クローン病を抱えながら仕事している方の中には、うまく付き合いながら理想の職場で働いている方もいらっしゃれば、悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
例えば、仕事中に急な腹痛に襲われることや、会食への参加が難しいことなど、疾患による特有の悩みを感じることはありませんか?
そんなときは、同じようにクローン病を抱えながら仕事をしている方々の声に耳を傾けてみましょう。今回のコラムでは54人のクローン病がある方の口コミをもとに
・どのようなことに悩み、どのように解決しているのか
・どのように仕事を探したか
といったアドバイスをご紹介していきます。
また、障害者雇用の専門家みちしたさん(社会福祉士、精神保健福祉士)にもアドバイスをいただきました。
仕事との向き合い方や職場について悩むこと、不安に感じることがある方は、ぜひ寄せられた声を解決のヒントとしてみてください。
ある日突然、トイレに行きたくなりひどくなるとトイレにこもってしまいます。とにかく机に向かって仕事が落ち着いてできない。外の仕事が難しいです。
事務、男性
治療前になると体調が不安定になり、腹痛や下痢の症状が出て、作業を中断せざるを得ない時がある。
受付・窓口業務、女性
食事制限が多い。常に下痢気味で1日何度もトイレに行くので外出先でのトイレが心配。
経理、男性
体調を崩して入院していた時から退院後、3ヶ月間絶食をしていた時、お腹が空いているのに商品を客席まで運ぶのが精神的にまいってしまった。体調が悪い時は少量の食べ物でも腹痛でトイレに通うことが多く、仕事にならない。
飲食、男性
腹痛が発生した際に行動できるようにトイレの場所の把握を最優先にしておりました。なるべく残業しないようにし、体力面についても気を付けておりました。あとは、食事面でも細心の注意を払うように心がけていました。
不動産・建設・設備系、男性
店頭にお客さんがいないことを確認して、急いでトイレに行くようにしていました。急な腹痛には対応することが難しかったです。症状が悪化したときは、どうすることもできなかったので、やむをえずお休みをいただくことがありました。
販売・接客・サービス、女性
下痢、食事制限があったので出来る限り内勤にしてもらった。
軽作業、男性
具体的にはトイレに何度も行くので、気を遣っていつでも現場から離れられるようにしてくれました。また、急に休む事も多くありましたが、嫌な顔せずに休みを変わってくれました。
介護、男性
病気によりいわゆる一般的な窓口勤務が難しかったため、窓口業務や外出するような勤務は最小限だった。
技術系、男性
病気に関して似た疾患というか下痢気味、便秘気味という人は、たくさんいましたのでトイレに行く時は、あまり周りの人が気にしないような気遣いはありました。あまりトイレに行くということが一番本人にとって気になることですので、この事に関して周りの人はトイレを使用中でも優先してくれました。
事務、男性
食べ物に制限があるので食事会に参加しても食べられないものがあると、さりげなく避けるので気をつかう。
一般事務、女性
ある一定以上の量を食べると、腹痛、嘔吐を繰り返し、布団で寝たままになる。
教育、男性
腹痛や下痢、発熱などの症状があり急にトイレに行かないといけない場合がある。食事制限もあるので会食や接待時に苦労する。
医療事務、女性
脂っこいものや刺激物を食べると腸内で炎症を起こし、機能不全等になってしまう。
警備、男性
仕事中の食事は自分でするようにしている。
警備、男性
薬を欠かさず、ストレスをためないようにリフレッシュしながら、病気と付き合っています。また、飲み会はお酒や脂っこい食べ物を控えるよう心がけています。
飲食、男性
体調が悪い時は出来るだけ食べないようにして、どうしてもお腹が空いていたら、お粥や雑炊など消化に良い物を食べ、営業時間中に支障をきたさないように早めにトイレに行くようにした。
飲食、男性
飲み会のときは自分が食べられる店か聞いてくれたり、なにが食べられるか聞いてくれたりする。そういったところはとても親身になっている。だが、知らない社員もいるので、なんでと思われることもある。
営業事務、男性
賄いの時も食べられない物の時は、別メニューを作ってくれたりします。
飲食、男性
腸から栄養を吸収する力がなく、痩せていってしまう。
人事、男性
体調がその日により異なるため、日によっては立っていることがきつく、長時間働くことができない時がある。便意をコントロールできないので、トイレに頻繁に行かなくてはならない。
受付、窓口業務、女性
薬の副作用で体調が急に悪くなったときに休みづらかったです。いくら自分でコントロールしても上手くいかないときもあるので、他の従業員に対して申し訳ない気持ちになりました。肉体的にも精神的にもWで追い込まれるので辛かったです。
販売・接客・サービス、女性
ご飯が食べられないので、持久力がない。
一般事務、女性
特に現場直行等は、自宅を出るまでに、2時間前に起床して腸を整えて出勤しています。この2時間で着替えや整髪も含みます。朝食は病気の関係上、食べられません。
小売・流通・商社系、男性
適度に休憩をはさみ、トイレに行くようにしていました。 疲れが多い時は、休憩室で10分程度横になっていました。 上司や同じ課員には、病気の事を伝えていて、気づける体制にしていた。
営業・営業補佐、男性
座ってできる作業をしたり、症状がきつくて辛い時は少し早めに休憩を取らせてもらえないか上司や同僚に相談しています。
受付、窓口業務、女性
立ち仕事をしていた時は、担当の方と相談して、座ってできる事務作業の時間を設定し、他の人より勤務時間を短くしてもらった。
受付、窓口業務、女性
勤務時間を短くし、シフトを組む方が希望の休みをとりやすくしてくれたので、通院などの調整がしやすかった。
受付、窓口業務、女性
体調が悪いときにも過度の干渉はせず、こちらが困ったときにだけ相談に乗ってくれた。
接客、男性
冷房や暖房の温度調節や、納期が近い案件の配分量を減らしたりしてくれました。
事務、男性
腸閉塞になりやすくて、腹痛がしたら仕事はしんどい。人口肛門が漏れやすい。
接客、女性
人工肛門が仕事中に外れたりすると、付け直す場所に困る。
警備、男性
腹痛がしたらつらいので、食事は控えめにしてます。
接客、女性
仕事中はなるべく水分を取らないようにしてる。それでも我慢出来そうにない時は断ってから行く。
軽作業、女性
病気の事を理解してくれていて、通院などは有給休暇を使ったり、振替で出勤したりしていました。
軽作業、女性
女性ばかりの職場なので、トイレに関してはとても理解があり、高齢の方も多いので突然の入院でお休みをもらう際にも臨機応変にシフトの交代を行ってくれました。
飲食、女性
過度な労働にならないよう、責任を上司と分担することで精神面でのケアをしてくれただけでなく、時間外勤務時間を軽減することで心身ともにストレスを軽減し症状が酷くならないよう配慮があった。また、有給休暇も比較的自由に取得させてもらい定期通院についても支障なくできている。
企画、立案、男性
入社してすぐ、事務・管理担当の方に病気のことを話したところ、社長にも共有していただけたようです。社長と話す機会があると毎回体調を聞いてくれます。事務の方も同じ部屋にいて、気さくで話しやすい方なので、いつでも気軽に声を掛けられます。健康保険や限度額認定証など、医療関係の手続きを直ぐにしてもらえるのがとても助かっています。社内で行う納会のお食事などもその方が用意していますが、クローン病は食べられない物が多いので色々気遣っていただきました。
技術系、女性
病気に対しての理解度が低かった。病気のことに対しては、事前に通知していました。トイレの回数が多くなるということや体力面でも落ち込む時があるという点を重役面接の時点で伝えていました。しかしながら、周りの理解は全くなく、上司からもトイレが多いと悪いイメージを持たれ、結局退職になりました。
不動産・建設・設備系、男性
足に障害を持った人とシフトを組まれることがあり、内部障害の私が動かざるをえないことが多く、体調が悪いと言えないこともあった。
受付、窓口業務、女性
内部障害のため、症状があるときは、休みや通院で配慮をしてくれたが、症状がなくなると、残業や休日出勤をさせられ、体を休めることが難しかった。
接客、男性
病気のことは伝えていないが、特に困ったことはなく働いている。勤務のペースは希望を聞いてもらえるので通院するのに不自由はない。トイレがシャワートイレなので満足。
一般事務、女性
病状が安定しており再発もしていないので会社には病気の事は伏せてある。経験上、病気の事をカミングアウトして仕事上メリットとなることを感じたことがない。
福祉関係、男性
持病のことについては上司のみ知っているが、障害に関しては誰にも言っていない。週2日で短時間勤務なのでそれで十分。
受付、窓口業務、女性
クローン病だということも、身体がしんどいことも言えなかったので、支援されることはありませんでした。
軽作業、女性
ハローワークの障害者雇用を利用し、担当の方と面談をしながら仕事を決めました。面接前に病気のことに関して企業の方にお話してくださっていたので、面接時にスムーズに配慮していただきたい点をお伝えすることができました。
小売・流通・商社系、男性
やはり自分の足で希望する職場へ行き出来ることなら職場見学させてもらい、自分のイメージしていた職場と同じかそれに近いものがあるか確認し、その職場の部署ごとの雰囲気や環境等、自分の目で体験してから最終的に決める方がよい。
事務、男性
会社見学ができる時は、積極的にしてください。その会社の雰囲気や中で働いている人たちの雰囲気を見ておくのも良いと思います。 あと、急に休めるかどうか、通院の時の休める状況、トイレや休暇時間などは良く見ていた方が良いと思います。
軽作業、女性
就業稼働時間は細かく聞いておいた方がいい。社内の人間関係、トラブルはないか、個々の性格と行動パターンについては見学の時にしっかり見ておいた方がいい。設備についても細かく見て、聞いた方がいい。自分のことは全てオープンにした方があとが楽。
福祉関係、男性
現在どの程度の障害を持っている人が、どれくらい在籍していて、どんな職種についているのか。過去に在籍した人がどれくらいの期間勤めていたかなどしっかり把握できているかどうか人事課に確認するといいと思う。 自分の障害をあらかじめ細かく伝えておいたほうが後々楽だと思う。
接客、男性
自分が今どういうことができて、どういうことに配慮して欲しいかなどははっきりと伝えた方が良いと思います。その上で、担当者と相談して決めていくことを重視するべきです。無理しないと働けないような仕事内容なら断ることも検討した方が良いと思います。 病気や障害に関してもきちんと伝えておいた方が良いと思います。病名は知っていてもどういう症状があって、どういう状態になるかまでは分からない、知らない人が多いと思います。
受付、窓口業務、女性
仕事内容の詳細をしっかり確認し、出来るか出来ないか等、会社の担当者ときちんと話し合いをした方が良いと思います。また、自分の病気や障害を伝える際、特性やどういうサポートが必要かも理解していただけるように話す必要があると思います。
受付、窓口業務、女性
より望ましい職業の選択や能力開発における相談・助言を専門とする国家資格「キャリアコンサルタント」のほか、米国CCE, Inc.認定の「GCDF-Japanキャリアカウンセラー」の資格を取得。福祉・医療介護分野の研究などにも従事しています。