うつ病の方が仕事を続けるために 999人から学ぶ働き方の工夫

うつ病の方が仕事を続けるために 999人から学ぶ働き方の工夫

うつ病を抱えながら仕事している方の中には、うまく付き合いながら理想の職場で働いている方もいらっしゃれば、悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

例えば、やる気が出ない、体調に波があるなど、疾患による特有の悩みを感じることはありませんか?

そんなときは、同じようにうつ病を抱えながら仕事をしている方々の声に耳を傾けてみませんか?今回のコラムでは999人のうつ病の方の口コミをもとに

・どのようなことに悩み、どのように解決しているのか
・仕事探しはどのように行ったのか

といったアドバイスをご紹介していきます。
仕事との向き合い方や職場について悩むこと、不安に感じることがある方は、ぜひ寄せられた声を、解決のヒントとしていただけますと幸いです。

目次

1. うつ病とは

2. うつ病の特性による仕事の悩みと工夫

3. うつ病の方が職場で抱える悩みと工夫

4.転職や就活ではうつ病をオープンにするかクローズにするか

5.転職や就活の参考に、うつ病の方におすすめの企業・業界・職種

6.求人の見つけ方

7.企業情報の集め方

8.最後に

1. うつ病とは

【うつ病とは】
  • 脳のエネルギーが欠乏した状態と考えられる。
  • 憂うつな気分やさまざまな意欲(食欲、睡眠欲、性欲など)の低下といった心理的症状やさまざまな身体的な自覚症状を伴うことも珍しくない。
  • 「憂うつな気分」または「何に対しても興味が持てない」の2つの症状が、ほぼ毎日、1日中、2週間以上続くと「うつ病」の可能性が高くなります。
【うつ病の原因】
  • うつ病を引き起こす原因はひとつではない。
  • 非常につらい出来事が発症のきっかけになることが多いが、それ以前にいくつかのことが重なっていることも珍しくない。
  • 最もきっかけとなりやすいのは「環境要因」と言われている。
  • 環境要因とは:大切な人(家族や親しい人)の死や離別、大切なものを失う(仕事や財産、健康なども含む)、人間関係のトラブル、家庭内のトラブル、職場や家庭での役割の変化(昇格、降格、結婚、妊娠など)
  • 「性格傾向」も発症要因のひとつになる。
  • 性格傾向とは:義務感が強く、仕事熱心、完璧主義、几帳面、凝り性、常に他人への配慮を重視し関係を保とうとする性格の傾向があること。
  • 他にも「遺伝的要因」、「慢性的な身体疾患」も発症要因のひとつになる。
  • ▼参考:厚生労働省「こころの耳」
うつ病には様々な要因があるようですが、「仕事」も環境要因の1つです。もし仕事がうつ病に関わっているとしたら、今後の仕事のあり方について、見直す必要がありそうですね。

2. うつ病の特性による仕事の悩みと工夫

抑うつ気分になることや、意欲が低下することで思考力が落ちてしまうことなど、うつ病の症状には個人差があります。しかし、口コミをみていくと、うつ病のある方が仕事をするうえで抱える悩みについては、次のとおり、いくつか共通する傾向がありました。

【うつ病による仕事の悩み、その傾向】
・落ち込みやすい
・やる気が出ない、意欲が低下する
・体調を崩しやすい
では、具体的な悩みの内容とその対応策をみていきましょう。

2-1. 落ち込みやすいという悩みとその対応策

うつ病のある方で、仕事をしている方(もしくは仕事をしていた方)の口コミをみると、仕事中の出来事や、上司もしくは同僚などからの指摘により落ち込みやすいという悩みが寄せられていました。

【悩み】

気分の落ち込みや意欲の減退が症状として現れます。症状により、出社自体ができなかったり、出社しても仕事に集中できなかったりすることが困る点です。
専門商社、購買業務、仕入れ、男性

ミスしたり、注意されたりすると落ち込んでしまい、お酒に逃げてしまいます。仕事は単調な作業が苦手です。眠れないことが多く昼間が辛いです。
専門店、物流、運搬、運転手、男性

些細なことで落ち込む。失敗するとそのことばかり考えてしまい、立ち直れない。気力がわかず、毎日出勤するのが大変。
医療・福祉・介護、医療関係、女性

落ち込みやすく、周囲からの小さな指摘も大きくとらえてしまい自信を無くしてしまう。 次第に、また指摘されてしまうのではないかという恐怖心にさいなまれてゆき、仕事にとりかかれなくなる。その間にもどんどん仕事はたまってゆき身動きがとれない状態になる。またストレスが体調にもあらわれ、難聴・味覚障害・睡眠障害などにもなり働けなくなった。
証券・投資銀行、一般事務、女性

精神に波があり状態が悪くなると長く気分が落ち込んだり、必要以上に不安感を感じたり、自己嫌悪に陥ったりする。
医療・医薬、一般事務、男性

仕事中にもかかわらず、気分が急に落ちこんでしまうことがある。人と会話するのもつらくなったり、逃げだしたくなったり、情緒が不安定になってしまう。少しの間一人で休めば気持ちが安定する事が多いが、なかなか他の人には理解してもらえず、気をつかわせたり困らせてしまう。
医療・福祉・介護



仕事中のミスや、上司もしくは同僚の発言などにより気分が落ち込んでしまうことで、集中力が保てなくなり、仕事に支障が出てしまうという悩みがあげられていました。また、自分のミスについて考え続けてしまうことで不眠につながり、仕事に影響が出てしまうという状況もうかがえます。

こうした悩みについて、工夫や対策を講じながら仕事をしている方々もいます。口コミを見てみましょう。

【対策や工夫】

時間を区切って集中して仕事を行い、休みを適度に入れることを心掛けています。
専門店、物流、運搬、運転手、男性

就業時間以外は心と身体の休養を十分にとり、なるべく症状が緩和されるよう工夫しました。
専門商社、購買業務、仕入れ、男性

精神的にも身体的にも無理をしすぎないことを大前提に考え、人間関係などはあまり考えすぎないように、こちらが思っているほど周囲は自分のことを気にしていないと肝に銘じてできる限り、常に目の前の仕事に集中するようにする。
医療・医薬、一般事務、男性

トイレに行き気持ちを落ち着かせたり、外に出て深呼吸をしにいきます。適度にサボることです。
自動車・運輸・輸送機器、コールセンター、オペレータ、女性

アロマオイルをハンカチに少量たらし、休憩時間に香りでリラックスしています。
建築・建設・設計・土木、一般事務、男性

休みの日には、家にいると仕事のことばかり考えてしまっていたので、息抜きできるように外出したりしていました。
団体・連合会・官公庁、医療関係、女性



落ち込む出来事があると、そのことばかり考えてしまうという状態になってしまいがちです。そうした状態になることを避けるため、仕事中はこまめに休憩をとって気分転換を図るという対策が多く寄せられていました。

具体的な気分転換の方法としては、
  • トイレの個室でひとりの空間を確保する
  • 外の空気を吸う
  • リラックスできるアロマオイルの香りを嗅ぐ
  • ことなどがあげられています。落ち着きを取り戻し、気分転換ができる自分なりの方法をみつけることが、落ち込んだ状態を改善する手がかりになるといえるでしょう。

    落ち込んでいる時は「上司や同僚は自分のミスや失敗をどう思っているのだろう」というように、周囲の目が気になってしまうこともあるでしょう。周囲の目を気にして仕事に集中できなくなることで、更にミスをしてしまうという事態もあり得ます。

    こうした悩みへの対策としては、
  • 目の前の仕事に集中して周囲の反応について考える余地を極力減らす
  • 「自分が思っているほど周りは自分のことを気にしていない」と考える
  • これらによって、周囲が自分をどう思っているのかということについてなるべく考えないようにすることも、効果的な工夫といえます。

    また、うつ病の特性として落ち込みやすさがある方の場合、ミスや指摘された事柄など、落ち込む要因となった出来事を仕事以外の時間にも繰り返し考えてしまうという傾向がうかがえました。

    こうした状況への対策としては、
  • 休日など、仕事以外の時間はリフレッシュを心がけ、落ち込む要因となった出来事をなるべく考えないようにする
  • 睡眠や休養を取ることはもちろんですが、家にいると落ち込む要因となった出来事について考えてしまう方は、外出をするということも有効な対策となるでしょう。

    2-2. やる気が出ないという悩みとその対応策

    うつ病の特性の一つとして、あらゆることへの興味が消失してしまい、仕事や家事など、やるべきことに対する意欲が低下してしまうという悩みが多くあげられます。こうした特性がある方は、仕事上ではどのような悩みがあるのでしょうか。口コミより、悩みの具体的な内容をみていきましょう。

    【悩み】

    ひどい倦怠感や無意欲となることがしばしばあり、年次休暇では足りず病気休暇を取ってしまう。
    ビジネスコンサルティング、エンジニア・技術職、男性

    仕事の失敗を周囲に相談できず自分の中で溜め込んで、一定の許容を超えると破裂した風船のように気力が減退して、何もすることが出来なくなる。
    ソフトウェア・ハードウェア開発、エンジニア・技術職、男性

    日常生活で、いろいろな事をするのが億劫になったり、塞ぎ込んだりしてしまう。ストレスに対する耐性がないので、仕事が終わるとぐったりしてしまう。
    チェーンストア・スーパー・コンビニ、接客、男性

    意欲低下、不眠、集中力の低下等、思考停止、手や足の震え、自分が自分でない感覚、めまいがあり、パソコン業務に間違いが増えたり、約束を忘れたりすることが増えた。ストレスが溜まると、症状が出やすくなる。
    医療・福祉・介護、一般事務、女性

    疲労感や倦怠感、睡眠障害からくる意識力低下などでやるべき仕事が手につかなかったり、出勤できないことが何度もありました。
    生命保険・損害保険、一般事務、男性



    倦怠感があることや無気力になることで、出勤そのものができなくなってしまうという悩みが多く寄せられました。仕事に行くことができた場合でも、意欲の低下により仕事を遂行することが困難になってしまうことや、ミスが増えるという悩み、仕事が終わると疲労困ぱいになり、何もできなくなってしまうという悩みが寄せられました。

    こうした悩みを軽減すべく、自分なりの対策や工夫を講じている方からも口コミが寄せられました。具体的な工夫をみていきましょう。

    【対策や工夫】

    仕事の途中で水分補給の時間を取ってもらっている。手抜きにならない範囲で、張り詰めた神経を休ませるようにしている。
    チェーンストア・スーパー・コンビニ、接客、男性

    仕事を抱えすぎないようにする。倦怠感を感じる前に休憩を挟む。
    運輸・交通、医療関係、女性

    薬を飲み続けることはもちろん、無理して仕事をして周りに迷惑をかけないために早退や遅出をしました。
    生命保険・損害保険、一般事務、男性

    一人で抱え込まず誰かに相談したり、家事などは家族に助けてもらいながら、できるだけ体を休ませるように心がけた。
    医療・福祉・介護、医療関係、女性

    食生活の改善をしている。朝はヨーグルトと野菜ジュースを飲む、昼食を魚になるべくする。 夕飯は白飯を食べない。 起床時に太陽を浴びるなど。
    システムインテグレータ、エンジニア・技術職、男性



    倦怠感や意欲の低下という特性を抱えながら仕事をしている方々からは、倦怠感や疲労感で動くことができない状況になってしまう前にできる対策として、
  • 服薬管理をする
  • 仕事中にこまめに休憩をとる
  • ことがあげられていました。

    休憩時間が決められている職場など、自由に休憩をとることが難しい場合もあるかもしれません。そうした職場で働く方からは、疲労を感じたら、可能な範囲にてトイレ休憩や水分補給のための休憩などを確保するという対策が寄せられていました。少しの時間でも仕事から離れるタイミングを作り、一息つくことは、自分を労わりながら仕事を続けるための大切な工夫といえるでしょう。

    倦怠感や意欲の低下、疲労感などで仕事をすることそのものが困難な場合は、周囲に相談してお休みをいただいているという口コミが多く寄せられていました。自らの症状の傾向について職場に事前に知らせておくことで、欠勤についても職場に相談しやすくなります。なお、うつ病について職場に知らせることのメリットやデメリット、気を付ける点などについては、後述の「4.転職や就活ではうつ病をオープンにするかクローズにするか」にて詳しく触れます。

    職場以外でできる工夫としては、家族に協力してもらい、家事などを分担することもあげられていました。一人ひとりのエネルギーには限りがあるため、仕事でたくさんのエネルギーを使ってしまえば、家事や家のことに多くのエネルギーを割けなくなってしまうことは自然なことです。そのため、同居している家族がいる場合は、家族の協力を得て家事を分担をすることを相談してみると良いですね。

    更に、職場以外でできる対策として、
  • 食生活の改善を心がける
  • 起床してから日光を浴びる
  • などの工夫も寄せられました。食事については、一人ひとり体や生活の状況が異なるため、口コミに寄せられたものが全ての人に当てはまるとは限りません。専門家に相談する方法のほか、「体調が良い」と感じられる食事の内容や方法を自分なりに見つけておくことも、倦怠感や無気力になってしまうという悩みへの一つの対策となるでしょう。

    2-3.体調を崩しやすいという悩み

    うつ病のある方の中には、その日によって体調に波があることや、天候や季節、時間帯により体調が優れなくなってしまうという傾向のある方がいます。
    こうした特性のある方は、仕事をするうえでどのような悩みがあるのでしょうか。口コミより、その内容をみていきましょう。

    【悩み】

    日によって体調に差があるので、体調を整えるのが大変だし、日によって出来る、出来ないがある。
    団体・連合会・官公庁、一般事務、女性

      その日によって体調にむらがあり、仕事の効率が上がらないことがある。焦ると仕事に集中できなくなる。
    IT・通信・インターネット系、一般事務、女性

      体調が良い時は、頑張り過ぎて疲れます。体調が悪い時は、寝込んでしまいます。
    物流、運搬、運転手、男性

      体調が天候などにより左右され急に休んだりする。 急に涙が出てきたりするので自分の気持ちをコントロールするのが難しい。
    百貨店・量販店、接客、女性

      体調に波があり、朝ちゃんと起きられる時とそうでないときがある。感情のコントロールが難しいときもあるので、コンスタントに仕事をこなすのが難しかった。
    経理、女性



    その日の体調によって、普段はできている仕事ができなくなったり、進捗に影響が出たりしてしまうという口コミが多く寄せられました。また、逆に体調が良い時は、体調が悪かった時の遅れをカバーするために頑張りすぎてしまうという状況もあるようです。それでは、こうした特性について、どのような対策や工夫が考えられるのでしょうか。口コミをみていきましょう。

    【対策や工夫】

    休憩などは、出来るだけのんびり過ごしたり、眠れるようなら仮眠をとったり心がけている。 疲れていると体調が悪くなることがあるため、リラックスするようにしているが気持ちをコントロール出来ないときは、頓服を飲む。
    百貨店・量販店、接客、女性

    長時間仕事に集中しないように1時間ごとに休憩を入れる。疲れたらストレッチや散歩をするようにしている。
    IT・通信・インターネット系、一般事務、女性

    気軽に相談できるような先輩や同僚を作って、頑張り過ぎないように止めてもらう。
    物流、運搬、運転手、男性

    天候の変化で体調を崩しそうだと思ったら、早めに寝るようにすること。体調や気分がすぐれなくても無理をして仕事をしようとする傾向があるので、つらい時にはきちんとつらい状態だということを周りに伝えるようにすること。
    シンクタンク・リサーチ・マーケティング、エンジニア・技術職、女性

    できるだけ、決まった時間で動く、規則正しい生活を淡々とこなすことに取り組んでいる。
    生命保険・損害保険、営業、営業補佐、男性

    体調が良いときに調子に乗って仕事をしないようにしてしまいます。また、定時に帰るように心掛けています。
    医療・福祉・介護、介護、男性



    口コミでは、体調が良い時は、体調が悪くて休んでしまった分を取り戻そうと頑張りすぎてしまうため、結局疲れが蓄積されてしまうという状況があることがうかがえました。体調の波を減らすためには、体調が悪い時への対処だけでなく、体調が良い時に頑張りすぎないということも大切なポイントです。

    しかし、「頑張りすぎない」と意識しても、いざ仕事に集中し始めると、自分が頑張りすぎていることに気が付くことはなかなか難しいものです。体調が良い時も無理をしないための具体的な方法として、対応策としてご紹介した口コミにあるように、上司や同僚など、周囲の人に自分の状況を伝えておき、頑張りすぎている時に周囲から声をかけてもらうという工夫は効果的でしょう。

    体調は、季節や時間帯、天候などに影響を受けることもあります。普段から規則正しい生活を心がけることや、体調が悪くなる予兆がある場合は早めに寝るなど、自分の症状の傾向を把握して予防的な対策をとっているという口コミも寄せられました。

    また、疲れが溜まると、どうしても体調は崩れやすくなってしまうものです。寄せられた口コミには、疲れを溜めない工夫として、なるべく残業をせずに定時で帰るよう努めることや、休憩中に仮眠をとったり、ストレッチをしたりするという対策があげられていました。

    3. うつ病の方が職場で抱える悩みと工夫

    口コミをみていくと、うつ病のある方は、職場にて以下のような悩みを抱えやすい傾向があることがうかがえました。

    【うつ病の多くの方が抱える職場での悩み】

    ・朝起きられない、午前中は体調が悪いなどの理由により午前の仕事に支障が出る
    ・体調の波があることで急な休みを要する
    ・うつ病を発症した要因や悪化させる状況を避ける必要がある
    具体的な悩みの状況と、こうした悩みに対して職場ではどのような対策がとられたのかという点について、口コミをみていきましょう。

    3-1. 朝起きられない、午前中は体調が悪いなどの理由により午前の仕事に支障が出るという職場での悩み

    うつ病の代表的な特性の一つに、朝が辛く、調子が悪いという症状があります。朝からの出勤を伴う仕事をしている場合、朝に体調が優れないことは、仕事上の悩みに直結してしまいます。朝の辛さや午前中の体調の悪さを抱えている方は、具体的にどのような点について悩んでいるのでしょうか。口コミをみていきましょう。

    【職場の悩み】

    朝(午前中)に絶望感を感じ、全く集中できない。また、落ち込んだ気分が1日中続き、頭の働きも悪くなる。
    団体・連合会・官公庁、一般事務、男性

    将来に関する不安感が増したり、人間関係が悪化すると不眠と過眠を繰り返してしまう。 朝起き上がれなくなる時は仕事に遅刻してしまう。
    チェーンストア・スーパー・コンビニ、接客、女性

    朝に抑うつ状態になることが多く、布団から出られない日がしばしばありました。「お客様に怒られるのではないか」「困ったお客様が来たらどうしよう」「失敗したらどうしよう」という不安が頭の中をぐるぐるして、体が鉛のような状態になります。そのため、シフトを欠勤してしまう日や遅刻してしまう日がありました。
    百貨店・量販店、女性

    うつ病のため、夜の寝付きが悪く、朝起きるのも辛いです。夜寝るためには精神安定剤、睡眠導入剤が欠かせません。日によりますが、睡眠剤の効果が翌朝まで残っていることもあり、朝半分眠った状態で出勤することもあります。やはり午前中を中心にやる気が出ないことが多く、午後になってようやくエンジンがかかってくる日が多くあります。
    シンクタンク・リサーチ・マーケティング、男性

    うつ病の場合、朝に具合が悪く、午後から夕方にかけて調子が戻ってくるという日内変動というサイクルがあります。このため、出勤する時間に「今日は出勤時間を遅らせたい」「今日はもう動けない」考えてしまい、遅刻・欠勤につながってしまうことが多かったです。
    団体・連合会・官公庁、女性



    朝の辛さは、不眠や服薬の影響を受けていることも多く、ご自身の工夫にて対応できることは限られている場合も多いでしょう。また、朝や午前中の気分の落ち込みや体調不良の影響は、終日に及んでしまうという口コミも寄せられました。一方で、朝や午前中は体調が優れないものの、午後になるとだんだんと調子が戻ってくるという方もいらっしゃり、「朝が辛い、午前中に調子が出ない」という悩みも、その状況は様々です。

    また、朝が辛く、午前中に体調が優れない方は、遅刻や欠勤が多くなってしまうことも悩みにつながっています。

    それでは、こうした特性により悩みを抱えている方に対して、職場ではどのような対策が取られているのでしょうか。

    【職場の対策】

    朝起きられない時期などは半有給を使わせて貰えたり、長く不調だった時などは傷病手当を受給しながらの休職をさせて貰えたりと、配慮してもらった。
    チェーンストア・スーパー・コンビニ、接客、女性

    上司・同僚には、前もって病気のことを伝えていました。なるべく遅番の出勤にしてもらったり、調子が悪いような期間には勤務時間を短くしてもらうなど、職場の人にこまめに自分の要望を伝えるようにしていました。また、仕事終わりには、「できたことノート」を書いて、自己肯定感を高めるようにしました。
    百貨店・量販店、女性

    うつ病について理解のある上司から、「もし朝が辛ければ、1日休暇の前に半日休暇、半日休暇の前に1〜2時間の1時間単位の休暇を考えてみてほしい。細切れで休暇を取れば、休暇の取得日数を減らすことができる。」とお声がけをいただき、心強かったです。そして、職場で様子を見ていただいて、不調が続く時には「一度、数日まとまった休暇をとってみてはどうか。」と提案していただいたりしました。休むことには基本的に罪悪感が伴いますので、そうしたお声がけをいただけることが心の支えになりました。
    団体・連合会・官公庁、女性

    朝起きられないことについては、症状を伝えたら出勤時間を30分遅くしてもらうことができました。集中できないことについては、電話対応を減らしてもらったり、業務の電話依頼はメールで送ってもらうようにお願いしました。
    メーカー・製造系、女性

    朝に起きられない時は昼からの出勤でもいいとシフトを変えてくれました。また、気分が不安定になった時には個室でしばらく休無用に計らってくれました。そしてシフトが出た後にこの日ならばもし来られなくても交代できるよと教えてくれました。
    医療・福祉・介護、女性



    朝が辛いという悩みに対しては、
  • 本人と相談して出勤時間を調整する
  • シフトを調整し、朝や午前中の勤務を減らす
  • 勤務時間を短縮する
  • などの対策が行われていました。

    しかし、シフト制の職場においては、勤務時間に配慮を行っても、完全に朝や午前中の勤務をなくすことは難しい場合もあるでしょう。口コミにあるように、交代可能である日にちを周囲の従業員と事前に確認し合うことができれば、気持ちの余裕にもつながります。

    そのほか、有給休暇の取得単位を半日や時間単位にするなど、柔軟に制度を活用している職場もありました。また、午前中には体調が優れず、仕事に集中できないという悩みを理解し、本人の苦手とする業務にあたらずに済むように業務内容を調整するという取組みも行われていることがうかがえます。

    朝が辛い、午前中に体調が優れないという特性のある方にとって、こうした配慮を実践してくれる職場は理想的です。このようなうつ病の特性を理解し、対応してくれる職場で働くためには、どのようなことに気をつけて職場を選ぶべきなのでしょうか。口コミの内容をまとめると、次のような対策が考えられます。

    【理解のある職場で働くための対策】
    ・休暇制度の整備状況と、その取得単位を確認する
    ・勤務日は固定か、もしくはシフト制かを確認する
    ・フレックスタイム制など、出勤時間を調整する各種制度はあるか確認する
    ・職場の人員の充足状況について確認する
    朝や午前中に体調が悪い場合が多いものの、午後からは調子が戻ってくるという特性のある方にとっては、終日の休みは不要であるケースも多いことでしょう。こうした場合、時間単位もしくは半日単位で休暇制度の活用ができれば、休暇をすぐに消費してしまうことも防げます。加えて、数時間もしくは半日の休暇であれば、仕事を休むことで周囲に与える影響も少なく留めることができるでしょう。

    有給休暇を含む各種休暇制度の整備状況を確認することと併せて、その休暇制度活用の際の最小単位についても確認しておくと、実際に休暇が必要となった際に慌てることなく対応ができるでしょう。

    職場がシフト制の場合は、午前中の勤務を避けることは可能かという点についても確認しておくと良いでしょう。午前中の勤務にも入らなければいけない場合は、そのおおよその回数についても就労開始前に確認しておくことで、職場とご本人が希望する勤務スタイルとのミスマッチを減らすことができるでしょう。

    職場が固定勤務制である場合は、就業開始時間を確認するとともに、フレックスタイム制など、自分で勤務開始時間を調整できる制度があるかどうかも併せて確認をしておくと、働き始めてから体調が優れなくなってしまった場合も、対応がしやすいと考えられます。

    各種休暇制度が整備されていたとしても、人員不足の課題がある職場では、代替の人を立てることができなかったり、休暇を取りにくい雰囲気があったりすることが多いものです。
    また、人手不足の職場は、少ない人員で業務を回していることから、一人が休むことの影響が大きく出てしまう場合もあるでしょう。「休むことができない」というプレッシャーを抱えながら仕事をすることは、大きなストレスにつながってしまいますある程度人員に余裕があり、同じ業務内容を複数の人が担っている職場であれば、急な休みや遅刻についても、周囲がサポートできる可能性が高いでしょう。

    職場の人員の充足状況については、ホームページで確認したり、面接時に直接質問したりするほか、職場見学の際に従業員の業務量を確認する方法もあります。併せて、希望する仕事の業界全体の傾向として、人員不足の課題がないかどうかを確認しておくことも役立つでしょう。

    3-2. 体調の波があることで急な休みを要するという職場での悩み

    うつ病のある方は、体調や気分に波があり、調子が良い時とそうでない時の差に悩まされている場合が多くあります。体調に波があるということは、職場でのどのような悩みにつながるのでしょうか。口コミをみていきましょう。

    【職場の悩み】

    朝、起床時に、日によって体調が違い、酷いと起きられず、仕事に行けない日があった。 さらに、そんな日が続くこともあり、欠勤連絡をずっとしていると、次第に罪悪感がつのり、連絡さえしなくなることがあった。
    専門店、女性

    通勤途中で精神状態が悪くなり、職場に着いても車から降りられず、欠勤してしまうことが度々ありました。仕事中にも立っていることが辛くて座りこんでしまうこともありました。管理職の方が職員への周知を行ってくださいましたが、自分への対応の仕方に困っている様子が伺え、人間関係がうまくいかなくなってしまいました。
    教育、女性

    体調が良い時と悪い時の波があり、悪い時に、いかにして仕事をこなしていくかが難しかったです。また、体調が悪くても、見た目ではわからないので、どの程度の体調の悪さで周囲に伝えるかについて悩みました。
    銀行・信用金庫、男性

    気分の波があり、とても仕事が出来る状態でなくても少数精鋭の企業なため、簡単に休暇を取得することが出来なかった。
    人材、女性



    体調に波があり、急な欠勤や遅刻をしなければいけなくなってしまうこと、また、そのことによる罪悪感が大きなストレスとなっていることが口コミからうかがえます。さらに、仕事中や出勤途中に急に体調が悪くなる場合もあるため、自分の症状について職場に説明しなければいけないという点も悩みにつながっているようです。

    こうした悩みについて、職場としてはどのような対策をとることができるのでしょうか。職場の対策や工夫について寄せられた口コミをみていきましょう。

    【職場の対策】

    体調が悪化した際に、部署の移動や、出勤時間の削減をして頂きました。
    シンクタンク・リサーチ・マーケティング、女性、

    体調不良の時は休憩室や保健室で休めるよう配慮してくれました。また、私の担当する児童の面倒を見てくれていました。校務分掌や担任学級も負担がかからないように考えて提案してくださいました。
    教育、女性

    一番の問題は急な体調不良時に替えがきかない少数の職場だった事です。なので暫くの間は急に体調変化があっても対応できるようにエリアマネージャーがいつでも交代できるようなシフトになっていました。直属の上司も理解があり、無理をしないで体調が悪い時は申し出るよう促して頂き、精神的な支柱になってもらいました。職場の理解がある事は無理をしないで済むので大変助かりました。
    サービス・外食・レジャー系、男性

    医務室があり、本当にしんどい時には横になって休むことができた。
    銀行・信用金庫、男性

    専門の方に、定期的に面談していただき、メンタルケアをしていただきました。また相談しながら体調に合わせて仕事量の調節をして下さったり、体を休めるようにと慣れるまで残業をせず帰宅できるよう配慮してくださいました。おかげで少しずつ土日出勤できるようになりました。
    医療・福祉・介護、女性

    病休と復職の制度がしっかりしているので、自分の体調に合わせた働き方が可能。
    団体・連合会・官公庁、女性



    体調が悪い時は、無理をせずに休むことが大切です。口コミからは、体調に波があるという悩みに対応している職場では、本人への声かけやシフトの調整はもちろん、勤務中に一時的に休憩をとる場合の業務のフォローが行われていることがうかがえます。

    また、長期的な対応としては、部署の移動や勤務時間の変更という対応をとっている職場もあるようです。うつ病の特性を理解し、必要な時に休むことができる職場は、体調に波があるという特性のある方にとって理想的な職場といえるでしょう。こうした職場を見つけるために、確認すべきことについて、口コミを参考にまとめたものは次のとおりです。

    【理解のある職場で働くための対策】
    ・産業医の配置や医務室の有無など、従業員の心身のサポート体制を確認する
    ・病気や障害のこと、職場での困りごとなどを相談できる機会があるか確認する
    ・病気や障害のある従業員や、介護や育児をしながら働いている従業員がいるか確認する
    仕事中に体調が悪くなった場合を想定すると、周りを気にせずに休める場所があることは重要です。医務室や個室の休憩スペースの有無など、従業員が休める場所を確保しているかどうかを事前に確認しておくと「急に体調が悪くなったらどうしよう」という心配を少しでも和らげることができるでしょう。また、産業医の配置などがあれば、身近な専門家に相談することができるという安心感を持つことができます。

    このように、産業医の配置や医務室の設置など、従業員の心身の状況に気を配る工夫を行っている職場は、病気や障害がある従業員と働くことへの理解が進んでいる可能性が高く、合理的配慮などのサポートが受けられる可能性も高まるといえます。

    口コミをみていくと、体調に波があるという悩みのある方は、休みの申請や勤務時間の調整に伴い、上司などに事情を説明しなければいけない状況があることがわかりました。うつ病の症状や体調は一定ではなく、変化があるものです。上司やリーダーなどに相談できる機会が日頃から確保されている職場であれば、少しの変化やちょっとした要望の相談もしやすいと考えられます。

    職場として、従業員との定期的な面談の機会などを設け、従業員の健康状態や勤務状況、要望の把握に努めているかを確認しておくことは、体調に波があるという特性のある方にとって、職場選びの一つの大切なポイントといえるでしょう。

    こうした職場のサポート体制の有無を求人情報から得ることはなかなか難しいものですが、面接時に直接質問する方法に加えて、求人サービスを活用して就職活動を行っている場合であれば、求人サービスの担当者に確認をしてもらうという方法もあります。

    病気や障害のある従業員や、介護や育児をしながら働いている従業員は、様々な事情により、急な休みを要する可能性があります。こうした従業員と共に働いた経験が豊富にある職場は、従業員の個別的な事情の対応にも慣れている傾向があります。また、多様な従業員が働く職場では、休職や復職の制度が充実している場合も多くあります。

    多様な雇用実績があるかを確認するとともに、休職や復職の制度の整備状況と取得実績を確認しておくことは、理想的な職場を探す手がかりとなるでしょう。

    3-3. うつ病を発症する要因や悪化させる状況を避ける必要があるという職場での悩み

    うつ病のある方の中には、うつ病となった原因や引き金となった状況がはっきりしている方もいます。うつ病となった原因がわかっている場合、その原因や状況を避けることで、ストレスが軽減され、症状が落ち着くことがあるといわれています。

    しかし、うつ病の引き金が職場内にあれば、すぐにその状況を変えることは難しい場合があります。すぐに要因を避けることが難しいという状況にある方が抱える職場での悩みについて、寄せられた口コミをご紹介します。

    【職場の悩み】

    入社時は健康であったが、その職場の上司が原因で鬱病を発病した。入社してから仕事を教えてもらえず、どんなに聞いても「あなたのためにならないから、自分で考えてやれ」の一点張りであったり、そのため独自に進めた業務に不備があると激しく叱責を受けるなどの状況が続いたため発病し、悪化が続いた。
    団体・連合会・官公庁、一般事務、女性

    上司に恵まれず、非常に苦しい思いをした。発症したのがこの上司のもとに就いてからであり、業務量がコントロールできず、症状が悪化の一途をたどり、最終的に仕事ができなくなるまでになった。また、うつ病患者に対しての適切な仕事を提供できず、いいように振り回された。
    化学・素材、技術系、男性

    ハラスメントによるうつ病が悪化して、布団から出られない、家から出られない。一度家を出て職場につけば、仕事に集中して嫌なことは忘れられるが、家を出るまでがとにかくつらい。
    教育、男性

    人と接することがつらいので、職場におられる方とうまくいかず病気が悪化することがしばしばありました。倉庫内作業だったのですが、一度苦しくなるとその場を離れたくなるので、作業を継続することが難しかったです。
    人材、女性

    病気になった原因となったような光景がいまの職場でもおきると(他の人が怒られている姿を見るなど)動悸がとまらなくなる。
    医療・福祉・介護、女性



    職場でのハラスメントや人間関係が原因でうつ病を発症した方の場合、すぐに状況を変えることが難しく、ストレスを抱えたまま仕事を継続せざるを得ない場合があることがうかがえます。
    また、口コミからは、例え職場が変わっても、うつ病の原因となった出来事に似たような状況を目の当たりにすると、強いストレスがかかってしまう可能性があることもわかります。

    こうした悩みを抱える方に対して、工夫や対策を講じている職場もありました。職場でとられた具体的な対策について、口コミよりその内容をみていきましょう。

    【職場の対策】

    ハラスメントの加害者と会わないように工夫してくれた。また、加害者に頼まなければ発注できないような仕事を、部署を超えて承認してくれた。
    教育、男性

    原因となった人から離れるような人事を行ってもらった。
    通信、営業、営業補佐、男性

    病気の事を相談した際に多少ではあるが原因になった人間関係の改善を図れるように上司が対応してくれた事、仕事量なども考えてくれた。
    専門商社、管理業務、折衝業務、女性

    店舗の上司より上役のエリアマネージャーと定期的に面談があった事で、直属の上司に言いにくい事も相談出来る環境でした。定期的な面談により、こちらの要望などを察して提案してもらえるため助かりました。例えば、職場環境や人間関係が崩れそうであれば、先手を打っての仲介や、場合によっては諸々の理由をつけての転勤の打診などです。
    サービス・外食・レジャー系、男性

    現場での仕事が主でしたが、相談すると親切に対応してくれて神経を使わないように配慮してくれる。なるべく一人で仕事ができるように内容を精査してくれてストレスがあまりかからないようにしてくれた。
    IT・通信・インターネット系、一般事務、男性

    コミュニケーションがうまくとれないことを考慮してもらい、窓口でのお客様対応や他の職員との接触があまりないような簡単でひたすら自分だけで行う作業にしてもらえたこと、また、体調不良で休んだときもあたたかく受け入れてもらえたときです。
    銀行・信用金庫、一般事務、女性

    コールセンターで鬱病が発症したことを話したら電話応対からは外してもらったり、体調の悪いときはすぐ休むよう言われたりする。
    コンピュータ・通信・精密機器、総務、男性

    何かあった時、電話相談できる窓口が設置されているので、心強いところ。
    百貨店・量販店、接客、女性

    全店舗の社員やアルバイトが相談できる組合の窓口などもありますので、労務問題を解決しやすい環境ができています。
    外食・フード、男性

    メンタルケアの専門の方がいるので、面談していただくことで自分を客観的に見る機会が得られたり元気をもらうことができるのはとても心強いです。定期的に行われる勉強会の中に、メンタルヘルスやハラスメントなども含まれ、考える機会が得られたので良かったと思います。
    医療・福祉・介護、女性



    上司との関係性など、職場での人間関係がうつ病の原因である場合は、その原因となった人物との仕事上での関わりを極力少なくするという工夫がとられていました。具体的には、部署異動などによりうつ病の原因となった人物と顏を合わせずに済むように配慮するほか、うつ病の原因となった人物を介さずに本人が仕事を進められるよう、仕事の進め方や本来踏むべき手順を柔軟に変更するなどの対応がとられていました。

    本人が苦手とする特定の業務内容などもうつ病の引き金となったり、症状を悪化させたりする原因になり得ます。
    口コミでは、コミュニケーションを伴う業務にストレスを感じる方に対して、窓口での顧客対応や従業員との会話の必要性が低い業務を担当してもらうことや、一人で進められる作業を割り振るなどの工夫が行われていました。

    また、前職であるコールセンターでの業務が原因でうつ病を発症した方に対して、電話応対をしなくて済むように工夫している職場もみられました。
    このように、うつ病を発症した原因や悪化させる状況がわかっている方に対して、職場としては、業務の割り振りや人事異動、仕事の手順の変更などにより対応していることがみえてきました。

    また、そもそも、従業員のうつ病の原因となるような職場の状況をつくらないための予防的な対策として、管理者や従業員向けの病気や障害への理解に向けた研修の実施や、従業員向けの相談窓口を設置するという職場の工夫も寄せられていました。研修などを行うことで、病気や障害に対する管理職や従業員の理解が深まり、互いを気遣いつつも、一人ひとりが能力を発揮できる職場環境の構築につながる効果があると考えられます。

    相談窓口設置の取り組みについては、「何かあったら相談するところがある」という安心感を従業員に与えることができることに加えて、相談窓口の存在そのものが、職場でのハラスメント発生を抑止する効果があると考えられます。

    このような柔軟な対応をとってくれる職場で働くためには、就労前にどのような点に気をつけて職場を選べば良いのでしょうか。口コミをもとに傾向を整理すると、次のようなことがわかりました。

    【理解のある職場で働くための対策】
    ・病気や障害の理解に取り組んでいるか確認する
    ・ハラスメントなどを相談できる仕組みが整っているか確認する
    ・直属の上司以外に現場の状況を把握している人物はいるか確認する
    ・従業員間で業務の調整ができる職場であるか確認する
    口コミでは、うつ病を発症した原因として、職場でのハラスメントが多くあげられていました。そのため、職場としてどのようにハラスメントを起こさない工夫を行い、起こった場合はどのように対処しているのかという姿勢を確かめておくことは、うつ病のある方が転職や就職をするにあたっての大切なポイントであるといえます。
    ハラスメントを防ぐために職場が取り組めることの一つに、「病気や障害の理解を促進する」ことがあげられます。病気や障害に対する管理職や従業員の理解を深めることで、ハラスメントが起きにくい風潮の醸成につながると考えられるためです。

    具体的な取り組みとしては、管理職や従業員向けの研修などがあげられるでしょう。職場として病気や障害の理解を促進する取り組みを行っているかについて確認する方法としては、面接時に直接尋ねるほか、企業のホームページに情報が載っている場合もあります。

    理解のある職場で働くための対策の2つ目はハラスメントなどを相談できる仕組みが整っているか確認することです。口コミからは、上司など、職場を取り仕切る人物との関係が原因でうつ病を発症した方が多くいることがうかがえました。職場内でこうした状況が発生した場合、第三者に相談できる場所があることは、働くうえでの大きな安心につながります。また、相談することにより、状況が整理され、課題解決に向けた取り組みが進みやすい場合もあることでしょう。

    近年は、ハラスメントの相談窓口を設けている職場も増えてきました。一般的に、こうした相談窓口を設けている職場は、ハラスメントへの理解も進んでおり、課題解決への意識が高い場合が多いと考えられます。仕事探しの際は、職場にハラスメントなどの相談窓口が設けられているかを尋ねることで、職場としてのハラスメント対策の姿勢を確かめることができるでしょう。

    理解のある職場で働くための対策の3つ目は直属の上司以外にも現場の状況を把握している人物はいるか確認することです。直属の上司など、一人の人物だけが現場を取り仕切っている場合、その人物との関係性が上手くいかなくなると、職場に居づらくなってしまうなどの状況が起こり得ます。ご自身の就労の状況や現場の状況などについて、複数の人物が把握する仕組みがあれば、直属の上司に話しにくいことも相談できる場合があります。また、職場に第三者的な視点が入ることにより、ハラスメントの発生を防ぐ効果も期待できるでしょう。

    直属の上司やリーダー以外に、エリア全体の責任者などはいるか、そうした人物は現場にどの程度足を運んでいるか、また、直属の上司以外の人物とどの程度顏を合わせる機会があるか、面談などの機会は確保されているかなどについて確認してみると良いでしょう。こうした点は求人情報には載っていないことが多いため、職場訪問の機会があれば是非活用して、実際に働いている人に直接聞いてみることをおすすめします。職場訪問することが難しい場合は、求人サービスの担当者などを介して確認してもらうという方法もあります。

    理解のある職場で働くための対策の4つ目は従業員間で業務の調整ができる職場であるかを確認することです。口コミをみていくと、職場での人間関係以外にも、コミュニケーションを伴う業務など、苦手な業務にあたることによってうつ病が悪化してしまう場合があることがうかがえました。職場の対応としては、苦手な業務を担わなくて済むように配置換えを行うなどの対策がとられていることも明らかになりました。

    しかし、配置を変えた場合でも、例えば電話応対など、明確に担当は決まっていないものの、職場にいる誰もが対応することを期待されている業務などがあります
    このように、配置換えを行った場合でも、日々の業務のなかで苦手な業務を完全に避けることは難しいものです。日々の避け難い業務の中にうつ病を悪化させる要因の1つがある場合、上司や人事の配慮によって改善されるというよりも、周囲の従業員のサポートがより重要になってきます。従業員同士が声をかけあい、気軽に業務をサポートしあえる雰囲気がある職場かどうかは、是非確認しておきたいポイントです。可能であれば、就労前に職場見学を実施し、従業員の仕事の進め方など、従業員同士がサポートしあう風潮の有無についてみておくことが、理想的な職場をみつけるヒントとなるでしょう。

    4.転職や就活ではうつ病をオープンにするかクローズにするか

    うつ病のある方の多くは、障害をオープンにするか、クローズにするかということで悩むのではないでしょうか?
    それは、伝えるか伝えないかで、働き方が大きく異なるからです。

    では、オープンした方(障害者雇用枠で働いている方)、クローズにした方(一般雇用枠で働いている方)では何が違うのでしょうか?

    4-1. うつ病をオープンにした方の体験

    まずは、うつ病であることをオープンにした方の口コミです。オープン就労で良かったと感じること、逆に悩んだことはどのようなことでしょうか?

    【オープン就労して良かった点】

    病気のことを打ち明けた後に「何かあったら些細なことでも相談してくれ」と言われたので、悩みや不安があってもきちんと対応してくれるのだなと思った。
    総合商社、接客

      上司や同僚にも同じ病気に罹っている人がいて割りと理解のある職場でしたので、オープンにしてからはプレッシャーからも解放されてストレスが減りました。
    総合電機、エンジニア・技術職、男性

      午前中は気分がすぐれないことが多かったため、自分のペースで出社し、自分のペースで仕事を進めることができた。他の職員も、自分の就業時間に合わせての出社だったため、罪悪感を覚えずに済んだ。
    医療・福祉・介護、エンジニア・技術職、女性

      精神障害者だからといって変に特別扱いをすることなく、仕事をする仲間の一員として受け入れて頂けたから。また、何でも相談出来る環境で仕事上不安に感じることが少ない。
    人材、事務



      【オープン就労で悩んだ点】

    障害者雇用だからといって、あまりにも仕事量が少なかった点です。朝出社して30分程仕事をしたら、退社時間まで何もやる事がなかった日が何度もありました。
    旅行・ホテル、経理、男性

      人事宛にこっそり「うつ症状」を書いた手紙を送ったところ、秘密裏に面談の機会を作ってくれた。しかし、うつ病が悪化し、退職を決断した際は、そのことが全体に一気に広められてしまい、精神的に追い詰められてしまった。
    団体・連合会・官公庁、一般事務、男性

      過去に病気が原因で仕事を続けられなかったことを話すとそのまま電話を切られたことがある。病気を隠したくないと、正直に話すとうちでは対応できないと言われる。
    アパレル・日用品、男性



    オープンにして働くことの良い点としては、出勤時間の調整など、体調や症状に合わせた合理的配慮が受けやすくなる点です。また、オープンにして働くことで、体調の波に悩まされている方でも職場に相談しやすくなるというメリットがあります。加えて、「困った時は相談できる」という安心感からストレスが軽減されるということも、オープン就労の良い点といえるでしょう。

    うつ病をオープンにして働くことの悪い点としては、職場が過剰な配慮をしてしまうことがあるという点です。職場としては「本人にストレスを与えないように」という意図であったとしても、過剰な配慮により仕事量が極端に減らされてしまったり、本人への相談なしに他の従業員に自分の症状について知らされたりしてしまうことは、結果として更なるストレスとなってしまい、病状の悪化を招きかねません。
    こうした状況は、オープンにしたために被ったデメリットというよりも、職場としてうつ病に対する正しい知識がなく、対応策を誤ってしまったことが原因であるといえます。

    【うつ病をオープンにして働くことのまとめ】

    オープンにして働いている方からは、ストレスが減った、安心して働けるという点がメリットとしてあげられていました。「何かあったら職場に相談ができる」という安心感は、オープン就労でしか得られないメリットといえるでしょう。また、うつ病についてオープンにしているからこそ、倦怠感や朝が辛いなどの特性への理解も得やすくなり、結果として出勤時間の調整などの合理的配慮が受けられる可能性も高まります。

    一方、就労前にうつ病について明らかにすると、冷たい態度をとられたり、採用を見送られてしまったりしたなどの口コミも寄せられました。このような対応をとる職場は、そもそも病気や障害への理解がすすんでおらず、病気や障害のある従業員と働く体制が整っていない可能性が高いからでしょう。就労前にうつ病について相談し、その反応を確かめることで、病気や障害のある従業員と働くことに関する職場の姿勢や考え方をある程度見極めることができるのではないでしょうか。

    4-2. うつ病をクローズにした方の体験

    次に、うつ病をクローズにして働いた方から寄せられた口コミについて、良かった点と悪かった点として寄せられたものをそれぞれみていきましょう。

    【クローズ就労して良かった点】

    病気のことは言わずに就職しました。 パートなので仕事が重いようだったら退職しょうと思っていました。 私の病気とは関係なく パートは残業無しで、重い仕事は回ってこず 社員とパートの区別がハッキリしているため 結果、働きやすかった、 という感じです。
    コンサルティング・専門サービス系、一般事務、女性

    容易に正社員になれ、お給料もとても良かったので、その点では満足です。ただ、上述の通りクローズにしていたこともあり、配慮を受けられる状況にはありませんでした。
    小売・流通・商社系、接客、女性

    鬱をクローズで入職したので、社員の皆さんは自分が鬱だとは知らない。病気という点での配慮はないが、基本親切なので問題なくやれている。
    食品・化粧品、軽作業、男性

    クローズで働いていたので、普通の人と同じように対応してもらえた。
    医療・福祉・介護、女性



    【クローズ就労して悪かった点】

    働いている途中にうつ病を発症し、そのことをオープンにせず働き続けていたため、体調が悪くてもなかなか言い出せない時もあったのはつらく感じました。
    シンクタンク・リサーチ・マーケティング、エンジニア・技術職、女性

    正直にうつ病だと伝えてしまうと採用されない確率が高いので、隠して仕事をしていました。体調が悪くなった時にごまかすのが大変でした。
    専門店、女性

    うつ病のことを隠して入社しました(契約社員です)ので、体調に波があるときにも、休むことはもちろんできないし、できるだけ表情にも辛さを出さないようにしなければならなかったのが大変です。特に、図書館は接客業なので、泣き出したい気分の時なども、笑って利用者に対応しなくてはならないので、慣れと気合が必要です。
    サービス・外食・レジャー系、女性

    基本病気を隠しているので、残業のお願いやほかの人の身代わり出勤などをお願いされることがある。また、体調が悪くとも、お客様の前では微笑むことが必要で、それがつらいときがある。
    団体・連合会・官公庁、接客、女性



    うつ病をクローズにして働いている方のコメントをみると、クローズにしていても、親切な職場で仕事がしやすいという点がメリットとしてあげられています。しかし、クローズにしたままで配慮や気遣いが得られるかどうかは、実際に働き始めてからでなければ分かりません。また、クローズにして面接を受ける場合は、必要な配慮などについて事前に相談できないことから、病気や障害などに関する会社の姿勢の確認が困難です。そのため、クローズにしたままで働きやすい職場に巡り合える可能性は未知数となってしまいます。

    うつ病をクローズにして働くそのほかのメリットとしては、「特別視されない」、「採用や昇進などの機会を得やすい」という点があげられていました。

    オープンで働くことのデメリット部分でも、過剰な配慮や特別視は、職場でのストレスにつながってしまう点について触れました。うつ病のある方にとって職場で「特別視されない」ということは重要な確認ポイントであることがわかります。
    一方で、「特別視されない」ことは、オープン就労の良い点としても口コミが寄せられていました。クローズ就労の場合は、周囲の従業員がうつ病について知らないために「特別視されない」状態であり、オープン就労の場合は、周囲の従業員がうつ病について知っており、受け入れたうえで「特別視されない」状態であると考えられます。

    そのため、職場で「特別視されない」というポイントを重視する場合においても、必ずしもクローズで働く必要はなく、ご自身の考え方に合った選択をすべきでしょう。

    「採用や昇進などの機会を得やすい」という点について、病気や障害のある方の採用を積極的に行っていない職場に応募する場合、うつ病をクローズにした方が採用される可能性が高まるとこともあるでしょう。しかし、病気や障害のある従業員の採用を積極的に行っていない職場や、病気や障害を理由に昇進や昇給の機会に差が出る職場は、そもそも、病気や障害を理解する土壌がなく、うつ病のある方にとって働きづらい職場である可能性が高いとも考えられます。

    クローズ就労の悪かった点としてあげられていたことは、体調が悪い時や、急な休みを要する時に職場に相談しにくいという点です。体調が悪いのに無理して働くことや、遅刻や欠勤が必要な度に気を揉むことは大きなストレスとなります。クローズ就労では合理的配慮が受けられないばかりか、残業や代務などを頼まれてしまうという口コミも寄せられていました。こうした状況が起こってしまうのも、職場や周囲が本人のうつ病について知らされていないためであるといえます。

    【うつ病をクローズにして働くことのまとめ】

    うつ病のある方は、体調に波のある方も多く、仕事中に体調が悪くなってしまう場合や、急な欠勤が必要になる場合も少なくありません。そうした場合も職場に相談ができないため、結果として、うつ病が悪化してしまうということもあり得ます。

    クローズにして働くことのメリットとしてあげられていた「特別視されない」こと、「採用や昇進などの機会を得やすい」ことについては、病気や障害への理解がある職場であれば、うつ病についてオープンにした場合でも得ることが可能なメリットであるといえます。

    そのため、クローズにするストレスや、無理を続けて悪化してしまうケースがあることを踏まえたうえで、ご自分の特性や体調と相談しつつ、長く働くことを考えて、クローズにするべきか、オープンにするべきかを選択することが大切といえます。

    5.転職や就活の参考に、うつ病の方におすすめの企業・業界・職種

    5-1. おすすめの会社、企業名

    株式会社太田胃散
    給与および賞与は一般的水準よりも高く、休暇日数も一般的な水準よりも多い。また休暇も取得しやすい。また特別な職務的な事情が無い限り、残業もほとんどすることが無い。 社員の殆どが人柄が良く、全般的に優しい人間が揃っている。部署にもよるが、殆どの場所で高圧的な上司もおらず、比較的フレンドリーに接することができる。 今回の自分の病気の件も含めて、事情を話せば寛容に受け止めてもらえる。
    満足度:★★★★★
    配慮 :★★★★★
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    株式会社コーエン
    ホントにアットホームな職場で、上下関係も少なく和気あいあいとした職場でした。また、無理し過ぎないように上司側も配慮がされていたのが特徴的でした。そうでなくても人を良く見ているので「今日なんかいつもと調子悪いけど大丈夫?」みたいな事を声掛けしてくれるので、コンディション等気軽に話をすることができた。 アパレル企業の中でもルールや規則、商品知識を覚えなければいけないということが少ないので、経験値が浅くても、自信がなくても働ける環境にはいると思います。
    満足度:★★★★★
    配慮 :★★★★
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    株式会社豊田自動織機
    全社的に精神的疾患について理解があり、かつ専門の産業医・保健士がおり、状態が悪くなる前に相談できる体制になっている また、状態が悪くなったら、無理せず休暇をとらせてくれ、会社復帰へも産業医・保健士がきちんとサポートしてくれる。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★
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    株式会社NTT西日本ルセント
    まず特例子会社なので、みんな何かしら障害をもった人ばかりなのですが、みんなそれを受け入れつつ、前向きに働いている人ばかりなので、いっしょにいて自分も頑張ろうと思えます。 また仕事も納期に縛られず、無理なら相談できる環境にあり、上長も障がい者について理解し、様々な人、障害に対して寛容な姿勢で臨んでくれます。
    満足度:★★★★★
    配慮 :★★★★★
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    株式会社日本政策投資銀行
    所属部の部長、人事部の担当次長、産業医が連携して対応し、体調管理、勤務日数調整、仕事量の調整などをきめ細かくやってもらえた。困ったことがある時は、随時面談の機会を設けてもらい、困りごとの解消を図ってもらえた。
    満足度:★★★★★
    配慮 :★★★★★
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    株式会社ベルシステム24
    以前から障害者雇用に積極的な会社ですので、一人一人の障害者に対する配慮がとても行き届いている感じがしています。私も体調に合わせて自分のペースで働くことができていますので、体調が不安定で復職をためらっている方にも安心してお勧めできます。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★★
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    財務省東京税関
    休職後の復帰プログラムが定められており、スムーズに復職できる。また、通院のための休みも取りやすい。異動の希望もそれなりに考慮してくれる。残業も制限することができる。休職中も職場の管理者が定期的に状況把握をしてくれる。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★
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    独立行政法人日本学術振興会
    職場の皆さんが細かい面で配慮してくれたり、助け合う環境であったりするので、一人孤立する事が絶対になく、他部署の方々とも面識を得ることができるので、緊張して仕事する場面が一つもない。また産休や育休を取得しやすく、職場復帰も困難なくできる環境にある。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★★
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    日本空港テクノ株式会社
    羽田空港は現在障害者雇用を積極的に行なっており、就労のハードルが低かったこと、またこれまでも障害者雇用を行なっているため前例があるため雇用主としても障害者に対する福利厚生を整えているところが非常にありがたいです。早退や欠陥に配慮があり、また体調復帰まできちんと在籍していい制度が特におススメです。
    満足度:★★★★
    配慮 :★★★★★
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    5-2. おすすめの業界・業種

    では次に、うつ病の方におすすめの業界や業種について考えてみます。 といっても、業種や業界も様々、そして症状や特徴もそれぞれ異なりますよね。
    そこで1つの手がかりとして、アンブレに届いたうつ病のある方からの体験談999件をもとに、統計をとり傾向をみてみました。

    まずは業界です。

    うつ病の方が働いている業界の割合グラフ


    うつ病の方が働いている業界別満足度グラフ


    多くの方が勤めている業界は「サービス・外食・レジャー系」「メーカー・製造系」、そして満足度が最も高い業界も「サービス・外食・レジャー系」「メーカー・製造系」でした。 満足度が高い業界=人気のある業界というのは、他の疾患ではあまりみられない珍しい結果です。

    次は職種です。

    うつ病の方が働いている職種別割合グラフ


    うつ病の方が働いている職種別満足度グラフ


    多くの方が勤めている職種は「事務」「販売・接客・サービス」でした。そして満足度が高い職種は「軽作業」「医療・介護・福祉」という結果になりました。

    皆さんの予想はどの業界と職種でしたか?
    業界と職種に関する詳しい調査結果は以下のコラムでご覧いただけます。ぜひ参考にしてみてください。

    うつ病の方999人の実体験を調査。転職、向いている仕事は?

    また、うつ病の方が働いている企業が一覧で確認できます。
    満足度の高い企業や気になっている企業の口コミはこちらから。

    では、このような企業はどのように探せばよいのでしょうか?
    次は仕事の探し方を確認していきましょう。

    6.求人の見つけ方

    6-1. 働き方によって選べる採用枠「一般枠」と「障害者雇用枠」

    求人には一般枠(クローズ就労)障害者雇用枠(オープン就労)があり、障害者手帳を所持している方は、どちらにも応募することができます。

    先にも述べたように、うつ病をオープンにするか、クローズにするかといった悩みは応募できる雇用形態にも影響してきます。
    少し重複する部分もありますが、もう一度簡単に説明します。

    「一般枠」は、障害であることを伝えず(クローズ)仕事をすることになります。障害のない方と同じように働くことため、広い職種から選べ、昇進や昇給などの機会もあります。しかし、うつ病への理解を得られにくく、周囲のサポートを受けることは難しいのが現状です。

    「障害者雇用枠」は、障害であることを伝えて(オープン)仕事をにすることになります。そのため、職場の理解を得られ、周囲のサポートが受けやすくなるなど、働きやすさにつながることも考えられます。

    ▼障害者枠(オープン)や一般枠(クローズ)についてはこちらでもご紹介しています。
    障害者枠(オープン)か一般枠(クローズ)か?メリットとデメリットを解説

     

    6-2. 求人の見つけ方

    ①ハローワーク

    障害のある方専門の窓口があるため、相談やアドバイスを受けることができます。求人数や障害のある方への求人情報も多く扱っています。

    ハローワークで自分に合っている職場を探してもらったところ見つかりました。
    自動車・運輸・輸送機器、軽作業、男性

    ハローワークの障害者求人検索で、保健センターで存在を知った就労継続支援A型事業所を探したり、教えてもらって、紹介状を貰って、見学・面接に行った。
    医療・福祉・介護、一般事務、男性 

    ハローワークで紹介を受けてそのまま履歴書の書き方や面接の受け方などの説明があって、面接を受けに行きました。
    運輸・交通、管理業務、男性 

    ハローワークにて障碍者雇用枠にて採用頂いた。 定期的にヒアリングを行ってくれて、問題点につては早々に改善をしてくれている。
    設備・プラント、総務、男性



    ▼参考: 厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」 

    ②人材紹介会社

    障害を抱えることで、働くことに不安を覚えている方の就職活動を応援してくれる専用の人材紹介会社をご存知でしょうか?

    具体的には、履歴書の書き方や面接の練習、おすすめする企業の紹介やその企業との連絡、事前見学の調整など、全面的なサポートなどを行ってくれます。

    ハローワークなどでは公開されていない求人情報も扱っています。また企業との連絡が密なので、ホームページや求人票からは得られない職場環境なども知ることができます。

    ひとりで1からはじめる就職活動との違いは、専門のアドバイスやサポート、自分にあった企業の紹介を受けられるため、担当者と一緒に不安を取り除きながら活動を進めていくことができます。

    体験談にも専用の人材紹介会社を活用したという声が多くありますのでご紹介します。

    何かあった場合、営業担当を介入して苦情申し立てや相談対応をすることがあった。実際に苦情申し立てを行ったら、迅速に対応してくれた。
    総合商社、接客

      希望職種や給与を細かく伝えてもそれを考慮し、最大限対応して貰えるサービスでした。細かい要求もしっかり聞いて貰える丁寧さがありました。
    銀行・信用金庫、一般事務、女性

      就職をする時に、職場にうつ病を持っていることについて、担当者から説明をしてもらいました。また、うつ病を持っているが、前職場での勤務歴や勤務態度については、問題がなかったことをサポートしてくれる形で、説明をしてくれました。
    医療・福祉・介護、医療関係、男性



    しかし、人材紹介会社も一つの企業です。紹介できる企業の得意分野や担当者の性格はさまざま。自分の希望や意見が伝えやすく、理解してもらえる人材紹介会社かどうかをチェックしてみましょう。

    ③就労移行支援事業所

    働くことに自信を持てない方は、就労移行支援事業所を活用しても良いでしょう。

    就労移行支援事業所は、生活リズムを整えたり、気分の波を把握するための訓練をすることに加え、履歴書の書き方や面接の練習、おすすめする企業の紹介やその企業との連絡、事前見学の調整、入社後のケアや相談など、全面的なサポートなどを行ってくれます。

    また、オープン就労で採用する企業側も、この方には「支援者がいる」ということが安心感につながり、雇っていただける可能性が高くなります。

    次は、気になる企業を見つけたら、その企業の情報をどのように集めると良いのか、紹介していきます。

    ▼障害者雇用の求人サービスについてはこちらでもご紹介しています。
    ハローワークだけじゃない、障害者雇用枠の求人はここでも!求人サービスを紹介

    7.企業情報の集め方

    会社紹介の採用ページや企業サイトだけでは、あなたが実際に働くことになるであろう職場の雰囲気はつかめないかもしれません。できるだけ自分の目で確かめてみましょう。

    7-1. 事前に見学して企業の雰囲気を確認

    企業によっては職場を事前に見学させてくれるところもありますし、人材紹介会社に登録している方は、アドバイザーを通して見学をお願いすることもできます。まずは確認してみるといいでしょう。体験談にも、事前に見学を行うことで、面接だけではわからない職場の雰囲気が伝わるとの意見が多くみられます。

    【就職する前に職場見学をした方からのアドバイス】

    自分の疾患や障害の特性をよく理解すること。それを職場にどのように伝えるか、伝えないでもいい部分はあるかを考えておくこと。職場の理解があるかどうかを見学などで判断し、理解してもらえそうにない職場だったら、条件がよくても断る決断をすること。
    医療・福祉・介護

    企業説明会などではいいことしか言わないので、実際に職場見学や体験をして現場の雰囲気を自分自身の肌で感じたほうが絶対にいいと思います。 医療現場は慢性的な人手不足のため、選ぶのは求職者側です。安易に決めずしっかりと吟味して就職先を決めたほうがいいです。
    医療・医薬、医療関係

    会社や職場の現場の見学などは積極的に行った方が良いが、見て感じたことを関係者になるべく聞いて疑問はないようにした方が良いです。出来そうもないと決めつけずに聞いてみるとアッサリと解決してしまい事も沢山あります。
    IT・通信・インターネット系、一般事務、男性

    会社本来の社風というのは、就職してみないとわからない点が多々あるので、会社見学や会社説明会でどれだけ担当者から素の情報を仕入れられるかがポイントだと思います。就職を急いで失敗しないようにだけしていただきたいです。
    メーカー・製造系、経理、男性、



    7-2. 面接はその企業を良く知るチャンス

    面接は、企業側があなたを審査するだけの場ではありません。大事なのは、あなたが企業に求めるものと、企業があなたに求めるものがマッチングすること。

    不安や疑問がある場合は、面接時の質問タイムなどでクリアにしておきましょう。具体的に聞いておきたい内容については、以下の経験者さんの声を参考にしてみてください。

    【面接で企業の情報や職場の様子、自分に対する配慮などの情報を得るための工夫】

    自分の症状や障害をしっかり把握して、簡潔に人に伝えられるようにしておく必要があると思います。また、自分にできることとできないことを区別して、頭の中で整理しておくべきです。面接の時は、自分のことを話すだけでなく、相手の説明をよく聞くことも大切なことだと思います。
    医療・福祉・介護、清掃

    会社の情報だけでは病気に対する理解度は判断できません。面接時に正直に病気のことを話し、どのような対応ができるか可能な限り確認する必要があると思います。また、社内に同じような人がいれば、どういう対応をしているかを聞いてみるのも良いかもしれません。
    自動車・運輸・輸送機器、技術系、男性

    障害をオープンにして就職活動をするだけではなく、どのような配慮が必要になるのかを具体的に面接時に伝える必要があります。不採用にされる会社は理解がありませんので不採用で良いと思います。
    医療・福祉・介護、男性

    求人票の内容はもちろん熟読し、ネットでの情報集めや現地確認による企業チェック、面接になったら社内の様子や社員の表情もよく見ておくことも大切だと思います。また、面接でトップと話す機会があれば自分のやりたいことをはっきりと伝え、それに対しその場でトップがなんと回答してくるか試すことも必要かと思います。
    営業、男性



    面接で緊張しすぎて質問できなかったということが無いように、予め知りたいことをまとめておきましょう。予め準備をしておくだけで心に余裕ができ、面接にものぞみやすくなります。

    働きはじめてから大変な思いをすることは、大きな負担になってしまいます。心地よい職場環境で病気と上手に向き合っていくためにも、面接時での質問のチャンスは大事にしましょう。

    8.最後に

    これまでの内容をまとめます。

    ・うつ病のある方が仕事をするうえで抱える悩みには「落ち込みやすい」、「やる気が出ない、意欲が低下する」、「体調を崩しやすい」という点が多くあげられていました。

    落ち込みやすいという仕事上の悩みに対しては、仕事中に可能な限り気分転換を図るという対策が多く寄せられていました。具体的な方法としては、トイレの個室でひとりの空間を確保することや、外の空気を吸うことなどの方法をとっている方がいました。また、休日に家にいると落ち込んでしまうという悩みのある方は、できるだけ外出してリフレッシュするという対策が寄せられました。

    やる気が出ない、意欲が低下するという悩みについては、職場に相談して遅刻や早退、欠勤しているという口コミが多く寄せられていました。また、仕事から帰ってくる頃には疲労困ぱいになっているため、家族に相談し、家事を分担するという対策を取っている方もいました。休む時間を確保することに加え、職場や家族など、周囲にご自身のうつ病の特性について知らせ、理解を得ておくことが有効な対策といえます。

    体調を崩しやすいという悩みについては、体調が悪い時への対処だけでなく、体調が良い時に頑張りすぎないということも大切なポイントといえます。疲れが溜まるとどうしても体調は崩れやすくなってしまうため、疲れを溜めない工夫として、なるべく残業をせずに定時で帰るよう努めることや、集中して頑張りすぎる前に周囲に声をかけてもらうようお願いするなどの対策を取っているという口コミが寄せられていました。

    ・うつ病のある方が職場で抱える悩みとしては、「朝起きられない、午前中は体調が悪いなどの理由により午前の仕事に支障が出る」こと、「体調の波があることで急な休みを要する」こと、「うつ病を発症した要因や悪化させる状況を避ける必要がある」ということが多く寄せられていました。

    朝が辛いという悩みに対して、職場としては、本人と相談して出勤時間を調整する、シフトを調整し、朝や午前中の勤務を極力減らす、勤務時間を短縮するなどの対策が行われていました。そのほか、有給休暇の取得単位を半日や時間単位にするなど、柔軟に制度を活用している職場の工夫も寄せられていました。

    体調の波がある場合の対策として、職場では、休憩スペースを用意したうえで、一時的に休憩を取る場合の業務のフォローなどが行われていることがうかがえました。また、長期的な対応としては、部署の移動などの対応をとっている職場もあるようです。

    ・うつ病を発症した要因や悪化させる状況を避ける必要がある場合の対策としては、人事異動や仕事の手順の変更などにより、原因となった人物との接触を極力避けるような工夫が行われていました。また、コミュニケーションを伴う業務など、特定の業務内容がうつ病を悪化させる要因である場合は、配置転換や従業員同士で業務を交代することなどによって対策している職場の工夫がみられました。
    病気や障害への理解を推進することや、相談窓口の設置などの取り組みを行っている職場もありました。

    ・転職や就活を行う上で、うつ病をオープンにするかクローズにするかも多くの方が悩むポイントです。まずはご自分の症状を一番に考え、どのようなスタイルで仕事を行うことがベストなのかを考えましょう。通院や急な体調不良による休みを必要とする場合は、配慮やサポートを受けやすいオープン就労=障害者雇用も検討すると良いでしょう。

    ・うつ病と付き合いながら、理想の仕事や職場で働いている方も多くいらっしゃいます。うつ病のある方におすすめの企業や業界、職種には傾向がみられますので、同じうつ病をお持ちの方の意見も参考にしてみましょう。

    これまでにご紹介した体験談は、ほんの一部です。症状も人それぞれ、企業の対応もそれぞれ異なります。
    まずはご自分の症状や、できることできないことについてまとめてみましょう。そして、自分にあった職場を自分のペースで見つけてください。

    そして気になる企業の様子やサポート状況は、事前に自分の目で確かめることが理想的です。求人票ではわからない企業の様子を知るためにも、ハローワークの専門スタッフに相談したり、人材紹介の専門アドバイザーと一緒に就職活動を進めたりするのも良いですね。

    さまざまな企業の中で、あなたが幸せに働ける環境に出逢えることを、私たちは心から願っています。



    ※この記事は投稿いただいた口コミから生まれています。
    皆さんの貴重な体験談は多く方へ届き役立ちます。ぜひ体験したこと、感じたことを教えてください。

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    著者

    鈴木 杏奈

    より望ましい職業の選択や能力開発における相談・助言を専門とする国家資格「キャリアコンサルタント」のほか、米国CCE, Inc.認定の「GCDF-Japanキャリアカウンセラー」の資格を取得。福祉・医療介護分野の研究などにも従事しています。

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