双極性障害で仕事を休みがちな人にもおすすめ、自分でできること7選

双極性障害で仕事を休みがちな人にもおすすめ、自分でできること7選

双極性障害(躁うつ病)がある方が仕事を続けるためには、少しのコツが必要です。

「躁の時」と「うつの時」の気分やモチベーションの違いが仕事に影響し、悩む方もいらっしゃいます。また、体調に波があったり神経が過敏になったりして、常に体調に不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。そして、薬の副作用との付き合い方も、仕事とは切り離せない課題のひとつです。

しかし、これらの悩みや不安は、少しの工夫と対策を講じることで緩和できることもあります。

今回は、同じように双極性障害とうまく付き合いながら働いている方から届いた、アンブレの口コミを参考に、仕事を続けるためにご自身でできることを紹介していきます。

*この記事は久木田みすづさんに監修していただきました
久木田みすづ

大学で社会福祉学と心理学を専攻。精神保健福祉士・社会福祉士、認定心理士の資格を取得し、カウンセリングセンターにおいて、メンタルヘルス講座の講師や心理カウンセラーとして活躍する。その後、いくつかの精神科病院にて、うつ病などの患者さんや、その家族に対するカウンセリング・相談や支援に力を入れる。現在は、主にメンタルヘルス系の記事を執筆するライターとして活動中。


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目次

1.自分を客観的に見て、躁状態とうつ状態の傾向を把握する

2.躁とうつにあわせて仕事量を調節する

3.特性にあわせた仕事の工夫を心がける

4.気分転換やストレス回避を心がける

5.通院や服用により症状をコントロールする

6.自分に向いている仕事を考える

7.双極性障害(躁うつ病)についてオープンにする

8.最後に

1.自分を客観的に見て、躁状態とうつ状態の傾向を把握する

双極性障害は、脳の病気と言われるため、躁状態とうつ状態の変化を把握するのは難しく、突然、躁からうつへ転じることもあります。しかし、気分の波や行動パターンを知る事は、躁状態とうつ状態になりやすい傾向をつかむヒントとなり、行動や考え方を見直すことに繋がります。

朝と晩に日記を書いて、自分がハイペースで動いていないか振り返りの時間を設けている。

手帳に気分の浮き沈みを記録、最高潮になりそうな前日は翌日休みにします。

気分の波に気付くように日記をつけて精神状態を客観的に把握している。



気分が高まったり落ち込んだりする波やその大きさは、記録を続けご自身の状態を把握することで、パターンをつかめることがあります。また、ご自身を客観的に見ることで、新たな気づきを得ることもありますし、反動が来ないような心がけを早く講じることもできます。

では、どのような心がけをすると良いのでしょうか?次は、躁状態とうつ状態、それぞれの具体的な心がけについて見ていきましょう。

2.躁とうつにあわせて仕事量を調節する

躁のときはやる気に満ち溢れる一方で、うつの時は気分が落ち込む双極性障害。まずはご自身が現在「躁状態」なのか「うつ状態」なのかを把握することが大切です。把握することで、ご自身が心がけることや試みることが見えてきます。

躁のときは仕事量が多くなりすぎないように心がけ、鬱のときは無理せず休んでいます。

調子がいい日は7割の力で仕事をする。調子が悪い日はなるべく無理しないようにできる範囲の仕事をする。

躁状態のときにやり過ぎないようにブレーキを掛けることを心がけている。

軽躁状態の時は無理し過ぎるとその後の鬱状態が酷くなる傾向にあるので、自分で仕事のペースをあえて落しながら仕事を進めています。

躁状態の時に頑張りすぎないこと。そう状態からうつ状態へ転じ、何もできなくなってしまったその時の被害が少なければ少ないほど継続して勤めやすくなる。

うつ状態の時はその時にできる仕事(単純作業等)だけを取り組むようにしています。

うつ状態の時は出社するだけでも心身共に疲れるので、出社するだけでも偉いと自分で言い聞かせて鬱状態をやり過ごしています。

調子がよくても悪くても一定のペースで仕事をするように心がけている。仕事のやり方に波があると周りも迷惑になるし、鬱や躁を招きかけない。



これらの口コミから見えるのは、以下のアドバイスです。

  • 躁の時は、仕事量やペースに少しブレーキをかけながら取り組む
  • うつの時は無理をせず、できる範囲の仕事量やペースで取り組む
  • 躁の時とうつの時の行動や気分をなるべく一定に保つ


仕事量の調整をしながら無理のないペースで仕事を行うこと以外にも、仕事の取り組み方に少しの工夫を加えることで、悩みや不安を取り除くこともできます。次は、双極性障害の特性に合わせた仕事の工夫を見ていきましょう。

3.特性にあわせた仕事の工夫を心がける

入社したら会社のルールに従い、新しいことを覚えながら働きます。働き続けるためには、だれもが少なからず努力をしています。

双極性障害のある方も同じように、仕事を続けるためには、仕事を覚える必要がありますし、なるべくミスをせずにこなせるように努める必要があります。

しかし、双極性障害により仕事がうまくこなせないときは、特性にあわせた心がけが必要になります。では、皆さんは具体的にどのような心がけをしているのでしょうか?

わからないこと事を先延ばしにせず、「わからない」と素直に伝えた上でどうしたら良いのか対策法を聞く。

なるべくミスをしないように、教えてもらったことは全てメモに残す。

鬱状態の日には出勤を早めにし、その日教える単元を頭の中に入れ、どのように話すかシミュレーションをしました。そうすることにより、まるで台本をそのまま読んでいるような感覚になるため、余計なことを考えずに済みました。

徹底的に仕事をマニュアル化することです。調子の悪い時でも、マニュアルに忠実にこなすことに集中すると、症状が軽くなります。



双極性障害のある方は、まず、うつ状態の時の仕事の仕方に注目すると良いでしょう。モチベーションが下がることで起こしやすいミスやペースダウンに不安を感じている方は、マニュアルを作成してやることを明らかにしたり、余裕のあるスケジュールにしたりすることが安心感につながります。

また、不安感を抱きやすいうつ状態のときは、心の支えとなるアイテムを活用することもおすすめです。好きな音楽や香りでリラックスして、気持ちを切り替えるのも良いですね。

このように、仕事とうまく付き合っていくためには、張り詰めた気持ちや体をほぐすことも必要です。次はその方法を見ていきましょう。

4.気分転換やストレス回避を心がける

仕事を続けるためには、仕事の途中で気分転換をしながら集中力を維持することや、疲れをためないようにすることが大切です。これは双極性障害がある、ないにかかわらず、すべての働く方に当てはまることですね。

では、皆さんはどのように気分転換をしているのでしょうか?

テンションが上がり始めたら席を一度立つ、水を飲む、深呼吸するなどしてクールダウンするようにしています。

自分の状態が悪いと感じた時は、無理に作業を進めず、一旦外に出てストレッチをするなど休憩をもらうようにしました。作業場所から一旦離れるだけでも気分が変わり、リフレッシュして新たな気持ちで作業に取り組むことが出来ました。

イライラや落ち込みそうな予感がしたら、ひとまず席を立ち、少しの間その場から離れて気分転換をする。

気分が悪くなったり、憤りを激しく感じたりする時があったので、リセットする為に休憩に入りホットコーヒーを飲んで落ち着くようにしていました。

集中し過ぎないように、また身体的負荷を軽減する為に1時間に5分程休憩を取るようにしている。

緊張してしまった時は10回深呼吸するようにしています。

自分の好きなものを身の回りに置いて気分を高めたり、躁になりすぎないために仕事中にリラックスできるハーブティーを飲んだりしています。



また、仕事中だけでなく、日々の生活でもストレスをためない工夫がみられました。

日々運動をしてストレスを発散し、溜めないようにしていた。困ったことがあると上司に相談していた。

ストレス解消と、仕事に復帰した時に体力が続くように、日頃からウォーキングやランニングをしています。

ストレッチをするとかして、できるだけストレスを「逃がす」ように心がけてきました。



休日を利用して心身をリフレッシュすることはストレスの発散にもつながります。ストレスが双極性障害の直接の原因でなくても、間接的に体調や精神面に影響を与えることは十分に考えられます。

ストレスは、たまる前にこまめに発散することが大切です。仕事中1時間に1回はトイレなどで席を立ち気分を変える、帰宅後はゆっくり過ごす、休日はリラックスするなど、取り入れられる方法を試しながら、少しずつ自分にあったリフレッシュ方法を取り入れていきましょう。

5.通院や服用により症状をコントロールする

仕事をする以前に大切なことは、症状の悪化や再発をさせないことです。そのために、通院や薬の服用により症状をコントロールしている方は多くいらっしゃいますが、薬の副作用が仕事に影響を及ぼすこともあります。

次は、治療と仕事を両立していくためのアドバイスを見ていきましょう。

主治医から感情を抑制する頓服薬などを処方してもらい、感情コントロールしました。眠くなってしまうことについては、これまで薬を朝に飲んでいたのを、夜に飲むようにするなど、主治医の意見に基づき対応しています。

まずは薬の服用によるコントロールをしています。長く薬を使っているとある程度は睡眠をコントロールすることができたので対応できるようになりました。

定期的な通院や服薬を徹底することと、気持ちにゆとりを持てるようにリラックスする時間を1日のうち必ず設けるなどして対策しました。

薬でテンションの平板化をはかっている。 無理はしない。 無理してるか気づくように心がける。

人よりもこまめに精神科に通って、薬の調整をしてもらってきました。2週間に1回は通いました。働く以上は、周りへの迷惑も最低限にしないといけないと思っていたので…。あとは、できるだけ休むことを心がけていました。



通院や薬の服用により、安心感が気持ちのゆとりになっている方や、症状そのものをコントロールできる方もいます。不安を少しでも和らげることができれば、仕事に対しても前向きな気持ちになれます。

しかし、眠気や手の震えなどの副作用を生じる薬もあり、逆に仕事の悩みに繋がってしまうケースもあります。副作用が辛い場合は、薬の変更や服用するタイミングを変えることで改善することもありますので、主治医に相談してみましょう。

6.自分に向いている仕事を考える

どのような仕事をするのかということは、仕事を続けるために必要な条件の1つです。多くの人と関わりチームで行う仕事と、同じ仕事をコツコツと自分のペースで行う仕事、この2つだけを比較しても、どちらのタイプが自分に向いているのかという意見は分かれるのではないでしょうか?

今の仕事内容が苦手であれば、毎日続けることは辛くなります。職場内や企業内で別の仕事に変更ができるのであれば、相談することを考えてみましょう。

また、今の仕事が合わなくて転職を考えている方や体調が落ち着き新しい仕事を見つけようとしている方も、次の仕事を長く続けたいと思うのであれば、どんな仕事でも良いわけではありません。

口コミにも、ご自身がやりやすいと思える仕事を選ぶこと、向いている仕事に出会うことで、続けることができたという意見が多くみられます。

出来るだけ人と話さなくていい仕事や、シフトを自分で組める工場で勤めるようにしました。

シフトの都合がつけやすい、短い勤務でも雇ってくれるような仕事を探しました。また、精神疾患なのでストレスがかからないような人間関係と業務内容を重視し、流れ作業の工場で働くことにしました。

私は人と合わせるということが得意ではなく、図書館では一人で黙々とできる作業が多かったために助かりました。

コツコツと変化がなく、いつも同じ作業のものをえらんでいました。



最終的に仕事を選ぶときは、様々な条件を確認する必要があります。しかし、数多くある仕事から、まず自分に向いている仕事を大きく選別していくときは、以下の項目に注目してみると良いでしょう。

  • 仕事内容(業界や職種)
  • 勤務地
  • 働き方や就労条件(シフト制や固定制、始業時間、労働時間、障害者雇用など)
通院している方は、平日の休みがとりやすいシフト制を選択することも1つの方法ですし、障害者雇用であれば通院を考慮した働き方を相談することもできます。ご自身をよく把握した上で、向いている仕事や働き方を見つけていきましょう。

7.双極性障害(躁うつ病)についてオープンにする

仕事を続けるためにご自身でできることを紹介してきましたが、一番必要なことは「双極性障害であることを伝え周囲の理解を得ること」なのかもしれません。

不調になって周りに心配や迷惑をかけてしまうと、それでさらに気持ちが落ち込んだりしてしまうので、上司とも相談して職場で自分の病気を公表することにしました。その結果、周りにも理解が得られ気持ちがラクになりました。

出来る限り、自分の今の状態を客観的に把握することに努め、しんどい時には同僚や上司に「〇〇がしんどいです」と具体的に伝えている。

仕事上で仲良くなった先輩などには、障害・症状を打ち明け、相談できる人を確保していた。

報告・連絡・相談をすることで仕事の進捗具合を細かく相談しました。また、それに合わせて自分の体調の具合についても、細かく報告していました。

病気であることは同僚にうちあけるしかなかった。責任が取れる仕事をするために、シフトはこまめに係長と相談した。

自分の状態を、親しくしてくれる同僚1人に打ち明け、私の様子がおかしい時は、その人が周りの人に説明してくれるようにお願いした。薬の副作用のことについてもしっかりと話し、理解してもらった。



躁とうつの変化があらわれて仕事に影響が出たとしても、それが双極性障害によるものだとわかれば、周囲に相談をしたり協力を求めたりすることもできます。

ここで大切なことは、ご自身の双極性障害について正しく伝えることです。中には、双極性障害という疾患を知っている人もいるでしょう。しかし、症状や特徴には個人差があります。 そのため、以下のような内容を順番に伝えていくと、周囲にも伝わりやすくなります。

  • どのような傾向がみられるのか
  • それによりどのような悩みが生じるのか
  • どのような協力を得られると働きやすくなるのか
自分の双極性障害について伝えるためには、まずご自身が理解していなくてはいけません。また理解を深めるためには、客観的に自分を見つめることも必要です。

このように自分を理解することは難しいと思う方もいらっしゃることと思いますが、ナビゲーションブックなどを使うことでより的確に、より便利にご自身のことをまとめることができますので、一度試してみてはいかがでしょうか?

ご自身の双極性障害についてまとめる方法やナビゲーションブックの作り方を紹介しています。
▼ナビゲーションブックとは?作り方とメリットを紹介


8.最後に

双極性障害により働きづらいと感じ、仕事をすることに戸惑いを感じたり、何度も転職を繰り返したりすることで、今後に不安を覚える方もいらっしゃることと思います。

しかし、双極性障害がありながらも、向いている仕事や職場と出会い、働き続けている方も多くいらっしゃいます。その方々は、今回紹介した口コミにもあるように、働き続けるためのちょっとした心がけや対策を行っていることも事実です。

もちろん、一番重要なのは症状を悪化させたり、再発したりしないことですので、無理のない範囲で、できることから取り組んでみてください。

双極性障害とうまく付き合いながら、少しずつ働きやすさを実感し、仕事を続けられる環境になることを願っています。



【監修者:久木田みすづさんからのアドバイス】

双極性障害でも、個人によって症状の出方はさまざまです。そのため、「自分の場合はどうなのか?」ということに対して、よく気を配っておきましょう。自分の状態をノートなどに記録するのも良いですし、家族などの信頼できる人に客観的に教えてもらったことを書き留めておくこともおすすめです。

また、双極性障害に薬は欠かせないものになります。副作用はもちろんですが、薬によっては定期的な服用が求められ、断薬してしまうと支障が出るケースもありますので、その点もよく主治医と相談してくださいね。





双極性障害により仕事が続かないという悩みは、こちらで紹介しています。ご自身の経験と照らし合わせながらご覧ください。
▼双極性障害(躁うつ病)により仕事が続かない理由とは?

双極性障害(躁うつ病)のある方の体験談はこちらからもご覧いただけます
▼双極性障害(躁うつ病)のある方のお仕事・職場口コミ一覧

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監修者

大学で社会福祉学と心理学を専攻。精神保健福祉士・社会福祉士、認定心理士の資格を取得し、カウンセリングセンターにおいて、メンタルヘルス講座の講師や心理カウンセラーとして活躍する。 その後、いくつかの精神科病院にて、うつ病などの患者さんや、その家族に対するカウンセリング・相談や支援に力を入れる。現在は、主にメンタルヘルス系の記事を執筆するライターとして活動中。

保有資格

著者

障害、病気のある方の企業や仕事に関する口コミサイト「アンブレ」を運営中。 丁寧な取材や口コミの分析を通して、病気や障害の特性に配慮した働き方や仕事との向き合い方を提案。理想の職場に出会うための、そしてより働きやすくなるための情報を発信しております。障害や病気があってもぴったりの仕事を。

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