発達障害のある方が仕事を続けるために知っておきたいこと

発達障害のある方が仕事を続けるために知っておきたいこと

発達障害があり仕事をしている方の中には、「仕事が続かない」「仕事を辞めたい」「適職がわからない」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

では、悩む理由は何でしょうか?

働きにくさが理由である場合は、少しの工夫や職場の配慮により働きやすい状況に変えることもできます。

このコラムでは、発達障害のある方507人から寄せられた口コミを参考に

・仕事を続けられない悩み
・仕事を続けるための工夫や対策
・合理的配慮の求め方

といった体験やアドバイスをご紹介していきます。

発達障害の特徴はさまざまです。ご自分に近いトピックをご覧いただくために、それぞれのアドバイスを以下に分けて紹介します。

・ADHD(注意欠陥多動性障害)
・LD(学習障害)
・ASD(自閉スペクトラム症)※自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害を含む
・その他の発達障害

発達障害の専門家 松好伸一先生(石巻専修大学人間学部人間教育学科 特命教授)にもアドバイスをいただきました。
仕事探しや働き方に悩んでいる方は、今後の手がかりとしてご覧ください。

*この記事は松好伸一先生に監修していただきました
松好伸一先生

石巻専修大学人間学部人間教育学科 特命教授。保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。日本発達支援学会(監事)。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数。


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目次

1.ADHD(注意欠陥多動性障害)による、仕事を続けられない悩みとその解決策

2.LD(学習障害)による、仕事を続けられない悩みとその解決策

3.ASD(自閉スペクトラム症)による、仕事を続けられない悩みとその解決策

4.その他の発達障害による、仕事を続けられない悩みとその解決策

5.専門家からのアドバイス

6.最後に

1.ADHD(注意欠陥多動性障害)による、仕事を続けられない悩みとその解決策

ここでは、ADHDのある方から寄せられた、仕事についての悩みとその解決策に関する口コミを紹介していきます。

1-1.仕事を続けられない悩み

ADHDのある方は、なぜ「仕事を続けることが難しい」と感じるのでしょうか。

【悩み】

記憶することが苦手であることを伝えると、あなたは努力不足、この仕事に向いていないと言われた。病棟移動になったが、また同じような扱いを受け、対策どころか退職に追いやられた。
(ADHD、自閉症、メーカー・製造系、清掃、女性)

多動性障害の特徴があり、非常に思い込みも激しく突発的に行動してしまいます。判断を間違えて仕事に失敗して、上司に叱責されます。
(LD、ADHD、運輸・交通、軽作業、男性)

私は障害のことを公に言うことができず、ただ物覚えが悪く理解力がなくて仕事ができない人と判断されるようになりました。それでも負けずに働いていたのですが、最終的には「仕事がさばけない」「仕事ができない」と見られることになりました。思い切って自分の障害を告白すれば良かったと思っています。でも、告白したなら、余計に追い込まれるような気がして言えずにいました。
(ADHD、アスペルガー症候群、小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、男性)

ADHDだと診断されました。上司との面談で自分がADHDで物忘れがひどく困っていることを相談すると「そんなの誰にでもあることだから気にしなくていい、それを言ったら私も忘れっぽいから同じ」と言われ、伝わらなかった。
(ADHD、小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、女性)

私の障害は、度重なる物忘れです。今何をしていたのかが分からなくなり、直前に受けた指示を忘れてしまいました。ですので、仕事を取り上げられることもありました。
(LD、ADHD、小売・流通・商社系、軽作業、男性)

ADHDのある方は、以下のような特徴がみられます。

  • ワーキングメモリを保つことが難しく忘れやすい
  • 気が散ってしまい、集中力を保つことが難しい
  • 衝動的に行動してしまう
これらの特徴が、仕事のミスを招く原因の1つになっています。

仕事上のミスが発達障害の特徴によるものであることをわかってもらうために、自ら上司や同僚に説明をしたという口コミもありました。それは勇気がいることでしょう。

しかし、職場の上司や同僚が「誰にでもあること」や「努力不足」などと安易に判断してしまうと、職場からの理解を得られないまま働くことになり、仕事のミスは改善されません。誤解から働きづらさや居心地の悪さを感じ、離職につながってしまう傾向があります。

それでは、ADHDの特徴による働きづらさを職場に理解してもらえない場合は、どうしたら良いのでしょうか?

口コミには、自ら工夫をすることでADHDの特徴うまく付き合いながら働いている方もいます。次は、その工夫を紹介していきます。

1-2.仕事を続けるための工夫や職場への働きかけ

ADHDの特徴と付き合いながら働き続けるための工夫や対策には、次のような意見が多く見られました。

【仕事を続けるための工夫】
  • メモやリスト、アラームなどを活用する
  • こまめに確認・相談を行う
これらの工夫や対策には、自分の努力だけでなく同僚たちの協力も必要です。協力をお願いするための対策も整理していきましょう。

①メモやリスト、アラームなどを活用する

1つ目の工夫は「メモやリスト、アラームの活用」です。これは、記憶保持が短いことや注意欠陥により忘れやすい、同じミスを繰り返す傾向にある方に効果的です。具体的な活用方法を見ていきましょう。

【工夫】

大事なことは、携帯電話のアラームで知らせるようにしています。できるだけシンプルに物事を考え、行動しようとしています。失敗を良い経験と考えるように心がけています。わからないことを、同僚に相談するようにしています。
(ADHD、サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉)

口答指示は必ず復唱し、メモをとるようにしています。また、わからないことがあれば放置せずに同僚に聞くようにしています。
(ADHD、小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、男性)

パニックになっても落ち着いてゆっくり考えること。落ち着いた時間にやることリストをつくり、あとから言われたことは別のメモを用意して書く。それを後でまとめて順番をつける。
(ADHD、うつ病、小売・流通・商社系、事務、女性)

何かを中断するときは、中断する前に戻りやすいように、メモや目印をつけておく。急ぎの場合は同僚にリマインドを頼むときもあります。
(ADHD、小売/流通/商社系、販売・接客・サービス、女性)

メモにやるべきことを書き留める、アラームで思い出すといった工夫は、物忘れ(忘れやすい傾向)の予防に効果的です。また、メモに書くことで、仕事の優先順位を整理することもできます。同僚に相談する必要がなく、自分ですぐに実践できる点でもおすすめです。

他に、職場の同僚にリマインドを頼むという方法もありました。職場の同僚の協力が得られれば、自分の仕事の状況を共有できるという点でも、良い対策でしょう。

このように同僚の協力を必要とするときは、職場への働きかけ方にも意識すべきポイントがあります。

【職場に協力をお願いするためのポイント①】
  • 物忘れ(忘れやすい傾向)は、ADHDの特徴によるものであることをきちんと説明し、防止するための対策が必要であることや有効な対策を具体的に伝える
  • メモなどを自分以外の人にも見える場所に置き、情報を共有する
「つい忘れる」という経験は、ADHDであるかどうかに関わらず、誰でもよくあることです。だからこそ、発達障害への理解が進んでいない職場では「意識することで直せる」「本人が気を付ければ良いこと」と考えてしまう人がいるかもしれません。そのため、忘れてしまうことはADHDの特徴によるものであることをきちんと説明し、理解を得る必要があるでしょう。

その際、「物忘れ」という言葉ではなく、以下の説明をえることにより、理解を促すことができるでしょう。

  • 記憶が上書きされてしまう
  • マルチタスクによる混乱で忘れてしまう
  • ワーキングメモリを保つことが難しい
また、以下のようなお願いの仕方も良いかもしれませんね。

「新しいタスクは、今のタスクが終了してから指示していただけると、今のタスクを忘れることがなくなります。マルチタスクが苦手なため、タスクは1つずつ指示していただけると助かります。」

  • 何が苦手か
  • だからどうしてほしいか
理由とお願いしたい配慮事項を組みわせて説明してみましょう。

そして、職場の協力を得るためには、自分でできる工夫を職場に認めてもらうことも大切なポイントです。
例えば、タスクを忘れないために作成したメモを職場の人にも見える場所に置いておくと、「仕事上のミスを減らそう」としている本人の努力が、職場の人にも伝わりやすくなります。

さらに、メモを貼ることで、同僚たちと自分のタスクが共有できます。同僚にリマインドを頼む際も、メモの内容が参考になるでしょう。

②こまめに確認・相談を行う

ADHDのある方は、役に立とうとするあまり、早く作業をしようとして仕事の精度が落ちてしまう場合があります。あせって仕事をするとミスを起こしやすくなります。口コミでは、度重なるミスで信頼を失い、職場に居づらくなったというケースもありました。

こうした状況を避けるためには、どのような工夫をしたら良いのでしょうか。

【工夫】

あわてず落ち着いて作業するようにしています。先を急がず、時間がかかってでも丁寧な作業をするようにしています。うまく伝えられないことは、同僚に伝えていただくようにしています。仕事で困ったときはすぐに上司に相談し、不安なことで仕事がうまくいかないときは、福祉の専門職の方に相談して、安定して仕事できるように支援してもらっています。
(ADHD、サービス・外食・レジャー系、販売・接客・サービス)

しっかりコミュニケーションをとり、同僚たちのフォローを確保していた。自分はミスが多いので見ていてほしい、と日ごろから伝えていた。
(ADHD、小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、女性)

あらかじめ自分の特徴を伝え、ルールを明確化してもらうようにしています。ミスに対して、自己チェックはもちろん、時間に余裕がある作業なら翌日に改めてチェックします。締め切りが迫っている場合は同僚に相談し、二重チェックをしてもらっています。
(ADHD、サービス・外食・レジャー系、デザイナー・クリエイティブ、女性)

発達障害のある方の中には、コミュニケーションが苦手な方もいます。自分から職場の同僚へ相談やお願いをすることは、気が引けるかもしれません。しかし、仕事のミスを減らすために少し勇気をもって自分から声をかけてみましょう。

その努力している姿勢は、職場の上司にも伝わります。相談を繰り返すうちに、上司も本人のミスの傾向がつかめ、ADHDの特徴をさらに理解することができるでしょう。

また、思い込みが激しく、違った解釈がミスにつながることもあります。実際には、印象深いところだけ記憶し他の情報が入っていない場合や、話の途中で早合点してしまい最後の肝心なところに意識が向いていないこともあります。こまめな報告や相談を心がけることで、早めにミスを修正することができます。

ここで、職場の理解を得て、協力をお願いするためのポイントをまとめましょう。

【職場に協力をお願いするためのポイント②】
  • 報告や相談をこまめに行いたいということを職場に伝えておく
  • ミスがわかったらすぐに報告する
上司や職場の同僚に報告や相談をする際は、「ミスを減らすために確認したい」という理由も伝えましょう。何度も同じことを聞く理由は、仕事への責任感からだということを印象づけることができます。

相談を行う際に「今、声をかけて良いのだろうか」と気をつかい、タイミングを逃してしまうこともあるでしょう。こまめに報告や相談をさせてほしいということを事前に職場に知らせておけば、聞きづらいというストレスも軽減されます。

仕事で発生した小さなミスは、職場の大きな損失につながる場合があります。ミスがわかったらすぐ報告し、事態の悪化を防ぎましょう。

1-3.職場から得られた合理的配慮

次は、職場に協力をお願いした結果、得られた合理的配慮について見ていきましょう。

【職場から得られた合理的配慮】

やりたいことをやらせてくれた。任せっきりではなく、きちんと進捗や課題・問題などを聞いてくれて、必要であれば対応をお願いできた。
(ADHD、サービス・外食・レジャー系、人事・経理・総務・企画、男性)

ADHDと診断され、営業から総務の業務に配置替えしてもらい、自分に適した業務をさせてもらっている。
(ADHD、事務、男性)

電話をするのがとても苦手ですが、何かあった時はLINEを使って連絡しても大丈夫だった。また、上司が理解のある人で、ミスで呼び出されることはあっても、頭ごなしに怒るのではなく、ちゃんと向き合ってくれた。
(ADHD、小売・流通・商社系、事務、女性)

仕事のリズムがつかみやすく、明確に仕事内容を提示してくれる。相談事はメールなどでもやり取りしてくれている。
(ADHD、うつ病、小売・流通・商社系、事務、女性)

ADHDの特徴に理解のある職場では、本人からのミスの報告や相談に耳を傾け、共に解決していく姿勢があります。そして、本人からの相談がない時は、上司から声をかけ、進捗状況を確認するという合理的配慮のある職場も見られます。

こうした合理的配慮は、障害のある方の苦手なことをカバーする力になり、働きやすい環境を作ります。



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2.LD(学習障害)による、仕事を続けられない悩みとその解決策

次に、LD(学習障害)のある方から寄せられた、悩みとその解決策に関する口コミを紹介していきます。

2-1.仕事を続けられない悩み

LDは読字障害、書字表出障害、算数障害など、その特徴により更に分類されます。一人ひとりの症状は大きく異なりますが、仕事を続けられない悩みには、いくつか共通点がありました。

LDのある方は、どのようなときに「仕事を続けることが難しい」と思うのでしょうか。

【悩み】

数字がうまく読めず、数を間違えてしまうことが多い。
(LD、ASD、運輸・交通・物流・倉庫系、軽作業、女性)

私は長年発達障害で苦しんでいました。人より記憶力や理解力が悪く、普通の人が1回で理解できるところを、私は2回も3回も聞かなければならず、理解するまでに非常に時間がかかるのです。
(LD、IT・通信・インターネット系、販売・接客・サービス、男性)

コミュニケーションがとれずに困っている。そもそも話し方がわからない。また計算ができない。人前に出られない。ゴミの分別等もわからない。
(LD、小売・流通・商社系、販売・接客・サービス、男性)

聴覚の学習障害があり、音が聞こえていても何を言っているのか頭で変換することが苦手なので、いつもその場の状況などから判断して聞き取っています。そのため、急に話しかけられると、何を言われたのかわからないときがあります。
(LD、適応障害、事務、女性)

LDのある方は、「聞く、話す、読む、書く、計算する」のいずれか、または複数のことが苦手という特徴があり、仕事のミスにもつながっています。

口コミからは、口頭による指示が理解しづらいことや、計算ミスが重なることで、「職場に居づらい」と感じる様子がうかがえます。

しかし、LDの特徴を、自らの工夫で乗り越えながら働き続けている方もいます。次は、その工夫を紹介していきます。

2-2.仕事を続けるための工夫や職場への働きかけ

LDの特徴と付き合いながら働き続けるための工夫について、寄せられた口コミを見ていきましょう。

【仕事を続けるための工夫】

1つの仕事にかかる時間を2倍で計算してスケジュールを立てています。そうすることで心に余裕が生まれ、仕事がしやすくなります。また、今の職場は電話をかけてくる方が限られているので、声色で相手を覚えています。
(LD、適応障害、事務、女性)

仕事をする上で発生する計算はどんなに数が小さくても電卓やパソコンを使います。
(LD、金融・保険系、事務、男性)

できるだけ紙に書いて覚えようとしています。
(LD、サービス・外食・レジャー系、事務、女性)

算数障害のある方は、パソコンや電卓で確実な計算をする、また「聞く」ことが苦手な方は電話の相手の声を覚えるという工夫が見られました。

自身のLDの特徴を理解し、道具を活用する対策は、仕事上のミスを減らすことためにも有効です。

あせりは、ミスを引き起こしやすくなります。余裕のあるスケジュールで、落ち着いて仕事に取り組むことが大切です。自分の許容量を超えた仕事を引き受けることも避けられるでしょう。

これらの工夫や対策には、自分の努力だけでなく同僚たちの協力も必要です。職場の理解を得て仕事を続けていくために、職場への働きかけ方を整理してみましょう。

【職場に協力をお願いするためのポイント】
  • 苦手なことと併せて、代わりとなる手段を伝える
「聞く、話す、読む、書く、計算する」ことは、多くの場合、仕事で必要です。だからこそ、これらの苦手なことは、職場にあらかじめ伝えておくことが大切です。

その際は、
「聞いて理解することが苦手だから、文章で指示してほしい」
「話すことが苦手なので、メールでコミュニケーションをとりたい」
「ミスを防ぐために、電卓を使って計算をしたい」

など、苦手なことと、それをカバーするための手段を併せて示しましょう。そうすることで、職場としても、LDへの理解が深まり、合理的配慮がしやすくなります。

LDのある方は、メールや電卓などのツールを使用することで、苦手な業務もできるようになります。仕事の幅もひろがり、やりがいがもてるようになるでしょう。働きやすくするための手段やサポートしてもらいたいことを、職場の上司や同僚と話し合うことが大切です。

2-3.職場から得られた合理的配慮

次は、職場に協力をお願いした結果、得られた合理的配慮について見ていきましょう。

【職場から得られた合理的配慮】

現場の同僚達はみんな優しく親切にしてくれて、作業中に困った時はいつでもすぐにサポートをしてくれた。例えば、音の処理が苦手で口だけの説明では理解できない部分は、同僚がマニュアルを作って説明をしてくれて、仕事をスムーズに行うことができた。
(LD、ASD、運輸・交通・物流・倉庫系、軽作業、女性)

職場の同僚たちは私の障害について理解しようと優しく接してくれました。どうやったら私がスムーズに覚えることができるかを考えてくれて、イラストなどを作ってくれました。また、私が疲れているときにはとても気遣ってくれました。
(LD、サービス・外食・レジャー系、事務、女性)

簡単に確認できる数字に関しても、毎回目の前で電卓を打ってくれました。
(LD、金融・保険系、事務、男性)

私にLD(学習障害)があることを同僚たちが理解しているので、定期的に声掛け「仕事ははかどっているか?難しくないか?」と確認してくれたり、初めてやる作業では1か月近くヘルプで一緒に業務を手伝ってくれたりします。
(LD、マスコミ・広告・デザイン・ゲーム・エンターテイメント系、事務、男性)

口コミで述べられた職場では、イラストや電卓を用いたり、マニュアルを作成したりするという合理的配慮がされています。さらに、体調を気遣う声かけをしている職場もあります。

話すことや聞くこと、計算することなどが苦手でも、他の方法に置き換えることが可能です。その配慮により、LDがある方は能力を発揮しやすくなる可能性があります。

職場には、苦手な仕事内容に対して、どのような代わりの手段があるのかということを本人と共に考える姿勢が求められます。合理的配慮によって、LDのある方の働きやすさは大きく向上します。



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3.ASD(自閉スペクトラム症)による、仕事を続けられない悩みとその解決策

ASD(自閉症スペクトラム)には、さまざまな特徴があり、仕事で抱える悩みも異なります。ここでは、次の3つに分けて、悩みとその解決策を紹介していきます。

①自閉症の特徴が強い方
②アスペルガー症候群の特徴が強い方
③広汎性発達障害の特徴が強い方

【①自閉症の特徴が強い方】仕事を続けられない悩み

自閉症スペクトラムの中でも、自閉症の特徴が強い方は、どのようなことに悩み、「仕事を続けられない」と感じてしまうのでしょうか。

【悩み】

自閉症で人と会話が全くできなく報連相が上手くできずミスばかりしてしまう。
(自閉症、メーカー・製造系、エンジニア・技術職、男性)

コミュニケーションが苦手なので、毎日人といるだけで常に緊張とストレスを感じる。摂食障害もひどくなって、体調が悪化し、心も体もぼろぼろになった。
(発達障害、自閉症、小売・流通・商社系、軽作業、女性)

幼少時より周りとコミュニケーションがうまくとれず、集団から浮いては否定、叱責を繰り返され、自分の周りで人がひそひそ話していることは全て自分へ向けられたものではと背中が震え、冷や汗でびっしょりです。
(統合失調症、アスペルガー症候群、自閉症、IT・通信・インターネット系、デザイナー・クリエイティブ、男性)

自閉症のある方には、コミュニケーションが苦手という特徴があり、報告や連絡がうまくできないことが、仕事のミスにつながっています。また、職場の同僚たちと共に過ごす時間そのものが、苦痛となることもわかります。

【①自閉症の特徴が強い方】仕事を続けるための工夫や職場への働きかけ

自閉症の特徴と付き合いながら働き続ける工夫として、次のような口コミが寄せられました。

【仕事を続けるための工夫】

なるべく明るくしゃべるようにしていました。とにかくできるだけ皆の助けになれるように、気が付いたこともするようにしていました。
(発達障害、自閉症、小売・流通・商社系、軽作業、女性)

頼まれた仕事をしているときに他の人から仕事が入ったら、どれを先にするか優先順位を聞くことがある。普段言われなければ気が付かないことや、空気の読めない点も多いので、もし自分が人に言われる前に気がついたら率先して動く。力仕事や人の嫌がる仕事でも、中には自分では苦にならないものがあるので、率先してやる。人から頼まれるぐらい得意なことがあれば、苦手なことやどうしても正確にできないことを同僚に頼みやすくなる。
(アスペルガー症候群、自閉症、ADHD、メーカー・製造系、軽作業)

周りをよく観察することと、メモを取ることを徹底しています。ずるいかも知れませんが、周りと違うことで目立って叱られるので、同僚と同じことをすれば波風が立たず、心の平穏を保ちながら仕事ができます。
(広汎性発達障害、アスペルガー症候群、自閉症、メーカー・製造系、軽作業、男性)

仕事を続けるための工夫を整理すると、次のようになります。

  • 気が付いた仕事を率先して行う
  • コミュニケーションのポイントを押さえる
自閉症のある方は職場の同僚たちとのコミュニケーションが難しく、仕事のやる気が伝わりづらい傾向にあります。そのため、仕事を率先して行う姿勢を意識して見せているという工夫が寄せられました。仕事への前向きな気持ちを職場の上司や同僚に理解してもらえれば、困ったときに助けてくれる可能性も高くなるでしょう。

業務上のコミュニケーションで覚えておきたいポイントは、次の2つです。

  • メモをとる
  • わからない点はメモを見返しながらすぐに質問する
最初に指示を受けたときは、必ずメモをとります。わからなくなったら自分でメモを確認できるので、何度も聞く必要がなくなります。

もしメモを見てもわからない場合は、そのままにしてはいけません。職場の同僚にすぐに質問することを心がけましょう。そのときは、メモを見返しながら質問します。そうすれば、メモに不足していた情報を追記することができます。また、メモをとることに集中すれば、不必要な会話も減ることでしょう。

コミュニケーションを避けることは、ミスを放置することや、勘違いが生じることにもなりかねません。コミュニケーションをとることはミスを減らし、結果として、自分にとって働きやすい環境を整えることにもなります。

ここまで、仕事を続けるための工夫について見てきました。更に働きやすい環境を得るために取り入れたい、職場への働きかけ方をまとめました。

【職場に協力をお願いするためのポイント】
  • 何度も尋ねる可能性があることを伝える
  • 仕事に対する自分の気持ちを伝える
「“なぜ”何度も確認しながら仕事を進めたいのか」という自分の気持ちを丁寧に伝えることで、「何度も確認にくる」ことは、仕事を一生懸命行いたいというポジティブな気持ちの現れであるということが職場の人に伝わることでしょう。

また、コミュニケーションが苦手な方は、「自閉症の特徴によりコミュニケーションは苦手だけれど、仕事をちゃんとやり遂げたいという気持ちがある」など、仕事に対する自分の気持ちも併せて伝えると良いでしょう。
職場の上司や同僚も、やる気を理解し、共に働きやすい環境をつくっていこうという気持ちが強くなるものです。

【①自閉症の特徴が強い方】職場から得られた合理的配慮

働きかけの結果、自閉症の特徴が強い方は、職場からどのような合理的配慮が得られたのでしょうか。口コミを紹介します。

【職場から得られた合理的配慮】

自分にとって苦手な同時進行や適当に陳列する作業などを省いてもらい、代わりに黙々と行う陳列や掃除など比較的得意な仕事につかせてもらったため無理なく働けた。発達障害のある人に対する配慮があり、苦手なポイントに対する配慮もきっちりしてもらえるのでとても働きやすい。自分のような同時進行が苦手な発達障害への配慮が行き届いており、パニックになってしまうような作業をのぞいてもらったため安心して働けた。
(自閉症、ADHD、販売・接客・サービス、女性)

いずれフォークリフトや、機械を操作しなければならないところだったが、ふつうの車でも不注意が多く、接触事故も起こしており、運転自体が危ないこと、ワーキングメモリが少なく、周りの様子を見て動くことができないこと、頭の中で臨機応変に優先順位をつけることに難があることを話したところ、動力車、機械を扱う作業から外してくれた。
(アスペルガー症候群、自閉症、ADHD、メーカー・製造系、軽作業)

発達障害について理解のある職場では、本人の苦手な業務と得意な業務を把握し、仕事内容の変更や配置転換という合理的配慮がなされています。

一人ひとりの従業員が得意な業務で能力を発揮できることは、職場にとっても大きなメリットです。適材適所で働けるように、自分の得意なこと、不得意なことは職場に伝えましょう。


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【②アスペルガー症候群の特徴が強い方】仕事を続けられない悩み

アスペルガー症候群の特徴が強い方は、どのようなことに悩み、「仕事が続かない」と感じてしまうのでしょうか。

【悩み】

人の気持ちが察しづらく、周りとのコミュニケーションが苦手です。一度に沢山の指示は忘れやすいです。傷つきやすく精神が疲れやすいので、全身倦怠やうつ症状が見られるときもあります。
(アスペルガー症候群、IT・通信・インターネット系、事務、女性)

ある特定のことに対してのこだわりの強さやプライドが高く、柔軟性がありません。仕事中も複数の業務を円滑に進めることができずミスを頻発していた。
(アスペルガー症候群、ADHD、サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、男性)

社交性は高い方ですが、他人の思惑や意図を読み取る事が難しいです。困っている点は、仕事を進める上で、他人の気持ちや思いを無視して仕事をしてしまうところが多々あり、やってしまってから文句を言われる事が多いことです。
(アスペルガー症候群、メーカー・製造系、エンジニア・技術職、男性)

アスペルガー症候群の特徴として、いわゆる「空気を読む」ことや、相手の気持ちや意図を汲んだコミュニケーションが苦手という点があります。職場の同僚とのコミュニケーションではすれ違いが生じ、職場に居づらくなることもあります。

また、アスペルガー症候群の特徴には、こだわりの強さがあります。仕事では、自分のルール通りに進められないとストレスを感じることもあります。自分のルールと職場のルールが異なる場合、職場から指摘を受けたり、ミスにつながったりして、ストレスが溜まってしまいます。

【②アスペルガー症候群の特徴が強い方】仕事を続けるための工夫や職場への働きかけ

アスペルガー症候群の特徴がある方から寄せられた働き続けるための工夫や対策は、次のとおりです。

【仕事を続けるための工夫】

思い込みで行動しないよう報連相を心掛ける、愛想よく笑顔で接する。
(アスペルガー症候群、事務、女性)

会話で意味がはっきりしない時には、確認するようにしています。疲れ過ぎないよう、休憩の際には、仕事場外で休むようにしています。
(アスペルガー症候群、マスコミ・広告・デザイン・ゲーム・エンターテイメント系、事務、男性)

最近は印字が多少ずれても大丈夫だと思うようになった。カッターの位置も正確な位置に近くなるようにした。昼休み終了15分前に携帯のアラームをかけておき、作業再開時間に間に合うようにしている。
(アスペルガー症候群、小売・流通・商社系、軽作業、女性)

ある程度のところで切り上げる。疲れたらすぐに切り上げて休憩する。
(アスペルガー症候群、ADHD、販売・接客・サービス、女性)

こだわりが強いあまりに、細部が気になり、作業に時間がかかることもあります。しかし、自覚することで自分が「納得できる」と感じる範囲を少し広げ、仕事上で支障のない程度に落ち着かせるという工夫は、比較的取り入れやすい方法でしょう。

また、会話や表情などから「意図を汲む」ことが苦手な方は、職場への報告、連絡、相談を特に意識して実践しています。こまめに確認することで、上司の指示と自分の認識にズレがあった場合も早めに気づけるでしょう。

ここまで、自分で実践できる工夫について見てきました。次に、職場に働きかけるためのポイントをみていきましょう。

【職場に協力をお願いするためのポイント】
  • こだわりの内容や得意なことを伝える
  • 苦手なこと、合理的配慮をしてほしい点を伝える
  • 「こだわり」や「ルーティンを好む」というアスペルガー症候群の特徴は、仕事内容によっては大きな強みとなります。現在の仕事内容が向いていないと感じる場合は、自分の得意なことやこだわりといったアスペルガー症候群の特徴を交えながら、担当業務の見直しを上司や同僚に相談してみましょう。

    職場の同僚や自分にとっての気づきにもなります。そして、適材適所で働くための第一歩となるでしょう。

    職場の状況によっては、配置転換等の合理的配慮が受けられず、自分の苦手な仕事内容を続けざるを得ない場合もあるでしょう。そうした場合は、仕事でやりづらさを感じることに対して、お願いしたい配慮や対策を伝えることで、働きやすい環境に変わる場合があります。

    例えば、「曖昧な指示が苦手なので、具体的な数字を示した指示をお願いしたい」とか「細部にこだわりすぎて全体のスケジュールを見失うので、アラームを使用したい」など、具体的に伝えることが大切です。

    【②アスペルガー症候群の特徴が強い方】職場から得られた合理的配慮

    働きかけの結果、職場からどのような合理的配慮が得られたのでしょうか。口コミをご紹介します。

    【職場から得られた合理的配慮】

    私に障害があることを知っていて、理解してくれる社員が現場にいました。その社員が「やってはいけないこと」を事前に説明するなど、配慮してくれていると思います。
    (アスペルガー症候群、メーカー・製造系、軽作業、男性)

    私の病気の特徴をよく理解してくれているので、対応の仕方などが定まっている感じがあります。仕事内容もしっかりと吟味された上で割り当てられるし、必ず何か重要な仕事やポジションを割り当ててくれます。何が苦手で何が得意なのかはよく聞き取りをしてくれます。定期的に状況の確認をしてくれるので、とても助かっています。
    (アスペルガー症候群、メーカー・製造系、エンジニア・技術職、男性)

    いっぱいいっぱいになってきたなと上司が判断すると、適材適所という形で場所を変更して頂けることが本当に嬉しかったです。また、それに甘んじてはいけないという自分自身の気概も芽生える形となりました。
    (アスペルガー症候群、発達障害、サービス・外食・レジャー系、販売・接客・サービス、女性)

    アスペルガー症候群に理解のある職場では、特徴に合わせた仕事が担当できるような合理的配慮がなされていることがわかります。

    人材の能力を活かすためには、職場として、従業員一人ひとりの得手不得手を把握することが大切です。定期的な面談などを行い、従業員との対話を大切にしている職場であれば、アスペルガー症候群の特徴を活かした適職に出会えるのではないでしょうか。


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    【③広汎性発達障害の特徴が強い方】仕事を続けられない悩み

    次は、自閉スペクトラム症の中でも、広汎性発達障害の特徴が強い方の口コミを見ていきます。
    まずは「仕事が続かない」悩みについて紹介します。

    【悩み】

    いわゆる「察して」ということができません。暗黙の了解、言葉にならない曖昧なルール、意図が汲み取れず、明確に言葉にされたこと以外への対応が難しいです。一度に1つの事しかできないため、マルチタスクになると頭がフリーズし、吃音、失声となり何もできなくなります。
    (広汎性発達障害、アスペルガー症候群、自閉症、サービス・外食・レジャー系、教育、男性)

    言われたことをそのまま受け取ってしまい、指示を出した方の明確な意図を読むことができません。後になって、指示と違うことをしたことを責められ、実はこのような意図があったのにわからないのかと叱責を受けることが日常です。
    (広汎性発達障害、アスペルガー症候群自閉症メーカー・製造系軽作業、男性)

    対人コミュニケーションが苦手です。ガールズトークや昼食を休憩室でテレビを見ながら過ごすこととか、愛想をよくすることが苦手かつ嫌いなので、職場の同僚たち、特に女性社員や古い考えの人に嫌われやすく、嫌がらせを受けてうつになったことがあります。人の顔をなかなか覚えられず、しかもすぐ忘れる。ただ、適当にごまかすことはできるので、事情を知っている人に、後から誰だったか確認している。
    (広汎性発達障害、不動産・建設・設備系、事務、女性)

    広汎性発達障害の特徴が強い方は、声のトーンや表情から相手の感情を読み取ることが苦手です。また、顔が覚えられない方もいます。広汎性発達障害のある方は、こうした特徴によって誤解を招き、コミュニケーションがうまくとれないという悩みを持っているようです。

    多くの職場では、コミュニケーションが必要です。そこに悩みがあり解決できない状態が続けば、仕事を長く続けることは難しくなるでしょう。

    働き続けるためには、悩みを解決することが必要です。まずは、自分でできる工夫や職場への働きかけを試みてみましょう。

     

    【③広汎性発達障害の特徴が強い方】仕事を続けるための工夫や職場への働きかけ

    広汎性発達障害の特徴がある方から寄せられた、働き続けるための工夫や対策は、次のとおりです。

    【仕事を続けるための工夫】

    その場その場の状況や人の表情の変化から臨機応変な対応をすることが難しいので、自分の頭の中に仮想のタンスを作り、このような状況、空気ではこう対応したら成功したという情報をテンプレとしてしまっておきます。必要に応じて最適なテンプレを引っ張り出し、多少の状況変化があれば編集して引き出しに追加し対応しています。
    (広汎性発達障害、アスペルガー症候群、自閉症、サービス・外食・レジャー系、教育、男性)

    耳栓やイヤーマフといった防音装置を使って体調を崩さないようにしています。
    (広汎性発達障害、コンサルティング・専門サービス系、軽作業、女性)

    必要以上のことを要求されても、マイペースを心がけるようにしている。焦ったら、立ち止まって自分を振り返る。慌てないで落ち着いて作業する。一つ一つ片付けて次の作業をするようにしている。上司や同僚たちに、障害があることを伝えている。
    (広汎性発達障害、サービス・外食・レジャー系、販売・接客・サービス、男性)

    気が滅入ったら、トイレ個室等の一人になれる場所に逃げて休憩する 人の顔が思い出せない時には、その場は適当に話を合わせておき、あとで事情を知っている人に確認する。あるいは、声や話し方は割と覚えているので、そこから思い出す。
    (広汎性発達障害、不動産・建設・設備系、事務、女性)

    広汎性発達障害の特徴として、感覚過敏のある方がいます。こうした特徴がある方からは、耳栓などの道具を使い、集中できる環境を自ら創るという工夫が寄せられました。

    また、広汎性発達障害がある方の中には、状況の変化などにパニックを起こしてしまうという特徴がある方もいます。対応が難しいと感じられる状況でも、焦らず、まずは一旦落ち着くことを心がけるという工夫は、ストレスを軽減するうえで大切な取り組みです。落ちつきを取り戻すための工夫として、トイレ休憩や水分補給など、ほんの少しでも仕事から離れる瞬間をつくることも有効でしょう。

    人の顔が覚えられないという特徴がある場合、職場の同僚に後で確認をするという対策をとっている方もいました。相談できる人や話しやすい人を決めておくことで、気持ちに余裕が生まれるものです。

    こうした工夫を実践するにあたり、職場に対してどのように働きかけると良いのでしょうか。ポイントを整理してみましょう。

    【職場に協力をお願いするためのポイント】
    • 広汎性発達障害の特徴による具体的な症状を伝え、職場での対応方法を共に考える
    本人は気になって仕方がないことでも、感覚過敏の特徴を持たない方にとっては「これくらい、なんてことないのでは?」と思われることがあります。
    また、人の顔が覚えられないという特徴も、こうした特徴があることを知らない人からすると努力不足と思われる可能性があります。

    広汎性発達障害の特徴を知らない方はたくさんいます。そのために、誤解を生じることも多いでしょう。誤解を防ぐためにも、広汎性発達障害の特徴をあらかじめ職場の上司や同僚に話しておきましょう。

    仕事中に「落ち着かない」と感じる状況や「気になる」ことは、職場の同僚へ理由とその対策を具体的に説明すると、伝わりやすくなります。

    ヘッドフォンの使用や座席の変更は、比較的すぐ取り入れられる対策です。しかし、職場全体の照明や作業音など、解決するために時間や手続きが必要なこともあります。その時は、まず自分で行える工夫から取り入れてみましょう。疲れる前にこまめに休憩をとることや、集中できる環境を探すのも良いですね。

    対応可能な合理的配慮は、職場によって異なります。上司やリーダーと一緒に、自分が働きやすい環境について話し合ってみましょう。

    【③広汎性発達障害の特徴が強い方】職場から得られた合理的配慮

    働きかけによって、職場ではどのような合理的配慮が受けられたのでしょうか。口コミを紹介します。

    【職場から得られた合理的配慮】

    話し合って理解して頂き、人と対面する場面を避けてもらって、それ以外の仕事を任せられるようになった。
    (広汎性発達障害、小売・流通・商社系、軽作業、男性)

    事前の面談等で言葉に詰まることが多かったためか、配達担当区域を人との関わりが多い街中でなく、山間部にしてくれました。都心から離れていればそれだけ通りがかる人が少ないため、一人で黙々と自分のペースで配達ができました。
    (広汎性発達障害、アスペルガー症候群、自閉症、コンサルティング・専門サービス系、販売・接客・サービス、男性)

    何か新しいことを行うときは、事前に何をするのかという説明をするだけでなく、聞こえやすくするために人が少ない時間帯に話し合っている。
    (広汎性発達障害、事務、女性)

    指示を出す際は、デモンストレーションして教えてもらえる。できるだけメールで連絡してくれる。
    (広汎性発達障害、サービス・外食・レジャー系、事務、女性)

    コミュニケーションが苦手な方は、一人で黙々と行える仕事や人と対面する必要のない仕事が向いています。このように、本人の特徴を把握し、能力が発揮しやすいポジションで働くための合理的配慮がなされていることがうかがえます。

    人と話すのが苦手という方へは、メールをコミュニケーションツールとして活用している職場もありました。コミュニケーションへのストレスを緩和することができるでしょう。


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    4.その他の発達障害による、仕事を続けられない悩みとその解決策

    発達障害のある方の中には、吃音がある方や、我慢していても声が出たり体が動いたりしてしまうチック症のある方もいらっしゃいます。
    次は、こうした特徴のある方の仕事に対する悩みや工夫、職場へ働きかける際のポイントなどについて見ていきましょう。

    4-1.仕事を続けられない悩み

    吃音やチック症などの特徴がある方は、仕事をするうえでどのような悩みがあるのでしょうか。

    【悩み】

    頭に思い浮かべた内容を言葉として瞬時に伝えるのが難しく、吃音のように言葉に詰まってしまいます。このため、大勢でコミュニケーションをとって作業することが苦手で、一人で黙々と作業するほうが楽に取り組めます。
    (広汎性発達障害、アスペルガー症候群、自閉症、コンサルティング/専門サービス系、販売・接客・サービス、男性、)

    仕事上で強いストレスを感じると、めまい、手足のしびれ、過呼吸が起こることがありました。
    (発達障害、事務、男性)

    薬を飲まないと、漠然とした強めの不安が起きることがある。人付き合いが苦手で、コミュニケーションにおいて多少ギクシャクする。仕事が忙しい状態が続くと不安感が出て、心身の調子を崩しやすい、又は出勤するのが辛くなる。ストレスや不安・迷いがあると、それを打ち消そうとしてチック症状(瞬き、顔しかめ)が出やすい。だいぶ良くなったが、たまに不注意のミスをする。
    (ADHD、チック障害、小売・流通・商社系、飲食、女性)

    仕事でストレスや不安を感じると、チック症の症状が出る場合があります。また人前で、緊張やコミュニケーションに不安を感じる場面でも、吃音の症状が出やすくなります。チック症や吃音の症状が現れることが更にストレスとなり、次第に職場に行くことが辛くなるという悪循環が生じます。

    4-2.仕事を続けるための工夫や職場への働きかけ

    吃音やチック症がある方は、仕事を続けるためにどのような工夫を行っているのでしょうか。口コミを紹介します。

    【仕事を続けるための工夫】

    不明点が生じたら何度でも質問する。ただしその前に、言葉につまらないように質問する内容を細かく書き出し、簡易的な台本を作ってから話を始めることを徹底しています。
    (広汎性発達障害、アスペルガー症候群、自閉症、コンサルティング・専門サービス系、販売・接客・サービス、男性)

    生活上の変化により変調が出ることがあるので、その時は必ず薬を飲むことにする。まずは一つ一つ仕事をこなすようにし、慌てず落ち着いて行動する。ストレスで声が出にくい時は、周りにわからないように深呼吸をする。深呼吸もしにくい時は無理せず、薬などで対処し、帰宅後に瞑想やリラックスできることをする。頭だけで考えたり覚えたりしようとせず、なるべくメモをとる。
    (ADHD、チック障害、小売・流通・商社系、飲食、女性)

    自分の取扱説明書みたいなものを用意して、職場の同僚に見てもらうようにしています。
    (発達障害、小売・流通・商社系、飲食)

    吃音の症状がある方は、気持ちを落ち着けるために、言いたいことを書き出してから言葉に出すと良いでしょう。

    またストレスを感じて、声が出ない、体が思うように動かない方は、心を落ち着かせるためにルーティンを取り入れることも有効です。

    吃音やチック症などは、自ら職場に説明しない限り、職場での合理的配慮を望むことは難しいものです。自分の発達障害の特徴を理解し、症状やその対処法、行ってほしい合理的配慮などについて、職場の人と共有することが重要でしょう。

    自身の発達障害の特徴を職場と共有し、協力をお願いする時のポイントをまとめました。

    【職場に協力をお願いするためのポイント】
    • 症状だけではなく、症状が起こりやすい状況やその時の気持ちも併せて伝える
    「吃音」や「チック症」などは、最近では耳にすることも多く、症状はイメージしやすいかもしれません。しかし、どんな時に現れるのか、本人はどんな気持ちで、どんな配慮があると嬉しいのかという点は、職場のさらに踏み込んだ姿勢が必要です。

    症状が出た時にお願いしたい対処法についても職場に伝えておくと、自分の不安が緩和されるだけでなく、必要以上に心配されることを防ぐこともできます。

    4-3.職場から得られた合理的配慮

    働きかけの結果、職場からどのような合理的配慮が得られたのでしょうか。口コミをご紹介します。

    【職場から得られた合理的配慮】

    上下関係も少なく和気あいあいとしたアットホームな職場でした。また、無理し過ぎないように上司側も配慮していたのが特徴的でした。そうでなくても人をよく見ているので「今日なんかいつもと比べて調子悪そうだけど大丈夫?」みたいな事を声掛けしてくれるので、気軽に話をすることができた。
    (広汎性発達障害、アスペルガー症候群、自閉症、コンサルティング・専門サービス系、販売・接客・サービス、男性)

    障害が発覚してから部署異動をしてもらい、落ち着いて作業が行えるスペースが与えられた。お客様に失礼な発言をしないよう、他の職員との摩擦が少ない業務を任せてもらえた。仕事量が多すぎないか毎日確認してもらい、作業を終えたものについては誤字やミスなど詳しく確認してもらった。
    (ADHD、事務、女性)

    時短で働かせてもらえる。仕事内容についても内容を丁寧にわかりやすく説明してもらえる。変化に弱いので、環境を変えずに同じ仕事をさせてもらえる。体調が悪くなると休憩をとり、場合によっては早退することができる。
    (発達障害、小売・流通・商社系、軽作業、女性)

    チック症や吃音などがある方は、対人で行う仕事にストレスを感じやすくなります。避けるべき仕事や環境を職場が理解し、配置転換を行うことがストレスの緩和につながります。

    チック症や吃音などの特徴のある方は「症状が出たらどうしよう」という不安を抱えています。気分を一定に保つために作業環境を変えないように配慮する、体調に変化がないか気にかけるということも、職場が実施できる配慮の一例です。


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    5.専門家からのアドバイス

    仕事探しを考えている発達障害のある方へ、発達障害の専門家 松好伸一先生からのアドバイスを紹介します。

    ■働くことを迷っている発達障害のある方へ

    慢性的に「忙しい職場」は、職員関係がギスギスしがちです。ゆとりのある職場の方が、人間関係に悩むことが少なくなります。
    また、男女比や年齢層に偏りがあると障害への理解や合理的配慮が得にくいこともあります。

    コミュニケーションに不安がある方は、このようなことを参考に職場環境を見てみてはいかがでしょうか。
    特に女性の多い職場では、コミュニケーションに様々な注意を払う必要があります。

    言葉に表さないコミュニケーション(ノンバーバルコミュニケーション)もありますので、ご自身の特性を考えてみましょう。

    ■これから働く発達障害のある方へ

    ASD(アスペルガー症候群、PDD:広汎性発達障害を含む)の方は、「自分はわかっている」と思っていても、実際にはズレていることがあります。
    周囲の方に自分がどう見えるのかを確認すると良いでしょう。

    「(周りは)自分のことをわかってない」と思った時、「自分はどれくらい表現しているか」も考えてみましょう。表していないのに理解されることはありません。

    また、ADHDやLDの方は「自己肯定感の低さ」から「役に立ちたい」という思いが強い傾向があります。
    しかし、自分のキャパシティや特徴を考えて調整しないと、仕事が立ち行かなくなりかえって迷惑をかけることになります。

    「役に立たない」と思ったら「今は」と付け加えてみましょう。いずれご自身の力を発揮できるときが来ますから。

    バーンアウトしやすいのも特徴の1つです。「役に立つ」ことを考えすぎないよう気を付けてください。

    6.最後に

    これまでの内容をまとめます。

    ・ADHD(注意欠陥多動性障害)により仕事を続けられない悩みとその解決策

    ワーキングメモリが少ないという特徴が仕事のミスにつながり、職場に居づらくなる悩みが多く寄せられました。
    この悩みの対策として、メモやリスト、アラームなどのツールを活用してみましょう。また、わからないことやあいまいなことは、職場の上司や同僚にこまめに確認することが必要です。ミスを減らす、ミスをしてもすぐ対処する工夫をし、まずは、自ら働きやすい環境を創り出すことを心がけてみましょう。

    ・LD(学習障害)により仕事を続けられない悩みとその解決策

    「聞く、話す、読む、書く、計算する」ことが苦手なLDのある方は、口頭での指示を理解できないままにする、計算を間違えることが重なり、自信をなくしてしまいがちです。また、周囲からの目も気になることでしょう。
    まずは、パソコンや電卓、メモなど、自身にとって便利な道具を活用してみましょう。ミスを減らすことや、ミスに気付くことができます。

    ・ASD(自閉症スペクトラム)により仕事を続けられない悩みとその解決策

    ① 自閉症の特徴が強い方
    コミュニケーションが苦手な方は、職場の同僚たちと過ごす時間そのものが苦痛となることもあります。
    まずは、気が付いた仕事を率先して行うことや、ポイントを押さえたコミュニケーションを実践することを心がけてみましょう。最低限のコミュニケーションや仕事へのやる気を見せることは、職場での印象を良くすることにもつながります。多く話さなくても、印象を良くするだけで、居心地が変わります。

    ② アスペルガー症候群の特徴が強い方
    いわゆる「空気を読む」ことが苦手な方は、職場の同僚とのコミュニケーションで誤解を生じやすく、人間関係に影響を与えることもあります。
    まずは、職場の上司や同僚への報告、連絡、相談を意識して行ってみましょう。仕事に必要なことから話し始めると、会話が続きやすくなります。

    ③ 広汎性発達障害の特徴が強い方
    広汎性発達障害がある方の中には、声のトーンや表情から相手の感情を読み取ることが困難であったり、人の顔が覚えられなかったりという知覚や感覚に特徴がある方がいます。感覚過敏がある場合は、耳栓などの道具を使い、集中できる環境を整えるという工夫が寄せられました。

    知覚や感覚の違和感は、自分から職場に伝えない限り、なかなか理解を得ることが難しいものです。仕事中に「落ち着かない」「気になる」と感じる点について具体的に説明することで、職場の人にも状況が伝わりやすくなることでしょう。

    ・その他の発達障害により仕事を続けられない悩みとその解決策

    吃音やチック症のある方は、仕事上のストレスにより症状が出ることを不安に思い、職場へ行きづらくなることがあります。
    まずは、ストレスを緩和させることに努めましょう。そのためには、心を落ち着かせることが大切です。一度紙に書き出してから声に出すことや、ルーティンを行動に取り入れることも有効です。

    発達障害のある方は、さまざまな特徴があります。特徴に合わない仕事は、続けることが難しくなってしまいます。しかし、自ら工夫をすること、職場に説明して理解を求めることで、働きやすい環境に改善される事例もたくさんありました。

    多くの仕事がある中で、最初から自分に向いている「天職」に出会うことは難しいかもしれません。しかし、自分の工夫や職場への働きかけによって、働きやすい職場や向いている仕事に近づくことはできます。自分の特徴を活かした「適職」を目指してみましょう。

    理想の環境の中で、いきいきと長く働けることを、私たちは願っています。



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    監修者

    保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数。

    著者

    より望ましい職業の選択や能力開発における相談・助言を専門とする国家資格「キャリアコンサルタント」のほか、米国CCE, Inc.認定の「GCDF-Japanキャリアカウンセラー」の資格を取得。福祉・医療介護分野の研究などにも従事しています。

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