うつ病のある方が仕事を続けるために必要なこと

うつ病のある方が仕事を続けるために必要なこと

うつ病のある方の中には、うつ病とうまく付き合いながら仕事している方もいらっしゃれば、「仕事のやる気が出ない」「体調に波がある」など、特有の悩みを抱えている方もいらっしゃいます。

仕事に悩んでいる方は、同じようにうつ病を抱えながら仕事をしている方々の声に耳を傾けてみましょう。 今回のコラムでは、999人のうつ病の方の口コミをもとに、

・仕事の悩みとその解決法
・仕事の探し方

などに関するアドバイスを紹介していきます。

また、障害者雇用の専門家 水谷愛さん(精神保健福祉士、公認心理師)にもアドバイスをいただきました。

仕事についての悩みや不安を解決するために役立てていただけますと幸いです。

*この記事は水谷愛さんに監修していただきました
水谷愛さん

精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)、公認心理師、臨床心理士、産業カウンセラーの資格を取得。精神障害者デイケアにて5年、スクールカウンセラーとして10年、発達障害者就労支援センターにて4年の経験を積み、現在は障害者就労移行支援事業所にてサービス管理責任者として勤務しています。著書『「がんばり屋さん」のこころのトリセツ』も好評。


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目次

1. うつ病とは

2. うつ病の特性による仕事の悩みと工夫

3. うつ病の方が職場で抱える悩みと工夫

4.転職や就活ではうつ病をオープンにするかクローズにするか

5.転職や就活の参考に、うつ病の方におすすめの企業・業界・職種

6.求人の見つけ方

7.企業情報の集め方

8.専門家からのアドバイス

9.最後に

1. うつ病とは

【うつ病とは】

    うつ病は、気分障害の一つです。一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいといった身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じている場合、うつ病の可能性があります。気分障害には、うつ病の他に、うつ病との鑑別が必要な双極性障害(躁うつ病)などがあります。うつ病ではうつ状態だけがみられますが、双極性障害はうつ状態と躁状態(軽躁状態)を繰り返す病気です。うつ病と双極性障害とでは治療法が大きく異なりますので専門家による判断が必要です。

    ▼参考:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス うつ病」
日本では、100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているという調査結果もあります(厚生労働省「みんなのメンタルヘルス うつ病」より)。

うつ病になる原因が、仕事であるという方もいらっしゃるでしょう。そういう場合は、原因となるものを遠ざけた環境が必要になってきます。まずは、ストレスを生じる原因などを医師に相談しながら見つけることが大切かもしれませんね。

そして、症状の緩和を試みながら、うつ病とうまく付き合って仕事をしている方も多くいらっしゃいます。今回は貴重な体験談をヒントに、働き方の工夫を学んでいきましょう。

2. うつ病の特性による仕事の悩みと工夫

うつ病の症状には、個人差があります。しかし口コミをみていくと、うつ病のある方が仕事をするうえで抱える悩みには、いくつか共通点がありました。

【うつ病による仕事の悩み】
・落ち込みやすい
・やる気が出ない、意欲が低下する
・体調を崩しやすい
では、悩みの具体的な内容とその対策をみていきましょう。

2-1. 落ち込みやすいという悩みとその対策

うつ病のある方で、仕事をしている方(もしくは仕事をしていた方)の口コミをみると、仕事中の出来事や、上司もしくは同僚などからの指摘により落ち込みやすいという悩みが寄せられました。

【悩み】

気分の落ち込みや意欲の減退が症状として現れます。出社ができなかったり、出社しても仕事に集中できなかったりすることが困る点です。
専門商社、購買業務、仕入れ、男性

ミスをしたり注意されたりすると落ち込んでしまい、お酒に逃げてしまいます。眠れないことが多く、昼間が辛いです。
専門店、物流、運搬、運転手、男性

些細なことで落ち込む。失敗するとそのことばかり考えてしまい、立ち直れない。気力がわかず、毎日出勤するのが大変。
医療・福祉・介護、医療関係、女性

落ち込みやすく、周囲からの小さな指摘も大きくとらえてしまい自信を無くしてしまう。 次第に、また指摘されてしまうのではないかという恐怖心にさいなまれてゆき、仕事にとりかかれなくなる。その間にもどんどん仕事はたまってゆき身動きがとれない状態になる。またストレスが体調にもあらわれ、難聴・味覚障害・睡眠障害などにもなり働けなくなった。
証券・投資銀行、一般事務、女性

精神に波があり、状態が悪くなると長い間気分が落ち込んだり、必要以上に不安感を覚えたり自己嫌悪に陥ったりする。
医療・医薬、一般事務、男性

仕事中にもかかわらず、気分が急に落ちこんでしまうことがある。人と会話するのもつらくなったり、逃げだしたくなったり、情緒が不安定になってしまう。少しの間一人で休めば気持ちが安定する事が多いが、なかなか他の人には理解してもらえず、気をつかわせ困らせてしまう。
医療・福祉・介護



仕事中のミスや、上司もしくは同僚の発言などにより気分が落ち込んでしまうことで、集中力が保てなくなり、仕事に支障が出てしまうという悩みがあげられていました。また、自分のミスについて考え続けてしまうことで不眠につながり、仕事に影響が出てしまうという状況もうかがえます。

こうした悩みについて、工夫や対策を講じながら仕事をしている方々もいます。口コミを見てみましょう。

【対策や工夫】

時間を区切って集中して仕事を行い、休みを適度に入れることを心掛けています。
専門店、物流、運搬、運転手、男性

就業時間以外は心と身体の休養を十分にとり、なるべく症状が緩和されるよう工夫しました。
専門商社、購買業務、仕入れ、男性

精神的にも身体的にも無理をしすぎないことを大前提に考え、人間関係などはあまり考えすぎないようにしています。こちらが思っているほど周囲は自分のことを気にしていないと肝に銘じて、できる限り目の前の仕事に集中するようにする。
医療・医薬、一般事務、男性

トイレに行ったり外に出て深呼吸したりしながら、気持ちを落ち着かせています。
自動車・運輸・輸送機器、コールセンター、オペレータ、女性

アロマオイルをハンカチに少量たらし、休憩時間に香りでリラックスしています。
建築・建設・設計・土木、一般事務、男性

休みの日には、家にいると仕事のことばかり考えてしまっていたので、息抜きできるように外出していました。
団体・連合会・官公庁、医療関係、女性



うつ病のある方は、落ち込む出来事があると、そのことばかり考えてしまいがちです。それを避けるために、仕事中はこまめに休憩をとって気分転換を図るという対策が多く寄せられていました。

具体的な気分転換の方法としては、以下のような方法が挙げられました。

  • トイレの個室でひとりの空間を確保する
  • 外の空気を吸う
  • リラックスできるアロマオイルの香りを嗅ぐ

  • 落ち着きを取り戻し、気分転換ができる自分なりの方法をみつけることが、落ち込んだ気持ちを取り戻するのに有効です。

    また、落ち込んでいる時は、「上司や同僚は自分のミスや失敗をどう思っているのだろう」というように、周囲の目が気になってしまうこともあるでしょう。周囲の目を気にして仕事に集中できなくなることで、更にミスをしてしまうという悪循環は避けたいものです。

    こうした悩みへの対策としては、以下の方法が挙げられました。

  • 目の前の仕事に集中して周囲の反応を気にする余地を極力減らす
  • 「自分が思っているほど周りは自分のことを気にしていない」と考える

  • これらによって、自分のことを周囲がどう思っているのか、なるべく考えないようにすることも、効果的な工夫です。

    そして、落ち込みやすい方は、ミスや指摘された事柄など落ち込む要因となった出来事を仕事以外の時間にも繰り返し考えてしまうという傾向がありました。

    こうした状況への対策としては、以下の方法が挙げられました。

  • 休日など、仕事以外の時間はリフレッシュすることを心がけ、落ち込む要因となった出来事をなるべく考えないようにする

  • 睡眠や休養を取ることはもちろんですが、家にいると落ち込む要因となった出来事について考えてしまう方は、外出をするということも有効な対策となるでしょう。

    2-2. やる気が出ないという悩みとその対応策

    うつ病の方の中には、あらゆることへの興味が無くなり、やらなければいけないこともできないという方がいます。仕事に対する気力も無くなってしまうことが、悩みとして多く挙げられました。その様子を見てみましょう。

    【悩み】

    ひどい倦怠感や無意欲となることがしばしばあり、年次休暇では足りず病気休暇を取ってしまう。
    ビジネスコンサルティング、エンジニア・技術職、男性

    仕事の失敗を周囲に相談できず自分の中で溜め込んで、一定の許容を超えると破裂した風船のように気力が減退して、何もすることが出来なくなる。
    ソフトウェア・ハードウェア開発、エンジニア・技術職、男性

    日常生活でいろいろな事をするのが億劫になったり、塞ぎ込んだりしてしまう。ストレスに対する耐性がないので、仕事が終わるとぐったりしてしまう。
    チェーンストア・スーパー・コンビニ、接客、男性

    意欲低下、不眠、集中力の低下等、思考停止、手や足の震え、自分が自分でない感覚、めまいがあり、パソコン業務に間違いが増えたり、約束を忘れたりすることが増えた。ストレスが溜まると、症状が出やすくなる。
    医療・福祉・介護、一般事務、女性

    疲労感や倦怠感、睡眠障害からくる意欲低下でやるべき仕事が手につかないことや、出勤できないことが何度もありました。
    生命保険・損害保険、一般事務、男性



    倦怠感があることや無気力になることで、出勤そのものができなくなってしまう方や、仕事に行くことができたとしても、仕事が手につかない方やミスが増えるという方もいます。

    こうした意欲の低下に対しては、自分なりの対策や工夫を講じている方がいます。具体的な工夫をみていきましょう。

    【対策や工夫】

    仕事の途中で水分補給の時間を取ってもらっている。手抜きにならない範囲で、張り詰めた神経を休ませるようにしている。
    チェーンストア・スーパー・コンビニ、接客、男性

    仕事を抱えすぎないようにする。倦怠感を感じる前に休憩を挟む。
    運輸・交通、医療関係、女性

    薬を飲み続けることはもちろん、無理して仕事をして周りに迷惑をかけないために早退や遅出をしました。
    生命保険・損害保険、一般事務、男性

    一人で抱え込まず誰かに相談し、家事などは家族に助けてもらいながら、できるだけ体を休ませるように心がけた。
    医療・福祉・介護、医療関係、女性

    朝はヨーグルトと野菜ジュースを飲む、昼食はなるべく魚を食べる、夕飯は白飯を食べないなど、食生活の改善をしている。また、起床時に太陽を浴びるようにした。
    システムインテグレータ、エンジニア・技術職、男性



    倦怠感や意欲の低下を抱えながら仕事をしている方からは、倦怠感や疲労感で動くことができない状況になってしまう前にできる対策が、多く寄せられました。

  • 服薬管理をする
  • 仕事中にこまめに休憩をとる


  • 休憩時間が決められている職場であれば、自由に休憩をとることは難しいかもしれません。そういう方は、疲労を感じたらトイレ休憩や水分補給をすることで、気分転換することを心がけています。少しの時間でも仕事から離れるタイミングを作り、一息つくことは、怠けやサボりではありません。仕事を続けるための大切な工夫のひとつです。

    倦怠感や意欲の低下、疲労感などで仕事をすることそのものが困難な場合は、周囲に相談してお休みをいただいているという口コミが多く寄せられていました。自らの症状の傾向について職場に事前に知らせておくことで、欠勤についても職場に相談しやすくなります

    なお、うつ病について職場に知らせることのメリットやデメリットについては、後述の「4.転職や就活ではうつ病をオープンにするかクローズにするか」にて詳しく触れます。

    職場以外でできる工夫もあります。家族に協力してもらい、家事などを分担することもそのひとつです。同居している家族がいる場合は、家事を分担することで、日々の負担を少し軽くすることができますね。

    更に、職場以外でできる対策には、以下のような工夫も寄せられました。

  • 食生活の改善を心がける
  • 起床してから日光を浴びる

  • 健康な体を維持することは、体調だけでなく心を健やかにすることにもつながります。一人ひとり体や生活の状況が異なるため、口コミに寄せられた食生活が全ての人に当てはまるとは限りませんが、専門家に相談したり食生活を見直したりすることで、体調を管理してみましょう。

    2-3.体調を崩しやすいという悩み

    うつ病のある方の中には、体調に波があることや、天候や季節、時間帯により体調が優れなくなるという方がいます。
    体調の変化は仕事にも大きな影響を与えますが、具体的にどのような悩みを抱えているのでしょうか。口コミをみてみましょう。

    【悩み】

    日によって異なる体調を整えるのが大変。出来ること、出来ないことが体調によって変わる。
    団体・連合会・官公庁、一般事務、女性

    日によって体調にむらがあり、仕事の効率が上がらないことがある。焦ると仕事に集中できなくなる。
    IT・通信・インターネット系、一般事務、女性

    体調が良い時は、頑張り過ぎて疲れます。体調が悪い時は、寝込んでしまいます。
    物流、運搬、運転手、男性

    体調が天候などにより左右され、急に休んでしまう。 また、急に涙が出てくることもあり自分の気持ちをコントロールするのが難しい。
    百貨店・量販店、接客、女性

    体調に波があり、朝ちゃんと起きられる時とそうでないときがある。感情のコントロールが難しいときもあるので、コンスタントに仕事をこなすのが難しかった。
    経理、女性



    その日の体調によって、普段はできている仕事ができなくなったり、進捗に影響が出たりしてしまうという口コミが多く寄せられました。 逆に、体調が良い時は、体調が悪かった時の遅れをカバーしようと頑張りすぎてしまうこともあるようです。

    それでは、体調の波が仕事に与える影響について、どのような対策や工夫が考えられるのでしょうか。口コミをみていきましょう。

    【対策や工夫】

    休憩は、できるだけのんびり過ごし、眠れるようなら仮眠することを心がけている。 疲れていると体調が悪くなることがあるため、リラックスするようにしているが気持ちをコントロール出来ないときは、頓服を飲む。
    百貨店・量販店、接客、女性

    長時間仕事に集中しないように1時間ごとに休憩を入れる。疲れたらストレッチや散歩をするようにしている。
    IT・通信・インターネット系、一般事務、女性

    気軽に相談できるような先輩や同僚を作って、頑張り過ぎないように止めてもらう。
    物流、運搬、運転手、男性

    天候が変化し、体調を崩しそうだと思ったら、早めに寝るようにすること。体調や気分がすぐれなくても無理をして仕事をしてしまうので、つらい時にはきちんとつらい状態だということを周りに伝えるようにすること。
    シンクタンク・リサーチ・マーケティング、エンジニア・技術職、女性

    できるだけ、決まった時間で動く。規則正しい生活を淡々とこなすことに取り組んでいる。
    生命保険・損害保険、営業、営業補佐、男性

    体調が良いときは調子に乗って仕事をしすぎないようにしてしまいます。また、定時に帰るように心掛けています。
    医療・福祉・介護、介護、男性



    体調が良い時は、体調が悪くて休んだ分まで頑張りすぎてしまうため、結局疲れがたまってしまう方が多くいます。体調の波を減らすためには、体調が悪い時への対処だけでなく、体調が良い時に頑張りすぎないということも大切なポイントです。

    しかし、「頑張りすぎない」と意識しても、いざ仕事に集中し始めると、自分が頑張りすぎていることに気が付くことは難しいものです。体調が良い時に無理をしないためには、上司や同僚など相談できる方を見つけ、頑張りすぎている時に声をかけてもらうという工夫も必要です。

    体調は、季節や時間帯、天候などに影響を受けることもあります。普段から規則正しい生活を心がけることや、体調が悪くなる予兆がある場合は早めに寝るなど、自分の症状の傾向を把握して予防的な対策をとっている方も多くいらっしゃいました。

    また、疲れを溜めると体調は崩れやすくなります。そのため、なるべく残業をせずに定時で帰るよう努めることや、休憩中に仮眠をとったり、ストレッチをしたりすることで、疲れをためない対策も意識してみると良いでしょう。

    3. うつ病の方が職場で抱える悩みと工夫

    口コミをみていくと、うつ病のある方は、職場にて以下のような悩みを抱えやすい傾向があることがうかがえました。

    【うつ病の多くの方が抱える職場での悩み】

    ・朝起きられない、午前中は体調が悪いなどの理由により午前の仕事に支障が出る
    ・体調の波があることで急な休みを要する
    ・うつ病を発症した要因や悪化させる状況を避ける必要がある
    具体的な悩みの状況と、悩みを解決するために必要な職場の対策を、口コミからみていきましょう。

    3-1.午前の仕事に支障が出るという職場での悩み

    うつ病の方の中には、朝が辛く、調子が悪いという方が多くいらっしゃいます。朝に体調が優れないことは、出社の可否に直結してしまいます。

    【職場の悩み】

    朝(午前中)に絶望感を感じ、全く集中できない。また、落ち込んだ気分が1日中続き、頭の働きも悪くなる。
    団体・連合会・官公庁、一般事務、男性

    将来に関する不安感が増し、人間関係が悪化すると不眠と過眠を繰り返してしまう。そして朝起き上がれなくなる時は仕事に遅刻してしまう。
    チェーンストア・スーパー・コンビニ、接客、女性

    朝に抑うつ状態になることが多く、布団から出られない日がしばしばありました。「お客様に怒られるのではないか」「困ったお客様が来たらどうしよう」「失敗したらどうしよう」という不安が頭の中をぐるぐるして、体が鉛のような状態になります。そのため、欠勤や遅刻をしてしまう日がありました。
    百貨店・量販店、女性

    うつ病のため、夜の寝付きが悪く、朝起きるのも辛いです。夜寝るためには精神安定剤、睡眠導入剤が欠かせません。日によりますが、睡眠剤の効果が翌朝まで残っていることもあり、朝は半分眠った状態で出勤することもあります。やはり午前中を中心にやる気が出ないことが多く、午後になってようやくエンジンがかかってくる日が多くあります。
    シンクタンク・リサーチ・マーケティング、男性

    うつ病の場合、朝に具合が悪く、午後から夕方にかけて調子が戻ってくるという日内変動というサイクルがあります。このため、出勤する時間に「今日は出勤時間を遅らせたい」「今日はもう動けない」と考えてしまい、遅刻・欠勤につながってしまうことが多かったです。
    団体・連合会・官公庁、女性



    朝の辛さは、不眠や服薬の影響を受けていることも多く、自分の工夫だけで解消できることは限られるかもしれません。

    また、朝や午前中の気分の落ち込みや体調不良の影響は終日に及ぶという方もいれば、午後になるとだんだんと調子が戻ってくるという方もいます。「朝が辛い、午前中に調子が出ない」という悩みも、その状況は様々です。

    また、朝が辛く午前中に体調が優れない方は、遅刻や欠勤が多くなってしまうことも悩みにつながっています。

    それでは、こうした悩みを抱えている方に対して、職場ではどのような対策ができるのでしょうか。

    【職場の対策】

    朝起きられない時期などは半有給を使わせて貰えたり、長く不調だった時などは傷病手当を受給しながらの休職をさせて貰えたりと、配慮してもらった。
    チェーンストア・スーパー・コンビニ、接客、女性

    上司・同僚には、前もって病気のことを伝えていました。なるべく遅番の出勤にしてもらい、調子が悪い期間には勤務時間を短くしてもらうなど、職場の人にこまめに自分の要望を伝えるようにしていました。また、仕事終わりには、「できたことノート」を書いて、自己肯定感を高めるようにしました。
    百貨店・量販店、女性

    うつ病について理解のある上司から、「もし朝が辛ければ、半日休暇や1時間単位の休暇を考えてみてほしい。細切れで休暇を取れば、休暇の取得日数を減らすことができる。」とお声がけをいただき、心強かったです。そして、職場の様子を見て、不調が続く時には「一度、数日まとまった休暇をとってみてはどうか。」と提案してくれました。休むことには基本的に罪悪感が伴いますので、そうしたお声がけをいただけることが心の支えになりました。
    団体・連合会・官公庁、女性

    朝起きられないときは、症状を伝えた上で出勤時間を30分遅くしてもらうことができました。集中できないときは電話対応を減らす、業務の電話依頼はメールで送ってもらうようにお願いしました。
    メーカー・製造系、女性

    朝に起きられない時は、昼からの出勤でもいいとシフトを変えてくれました。また、気分が不安定になった時には、個室でしばらく休無用に計らってくれました。そしてシフトが出た後も、この日ならばもし来られなくても交代できるよと教えてくれました。
    医療・福祉・介護、女性



    朝が辛いという悩みに対しては、
  • 会社と相談して出勤時間を調整する
  • シフトを調整し、朝や午前中の勤務を減らす
  • 勤務時間を短縮する
  • などの対策が行われていました。

    しかし、シフト制の職場では、勤務時間に配慮を行っても、完全に朝や午前中の勤務をなくすことは難しいこともあるでしょう。口コミにあるように、交代可能な日にちを周囲の従業員と事前に確認し合うことができれば、気持ちの余裕にもつながります。

    そのほか、有給休暇の取得単位を半日や時間単位にするなど、柔軟に制度を活用している職場もありました。また、午前中には体調が優れず、仕事に集中できないという悩みを理解し、苦手な業務をしなくて済むように業務内容を調整するという配慮もみられました。

    このようなうつ病の特性を理解し、対応してくれる職場を見つけるためには、何に気をつければ良いのでしょうか。口コミの内容をまとめると、次のような対策が考えられます。

    【理解のある職場で働くための対策】
    ・休暇制度を確認する
    ・勤務日は固定か、もしくはシフト制かを確認する
    ・フレックスタイム制など、出勤時間を調整する制度を確認する
    ・職場の人員を確認する
    朝や午前中に体調が悪い場合が多いものの、午後からは調子が戻ってくる方は、時間単位もしくは半日単位で休暇が認められれば、仕事を休むことで周囲に与える影響も少なくすることができるでしょう。

    有給休暇やその他の休暇制度を確認することも大切です。リフレッシュ休暇など独自の制度を設けている企業も多くなってきましたので、利用条件と併せて確認しておくと良いでしょう。

    職場がシフト制の場合は、午後からの勤務をメインにすることができるかどうかも相談してみましょう。もし午前中の勤務も必要である場合は、おおよその回数について確認しておけば、自分が希望する勤務スタイルと職場の要望のミスマッチを減らすことができます。

    勤務日が固定されている職場の場合は、就業開始時間を確認するとともに、フレックスタイム制など、自分で勤務開始時間を調整できる制度についても確認をしておくと、働き始めてから体調が優れなくなってしまった場合も、働き方を見直すことができます。

    注意したいのは、人員が不足している職場です。出勤の交替のお願いや、休暇を取りにくい雰囲気があったりすることが多いものです。
    また、少ない人員で業務を回していることから、一人が休むことの影響が大きく出てしまう可能性もあります。「休むことができない」というプレッシャーは、大きなストレスになりかねません。 ある程度人員に余裕があり、同じ業務内容を複数の人が担っている職場であれば、急な休みや遅刻についても、周囲のサポートが得られる可能性が高いでしょう。

    職場の人員状況は、ホームページで確認したり、面接時に直接質問したりするほか、職場見学の際に従業員の業務量を確認する方法もあります。併せて、希望する仕事の業界全体の傾向として、人員不足の課題がないかどうかを確認しておくことも役立つでしょう。

    3-2.急な休みを要するという職場での悩み

    うつ病のある方は、体調や気分に波があり、調子が良い時とそうでない時の差に悩むこともあります。体調に波による悩みについて、口コミをみていきましょう。

    【職場の悩み】

    朝、起床時、日によって体調が違い、酷いと起きられず、仕事に行けない日があった。そんな日が続き欠勤連絡をずっとしていると、次第に罪悪感がつのり、連絡さえしなくなることがあった。
    専門店、女性

    通勤途中で精神状態が悪くなり、職場に着いても車から降りられず、欠勤してしまうことが度々ありました。仕事中にも立っていることが辛くて座りこんでしまうこともありました。管理職の方が職員への周知を行ってくださいましたが、私への対応に困っている様子が伺え、人間関係がうまくいかなくなってしまいました。
    教育、女性

    体調の波があり、悪い時は、いかにして仕事をこなしていくかが難しかったです。また、体調が悪くても見た目ではわからないので、どの程度の体調が悪いと周囲に伝えるべきなのか悩みました。
    銀行・信用金庫、男性

    気分の波があり、とても仕事が出来る状態でなくても少数精鋭の企業なため、簡単に休暇を取得することが出来なかった。
    人材、女性



    体調に波があり、急な欠勤や遅刻をしなければいけなくなってしまうこと、また、そのことによる罪悪感が大きなストレスとなっています。さらに、仕事中や出勤途中に急に体調が悪くなることもあり、自分の症状について職場に説明しなければいけないという悩みもみられます。

    こうした悩みについて、職場としてはどのような対策をとることができるのでしょうか。職場の対策や工夫について寄せられた口コミをみていきましょう。

    【職場の対策】

    体調が悪化した際に、部署移動や勤務時間を短縮してくださいました。
    シンクタンク・リサーチ・マーケティング、女性、

    体調不良の時は休憩室や保健室で休めるよう配慮してくれました。また、私の担当する児童の面倒を見てくれていました。校務分掌や担任学級も負担がかからないように考えて提案してくださいました。
    教育、女性

    一番の問題は、急な体調不良時に替えがきかない少数の職場だった事です。暫くの間は、急に体調変化があっても対応できるように、エリアマネージャーがいつでも交代できるようなシフトになっていました。直属の上司も理解があり、無理をしないで体調が悪い時は申し出るよう促して頂き、精神的な支柱になってもらいました。職場の理解がある事は無理をしないで済むので大変助かりました。
    サービス・外食・レジャー系、男性

    医務室があり、本当にしんどい時には横になって休むことができた。
    銀行・信用金庫、男性

    専門の方による定期的な面談で、メンタルケアをしていただきました。また、相談しながら体調に合わせて仕事量の調節をして下さり、体を休めるようにと慣れるまで残業をせず帰宅できるよう配慮してくださいました。おかげで少しずつ土日出勤できるようになりました。
    医療・福祉・介護、女性

    病休と復職の制度がしっかりしているので、自分の体調に合わせた働き方が可能。
    団体・連合会・官公庁、女性



    体調が悪い時は、無理をせずに休むことが大切です。体調に波がある方には、本人への声かけやシフトの調整はもちろん、勤務中に一時的に休憩をとる場合の業務のフォローが行われています。
    また、長期的な対応としては、部署移動や勤務時間の変更を行っている職場もあります。

    こうした職場を見つけるためには、以下のことを確認すると良いでしょう。

    【理解のある職場で働くための対策】
    ・産業医の配置や医務室の有無など、従業員の心身のサポート体制を確認する
    ・病気や障害のこと、職場での困りごとなどを相談できる機会があるか確認する
    ・病気や障害のある従業員や、介護や育児をしながら働いている従業員がいるか確認する
    勤務中に体調が悪くなったときに備えて、周りを気にせずに休める場所があると安心です。医務室や個室の休憩スペースがあるかどうかを事前に確認しておくと、急な体調不良への心配を少しでも和らげることができるでしょう。また、産業医の配置などがあれば、相談できる場所があるという安心感を持つことができます。

    このように、産業医の配置や医務室の設置など、従業員の心身の状況に気を配る工夫を行っている職場は、病気や障害がある従業員と働くことへの理解が進んでいる可能性が高く、合理的配慮などのサポートが受けられる可能性も高まるでしょう。

    またうつ病の症状や体調は一定ではありません。上司やリーダーなどに相談できる機会が日頃から確保されている職場であれば、少しの変化やちょっとした要望の相談もしやすくなります。

    このような職場のサポート体制は、求人情報から得ることは難しいものですが、面接で直接質問したり、求人サービスの担当者を介して確認したりすると良いでしょう。

    さらに、病気や障害のある従業員や、介護や育児をしながら働いている従業員は、様々な事情により、急な休みを要する可能性があります。こうした従業員と共に働いた経験が豊富にある職場は、従業員の個別的な事情の対応にも慣れているでしょう。また、多様な従業員が働く職場では、休職や復職の制度が充実している場合もあります。

    多様な雇用実績の有無や、休職や復職の制度の整備状況と取得実績を確認しておくことは、理想的な職場を探す手がかりとなるでしょう。

    3-3. うつ病の要因を避ける必要があるという職場での悩み

    うつ病の方の中には、うつ病となった原因や引き金となった状況がはっきりしている方もいます。症状を悪化させないためには、その原因や状況を避けることが必要です。

    しかし、その避けるべき原因が職場内にあるかもしれません。避けられない状況に悩む様子を見てみましょう。

    【職場の悩み】

    入社時は健康であったが、その職場の上司が原因で鬱病を発病した。入社してから仕事を教えてもらえず、どんなに聞いても「あなたのためにならないから、自分で考えてやれ」の一点張り。独自に進めた業務に不備があると激しく叱責を受けるなどの状況が続いたため悪化した。
    団体・連合会・官公庁、一般事務、女性

    上司に恵まれず、非常に苦しい思いをした。発症したのがこの上司のもとに就いてからで、業務量がコントロールできないまま、症状は悪化の一途をたどり、最終的に仕事ができなくなった。うつ病に適した仕事ができず、いいように振り回された。
    化学・素材、技術系、男性

    ハラスメントによりうつ病が悪化。布団や家から出られなくなった。一度家を出て職場につけば、仕事に集中して嫌なことは忘れられるが、家を出るまでがとにかくつらい。
    教育、男性

    人と接することがつらいので、職場の方とうまくいかず病気が悪化することがしばしばありました。倉庫内で作業を行うのですが、一度苦しくなるとその場を離れたくなるので、作業を継続することが難しかったです。
    人材、女性

    他の人が怒られている姿を見るなど病気の原因となった同じことが、今の職場でもおきると動悸がとまらなくなる。
    医療・福祉・介護、女性



    職場でのハラスメントや人間関係が原因でうつ病を発症した方の場合、異動しない限り、ストレスを抱えたまま仕事を継続せざるを得ません。
    また、口コミからは、例え職場が変わっても、うつ病の原因となった出来事に似たような状況を目の当たりにすると、再び強いストレスがかかる可能性もあります。

    こうした悩みを抱える方に対して、工夫や対策を講じている職場もありました。口コミよりその内容をみていきましょう。

    【職場の対策】

    ハラスメントの加害者と会わないように工夫してくれた。また、加害者に頼まなければ発注できないような仕事を、部署を超えて承認してくれた。
    教育、男性

    原因となった人から離れられるように、人事が動いてくれた。
    通信、営業、営業補佐、男性

    病気の事を相談した際に、多少ではあるが原因になった人間関係の改善を図れるように上司が対応してくれました。また、仕事量なども考えてくれました。
    専門商社、管理業務、折衝業務、女性

    店舗の上司の上司であるエリアマネージャーと定期的に面談ができたことで、直属の上司に言いにくい事も相談できました。こちらの要望を察して提案してもらえるため助かりました。例えば、職場環境や人間関係に問題があれば、先手を打って仲介や、諸々の理由をつけての転勤を打診してくれました。
    サービス・外食・レジャー系、男性

    現場での仕事が主でしたが、相談すると親切に対応してくれて神経を使わないように配慮してくれる。なるべく一人で仕事ができるように内容を精査し、ストレスがあまりかからないようにしてくれた。
    IT・通信・インターネット系、一般事務、男性

    コミュニケーションがうまくとれないことを考慮し、窓口でのお客様対応や他の職員との接触が少ない仕事を担当にしてもらえました。また、体調不良で休んだときもあたたかく受け入れてもらえました。
    銀行・信用金庫、一般事務、女性

    コールセンターで鬱病が発症したことを話したら、電話応対を担当から外してくれました。体調の悪いときは、すぐ休むよう言ってくれます。
    コンピュータ・通信・精密機器、総務、男性

    何かあった時に電話相談できる窓口が設置されているので心強い。
    百貨店・量販店、接客、女性

    全店舗の社員やアルバイトが相談できる組合の窓口などもあり、労務問題を解決しやすい環境ができています。
    外食・フード、男性

    メンタルケアの専門の方に面談していただくことで、自分を客観的に見る機会が得られ、元気をもらえるのでとても心強いです。定期的に行われる勉強会の中には、メンタルヘルスやハラスメントなどの内容もあり、考える機会が得られたので良かったと思います。
    医療・福祉・介護、女性



    職場での人間関係がうつ病の原因である場合は、その原因となった人との関わりを極力少なくすることが必要です。具体的には部署異動や、うつ病の原因となった人を介さずに仕事を進められるような体制づくりが行われていました。

    また、苦手な業務内容がうつ病の引き金となることや、症状を悪化させる原因にもなることもあります。
    口コミには、コミュニケーションを伴う業務にストレスを感じる方に対して、窓口での顧客対応や従業員との会話が少ない業務を担当してもらうことや、一人で進められる作業を割り振るなどの工夫がみられました。

    また、前職であるコールセンターでの業務が原因でうつ病を発症した方に対して、電話応対をしなくて済むように工夫している職場もみられました。

    さらに、従業員のうつ病を予防するために、管理者や従業員向けの病気や障害への理解に向けた研修の実施や、従業員向けの相談窓口を設置するという職場の工夫もありました。
    研修は、従業員同士の理解を深めるきっかけになります。互いを気遣いつつも一人ひとりが能力を発揮できる職場環境づくりに有効なのではないでしょうか。

    相談窓口の設置については、「何かあったら相談するところがある」という安心感を与えだけでなく、職場でのハラスメント発生を抑止する効果もあるでしょう。

    このような柔軟な対応をとってくれる職場で働くためには、どのような点に気をつけて職場を選べば良いのでしょうか。口コミをもとに傾向を整理すると、次のようなことがわかりました。

    【理解のある職場で働くための対策】
    ・病気や障害の理解への取組みを確認する
    ・相談できる窓口や体制を確認する
    ・直属の上司以外に現場の状況を把握している人がいるかを確認する
    ・従業員間で業務の調整ができる職場であるかを確認する
    これらの対策は、仕事探しをする際にあらかじめ確認しておきたいものです。中には、ホームページなどに取組み内容を紹介している企業もありますので一度チェックしてみましょう。また可能であれば、就労前に職場見学を実施し、従業員の仕事の進め方など、従業員同士がサポートしあう風潮の有無についてみておくことが、理想的な職場をみつけるヒントとなるでしょう。

    4.転職や就活ではうつ病をオープンにするかクローズにするか

    うつ病のある方の多くは、障害を伝えるオープン就労にするか、障害を伝えないクローズ就労にするかということで悩むのではないでしょうか?

    それは、働き方が大きく異なるからです。次は、その違いについてみていきましょう。

    4-1. うつ病をオープンにした方の体験

    まずは、うつ病であることをオープンにした方の口コミです。オープン就労で良かったと感じること、逆に悩んだことはどのようなことでしょうか?

    【オープン就労の良かった点】

    病気のことを打ち明けた後に「何かあったら些細なことでも相談してくれ」と言われたので、悩みや不安があってもきちんと対応してくれるのだなと思った。
    総合商社、接客

    上司や同僚にも同じ病気に罹っている人がいて、わりと理解のある職場でした。オープンにしてからはプレッシャーからも解放されてストレスが減りました。
    総合電機、エンジニア・技術職、男性

    午前中は気分がすぐれないことが多かったため、自分のペースで出社し、自分のペースで仕事を進めることができた。他の職員も、自分の就業時間に合わせての出社だったため、罪悪感を覚えずに済んだ。
    医療・福祉・介護、エンジニア・技術職、女性

    精神障害者だからといって変に特別扱いをすることなく、仕事をする仲間の一員として受け入れて頂けた。また、何でも相談出来る環境で仕事上不安に感じることが少ない。
    人材、事務



      【オープン就労で悩んだ点】

    あまりにも仕事量が少なかった。朝出社して30分程仕事をしたら、退社時間まで何もやる事がなかった日が何度もありました。
    旅行・ホテル、経理、男性

    人事にこっそり「うつ症状」を書いた手紙を送ったところ、面談の機会を作ってくれた。しかし、うつ病が悪化し退職を決断した際は、そのことが全体に一気に広められてしまい、精神的に追い詰められてしまった。
    団体・連合会・官公庁、一般事務、男性

    過去に病気が原因で仕事を続けられなかったことを話すと、そのまま電話を切られたことがある。病気を隠したくないことを正直に話すと、うちでは対応できないと言われる。
    アパレル・日用品、男性



    オープン就労の良い点は、出勤時間の調整など、体調や症状に合わせた合理的配慮が受けやすくなることです。また、体調の波に悩んでいる方は、その日の体調にあわせた仕事のやり方を相談することもできます。「困った時は相談できる」という安心感は、ストレスの軽減にもなるでしょう。

    オープン就労の悩みは、職場の過剰な配慮があるとストレスになってしまうことです。仕事量が極端に減らされてしまい、やりがいをもてない方もいました。また、事前の相談が無いままに周囲の方々に自分の症状を知らされたりしてしまい、居心地が悪くなった方もいます。
    このような悩みは、オープン就労によるデメリットではなく、うつ病に対する正しい知識が職場になく、すり合わせがうまくできなかったことが要因です。

    【うつ病をオープンにして働くことのまとめ】

    オープン就労の方からは、ストレスが減った、安心して働けるという声があげられました。「何かあったら職場に相談ができる」という安心感は、オープン就労で得られるメリットです。また、倦怠感や朝の辛さなどうつ病の症状への理解も得やすく、出勤時間の調整などの合理的配慮が受けられる可能性も高まります。

    一方、うつ病であることを伝えることで、冷たい態度をとられたり、採用を見送られてしまったりしたなどの口コミも寄せられました。このような職場は、そもそも病気や障害への理解がすすんでおらず、病気や障害のある従業員と働く体制が整っていない可能性が高いからでしょう。就労前にうつ病であることを伝えその反応を確かめることで、その職場の姿勢や考え方をある程度見極めることができるのではないでしょうか。

    4-2. うつ病をクローズにした方の体験

    次は、うつ病をクローズにして働いた方から寄せられた口コミについて、良かった点と逆に悩んだことをみていきましょう。

    【クローズ就労の良かった点】

    パートなので仕事が重いようだったら退職しょうと思っていました。私の病気とは関係なく残業や重い仕事はなく、社員とパートの区別がハッキリしているため働くことができました。
    コンサルティング・専門サービス系、一般事務、女性

    容易に正社員になれ、お給料もとても良かったので、その点では満足です。ただ、クローズにしていたこともあり、配慮を受けられる状況にはありませんでした。
    小売・流通・商社系、接客、女性

    クローズ就労なので、社員の皆さんは私が鬱だとは知らない。病気という点での配慮はないが、基本親切なので問題なくやれている。
    食品・化粧品、軽作業、男性

    クローズで働いていたので、普通の人と同じように対応してもらえた。
    医療・福祉・介護、女性



    【クローズ就労で悩んだ点】

    働いている途中にうつ病を発症し、そのことをオープンにせず働き続けていた。体調が悪くてもなかなか言い出せなくて、つらかった。
    シンクタンク・リサーチ・マーケティング、エンジニア・技術職、女性

    正直にうつ病だと伝えてしまうと採用されない確率が高いので、隠して仕事をしていました。体調が悪くなった時にごまかすのが大変でした。
    専門店、女性

    体調に波があるときにも休むことはもちろんできないし、辛くてもできるだけ表情に出さないようにしなければならなかったのが大変です。特に、図書館は接客業なので、泣き出したい気分の時なども、笑って利用者に対応しなくてはならないので、慣れと気合が必要です。
    サービス・外食・レジャー系、女性

    病気を隠しているので、残業やほかの人の身代わり出勤などをお願いされることがある。また、体調が悪くてもお客様の前では微笑まなくてはならなくて、つらいときがある。
    団体・連合会・官公庁、接客、女性



    クローズ就労の方からは、うつ病であることを伝えなくても、親切な職場であれば仕事が続けられるというコメントがありました。また、「特別視されない」、「採用や昇進などの機会を得やすい」という点に働きやすさを感じている方もいます。

    しかし、職場の対応や様子は、働いてみないとわかりません。また、クローズにして面接を受ける場合は、必要な配慮などを事前に相談することがないので、病気や障害などに対する会社の姿勢を確認することができません。そのため、クローズ就労で働きやすい職場を見つけることは、オープン就労に比べると難しくなるでしょう。

    オープンで就労の悩みにもありましたが、多くの方が過剰な配慮や特別視にストレスを感じています。
    クローズ就労であれば、周囲の方から「特別視される」ことはないでしょう。しかし、オープン就労であっても配慮事項のすり合わせがうまくできれば、特別視されることはありません。そのため、特別視されたくないという理由だけでクローズ就労を選ぶのではなく、自身の望む働き方をよく考え選択をすることが大切です。

    一方で、クローズ就労の方は、体調が悪い時や急な休みを要する場合でも、職場に相談しにくいという悩みを抱えています。体調が悪いのに無理して働くことや、遅刻や欠勤が必要な度に気を揉むことは大きなストレスになります。また残業や代務を頼まれる方もいます。職場や周囲の方々がうつ病について知らされていないため、症状や体調を考慮される機会が減ることを覚悟しなくてはなりません。

    【うつ病をクローズにして働くことのまとめ】

    うつ病のある方は、体調に波があり仕事中に体調が悪くなることや、急な休みが必要になることもあります。しかし職場に相談ができないため、結果として、うつ病が悪化してしまう可能性もあります。

    クローズ就労の方が「特別視されない」ことや「採用や昇進などの機会を得やすい」ことに利点を感じていますが、これはオープン就労でも病気や障害への理解がある職場であれば、得ることが可能です。

    クローズ就労により無理を続けて悪化してしまうことを踏まえたうえで、ご自分の特性や体調と相談しつつ、長く働くことを考えて、クローズにするべきか、オープンにするべきかを選択することが大切でしょう。

    5.転職や就活の参考に、うつ病の方におすすめの企業・業界・職種

    5-1. おすすめの会社、企業名

    株式会社太田胃散
    給与および賞与、休暇日数は一般的水準よりも多い。休暇も取得しやすい。また特別な事情が無い限り残業もほとんどすることが無い。社員の殆どの人柄が良く、優しい。部署にもよるが、高圧的な上司もおらず、比較的フレンドリーに接することができる。事情を話せば寛容に受け止めてもらえる。
    満足度:★★★★★
    配慮 :★★★★★
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    株式会社コーエン
    ホントにアットホームで、上下関係も少なく和気あいあいとした職場でした。また上司も、無理し過ぎないように配慮してくれました。人を良く見ていて「今日なんかいつもと調子悪いけど大丈夫?」みたいな事を声掛けしてくれるので、コンディション等気軽に話をすることができた。 アパレル企業の中でもルールや規則、商品知識を覚えなければいけないということが少ないので、経験値が浅くて自信がなくても働ける環境だと思う。
    満足度:★★★★★
    配慮 :★★★★
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    株式会社豊田自動織機
    全社的に精神的疾患について理解があり、かつ専門の産業医・保健士がおり、状態が悪くなる前に相談できる体制になっている また体調が悪くなったら、無理せず休暇をとらせてくれ、会社復帰へも産業医・保健士がきちんとサポートしてくれる。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★
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    株式会社NTT西日本ルセント
    特例子会社なので、みんな何かしら障害をもった人ばかりなのですが、みんなそれを受け入れつつ、前向きに働いている人ばかりなので、いっしょにいて自分も頑張ろうと思えます。 また仕事も納期に縛られず、無理なら相談できます。上長も障害者者について理解し、様々な人、障害に対して寛容な姿勢で臨んでくれます。
    満足度:★★★★★
    配慮 :★★★★★
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    株式会社日本政策投資銀行
    所属部の部長、人事部の担当次長、産業医が連携して対応し、体調管理、勤務日数調整、仕事量の調整などをきめ細かくやってもらえた。困ったことがある時は、随時面談の機会を設けてくれ、困りごとの解消を図ってもらえた。
    満足度:★★★★★
    配慮 :★★★★★
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    株式会社ベルシステム24
    以前から障害者雇用に積極的な会社ですので、一人一人の障害に対する配慮がとても行き届いています。私も体調に合わせて自分のペースで働くことができていますので、体調が不安定で復職をためらっている方にも安心してお勧めできます。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★★
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    財務省東京税関
    休職後の復帰プログラムが定められており、スムーズに復職できる。また、通院のための休みも取りやすい。異動の希望もそれなりに考慮してくれる。残業も制限することができる。休職中も、職場の管理者が定期的に状況把握をしてくれる。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★
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    独立行政法人日本学術振興会
    職場の皆さんが細かい面で配慮してくれたり、助けあったりするので、一人で孤立する事が絶対になく、他部署の方々とも面識があるので、緊張して仕事する場面が一つもない。また産休や育休を取得しやすく、職場復帰も困難なくできる。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★★
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    日本空港テクノ株式会社
    羽田空港は、障害者雇用を積極的に行なっており、就労のハードルが低かった。また前例があるため、障害者に対する福利厚生を整えているところが非常にありがたいです。早退や欠陥に配慮があり、また体調復帰まできちんと在籍していい制度が特におススメです。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★★
    →口コミの続きはこちらへ

    5-2. おすすめの業界・業種

    次に、うつ病の方におすすめの業界や業種について考えてみます。 といっても、業種や業界も様々、そして症状や特徴もそれぞれ異なります。
    そこで1つの手がかりとして、アンブレに届いたうつ病のある方からの体験談999件を集計・分析し傾向をみてみました。

    まずは、業界です。

    うつ病の方の業界の割合グラフ


    うつ病の方の業界別満足度グラフ


    多くの方が勤めている業界は、「サービス・外食・レジャー系」「メーカー・製造系」、そして満足度が最も高い業界も「サービス・外食・レジャー系」「メーカー・製造系」でした。 満足度が高い業界=人気のある業界というのは、他の疾患ではあまりみられない珍しい結果です。

    次は、職種です。

    うつ病の方の職種別割合グラフ


    うつ病の方の職種別満足度グラフ


    多くの方が勤めている職種は、「事務」「販売・接客・サービス」でした。そして満足度が高い職種は、「軽作業」「医療・介護・福祉」という結果になりました。

    皆さんの予想はどの業界と職種でしたか?
    業界と職種に関する詳しい調査結果は、以下のコラムでご覧いただけます。ぜひ参考にしてみてください。

    うつ病の方999人の実体験を調査。転職、向いている仕事は?

    また、うつ病の方が働いている企業が一覧で確認できます。
    満足度の高い企業や気になっている企業の口コミはこちらから。

    では、このような企業はどのように探せばよいのでしょうか?
    次は、仕事の探し方を確認していきましょう。

    6.求人の見つけ方

    6-1. 働き方によって選べる採用枠「一般枠」と「障害者雇用枠」

    求人には、うつ病である事を告げないで働く一般枠(クローズ就労)うつ病である事を告げて働く障害者雇用枠(オープン就労)があり、障害者手帳を所持している方は、どちらにも応募することができます。

    先にも述べたように、うつ病をオープンにするか、クローズにするかといった悩みは応募できる雇用形態にも影響してきます。
    少し重複する部分もありますが、もう一度簡単に説明します。

    「一般枠」は、うつ病であることを伝えずに仕事をします(=クローズ就労)。障害や病気のない方と同じように働くため、募集している職種の幅も広いでしょう。しかし、うつ病への理解を得られにくく、周囲のサポートを受けることは難しくなります。

    「障害者雇用枠」は、うつ病であることを伝えて仕事をします(=オープン就労)。お願いしたい配慮事項をすり合わせ、周囲のサポートを受けながら働くことが望めます。

    ▼障害者枠(オープン)や一般枠(クローズ)についてはこちらでもご紹介しています。
    障害者枠(オープン)か一般枠(クローズ)か?メリットとデメリットを解説

     

    6-2. 求人の見つけ方

    ①ハローワーク

    障害や病気のある方専用の窓口があるため相談しやすく、障害者雇用に関する求人情報も扱っています。

    ハローワークで自分に合っている職場を探してもらい見つけることができました。
    自動車・運輸・輸送機器、軽作業、男性

    ハローワークの障害者求人検索で、保健センターの存在を知りました。就労継続支援A型事業所を探して紹介状を書いてもらい、見学と面接に行きました。
    医療・福祉・介護、一般事務、男性 

    ハローワークで紹介され、履歴書の書き方や面接の受け方などの説明もしてもらったうえで面接を受けに行きました。
    運輸・交通、管理業務、男性 

    ハローワークで紹介された企業に障害者雇用枠で採用して頂いた。定期的にヒアリングを行ってくれて、問題点につては早々に改善をしてくれている。
    設備・プラント、総務、男性



    ▼参考: 厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」 

    ②人材紹介会社(エージェント)

    うつ病を抱えることで、働くことに不安を覚えている方の就職活動を応援してくれる専用の人材紹介会社(エージェント)をご存知でしょうか?

    ハローワークなどでは公開されていない求人情報も扱っていますし、企業との連携が密なので、ホームページや求人票からは得られない職場環境なども知ることができます。また、事前見学の調整や面接への同行など全面的なサポートが期待できます。

    ひとりではじめる就職活動とは違い、専門のアドバイスやサポート、自分に向いている企業の紹介を受けられるため、担当者と一緒に不安を取り除きながら活動を進めていくことができます。

    体験談にも専用の人材紹介会社を活用したという声が多くありますのでご紹介します。

    何かあった場合、担当を介入して相談することがあった。実際に苦情申し立てを行ったら、迅速に対応してくれた。
    総合商社、接客

    希望職種や給与を細かく伝えたところ、それを考慮し、最大限対応してもらえました。細かい要求もしっかり聞いてくれる丁寧さがありました。
    銀行・信用金庫、一般事務、女性

    うつ病であることを、担当者が職場へ説明してくれました。また、うつ病であるが、前職場での勤務歴や勤務態度については問題がなかったことを、サポートしてくれる形で説明してくれました。
    医療・福祉・介護、医療関係、男性



    しかし、人材紹介会社も一つの企業。紹介できる企業の得意分野や担当者の性格はさまざまです。自分の希望や意見が伝えやすく、理解してもらえる人材紹介会社かどうかをチェックしてみましょう。

    ③就労移行支援事業所

    働くことに自信を持てない方は、就労移行支援事業所を活用しても良いでしょう。

    就労移行支援事業所は、生活リズムを整えたり、気分の波を把握するための訓練をしたりすることで、気持ちや体調を整えていきます。履歴書の書き方や面接の練習、おすすめする企業の紹介やその企業との連絡、事前見学の調整、入社後のケアや相談など、全面的なサポートなども行っています。

    また、オープン就労で採用する企業側も、この方には「支援者がいる」ということが安心感につながり、採用される可能性が高くなります。働くための準備を進めたいという方は、ぜひ一度相談してみるとよいでしょう。

    次は、気になる企業の情報収集について、その方法を紹介していきます。

    ▼障害者雇用の求人サービスについてはこちらでもご紹介しています。
    ハローワークだけじゃない、障害者雇用枠の求人はここでも!求人サービスを紹介

    7.企業情報の集め方

    会社の求人情報やホームページだけでは、あなたが実際に働くことになるであろう職場の雰囲気をつかむことは難しいものです。できるだけ自分の目で確かめてみましょう。

    7-1. 事前に見学して企業の雰囲気を確認

    事前に職場を見学させてくれる企業もありますし、ハローワークや人材紹介会社のアドバイザーを介して見学をお願いすることもできます。体験談にも、事前に見学を行うことで、面接だけではわからない職場の雰囲気が伝わるとの意見が多くみられます。

    【就職する前に職場見学をした方からのアドバイス】

    自分の疾患や障害の特性をよく理解すること。それを職場にどのように伝えるか、伝えなくてもよい部分はあるかを考えておくこと。職場の理解があるかどうかを見学などで判断し、理解してもらえそうにない職場だったら、条件がよくても断る決断をすること。
    医療・福祉・介護

    企業説明会などではいいことしか言わないので、実際に職場見学や体験をして現場の雰囲気を自分自身の肌で感じたほうが絶対にいいと思います。 医療現場は慢性的な人手不足のため、選ぶのは求職者側です。安易に決めずしっかりと吟味して就職先を決めたほうがいいです。
    医療・医薬、医療関係

    会社や職場の見学などは積極的に行い、見て感じたことを関係者になるべく聞いて疑問点を無くしたほうが良い。できそうもないと決めつけずに聞いてみると、アッサリと解決することも沢山あります。
    IT・通信・インターネット系、一般事務、男性

    会社本来の社風というのは、就職してみないとわからない点が多々あるので、会社見学や会社説明会でどれだけ担当者から素の情報を仕入れられるかがポイントだと思います。就職を急いで失敗しないようにしてください。
    メーカー・製造系、経理、男性、



    7-2. 面接はその企業を良く知るチャンス

    面接は、企業側があなたを審査するだけの場ではありません。大事なのは、あなたが企業に求めるものと、企業があなたに求めるものが一致することです。

    不安や疑問がある場合は、面接で質問しクリアにしておきましょう。具体的に聞いておきたい内容については、以下のコメントを参考にしてみてください。

    【面接で企業の情報や職場の様子、自分に対する配慮などの情報を得るための工夫】

    自分の症状や障害をしっかり把握して、簡潔に人に伝えられるようにしておく必要があると思います。また、自分にできることとできないことを区別して、頭の中で整理しておくべきです。面接の時は、自分のことを話すだけでなく、相手の説明をよく聞くことも大切なことだと思います。
    医療・福祉・介護、清掃

    会社の情報だけでは病気に対する理解度は判断できません。面接時に正直に病気のことを話し、どのような対応ができるか可能な限り確認する必要があると思います。また、社内に同じような人がいれば、どういう対応をしているかを聞いてみるのも良いかもしれません。
    自動車・運輸・輸送機器、技術系、男性

    障害をオープンにして就職活動をするだけではなく、どのような配慮が必要になるのかを具体的に面接時に伝える必要があります。不採用にされる会社は理解がありませんので不採用で良いと思います。
    医療・福祉・介護、男性

    求人票の内容はもちろん熟読し、ネットでの情報集めや現地確認による企業チェック、面接になったら社内の様子や社員の表情もよく見ておくことも大切だと思います。また、面接でトップと話す機会があれば自分のやりたいことをはっきりと伝え、それに対しその場でトップがなんと回答してくるか試すことも必要かと思います。
    営業、男性



    面接で緊張しすぎて質問できなかったということが無いように、予め知りたいことをまとめておきましょう。準備をすれば心に余裕ができ、面接にものぞみやすくなります。

    働きはじめてから大変な思いをすることは、大きな負担になってしまいます。心地よい職場環境でうつ病とうまく付き合っていくためにも、面接時の質問チャンスは大事にしましょう。

    8.専門家からのアドバイス

    仕事探しを考えているうつ病の方へ、専門家 水谷愛さんからのアドバイスを紹介します。

    ■働くことを迷っているうつ病の方へ

    うつ病だからといって、働けないわけではありません。主治医やサポートできる機関と相談しながら、自分が働ける時間を考えて働いてみると良いと思います。

    まだ働くのには早いと思われている方については、さまざまな訓練機関もありますので、訓練をしながら自身の生活リズムや気分の波を把握することから始めると良いでしょう。
    また、頑張り過ぎる傾向のある方は、どうやって自分が息抜きをすれば良いか、うつ病の方々の意見を参考にしながら考えていけると良いですね。

    ■これから働くうつ病の方へ

    うつ病と上手にお付き合いをしながら働いていく方法を、このうつ病の方々の口コミから考えていきましょう。そうすることで、就労するためにあらかじめ何を知っておけば良いかがわかると思います。

    気分の波への対処の仕方や、倦怠感・無気力への向き合い方、朝が弱い場合にどう対処すれば良いかなどをしっかり把握して就活に臨みましょう。
    ひとりで頑張ろうとせず、サポートしてくれる主治医や支援機関などを上手に活用しながら、良い就職先を見つけていけると良いですね。

    9.最後に

    これまでの内容をまとめます。

    ・うつ病のある方は、仕事で「落ち込みやすい」、「やる気が出ない、意欲が低下する」、「体調を崩しやすい」ということに悩んでいます。

    落ち込みやすい方は、仕事中に可能な限り気分転換を図ることを心がけるとよいでしょう。トイレの個室でひとりの空間を確保することや、外の空気を吸うことも取り入れやすい方法です。また、休日の過ごし方も大切です。家にいると落ち込んでしまうという悩みのある方は、できるだけ外出してリフレッシュすると良いでしょう。

    やる気が出ない、意欲が低下するという方は、職場に相談して遅刻や早退、休みをとることで体調を整えることも大切です。仕事の疲れをためないためにも、家族の協力を得ながら家事を分担することも時には必要です。リラックスした時間を過ごすことや、職場や家族など周囲の人に自分のうつ病の特性について伝え、理解を得ておくことも検討してみましょう。

    体調を崩しやすい方は、体調が悪い時への対処だけでなく、体調が良い時に頑張りすぎないということも大切なポイントです。疲れを溜めないためにも、定時で帰るよう努めることや、頑張りすぎている時は周囲に声をかけてもらうようにお願いすることも考えてみましょう。

    ・うつ病のある方は職場で、体調の波があることによる仕事への支障や、うつ病を悪化させないために避けるべきことに対する悩みを抱えています。

    特に朝が辛く、遅刻や欠勤をしてしまうという方が多くいらっしゃいます。予め出勤時間やシフトを調整して午前中の勤務を極力減らすことや、体調が優れないときは時短勤務が可能になれば、気持ちも楽になります。また、有給休暇の取得単位を半日や時間単位にするなど、柔軟に制度を活用することも1つの方法です。いずれにしても、職場とよく話あいながら、働きやすい環境を作っていくことが必要です。

    体調の波がある方は、休憩スペースを利用して一時的に休憩を取ることで、気持ちを落ち着かせると良いでしょう。いつでも休憩できる環境と職場の業務フォローがあれば、安心感につながります。業務内容や人間関係を見直す必要があれば、部署異動なども有効です。職場には、休憩や部署異動について相談しやすい雰囲気が求められます。

    うつ病を発症した要因は、症状を悪化させる可能性もあるため避ける必要があります。人事異動や業務内容の変更などど相談してみましょう。また、うつ病の原因となる状況を防ぐための理解を推進する研修や、相談窓口の設置などの取り組みは、企業の考えを知るものさしになります。

    ・転職や就活を行う上で、うつ病をオープンにするかクローズにするかも多くの方が悩むポイントです。まずはご自分の症状を一番に考え、理想の働き方を考えましょう。通院や急な体調不良による休みを必要とする場合は、配慮やサポートを受けやすいオープン就労=障害者雇用も検討すると良いでしょう。

    これまでにご紹介した口コミは、ほんの一部です。症状も人それぞれ、企業の対応もそれぞれ異なります。
    まずはご自分の症状や、できることできないことについてまとめてみましょう。そして、自分にあった職場を自分のペースで見つけてください。

    気になる企業の様子やサポート状況は、事前に自分の目で確かめることが理想的です。求人票ではわからない企業の様子を知るためにも、ハローワークの専門スタッフに相談したり、人材紹介会社のアドバイザーと一緒に就職活動を進めたりするのも良いですね。

    さまざまな企業の中で、あなたが幸せに働ける環境に出逢えることを、私たちは心から願っています。



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    監修者

    水谷愛

    精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)、公認心理師、臨床心理士、産業カウンセラーの資格を取得。精神障害者デイケアにて5年、スクールカウンセラーとして10年、発達障害者就労支援センターにて4年の経験を積み、現在は障害者就労移行支援事業所にてサービス管理責任者として勤務しています。著書『「がんばり屋さん」のこころのトリセツ』も好評。

    Twitter

    著者

    鈴木 杏奈

    より望ましい職業の選択や能力開発における相談・助言を専門とする国家資格「キャリアコンサルタント」のほか、米国CCE, Inc.認定の「GCDF-Japanキャリアカウンセラー」の資格を取得。福祉・医療介護分野の研究などにも従事しています。

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