視覚障害のある方が仕事で抱える悩みと対策、望む配慮

視覚障害のある方が仕事で抱える悩みと対策、望む配慮

視覚障害を抱えながら仕事している方の中には、うまく付き合いながら理想の職場で働いている方もいらっしゃれば、仕事ができない、続かないという悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

例えば、全盲で通勤経路に関して配慮が必要、弱視でパソコンが見えづらい、視覚狭窄で作業に時間がかかってしまうなど、視覚障害による特有の悩みを感じることはありませんか?

そんなときは、同じように視覚障害を抱えながら仕事をしている方々の声に耳を傾けてみましょう。今回のコラムでは130人の視覚障害がある方の口コミをもとに

・どのようなことに悩み、どのように解決しているのか
・どのように仕事を探したか

といったアドバイスをご紹介していきます。
仕事との向き合い方や職場について悩むこと、不安に感じることがある方は、ぜひ寄せられた声を解決のヒントとしてください。

*この記事は渡邊知行さんに監修していただきました
渡邊知行

金融機関の勤務を経て、30歳の時に社会福祉法人の設立役員として起業の実務を担った。法人設立後の約10年間、法人経営や福祉施設の運営に携わりながら、現場で生じた課題をテーマにして大学院で研究に取り組み博士号(専門は障害福祉)を取得した。現在は障害者支援と社会福祉経営の専門家としてコンサルティングや執筆・監修等の活動を行っている。社会福祉士、ファイナンシャルプランナーの資格を持つ。




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目次

1. 視覚障害とは

2.視覚障害がある方が抱える仕事内容に関する悩みとその対策

3.視覚障害のある方が抱える、通勤や移動に関する悩みとその対策

4.転職や就活で視覚障害をオープンにするかクローズにするか

5.転職や就活の参考に、視覚障害のある方におすすめの企業

6.求人の見つけ方

7.企業情報の集め方

8.最後に

1. 視覚障害とは

    人間の感覚には味覚、嗅覚、触覚、聴覚、視覚、平衡感覚などがあると言われていますが、このうち「視覚」に障害がある場合を視覚障害と呼びます。

    ~中略~

    視覚障がい者の中で障害の程度が最も重い1級の人の数は10万5千人。しかし、1級の場合でも、わずかに見えている人もいます。ですから「全盲」(全く見えない方で、視覚では明るいか暗いかの判別ができない)の方よりもはるかに多くの視覚障がい者が「弱視(ロービジョン)」(目が不自由だけれどもある程度は見ることのできる)です。WHOのロービジョンの定義は、「両眼に眼鏡をかけた矯正視力が0.05以上0.3未満」となっています。後述しますが、その見え方は千差万別です。これが、多くの誤解を生む原因ともなっています。

    視覚障害はひとりひとり違う:見え方がそれぞれ違うということは、困っていること(ニーズ)がそれぞれ違うということです。視覚障がい者をサポートする場合、あるいは誰もが住みやすい社会を考える場合、必要な視点は1つではない、と知る事が大切です。

参考:公益財団法人 関西盲導犬協会 ホームページより

さらに、このホームページには詳しく書かれていますので一部抜粋して紹介します。

・視覚障害の程度による区分
身体障害者手帳(視覚障害)には1級から6級までの等級があり、1級が最も重度の視覚障害です。

・先天性と後天性
先天性とは、生まれつき視覚に障害があること。後天性とは、人生の半ばで視覚に障害をもつことです。

・見え方(範囲によるもの)
疾患によって見える範囲(視野)が制限される現象を、視野障害と言います。

・時間帯や光の加減によるもの
視覚障害によっては、まぶしさを非常に強く感じたり、光の加減によって見え方がまったく違ったりすることがあります。

このように、視覚障害といっても視野欠損や弱視の方、全盲の方など、一人ひとりの状態は異なります。今回は、症状の違いによって生じる悩みに注目し、その工夫や対策を紹介することで、今後のお仕事をする際のヒントになればと考えております。

2.視覚障害がある方が抱える仕事内容に関する悩みとその対策

見え方は、仕事内容や業務の遂行に大きく影響するため、その症状により生じる悩みも異なります。

ここからは

  1. 視野欠損や視野狭窄、弱視、斜視など「見えづらい状態の方」
  2. 全盲などの「見えない状態の方」
それぞれの視点で、

  • 悩み
  • ご自身による対策や工夫
  • 職場から得られると嬉しい配慮
  • 配慮のある職場で働くための対策
これらにポイントを絞って紹介していきます。

2-1.業務に関する職場での悩み(①見えづらい状態の方)

まずは、視野欠損や視野狭窄、弱視、斜視など視覚障害のある方の中でも「見えづらい状態の方」の悩みをみてみましょう。

【見えづらい状態の方が抱える業務に関する悩み】

網膜色素変性症という難病(特定疾患)を患っており、両目とも視野の半分が欠けています。足元が良く見えなかったり、机上の物が見えにくく、最近ではパソコンのマウスがとても見つかりにくい状態です。
メーカー・製造系、事務、女性

視野が徐々に狭くなっていき最悪失明します。暗い所では見にくくなったり、視野が狭いので落としたペンなどを拾うのも難しかったです。PC作業は一般のPCを使っていたのでマウスカーソルをよく見失っていました。
小売・流通・商社系、軽作業、男性

視覚障害なので文字の認識が遅れます。特別に作った眼鏡を使わないと仕事は難しいです。
人事・経理・総務・企画、男性

視野が狭いことから「同時にいくつもの作業をする」ということができなくて困りました。
メーカー・製造系、軽作業、女性



寄せられた悩みには、足元や机上全体が見えにくいという点や、パソコンの画面に映るマウスカーソルの認識が難しい点が挙げられていました。また、視野が狭いため、同時に複数の事柄を確認しながら進めることが難しいという悩みがあることもうかがえます。

こうした悩みに対して、ご自身で対策や工夫を実施している方もいらっしゃいました。ご自身でできる工夫として寄せられた口コミをみていくと、以下の通り3つに分類することができました。

  1. 仕事で使う機器の設定を工夫するなどして、作業環境を整える
  2. 目を休める
  3. 仕事に優先順位をつける
それぞれの項目について、具体的な工夫や対策をみていきましょう。

【対策や工夫】
① 仕事で使う機器の設定を工夫するなどして、作業環境を整える

ディスプレイスタンドを設置し複視の影響を受けない角度に設置する。
IT・通信・インターネット系、エンジニア・技術職、男性

テンキーを別で用意して左手で打てるように左側にセットしていた。目を使う仕事は1時間おきに必ず休憩を取るようにしていた。
金融・保険系、事務、女性

文字に関しては、パソコンの画面表示を大きくして見やすくしています。書面はパソコンに取り込んで拡大して見るようにして確認漏れなどのミスを防いでいます。移動に関しては都度人に聞いて、困った時は案内してもらっています。
小売・流通・商社系、女性

常に携帯ルーペを持ち歩いていました。見えにくいと困るので、数字が大きい電卓など使っていました。
メーカー・製造系、女性

なるべく照明などを工夫して明るい作業環境をつくることと目だけで回りを見るのではなく首を回して周りを見る。
不動産・建設・設備系、エンジニア・技術職、男性



パソコンを使う仕事をしている方は、見やすい角度にご自身で調整する、見やすく使いやすい場所にキーを配置する、文字を拡大したりするなど、ご自身が使いやすいように設定を調整するという工夫をしていることがわかりました。

また、ルーペなど、仕事をするうえで必要な道具や、仕事をスムーズに進めるための道具をご自身で揃えておくことも、対策の一つといえるでしょう。さらに、手元やデスクの照明の明るさを調整することで、自分の障害特性に合う作業環境に整えるという工夫も寄せられました。

【対策や工夫】
② 目を休める

なるべく仕事後は横になるなど体をすぐに休めるよう努力している。仕事中にも物の見辛さから疲れが半端ないし、とても危険。
運輸・交通・物流・倉庫系、販売・接客・サービス、女性

目が疲れないように適度に休憩をとる。できないことはできないと予め伝えておく。
サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、女性



目を凝らすことは、眼精疲労だけでなく、神経や筋肉など、体全体の疲労につながります。視覚障害により見えづらい状態の方は、仕事で目を使うことで、疲れやすくなる傾向があることがうかがえました。休憩時間にしっかりと目や体を休めることも、大切な工夫の一つといえます。

【対策や工夫】
③ 仕事に優先順位をつける

物事に優先順位をつけて、一度に多くのことをこなせない変わりに仕事の効率を良くすることを心がけました。
メーカー・製造系、軽作業、女性

仕事に優先順位をつけて、作業スピードがあげられない分、要領を良くしました。
メーカー・製造系、デザイナー・クリエイティブ、女性



視覚障害により見えづらい状態の方は、視野が狭いなどの理由により広範囲を同時に視認することが困難なため、複数の仕事を同時並行して進めることが難しいケースがあります。こうした特性のある方は、仕事を効率的に進められるよう、一つひとつの作業に優先順位を付ける対策が有効でしょう。

ここまで、視覚障害により見えづらい状態の方が抱える業務に関する悩みについて、ご自身で実施可能な工夫や対策についてご紹介しました。口コミをみていくと、視覚障害のある方が抱える業務に関する悩みに対して、合理的配慮が実施されている職場もあることがわかりました。

次に、視覚障害により見えづらいという特性のある方に対して、職場ではどのような配慮や対応がなされたかについて、口コミをご紹介します。

【あると嬉しい業務に関する職場からの配慮】

半年に一度の面談の際には、障害があることで困っていることはないかを毎回ちゃんと聞いていただいていた。
金融・保険系、エンジニア・技術職

私は視野に問題があったので、書類の文字の大きさを私用に拡大したものを作ってもらっていました。手間になるのに快くやっていただいていたのでありがたかったです。他にも文字が小さくて見えなくて困っている書類などは代わりに内容を読んで教えてもらっていました。私が困っているとすぐに察してくれて「手伝おうか?」と聞いてくれる方たちばかりだったので本当にありがたかったです。
メーカー・製造系、人事・経理・総務・企画、男性

文字の認識が遅れることを理解してくれて、文字の大きさを大きくしてくれたり、パソコンやタブレットの画面を大きくしてくれます。
人事・経理・総務・企画、男性

出勤登録などタブレット端末入力であるが私だけはタイムカードで処理していただいている。また書類の記入などは他職員がみんな代筆してくれる。
サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、男性

私の障がいを理解してくれて、1つずつ仕事を振って負担が少ないように配慮してくれたからです。また、仮に仕事のスピードが落ちたりしたときも「ゆっくりでいいからね」などの気遣いをしてくれたからです。そのお陰で私も伸び伸び仕事ができました。
メーカー・製造系、軽作業、女性



口コミをみていくと、困りごとについて職場に相談する機会が確保されている、従業員同士で声をかけあって業務をサポートしあう、必要な機器の設定をサポートしてくれるなどの配慮がある職場は、視覚障害を抱える方にとって働きやすい職場であることがうかがえます。

こうした職場で働くために、どのようなことに気をつけて職場を選ぶべきなのでしょうか。口コミの傾向をまとめると、次のようになります。

【理解のある職場で働くための対策】

・定期的な面談の機会があるか確かめる
・従業員同士で声をかけあい、助け合う雰囲気があるか確かめる
・職場全体の仕事の進め方や業務量について確認する
視覚障害のある方にとって、どのような作業が困難なのか、どのような作業に時間がかかるかということを、職場として事前に把握することは難しいものです。そのため、ご本人の困りごとと、職場が実施可能な合理的配慮をすり合わせる機会として、定期的な面談があることが望ましいといえるでしょう。面談の機会を確保し、困っていることや困難なこと、配慮事項などについて職場と本人で話し合う機会があることは、視覚障害のある方が働くうえでの安心感につながるといえます。

日々の仕事を進めるなかで、書類の確認や入力など、見えづらい状態の方にとって困難な業務が発生する場合もあることでしょう。こうしたとき、一人で対処しようとすると時間がかかり、疲れやストレスも溜まってしまいます。従業員同士で声をかけあい、サポートしあう雰囲気のある職場であれば、こうした状況も乗り切っていくことができるものです。

職場の雰囲気は、実際に就労するまで明確に把握することは難しいものです。しかし、求人サービスを活用して就職活動をすることで、その担当者に確認できるかもしれません。また、職場見学の機会があれば、実際に働いている人から意見を聞くことで、職場の雰囲気を体験できるかもしれません。

視覚障害のある方で、見えづらい状態の方は、目で見て確認する作業に時間を要する場合が多いことから、スピードを求められる仕事にストレスを感じてしまう傾向があることが、口コミからみえてきました。そのため、職場全体として、時間に追われるような仕事の進め方である場合や、一人ひとりの作業量が膨大である場合には、視覚障害のある方にとって働きにくい環境である可能性が高いといえるでしょう。

作業量や仕事の進め方を把握するためには、職場見学の機会を活用するほか、月の平均的な残業時間について質問してみることも一つの目安となります。

2-2.業務に関する職場での悩み(②見えない状態の方)

視覚障害により見えない状態の方は、業務に関してどのような悩みを抱えているのでしょうか。口コミより、具体的な悩みの内容をみていきましょう。

【見えない状態の方が抱える業務に関する悩み】

全く目が見えない。パソコンを使わないと読み書きが出来ない。
サービス・外食・レジャー系、その他、女性

全盲の視覚障害者で、墨字の読み書きが全く出来ない事が一番の難点。
デザイナー・クリエイティブ、女性

時期によってはとても忙しい部署でしたので、自分の仕事がないときにも「仕事をください」と言いにくいときがありました。私に仕事を与えるということは人の手が必要です。見よう見まねで仕事ができない私は中途半端に手を出すことも「これ私がやりますよ」と言うこともできませんでした。パソコンに詳しくなく、私の支援機器で何ができるのかが伝わらず、また目が見えない私の状態でどんな仕事ができるか想像してもらうのが難しく、紙のデータを入力するよう頼まれたり、メールで仕事をもらってもPDFなど視覚障害者のパソコンの画面読み上げソフトを使用しても読み上げない物の加工などの仕事がきたりと、会社にいる間仕事内容には結構苦戦しました。定例の仕事を探すのが難しかったです。
小売・流通・商社系、事務、女性、



視覚障害により見えない状態の方からは、紙に印字された文書を読むことができないという業務上の悩みが寄せられていました。また、職場としても視覚障害のある方にどのような仕事を任せるべきか手探り状態であるために、視覚障害の特性に適さない仕事の依頼が入ってしまうことや、本人としても仕事全体を把握することが難しいため、職場全体の仕事の中からご自身ができる業務を提案することが困難である点が、業務における悩みにつながっていることがわかります。

こうした悩みに対して、ご自身で工夫や対策を実施しているという口コミも寄せられました。具体的な内容をみていきましょう。

【対策や工夫】

スクリーンリーダーのインストールされたパソコンや音声読み上げ可能なスマートフォンなど、デジタル機器をフルに利用する。
デザイナー・クリエイティブ、女性

まずは、自分のできることできないことの整理を家族と行い、会社の上司と相談しました。そのうえで、会社での動き方を決めてもらい、社員の人に協力をお願いして、自分が動ける環境を作ってもらいました。職員も不安がっている人もいたので、できることできないことをしっかり伝えました。
サービス・外食・レジャー系、男性



パソコンに画面読み上げソフトをダウンロードするなど、デジタル機器や支援機器を活用して仕事を進めているという口コミが寄せられました。また、職場で適切に仕事が割り振られないという悩みに対しては、まずは自身で「できること、できないこと」の棚卸をしたうえで、それを職場に伝えるという工夫が寄せられました。

見えない状態の方と共に働く経験が浅い従業員が多い職場では、本人にどのような仕事を依頼すべきかわからず、職場としても手探り状態である可能性があります。あらかじめ、できることや困難なことを自分から職場に直接伝えることで、職場としても、ご本人の状態を理解して適切な業務を依頼しやすくなるでしょう。

口コミをみていくと、職場における少しの配慮があるだけで、見えない状態の方が仕事を進めるうえでどれだけ大きなサポートとなる場合があるのかがわかります。次に、視覚障害により見えない状態の方が職場から得られると嬉しい配慮について、寄せられた口コミをご紹介します。

【あると嬉しい業務に関する職場からの配慮】

支援機器の導入、入社後3年間は専属のサポーター付きでした。業務において「できること」と「できないこと」を洗い出し、できることを優先的に割り当ててもらっている。業務において、できないことでも、部分的にできることがあれば同僚と役割分担して作業させてもらっている。
IT・通信・インターネット系、エンジニア・技術職、男性

仕事に必要な音声読み上げ関係のソフトは文句を言わずに揃えてくれるし、上司や同僚も出来ると分かっている事は絶対に助けないが、出来ない事は助けてくれる。
マスコミ・広告・デザイン・ゲーム・エンターテイメント系、デザイナー・クリエイティブ

音声パソコンを導入してくれた 他は見える人と同様に扱われた。
サービス・外食・レジャー系、その他、女性

スクリーンリーダーのインストールなど、必要な環境はしっかり整えてくれる。
デザイナー・クリエイティブ、女性



口コミからは、サポーターの配置や、パソコンソフトなどの支援機器を導入するという合理的配慮があると、見えない状態の方にとって働きやすくなることがわかります。こうした合理的配慮のある職場で働くためには、どのようなことをチェックしておくべきなのでしょうか。職場を選ぶために確認しておきたいポイントについて、口コミをまとめると、次のようになります。

【理解のある職場で働くための対策】

・病気や障害のある方の雇用実績について確認する
・職場にサポーターの配置があるか確認する
・支援機器を使用することが可能か確認する
視覚障害のある方と共に働くためには、職場としても、研修方法を工夫することや、適切に仕事を依頼するために職場の仕事内容について再度確認し、作業を細分化するなどの工夫が求められます。視覚障害のある方を雇用した経験のある職場は、すでに視覚障害のある方と共に働くために実施するべき合理的配慮についての知識を持っているため、円滑に仕事を開始できる可能性が高いでしょう。

また、視覚障害に限らず、障害のある方と共に働く経験が豊富な職場であれば、状況に応じて必要なサポートを組み立てる柔軟な対応が期待されます。病気や障害のある方の雇用実績や定着率について確認するにあたっては、求人サービスの担当者に質問するほか、面接時に直接尋ねるといった方法があるでしょう。

職場として、本人に遂行可能な業務を適切に依頼していくためには、ご本人の状況を正しく理解して仕事内容をマッチングさせる必要があります。職場にサポーターが配置されている場合、日々の業務のサポートが受けられることはもちろん、職場全体の業務内容と自分の障害の特性を照らし合わせながら、仕事内容をコーディネートしてもらえる可能性も高まるといえるでしょう。

サポーターの配置については、面接時に尋ねるほか、求人サービスやハローワークの担当者に確認する方法があります。職場によっては、ホームページに情報が掲載されている場合もあるかもしれませんので、確認してみましょう。

視覚障害のある方は、デジタル機器や支援機器の活用により、遂行可能な業務の幅が広がる場合が多いといえます。必要なデジタル機器やパソコンのソフト、支援機器などについて、既に職場で用意があるかどうかを確認しておくと良いでしょう。用意されていない場合は、自身の就労に合わせて用意してもらうことは可能か、もしくは、既に所有しているものを業務上で使うことは可能か確認しておくと、安心して仕事を始めることができるでしょう。

3.視覚障害のある方が抱える、通勤や移動に関する悩みとその対策

視覚障害のある方から、通勤や移動に関する悩みが多く寄せられていました。しかし共通する悩みであるものの、視覚障害の状態の違いによって、悩みの傾向は異なります。

そのため、前章と同じように

  1. 視野欠損や弱視、斜視など「見えづらい状態の方」
  2. 全盲などの「見えない状態の方」
それぞれの視点で、

  • 悩み
  • ご自身による対策や工夫
  • 職場から得られると嬉しい配慮
  • 配慮のある職場で働くための対策
にポイントを絞って紹介していきます。

2-1. 通勤や移動に関する悩みとその対応策(①見えづらい状態の方)

視野欠損や弱視など、見えづらい状態の方は、通勤や移動に関してどのような悩みがあるのでしょうか。口コミから、具体的な悩みの内容をみていきましょう。

【見えづらい方の通勤に関する悩み】

視覚障害で網膜色素変性症(特定疾患・難病指定) 足元の物にぶつかる、薄暗いところで人にぶつかる、段差が見えにくい、掃除が雑になるなどがある。
サービス・外食・レジャー系、販売・接客・サービス、女性

視覚の障害の為、車の運転を諦めました。人混みでは恐怖で中々歩く事が出来ません。
不動産・建設・設備系、事務、男性

部屋によって物が乱雑に置かれているので移動が困難なのが困ります。特に倉庫などの物が多いところを歩く時は恐怖を感じます。
小売・流通・商社系、女性



視覚障害をお持ちの方は、自動車の運転に制限があるケースが多くあり、通勤には公共交通機関を使用する方も多いため、人混みを歩くことの難しさが悩みとして挙げられていました。

また通勤以外の移動に関する悩みとしても、職場内での移動の際に、物が雑多に置かれている場合にぶつかってしまうことや、薄暗い場所では特に視界が悪くなるため危険を感じるという悩みがあることがわかりました。

こうした悩みに対して、自ら対策や工夫を実践している方もいらっしゃいます。次に、こうした悩みへの対策法として寄せられた口コミをご紹介します。

【対策や工夫】

横から人が来た時も気が付かずぶつかることもあったので、歩くスピードを落として周りをよく確認するようになりました。
小売・流通・商社系、軽作業、男性

移動する際に危険な注意すべきところを逐一確認して気を配っています。
IT・通信・インターネット系、事務、男性

物品を決めた場所に置く。部屋の照明や窓の明るいところを目印にして移動する。
サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、男性

就業場所の所在地と、通院先の医療機関の所在地を調べておくこと。毎日通勤できるかは、結構大事である。
サービス・外食・レジャー系、事務、男性



通勤や移動に関する悩みに対して、見えにくい状態の方が実践できることとして、歩くスピードを落として周囲を注意深く確認するという工夫が寄せられました。また、危険な場所など、注意すべきポイントを覚えておくという工夫は、公共交通機関を使った移動だけでなく、職場内での移動に対しても有効な対策といえます。

さらに、自宅から勤務先のルート、自宅からかかりつけの医療機関のルートを覚えておくことはもちろん、勤務先から医療機関までのルートを覚えておくことも、働くうえでの安心感につながるといえるでしょう。

職場内で実践できることとしては、自分の身の回りの物品を決められたところに置くことで、不慮の転倒などを防ぐという工夫が寄せられていました。また、職場内の移動については、照明の明るさや窓など、目印となるものを決めて、それらを手がかりに移動をするという対策も寄せられました。

口コミには、ご自身で出来る対策のほか、職場で得られた合理的配慮に関する具体的な内容も寄せられました。職場内で得られると嬉しい配慮について、口コミをご紹介します。

【職場内の移動について得られると嬉しい配慮】

視野が狭い為、移動もゆっくりになるが病気を知っている人は手を引いてくれる人もいました。
小売・流通・商社系、軽作業、男性

施設はバリアフリー化されているところが多く、歩きやすくて助かっています。皆さん極力物を床に置かないでくれているので歩きやすいです。エレベーターが多いので移動も楽です。
小売・流通・商社系、女性

視覚障害者なので出張マッサージはしなくてよかったです。でもその分、患者が少なくなりました。
メーカー・製造系、医療・介護・福祉

先輩や院長も同じ障害があったので、通勤の大変さや私生活の苦労を理解してくださり、とても居心地が良かった。
サービス・外食・レジャー系、販売・接客・サービス、女性



周囲の従業員による移動のサポートや、職場内の床に物を置かないこと、出張を伴う業務の免除などの合理的配慮を実施している職場があることがうかがえます。また、通勤などの大変さを理解し、その旨を本人に伝えているという職場もありました。こうした配慮があると、「職場は自分の状況を理解してくれている」と実感することができ、業務上の悩みを相談しやすい関係が築かれるでしょう。

視覚障害の特性を理解したうえで合理的配慮を実施してくれる職場は、視覚障害のある方にとって理想的といえます。このように視覚障害へ理解のある職場で働くためには、どのようなことに気を付けて職場を選ぶべきなのでしょうか。口コミをもとに整理すると、次のようになりました。

【移動に関して理解のある職場で働くための対策】

・整理整頓され、床に物が置かれていない職場であるか、バリアフリーが進んでいるか確認する
・社外の移動を伴う業務があるか確認する。ある場合は、必要なサポートが受けられるか確認する
仕事をしていると、職場内を歩いて移動する機会も多いことでしょう。床に物が置かれている状況が常態化している職場では、視覚障害のある方が移動する場合にストレスを伴います。職場見学の機会を活用して、整理整頓されている環境か、床に物が置かれていないか、バリアフリーになっているかなどを確認しておくとよいでしょう。

  また、出張や顧客訪問、外部での打ち合わせなど、社外業務の機会があるかを事前に確認しておくことで、ある程度、就労後のミスマッチを防ぐことができるでしょう。仕事内容に社外業務が含まれている場合、移動のサポートなど、自分の視覚障害の特性に応じたサポートが受けられるかについても併せて確認しておくと、就業時のイメージを掴みやすくなります。

 

2-2. 通勤や移動に関する悩みとその対応策(②見えない状態の方)

続いて、全盲など見えない状態の方が抱える「通勤や移動の悩み」について、具体的な内容をみていきましょう。

【見えない方の通勤に関する悩み】

視力がほとんどなく、光が分かる程度でした。仕事そのものも社内や通勤時の移動にはそのつど練習が必要でした。
小売・流通・商社系、事務、女性

出勤も家族に手伝ってもらい、なんとかできていたが、目が見えないので、トイレの位置や休憩室への移動一つとっても、一人では難しく介助が必要だった。また、会社の同僚にその状況を理解してもらうことも大変であった。
サービス・外食・レジャー系、男性

5店舗あるうちで異動はさせないという条件で入社したのに、結局異動させられて通勤が大変だった。
メーカー・製造系、医療・介護・福祉



口コミでは、視覚障害により見えない状態の方は、通勤ルートや職場内での移動について、慣れるまでの練習が必要と寄せられていました。また、職場内での移動に関してサポートが必要なことを周囲に理解してもらうこと自体がストレスと感じてしまうケースもあるようです。
そのほか、通勤の利便性を考慮して職場を選んだにも関わらず、職場都合で通勤先を変更せざるを得なくなってしまったという悩みも寄せられていました。

より働きやすい環境とするために、ご自身で実行し得る工夫や対策にはどのようなものがあるのでしょうか。仕事での悩みに対する対策として、寄せられた口コミをご紹介します。

【対策や工夫】

私が入社してから、床に物を置かない、物の位置を変えたり環境が変わったときには必ず私に伝える、ホワイトボードや紙ベースで出回っている連絡事項は口頭やメールで必ず私にも分かるようにするということを徹底していただきました。その結果、私以外の社員間でも声を掛け合う習慣が増えたと聞きました。
小売・流通・商社系、事務、女性

私は通勤距離が非常にネックだと思っています。駅のホームは非常に危ないと感じます。そういう意味では、落下防止の設備のある駅をまず選ぶべきでしょう。
マスコミ・広告・デザイン・ゲーム・エンターテイメント系、事務、女性



視覚障害により見えない状態の方にとって、床に物が置かれていないことや、物の位置を勝手に移動させないことなどは、非常に重要なことです。しかし、その一方で、指摘されるまでその状況に気が付かない職場が多いかもしれません。
職場に実施してほしい合理的配慮について、自ら具体的に提案することは、ご自身が働きやすい環境を作っていくために重要な工夫の一つです。

さらに、通勤時の安全性を確保するための工夫として、通勤ルートに落下防止などの安全対策が実施された駅を使うようにすることも、自ら実施できる工夫の一つといえるでしょう。

このように、自身で対策ができることに加えて、職場からの合理的配慮があると、視覚障害のある方にとってより働きやすい環境になることも口コミからみえてきました。それでは、視覚障害により見えない状態の方に対して、職場ではどのような合理的配慮を実施できるのでしょうか。職場から得られると嬉しい配慮について、口コミをご紹介します。

【職場内の移動について得られると嬉しい配慮】

飲み会でのサポート(一緒に会場まで行ってもらったり、帰りは駅まで送ってくれたり)も快く引き受けてくださいます。また、通勤時間について、混雑を避けるためにフレックスタイムを常用させてもらっています。(通常、毎日の利用はNG)。会社生活に必要な場所を、一緒に歩いて確認(座席、トイレ、ゴミ箱の場所など)、点字シールの貼り付け(各種ゴミ箱、自動販売機、会議室のドアなど)。
IT・通信・インターネット系、エンジニア・技術職、男性

専属のドライバー兼マネージャーがいたり、外を歩くときの援助、新しいドライバーへの研修などは配慮があったと思う。
メーカー・製造系、販売・接客・サービス

トイレへの誘導を手伝ってくれたり、利用者とのコミュニケーションの橋渡しをしてくれたりしました。
サービス・外食・レジャー系、男性



口コミをみていくと、職場としては、社内外の移動のサポートや、混雑を避けた時間に出勤してもらうなどの合理的配慮を実施していることがうかがえます。また、仕事で接する顧客とのコミュニケーションの橋渡しをしてくれたという口コミもありました。

こうした合理的配慮がなされることで、視覚障害により見えない状態の方にとって、働きやすい環境になるといえるでしょう。それでは、口コミに寄せられたような理解のある職場を選ぶためには、どのようなことに注意して職場を選ぶべきなのでしょうか。口コミの内容を整理してみましょう。

【理解のある職場で働くための対策】

・フレックスタイム制や時差出勤など、混雑を避けた時間に出勤できる仕組みがあるか確認する
・移動のサポートなど、仕事をするうえで必要なサポートが受けられる雰囲気があるか確認する
・勤務地の異動があるか確認する

視覚障害により見えない状態の方にとって、混雑した時間帯の通勤は危険が伴う場合があり、大きなストレスにつながります。フレックスタイム制やシフトの調整など、出勤時間を調整する手段がある職場であれば、それら制度を活用することで混雑を避けて通勤することが可能になるでしょう。

視覚障害のある方は、社内外の移動にサポートが必要となる場合があります。職場見学などを利用して実際に職場に足を運んでみて、従業員が協力してフォローする雰囲気があるか、自分が困ったときに声をかけられる余裕のある環境であるかなどを事前に確認しておくことで、就労後に移動のサポートを依頼できる雰囲気や環境かどうかのイメージを掴みやすくなるでしょう。

通勤を伴う仕事の場合、職場の立地は非常に重要です。安全面や利便性を考慮し、通勤ルートをイメージして職場を選ぶ場合もあるでしょう。しかし、後になって勤務地が異動になってしまうと、安心して通える通勤ルートをそのつど探さなくてはなりません。

面接などの際に、転勤があるかどうかを確認することと併せて、例えば同じエリア内であっても別のオフィスや店舗、工場などに足を運ぶ場合があるかなどについても確認しておくことで、通勤に伴う不安やストレスの軽減に役立つことでしょう。

4.転職や就活で視覚障害をオープンにするかクローズにするか

視覚障害のある方の中には、障害をオープンにするか、クローズにするかということで悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか?
それは、伝えるか伝えないかで、働き方が大きく異なるからです。

障害者雇用枠で働く場合は、視覚障害を抱えていることを職場に伝えて働きます(オープンにする)。

一般雇用枠で働く場合は、視覚障害を抱えていることを職場に伝えないで働く場合(クローズにする)と、伝えて働く場合(オープンにする)の2種類の方法がありますが、軽度の視覚障害である場合は、後者の働き方を選択する方もいらっしゃるでしょう。

では、それぞれ働き方に違いはあるのでしょうか?

 

4-1. 視覚障害をオープンにした方の体験

まずは視覚障害であることをオープンにした方の口コミです。オープン就労のメリット、デメリットにはどのようなことがあるのでしょうか?

【オープン就労のメリット】

約300人いる従業員全員に呼びかけるのは困難なので、まずは所属している部署の方々に分かりやすく、「どんな障害があって、出来ること、出来ないこと」を伝えたり、上司にも業務状況を説明して、現状を把握して頂いたりしていました。
サービス・外食・レジャー系、女性

まず同僚に相談し、その上で上司にも相談しました。なるべく職場の方とコミュニケーションをとるようにし、働きやすい環境を自分で作るようにしました。わからないことは率先して質問する。障害をみなさんに理解してもらうための努力をしました。
小売・流通・商社系、男性

まずは自分の不便なところを話して職場の方に理解を求めました。特に具体的に変わったことはありませんが資料などは必ず右側に置いてくれるなど配慮していただき、そのさりげなさが嬉しかったです。こうしてほしいということは私からも発信して、改善してもらうようにしました。
マスコミ・広告・デザイン・ゲーム・エンターテイメント系、人事・経理・総務・企画、女性



【オープン就労のデメリット】

 

上司が視覚障害に対して、全く理解がなく、そのせいで同僚も理解がなかったので、とても働きにくい職場でした。職場環境も全く最悪だったが、上司に訴えても、改善してくれなかった。最終的には、体調を崩して退職した。
IT・通信・インターネット系、医療・介護・福祉、女性

施設長の理解がないと、いくらハンディを話したところで配慮は全くされません。 配慮がないとわかった時点で転職したほうが吉だと思います。 5年勤めましたが、最後まで配慮はなく、そういう意味では失望しました。
サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、女性

分かった上で雇用したのに、病気の事で上司に嫌味や差別的な発言をしたり、圧力をかけられたりした。休憩が取れなかった。
小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、女性



オープン就労をする良い点と悪い点について、これらの口コミをもとに整理してみましょう。

オープンにしていると、ご自身の視覚障害の状況について説明することができるため、仕事上の「できること、できないこと」を周囲に理解してもらいやすくなります。また、周囲の従業員が視覚障害について知ることで、資料の置き場所を工夫するなどの合理的配慮が日常業務の中で実施されるという点も、視覚障害をオープンにして働くことのメリットといえるでしょう。

一方で、オープン就労して悪かった点としては、視覚障害について説明しても理解してもらえず、合理的配慮が受けられなかったことや、ハラスメントを受けてしまったことが挙げられていました。

【視覚障害をオープンにして働くことのまとめ】

視覚障害をオープンにしていると、職場から合理的配慮が受けられる可能性が高まり、障害の特性により遂行が困難な業務や、緊急で病院に行かなければならない場合などに職場へ相談しやすいという安心感もあります。

一方で、職場の無理解やハラスメントは、オープン就労によるデメリットというよりは、職場として従業員を大切にし、共に働いていくという姿勢が欠如していることが原因です。こうした職場を避けるためには、就労開始前に視覚障害について伝え、その反応をうかがうことで、職場の姿勢を事前に確認するという方法も有効です。

また、オープンにして働くとしても、障害者雇用と一般雇用では合理的配慮を受けられる可能性が異なります。障害者雇用の方が合理的配慮を受けられる可能性はより高くなりますが、昇進などを望むのであれば一般雇用のほうが有利になることもあります。ただ、周囲の一般雇用で働く方と同じような働きを求められるため、自分の状況をよく理解して選択することが必要です。

4-2. 視覚障害をクローズにした方の体験

続いて、視覚障害をクローズにして働いた方から寄せられた口コミをご紹介します。

【クローズ就労した方からの口コミ】

分からない色がある事を最初は言わずに入社したので、機械の修理やモニターの調整等をした際に上手く直せずよく注意をされました。目に見える障害では無かったので、理解されるかどうかで悩んで、伝えるべきかどうかを迷った事が一番困りました。周囲に伝え、分からない時はすぐに同僚に聞くようにしました。また、色が関わる事で迷惑をかけるので障害に関係無い部分、接客や雑用含めた仕事を積極的にする事で自分が出来る最大限の周囲へのフォローをしました。
サービス・外食・レジャー系、男性

ミスが多くなってきて、怒られるだけ。相談すれば多分行きたくない部署への配置転換になったと思う。結婚もしていて、両立がしんどかったので、そこまでして働かなくてもいいか、と思い辞めた。上司も1年2年ですぐに変わってしまうので、相談できる雰囲気にない。 障害や病気を持って仕事をしている方はいなかった。短期の入院などで有給休暇は取れるようだったが、その程度しか周りの社員はいなかった。
小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、女性



口コミからは、ご自身の視覚障害の症状が安定していることなどを理由にクローズ就労をしている方がごく少数いることがうかがえましたが、視覚障害があると遂行困難な業務内容もあることから、多くの方はオープンにして就労していることがわかりました。

クローズ就労をした方の口コミからは、視覚障害の特性により仕事でミスをしてしまった場合も説明ができないという困難さが伝わってきます。また、口コミをみていくと、当初クローズ就労をした方でも、必要に迫られて職場に相談し、オープンにしたというケースもあることがわかりました。

クローズ就労のデメリットとしては、視覚障害について伏せて仕事をすることで、結局はご自身にストレスがかかってしまうという口コミが寄せられていました。職場としても、視覚障害について伏せられている場合は適切な配慮を実施することができないため、視覚障害の特性に合わない仕事を割り振ってしまい、職場での事故などにつながってしまう可能性もあります。

【視覚障害をクローズにして働くことのまとめ】

視覚障害は、支援機器を使用することや、職場の合理的配慮があればできる仕事が広がる場合が多くあります。クローズにして働くことは、こうした可能性を狭めてしまうことにもつながります。ご自身の能力を発揮して職場で働くためにも、視覚障害について明らかにしたうえで、その特性によりできること、できないことを職場に相談して仕事をすることが望ましいでしょう。

4-3. 視覚障害のある方からのオープン就労、クローズ就労に関するアドバイス

メリット・デメリットに加え、オープンにするか、クローズにするかについてのアドバイスも届いています。

【オープン就労、クローズ就労に関するアドバイス】

お金だけで職場を選ぶのは本当にお勧めできません。また、病気や症状、対策について話さずに入職すると、結局嫌な思いをします。なので、あくまでも私的な考えですが、面接の際に隠さずに話して真剣に考えてくれる企業さんへ就職しましょう。断られても、御縁がなかっただけです。自分の強みは誰しも必ずあるので、お金ではなくそれを分かってくれるところが自分の居場所です。
小売・流通・商社系、医療・介護・福祉

自分の障害について正確に把握し、身体障害者手帳にも正確な内容が反映されるようにしておいた方がよい。自分の場合には視覚障害が手帳に記載されていなかったとの理由で、入社後に困難が多かった。障害を隠す、軽く見せるより、もともと障害に理解がある企業なので、最初から自分の困難な点とそれをどうカバーできるかを伝える方がよい。
サービス・外食・レジャー系、事務

病気や障害などは確かにマイナスですが、それを隠していてはいけないと思います。周りに知ってもらう勇気が必要です。かつ自分には何ができるか、何ができないかを見極め、協力が必要なら無理せず助けを求めていいと思います。
サービス・外食・レジャー系、男性

障害者として入社するにあたって、どのタイミングで伝えるべきかわからないかもしれませんが、面接の時に隠さずに伝えておけば、キチンと内容も理解して頂けるかと思います。怖くて伝えづらいけど、その時点で嫌な顔されたらそこはあなたにとってあまり期待できる企業じゃないかと思われます。そのときはこちらから断っていく、切り換えの心を意識しましょう。
サービス・外食・レジャー系、女性



視覚障害のある方の中には、見た目からはその障害の程度がわからない場合もあります。また、症状により仕事に与える影響や悩みも異なるでしょう。ご自身の状況を確認しながら、どのような働き方ができるか、どのような働き方がしたいのか決めていきましょう。

5.転職や就活の参考に、視覚障害のある方におすすめの企業

5-1. おすすめの会社、企業名

花王株式会社
障がいを持つ人に理解のある職場環境だと思います。障がい者雇用だからといって差別や偏見の目はありませんでした。その人が持っている障がいの状況や、個性を入念に聞いた上でそれを活かせる部署に配属させてくれるので、無理することなく働きやすい環境でした。 給与も良いのでおすすめです。
満足度 :★★★★
配慮  :★★★★
→この企業に関する口コミはこちらへ



株式会社イトーキ
会社に「健常者」や「障害者」という枠組みが無く、平等に接してもらえる雰囲気があるところです。
満足度 :★★★★
配慮 :★★★★
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パナソニック株式会社
障害者に対する就職の理解が深いことと、それに対するフォローのマインドが高いことです。
満足度 :★★★★
配慮 :★★★★
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横浜市役所
窓口業務については時間的拘束がありますが、それ以外の業務はある程度自分のペースで進めることができます。部署によって会議の回数等に大幅な開きがあることは事実ですが、今、私が所属している課では、会議等が少なくトイレに行きやすいので、安心しています。また、休暇の取得に関しても、比較的柔軟性をもって取得できるので、助かっています。
満足度 :★★★★★
配慮  :★★★★★

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6.求人の見つけ方

6-1. 働き方によって選べる採用枠「一般枠」と「障害者雇用枠」

求人には一般枠(クローズ)障害者雇用枠(オープン)があり、障害者手帳を所持している方は、「一般枠」「障害者雇用枠」のどちらにも応募することができます。

先にも述べたように、視覚障害をオープンにするか、クローズにするかといった悩みは応募できる雇用形態にも影響してきます。
少し重複する部分もありますが、もう一度簡単に説明します。

「一般枠」は、障害であることを伝えず仕事をする場合(クローズ)と、障害であることを伝えて仕事する場合(オープン)の2パターンが想定されます。いずれにしても障害のない方と同じ職務を担当するため、広い職種から選べ、昇進や昇給などの機会もあります。しかし、視覚障害への配慮を得られにくく、周囲のサポートが疎かになるのが現状です。

「障害者雇用枠」は、障害であることを伝えて(オープン)仕事をすることになります。そのため、職場の理解を得られ、周囲のサポートが受けやすくなるなど、働きやすさにつながることも考えられます。

▼障害者枠(オープン)や一般枠(クローズ)についてはこちらでもご紹介しています。
障害者枠(オープン)か一般枠(クローズ)か?メリットとデメリットを解説



6-2. 求人の見つけ方

①ハローワーク

障害のある方を専門とした窓口があるため、相談やアドバイスを受けることができます。求人数や障害のある方への求人情報も多く扱っています。

ハローワーク主催の地域の障害者就職相談会に行き、この職場と出会いました。事前に参加企業の情報をいただいていたため、自分にできる仕事内容を提示している企業をピックアップして障害者就職相談会に行きました。面接をしていただき、再面接が決まり、再面接の日は実際に私が使用するパソコンや支援機器を持参し、デモンストレーションをしました。そして、11日間の実習が決まりました。
小売・流通・商社系、事務、女性

視覚障害を持っていても働ける職場を紹介してもらうことが出来ました。サポートは充実していて、何度も電話で連絡をくれました。
人事・経理・総務・企画、男性

パソコンなど仕事を補助してくれる機器の、会社に対する購入補助があった。
男性



▼参考: 厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」

②人材紹介会社

障害を抱えることで、働くことに不安を覚えている方の就職活動を応援してくれる専用の人材紹介会社をご存知でしょうか?

具体的には、履歴書の書き方や面接の練習、おすすめする企業の紹介やその企業との連絡、事前見学の調整、入社後のケアや相談など、全面的にサポートをしてくれます。

ハローワークなどでは公開されていない求人情報も扱っているだけでなく、企業との連絡が密なので、ホームページや求人票からは得られない職場環境なども知ることができます。

ひとりで1からはじめる就職活動との違いは、専門のアドバイスやサポート、自分にあった企業の紹介を受けられるため、担当者と一緒に不安を取り除きながら活動を進めていくことができる点です。

口コミにも専用の人材紹介会社を活用したという声が多くありますのでご紹介します。

まずインターネットの検索で仕事を探していたところこちらの会社の求人を見つけて応募、派遣会社に登録して面接、その後採用という流れでした。会社がどのような会社か等、派遣会社の方が間に入って説明して下さりました。働き始めた後にフォローの電話もありました。
サービス・外食・レジャー系、事務、女性、

自分の売り込み方などかなり実践的なサポートです。
メーカー・製造系、デザイナー・クリエイティブ、女性

まずは派遣で入職してから現場の直接雇用へ切り替えました。派遣会社もコミュニケーションがとりやすくやりやすかったです。
サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、女性



しかし、人材紹介会社も一つの企業です。紹介できる企業の得意分野や担当者の性格はさまざまなので、人材派遣会社を選ぶときは自分の希望や意見が伝えやすく、理解してもらえるかどうかをチェックしてみましょう。

次は、気になる企業を見つけたら、その企業の情報をどのように集めると良いのか、紹介していきます。

▼障害者雇用の求人サービスについてはこちらでもご紹介しています。
ハローワークだけじゃない、障害者雇用枠の求人はここでも!求人サービスを紹介

7.企業情報の集め方

会社紹介の採用ページや企業サイトだけでは、あなたが実際に働くことになるであろう職場の雰囲気は掴めないかもしれません。できるだけ事前に自分の目で確かめてみましょう。

7-1. 事前に見学して企業の雰囲気を確認する

企業によっては職場を事前に見学させてくれるところもありますし、人材紹介会社に登録している方は、アドバイザーを通して見学をお願いすることもできます。まずは確認してみるといいでしょう。口コミにも、事前に見学をすることで、面接だけではわからない職場の雰囲気が伝わるとの意見が多くみられます。

【就職する前に職場見学をした方からのアドバイス】

職場がどんな環境にあるかというのは大切なことです。人との関係も大事ですが、入ってみなければ分かりません。なので、職場見学することをお勧めします。雰囲気だったり、施設に工夫はあるかなどのことが分かり参考になります。
男性

会社見学など、その会社に触れ合うことが出来る機会はなるべく見た方がよいと思う。また、先輩など学校関係のリクルーターを利用したりする機会を設けたほうが良いと思う。特に障害については理解しにくい企業がまだ多いと思うので、会社の事業内容が自分の適性に合うかをしっかり見ることが必要ではないかと思う。
不動産・建設・設備系、エンジニア・技術職

勤め先に障碍者がすでに働いているかも確認しておく方がいいですね。すでに働いている人がいるなら少しは病気などに理解ができているかもしれません。病気の種類にもよりますが職場の見学はしておいた方がいいです。自分は見学もしないまま就職してしまい、作業場が暗くほとんど見えない状態だったので迷惑をかけてしまいました。
小売・流通・商社系、軽作業、男性



7-2. 面接はその企業を良く知るチャンス

面接は、企業側があなたを審査するだけの場ではありません。大事なのは、あなたが企業に求めるものと、企業があなたに求めるものがマッチングすること。

不安や疑問がある場合は、面接時の質問タイムなどでクリアにしておきましょう。具体的に聞いておきたい内容については、以下の口コミを参考にしてみてください。

【面接で企業の情報や職場の様子、自分に対する配慮などの情報を得るための工夫】

障害があっても働ける業務内容かどうかをしっかり分析することはもちろん、希望する企業にこれまで自分と同じ病気をもった人が在籍していたことがあるかどうかも大事ですが、それを調べきれなかった場合には履歴書や面接の時に隠さず企業側と話し、受け入れてもらえるかどうかを観察することです。
メーカー・製造系、デザイナー・クリエイティブ、女性

面接等の際に自分の病気のことを打ち明けてどのような症状が出るか等の説明をしておいた方が後々何かあったときにいいと思います。病気のことを理解してくれる職場を探したほうが長く働く上でいいと思います。前向きな気持ちが大切です。
小売・流通・商社系、女性

面接などで見栄をはらないで出来ることは出来る、出来ないことは出来ないとはっきりと伝える。またどのような配慮があれば自分の力を発揮できるのか自分で認識し正直に伝えることである。つまり自分を正確に理解し会社側にもそれを伝え理解していただくことが重要であると思う。
サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、男性



面接で緊張しすぎて質問できなかったということが無いように、予め知りたいことをまとめておきましょう。事前に準備をしておくだけで心に余裕ができ、面接にも臨みやすくなります。

働きはじめてから大変な思いをすることになってしまっては、ご自身にとって大きな負担になってしまいます。心地よい職場環境で病気と上手に向き合っていくためにも、面接時での質問のチャンスは大事にしましょう。

8.最後に

これまでの内容をまとめます。

■視覚障害の特性による仕事の悩み

①業務に関する悩みと対策と職場の配慮

【見えづらい状態の方】
  • 悩み:足元や机の上などが見えにくいことや、パソコンの画面の確認が難しい。
  • 対策:仕事で使う機器の設定を工夫して作業環境を整えることや、目を休めること、仕事に優先順位をつけるなどの工夫が寄せられました。
  • 職場の配慮:従業員同士で声をかけあって業務をサポートしあう雰囲気づくりや、必要な機器の整備をサポートするなどの配慮が実施されていました。
【見えない状態の方】
  • 悩み:紙に印字された文書を読むことができない、職場から適切に仕事を振り分けてもらえない。
  • 対策:支援機器を活用することや、ご自身で「できること、できないこと」を整理して職場に提案するなどの工夫が寄せられていました。
  • 職場の配慮:職場内サポーターの配置を実施している企業もありました。
②通勤や移動に関する悩みと対策と職場の配慮

【見えづらい状態の方】
  • 悩み:通勤や職場内移動が難しくストレスを感じる。
  • 対策:歩くスピードを落として注意深く確認することや、目印を覚えて注意すべきポイントを記憶しておくなどの工夫が寄せられていました。
  • ・職場の配慮:移動のサポートや、職場内の床に物を置かないなどの合理的配慮が実施されている企業もありました。
【見えない状態の方】
  • 悩み:通勤や移動については、慣れるまで練習が必要であるほか、サポートが必要な旨を周囲に理解してもらうことそのものがストレスである。
  • 対策:物の位置を勝手に移動させないことなど、実施して欲しい具体的な配慮について職場に伝えることや、落下防止などの安全対策が施された通勤ルートを選ぶなどの工夫が寄せられました。
  • 配慮:社内外の移動をサポートすることや、混雑を避けた時間に出勤してもらうなどの合理的配慮を実際している企業がありました。
■転職や就活を行う上で視覚障害のことをオープンにするかクローズにするか

転職や就活を行う上で視覚障害をオープンにするかクローズにするかも多くの方が悩むポイントです。まずはご自分の症状を一番に考え、どのようなスタイルで仕事をすることがベストなのかを考えましょう。通院や急な体調不良による休みを必要とする場合は、配慮やサポートを受けやすい「オープン就労(=障害者雇用)」も検討すると良いでしょう。

視覚障害と付き合いながら、理想の仕事や職場で働いている方も多くいらっしゃいます。視覚障害の方におすすめの企業や業界、職種には傾向がみられますので、同じ視覚障害をお持ちの方の意見も参考にしてみましょう。

これまでにご紹介した口コミは、ほんの一部です。症状も人それぞれ、企業の対応もそれぞれ異なります。
まずはご自分の症状や、できることできないことについてまとめてみましょう。そして、自分にあった職場を自分のペースで見つけてください。

そして気になる企業の様子やサポート状況は、事前に自分の目で確かめることが理想です。求人票ではわからない企業の様子を知るためにも、ハローワークの専門スタッフに相談したり、人材紹介の専門アドバイザーと一緒に就職活動を進めたりするのも良いですね。

さまざまな企業の中で、あなたが幸せに働ける環境に出逢えることを、私たちは心から願っています。



【監修者:渡邊知行さんからのアドバイス】

■働くことに迷っている方へ
働きたいと思っていても、視覚障害を抱えながら与えられた業務をこなしていけるか不安に思っている方は多いのではないでしょうか。
記事で紹介した口コミには、様々な職場で実施された合理的配慮の事例が盛り込まれています。ご自身が不安に感じている部分が解消される例を発見できるかもしれません。

第一歩は、ご自身の視覚障害の特性を把握すること、希望の業界・職種を整理することだと思います。
そのような自己分析を徹底して行ってから、人材紹介会社等のサービスを利用することで着実に前進していくと思います。

また、今すぐ働くことに迷っている方は、将来を見据えて資格の取得やスキルアップを目指した練習等に取り組むこともよいでしょう。就職に有利になるだけではなく、精神的にも充実して自信が持てるようになるかもしれません。

■これから働く方へ
これから働こうと意欲的な方は、自己分析を完了させて就労を希望する業界・職務をある程度定めている方が多いのではないでしょうか。

記事で紹介した口コミには、就労後の困りごとなどが盛り込まれています。それらを参考にして就職活動に取り組み、最適な環境で働いていける日が来ることを願っています。

就労した後は、自身の視覚障害の特性を職場の方々に理解してもらうことが重要だと思います。視覚障害は身体障害であり、他の内面的な障害と比較して、特性を理解しやすく配慮も容易に実施できるはずです。自分の就労環境を良くするため、また、会社により貢献していくためにも関係者とのコミュニケーションを密にとるべきでしょう。



※この記事は投稿いただいた口コミから生まれています。
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監修者

金融機関の勤務を経て、30歳の時に社会福祉法人の設立役員として起業の実務を担った。法人設立後の約10年間、法人経営や福祉施設の運営に携わりながら、現場で生じた課題をテーマにして大学院で研究に取り組み博士号(専門は障害福祉)を取得した。現在は障害者支援と社会福祉経営の専門家としてコンサルティングや執筆・監修等の活動を行っている。

著者

より望ましい職業の選択や能力開発における相談・助言を専門とする国家資格「キャリアコンサルタント」のほか、米国CCE, Inc.認定の「GCDF-Japanキャリアカウンセラー」の資格を取得。福祉・医療介護分野の研究などにも従事しています。

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