アンブレには、ADHDでありがながら仕事を続けている方から多くの口コミが届いています。ここからは、それらの成功体験をもとに、仕事を続けるためにできることを考えていきましょう。
仕事を続けるためには、まずステップ1で述べてきた「仕事が続かない理由」を把握した上で、少しずつ乗り越えていく必要がありますが、そのためには次の2つの方法があります。
- 自分でできる工夫や対策を心がける
- 周囲に協力やサポートを相談する
2章では、「自分でできる工夫や対策」を以下の8つに分けて紹介していきます。
- 空気が読めない人は、周りの人の会話を参考にして一呼吸おくことを心がける
- 優先順位が立てられない人は、メモやチェックリストを作成する
- ケアレスミスをしてしまう人は、ダブルチェックを行う
- 約束が守れない人は、アラームやリマインド機能を活用する
- 片づけられない人・物を紛失しやすい人は、事前準備で大事な物の紛失を防ぐ
- 忘れやすい人は、確認方法を工夫する
- 落ち着かない人は、タイミングをみて動く
- ADHDについてオープンにする
ご自身の悩みに合わせてこれらの対策を取り入れれば、できないことができるようになるなど悩みを解決していくことが期待できます。
しかし、すべてを一度に取り組むことは大変ですので、できることから少しずつ取り組んでみてください。
できそうな対策から取り組んでみる
対策1:空気が読めない人は、周りの人の会話を参考にして一呼吸おくことを心がける
衝動的な行動をとってしまうことや、思ったことをそのまま発言してしまうなど、いわゆる「空気を読む」ことが苦手な方からは、発言や行動を起こす前に一呼吸おくという工夫が寄せられました。
「どのような時に衝動的な発言をしてしまうのか」という自分の傾向を把握しておくと、どのような時に一呼吸おくと良いのかがわかりやすくなります。
また、失言や過度なおしゃべりをしてしまう方は、話すより「聞く」ことに集中したり、話に深入りしないように気を付けたりすると良いでしょう。
「しゃべりすぎている」という自分の状況を客観的に把握するように努めて、気が付いた時には聞き手に回ることを心がければ、失言を減らしていくことができそうですね。
対策2:優先順位が立てられない人は、メモやチェックリストを作成する
仕事や作業を順序立てて行うことが苦手な方には、次のような対策が多く寄せられました。
・メモを活用し、見える所に貼る
・チェックリストを作成して確認しながら仕事を進める
・自分の思い込みだけで優先順位を決めずに、周囲に確認する
優先順位をつけるときは周囲に確認しながら行うと、優先順位をつけるときのルールやコツが少しずつ見えてきますし、勘違いによるミスを減らすことにもなるでしょう。
対策3:ケアレスミスをしてしまう人は、ダブルチェックを行う
「自分でダブルチェックをしているのにミスをしてしまう」という方も多いのではないでしょうか。
ダブルチェックをする際は、次のような対策を実践してみましょう。
・確認事項を整理したマニュアルやチェックリストを事前に作成する
・ダブルチェックをする時間を決め、それ以外のことはせず、じっくり取り組む
・自分で確認した後に周囲にも確認をお願いする
マニュアルやチェックリストを事前に作成しておくと、確認漏れを防止したり作業をスムーズにしたりできますね。さらに、自分で確認した後に周囲の方にもダブルチェックをお願いすれば、よりミスを減らすことができるでしょう。
ケアレスミスは、集中力が低下すると起こりやすくなりますので、集中力を維持することもポイントです。集中力が途切れそうになったらトイレ休憩などをはさみ、あえてその場を離れてリフレッシュすることも心がけてみましょう。
対策4:約束が守れない人は、アラームやリマインド機能を活用する
時間感覚が弱いために、準備に必要な時間を見積もれない方が多くいらっしゃいます。こうした悩みを抱える方からは、スマートフォンやパソコンのアラーム機能やリマインド機能を使って、時間の管理をするという対策が寄せられました。
約束を覚えておくためにメモを取ったのに、そのメモを見ることを忘れてしまったということはありませんか?
アラームは、こうしたケースにも有効ですね。さらに、アラームが鳴れば、一つの作業に集中していても次の作業を思い出すことができるというメリットがあります。
アラームやリマインド機能を活用すると、他の作業に集中しすぎて約束を忘れてしまうということも防げそうですね。
対策5:片づけられない人・物を紛失しやすい人は、事前準備で大事な物の紛失を防ぐ
物が片付いていないことが原因で、仕事で使う道具を紛失してしまうという方は、次のような対策が有効です。
・必要な道具は前日に準備しておく
・必要なものをまとめておく
・物を決まった位置に収納する
事前に必要なものを用意しておけば、心に余裕ができますね。仕事で細々した道具を使う場合は、一つのケースにまとめて入れておいたり、チェーンなどでつないでおいたりすると、失くし物を防ぐことができそうです。
さらに、仕事用のかばんとプライベートのかばんを分けるなどして、物を決まった位置に収納すると、出し入れの機会を最小限に抑えられるので物を失くすリスクを減らすことができます。
対策6:忘れやすい人は、確認方法を工夫する
注意力が散漫になり集中力が途切れてしまうと、指示されたことを忘れたり、作業の工程を飛ばしたりする方もいます。こうした傾向のある方は、やる事を書いたメモや目印を自分のわかりやすい場所に置いておくと良いでしょう。
また、口頭で受けた指示を覚えておくことが苦手な方は、次のような対策が有効です。
・指示を受けたらすぐにメモを取る
・復唱する、声に出して確認する
復唱すると、自分の中でやるべきことが明確になりますし、自分が指示の内容を正しく理解しているかの確認することもできます。
対策7:落ち着かない人は、タイミングをみて動く
じっとしていられず落ち着かない、不安定でイライラしやすい方は、無理にその場に留まって集中しようとせず、少し動いてみると良いでしょう。
しかし突然席を離れるのではなく、「今は席を立ってもよいタイミングだろうか」と、一旦状況を客観的に把握するように努めてみましょう。
じっとしていることが苦手な方は、常に動いていられる仕事を選ぶということも、対策のひとつになります。
対策8:ADHDについてオープンにする
仕事を続けるためにご自身でできることを紹介してきましたが、一番必要なことは「ADHDであることを周囲の方々に伝え理解を得ること」なのかもしれません。
忘れ物や短い集中力は、ADHDであるかどうかに関わらず、多くの人が経験しています。そのため、ADHDへの理解がない方からは、本人の性格によるものと誤解される場合もあります。
ADHDの特性について正しく説明し、ご自身の傾向について周囲の人から理解を得ておくと、より働きやすい環境になるでしょう。理解を得られれば、自分の望むサポートや協力を相談しやすくなります。そのためにも、まずは自分のことをご自身で把握することが大切ですね。
自分で心がける対策に加えて、職場のサポートがあればさらに心強い
ここまでは、仕事を続けるためには、自分の悩みを把握し、自分でできる工夫や対策を心がけることの必要性を紹介してきました。
しかし、工夫や対策だけでは職場を働きやすい環境に変えられないこともあります。できないことは、周囲のサポートや配慮で補うことができれば、より前へ進めますね。
次は、職場に相談したいサポートについて詳しくみていきましょう。