界・職種

6.求人の見つけ方

7.企業情報の集め方

8.専門家からのアドバイス

9.最後に

1.パニック障害とは?

    「パニック障害」も「不安障害」も、近年よく用いられるようになった病名ですが、正確にいうと、両者は並列関係にあるものではなく、「パニック障害」は「不安障害」の下位分類のひとつです。

    「不安障害」というのは、精神疾患の中で、不安を主症状とする疾患群をまとめた名称です。その中には、特徴的な不安症状を呈するものや、原因がトラウマ体験によるもの、体の病気や物質によるものなど、様々なものが含まれています。中でもパニック障害は、不安が典型的な形をとって現れている点で、不安障害を代表する疾患といえます。

    不安障害の原因は、まだ十分には解明されていません。どんな病気もそうですが、精神障害の発症には、生物学的(身体的)、心理的、および社会的要因がいろいろな度合いで関わっています。

    ~中略~

    不安障害の発症に心理的要因が関与していることも間違いありません。パニック障害では何の理由もなく突然パニック発作に襲われるのが典型的とされていますが、実はこれも、
    ・過去に何らかのきっかけがあった
    ・発症前1年間のストレスが多い
    ・小児期に親との別離体験をもつ
    などの心理的要因があるケースが多い、という報告もあります。

    参考:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」

あなたも、このような要因に心当たりはありませんか?もちろん、さまざまな要因が重なったのかもしれませんが、その1つが仕事からくる心理的要因だという方も少なくないはずです。

はじめに、パニック障害の方が抱える悩みやその対策について見ていきましょう。

2.パニック障害の特性による仕事の悩みと対策

パニック障害のある方は、仕事をする際にどのような悩みを抱えているのでしょうか?口コミからは、以下のような傾向がみられました。

【パニック障害による仕事の悩み、その傾向】
  • 過度なストレスにより症状が出やすい
  • 予期不安が起こる
  • まずは、悩みを詳しく見てみましょう。その後、対策についても考えていきましょう。

    2-1.過度なストレスにより症状が出やすいという悩みとその対策



    パニック障害はストレスにより悪化します。人間関係も劣悪であったためストレス過多で不眠・食欲不振が生じ、3ヶ月ほどで10kg痩せてしまいました。
    医療・介護・福祉、女性

    ストレスがかかると過呼吸になり、手足のしびれや寒気がします。
    チェーンストア・スーパー・コンビニ、接客、女性

    どんなことでも頑張りすぎるとストレスになって、心身に症状が出て日常生活も難しくなる。
    チェーンストア・スーパー・コンビニ、接客、女性



    パニック障害のある方は、ストレスがかかると心身に症状が出やすくなるため、日常のストレスを減らすことがポイントです。 ここからは、日常に取り入れたい、ストレスを緩和させるための対策をみていきましょう。

    【対策①:目の前のことに集中するか思い切って休む】

    物事を考えすぎないよう、今に集中して仕事を行うようにしている。
    建築・建設・設計・土木、接客、男性

    ストレスがあると感じたら、無理せずに休むことです。
    アパレル・日用品、仕分け・商品管理、女性



    パニック障害のある方は、いろいろなことを考えすぎて、心配ごとを増やしてしまう傾向があります。そして悩みは、ストレスにつながります。他ごとを考えて心配ごとを増やさないために、まずは目の前のことに集中してみましょう。

    しかし、やりすぎは禁物です。目の前のことに一生懸命になりすぎて、逆にストレスを溜めることが無いように、気分転換することをこころがけましょう。

    ストレスがたまっていると感じたら習得したオフィスの椅子に座りながらでもできる自律訓練法で緊張をほぐします。
    専門店、一般事務、女性



    仕事中になかなか休みが取りづらい方には、自律訓練法がおすすめです。自律訓練法とは、リラックスした体勢で決まった言葉による自己暗示をかけて、気持ちや体調を安定させる方法です。 自律訓練法の主な内容は以下の通りです。

    • できるだけ静かな場所で楽な姿勢をとる
    • 「言語公式」と呼ばれる言葉を頭の中でゆっくり反復する
    • さりげない集中(受身的集中)を行う
    自律訓練法は、体調や持病により副作用が出ることや、終了の仕方にコツがあります。必ず専門医に相談したうえで取り入れるようにしましょう。

    参考:厚生労働省「e-ヘルスネット 自律訓練法」

    【対策②:余裕をもった行動を心がける】

    ストレスがたまると発作が起きやすかったため、規則正しい生活を心がけていました。立場上、移動を伴う業務があるときは時間に余裕をもち、パニック発作が出てしまったとき用の薬などを持ち歩くようにしていた。
    専門店、女性

    朝はとにかく早く出かけ、発作が起こってもすぐに止まれる道で通勤しました。
    医療・医薬、女性

    できるだけ朝早く出勤し、ラッシュを避け、途中下車してもかまわないように余裕をもって出勤する。
    生命保険・損害保険、一般事務、女性



    パニック障害のある方は、突然不安に襲われることが多いため、日ごろから対策をとっている方も多くいらっしゃいます。口コミであげられた対策は、非常にシンプルでした。それは、「余裕」を持って行動することです。

    車で移動する場合は、なるべく早い時間に出発すれば、いざというときに停車して気持ちを落ち着かせられます。そのためにも、あらかじめ停車できる場所を確認しておくとより安心ですね。

    同様に、電車で出かけるときも、早めの時間に出発すれば、いざというときに途中下車できます。

    余裕を持つときは、車や電車を利用するときに限りません。発作に対処できるよう、日ごろから時間に余裕を持って過ごすように心がけましょう。

    2-2.予期不安についての悩みとその対策


    パニック障害には、予期不安という症状があります。予期不安とは、過去に経験したパニックの再発を恐れて不安になる症状です。口コミにも関連するコメントが多く寄せられました。

    動悸、呼吸困難感、気が狂ってしまうのではないか、死ぬのではないかという恐怖(予期不安)があります。とくに緊張しやすいような場面で症状は強くなる傾向にあります。
    医療・医薬、女性

    予期不安が強く、いま発作が起きたらどうしようとか不安なことばかり考えてしまう。パニックを起こしたら動けなくなり、頭も真っ白になり、いろいろと症状が出て息ができなくなるなどで悩んでいます。
    サービス・外食・レジャー系、女性

    パニック障害の予期不安でその日によって通勤ラッシュの時間に会社に向かえない時がありました。また、会社で発作が起きそうになることや、苦しくなってくると人混みなどが怖くなるのでその場から逃げたいという気持ちになります。
    専門店、女性



    予期不安が起こる場面は、通勤途中や仕事中などさまざまです。しかし、予期不安が原因で行動が起こせない、息苦しくなるという方は多くいらっしゃいます。 予期不安を感じにくくする策があると、気持ちにゆとりができ、少し楽になれるかもしれません。自分なりの工夫をされている方もいらっしゃるので、紹介します。

    【対策①:気を紛らわす】

    空き時間にはなるべくポジティブな感情を維持する、リラックスできる音楽に耳を傾けるという工夫もしてきました。
    医療・福祉・介護、女性

    仕事中などに発作が起こりそうな時は唇を強く噛んだり、頭の中で歌を歌ったり気を紛らわせています。それでもヤバイな~と思ったらトイレに行ったり飲み物を飲んだりしながらやっています。
    農林水産・鉱業、女性

    好きなアロマオイルスプレーを自分で作って持ち歩きリラックスするように心がけたりしていました。
    サービス・外食・レジャー系、女性



    音楽を聴いたり飲み物を飲んだりするだけでも、状況の悪化を防ぐことができるようです。中にはアロマオイルを使用するなど、自分なりのリラックス方法を習得している方も見受けられました。

    他にも、気分転換の方法がありました。自分に向いているリラックス法を探してみるのも良いですね。

    ■予期不安を和らげる工夫(一例)
    • 会社の近くの喫茶店に立ち寄る
    • トイレに行く
    • ユーチューブでお笑い動画を見る
    • 自販機で飲み物を飲む
    • 深呼吸をする
    • ストレッチをする
    • 帰宅後にヨガを行う


    【対策②:薬や飴、グミ、ガムなどを用意する】

    過呼吸時に飲む薬を服用していました。服用することで不安感が和らぎますが「薬を持っている安心感」があったため過呼吸自体の回数が減りました。
    不動産・建設・設備系、男性

    グミやガムを噛んで唾液を出すと幾分か楽になる。
    小売・流通・商社系、男性

    投薬は必須ですが、ほかはあめ玉を舐めていました。メンソール系のあめは精神安定の効果があるため、少しの違和感でもすぐにあめ玉を口にいれるようにしました。「これで大丈夫」と自身に何度も言い聞かせました。
    医療・福祉・介護、女性



    パニック障害の症状は、自分の力でコントロールできないこともあります。そのため、過呼吸などが起きたときは、必要に応じて薬を服用します。

    しかし、薬は服用せず持っているだけでも、不安が和らぐ方もいます。外出する際には不安な気持ちを抑えるために、薬を常備してもよいでしょう。

    また、薬だけでなく飴やグミなどでも、気持ちが落ち着く方もいます。不安を和らげることができる身近な食べ物があれば、気軽に取り入れられますね。

    【対策③:苦手な場所やシチュエーションをあらかじめ避ける】

    会社の近所に引っ越し、徒歩か自転車で通勤していた。
    ソフトウェア・ハードウェア開発、女性

    電車の場合はすぐ何かあっても出られるように各駅停車の電車に乗る。車での移動の時は高速道路を使わずに下道、一般道路を使うようにする。
    小売・流通・商社系、技術系、男性

    苦手なことをことごとく排除した仕事を選ぶこと。これに尽きると思います。たとえば、混んでいる電車が嫌なら、職場と家が自転車や徒歩で行ける近さのところを探すとか、オフィスが狭いのが嫌なら、人が少ないか、オフィスが広々した会社を選ぶとか。
    生命保険・損害保険、女性

    電車については、とにかく朝早い電車に乗ることを心がけました。ほとんど始発に近いくらいの電車です。業務開始の2時間前くらいに、会社には到着してしまうのですが、それでも混んでいる電車に乗るよりは断然心身が楽でした。
    生命保険・損害保険、女性

    出社時間を遅らせてもらっている。これにより混んでいる電車を回避することができる。
    一般事務、男性

    唯一工夫したのは通勤手段をいろいろ変えてみたこと。発作が起きたらすぐ降りられるように出入口扉の近くに立つ。
    百貨店・量販店、女性



    満員電車が苦手という方は、多くいらっしゃいます。それを避けるために、徒歩や自転車で通勤したり、出勤時間を早めたりすることも1つの方法です。さらに、車で通勤する場合は、いつでも停車できるように、高速道路を使わないほうが良いというアドバイスもありました。

    電車に乗らざるをえない場合は、出入口扉の近くに立つと、発作が起きたときにすぐ対応できるため、気持ちが落ち着くでしょう。

    病気に対して理解をしてくれて、電車に乗れなくなった時期は自宅での作業に変更してくれ、給料も変わらず頂いています。
    ビジネスコンサルティング、デザイナー、男性

    会議などは事前に上司に知らせておき、いつでも抜け出せるようにしていました。~中略~閉鎖空間(会議室、朝礼の場)などに居合わせようとすると強い不安に襲われ吐き気や腹痛、寒気といった症状が出る。具合の悪くなる条件をあらかじめ確認し、その条件を満たさないように行動する。満腹感があると不安なので、食事は少なくする。
    専門商社、一般事務、男性



    公共交通機関での通勤を避けるために、自宅勤務を要望したところ、待遇を変えずに聞き入れてもらえた方もいました。思い切って相談すれば、予期不安が起こりやすい状況を避けられるかもしれません。

    また、会議や朝礼という場が苦手という方も多く見受けられました。いつでも抜け出せるように許可をもらっておくと安心感につながります。そして、満腹感があると不安が増長される方は、集合前の食事量に注意すると良いですね。

    3.パニック障害のある方が職場で抱える悩みとその対策

    パニック障害のある方は、職場でどのような悩みを抱えているのでしょうか?口コミには、下記の悩みが多くみられました。

    【パニック障害の方の多くの方が抱える職場での悩み】
  • 苦手な環境や場面がある
  • 広場恐怖への不安がある
  • 突然のパニックや体調不良への不安
  • それでは、悩みを詳しく確認しましょう。その後、対策も考えてみます。

    3-1. 苦手な環境や場面があるという職場での悩み


    まず、パニック障害の方は苦手とする環境や場面を見てみましょう。

    【パニック障害の方にとって苦手な場面とその悩み】

    人が多い所や緊張する場面、運転をする、遠出をするなどをすると、具合が悪くなってしまうのではないかという恐怖から、冷や汗や動悸・口喝などが現れます。
    住宅・建材・インテリア・エクステリア、受付・窓口業務、女性

    伝票の入力などは全く問題がなかったのですが、電話での応対や急な注文など『予想外』なことが起こるたびにドキドキしてしまいました。
    食品・化粧品、女性

    仕事のタスクが複数になると、どうしても「焦る気持ち」からアドレナリンが出てきて「手が震える」「死ぬのではないのか」って感覚に襲われます。
    ソフトウェア・ハードウェア開発 コールセンター、オペレータ、男性

    何事もそうですが、調理に関する仕事でしたので、とくに時間に追われる意識が強くパニックや不安を感じることが多くありました。
    医療・福祉・介護、女性

    高圧的な話し方をされると萎縮してしまい、混乱してしまいます。
    ソフトウェア・ハードウェア開発、一般事務、女性

    感覚過敏により、明るい電気の職場にいられない(まぶしくて目を開けていられない、吐き気と頭痛がしてくる)。聴覚過敏により、何も無いのに気配を常に感じ、誰かがそこにいるような気がして恐怖感でいてもたってもいられずにパニックになる。
    専門店、接客、女性

    過去の出来事が頭をよぎり、不安になると思います。
    半導体・電子・電気機器、男性



    パニック障害のある方が苦手な状況の一例です。
    • 人が多い所
    • 緊張する仕事や場面
    • タスクが多く焦る場面
    • 時間に追われる場面
    • 高圧的な話し方をされる場面
    • 感覚を刺激する状況(感覚過敏、聴覚過敏など)
    • 過去の出来事を思い出させる場面
    それでは、苦手な場面や状況があるパニック障害のある方に対して、職場としてはどのようなサポートができるのでしょうか。

    【職場の対策①:相談しやすい環境と臨機応変な対応がある】

    なるべく店舗が混まない時間帯にシフトを組んでくれ、休憩時間も他の従業員と重ならないようにしてくれました。店舗が混んできたら、レジ打ちから商品整理に回し、負担を軽くしてくれました。出勤したら必ず体調の様子を聞いてくれてその日の業務を決めていました。
    小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、女性

    幸いにも、症状が出てくるシチュエーションに、一定の条件のようなものがあったので、ある程度周囲が気にかけてくれていました。
    メーカー・製造系、軽作業、男性

    接客や電話対応など不安に駆られそうな仕事からは外してくださいました。また、通院などの都合上、早退するときが多かったのですが、その際にもやりかけの仕事をスムーズに引継いでくださるなどの支援を行ってくれました。さらに、病気のことを勉強し、私を理解しようとしてくれる方もおり、とても嬉しかったです。
    団体・連合会・官公庁 その他、男性

    仕事が行き詰まっていることを感じ取って、代わりにタスクを進めてくれ、体調が優れない際の会議を代わってもらうなど、周りのメンバーには多大なサポートをしていただきました。
    ビジネスコンサルティング、男性

    人事の方に相談し 細かい休憩を取ることを許可してもらい、シフトを緩やかに入れ、自分を追い込まないようにしました。
    教育、女性

    淡々とこなす業務は得意なので、それができるように環境を整えていただいたことに感謝しています。
    専門店、経理、女性

    現在働いている職場では、機械音や線路が近くにある場所だったので、音が大きく、上司の方に聴覚過敏だからとイヤホンをしての作業許可を出してもらった。
    医療・福祉・介護、女性



    職場では、以下のようなサポートがありました。
    • 苦手な仕事は変わってくれる
    • 混雑するなど忙しさが予想できる時間に合わせて、仕事を変更してくれる
    • 症状が出やすいシチュエーションを理解し、避けられるよう対応してくれる
    • 追い込まれる前に休憩を取るなどして、気分転換をさせてくれる
    • 苦手だと感じない状況で働けるような配慮がある
    • イヤホンの利用など個々の要望を受け入れてくれる
    職場の配慮やサポートがあると、苦手な場面や状況を避けられるので、安心感につながります。

    そのような環境で働くためにも、自分のパニック症状が出やすい状況を把握しておくと同時に、上司や同僚に伝えておくとことをおすすめします。パニック障害への理解を得ることが、周囲のサポートを得るためには必要だからです。

    以下のようなアドバイスもありました。

    一番の不安要素が何なのかを明確にすることです。それがわからないまま仕事を探し、採用され、いざ仕事をしてもまた同じことを繰り返すことになります。まずはよく考え、不安要素の回避方法を作っておくことが大事です。
    半導体・電子・電気機器、男性

    メンタルが少しでも安定するように、できることなら怖いものには近寄らない 過去がフラッシュバックする状況から避ける。
    外食・フード、女性

    苦手なことを明確にして、企業分析をしっかりしたうえで求人を探した方がよいと思う。
    医療・福祉・介護、女性



    過去の不安を把握しておけば、それを回避することもできます。逆に不安要素が明確になっていないと、不安要素があるかもしれない仕事に就く可能性もあります。過去の不安を思い出す仕事に就かないように、苦手分野を明確にして企業分析をすることも重要です。

    3-2. 広場恐怖への不安があるという職場での悩み

    パニック障害の症状の一つに広場恐怖があります。広場恐怖とは、強い不安に襲われたときに「逃げられない」「助けてもらえない」という恐怖を抱く状態です。

    【広場恐怖への不安とその悩み】

    この病気は逃げ出せない環境下にあるといきなり発症するといった病です。そのことから、いつ恐怖が襲ってくるかで悩みました。
    医療・福祉・介護、男性

    満員電車に乗れない。狭い所が苦手。集団会場が苦手。
    設備・プラント、経理、男性

    緊張や疲れで過呼吸が起き、死ぬという恐怖に襲われる。とくに会議は薬を飲まないと出席できない。
    自動車・運輸・輸送機器、総務、女性

    一人の勤務だったので、プレッシャーがあって半年で辞めました。
    医療・介護・福祉、女性



    パニック障害の方は、電車や狭い場所、集団の中などで「逃げられない」と思うことや、一人になりだれも助けてくれないと思い込むことで、パニック症状を起こしやすくなります。職場でもそのような状況になることはあるため、とくに不安を感じる方も多いのではないでしょうか?

    では、職場ではどのような対応があると働きやすい環境になるのでしょうか?

    【職場の対策①:一人で働かなくてよい環境を整える】

    一人では絶対に働くのは困難だったと思います。病気を理解したうえで時間をずらしてくれるなどとても感謝しきれません。
    専門店、女性

    なるべく一人になるような仕事をもらわないようにして、複数でやる仕事を選び、迷惑のかかることがないようにうまく調節するようにしていました。
    専門店、女性



    一人になる状況ができると、パニック障害になったときに助けを求めることができない不安から、恐怖感が増幅してしまいます。シフト制の仕事であれば複数人が働いている時間帯にシフトを組んでもらうことで、一人の状況を避けることができます。

    しかし、上司に要望を伝えるのは、とても勇気のいることです。どうしても上司に相談できない場合は、本社の人事担当者に相談するのも一つの方法でしょう。

    本社の総務部の方からも上司に言いにくいことがあれば直接話を聞くとも言ってくれました。
    サービス・外食・レジャー系、清掃、女性



    日ごろ顔を合わせることがない方だと思えば、少し気楽に相談できるかもしれません。配慮を得るためには、自分から申し出て相談することも必要です。

    【職場の対策②:上司や職場の同僚が見守ってくれる】

    症状が出てしまったときに代わってもらえるよう、上司の手が空いているときは遠隔でモニタリングをしてくれていました。
    IT・通信・インターネット系、コールセンター・オペレータ、女性

    通話中に症状が出てしまったときは、別の担当に代わる旨だけはきちんと説明して、上司が対応を代わってくれています。どうしても理不尽なお客様に当たるとそういう症状が出やすくなってしまうため、手が空いているときは遠隔モニタリングしてくれています。 症状が出ても少しゆっくりすると落ち着くので、小さな個室のような休憩室を使わせてもらえるようになりました。
    IT・通信・インターネット系、女性

    仕事を続けていくのが難しくなったので、最終的に店長に相談したところ、発作が起きても恥ずかしいことではないから大丈夫。不安に思う気持ちがさらに症状を悪化させるのだから周りの人に助けを求めればきっと大丈夫。と言葉をかけてもらい気持ちが少し楽になりました。
    小売・流通・商社系、女性

    発作が起きそうなときは、一人になると余計出てしまうので一緒にいて、話しをそらして、とにかく明るい話やゲームの話をひたすらしてくれました。
    総合電機、女性



    一人でいることに不安を感じることを理解して、見守ってくれたり声かけをしてくれたりする職場、本当に素敵な職場ですね。頼れる人がいる中で働ける、それだけで不安を和らげることができ、結果として仕事の効率もあがるかもしれません。

    3-3.突然のパニックや体調不良への不安に関する職場での悩み

    パニック障害は、症状が突然あらわれることもあります。また、パニックになるだけでなく、さまざまな体の不調を引き起こすため、仕事への影響を心配する声も多く聞かれました。

    【突然のパニックや体調不良への不安に関する悩み】

    体調が悪くなりやすい、少しのことでも不安になる、過呼吸を起こすと迷惑がかかる。
    医療・医薬 その他、事務、女性

    過度なストレスにより、クラクラしたり気持ち悪くなり、過呼吸になったり。急に不安が襲ってきて、起きていられなくなり、寝ていても治らない。
    小売・流通・商社、販売・接客・サービス、女性

    突然のしんどさ、心拍数の上昇、動悸、めまい、吐き気、逃げ出したくなる気持ち、不安感。 先の予定が入っていると、プレッシャーになり、体調を崩しやすい。
    不動産・建設・設備、人事・経理・総務・企画、女性

    緊張度が高い、パニック発作、離人感、手の震え、睡眠障害(不眠)、摂食障害(嘔吐なし過食拒食)、風邪を引きやすい、ストレスが蓄積されると朝動けなくなる、吐き気やめまいなどで身体の自由がきかない、胃痛や頭痛。
    メーカー・製造系、事務、女性



    同じパニック障害でも症状には個人差があり、その内容は多岐にわたります。

    では、突然のパニック症状や体調不良になったときに、職場でどのような対応があると働きやすい環境になるのでしょうか?

    【職場の対策:体調不良時にサポートしてくれる】

    就業時間中に具合が悪くなったら、別室で休んでも大丈夫だった。仕事量を減らしてもらえた。
    事務、女性

    外出できない時期がありましたが、内勤にしてもらえたりしました。
    IT・通信・インターネット系、事務、女性

    急遽、仕事中に体調が悪くなった際に嫌な顔せずに早退していいと言ってくれた。
    サービス/外食/レジャー系、軽作業、女性

    顔色が悪そうなときには、ピーク時でなければポジションを裏方と変わってくれ、少し座ってできる仕事(チラシ折りなど)をさせてもらえることもありました。
    サービス・外食・レジャー系、女性

    パニックになったときに、どのようにしてほしいかをあらかじめ紙に書いて伝えておいたため、落ち着いて対処してもらいました。また、体調の悪いときは無理をせず休んでもいいよと声をかけてくれ、月に2、3回は休んだり別室で仕事をしたりしていました。
    コンサルティング・専門サービス系、女性

    急に発作が起きたときも慌てず椅子や横になれるようにすぐに準備してくれた。
    小売・流通・商社系、女性



    ちょっとした体調の変化でも仕事を代わってくれたり、休ませてくれたりする職場のサポート体制は心強いものです。また、職場の同僚が発作時の対応を知っていてくれると、より安心して働くことができます。

    発作時の対応は、周知されにくいものです。だからこそコメントにもあったように、あらかじめ発作時の対応を知っておいてもらうことが大切です。一緒に働く職場の同僚も、対応方法を知ることで、自分がどのような行動をとればよいかを心得ることができます。

    紙に書いて渡しておけば、いざというときに役立ちます。お願いの仕方にも工夫を施すと良いですね。

    4.転職や就活ではパニック障害をオープンにするかクローズにするか

    パニック障害の方の多くは、障害をオープンにするか、クローズにするかということで悩むのではないでしょうか?それは、伝えるか伝えないかで、働き方が大きく異なるからです。

    では、オープンにした方(障害者雇用枠で働いている方)、クローズにした方(一般雇用枠で働いている方)では何が違うのでしょうか?

    4-1. パニック障害をオープンにした方の体験

    まずは、パニック障害であることをオープンにした方のコメントです。オープン就労で良かったと感じること、逆に悩んだことはどのようなことでしょうか?

    【オープン就労のメリット】

    理解者や配慮をしてくださった支援者の方が多くて助かりました。参考になれば幸いです。
    チェーンストア・スーパー・コンビニ、男性

    障害をオープンにして受けられる支援を最大限に活かせば就労支援員の方や人事担当の方が打ち合わせをしていろいろな問題解決に向けて取り組んでもらえますし、環境を改善してもらえます、そして、就業できた、という自信にもつながる。
    団体・連合会・官公庁、女性

    職場でパニック障害があることを、オープンにして働いてきましたが、理解のある上司だと発作が出そうな状況を避けてくれるようになり、かなり気にかけてくれるようになりました。
    専門店、女性



    オープン就労では、発作が起きそうな状態を回避しやすくなります。整えられた環境で働き続けることで、パニック障害があっても働けるという自信を得られるようになるでしょう。

    【オープン就労の悩み】

    パニック障害と聞いた瞬間、精神的な病気なので腫れ物にでも触るかのように扱われるので、発作が起きたときのために、ある一部の人にしか話してなかったのですが、パニック障害と知らない人の前で発作が起きた時が大変でした。
    総合電機、女性

    私は今回、クローズで決めていたのに、結局、上司には障害のことを話しました。でもまわりの人達は私の障害のことは知らなかったので、結局、中途半端でした。
    サービス・外食・レジャー系、女性



    オープンにしたいけれど、職場の反応が心配という方は、まず先に、上司に相談してみるのも良いかもしれません。しかし、コメントにもあったように、誰にまで伝えるかは発作時の対応の有無にもつながります。発作時に必要な対処法を考慮しながら、誰に伝えるか、そのためには何が必要かを上司と話し合ってみましょう。

    【オープン就労についてのまとめ】

    オープン就労にすることで、発作に備えた職場で安心して働くことができるでしょう。
    オープン就労にすると、気を使われるという方もいますが、それで困るという口コミはあまり見られませんでした。その点からもオープン就労にするメリットは大きいのではないでしょうか。

    ちなみに、気を使われてしまう背景には、パニック障害を正しく理解されていない状況にも問題があります。
    オープンにするときは、誤解を与えない努力も必要です。発作が起きやすい状況を伝えたり、発作が起きた時の対処法を説明したりすることで、職場の同僚のパニック障害への考え方も変わるのではないでしょうか。


    4-2. パニック障害をクローズにした方の体験

    次に、パニック障害であることをクローズにした方のコメントです。クローズ就労で良かったと感じること、逆に悩んだことはどのようなことでしょうか?

    【クローズ就労のメリット】

    職場の同僚からは、普通に接してもらえました。自分は障害のことを隠したりしました
    チェーンストア・スーパー・コンビニ、男性

    職場ではクローズでしたが、事情を知る身近な友人や家族が常に気にかけてくれていました。
    レジャー・アミューズメント・フィットネス、女性



    クローズにすることで普通に接してもらえ、そのほうが働きやすいと感じている方もいるようです。ただ、職場でサポートが受けられないので、発作の頻度や程度により、不安を感じることもあるでしょう。

    【クローズ就労の悩み】

    職場でオープンにしていなかったので、とくに対応はありませんでした。
    医療・福祉・介護、女性



    当然ながらクローズにして就労すると、職場の同僚からのサポートや配慮は受けられません。発作時に対処できない点は、リスクが高いと言わざるを得ません。

    私の場合、面接で病気のことを言ってしまうとほとんどの会社の面接で落ちます。なので、面接では病気のことを隠し働きなれた頃に、相談として病気のことを打ち明けたりもしましたが、その時点でクビです。
    団体・連合会・官公庁、女性



    このように、オープンにすることで面接に落ちてしまうケースもありました。しかしそれは、企業の問題です。そのような企業に採用されたとしても、配慮やサポートを得ることは難しく、長く働き続けることはできないでしょう。 むしろ、長く働くにはふさわしくない会社だということを、入社前からわかって良かったと思うほうが良いかもしれません。

    病院から安定剤をもらってやり過ごしていましたが、人間関係が良くても、会社の人手不足などに気をもまれやすく、できないところにも手を伸ばしては自責の念を感じていました。クローズでの勤務でしたが、やはり理解してもらうよう努めるほうが良かったかもと今は思います。
    医療・福祉・介護、女性



    クローズにして働くことが難しく、最終的にオープンにしたほうがよかったと考える方もいらっしゃいます。

    【クローズ就労についてのまとめ】

    クローズ就労は求人数も多く、一見就職しやすく思えますが、サポートを受けながら働くことはできません。そのためか、はじめにクローズで働き、途中から状況が悪くなりオープンにする方もいるようです。しかし、結果として退職することになれば、より精神的なダメージは大きくなるかもしれません。

    そもそも、パニック障害をオープンにすることで面接が受からないような会社は、たとえ入社できたとしても、長く続けることは難しいでしょう。パニック障害への理解を得られない可能性が高いからです。

    理想の企業を見つけるには時間がかかるかもしれませんが、長く働き続けられる仕事を見つける場合は、パニック障害であることを受け入れる会社を探すほうが良いでしょう。

    5.パニック障害の方におすすめの企業・業界・職種

    5-1. おすすめの会社、企業名

    株式会社アインファーマシーズ
    従業員の方の理解力があって、体調に負担のないように働ける環境が整っていたところがおすすめです。体調が悪くなったらすぐに別室で休ませてくれたり、時には早退させてくれたりとフォローしてくれたとこが非常に助かりました。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★★
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    株式会社イカイアウトソーシング
    日本人だけでなく外国人も多く老若男女さまざまな人が多く働いていて、上下関係人間関係もほとんどなくみんな明るく優しい人ばかりで、いろいろと声をかけてくれたり配慮もしてくれ、さらに同じ作業の繰り返しなので難しいこともなく、集中してやりこなせることができたりととても働きやすい所でした。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★
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    株式会社ダルトン
    基本的に良い人が多い職場だと思います。人に気遣いができる人が多く、お互いに良い距離感を持ち仕事を進めています。営業はノルマがありますが、達成していなくとも強く責められることなどはありません。パニック障害を打ち明けた時も、自然と受け入れてくれる人が多いと感じました。また、満員電車に乗れなくなったため、朝の出勤時間をずらしていただけました。
    満足度:★★★★★
    配慮 :★★★★★
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    株式会社農業法人モクモク
    職場の上司や同僚の方の雰囲気が良く、わからないところできないところを責めるのではなく、優しく教えてくれます。職員の位が高くなればなるほど会社の掃除を一生懸命にされている様子に感銘を受けたのを覚えています。私以外にも何名か精神疾患や他の障害を持った方が働いているのも見受けられます。「区域の人にお世話になっているから区域の人に還元したい」という気持ちを持った企業だと思います。
    満足度:★★★★★
    配慮 :★★★★
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    津田産業株式会社
    自分の病気のことをとても周りの人が理解してくれてみんなでサポートしてくれている。少しでも異変を感じたら報告しやすい職場環境を作ってくれていてとても感謝している。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★
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    パナソニック株式会社
    優しく丁寧に教えてくださりました 健常者と障害者が助け合って仕事をしている雰囲の職場でした。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★
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    FPサービス株式会社
    まずは残業なども少なく、無理をさせないという環境でした。また状況に合わせ通勤の時間帯を変更してくれたり、疲れにくい高価な椅子を購入してくれたりと、とても理解のある職場でした。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★
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    5-2. おすすめの業界・業種

    では次に、パニック障害の方におすすめの業界や業種について考えてみます。 といっても、業種や業界も様々、そして症状や特徴もそれぞれ異なります。
    そこで1つの手がかりとして、アンブレに届いたパニック障害の方からの口コミ約330件をもとに、統計をとり傾向を分析しました。

    まずは業界について見てみましょう。

    パニック障害の方が働いている業界の割合
    パニック障害の方が働いている業界別満足度グラフ


    多くの方が勤めている業界は、サービス・外食・レジャー系小売・流通・商社系で、全体の半数以上を占めています。かなり多くの方がこの2つの業界で働いていることがわかります。

    一方、満足度が最も高い業界は、IT・通信・インターネット系サービス・外食・レジャー系となりました。

    とくに「サービス・外食・レジャー系」の業界は、働いている方も多くその58%の方が満足しているという結果であったということは、おすすめの業界といえるのかもしれません。

    次は、職種について見てみましょう。

    パニック障害の方が働いている職種の割合

    パニック障害の方が働いている職種別満足度グラフ


    多くの方が勤めている職種は、販売・接客・サービス事務でした。そして満足度が高い職種は、軽作業人事・経理・総務・企画という結果になりました。

    皆さんの予想はどの業界と職種でしたか?
    業界と職種に関する詳しい調査結果は以下のコラムでご覧いただけます。ぜひ参考にしてみてください。

    パニック障害の方の転職、330人の実体験を調査、向いている仕事は?

    また、パニック障害の方が働いている企業が一覧で確認できます。
    満足度の高い企業や気になっている企業の口コミはこちらから。

    では、このような企業はどのように探せばよいのでしょうか?
    次は仕事の探し方を確認していきましょう。

    6.求人の見つけ方

    6-1. 働き方によって選べる採用枠「一般枠」と「障害者雇用枠」

    求人には、一般枠(=クローズ就労)障害者雇用枠(=オープン就労)があり、障害者手帳を所持している方は、どちらにも応募することができます。

    先述のように、パニック障害をオープンにするか、クローズにするかといった悩みは応募できる雇用形態にも影響してきます。
    少し重複する部分もありますが、もう一度簡単に説明します。

    一般枠は、病気や障害があることを伝えず、障害のない方と同じように働きます。職種の選択肢も広く、昇進や昇給などの機会も望めます。しかし、パニック障害への理解は得られにくく、職場の同僚からのサポートを受けることは難しいのが現状です。

    障害者雇用枠は、病気や障害があることを伝えて働きます。そのため、病気や障害についての理解が得られ、職場の同僚からのサポートも受けやすく、働きやすい職場環境が期待できるでしょう。

    ▼障害者枠(オープン)や一般枠(クローズ)についてはこちらでもご紹介しています。
    障害者枠(オープン)か一般枠(クローズ)か?メリットとデメリットを解説

    5-2. 求人の見つけ方

    ①ハローワーク

    ハローワークには、病気や障害のある方専用の窓口があり、就職や転職についての相談が可能です。障害者雇用の求人情報も多く扱っています。

    実際にハローワークを活用した方の口コミが届いていますので、紹介します。

    ハローワークの相談員の方には、職務経歴書や履歴書の添削まで、丁寧に対応していただきました。
    物流・倉庫、一般事務、女性

    障害の状態を伝えて働けるか相談をして、就労できるようにしてくれました。
    小売・流通・商社系、接客 女性



    ▼参考: 厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」

    ②人材紹介会社

    病気や障害を抱え働くことに不安を覚えている方の就職活動を支援する、専用の人材紹介会社をご存知でしょうか?

    人材紹介会社は、履歴書の書き方や面接の練習、おすすめする企業の紹介や事前見学の調整、入社後の相談など、全面的なサポートを行っています。

    ハローワークでは公開されていない求人情報も扱っています。また、企業との連絡が密なので、ホームページや求人票からは得られない職場環境などを知ることもできます。

    一人で行う就職活動との違いは、自分に向いている企業や働き方を、専門家が助言してくれる点です。担当者と一緒に不安を取り除きながら就職活動を進めていくことができるでしょう。

    口コミにも、専用の人材紹介会社を活用した方の声が多くあります。

    応募する際に事前に自分が抱えている障害を告げ、勤務可能な環境かを確認してくれた。
    ソフトウェア・ハードウェア開発、コールセンター・オペレータ、女性

    人材紹介会社の担当者と自分の体調について細かく面談をして今の自分にできる範囲での仕事選びをしてくれた。また入社した後も再々連絡をしてくれて困ったことがないかなど気にかけてくれている。
    専門商社、仕分け・商品管理、男性



    しかし、人材紹介会社も一つの企業です。紹介できる企業の得意分野や担当者の性格はさまざま。自分の希望や意見が伝えやすく、理解してくれる人材紹介会社かどうかをチェックしましょう。

    次は、気になる企業の情報収集について紹介していきます。

    ▼障害者雇用の求人サービスについてはこちらでもご紹介しています。
    ハローワークだけじゃない、障害者雇用枠の求人はここでも!求人サービスを紹介

    7.企業情報の集め方

    企業サイトや募集要項だけでは、あなたが働くことになる職場の雰囲気はつかめきれません。できるだけ自分の目で確かめることが大切です。

    7-1. 事前に見学して企業の雰囲気を確認

    企業によっては、事前に職場を見学させてくれる所もあります。人材紹介会社に登録している方は、アドバイザーをとおして見学を申し出ることもできます。まずは、見学ができるかを確認してみるといいでしょう。口コミにも、職場を見学することで、面接ではわからない職場の雰囲気が知れるとの意見が多く見られます。

    【就職する前に職場見学をした方からのアドバイス】

    もし、今から職場を探すのでしたら、自分の通勤ルートの確認と可能でしたら職場見学をしたうえで安心して働けそうな会社を選ぶといいかと思います。
    通信、女性

    7-2. 面接はその企業を良く知るチャンス

    面接は、企業があなたを審査するだけの場ではありません。大事なのは、あなたが企業に求めるものと、企業があなたに求めるものが合致することです。

    不安や疑問は、面接で質問し解決しておきましょう。質問する内容は、口コミも参考になります。

    【面接のアドバイス】

    受かるために病気のことは伏せておきましたが、発作が起きたら困るから、きちんと理解してもらってから面接したほうがいい。 今の職場の人には、伝えたので安心して勤めています。ポケットの中には、頓服忍ばせていますが…。
    医療・福祉・介護、女性



    緊張しすぎて、面接では何も質問できなかったということがないように、質問する内容は、あらかじめまとめておきましょう。余裕をもって面接にのぞむためには、事前準備が大切です。

    病気とうまく付き合いながら働ける職場かどうかを見極めるためにも、面接を活用しましょう。

    8.専門家からのアドバイス

    仕事探しを考えているパニック障害のある方へ、障害者雇用の専門家 みちしたさんからのアドバイスを紹介します。

    ■働くことを迷っているパニック障害のある方へ

    「仕事をしたいけど上手くやれるか不安」と感じている方も多いと思いますが、この記事からもわかるとおり、多くの人がパニック障害と向き合いながら活躍しています。

    しかし「それでも不安」という方もいると思います。そんな時は一人で悩むのではなく、周囲にアドバイスを求めることも大切です。頭の中に抱えている仕事や生活に関する悩み・不安は誰かに相談するとで解決できることもあります。
    「仕事に自分を合わせるのではなく、自分に合った仕事を見つけよう」と、考え方を変えてみましょう。

    ■これから働くパニック障害のある方へ

    「働きたい」と思うことはとても大切です。現代は、あなたの手助けをしてくれるサービスがたくさんあります。

    記事でも紹介がありましたが、自分がパニックになる原因を知り対策していくことは大切です。過度なストレスで症状が悪化してしまう方や、予期不安などの悩みを抱えている方も、自分に合った対策をしながら社会で活躍しています。

    自分を理解してくれる会社を見つけることが、自分らしく生き、より良い生活に繋がる第一歩になります。

    9.最後に

    これまでの内容をまとめます。

    ■パニック障害の特徴による悩みと対策

    パニック障害の特徴による悩みには、過度なストレスが症状に影響を与えることがあげられました。ストレスへの対策には、下記のような工夫が有効です。

    ・目の前のことに集中して自分の世界に入る
    ・ストレスを感じる前に思い切って休む
    ・場合によっては自律訓練法で気持ちや体調を安定されるのも効果的
    ・余裕を持った行動を心がけ、気持ちを落ち着かせる

    また、過去に経験したパニックの再発を恐れる予期不安も悩みの1つです。予期不安への対策には、下記の方法で不安を和らげる方がいらっしゃいました。

    ・リラックスできる音楽などを活用して気を紛らわす
    ・薬や飴、グミ、ガムなどを用意して気分を落ち着かせる
    ・苦手な場所やシチュエーションをあらかじめ避ける

    ■パニック障害のある方が職場で生じる悩みとその対策

    パニック障害のある方が職場で直面する悩みには、パニックになりやすい環境や場面に遭遇することでした。職場にも苦手な環境があるかもしれません。
    苦手な環境をさけるためには、予め緊張しない仕事・職場を見つけることも対策の1つです。また、以下のようにパニック障害への理解を得ることでサポートを受けながら働く ことも、検討するとよいでしょう。

    パニック障害への理解により得られる職場のサポート例
    • 相談できる環境を整えてもらう
    • 高圧的な態度や話し方が苦手であることを知ってもらう
    • イヤホンやサングラスを装着する許可をもらう
    • 過去に不安感じたことを避けられる仕事の仕方を考えてもらう

    パニック障害の方には、「逃げられない」「助けてもらえない」という不安を抱く広場恐怖に悩む方もいます。広場恐怖には、職場で下記のような対策が講じられると有効です。

    • 可能な限り一人で働かないように時間をずらしてもらう
    • 複数でできる仕事を行うように調整してもらう

    ■パニック障害をオープン・クローズにしたときの比較

    転職や就活を行う上で、パニック障害をオープンにするか、クローズにするかも多くの方が悩むポイントです。まずは、ご自分の症状を一番に考え、どのようなスタイルで仕事を行うことがベストなのかを考えましょう。通院や急な体調不良による休みを必要とする場合は、配慮やサポートを受けやすいオープン就労=障害者雇用も検討すると良いでしょう。

    パニック障害と付き合いながら、理想の仕事や職場で働いている方も多くいらっしゃいます。パニック障害の方におすすめの企業や業界、職種には傾向がみられますので、口コミも参考にしてみましょう。

    これまでにご紹介した口コミは、ほんの一部です。症状も企業の対応もそれぞれ異なります。まずは自分の症状や、できることできないことについてまとめてみましょう。そして、自分に向いている職場を自分のペースで見つけてください。

    そして、気になる企業の様子は、事前に自分の目で確かめることをおすすめします。求人票ではわからない企業の様子を知るためにも、ハローワークの専門スタッフに相談したり、人材紹介の専門アドバイザーと一緒に就職活動を進めたりするのも良いですね。

    さまざまな企業の中で、あなたが幸せに働ける環境に出逢えることを、私たちは心から願っています。

    ※この記事は投稿いただいた口コミから生まれています。
    皆さんの貴重な体験談は多く方へ届き役立ちます。ぜひ体験したこと、感じたことを教えてください。

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    社会福祉士・精神保健福祉士の資格を取得。障害者支援施設にて支援員を8年経験した後、福祉資格を持つ地方公務員として採用され、ソーシャルワーカーとして活躍。現在はフリーのWEBライターとして、福祉に関する情報を発信している。

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    障害、病気のある方の企業や仕事に関する口コミサイト「アンブレ」を運営中。 丁寧な取材や口コミの分析を通して、病気や障害の特性に配慮した働き方や仕事との向き合い方を提案。理想の職場に出会うための、そしてより働きやすくなるための情報を発信しております。障害や病気があってもぴったりの仕事を。

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