高次脳機能障害のある方の働き方、仕事の悩みと対策を徹底紹介

高次脳機能障害のある方の働き方、仕事の悩みと対策を徹底紹介

高次脳機能障害を抱えながら仕事している方の中には、うまく付き合いながら理想の職場で働いている方もいらっしゃれば、悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

例えば、集中力が続かない、感情的になってしまう、身体的に負荷がかかるため作業時間が長くなってしまうなど、疾患による特有の悩みを感じることはありませんか?

そんなときは、同じように高次脳機能障害を抱えながら仕事をしている方々の声に耳を傾けてみてください。今回のコラムでは47人の高次脳機能障害がある方の口コミをもとに

・仕事の悩みとその解決方法
・仕事の探し方

といったアドバイスをご紹介していきます。
障害者雇用の専門家みちしたさん(社会福祉士、精神保健福祉士)にもアドバイスをいただきました。

仕事との向き合い方や職場について悩むこと、不安に感じることがある方は、ぜひ寄せられた声を解決のヒントにしてください。

*この記事はみちしたさんに監修していただきました
みちしたさん

社会福祉士・精神保健福祉士(ソーシャルワーカー、精神科ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)の資格を持つ。障害者支援施設にて支援員を8年経験した後、福祉資格を持つ地方公務員として採用され、ソーシャルワーカーとして活躍。


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目次

1.高次脳機能障害とは

2.高次脳機能障害の特性による仕事の悩みと対策

3.転職や就活で高次脳機能障害をオープンにするかクローズにするか

4.転職や就活の参考に、高次脳機能障害のある方におすすめの企業

5.求人の見つけ方

6.企業情報の集め方

7.専門家からのアドバイス

8.最後に

1.高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは、どのような障害なのでしょうか?

    ケガや病気により、脳に損傷を負うと、次のような症状がでることがあります。

    ■記憶障害
    物の置き場所を忘れる。
    新しいできごとを覚えられない。
    同じことを繰り返し質問する。

    ■注意障害
    ぼんやりしていて、ミスが多い。
    ふたつのことを同時に行うと混乱する。
    作業を長く続けられない。

    ■遂行機能障害
    自分で計画を立ててものごとを実行することができない。
    人に指示してもらわないと何もできない。
    約束の時間に間に合わない。

    ■社会的行動障害
    興奮する、暴力を振るう。
    思い通りにならないと、大声を出す。
    自己中心的になる。

    これらの症状により、日常生活または社会生活に制約がある状態が高次脳機能障害です。

    引用:国立障害者リハビリテーションセンター「高次脳機能障害情報・支援センター」
突然のケガで脳に損傷を負ったことで、今までとは異なる生活を送ることに悩む方もいらっしゃるかもしれません。
仕事でも今までできていたことが突然できなくなることで、戸惑う場面もあることでしょう。

まずは、高次脳機能障害のある方が抱える悩みと、その対策を口コミから見ていきましょう。

2.高次脳機能障害の特性による仕事の悩みと対策

高次脳機能障害の症状は、一人ひとり大きく異なります。しかし、口コミをみていくと高次脳機能障害の特性による仕事の悩みは、次のように大きく3つに分類することができました。

  1. 記憶障害や注意障害によって生じる悩み
  2. 身体が不自由になることで生じる悩み
  3. 精神面に症状が現れることで生じる悩み
それぞれの項目について、悩みの具体的な内容と対策、職場から得られると嬉しい配慮などについて、口コミをもとにご紹介してきます。


2-1. 記憶障害や注意障害によって生じる悩み

高次脳機能障害の症状の一つに、「記憶障害」があります。例えば、物の置き場所を忘れてしまう、新しい仕事を覚えることが難しくなるといった症状が出ます。

また、集中力が長く続かなくなる、物事を同時並行で進めることが難しくなるといった「注意障害」も高次機能障害によくみられる症状の一つです。

このような記憶障害や注意障害がある方は、仕事でどのようなことに悩んでいるのでしょうか。口コミをみていきましょう。

【悩み】

高次脳機能障害の中でも特に記憶障害の部分で困っていた。周りは障害の事も知っていて助けてはくれたが、ひどい時には助けてもらったきっかけの出来事も記憶にないことがあり大変でした。
(小売・流通・商社系、男性)

物忘れが時々起こる。複数の情報を同時に処理するのが不得手。発想の転換、思考の柔軟性の低下、とっさの出来事への対応が上手くいかない。自己能力の過信。
(メーカー・製造系、技術系、男性)

人と話すことや理解する力、記憶する力が弱くなっているため、電話応対が難しいです。わからないところから電話がかかってくると、はじめになんと挨拶すればいいかわからないです。
(サービス・外食・レジャー系、女性)

記憶障害による物忘れは、仕事のミスに直接つながってしまうことから、働くうえでの大きな悩みとなっていることがうかがえます。

注意障害には、同時並行で物事を進めることが難しいという特性があるため、話を聞きながらメモを取り応答することが求められる電話応対が苦手という口コミもありました。

こうした悩みに対して、自分でできる対策や、職場が実施できる対策にはどのようなものがあるのでしょうか。

【自分でできる対策・職場ができる対策】

日常からなにに関しても常にメモを取る様にし、メモの内容も必ず時間を書き込み時系列がわかるようにしていた。
(小売・流通・商社系、男性)

薬を持っていて、倒れることもあることを周りの人に言っておくことや、記憶が悪いのでデジカメをいつも持っていて商品を写して、倉庫の仕分けなどの順番をメモしている。(2年勤めて、最近はデジカメがだんだん不要になっている)。また、マジックとメモ帳を持っていて従業員の共有スペースに自分のメモを貼って、自分がどんなことをしているかを貼ってみんなに理解してもらっている。新人さんが入ると、それが新人さんにも参考になるので好評。
(小売・流通・商社系、軽作業、男性)

メールや書面などの視覚情報で業務上の確認事項を把握しています。口頭でコミュニケーションを取ることに備えて、PCでメモをしたり、内容を要約するよう努めたり苦手な面を補う努力をしています。眠気に対しては、昼休み中に仮眠をとっています。
(IT・通信・インターネット系、コールセンター・オペレータ、男性)

易疲労性により、データの入力ミスが増えてしまうので他の同僚の力を借りてボーっとすることを防いでいた。具体的には、眠くなってきたときには周りと話したり、逆に眠そうであれば声をかけてもらったりした。また、注意ややることの意識付けという点も難しいのが特徴なので、他のメンバーに作業をする順番を決めていただいたりもした。慣れてくると、作業する順番も分かり始めたので、自分で優先順位を考えて周りの人に合っているかを聞いたりもした。
(医療・介護・福祉、男性)

口コミをみていくと、次のような対策があることがうかがえます。

【自分でできる対策】
  • メモや写真を活用し、物忘れを防ぐ
  • メモを活用し、仕事の優先順位を一目でわかるようにする
  • 周囲に確認しながら仕事を進める

口頭で受けた指示を忘れないようにメモをとるという対策は、すぐに実行できそうですね。さらに、ご自身の物忘れ防止のために作成したメモや、撮った写真を職場の人にも見える場所に置くと、自分の仕事状況の共有にも役立ちます。口コミをみると、新人が仕事を覚える際の手助けになる場合もあるようです。

【職場ができる対策】
  • 口頭の指示ではなく、メールや文書を活用し、本人が後から視覚的に見返すことができるようにする
  • あらかじめ優先順位をつけたうえで指示を出す
  • 一つの作業が終わってから次の作業の指示を出す
  • 障害の特性が原因で苦手としている業務には携わらなくても良いように工夫する

職場としては、指示の出し方など、本人とのコミュニケーションに気を配る必要があるでしょう。高次脳機能障害の特性により仕事の優先順位をつけることが難しい場合があることを踏まえ、口頭ではなく書面での指示に切り替えることや、まとめて指示を出すのではなく、こまめな指示出しに切り替えるなどの対策が必要です。

さらに、本人と話し合って希望を聞いたうえで、高次脳機能障害の特性が原因で苦手としている業務を他の従業員が交代するなどの配慮も必要です。例えば電話応対を苦手とする場合は、部署や配置転換をせずとも、他の従業員が代わりに電話を受けることで対応できるでしょう。


2-2. 身体が不自由になることで生じる悩み

次に、高次脳機能障害によって身体が不自由となった方が仕事で抱える悩みやその対策について、口コミをご紹介します。

【悩み】

難治性てんかんと小脳梗塞での後遺症。小脳梗塞の後遺症では、歩行が困難なことが何よりも大変です。てんかんでは月に2回は発作を起こすので、仕事面では危険な作業は出来ない状態でした。
(メーカー・製造系、その他、男性)

くも膜下出血と脳梗塞のため高機能障害。疲れやすい、ミスが多い、長時間労働ができない。運転ができない。就職先がない。
(不動産・建設・設備系、人事・経理・総務・企画、女性)

身体の一部が不自由になるという症状のほかにも、体が疲れやすいという悩みが寄せられました。体の痛みや疲れは本人にしかわからない辛さです。仕事を長く続けるためにも、無理をせず、職場に相談することが大切です。

それでは、職場に相談する際は、どのような点に気をつけて話をすればよいのでしょうか。また、職場に相談する前に、自分でできる対策にはどのようなものがあるのでしょうか。口コミをみていきましょう。

【自分でできる対策・職場ができる対策】

複視対策としてモニターアームを設置。可能な範囲で正常な視界を確保するべく調整している。 めまいは勤務時間経過とともに悪化するため残業せずに帰宅する。
(IT・通信・インターネット系、技術系、男性)

身体的に困難な作業は、時間や日を短くする等、上司と相談し無理しない程度にしています。片麻痺なのでなるべく健常者と同じような作業を工夫して行っています。どうしても出来ない作業は周りの従業員の方にフォローしてもらっています。
(サービス・外食・レジャー系、医療、介護、福祉、女性)

自分の同僚に力を借りて、交代で仕事をこなしてもらっている。正直に現状・症状を話して、手を借りるときは遠慮せずに手を借りる。その代わり、自分が役立てるときは、積極的に自分から仕事をとるようにしている。この持ちつ持たれつの関係が大事だと思う。
(サービス・外食・レジャー系、男性)

高次脳機能障害の症状として、視野が狭くなる、物が二重に見える「複視」など、目に障害が現れることがあります。

口コミにあるように、障害のある箇所や程度によっては、ツールを上手く活用することで、仕事をしやすい環境を整えることができる場合もあることでしょう。ツールの導入について職場に相談する場合は、あらかじめ次のような点をまとめておくと、話し合いがスムーズに進みます。

  • 障害の特性により苦手な業務を整理する
  • その業務のどういった点が苦手なのか、障害の特性と照らし合わせて整理する
  • 苦手な業務をサポートできるツールには、どのようなものがあるか調べておく
  • そのツールを使うと、どのようなメリットがあるのかをまとめる(例:業務効率が上がる、自分以外の従業員も活用できるなど)


職場としても、本人からの相談がなければ、その辛さに気が付くことは難しいものです。症状の悪化や怪我を招かないためにも、職場と話し合って状況を改善していくことが重要です。

2-3. 精神面に症状が現れることで生じる悩み

高次脳機能障害の症状は人により様々であり、精神面に症状が現れることもあります。その悩みや対策は、身体面に症状が現われた場合とは大きく異なることでしょう。

ここでは、高次脳機能障害の症状が精神面に現れた方から寄せられた、職場での悩みとその対策をご紹介します。

【悩み】

高次脳機能障害により感情のコントロールができないので、たまにお客様とどうでもいいことでもめてしまう。また、この障害による記憶障害も持っているので、頼まれたFFを入れ忘れたり、間違えたりしてしまう。そして半盲もあるので左側に気を付けていないと、お客様にぶつかったりしてしまう。
(小売・流通・商社系、男性)

高次脳機能障害から感情のコントロールができないので、笑ってはいけない場面で笑ってしまうこともあり、お客様と些細なことで口論になってしまいました。
(小売・流通・商社系、男性)

注意力と記憶力が低くなった。 イライラすることがかなり多くなって耐えられない。 自分にもかなりイライラする。
(小売・流通・商社系、営業、男性)

精神面に現れる高次脳機能障害の症状の一つに、感情のコントロールが難しくなるということがあります。

口コミをみると、接客時などにおいて、感情面のコントロールの難しさが顧客とのトラブルにつながってしまうケースがあることがわかります。

精神面の症状は周囲から理解を得ることに時間がかかる場合が多いものです。仕事を上手くやっていけない自分自身にイライラしてしまうという状態に陥ってしまうこともあることでしょう。

こうした悩みを抱えながら働いている方々は、どのような対策を実施しているのでしょうか。口コミをご紹介します。

【自分でできる対策・職場ができる対策】

お客様ともめてしまったときは、一呼吸置くようにして、相手に言いたいことをすべて吐き出させてから謝り倒すようにしていました。
(小売・流通・商社系、男性)

自分の出来ている所できない所を分析してもらうため職場の人に聞く。 少しでも迷ったり不安なことはすぐ聞く。
(小売・流通・商社系、営業、男性)

大きい日記をつけて忘れないようにしている。何に怒ったかが分かるようにしている。
(小売・流通・商社系、営業、男性)

精神面の症状がある場合、自分の仕事中の行動を客観的に振り返ることが難しい場合があります。わからないことや不安なことは、職場の人にすぐに聞くということも大切な対策といえるでしょう。

職場としては、精神面に症状が現れることを理解したうえで、本人の悩みや苦手な業務の相談に乗る姿勢が求められます。

精神面の症状とともに記憶障害を伴っている方からは、日記をつけることで「どのような場面で感情のコントロールがきかなくなったのか」という点を後から自分で振り返る対策をしているという声が寄せられました。自分の傾向を把握すると、仕事中に気をつけるべき場面が明確になっていき、対策も練りやすくなるかもしれませんね。

ここまで、高次脳機能障害がある方の仕事の悩みとその対策についてみてきました。
それでは、このように悩みを抱えながら働いている方々は、高次脳機能障害をオープンにして働いているのでしょうか。それとも、クローズにして働いている方が多いのでしょうか。

次に、高次脳機能障害をオープンもしくはクローズにするメリットとデメリットについてみていきましょう。

3.転職や就活で高次脳機能障害をオープンにするかクローズにするか

高次脳機能障害のある方の多くは、障害をオープンにするか、クローズにするかということで悩むのではないでしょうか?
それは、障害について伝えるか伝えないかで、働き方が大きく異なるからです。

では、オープンした方(障害者雇用枠で働いている方)と、クローズにした方(一般雇用枠で働いている方)にはどのような違いがあるのでしょうか?


3-1. 高次脳機能障害をオープンにした方の口コミ

まずは高次脳機能障害であることをオープンにした方のコメントです。オープン就労の良さと悩みをみていきましょう。

【オープン就労の良い点】

障害者枠で採用されているため比較的マイペースで作業ができるから。
(その他、軽作業、男性)

日々体調が変化することを深くご理解くださって、休憩を取らせてもらったりしていました。働いてすぐに発作が起こり入院してしまいましたが、その後は作業内容を変更するなど気を使って柔軟に対応してくださったためです。
(サービス・外食・レジャー系、女性)

自分の障害を理解してくれる環境は、本当にありがたいです。理解してくれる人がいるということで、すごく心が軽くなります。
(サービス・外食・レジャー系、女性)

自分を偽らなくても助けてくれる環境があり、卑屈になることもなく仕事ができる。自身を持って社会人として対等に接してくれる仲間、上司がいる。もちろん仕事においての厳しさもきちんと学びながら様々な経験を積める。
(メーカー・製造系、人事・経理・総務・企画、女性)

【オープン就労の悩み】

何らかの障害やハンディキャップがあっても、健常者と同じ仕事、シフト内容なので容赦がない。
(運輸・交通・物流・倉庫系、販売・接客・サービス、男性)

自分で工夫してなんとかなっていますが、依然として見た目でわからない障害からくる無理解がまだまだ強いと感じます。また、人の入れ替わりが激しいため人によって障害への理解がまちまちです。
(サービス・外食・レジャー系、女性)

障害による体調不良に対して理解が無く、否定的な言葉をかけられたことがある為。
(IT・通信・インターネット系、コールセンター・オペレータ、男性)

オープン就労のメリットとしては、体調を気遣ってくれることや、仕事のペースへの理解が得られるという点があり、それが働きやすさにつながっているようです。

しかし一方で、オープン就労のデメリットとして、見た目からはわからない障害であるため職場の理解が得られず、仕事内容の調整や配慮が受けられないという点が挙げられています。

【高次脳機能障害をオープンにして働くことのまとめ】 高次脳機能障害は見た目からは障害があることがわからない場合が多いものです。ご自身が職場に説明しない限り、職場として高次脳機能障害を知り、理解することは難しいことでしょう。自分の体調と相談しながら仕事を長く続けていくためにも、障害の特性について職場に説明し、理解を求めることは重要です。

口コミには、オープン就労したにも関わらず仕事内容の配慮が受けられなかったことや、人によって障害への理解に差があるというコメントも寄せられました。こうした点は、障害を職場にオープンにしたことのデメリットというより、むしろ障害に理解のない職場側の問題であるといえます。

職場としても、従業員に長く働いてもらうことを望んでいる場合が多いものです。精神面や体力面の辛さは、本人にしかわかりません。どういった時に辛いのか、どういった悩みがあるのかという点を職場と共有することは、解決の糸口を共に探っていくための第一歩といえるでしょう。

3-3. 高次脳機能障害をクローズにして働くことへの意見

高次脳機能障害は、見た目からはわかりにくい障害であるため、ご自身の状況について職場に理解を求めるべく、症状について説明し、オープンにして働いている方が多くいらっしゃいました。

それでは、なぜ多くの方がクローズではなく、オープンにして働くという選択をしたのでしょうか。クローズにして働くことについて寄せられた口コミをみながら、クローズで働くことにはどのような良さや悩みがあるのかを考えてみましょう。

【クローズ就労の良い点】

これまでの仕事はすべて面接では「健康体です!」と答えていた。服薬時は堂々と飲んでいた。もし誰かに薬のことを訊かれても「今日はちょっと頭痛がして」と答えるつもりだった。ものを覚えることや思い出すのが難しいため、お客様にはアドリブで対応していた。わからなければ社員を呼んでもらっていた。たまたまレジや電話応対しなくてよい業務だったから続けられた。
(小売・流通・商社系、軽作業、男性)

【クローズ就労の悩み・クローズ就労に対する意見】

 

病状を知らない人から無理解な待遇を受けた。
(コンサルティング・専門サービス系、その他、男性)

研修体験ができる場合は、必ず受けたほうがいい。受けてその会社の雰囲気を見るべき。他の障害者がいるなら、その人に対する対応の仕方も必ず見ておく。自分の障害の事は些細な事でも隠さずに話すことは必要。相手も障害が分からないと対応できない。無理をしても続かないので、お金で釣られて入るより、働きやすい所を探す方がいい。
(事務、男性)

無理をした就職はしない方がよいと思います。ダメな職場は、早めに見切る事がとても大切だと思います。一般的には健常者の方と同じ負担にたいして高次脳機能障害の場合無理を強いると未達成感から自己嫌悪に陥りがちです。自らを責めるような職場は、早めにやめた方が結果良かったと実感しています。
(IT・通信・インターネット系、デザイナー・クリエイティブ、男性)

体調が安定しており、苦手な業務にあたる必要がない点が明確であれば、クローズ就労でも仕事を続けることができる可能性があるでしょう。しかし、仕事を続けていくと、より多くの仕事を任されたり、新しい仕事を任されたりするなど、仕事内容が少しずつ変わる可能性があります。

無理をして仕事を続けてしまえば、症状の悪化を招きかねません。職場と本人の双方が納得したうえで、安心して長く働き続けていくためにも、高次脳機能障害について職場に知ってもらうことが大切です。

職場のなかに障害について知らない人がいる場合、理解のない扱いを受けてしまう場合があるかもしれません。必ずしも職場の全員に周知する必要はないものの、業務上で関わりのある人など、必要な範囲の人に知らせておくと、仕事をするうえでの安心につながることでしょう。就職時にオープンにしていれば、上司や人事の担当者が「どの範囲の従業員に知らせるべきか」という点について、共に考えてくれる可能性もありますね。

【高次脳機能障害をクローズにして働くことのまとめ】

クローズで働くと、合理的配慮を受けられないため、心身共に無理をしながら働かなければならないケースが多いようです。職場としても、障害の特性を知らなければ合理的配慮はできません。職場からのほんの少しの配慮により、働きやすさが大きく変わる場合もあります。多くの職場にとって、従業員が長く働いてくれることは望ましいことです。一人で無理をせずに、職場に相談をしてみることが大切です。

4.転職や就活の参考に、高次脳機能障害のある方におすすめの企業

4-1. おすすめの会社、企業名

ここでは、高次脳機能障害のある方の口コミで評判の良い企業を紹介します。働きやすい職場を見つけるヒントにしてみてください。

石田プレス工業株式会社

地元なじみで賑やかな職場です。身体が壊れた時、退職を選ぶことがなく会社側が待ってくれたことがとても嬉しいです。感謝しています。午前中のみなので無理しないで仕事することができます。
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★
→口コミの続きはこちらへ

社会福祉法人協同福祉会

ボランティアから有償ボランティアになった時、私自身が本当に働けるかどうかが不安だったので、上司と頻繁に面談し問題点を話し合いました。仕事にも自信がつき上司の推薦で定時職員になりました。障害を公表したので、周りのサポートを感じられ継続して働く事が出来ました。多くの職員の方がさりげなくフォローして下さるのでありがたかった。
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★★
→口コミの続きはこちらへ

医療法人鉄蕉会

交通事故の被害に遭っていることや体の状態を熟知して、「自分の最高の状態」を発揮できるように、業務の調整を行っていただいたことに感謝している。なかなか高次脳機能障害の人を雇ってくださる場所はないので、とても貴重な場所だった。
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★★
→口コミの続きはこちらへ

他にも、高次脳機能障害のある方が働いている企業が一覧で確認できます。 満足度の高い企業や気になっている企業の口コミはこちらから。

5.求人の見つけ方

5-1. 働き方によって選べる採用枠「一般枠」と「障害者雇用枠」

求人には、高次脳機能障害であることを告げないで働く「一般枠(クローズ就労)」と告げて働く「障害者雇用枠(オープン就労)」があり、障害者手帳を所持している方は、どちらにも応募することができます。

先にも述べたように、高次脳機能障害をオープンにするか、クローズにするかといった悩みは応募できる雇用形態にも影響してきます。
少し重複する部分もありますが、もう一度簡単に説明します。

「一般枠」は、高次脳機能障害であることを伝えずに仕事をします(=クローズ就労)。障害や病気のない方と同じように働くため、募集している職種の幅も広いでしょう。しかし、高次脳機能障害への理解を得られにくく、周囲のサポートを受けることは難しくなります。

「障害者雇用枠」は、高次脳機能障害であることを伝えて仕事をします(=オープン就労)。お願いしたい配慮事項をすり合わせて、周囲のサポートを受けながら働くことが望めます。

▼障害者枠(オープン)や一般枠(クローズ)についてはこちらでもご紹介しています。
障害者枠(オープン)か一般枠(クローズ)か?メリットとデメリットを解説


5-2. 求人の見つけ方

①ハローワーク

障害や病気のある方を専用とした窓口があるため相談しやすく、障害者雇用に関する求人情報も扱っています。

就職支援の職員に相談とリハビリを受けながら就職先を探しましたが、長く探してもなかなか合ったものがなく、職業安定所の紹介も受けながら決めました。
(事務、女性)

ハローワークにいる精神保険福祉士に相談するとよい。仕事の悩みを聞いてくれるだけでもストレスから少しは開放される。
(サービス・外食・レジャー系、軽作業、男性)

▼参考: 厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」


②行政サービス

ハローワーク以外にも、障害のある方の就労を支援する行政のサービスは多くあり、支援の内容や利用できる対象者に合わせて全国各地に様々な施設が用意されています。
「障害者就業・生活支援センター」は、各施設と連携しながら就労に関する様々な相談を受け付けている施設の1つです。

「障害者就業・生活支援センター」の詳細はこちらで紹介していますので、よろしければご覧ください。
ハローワークだけじゃない!障害者雇用枠の求人サービスを紹介


「障害者就業・生活支援センター」を利用した方のコメントを紹介します。

【障害者就業・生活支援センター】

試用期間テストで1週間出社いたしました。具体的に客観的な自分を知る事が出来ました。
(IT・通信・インターネット系、デザイナー・クリエイティブ、男性)

障害者就業・生活支援センターは、障害者雇用をする側の企業に対しても、障害のある方が適正な環境で働くための情報提供やアドバイスを行っています。企業側と雇用される側、両者の状況を理解している点が心強いところです。


③就労移行支援施設

就労移行支援施設は、仕事のスキルを身につけることができる施設です。一般企業へ就職することを目標に、必要な知識や能力の習得を補助してくれるだけでなく、訓練や相談、定着支援なども行っています。

就労移行支援施設を利用した方のコメントを紹介します。

【就労移行支援施設】

一般就職する前は、8年ほど障害者施設にいて就労移行支援で慣らしました。その体験が生きたと思います。
(小売・流通・商社系、軽作業、男性)

就労移行支援施設は、学びや訓練の機会、そして生活リズムの見直しができることが最大のメリットです。また、履歴書の書き方についての指導や面接への同行といったサポートもしてもらえます。

就職や転職活動に必要なスキルやアドバイスを見極めながら、自分にあったサービスを利用してみるのも良いですね。

6.企業情報の集め方

会社の求人情報やホームページだけでは、あなたが実際に働くことになる職場の雰囲気を掴むことは難しいものです。できるだけ自分の目で確かめてみましょう

6-1. 事前に見学して企業の雰囲気を確認する

事前に職場を見学させてくれる企業もありますし、ハローワークや人材紹介会社のアドバイザーを介して見学をお願いすることもできます。口コミにも、事前に見学をすることで、面接だけではわからない職場の雰囲気を感じられるとの意見が多くみられます。

【就職する前に職場見学をした方からのアドバイス】

実際に働いている人が知人でいたら、詳しく聞いた方が良い。体験または見学時には全体の雰囲気を知った方が良いと思う。社員の態度は良いか?挨拶はちゃんと出来ているかも確認した方が良いと思う。責任者の考え一つで、職場の雰囲気が変わると思う。
(サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、男性)

会社見学だけでは実際の仕事内容の詳細はわかりません。ですが、行ってみることでそこの雰囲気などわかるので重要だと思います。 会社見学をしてみて、自分ならどの程度ならできるかなど、自分のことを詳細に伝えておくと仕事内容なども見直してくれたりするのでいいと思います。
(サービス・外食・レジャー系、事務、女性)

実際に見学させてくれる企業はよく見たほうがいいだろう。とくに表に出ない部分が見られるチャンス。しっかりした先のある企業か見学で少し察すると思うのでぜひ見学はさせてもらいましょう。お互いを知ることも大事。
(サービス・外食・レジャー系、販売・接客・サービス、女性)

6-2. 面接はその企業を良く知るチャンス

面接は、企業側があなたを審査するだけの場ではありません。大事なのは、あなたが企業に求めるものと、企業があなたに求めるものが一致するかどうかを確認することです。

不安や疑問がある場合は、面接で質問しクリアにしておきましょう。具体的に面接の場で聞いておきたい内容については、以下のコメントを参考にしてみてください。

【面接で職場の様子や配慮事項を確認するための工夫】

求人はあるものの、実際にその企業が本当に障害者を雇いたいと好意的に思っているとは限らない。問い合わせや面接で冷たくされることも多々あると思うが、自分に合った自分ができるやり甲斐のある仕事に妥協する必要は全くない。自分の個性を認めてくれる企業は必ずある。出来る事をアピールし誠実さを忘れないことが大切。
(メーカー・製造系、人事・経理・総務・企画、女性)

一番重要なことは、周りの人々が症状や病気を理解して柔軟に対応してくださることだと思います。そのためには、面接時に自分の病気や発作の状態を話して、医師に相談してどのような仕事ならしてよいかの目安をたてておき、障害者支援センターで他の障害者の方のお話を聞くなど、情報を収集することが大事だと思いました。
(サービス・外食・レジャー系、女性)

自分の障害の特性、状況などをなるべく会社に的確に伝えて、その中でどのぐらいできるかなどを可能な限り見極めた上で仕事を行うかどうかを決定すべきです。 会社の中で、直属の上司や担当者、もしくは管理者との話し合いになりますが、報告、連絡、相談の中で良い落とし所を見つける努力は必要です。
(メーカー・製造系、技術系、男性)

面接で緊張しすぎて質問できなかったということが無いように、あらかじめ知りたいことをまとめておきましょう。準備をすれば心に余裕ができ、面接にも臨みやすくなります。

働きはじめてから大変な思いをすることになっては、大きな負担になってしまいます。心地よい職場環境で高次脳機能障害とうまく付き合っていくためにも、面接での質問のチャンスは大事にしましょう。

7.専門家からのアドバイス

仕事探しを考えている高次脳機能障害のある方へ、障害者雇用の専門家 みちしたさんからのアドバイスを紹介します。

■働くことを迷っている方へ

厚生労働省の平成28年の調査では、医師から高次脳機能障害と診断された者の数は約32.7万人と推定されています。
ひとくちに高次脳機能障害といっても記憶障害や注意障害、社会的行動障害など症状は様々です。

「働くことに迷っている」という方は、一度信頼できる人に相談してみてみることをおすすめします。
また、まだ手帳をお持ちではない方は、オープン就労などのメリットが多くあるので、手帳の取得を検討してみるといいかもしれません。

記事での紹介でもあったように仕事を探す方法はいろいろあります。まずは自分に合う方法で始めの一歩を踏み出してみてください。

■これから働く方へ

高次脳機能障害は様々な生きづらさがあり、働き方も一人ひとり違います。そのような中、安定して働くためには職場の理解や認識が十分でなければいけません。

記事の口コミでもあったように、メモをとる、周囲に理解を求めるなど自分でできる工夫も大切ですが、それ以上に周囲の配慮も重要なポイントです。
仕事を探す際は周囲に理解してもらいながら、自分らしく働くためにもオープン就労で仕事を探すことをおすすめします。

輝ける職場が見つかることを願っています。

8.最後に

これまでの内容をまとめます。

・高次脳機能障害の特性による仕事の悩みは、次の3点について多く寄せられました。

  1. 記憶障害や注意障害によって生じる悩み
  2. 身体が不自由になることで生じる悩み
  3. 精神面に症状が現れることで生じる悩み


1.記憶障害や注意障害によって生じる悩み
物忘れをしてしまうという記憶障害の特性や、同時並行で物事を進めることが難しいという注意障害の特性が仕事の悩みにつながっているという口コミが寄せられました。自分でできる対策としては、メモを取り、仕事の優先順位を明確にして物忘れを防ぐという工夫がありました。職場としては、指示をこまめに出すことや、メールや書面を用いて視覚的に確認できる方法で指示を出すなどの工夫が考えられます。

2.身体が不自由になることで生じる悩み
身体の一部が不自由になるという症状のほかに、身体が疲れやすくなってしまい、長時間の労働が困難であるという悩みが寄せられました。職場としては、本人から直接伝えてもらう以外に、こうした本人の困難や辛さを知る機会はありません。無理をして症状を悪化させないためにも、職場と話し合って働く環境を改善していくことが重要です。

3.精神面に症状が現れることで生じる悩み
高次脳機能障害により感情のコントロールが難しくなり、顧客とのトラブルに発展してしまったという悩みが寄せられました。こうした悩みに対して、自分の行動や言動を後から客観的に振り返るため、感情のコントロールができなかった場面の状況について同僚に後から尋ねることや、日記をつけるなどの対策がありました。こうした工夫の実践は、自分の傾向を把握するための手がかりとなることでしょう。

・転職や就活をするうえで、高次脳機能障害をオープンにするかクローズにするかも多くの方が悩むポイントです。まずはご自分の症状を一番に考え、どのようなスタイルで仕事をすることがベストなのかを考えましょう。通院や急な体調不良による休みを必要とする場合は、配慮やサポートを受けやすい「オープン就労(=障害者雇用)」も検討すると良いでしょう。

・高次脳機能障害と付き合いながら、理想の仕事や職場で働いている方も多くいらっしゃいます。高次脳機能障害の方におすすめの企業や業界、職種には傾向がみられますので、同じ高次脳機能障害をお持ちの方の意見も参考にしてみましょう。

これまでにご紹介した口コミは、ほんの一部です。症状は人それぞれ、企業の対応もそれぞれ異なります。

まずはご自分の症状や、できること・できないことについてまとめてみましょう。そして、自分にあった職場を自分のペースで見つけてください。

気になる企業の様子やサポート状況は、事前に職場見学を通して自分の目で確かめることが理想的です。求人票ではわからない企業の様子を知るためにも、ハローワークの専門スタッフに相談したり、人材紹介の専門アドバイザーと一緒に就職活動を進めたりするのも良いですね。

さまざまな企業がある中で、あなたが幸せに働ける環境に出逢えることを、私たちは心から願っています。



▼高次脳機能障害のある方が働いている企業が一覧で確認できます。
満足度の高い企業や気になっていた企業の口コミをぜひこちらでチェックしてみましょう。

※この記事は投稿いただいた口コミから生まれています。
皆さんの貴重な体験談は多く方へ届き役立ちます。ぜひ体験したこと、感じたことを教えてください。

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監修者

みちした

社会福祉士精神保健福祉士(ソーシャルワーカー、精神科ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)の資格を持つ。障害者支援施設にて支援員を8年経験した後、福祉資格を持つ地方公務員として採用され、ソーシャルワーカーとして活躍。

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著者

鈴木 杏奈

より望ましい職業の選択や能力開発における相談・助言を専門とする国家資格「キャリアコンサルタント」のほか、米国CCE, Inc.認定の「GCDF-Japanキャリアカウンセラー」の資格を取得。福祉・医療介護分野の研究などにも従事しています。

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