関節リウマチを抱えている方の中には、症状とうまく付き合いながら仕事をしている方もいらっしゃれば、仕事に悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
例えば、季節や天候により症状が悪化してしまう、疲れやすく体調を崩しやすいなど、関節リウマチ特有の悩みを感じることはありませんか?
そんなときは、同じように関節リウマチを抱えながら仕事をしている方々の声に耳を傾けてみませんか?今回のコラムでは95人の関節リウマチがある方のアンケートをもとに
・何に悩み、どのように解決しているのか
・仕事はどのように探したのか
をご紹介していきます。
また、障害者雇用の専門家 中村旬さん(社会福祉士)にもアドバイスをいただいています。
仕事との向き合い方や職場に悩みや不安がある方は、解決のヒントとしていただけますと幸いです。
関節リウマチのため天候に左右されやすく疲労が強く、昼休憩はぐったり。
医療・福祉・介護、一般事務、女性
天気によって出社ができなくなるため、会議など大きな仕事の日はとても不安になる。
医療・福祉・介護、女性
冬場は特に手や足の関節が痛んだので、細かい作業をするのが大変でした。院内処方の整形外科ということもあり、薬の用意やお金のやり取りにも痛みを伴いました。移動する際も足が痛く、忙しい時に急ぐことができず、苦労しました。常に痛みとの戦いでした。
医療・福祉・介護、女性
朝や寒い季節になると、とても体が動きにくくなってしまいます。
医療・福祉・介護、男性
無理しすぎず、負担をカバーできるように筋肉をつけるようにジムへ通いました。
医療・福祉・介護、女性
朝起きた時に、いつも以上にこわばりや痛みを伴うときは、あらかじめ痛み止めの薬をのみ、湿布を貼って準備して出勤していました。
医療・福祉・介護、女性
朝から仕事をする場合は、早くから起きて体を動かして体を慣れさすという行動が必要です。またどうしても体調が悪かったり体が動きにくかったりする日もあるので、そういったときにある程度休みが取れる融通がきく職場でないとなかなか働くのは難しいと思います。
医療・福祉・介護、男性
なるべく体を冷やさないようにする、関節に負担をかけないように太らないようにすること。
コンサルティング・専門サービス系、事務系、女性
遅くに帰ってからも、血液の循環を良くしようと風呂に浸かって体を温めることをしていました。
外食・フード、調理スタッフ、調理補佐、男性
8時30分出勤ですが、5時ごろに起きて体を慣らしてから出勤しました。
医療・福祉・介護、男性
身体が冷えないように厚着をしたりする。
医療・福祉・介護、介護、女性
毎朝、手のこわばりがひどいため、いつもより一時間早く起き、お湯に両手をひたしていた。
環境、管理業務、折衝業務、男性
台風などの気圧の変化が大きい時期、季節の変わり目、インフルエンザが流行る時期など、風邪をこじらせたときに、夜間、呼吸困難の発作が起こり、翌日の朝、会社に行けるか否かが不安にある。
女性
関節が動かしにくく、また長く歩いたりすると疲れたり痛みが出たりする。
ビジネスコンサルティング、女性
手や足を使いすぎると、腫れてしまう。ストレスなどに弱いため体調に出やすい。また免疫を抑える薬を服用しているため、風邪などに気をつける必要がある。
建築・建設・設計・土木、コールセンター、オペレータ、男性
市販の薬が飲めないので、気持ち悪さが落ち着くまで様子を見るしかないです。気を紛らわすために人となるべく話をするように心がけています。
女性
なるべく歩きやすい靴を履き、長時間歩く時は必ず休みを取りながら歩くようにする。
ビジネスコンサルティング、女性
疲れる前に休憩して軽いストレッチをする。 具合が悪くなりそうだとわかったら前日から「明日休むかも」といっておく。
ソフトウェア・ハードウェア開発、エンジニア・技術職
人が多い為、冬場はマスクを必ず着用している。手洗いうがいは欠かさず行う。
建築・建設・設計・土木、コールセンター、オペレータ、男性
重いものが持てない。持つと首から肩にかけて激痛が生じる。同じ姿勢を保つことができない。
団体・連合会・官公庁、男性
全ての関節の痛み。文字が書きにくい。パソコン入力がしづらい。歩くのが辛い倦怠感。
旅行・ホテル、事務系、女性
関節の痛みにより、時として歩行がつらく、階段の使用ができない。椅子からの立ち上がりがつらく、スピーディーな動きが出来ない。事務職として、本社内で動き回る仕事では、機敏な動きが必要だが、それが出来ない。
総合電機、購買業務、仕入れ、男性
痛みでつり革をつかめない、足元踏ん張れない状態での電車など通勤が一番困った。
シンクタンク・リサーチ・マーケティング、女性
重いものを持つ際は、人に助けてもらう。
団体・連合会・官公庁、男性
無理せず出来ないことは依頼した。例えば設営や運搬などはほかの人に担当してもらった。
医療・福祉・介護、一般事務、女性
重たい荷物を持つときは他のスタッフにかわってもらい、指先だけでもたないように、できるだけ負荷をかけないようにと気をつけて仕事をしていました。
医療・福祉・介護、女性
作業内容が体況的に辛くなって相談した時に、すぐに対応してくれた。本来は公共機関利用の通勤しか認められないが、バス停まで遠いということで、バイク通勤を認めてくれた。
生命保険・損害保険、一般事務
平日にしか開いてない病院に通院しているので、仕事を休んで行かないといけないこと。
専門店、女性
定期健診でお休みを頂いたり、もし進行していたら手術でお休みしなければならなかったり、薬の副作用で遅刻早退してしまう事等。
外食・フード、女性
介護や育児では時短勤務が認められているが、本人の病気や通院での時短勤務は認められていない。有給休暇が無くなれば休暇するしかない。
サービス・外食・レジャー系、管理業務、折衝業務、男性
会社の上司に相談して半日だけの休日を貰えるようにし、通院した。
専門店、女性
アットホームな雰囲気で優しい人たちが多い職場です。身体を第一に考えてくれるので、風邪や体調が悪い時に声をかけてくれるし、上司に相談したらお休みをもらいやすい環境です。健康な人でも病気や障害を持っている人でもとても働きやすい良い会社だと思います。
運輸・交通・物流・倉庫系、物流、運搬、運転手
体調崩した際には連絡を入れれば休みはいただける。勤務中も自分のタイミングで休憩室に行って休むことができるのでとても助かっています。仕事自体が自分のペースで進めて良いのでストレスはあまりない。
サービス・外食・レジャー系、人事・経理・総務・企画、女性
社員同士がとても仲がよく、仕事とプライベートの切替えがしっかりしている。体調が悪そうなところが見受けられるととても心配してくれて早退や休みをこちらこら言わずとも勧めてくれるので休みやすい。あまり急ぎの仕事というものがないため、体調が不安定でも心配することなく安心して働くことができる。
コンサルティング・専門サービス系、事務、女性
シフト制のため、前月にどうしても休みたい日を申請することができるので、通院の日を確保できる。
ソフトウェア・ハードウェア開発、コールセンター、オペレータ
パッと見た感じの外見では、病気だと分かりにくいので、今までは中々具合が悪くても休みにくいところがありましたが、理解した上で採用していただいたので、本当に苦しいときは声に出しやすい雰囲気を作っていただいたと思います。
医療・医薬、医療事務、女性
大手企業と言うこともあり、障害や病気を患っている方でも偏見などがなく コンプライアンスが徹底されているため、ハンデがあっても非常に働きやすい。体調が悪い時もきちんと連絡すれば、休ませてもらえるし、家庭内の事情で急遽のときも 状況を理解してもらえ気持ちを汲み取って快く承諾して頂けるのでよかった。
自動車・運輸・輸送機器、技術系、男性
以前は病気のことを知られたくなくて隠していました。ですが次第に限界を感じ、薬で無理矢理痛みを抑えていました。そんなとき、病院の先生に話してみてはどうかと提案されました。話をしてみると気持ちが楽になり、『辛かったら内緒で声掛けてね』『事務仕事が苦手で○○さんは仕事が早いからお願いしたい』など、私が気を使わないように言葉をかけてくれます。
教育、女性
上司が全く障害を理解できない。主治医と面談をさせても理解できない。 車での通勤について、主治医から了承を得ているのに、電車での通勤を無理強いさせられ、体調がさらに悪くなった。
団体・連合会・官公庁、女性
関節リウマチの名前はメジャーでも、具体的にどういった症状で、薬の副作用等も知らない方が多いので、症状を軽視される。痛みや腫れが酷くても、上司に痛い辛いが言えない環境。
専門店、接客、女性
病気を周知していても繁忙期はなかなか他スタッフに頼むのは言いづらいし忙しさゆえに気づいてもらえなかったから。
チェーンストア・スーパー・コンビニ、一般事務、女性
病院があった翌日にはどのような検査をしたのか聞かれたが、配慮してあまり動かなくてもいいようにしてくれたはずなのに、期間が空くとまた元に戻っていた。
医療・医薬、医療事務、女性
企業としてダイバーシティの理念があるのが良く分かります。障害や病気があっても積極的に採用していく姿勢がとても感じられ、会社に対してはとてもよい印象を持ちました。
しかし、配属された部署とその担当者が同じような考えかそうでないかで、かなり違ってくると思います。面接採用時にちゃんと話した病気のことが現場には全く伝わっていませんでした。また一から病気のことを話さなければいけなかったこと、そのことに対して理解がない人もいたことは辛かったです。会社としての考えを、従業員全体にも浸透させてほしいと思いました。
百貨店・量販店、医療事務、女性
障害のことは伏せているが、普段からとても気を使ってくる。
教育、女性
みんなそれぞれ自分のことを黙々とやっていて人のことを干渉しない。自分の仕事だけすれば良いのは楽。
一般事務、女性
疾病について派遣先には伝えていません。これまで面接で病気の話しをすると「寛解状態である」と伝えても就労契約まで至りませんでした。 派遣元と相談し、派遣先には病気であることは伝えず面談をし、就労することができました。
営業事務、女性
施設には、関節リウマチのことは、言えないので、たまに遅刻とかもあるため、嘘をつくことが、辛かったと思っています。
医療・福祉・介護、女性
やはり、仕事をしていく上で自分が病気であるということを言い難い職場であったなと思うからです。他の社員さんたちも休みを取り難そうにしている中、病院に通いたいとか、具合が悪いので早退したいとかそういったことは言えなかったです。人員が足りていなかったので、尚更そういった雰囲気になったのだろうと思います。もっとオープンな職場だと違っていたかもしれません。
外食・フード、女性
ハローワークで、出来るだけ座って仕事できるところを探してもらって求人があったところに入った。
医療・医薬、医療事務、女性
応募する会社の選定について自分の能力や希望の労働条件にあうようアドバイスしてくれた。
ビジネスコンサルティング、女性
ハローワークにて電話で問い合わせをしてもらい、面接日時を決めてもらった。
サービス・外食・レジャー系、清掃、女性
担当の人がスムーズに入社までサポートしてくれた。
物流・倉庫、軽作業、女性
親身になってこちらに接していただいたので、担当の方との面談を納得のゆくまでじっくりと行いました。
ソフトウェア・ハードウェア開発、一般事務、女性
しかし、人材紹介会社も一つの企業です。紹介できる企業の得意分野や担当者の性格はさまざま。自分の希望や意見が伝えやすく、理解してもらえる人材紹介会社かどうかをチェックしてみましょう。
▼障害者雇用の求人サービスについてはこちらでもご紹介しています。
ハローワークだけじゃない、障害者雇用枠の求人はここでも!求人サービスを紹介
会社見学をした際には、特に従業員同士の雰囲気も見ておいた方が良いと思います。
小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、女性
まず自分がどのような仕事をしてみたいか、いろいろな所で情報を得て積極的に見学に行くなどした方がいいと思います。そして自分が不安に思う事など正直に打ち明けて対策を取ってもらえるような会社かどうか見極める事も必要で、文字だけではわからない職場の雰囲気などを感じとる事が重要だと思います。
サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、女性
就労する会社を検索したり見学に行ったりして、吟味しなければならない。また実際に働いている、または働いていた方の口コミなども調べればあるので、鵜呑みにせず参考程度に知っていた方が良い。入社してから後悔しないために、入念に下調べが必要である。
小売・流通・商社系、事務、女性
施設の設備も見学できるのであれば、するべきです。施設が使いやすいか、自分がきついときに動けるかは大事な事です。
メーカー・製造系、事務、女性
繁忙期や閑散期で仕事内容が変わることも多く、人材不足のため、望まないポジションを任せられることも多くありますので、求人に記載している仕事内容の他に、細かい作業内容も聞けるなら面接の時に聞いておいた方が良いと思います。
小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、女性
同じような障害者が在籍しているのか、していないのであれば障害について詳しくわかっていないため、面接の時点で症状の説明をしてください。長く勤めたい場合は障害者雇用の実績があるのか、ないのか調べてからにしたほうがあなたの為である
サービス・外食・レジャー系、飲食、男性
迷うとは思うが、入社面接の時点で持病を伝えるべき。伝えないと自分がつらくなる。入社後は自分ができること・できないことを自分で見極めて言葉にして周囲に伝える。(私はここまでなら頑張れますが、これ以上は体力が持ちません、など)
コンサルティング・専門サービス系、女性
面接時にきちんと自分の病気や症状、出来ること出来ない事を伝えておくこと。採用され働く時は、全員に周知していてもらえれば働きやすくなると思う。
小売・流通・商社系、清掃、女性
通勤しやすい、体力的に務まるか、時間帯、インセンティブなど、面接時にしっかり話を聞いたほうが良いと思います。現場の見学も必須です。
サービス・外食・レジャー系、女性
製薬会社にて勤務したのち社会福祉士、介護支援専門員の資格を取得。専門学校教職員を経て、協同組合にて通所介護事業所の管理者・生活相談員や福祉用具貸与事業所福祉用具専門相談員、生活困窮者支援員を経験。精神障害のある方を対象にした介護職員初任者研修を運営し、講師も務めた。現在はコミュニティ施設運営、放課後等デイサービス運営、介護職員初任者研修講師等を行っている。「月刊デイ」への寄稿や社会福祉士全国大会での発表経験もあり。
より望ましい職業の選択や能力開発における相談・助言を専門とする国家資格「キャリアコンサルタント」のほか、米国CCE, Inc.認定の「GCDF-Japanキャリアカウンセラー」の資格を取得。福祉・医療介護分野の研究などにも従事しています。