まずは、仕事が続かない理由を考えてみましょう。
双極性障害だから仕事が続かないという方は、理由をもう一歩先に進めて考えてみてください。双極性障害の何が原因で仕事が続かないのかを知る必要があるからです。
そしてその原因は、仕事をする上での困りごとを知る事で明らかになってきます。
アンブレには、双極性障害のある方からのお仕事に関する体験談が600件以上届いています。その悩みをひとつひとつ見ていくと、「躁状態とうつ状態の変化」に悩む方は多くいらっしゃいますが、それが仕事に与える影響は少しずつ違うことがわかります。
もし、ご自身の仕事が続かない理由を具体的にできないときや確かめたいときは、同じ境遇の方の体験談を参考にしてみましょう。
ここからは、体験談を参考に双極性障害による困りごとを整理して、仕事が続かない理由を分析。その結果をタイプごとに取り上げて紹介していきますので、ご自身の様子と照らし合わせながらご覧ください。
仕事が安定して続かない理由は5つ
双極性障害のある方の体験談(口コミ)を見ていくと、仕事が続かない理由は大きく以下の5つに分類できます。
- 躁状態からうつ状態、うつ状態から躁状態へと気分の浮き沈みが激しく仕事に影響がでてしまう
- コミュニケーションをとるのが苦手
- 神経が過敏で周囲の影響を受けやすい
- ストレスに弱い
- 薬の副作用が仕事に影響する
そして、「1. 躁状態からうつ状態、うつ状態から躁状態へと気分の浮き沈みが激しく仕事に影響がでてしまう」ことに関しては、影響する事柄が人により以下のように異なります。
- 集中力に差がでる
- 気持ちや体調が極端に異なり仕事のペースが不安定になる
- 気持ちや体調の落差から自己嫌悪や罪悪感をもちやすい
- 睡眠障害を生じやすく、翌日の仕事にも影響する
- 状態の変化は急にあらわれるため、遅刻や欠勤をすることがある
次は、それぞれの理由を深く掘り下げてみていきましょう。
仕事が安定して続かない5つの理由を深堀りする
理由1:気分の浮き沈みが激しく、仕事に影響を及ぼす
躁状態とうつ状態を行ったり来たりすることは、仕事にどのような影響を与えるのでしょうか?一番多かったのは、ハイテンションになりやすい躁状態と気分が落ちこむうつ状態では、
仕事の取組み方に差が出ることでした。
その一つに
集中力があります。躁状態の時は仕事のやる気に満ち溢れ、アイデアもどんどん浮かんできます。仕事に対するモチベーションも高く、疲れを感じにくいため集中力が持続します。
しかし、うつ状態の時はどうでしょうか?
躁状態の時とは逆に、仕事に対するモチベーションは低く、何もやりたくない状態が続くため集中力を保つことは難しくなります。そして、
躁状態の時に頑張りすぎた分、うつ状態の時への反動が大きいのも双極性障害の特徴です。
集中力に差があれば、当然仕事を進めるペースにも違いが出てきます。どんどんはかどる躁状態となかなか進まないうつ状態。同じ仕事に取り組んでいても、
仕事を進めるペースは不安定になってしまいます。
これらが双極性障害によるものと知らない方々は、急な変化に驚くことでしょう。
そして、ご自身はその変化が自分の意志ではないことに、もどかしさを感じているのではないでしょうか。さらには一定の配分で仕事ができないことで
自己嫌悪に陥る方や、周囲に迷惑をかけているのではないかという
罪悪感を抱く方も多くいらっしゃいます。
このように、双極性障害により一定のペースで仕事ができない自分が嫌になる、そして周りに迷惑をかけているのではないかと不安が募り職場の居心地が悪くなることが、仕事が続かない1つの理由になっています。
また、双極性障害は睡眠にも影響を及ぼします。
躁状態の時は睡眠欲求が低いため不眠の傾向があります。しかし、睡眠不足により疲れを感じることは少ないでしょう。
うつ状態の時も一般的に不眠になりやすいと言われますが、人によっては「過眠」の傾向が見られることもあります。
このように、双極性障害による
睡眠障害は症状のひとつです。眠れない不眠も、眠りすぎる過眠も、翌朝起きれない、仕事中眠くなるといった影響をおよぼし、仕事が辛くなって続けられなくなる原因の1つになっています。
双極性障害による睡眠障害や気分の激しい浮き沈みは、体調面と精神面に波を生じさせます。波は突然変化することも多く、
その日の体調は朝起きてみないとわからないというケースも少なくありません。朝突然の体調不良に見舞われたとき、仕事を急に休むことはできますか?
無理して仕事に行って思うように仕事ができない、または休みをとりづらい、休めたとしても周囲の目が気になる。このような休むことへの不安は、職場の居心地を悪くし仕事が続けられなくなる原因の1つになっています。
理由2:コミュニケーションをとるのが苦手
双極性障害のある方からは、コミュニケーションをとるのが苦手だという口コミが多く届いています。
うつ状態の時は気分が落ち込みやすく、話すことに積極的になれない場合もあります。
また
双極性障害は、躁状態の時とうつ状態の時で話すテンションが異なるため、周囲を困惑させているのではないかという心配や戸惑いから人と接することを避けがちです。
職場では、何気ない雑談から仕事に必要な会話まで人と話す機会は多く、話す相手も隣席の方から取引先やお客様まで多岐にわたります。
コミュニケーションを必要とする場を苦痛と感じたり、話さなければいけないという義務感を抱え緊張状態が続いたりしていませんか?
もし、コミュニケーションが苦手と感じているのなら、接客や来客対応、電話対応を主とする仕事や対外的な部署での
業務内容が、仕事が続かない理由の1つになることもあります。
理由3:神経が過敏で周囲の影響を受けやすい
双極性障害のある方は、
神経が過敏になりやすく、特に周囲の変化に影響されることがあります。職場であれば、室内の温度、騒音、話し声、イレギュラーな出来事などがそれらにあたります。
例えば、周囲の会話や空調の風が気になり、仕事に集中できなかったり、体調が優れなくなったりすることはありませんか?
その悩みを相談しやすい雰囲気や伝える機会があれば改善も期待できますが、ご自身の中でため込んでしまうと無理をしながら働くことになり仕事は続けづらくなります。
理由4:ストレスに弱い
ストレスはどんな方にも大敵です。過剰なストレスは心身に不調をもたらします。
特に神経が過敏になりがちな
双極性障害のある方は、よりストレスへの耐性が弱くなることもあります。
仕事をすれば、様々なストレス要因に出会います。仕事が続かない理由としてこれまでに紹介したものもストレス要因のひとつです。
つまり、ご自身の悩みや不安を抱えた状態が続くことはストレスとなり、ストレスがたまっていけば心身に悪影響を与えることから仕事は続けられなくなるのです。さらに、ストレスにより双極性障害を悪化させてしまうかもしれないことにも気を付けなくてはなりません。
ストレスをためないためには、ストレスを発散することとストレスになる要因を回避することが必要です。その方法は次の2章と3章で紹介しますので、参考にしてください。
理由5:薬の副作用が仕事に影響する
双極性障害の症状を安定させるために、薬を服用している方もいらっしゃいます。仕事に取り組みやすいように服用しているにも関わらず、その
副作用で仕事中に耐えられないほどの眠気に襲われる方、手の震えで思うように手が動かないという悩みを抱える方もいます。
仕事と向き合いたいと思っているのに、別の症状で我慢や無理をするのは辛いことです。その状況が続けば、やはり仕事を続けることは難しくなるでしょう。
副作用が辛いときは、薬を変えたり、飲むタイミングを見直したりすることで解決することがありますので、主治医に相談してみると良いでしょう。
仕事が続けられない理由を把握したら、次は自分でできることを考える
アンブレに届いた双極性障害に関する口コミをもとに、様々な悩みから仕事が続かない理由を紹介してまいりました。照らし合わせることで、ご自身の続かない理由を把握することはできましたでしょうか?
理由が把握できた方は、次のステップに進みましょう。
次は、仕事を続けるために自分でできることを考えていきます。少しの工夫や対策で、悩みは解決に近づくかもしれません。