ASD(自閉スペクトラム症)の特性は、仕事にどのような影響があるのでしょうか?
まずは特性による悩みをみていきましょう。
【ASD(自閉スペクトラム症)の特性による仕事の悩み】
2-1.気分に波がある
2-2.コミュニケーションが苦手
2-3.忘れっぽい
2-4.ミスが多い
2-5.集中しすぎて疲れやすい
2-6.指示が理解できないことがある
2-7.急な予定変更や臨機応変が苦手
2-8.マルチタスクが苦手
2-9.聴覚過敏や感覚過敏により仕事に集中できない
ASDの特性による仕事の悩みは多くありますが、口コミには悩みを少しでも解決しながら働きやすくするために工夫や対策をしている方のコメントも多く届いています。
皆さんはどのように働いているのでしょうか?
ここからは悩みとその対策をコメントとともに紹介していきます。
2-1.気分の波による仕事の悩みとその対策
ASD(自閉スペクトラム症)のある方は、やる気のある時とない時の差が激しいといった「気分に波が」を生じやすく、仕事にも大きく影響を与えてしまいます。
【気分の波による仕事の悩み】
気分に波がある。気力に満ちている時期に仕事の予定をたくさん入れてしまい、いざ仕事をする時に気分が下がっていると仕事をこなすのが辛くなることがあります。
教育、教師・塾講師・学童担当、女性
天気や生理の影響を受けやすく、気分の浮き沈みが激しい。
軽作業、女性
気分の波が激しくなる原因としては「過労」「天気」「生理周期」などの影響も考えられますが、全く原因がわからない場合も多いようです。
自分の努力で「気分の波」をコントロールできるならそれに越したことはないですが、難しい人の方が多いでしょう。
では、気分の波による仕事への影響を少なくするには、どうすれば良いのでしょうか?
【気分の波による仕事の影響を少なくするための対策】
やる気があるときにできるだけ仕事を進めておくことです。また、些末な点にこだわりすぎないように、80%できれば良いと考えるようにしています。
団体・連合会・官公庁、事務系、女性
ポイントは
「気分の波がある」という前提で仕事の計画を立てることです。
予定をびっしり入れずにゆったりとしたスケジュールを立てたり、期限の決まっている仕事は、やる気のある時に早めに終わらせるつもりで進めておいたりすると、心に余裕ができますね。
予め、上司や同僚にも「日によって作業能率が違う」ことを伝えておくと気持ちが楽になるでしょう。
2-2.コミュニケーションが苦手なことによる仕事の悩みと対策
ASD(自閉スペクトラム症)のある方の多くは、
- 空気が読めない
- 他人の気持ちを察することが難しい
- アイコンタクトができない
などの特性により、コミュニケーションをとることが苦手です。
では、コミュニケーションが苦手なことは、仕事にどような影響を与えるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
①職場の人間関係になじめない
【人間関係による悩み】
相手との信頼を築くためにも休憩時に話をするが、なかなか会話のキャッチボールが続かない。
教育、女性
人間関係が上手くいかないケースが多かった。職場の同僚からの悪口や陰口が気になり、それが頭から離れない状態が続き苦しんだ。
医療・福祉・介護、男性
人の表情を読んだり気持ちを察したりすることが苦手で、相手を不快な気持ちにさせてしまうことがある。
軽作業、女性
「親しくなりたいのにうまく関われない」という意見も多い一方で、「人と親しくすること自体が苦手」という声もありました。
では、ASD(自閉スペクトラム症)のある方は、どのように人間関係を築いていけばよいのでしょうか?
【人間関係を築くための対策】
人と長時間一緒にいると疲れるので、休憩時間は一人ですごしている。
軽作業、女性
「友達のように仲良くならなくては」と思い過ぎず、「ただの同じ職場の人間」と割り切ることで気が楽になるかもしれません。休憩時間は一人でリラックスして過ごすこともメンタルの維持には有効です。
こんなコメントもありました。
私のように人とコミュニケーションをとるのが難しい人でも、挨拶さえできれば大丈夫です。それと自分はこういう人なんだと正直に伝えておけば、大体の人は嫌な顔せず配慮してくれます。
小売・流通・商社系、女性
勇気が出るコメントですね。
人間関係の基本である「あいさつ」「返事」「ありがとう」「ごめんなさい」だけしっかり守り、あとは「必要以上に親しくならなくてもいい」と割り切るのも一つの方法です。
②接客や電話対応が苦手
ASD(自閉スペクトラム症)のある方は、コミュニケーションを必要とする「接客」や「電話対応」が苦手な方も多いようです。
【接客や電話対応が苦手な方の悩み】
特に人や物との距離感を掴むのがとても苦手です。接客ロールプレイングの度に、ちょっと近寄りすぎだよと言われていました。
専門店、女性
他人との会話がうまくできないため、電話応対や接客などの対人業務が苦手です。
軽作業、女性
ASD(自閉スペクトラム症)のある方が電話対応を苦手に感じる理由としては、「会話が苦手」なこと以外にも、以下のような理由がありました。
このように「耳から入った情報を処理する力の弱さ」も関係しているようですね。
では、ASD(自閉スペクトラム症)のある方は「接客」や「電話対応」に対して、どのように応じているのでしょうか?
【接客や電話対応への対策】
距離感に関しては実際に私がどんな距離感で話しているのか、一緒に練習してくださったスタッフさんに真似をしてもらうことで、まず相手の感じる不自然さを学ばせて頂きました。その上で具体的にこのくらいなら平気か都度確認しながらロールプレイングをしました。
専門店、女性
とにかく何でもメモをとる、同僚たちと同じ動きをできる様に周りを観察する、表情が乏しくなりがちなので常に鏡を見て確認する。
専門店、接客、女性
接客においては、適切な「相手との距離感」や「表情(笑顔)」も大切です。
そのためには、他の人とロールプレイをしてみる、他の人を見てマネをするなどして、他人の動きを取り入れることが、苦手克服への第一歩になります。
また、接客や電話対応については次のようなコメントもありました。
店頭に出るとお客様との間でトラブルになってしまう可能性もあったことから(実際にそうなったこともありました)、店頭には出なくて良い配置にしてもらえました。
旅行・ホテル、一般事務、男性
可能であれば「接客や電話対応は苦手です」と正直に伝えて、他の人に代わってもらえるといいですね。
どうしても避けられない場合は、接客や電話対応での「定番の会話マニュアル」を作って手元に置いておくと、少し安心できるのではないでしょうか。
③コミュニケーションにズレが生じる
ASD(自閉スペクトラム症)のある方はコミュニケーションが苦手であるがゆえに、仕事を進める上で重要な「状況確認」や「業務連絡」がスムーズにいかず、仕事に影響を及ぼすこともあります。
【コミュニケーションのズレによる悩み】
拘りが強くコミュニケーション能力が低いため、同業者とのコミュニケーションが円滑に進まない事もあります。空気を読むことが苦手で無意識に人を傷つけてしまうことがあるので、注意しながら人との関わりを持っています。
医療・福祉・介護、男性
相手の考え方と自分の考え方が違い、話が噛み合わない事がある。色んな人の指示・アドバイスを同時に聞くと、何をすれば良いか解らず混乱して仕事ができなくなる。
アパレル・日用品、軽作業、女性
コミュニケーションがとれなくて上手く周囲に伝わらなかった。また、私と同僚たちとの認識の違いが仕事に影響を与えることも多々あった。改善しようと対話を試みるが、悪化していくばかりで人間関係の構築にも悪影響を及ぼした。
システムインテグレータ、女性
相手の気持ちや考えを察することが難しいことや、自分のやり方へのこだわりが強いことが、コミュニケーションがうまくとれない理由になっています。
ではこのような悩みに対し、どのような対策をすると良いのでしょうか?
【コミュニケーションのズレを減らすための対策】
仕事ではコミュニケーションミスを防ぐために、要点を何度も確認することや、「感情」が関わるときには「傷つけたらごめんなさい」とあらかじめ一言加えることなどを心がけました。
旅行・ホテル、一般事務、男性
コミュニケーションのズレやミスを防ぎながら仕事をするためには、要点をしっかり確認したり、口頭ではなくメモやメールなどの文章を使ったりすることも有効です。
また、自分のこだわっている点に気付き、押し付けないように心がけることも仕事という場面では必要なのかもしれませんね。
情報を正しくやりとりすることはもちろん、職場の人と気持ち良く仕事ができるように心がけましょう。
2-3.忘れっぽいという悩みとその対策
ASD(自閉スペクトラム症)のある方の中には、ワーキングメモリーが少ないことにより大切なことを忘れてしまうという仕事上のトラブルを抱えている方もいます。
【忘れっぽいという悩み】
ワーキングメモリーが少ないため、言われたことをすぐに忘れてしまいます。
教育、男性
ワーキングメモリーが少ないため、得意先や電話番号、人名などをすぐに忘れてしまうので困りました。言語能力の割に作業速度が遅く、作業によってスピード感にばらつきがあることで、同僚に誤解されています。
専門店、男性
では、ASD(自閉スペクトラム症)のある方は、忘れっぽさを減らすためにどのような対策をすると良いのでしょうか?
【忘れっぽさを減らす対策】
短記憶が弱いので、仕事の前には必ずマニュアルや自分でメモをしたことを復習しています。その日にやるであろうことを予測し勉強してから仕事に向かいます。
サービス・外食・レジャー系、女性
得意先や電話番号、人名などを細かくメモし、頭で覚えていなくてもメモを見ればすぐに分かるようにしました。作業はひたすら頑張って早くできるようにするしかなかったですが、これも作業手順のメモを作ることによって、もたつかないようにしました。
専門店、男性
メモなどに記録しておけば、「忘れてしまってもメモがある」という安心感から心に余裕が生まれます。
脳内の作業スペースを広く空けておくためにも、小さなことでもメモをとる習慣はASD(自閉スペクトラム症)のある方におすすめの方法です。
また、メモをとっている姿は、仕事に対するやる気や努力の表れとみなされることもあります。
自分なりにがんばっている姿を示すことも、同僚たちの協力や理解を得る上では大切かもしれませんね。
しかし、こんなコメントもありました。
同時作業ができないので、聞きながらメモはとれない。話を聞き終わって、口頭で要約を確認してからメモに書くようにしている。
物流・倉庫、女性
「話を聞きながらメモをとるマルチタスクができない」という方は、メモをとる時間をもらえるように、上司に相談してみると良いですね。
2-4.ミスが多いという悩みとその対策
ASD(自閉スペクトラム症)のある方は、ミスの多さにも悩んでいます。
【ミスが多いという悩み】
ミスは、指示を正しく理解できず自分の思い込みで仕事を進めてしまったり、忘れてしまったりといったASDの特性によるものが大きく、決して「やる気」だけの問題ではないだけに、誤解を招くこともあるのではないでしょうか?
では、どのようにすればミスを減らすことができるのでしょうか?
【ミスを減らすための対策】
上司から仕事の指示を受けたら、すぐその場で復唱する。
軽作業、女性
ミスがないようにスマートフォンを使ってスケジュール管理をしています。リマインダーをこまめに設定することで約束を忘れないようにしています。予定は早めに組み、取り組み始めを早くすることで期日に間に合うようにしています。
男性
様々な対策がありましたが、中でも「わからないことは自己判断せず職場の同僚に聞く」というのは大切なポイントです。
悩みのコメントにも「指示の意味を勘違いしたまま作業を進めてしまった」「勝手な想像で行動してしまった」など、確認不足や認識のズレ、思い込みの強さが原因として挙げられましたが、間違えたまま作業を進めてしまうと、後々取り返しのつかない大きなトラブルにもなります。
わからないことは必ず職場の同僚に聞くように心がけましょう。
しかし、誰に聞けば良いのかわからない、または聞きづらいということもあります。予め、確認しやすい特定の人を決めてもらい、サポートしてもらえることがミスを減らすことになることを伝えてみましょう。
2-5.過集中による悩みと対策
ASD(自閉スペクトラム症)には、休むことや食事をすることも忘れ、目の前の仕事に没頭する「過集中」という傾向があり、気づいたときには疲れ果てているという方も多くいらっしゃいます。
【過集中による悩み】
ASD(自閉スペクトラム症)の特徴で、夢中になったり興奮したりすると、時間に気づかず進めてしまい、エネルギーがなくなってしまう。
半導体・電子・電気機器、男性
プラント工場であったこともあり、危険な箇所も多く存在していました。常に気を配りながら業務を行うため、短時間で異常なまでに体力を消耗してしまいました。その結果、事務所に戻ると、デスクワークでの業務が滞り、ミスを多発することもありました。
アパレル・日用品、男性
過集中の間は作業がグングンはかどるので悪いことばかりではないのですが、その後疲れ果てて何もできなくなったり、突然集中力が切れてミスを連発したりということもあるので、注意が必要です。
では、集中し過ぎを防ぐためにどのような対策があるのでしょうか?
【過集中を防ぐための対策】
強制的に休む時間や別の作業に変わるタイミングを知らせるために、タイマーやアラームを活用するのも良いですね。
最近では、スマホの時間管理アプリなどもあるので、どんどん活用してみましょう。
集中しすぎて疲れ果て、翌日欠勤…ということにならないためにも、適度な休憩を意識的にはさむようにしましょうね。
2-6.指示が理解できない悩みとその対策
ASD(自閉スペクトラム症)のある方は、どのような指示をされると理解できないと感じるのでしょうか。
【指示が理解できないという悩み】
口頭指示が入りにくく、また一度に複数の業務を指示されると混乱し、覚えることが難しかった。
医療・福祉・介護、女性
曖昧な指示が理解できない。特に、人によってやり方の違う作業やその時によって柔軟に対応しなければいけない作業がわからない。また、言葉の意味が脳内で変換されず、音としてしか聞き取れない。
物流・倉庫、女性
大雑把なことや曖昧な事が苦手な私は、床をどこまで綺麗にしたらいいのかわからず困りました。
女性
ASD(自閉スペクトラム症)のある方は、以下のような指示の出し方をされると理解できず困ってしまいます。
- 口頭による指示
- あいまいな指示
- 一度にたくさんのことを指示される
では、どのような指示の出し方であれば、理解しやすくなるのでしょうか。
【ASDの方が理解できる指示の出し方】
状況を説明してからは、業務を一度にたくさんではなく、一つ覚えたら、また次の業務と、一つずつ教えてくれるようになった。
医療・福祉・介護、女性
作業工程なども文字だけではなくイラストや番号を振ってくれる事で分かりやすくしてくれています。
医療・福祉・介護、男性
ASD(自閉スペクトラム症)の特性をよく知らない上司や同僚もいます。自分にとって理解しやすい指示の出し方をお願いことで、お互いの仕事をスムーズに進めることができます。上司や先輩に指示の仕方をお願いする時には、以下のことを伝えてみてください。
■ASD(自閉スペクトラム症)のある方にとって理解しやすい指示の出し方
- 文字やイラストなど、視覚情報での指示
- 指示は一つずつ出す
- 業務マニュアルなどで記録に残す
- 数値や納期はあいまいにせず、具体的な数値ではっきり伝える
さらに、指示されたことを理解するために工夫をしている方もいます。
おうむ返しのように、指示は口で繰り返して確認してから取り組むようにした。
旅行・ホテル、男性
他の事に注意が向いてしまうとその話が耳に入ってこなくなる為、スマートフォンのボイス機能等を使用し会話を録音しておき、後で会話内容を確認できるようにしている。
医療・福祉・介護、介護、男性
同僚の仕上げた床を見て、注意を受けない程度の仕上がりを覚えられるようになったので、ストレスが減りました。
女性
一生懸命仕事に取り組む姿勢は、相手にプラスの印象を与えます。同僚たちのサポートと自身のアイデアを活用して、働きやすい職場にしていきましょう。
2-7.急な予定変更や臨機応変な対応が苦手という悩みとその対策
ASD(自閉スペクトラム症)には、決まったルーティンをこなすというこだわりや、先の見通しを立てることが苦手という特性があります。そのため、仕事では「急な予定変更でパニックになる」「その場の状況を見ながら臨機応変に対応するのが苦手」という悩みを抱えている方がいます。
【急な予定変更や臨機応変な対応が苦手な方の悩み】
私は臨機応変な対応が苦手です。一つのことを黙々と作業している時に、急に違うことを頼まれると、自分の中にあるスケジュールが狂ってしまい、頭の中がパニック状態になります。何時頃にどの作業をしてその作業が終わったらこれ…、というように自分の中でルーティンがあるのです。それを理解してもらうのも大変でした。
百貨店・量販店、女性
急なスケジュール変更や現在進行中、作画中の作業を中断して別の作業を間に入れなくてはならなくなった時、パニックになってしまい途方に暮れたり泣いたりしてしまうのですが、それを上手く相手に伝えられません。
ゲーム、女性
業務上の急な予定変更があった場合に臨機応変な対応ができず、パニックになることもあります。
専門商社、清掃、男性
先の見通しを立てるのが苦手なので、上司や同僚などに指示を出してもらわないと何をしたらいいのかわからなくなり、ぼんやりとしてしまうことがあります。
軽作業、女性
では、ASD(自閉スペクトラム症)のある方は、このような悩みに対してどのようにすれば働きやすくなるのでしょうか?コメントを参考にしてみましょう。
【急な予定変更や臨機応変な対応が必要とされるときの対策】
私が苦手とする「臨機応変な対応」は、なるべくさせないようにしてくれていた。大人数のお客さんを相手にするのは苦手だったので、その時は別の方が変わってくださるなどイレギュラーなことは免除してもらえた。
医療・福祉・介護、女性
上司が理解をしてスケジュールを一緒に立ててくれるので、その通りに動くようにしています。1日の仕事の流れが把握できているので、とても働きやすいです。臨機応変な対応が必要な場合でも、私はスケジュール通り作業させてもらえてストレスがかなり減りました。
百貨店・量販店、女性
自分が何をすべきなのかわからない時に、こうすれば良いという方法が詳しく記載されたスケジュール表が貰えたので、大きなトラブルもなく、働けている。
団体・連合会・官公庁、清掃、男性
臨機応変な対応やイレギュラーな対応が求められる時は、自分の対策だけでなく以下のような職場のサポートがあると乗り越えることができます。
- 1日のスケジュールを上司と決め、その通りに仕事を行うようにしてもらう
- 担当業務を決めてもらう
- イレギュラーなことが発生したら同僚が代わりに対応してくれる
- 手が空いた時にできる仕事を予め指示してもらう
中には、イレギュラーな仕事が発生しにくい職種もあります。これから就職先を探す方は、仕事内容を確認すると良いでしょう。おすすめの業界や職種については、後述しますのでご覧ください。
また、イレギュラーな事態に対応できるように普段から自分で心がけている方もいます。
予定変更が分かった時点でなるべく早めに連絡してくれるよう頼んだ。
教育、女性
不測の事態に備え、早め早めの行動を心がけている。
軽作業、女性
予定変更は早めに知らせてもらえるようにお願いしたり、急な予定変更にも対応できるように早め早めの行動を心がけたりすれば、行動や気持ちに余裕が生まれ、不安が和らげることができますね。
2-8.マルチタスクが苦手という悩みとその対策
ASD(自閉スペクトラム症)には「マルチタスクが苦手」「優先順位が付けられない」といった特性があり、仕事でも様々な場面で悩みを生じています。
【マルチタスクや優先順位付けが苦手な方の悩み】
マルチタスクが苦手で一度に2つ以上のことをこなすことができません。スーパーにはレジがありますが、レジはレジ打ち、商品をカゴに移す、お客様対応など一度に複数のことをこなします。私には難しいことです。
百貨店・量販店、女性
月に2回のイベントがある時には多くのお客様や商品がどっと来て、様々な指示を次々に受けました。ひとつの作業中にほかのことを言われると、優先順位がわからず固まってしまうことがありました。
専門店、女性
「マルチタスク」とは、複数の作業を同時に進めることです。
ASD(自閉スペクトラム症)のある方は一つの作業を黙々とこなす「シングルタスク」は得意な一方で、マルチタスクでは混乱してしまう傾向があります。
特に、スピード感が求められる接客などの現場では焦るあまりにパニックを起こし、ミスを連発したり、固まって動けなくなったりする方もいます。
さらに、作業の優先順位を付けるのも苦手なため、重要な仕事を後回しにしてトラブルに発展することもあります。
このような悩みに対して、どのような対策があるのでしょうか?
【マルチタスクや優先順位づけが苦手なことへの対策】
スケジュールの管理に関しては正直に上司にお話しし、優先度を一緒に検討しました。タスクを付箋などで「見える化」して把握するように気をつけました。
ゲーム、女性
<
まず、仕事をシングルタスクでわかりやすくした上で、仕事の進め方を上司と決めながら、やり方を「見える化」することで、落ち着いて仕事ができるようになります。
また、自身でも仕事の進め方を工夫している方がいます。
マルチタスクが必要な仕事をする時のポイントは、「タスクを見える化」することです。
やるべきタスクが一目でわかるように「付箋紙」や「スマホアプリ」などに書き出し、優先度の高い順に上から並べると、頭の中が整理されてミスも防げます。
自分一人で優先順位を決めるのが不安な方は、上司や先輩にチェックしてもらうのもおすすめです。
2-9.聴覚過敏や感覚過敏により仕事に集中できない悩みとその対策
ASD(自閉スペクトラム症)のある方の中には感覚が過敏な方がいらっしゃいます。
例えば、音に対して敏感な「聴覚過敏」もそのひとつですが、「仕事に集中できない」「疲れやすい」など様々な不調の引き金になってしまいます。
口コミにも、感覚過敏についてのコメントがたくさんありました。
【感覚過敏に対する悩み】
BGMによる聴覚過敏や情報過多でふらふらになってしまい、早退を何度もすすめられた。
旅行・ホテル、男性
視覚と聴覚がとりわけ敏感で、見たもの聞いた言葉を全て拾ってしまい、頭の中がすぐにいっぱいでパンク状態になります。厳しい言葉や大きな音も全て拾うので、常に神経が高ぶっている状態で消耗が激しいです。
サービス・外食・レジャー系、軽作業、男性
感覚過敏で音が非常に苦手。作業中、ガムテープを使うことが多く、剥がす音を聞いていると体調を悪くしてしまう。他にも音の処理が苦手で、何をいっているのかよく分からないことがある。
物流・倉庫、軽作業、女性
コールセンターという職場の性質上、至るところで電話のコール音が鳴り響き、応対をするオペレーターの声があちらこちらから聞こえます。聴覚過敏の中でも人の話し声が苦手なタイプで、尚且つ色々な音の中から必要な音を聞き取る能力が低い私にとっては、鬼門と言ってもいい環境でした。
サービス・外食・レジャー系、女性
聴覚過敏の方にとって辛い職場環境には、以下のようなものがあります。
- 大きな音が聞こえる
- 常にBGMが流れている
- 甲高い声や大きな声で話す人がいる
- 絶え間なく電子音などが響いている
たくさんの音の中から必要な音だけを聞き取ることが苦手な方もいます。雑音の多い職場では「正確に指示を聞き取ろう」と気を張っているだけで、疲れてしまいます。
他にも「視覚過敏」のある方は、派手な色のものがゴチャゴチャある場所は、視覚情報の多さに飲み込まれてしまい、ミスが増えたり体の不調を感じたりすることもあります。
そのため、感覚過敏のある方は、苦手なものになるべく触れない環境で仕事をすることが望ましく、職場の理解と配慮が不可欠です。
では、どのような配慮があると働きやすくなるのでしょうか?
【感覚過敏に関する対策】
聴覚過敏に対しては、入社初日に会社全体に周知されたので、社員の皆さんからは穏やかな声で話しかけてもらえて、大声を出されることによるパニックを起こさずに済んでいる。
軽作業、女性
<
防音用イヤーマフを使って、音を極力小さくする。
軽作業、女性
聴覚過敏があったため、常に耳栓をするように心がけていました。耳栓がないときはイヤホンでそっと音楽を聴いてリラックスするようにしました。
団体・連合会・官公庁、女性
自分の感覚過敏をあらかじめ伝えておくことで、同僚の配慮を促すことができます。
また上司との定期的な面談などを利用して、具体的な方法を相談しても良いですね。
例えば、コメントにあったイヤーマフや耳栓、イヤホンは、許可を得てから使用することをおすすめします。
他にも、BGMが常に流れている職場なら「音量を低くしてもらう」など、まずは可能な範囲で交渉してみましょう。
「その方が集中できて作業効率が上がる」「ミスが減る」など、職場側のメリットも提示すると聞き入れられやすいかもしれませんね。
触覚過敏で衣類にこだわりがある方には、カジュアルな服装がOKな職場がおすすめというコメントもありました。
長時間勤務の中、服装が集中力を妨げる要因であるなら、仕事に集中するためにも、服装が自由な職場かどうかを事前に確認することも必要ですね。