ここからは、ADHDとうまく付き合いながら仕事をするコツを、次の3つに分けて紹介していきます。
- 困りごとへは自分なりの対策を心がけ働きやすくする
- 困りごとは周囲の配慮やサポートを受けながら解決していく
- 自分の強みを知り活かして働く
①困りごとへは自分なりの対策を心がけ働きやすくする
仕事をするうえでの悩みや不安は、少しの工夫と対策を心がけることで緩和できることもあります。まずは、自分のADHDの傾向を理解し、何ができるのか考えてみましょう。
自分でできる対策には、次のようなものがあります。
【自分でできる対策の一例】
- 空気が読めない人は、周りの人の会話を参考にして話す前に一呼吸おいてみる
- 優先順位がわからない人は、メモやチェックリストを活用する
- ケアレスミスは、ダブルチェックで防ぐ
- 約束が守れない人は、アラームやリマインド機能を活用する
- 片づけられない人・物をなくしやすい人に大切なのは場所を決める
- 忘れやすい人は、確認方法をひと工夫する
- 落ち着きがない人は、タイミングをみて動く
例えば電話対応のように、今行っている仕事を止めて対応しなければならない業務にあたった後、直前にしていた作業を忘れてしまうということはありませんか?
こうした場合は、中断する前のことをメモや目印でわかるようにしておくと、元の状態を思い出すきっかけになります。
このような自分でできる対策を見つけるときは、同じADHDの方の体験談がヒントになります。よろしければ、以下のコラムを参考にしてください。
また、仕事を的確に進めようと努力する姿は、周囲の人にもやる気として伝わります。仕事への真摯な姿勢を周囲に認めてもらうことで、職場からのサポートも受けやすくなります。
②困りごとは周囲の配慮やサポートを受けながら解決していく
自分の特性の傾向を把握し、自分なりの対策を行っていても、解決できない困りごとはありますが、そんな時は周囲の方々にサポートをお願いしてみましょう。
ADHDのある方にとって嬉しい職場からのサポートには、以下のようなものがあります。
【ADHDのある方にとって嬉しい職場からのサポートの一例】
- 業務内容を変更してくれる
- 業務量を調整してくれる
- 指示の仕方を工夫してくれる
- 優先順位を明確にしてくれる
- 時間配分のアドバイスやリマインドをしてくれる
- 仕事内容を一緒に確認してくれる
- 程よい距離感を保ちコミュニケーションのとり方を工夫してくれる
- 疲れやすさを考慮してくれる
- 責めないでいてくれる
例えば、あいまいな指示がわかりづらいADHDの方は、指示の仕方に対して以下のような配慮をお願いすると、指示の内容が理解しやすくなります。
- 指示は口頭だけでなく紙やメールなどの文章で渡してくれる
- 図やイラストを使って細かく指示を出してくれる
- 納期日や量などは具体的な数字で示してくれる
- 声かけによりリマインドしてくれる
- メモを取る時間を確保してくれる
このように、指示の仕方ひとつとっても一人ひとりの特性によって必要なサポート内容は異なります。まずは、自分が何に困っていて、どのようなサポートが必要なのかということを把握することが重要です。そして、必要なサポートを適切に職場へ伝えることも大切なポイントです。
③自分の強みを知り活かして働く
ADHDの特性を自分の強みとして活かし働くためには、仕事探しの段階から長所を意識しておくと良いでしょう。
例えば、決まった仕事をもくもくと続けることが得意という方は、パソコンに入力する仕事や同じ作業を続ける軽作業などを選ぶのも有効です。
今の業務が特性に合っていないと悩む方は、職場で強みを活かせる他の業務を探してみましょう。場合によっては、他の部署の仕事の方が向いているという可能性もあります。
職場の人たちも、苦手な作業でミスが増え業務が滞るよりも、得意な作業で能力を発揮して欲しいと思っています。定期的な面談を利用して、業務内容を相談してみるのも良いですね。
その時は、自分の得意なことと苦手なこと、苦手なことに対する自分なりの対策を踏まえた上で必要なサポートについて相談すると、自分の意見に説得力を持たせることができます。