腎臓病の方へ 仕事と治療を両立するための98人から学ぶヒント

腎臓病の方へ 仕事と治療を両立するための98人から学ぶヒント

腎機能に障害を抱えている腎臓病の方の中には、人工透析などの治療をしながら仕事を続けている方もいらっしゃれば、仕事ができないという不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

透析のために定期的な通院の時間が必要になることや、免疫力が低下しているため感染対策に注意を払わなければならないなど、腎臓病による特有の悩みもあることと思います。

そんなときは、同じように腎機能に障害を抱えながら仕事をしている方々の声に耳を傾けてみませんか?今回のコラムでは98人の口コミをもとに

・どのようなことに悩み、どのように解決しているのか
・どのように仕事を探したか

といったアドバイスをご紹介していきます。
仕事との向き合い方や働き方など、不安に感じることがある方は、寄せられた声を解決のヒントとしてみてください。

*この記事は渡邊知行さんに監修していただきました
渡邊知行

金融機関の勤務を経て、30歳の時に社会福祉法人の設立役員として起業の実務を担った。法人設立後の約10年間、法人経営や福祉施設の運営に携わりながら、現場で生じた課題をテーマにして大学院で研究に取り組み博士号(専門は障害福祉)を取得した。現在は障害者支援と社会福祉経営の専門家としてコンサルティングや執筆・監修等の活動を行っている。社会福祉士、ファイナンシャルプランナーの資格を持つ。


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目次

1.腎機能障害、腎臓病とは

2.腎機能障害の特性による仕事の悩みと対策

3.腎機能障害がある方が職場で抱える悩みとその対策

4.転職や就活では腎機能障害をオープンにするかクローズにするか

5.転職や就活の参考に、腎機能障害のある方におすすめの企業

6.求人の見つけ方

7.企業情報の集め方

8.まとめ

1.腎機能障害、腎臓病とは

    腎臓病にはとても多くの種類の病気があり、それぞれ症状や経過が異なります。また、治療方法や処方される薬にも違いがあります。病気の種類によって診療科も異なるので注意が必要です。

    腎臓病を大きく分類すると、腎炎、ネフローゼ症候群や慢性腎不全などの腎臓内科や小児科で扱う病気と、腎癌や腎結石などの泌尿器科で扱う病気に分けられます。また、両方の科にまたがる、例えば嚢胞腎や腎盂腎炎などもあります。どの種類の病気かは、検査によって原因を突き止める必要があります。腎臓病といっても、全く性質の異なる病気があることを理解することが大切です。

▼参考:全腎協「腎臓病について」

腎臓病といっても症状やその治療法は異なります。それにともない、食事や生活習慣など気を付けるべき点も異なりますので、仕事をする上で注意すべき点や不安に感じることも人それぞれでしょう。
ご自身の症状に合わせた働き方を見つけられるように、ご自身が抱える悩みと照らし合わせながら、解決策をご覧ください。

2.腎機能障害の特性による仕事の悩みと対策

先にも述べたように、腎機能障害をお持ちの方の症状の程度は様々です。しかし、障害の特性による仕事の悩みに焦点を当てて口コミをみていくと、いくつかの共通する悩みがあることがうかがえました。

【腎機能障害による仕事の悩みと、その傾向】

・疲れやすい
・免疫力が低下しているため、感染症に注意が必要
腎機能障害を抱えながら仕事をしている方々から寄せられた口コミをもとに、これらの悩みの具体的な内容と、その対応策や工夫についてみていきましょう。

2-1. 「疲れやすい」という悩みとその対応策

腎機能が低下した状態では、貧血や尿毒症状など、様々な理由で疲れやすくなるほか、だるさを感じやすくなりします。こうした特性を持ちながら仕事をしている方には、どのような悩みがあるのでしょうか。口コミをもとに、仕事での悩みについてみていきましょう。

【悩み】

 

腎機能が低下すると全身がむくんだり、だるくて動けなくなったりするので休む。
サービス・外食・レジャー系、教育、女性

透析の翌日(特に午前中)は、体調が良くない(だるい)事が多く、透析の都合上、残業等は難しい。
事務、男性

透析中または透析後に激しい頭痛や胸やけが起き、しばしば翌朝まで続く。
マスコミ・広告・デザイン・ゲーム・エンターテイメント系、デザイナー・クリエイティブ、女性

貧血気味で疲れやすい。人工透析をしているので、シャント肢である右手では重い物は持てない。立って作業をすると、疲れて気分が悪くなりやすい。
事務、女性



こうした悩みに対し、どのような工夫や対策を実施できるのでしょうか。寄せられた口コミをご紹介します。

【対策や工夫】

残業を続けてやらないようにすること。昼休みに少し仮眠をとること。
小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、男性

体調を崩さないように自己管理をしっかりする。疲れを溜めないよう気をつけている。
サービス・外食・レジャー系、事務、女性

疲れてきたら、気分が悪くなる前に少し休みをとるようにしている。
事務、女性

長時間立ちっぱなしができないので、打ち合わせは座って行う。残業が少なく、福利厚生が整っている会社に就職した。
金融・保険系、販売・接客・サービス、女性

できるだけ重いものは持たない、立ち仕事は避ける、体を冷やさないようにする、疲れを溜めすぎないようにする、常に頓服薬を持ち歩く事です。
サービス・外食・レジャー系、販売・接客・サービス、女性、

体調がすぐれない時があるので、その時は有給やフレックス退社をしている。
メーカー・製造系、人事・経理・総務・企画、男性



口コミでは、体調が悪くなる前に休憩をとることや、残業をなるべくしないこと、長時間立っている状態を避けるなどの工夫が寄せられました。仕事をするうえで、疲れやストレスは避けて通れないものですが、その疲れを「蓄積させない」ということが大切です。

ご自身の体調の傾向を把握し、体調が悪化する前にこまめな休憩や休暇をとることは、体調不良が長期化することの防止にもつながります。また、疲れやだるさを避けるために、体を冷やさないようにすることも対策の一つといえます。オフィス内の事務作業など、座ったまま仕事をする場合は、ひざかけ等を活用することも有効な方法でしょう。

また、休憩をとりやすく、立ち仕事を代わってもらいやすい環境を作るためには、腎機能障害の特性について職場に伝え、職場の理解を得ておくことも必要な取り組みといえます。

2-2. 「免疫力が低下しているため、感染症に注意が必要」という悩みとその対策

腎機能障害の特性のひとつに、腎機能が下がることや移植後の服薬の影響による免疫力の低下が挙げられます。免疫力が低下している状態では、感染症にかかりやすいことや、かかった場合に重篤化しやすい傾向があります。こうした特性を持つ方は、仕事をするうえでどのような悩みを抱えているのでしょうか。口コミをみていきましょう。

【悩み】

体調を崩しやすかったり感染症などにかかると治りにくい。
サービス・外食・レジャー系、事務、女性

腎不全による生活状況の低下によって、不調な事が増え、移植をした。その後、免疫抑制によって体調を崩しやすくなった。
サービス・外食・レジャー系、教育、男性

移植したら、風邪などに感染しやすくなったり、拒絶反応が起きたら体調不良のときにすぐに病院に行かなくては、腎機能が悪くなるかもしれない。
サービス・外食・レジャー系、販売・接客・サービス、女性



こうした悩みに対して、どのような対策や工夫が考えられるのでしょうか。感染症に注意を払いながら仕事をしている方々が実施している工夫について、口コミをご紹介します。

【対策や工夫】

感染が怖いので職場では常にマスクをしている。小型のプラズマクラスター発生器を机のうえに置いている。
IT・通信・インターネット系、人事・経理・総務・企画、男性

貧血のことが多く疲れやすいため、ずっと立って作業するのはつらい。免疫力が低く体調を崩しやすいので冬場は風邪やインフルエンザ対策のため常にマスク着用。
事務、女性

感染予防のためマスク着用。体力を温存するため夜は早めに睡眠をとり規則正しい生活を送る。
サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、男性

風邪やインフルエンザの予防にマスクをつけて外出すること。手洗いとうがいをしっかりして、少しでも体調が悪い時には無理しないで休むことにしている。
サービス・外食・レジャー系、教育、男性



腎機能障害による免疫力低下の対策として、仕事中にマスクを着用して感染症予防を実践しているという対策が多く寄せられました。マスクの着用は、職場からの許可を得る必要もない場合が多く、取り入れやすい対策のひとつといえるでしょう。

また、空気中のウィルスを減らして感染リスクを下げる工夫として、ご自身の作業場の周辺に空気清浄機を設置しているという工夫も寄せられました。空気清浄機など、ご自身で用意した機器を使用したい場合は、設置前に職場に断りを入れておくと、周囲の理解も得やすいことでしょう。

その他、ご自身でできる感染症対策として、手洗いやうがいを心がけること、睡眠を十分に取り、規則正しい生活で疲れを溜めないようにするなどの工夫が寄せられました。

口コミをみていくと、ご自身の体調の傾向を把握し、予防的な対策をとることが重要ということがわかります。寄せられた工夫や対策のほとんどは、職場に断る必要がなく、ご自身で実践できるものです。日々の生活の中で、習慣として予防的な対策を実践するとよいでしょう。

3.腎機能障害がある方が職場で抱える悩みとその対策

これまで、腎機能障害がある方が仕事中に抱えやすい悩みと、ご自身で実施できる対策についてご紹介しました。ここからは、腎機能障害がある方が職場で抱える悩みの傾向についてみていきましょう。口コミから、腎機能障害がある方には、職場において以下のような悩みを抱えやすいことがうかがえました。

【腎機能障害がある方の多くの方が抱える職場での悩み】

・透析を受ける必要があり、勤務日数や勤務時間に制限がある
・食事制限がある場合、会食などに気を付けなくてはならない
・服薬の影響などによりトイレへ行く回数が増える

これらの悩みの具体的な内容とあわせて、職場ではどのような工夫や対策ができるのかという点について、口コミをみていきましょう。

3-1. 「透析を受ける必要があり、勤務日数や勤務時間に制限がある」という悩み

腎機能障害により透析を受けながら仕事をしている方から寄せられた口コミには、透析治療によって勤務日数や勤務時間に制限が発生してしまうという悩みがあることがうかがえました。具体的な職場での悩みについて、口コミをみていきましょう。

【職場で生じる悩み】

慢性腎不全による週3回の維持透析が必要で仕事の時間が制限される。
IT・通信・インターネット系、エンジニア・技術職、男性

週3回の透析が必要で、就業活動が困難で経済的自立に苦労する。
IT・通信・インターネット系、販売・接客・サービス、男性

腎機能障害。腹膜透析のため毎日時間に追われ、精神的に参っている。
サービス・外食・レジャー系、教育、女性

週3回5時間の透析治療をしている。疲れやすい、持続力がない。
マスコミ・広告・デザイン・ゲーム・エンターテイメント系、デザイナー・クリエイティブ、女性

腹膜透析を1日1回4時間行うため、残業や出張での連泊ができない。
公務員、女性



透析の時間を確保するために仕事の時間が制限されてしまうため、勤務可能な日は時間に追われて仕事が忙しくなってしまうこと、残業や出張が困難という悩みが寄せられました。また、透析の治療によって疲れやすくなってしまう、持久力が低下してしまうことも、職場での悩みにつながっています。

さらに、透析治療のために勤務可能な日数が制限されてしまうことで、経済的に自立できるほどの給与を得ることが難しくなるという悩みも寄せられました。

こうした悩みをお持ちの方は、職場に対してどのような対策をお願いできるのでしょうか。職場で、腎機能障害のある方も共に働くことができるために実施されている工夫についても口コミが寄せられました。

【職場ができる対策】

透析をしながら、健常者と同じように働くことができる。透析日は少々勤務時間が短いが、透析日以外で埋め合わせできる柔軟な勤務時間管理ができる。透析の通院を理解し会議時間の調整、代理の方の出席など配慮してくれる。
IT・通信・インターネット系、エンジニア・技術職、男性

事務仕事がメインなので8時から17時が勤務時間です。どうしても17時までに仕事が片付かず残業しなくてはならない状況になってしまったのですが、夜間透析を行う私の代わりに先輩が残業を行ってくれることがあります。
不動産・建設・設備系、人事・経理・総務・企画、男性

夜勤が必要な職場だったが日勤だけにしてくれた。体のことを気遣ってくれ、業務も肉体的負担が少ないものに変更してくれた。
サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、男性

透析のある日は通常よりも早い時間で退社することを認められたし、体調不良の早退等も特に咎められることが無い。
事務、男性



口コミをみていくと、職場としては、早退や勤務時間の短縮、シフトの調整など、勤務時間の変更に柔軟に対応するという工夫をしていることがうかがえます。

また、残業が必要になった場合は他の従業員が引き継いだり、顧客との関係上スケジュール調整が難しい会議がある場合は代務を立てたりするなど、従業員の間で仕事を交代し、助け合うことができる仕組みがある職場は、透析治療が必要な腎機能障害のある方にとって、働きやすい環境といえるでしょう。

口コミに寄せられたような、理解のある職場に巡り合うためには、どのような点に気をつけて職場を選ぶことが必要なのでしょうか。理解のある職場で働くための対策について、口コミで寄せられた意見をまとめると、次のようになります。



【理解のある職場で働くための対策】

・時短勤務やフレックスタイム制など、勤務時間について柔軟な制度が整備されているか確認する
・病気や障害がある従業員や子育て中の従業員、介護中の従業員など、様々な人が働いている職場かどうか確認する
・シフトの交代や残業の引継ぎなど、従業員同士で助け合う風土があるか確認する
透析治療をしている場合は、勤務可能な時間や日数にどうしても制限が生じてしまうものです。さらに、体調が優れない際にも遅刻や早退、休みが必要となる場合があります。時短勤務やフレックスタイム制などの各種制度が整っている職場であれば、遅刻や早退が多い場合でも、制度を活用することで働きやすさを感じながら仕事を続けることができるでしょう。こうした制度が整っている職場を選ぶことで、遅刻や早退の度に「周囲の従業員に迷惑をかけているのではないか」と気を揉むことが少なくなることも、メリットといえます。

職場によっては、時短勤務などの各種制度が整っている場合でも、その活用実績がないために、実際に制度を活用するハードルが高くなってしまっている場合があります。こうした状況の職場を避けるためには、病気や障害がある従業員や子育て中の従業員、介護中の従業員など、様々な人が働いている実績のある職場を選ぶことが一つの目安となるでしょう。

なぜなら、様々な背景を持つ従業員が共に働く職場では、突発的な休みや遅刻、早退への対応に慣れている場合が多いためです。どのような背景のある従業員がいるのかについては、職場として従業員のプライバシー保護を重視する観点から、面接時に質問をしても詳細について回答を得られない場合もあるかもしれません。

そうした場合は、従業員の年齢構成や性別の割合、障害者雇用率、産前産後休暇・育児休暇や介護休暇等の取得状況について尋ねてみることで、どのような従業員が在籍しているのかを知るヒントになるでしょう。

職場の制度が整っていたとしても、従業員同士で協力しあう雰囲気のない職場では、出勤時間の調整やシフトの交代、残業の引継ぎが難しいかもしれません。こうした職場の雰囲気については、就労前に明確に把握することは困難です。しかし、可能な限り就労前に職場の雰囲気を確認しておく方法として、インターネットで職場の口コミを確認すること、職場見学の機会を活用することが挙げられます。

また、求人サービスを活用しながら転職活動や就職活動をしている場合、求人サービスのアドバイザーが職場の雰囲気について知っている場合もあります。求人サービスの担当者にその職場について知っていることがないか尋ねてみることも、一つの方法といえるでしょう。

3-2.「食事制限がある場合、会食などに気を付けなくてはならない」という悩み

腎機能障害をお持ちの方の中には、食事の内容や水分の摂取量に制限がある方も多くいらっしゃいます。こうした特性のある方は、職場でどのような悩みがあるのでしょうか。口コミをご紹介します。

【職場で生じる悩み】

カロリー制限をしているので会食などに参加できない。
IT・通信・インターネット系、エンジニア・技術職、男性

体調管理 栄養管理が難しい。ストレスになる。
サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、男性

日々の体調管理の為、食事改善(塩分制限や水分摂取量)やストレスをできる限りためないように心がけています。
メーカー・製造系、事務



制限のために会食に参加できない場合、社内外の人と親睦を深める機会が限られてしまう可能性があります。また、食事は日々の生活と切り離せないため、栄養管理をすることそのものがストレスにつながってしまうという側面も垣間見えました。

それでは、こうした特性を持つ方が実際に働いている職場では、どのような工夫や対策が施されているのでしょうか。

【働きやすい職場】

ママさんが多く、小さい子供がいるため、家族の介護と休暇のフォローがしやすくなっているし、忘年会などの集まりも、多くない。また残業も少なく、調整しやすい。
公務員、女性

外国人が多く、変な日本企業的付き合いや飲み会などほぼ皆無のため、仕事に集中することができる。
サービス・外食・レジャー系、事務、男性

特性に合わせた業務の割り当てを実施している。休憩や親睦なども充分考慮されている。
コンサルティング・専門サービス、エンジニア・技術職、男性



社内外との飲み会などの機会が多い職場に勤めている場合、毎回断ることは気が引けてしまうという方もいらっしゃることでしょう。口コミをみていくと、子育て中の方や外国人など、多様な人材を採用している職場では、親睦会や忘年会などが少ない傾向があることがうかがえます。

このように親睦の機会にも配慮がある職場は、腎機能障害による食事制限が必要な方にとって働きやすい職場であるといえます。このような配慮のある職場で働くためにできる対策としては、どのようなことが考えられるのでしょうか。口コミの傾向をまとめると、次のようになります。

【理解のある職場で働くための対策】

・業界や職種の特性として、業務時間外でのコミュニケーションを重視する風潮があるかどうか調べておく
・多様な人材が働いている職場かどうか確認する

社内での飲み会など、従業員同士の親睦の機会をどの程度重視しているかについては、職場や部署の雰囲気に拠るところが大きいため、仕事を始める前に明確に把握することは難しいかもしれません。

しかし、業界全体の傾向や職種の傾向として、業務時間外に社外の人とコミュニケーションを重視するかどうかは、ある程度の予測ができます。インターネットで業種や職種の傾向を調べる以外にも、身近にその業種や職種について知っている人がいる場合は、どのような傾向があるか聞いてみましょう。また、求人サービスのアドバイザーに尋ねてみるのも良いですね。 様々な文化的背景を持つ外国人が多い職場や、子育て中の従業員、病気や障害のある従業員、介護中の従業員など、多様な人が働いている職場では、従業員のプライベートを尊重する考え方が浸透している場合が多くあります。そのため、勤務時間外での社内親睦会やクライアントとの付き合いの機会が少ない傾向にあり、腎機能障害のある方にとっても働きやすい環境といえるでしょう。

多様な従業員が働く職場かどうかを知るためには、求人サービスのアドバイザーに職場の従業員の構成について尋ねてみるほか、職場見学の機会を活用して、実際にどのような方が働いているのかを確認してみることも一つの方法といえます。

3-3. 「服薬などの影響なによりトイレへ行く回数が増える」という悩み

腎機能障害のある方は、服薬などの影響によってトイレへ行く回数が増える場合があります。こうした特性のある方が職場で抱える悩みについて、寄せられた口コミをご紹介します。

【職場で生じる悩み】

いつでも水分補給やトイレに行っていいと了解を得たが、作業が流れ作業のため抜けている間、仕事がたまり、それをこなすのに切羽つまる。終わらない時はしつこく問いただされる時がある。
メーカー・製造系エンジニア・技術職、男性

尿が大量に出るため、トイレが近い。また、それに合わせての水分補給が必要。
コンサルティング・専門サービス系、エンジニア・技術職、男性

薬の副作用の利尿作用が強いので乗り物などの利用時に時間管理が難しい。
小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、男性



離席中に仕事が溜まってしまうこと、トイレの回数について職場に事前に相談していたにも関わらず理解が得られなかったこと、移動時の時間管理にストレスを感じることなどが悩みとして挙げられていました。

こうした点については、職場に悩みを気が付いてももらえない場合が多く、本人から職場に直接相談しない限り、合理的配慮の実施をしてもらうことが難しくなります。それでは、本人から職場に相談をすることで、どのような合理的配慮を実施してもらうことができるのでしょうか。口コミを見ていきましょう。

【職場ができる合理的配慮】

腎臓悪化を抑える薬を飲んでいるので、薬の作用でトイレの回数が増えて、のどの渇きが激しいので、こまめにトイレと水分の補給を行うようにしている。たまに、めまいもするので激しい時は上司に連絡して休憩するようにしている。
メーカー・製造系、エンジニア・技術職、男性

夏場は40度以上になるのが常だが、水分と塩分に厳しい制限があるため仕事内容の調整をしてもらっても過酷すぎた。
メーカー・製造系、軽作業、男性

部署によって、忙しかったりそうでなかったりすると思うので、水分がとりやすくトイレにもいきやすいところを考えるべきです。移植した人が日々やらなくてはいけないことは、一般の人にはわからないので、自分で考えて、部署異動なども伝えた方がいいと思います。
サービス・外食・レジャー系、販売・接客・サービス、女性

本人から職場に対して水分補給やトイレへ行くことの必要性を説明し、職場の理解を得ておくことは重要な対策の一つです。こうした相談を受けて、職場としては、必要に応じて仕事内容を調整する、体調に応じて休憩を取ってもらうなどの合理的配慮を実施してくれていることが口コミからみえてきました。

一方で、こうした職場の合理的配慮があった場合でも、腎機能障害の特性と、仕事内容や職場の環境がマッチしない場合は、仕事の継続が困難となってしまうという口コミも寄せられました。服薬の影響などによりトイレへ行く回数が増えるという職場での悩みがある方は、どのような点に気を付けて職場を選ぶべきなのでしょうか。口コミからみえた傾向をまとめると、次のようになります。

【理解のある職場で働くための対策】

・流れ作業のように数人で作業をするのか、一人で黙々と作業をするのかなど、仕事の進め方を確認する
・職場の忙しさを確認する(1日の作業量、休憩のとりやすさなど)

流れ作業のように、複数人で1つの作業を進めていく仕事内容の場合、1人が抜けることで作業が滞ってしまうことがあります。あらかじめ症状について周囲の従業員に説明し、理解を得ていたとしても、離席することに言い出しにくさを感じてしまう場合もあるかもしれません。職場での作業の進め方について、ある程度一人で進めることが出来るような仕事内容か、それとも毎日の作業をチームで行う必要があるのかどうかを事前に確認しておくと、仕事中に水分補給やトイレへ行かなければいけない場合の心配が軽減されるでしょう。

多忙な職場では、頻繁に離席することが難しい場合があります。業界全体の傾向として、時間に追われるような忙しい仕事内容かどうかを事前に確認しておくほか、可能であれば職場見学の機会を利用し、実際にどのような雰囲気で働いているのか、1日の仕事量はどの程度か、従業員はどのように休憩をとっているのかなどを確かめておきましょう。このように就業後のイメージを掴んでおくことが、ミスマッチを減らすことにつながるといえます。

4.転職や就活では腎機能障害をオープンにするかクローズにするか

腎機能障害のある方の多くは、障害をオープンにするか、クローズにするかということで悩むのではないでしょうか?
それは、伝えるか伝えないかで、働き方が大きく異なるからです。

では、オープンにした方(障害者雇用枠で働いている方)、クローズにした方(一般雇用枠で働いている方)では何が違うのでしょうか?

4-1. 腎機能障害をオープンにした方の体験

まずは腎機能障害であることをオープンにした方の口コミを紹介します。オープン就労のメリット、デメリットにはどのようなことがあるのでしょうか?

【オープン就労のメリット】

障害のことを理解してくれて、体に無理のないように仕事を組んでくれたり、体調が悪い時は、休める会社が良い。毎朝体の調子を報告し 今日出来そうな仕事を探してもらう。仕事場に居づらくなったりしないように社員によく説明してもらう。
不動産・建設・設備系、エンジニア・技術職、男性

社長と専務がとても理解があり、色々と相談に乗ってくれる。仕事もやりがいがある。また時間についても融通をきかせてくれるので、病院等のスケジュールも組みやすく応援してくれる。なにも隠すことなく全てを相談できる。
小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、男性

持病のことについては上司のみ知っているが、障害に関しては誰にも言っていない。週2日で短時間勤務なのでそれで十分。
IT・通信・インターネット系、販売・接客・サービス、女性



【オープン就労のデメリット】

職場の上司はしっかり説明しても、しばらくするとそのことを忘れます。異動により新たにきた上司などは、そもそも引き継ぎ書に目を通しているのかも怪しいくらい病気に対する配慮がないことが多いです。
その他、公務員

個人情報だからといって、障害に関することは周りの人に公表されておらず、入社当初はなかなか理解いただけなかった。(外見ではどこが悪いからわからないため)
サービス・外食・レジャー系、事務、女性

「透析患者だからと言って、普通の人と変わらないでしょ」と言われて、他の人と同じ仕事をする(出勤日数は少ない)けど、時給が他の人より低い。
小売・流通・商社系、飲食、女性



オープン就労をすることのメリットとデメリットについて、これらの口コミをもとに整理してみましょう。

腎機能障害をオープンにして就労している場合、通院などへの配慮が得られることに加え、急に体調が悪くなった時など、緊急的な対応も相談できるという安心感があることがうかがえます。

勤務内容や勤務日数によっては、病気や障害について、全ての従業員に知らせることは気が引ける場合もあるかもしれません。そうした場合においても、職場のリーダーや上司、責任者が腎機能障害について把握していることで、必要なサポートを受けられる可能性は高くなるでしょう。

オープン就労のデメリットとして多く挙げられていたことは、待遇に差が生じること、説明しても忘れられてしまうこと、周囲の従業員など、必要な範囲に職場の上司や責任者から知らせてもらえなかったことでした。

腎機能障害は、外見からはその症状が見えにくいことから、職場に説明した場合でも、時間の経過や上司の異動により、本人の辛さが共有されにくい状況になってしまう場合があることがうかがえます。腎機能障害について上司などに知らせたにも関わらず周囲の理解が足りていないと感じる場合は、上司や責任者などに、腎機能障害の特性と併せて、仕事中での辛い場面や配慮を依頼したい場面、職場の中で腎機能障害の特性について理解してもらいたい範囲などについて改めて相談してみると、上司やリーダーの理解促進にもつながるでしょう。

待遇に差があるという点に関しては、オープン就労にしたことによるデメリットというよりは、評価の基準が曖昧であるなど、その職場において評価や待遇の決定プロセスに課題があると考えられます。

【腎機能障害をオープンにして働くことのまとめ】

腎機能障害がある方の多くは、定期的な通院が欠かせません。オープン就労にすることで、勤務日数や時間の配慮が受けやすくなるといえるでしょう。また、水分補給やトイレ休憩など、業務中に離席しなければならない場合においても、気を揉むことが減るといったメリットもあります。

病気や障害を抱えながら仕事をしていると、突発的な対応も必要になるでしょう。職場にオープンにしている場合は、急遽、病院へ行く必要が出た時にも相談しやすくなるため、安心感が得られることも大きなメリットです。

一方で、腎機能障害は外見からその症状や特性がわかりにくいため、上司に説明したとしても忘れられてしまい、合理的配慮を受けにくい状況になってしまう場合があります。腎機能障害について職場に説明する際は、症状と併せて、必要な配慮や仕事をするうえで心配な事柄などを併せて職場に伝えることで、職場としても合理的配慮の具体的なイメージを持つことができるようになるでしょう。

4-2. 腎機能障害をクローズにした方の体験

続いて、腎機能障害をクローズにして働いた方から寄せられた口コミをご紹介します。

【クローズ就労した方からの口コミ】

働き始めるときに面接で障害について話しましたが、特に普通に働いていたので、他の人は知らず、自分からも言うことはありませんでした。
IT・通信・インターネット系、販売・接客・サービス、女性

配慮が必要と思わない。一般的な対応で特に問題はなく特別に求めるものはない。
教育、男性

体力仕事なので、疾患のある人はまず雇ってもらえないでしょう。 私も隠していましたし。
サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉

特に私は自分の事を話していなかったので特別何もなかった。 良いことも悪いこともなかった。
小売・流通・商社系、軽作業、女性



【クローズ就労のデメリットに関する口コミ】

先入観を持つ人や配慮がないことでストレスが溜まって結果的に余計な神経を使うことになるので、正直に今の状況を話し本音をまず語ることが大切だと思います。
サービス・外食・レジャー系、教育

病気や障害は正確に伝え、どの程度仕事に影響するかはっきりさせるべき。変に隠してしまうと問題になる。選択肢は減るかもしれないが、後で困らないように、最初にきちんとしておきましょう。一般的な就職の注意事項は当然です。
サービス・外食・レジャー系、教育



腎機能障害を抱えながら仕事をしている方は、定期的な通院が必要な場合が多いため、職場にオープンにしている方が多くいらっしゃいました。一方で、症状が安定している方や、そもそもの勤務日数が少ないことから、通院のための配慮を職場に依頼しなくても良い場合など、一部の限定的な状況下においては、クローズ就労をしている方もいらっしゃることが口コミからみえてきました。実際にクローズ就労している方からは、職場からの特段の配慮はないものの、特に困ることもないという旨のコメントが寄せられていました。

また、面接の際に腎臓機能障害について伝えた場合でも、同僚までは伝わっていないというケースが生じる可能性もありますが、症状が軽い方や通院に関して職場の配慮が不要な方は、特に周囲に知らせる必要性を感じていないケースがあることもうかがえます。

口コミにあるように、障害について伏せることで、面接が通りやすくなるというケースもあるかもしれません。しかし、職場が症状について把握できていないと、配慮が必要な状況に気が付くことができず、結果として病状の悪化を招いてしまうという危険性があります。

クローズ就労に関するデメリットとしては、職場に腎機能障害について伏せることでストレスが溜まってしまうことや、就労開始後に障害について職場に相談した場合、職場との関係性が悪化する可能性を懸念する口コミが寄せられました。就労開始前にご自身の状況について職場に伝えて、双方が了承したうえで仕事を始めることが重要といえます。

【腎機能障害をクローズにして働くことのまとめ】

通院の配慮が不要な場合や症状が安定しているなど、限定的な状況においては、クローズで就労することも可能ということが口コミからうかがえました。しかし、職場に相談できないことから合理的配慮が得られず、結果的に症状の悪化を招く可能性があること、必要に迫られて就労開始後に職場に相談した場合、職場との信頼関係が揺らいでしまう可能性が考えられます。

ご自身の体調を考慮しつつ、就労開始後についても具体的にイメージしたうえで、腎機能障害について職場にどのように相談するかを決める必要があるといえるでしょう。


4-3. 腎機能障害をオープンにして一般枠で働くという選択も

腎機能障害で透析をしている身体障害者は、1級の障害者手帳を持つ重度障害者です。しかし、その多くは後天性障害です。

後天性障害の場合、腎機能障害になる前まで一般枠でバリバリ働いていたため、透析のための通院など一定の制約を除けば障害を抱える前と変わらない働き方ができる、と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

もちろん、疲れやすいなどの症状を考慮する必要はありますが、仕事と向き合う際に必要な合理的配慮は「通院時間の確保」のみという方もいます。
逆に言えば、会社が勤務時間の条件さえ理解してくれれば、高いパフォーマンスや成果を残すことも可能ということです。

ご自身の体調を把握した上で、ご自身に合わせた働き方を会社と相談してみるのも一つの方法です。

5.転職や就活の参考に、腎機能障害のある方におすすめの企業

5-1. おすすめの会社、企業名

イーストウエストコンサルテイング株式会社
通院の時間など、気にかけてくれており、社風も個人を尊重して、自由に仕事ができる環境です。別に障害があるからとかではなく、気遣いのある雰囲気です。
満足度:★★★★
配慮  :★★★★
→この企業に関する口コミは こちらへ

花王グループカスタマーマーケティング株式会社
花王カスタマーマーケティングでは、名古屋の中部支社では、難聴の社員が勤務していますが、電話が出来ない分、メール・筆談・手話等で、健常者と同じように業務しています。身障者と健常者の垣根はありません。障害者雇用も積極的に行っています。
満足度:★★★★
配慮  :★★★★
→この企業に関する口コミはこちらへ

株式会社ベルシステム24
職場環境が大変よく各個人の状況をよく聞いた上で、勤務体系、シフトを決められる。特に障害者を特別扱いせず、個人の考えを尊重した対応をしてくれた。障害者以外の社員も特別扱いすることなく、アットホームな職場環境を提供してくれた。
満足度:★★★★
配慮  :★★★★
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第一生命保険株式会社
障害者雇用に理解があり、障害の種類や程度により個人の希望を最大限採用してくれる。 また、なるべく健常者と同じように扱ってくれる。 新しい仕事にも希望すればチャレンジさせてくれる
満足度:★★★★
配慮  :★★★★★
→この企業に関する口コミは こちらへ

東京簡易裁判所
福利厚生はしっかりしていて有給休暇や病気休暇も必ず取れる。障害者の採用人数も増やしている。国家公務員だから身分は安定だし明るく話やすい職場です。女性職員も増やしているので女性は働きやすい。人事異動も話を聞いてくれる。
満足度:★★★★★
配慮  :★★★★★
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大和建設株式会社
上司が特に病気について理解があるので先輩や同期もいやな顔せずお休み抜けさせてもらえるところはオススメです
満足度:★★★★
配慮  :★★★★
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6.求人の見つけ方

6-1. 働き方によって選べる採用枠「一般枠」と「障害者雇用枠」

求人には一般枠(クローズ)障害者雇用枠(オープン)があり、障害者手帳を所持している方は、「一般枠」「障害者雇用枠」のどちらにも応募することができます。

先にも述べたように、腎臓病や腎機能障害があることをオープンにするか、クローズにするかといった悩みは応募できる雇用形態にも影響してきます。
少し重複する部分もありますが、もう一度簡単に説明します。

「一般枠」は、障害であることを伝えず(クローズ)仕事をすることになります。障害のない方と同じように働くことため、広い職種から選べ、昇進や昇給などの機会もあります。しかし、腎機能障害への理解を得られにくく、周囲のサポートを受けることは難しいのが現状です。

「障害者雇用枠」は、障害であることを伝えて(オープン)仕事をすることになります。そのため、職場の理解を得られ、周囲のサポートが受けやすくなるなど、働きやすさにつながることも考えられます。

▼障害者枠(オープン)や一般枠(クローズ)についてはこちらでもご紹介しています。
障害者枠(オープン)か一般枠(クローズ)か?メリットとデメリットを解説



6-2. 求人の見つけ方

①ハローワーク

障害のある方を専門とした窓口があるため、相談やアドバイスを受けることができます。求人数や障害のある方への求人情報も多く扱っています。

ハローワークでは障害者枠で探してもらって、今の会社に就職出来ました。
小売・流通・商社系、事務、女性

建設関係の業務を希望していたのでいくつか紹介していただきました。
不動産・建設・設備系、人事・経理・総務・企画、男性

ハローワークでの紹介者としての求人登録。ハローワークでの希望職種相談。ハローワークからの職業紹介。
サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、男性



▼参考: 厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」

②人材紹介会社

障害を抱えることで、働くことに不安を覚えている方の就職活動を応援してくれる人材紹介会社があることをご存知でしょうか?

具体的には、履歴書の書き方や面接の練習、おすすめする企業の紹介やその企業との連絡、事前見学の調整、入社後のケアや相談など、全面的にサポートしてくれます。

ハローワークなどでは公開されていない求人情報も扱っています。また企業との連絡が密なので、ホームページや求人票からは得られない職場環境も知ることができます。

ひとりで1からはじめる就職活動との違いは、専門のアドバイスやサポート、自分にあった企業の紹介を受けられるため、担当者と一緒に不安を取り除きながら活動を進めていくことができる点です。

口コミにも、専用の人材紹介会社を活用したという声が多くありますのでご紹介します。

人材紹介会社で仕事先を探したのですが一通り面接対策などをしてもらえました。
メーカー・製造系、事務、男性

転職エージェントから求人があり、面接のセッティングなどのサービスを受けた。
小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、男性

志望動機や長所の整理の仕方や面接対策などを指導していただきました。
金融・保険系、事務、男性



しかし、人材紹介会社も一つの企業です。紹介できる企業の得意分野や担当者の性格はさまざまなので、自分の希望や意見が伝えやすく、理解してもらえる人材紹介会社かどうかをチェックしてみましょう。

次は、気になる企業を見つけたら、その企業の情報をどのように集めると良いのか、紹介していきます。

▼障害者雇用の求人サービスについてはこちらでもご紹介しています。
ハローワークだけじゃない、障害者雇用枠の求人はここでも!求人サービスを紹介

7.企業情報の集め方

会社紹介の採用ページや企業サイトだけでは、あなたが実際に働くことになるであろう職場の雰囲気は掴めないかもしれません。できるだけ事前に自分の目で確かめてみましょう。

7-1. 事前に見学して企業の雰囲気を確認する

企業によっては職場を事前に見学させてくれるところもありますし、人材紹介会社に登録している方は、アドバイザーを通して見学をお願いすることもできます。まずは確認してみるといいでしょう。口コミにも、事前に見学をすることで、面接だけではわからない職場の雰囲気が伝わるとの意見が多くみられます。

【就職する前に職場見学をした方からのアドバイス】

自分の体の事を考え、どんな職場であるか実際に見学をするとかどんな仕事をするかははっきり聞いておくといいです。自分ができそうもない事などはあらかじめはっきいっておくといいと思います。できそうであれば怖がらず挑戦してみるといいと思います。
小売・流通・商社系、軽作業、女性

その職場の見学をしたとしても、中の人の性格までは知れないので、慎重に決めた方がいいと思う。見学をした日に、全員が出勤しているとは限らないので、何日かわけて、見学した方がいいかもしれない。
サービス・外食・レジャー系、人事・経理・総務・企画、女性

会社説明会で、会社の制度をしっかりと確認(特に、休暇取得率を確認)し、実際に働いている人との交流があれば、その制度の活用がされているか確認すると良いと思います。病気のことをしっかりと伝え、働きやすい職場であるかどうかの見極めも重要だと思います。
金融・保険系、販売・接客・サービス、女性



7-2. 面接はその企業を良く知るチャンス

面接は、企業側があなたを審査するだけの場ではありません。大事なのは、あなたが企業に求めるものと、企業があなたに求めるものがマッチングすることです。

不安や疑問がある場合は、面接時の質問タイムなどでクリアにしておきましょう。具体的に聞いておきたい内容については、経験者の皆さんの声をご紹介しますので参考にしてみてください。

【面接で企業の情報や職場の様子、自分に対する配慮などの情報を得るための工夫】

障害の内容を整理して他人に伝えられるようにしておくことが重要です。それによって企業側に配慮事項などを把握してもらわないと、業務に支障が生じたりするからです。面接時には、不安に思っていることを話し、企業側にどのような対応をしてもらえるかを聞くことが必要だと思います。
金融・保険系、事務、男性

前もって勤務形態や状況、生活のサイクルを人事に聞いておいた方がいい。離職率や有給休暇の取得状況、残業の有無、法定休日など聞きにくいこともしっかり聞くべき。可能であれば実際にその会社に勤めている人の話も聞いた方がいい。引っ越しをともなう異動がどれくらいあるかも重要。各種手当はしっかり支払われているかもチェックし、就業規則や労使協定があればしっかり目を通して何か気になる項目がないかどうかを調べておく。
小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、男性

通常業務でできることとできないこと、通院の頻度などは、あらかじめ履歴書に書いておいた方が入社してから働きやすくなると思う。その際、先方に過剰な心配をさせないために、間に入るエージェントに履歴書の書き方を相談しておいた方がよいと思う。面接時には、試用期間での休暇取得の可否、有給休暇の支給日数、平均的におおよそ何時ごろに出社して何時ごろに帰宅するか(要は残業時間)を質問するのがよいと思う。
IT・通信・インターネット系、エンジニア・技術職、男性



面接で緊張しすぎて質問できなかったということが無いように、事前に知りたいことをまとめておきましょう。予め準備をしておくだけで心に余裕ができ、面接にも臨みやすくなります。

働きはじめてから大変な思いをすることになってしまっては、心身ともに大きな負担になってしまいます。心地よい職場環境で病気と上手に向き合っていくためにも、面接時での質問のチャンスは大事にしましょう。

8.まとめ

これまでの内容をまとめます。

■腎機能障害や腎疾患の特性による仕事の悩みとは?

①疲れやすいことや、②免疫力が低下しているため、感染症に注意が必要ということが多く挙げられていました。

①疲れやすいという悩みに対しては、体調が悪くなる前に休憩をとることや残業をなるべくしないこと、長時間立っている状態を避けるなどして、疲れを蓄積させないという工夫が寄せられました。こうした工夫を実践するためには、腎機能障害の特性について職場に伝え、職場の理解を得ておくことも必要な取り組みといえるでしょう。

②免疫力が低下しているため、感染症に注意が必要という悩みに対しては、仕事中もマスクを着用することや、手洗いやうがいを心がけること、睡眠を十分に取り、規則正しい生活で疲れを溜めないようにするなどの工夫が寄せられました。日々の生活の中で感染症対策を徹底することが重要といえます。

■腎機能障害や腎疾患がある方が職場で抱える悩みとは?

①透析を受ける必要があり、勤務日数や勤務時間に制限があること、②食事制限がある場合、会食などに気を付けなくてはならないこと、③服薬の影響などによりトイレへ行く回数が増えることの3点が挙げられていました。

①透析を受ける必要があり、勤務日数や勤務時間に制限があるという悩みについては、時短勤務やフレックスタイム制など、勤務時間について柔軟な制度が職場に整備されているか確認することが役立ちます。また、子育て中の従業員など、様々な人が働いている職場であるかどうか、従業員同士で助け合う風土があるかどうかについても職場見学などを活用して確認しておくと、就労前と就労開始後のイメージのギャップを減らすことができるでしょう。

②食事制限がある場合、会食などに気を付けなくてはならないという職場での悩みについては、業界や職種の特性として、業務時間外でのコミュニケーションを重視するかどうか調べておくことや、多様な人材が働いている職場かどうか確認することが、社内外の会食などに配慮のある、働きやすい職場を探すことに役立つでしょう。

業界や職種として社外コミュニケーションを重視する傾向があるかどうかいついては、インターネットを活用することで、ある程度の情報が把握できます。多様な人材が働いている職場は、従業員のプライベートの時間を重視する傾向がある場合が多いものです。求人サービスの担当者に職場の従業員の構成について尋ねてみることや、職場訪問の機会を活用して情報収集するという方法が考えられます。

③服薬の影響などによりトイレへ行く回数が増えるという職場での悩みについて、職場としては、水分補給やトイレへ行く回数への理解を示すことや、必要に応じて仕事内容の調整をするといった工夫ができることが口コミからみえてきました。

このように、具体的に理解してほしい事柄や配慮してほしいことがある場合、本人から職場に相談をしない限り、職場としては状況を理解して合理的配慮を実施することが難しくなってしまうものです。本人と職場双方にとって働きやすい職場環境としていくためには、具体的に本人から職場に伝える必要があるといえるでしょう。

■転職や就活を行う上で腎機能障害をオープンにするかクローズにするか

転職や就活を行う上で腎機能障害をオープンにするかクローズにするか多くの方が悩むポイントです。まずはご自分の症状を一番に考え、どのようなスタイルで仕事をすることがベストなのかを考えましょう。通院や急な体調不良による休みを必要とする場合は、配慮やサポートを受けやすいオープン就労(=障害者雇用)も検討すると良いでしょう。

腎機能障害と付き合いながら、理想の仕事や職場で働いている方も多くいらっしゃいます。腎機能障害の方におすすめの企業や業界、職種には傾向がみられますので、同じ腎機能障害をお持ちの方の意見も参考にしてみましょう。

これまでにご紹介した口コミは、ほんの一部です。症状は人それぞれ、企業の対応もそれぞれ異なります。
まずはご自分の症状や、できること、できないことについてまとめてみましょう。そして、自分にあった職場を自分のペースで見つけてください。

そして気になる企業の様子やサポート状況は、事前に自分の目で確かめることが理想的です。求人票ではわからない企業の様子を知るためにも、ハローワークの専門スタッフに相談したり、人材紹介の専門アドバイザーと一緒に就職活動を進めたりするのも良いですね。

さまざまな企業の中で、あなたが幸せに働ける環境に出逢えることを、私たちは心から願っています。

【監修者:渡邊知行さんからのアドバイス】

■働くことに迷っている方へ
働く意欲は持っているものの、勤務時間や労働環境等の条件が合う職場が見つかるか不安で働くことに迷っている方も多いのではないでしょうか。
記事で紹介した口コミには、勤務時間や労働環境について合理的配慮が実施された事例が盛り込まれています。ご自身の不安な部分が解消されている事例を発見できるかもしれません。

また、雇用契約でオープンにする場合(障害者雇用)とクローズにする場合(一般雇用枠)それぞれのメリットとデメリットについて記載してあります。これら雇用関係の特徴を踏まえて、自身の体調や生活リズム、希望や目標と照らし合わせて就職先を検討してみて下さい。
一歩踏み出すことで、将来のイメージが見えてくるかも知れません。

■これから働く方へ
就労に意欲的な方は業界や職種、適当な労働条件等をご自身で把握されている方が多いのではないでしょうか。これらのことがまだ定まっていない方は、その点から検討すると良いでしょう。人材紹介会社等を利用することで適切な情報を得られることも期待できます。

しかし、無理は禁物です。
記事には、腎臓疾患を抱えながら働いていくための自己管理方法や注意点が盛り込まれています。ご自身に参考になることを取り入れ、更に必要な情報を自分で模索していくことが大切だと思います。

不安や焦りなど悩み事は絶えないと思いますが、仕事はご自身の健康があってのことだと思います。インターネット等の情報収集に加え、職場や身近な人等に悩み事を相談しながら生活していくことをお勧めします。そのようにすることで、周囲の環境が自ずと良いものになってくるのではないでしょうか。




▼腎機能障害や腎臓病のある方の、仕事探しについてまとめました。
腎臓に疾患を持っている方へ勧めたい、仕事探しのポイントとは






※この記事は投稿いただいた口コミから生まれています。
皆さんの貴重な口コミは多く方へ届き役立ちます。ぜひ体験したこと、感じたことを教えてください。

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監修者

金融機関の勤務を経て、30歳の時に社会福祉法人の設立役員として起業の実務を担った。法人設立後の約10年間、法人経営や福祉施設の運営に携わりながら、現場で生じた課題をテーマにして大学院で研究に取り組み博士号(専門は障害福祉)を取得した。現在は障害者支援と社会福祉経営の専門家としてコンサルティングや執筆・監修等の活動を行っている。

保有資格

著者

より望ましい職業の選択や能力開発における相談・助言を専門とする国家資格「キャリアコンサルタント」のほか、米国CCE, Inc.認定の「GCDF-Japanキャリアカウンセラー」の資格を取得。福祉・医療介護分野の研究などにも従事しています。

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