ADHDの人が仕事を続けるコツとは?悩みや対策、強みの活かし方を紹介

ADHDの人が仕事を続けるコツとは?悩みや対策、強みの活かし方を紹介

ADHDの人で「仕事を長く続けることができず転職を繰り返してしまう」「今の職場は自分に合っていない気がする」と悩んでいる人はいらっしゃいませんか?

ADHDのある人は、以下の3点に注目することで仕事が続けやすくなります。

・自分のADHDの特性を把握し、苦手なことや得意なことを知ったうえで工夫をしながら働くこと
・自分で解決が難しいことに対しては職場から適切なサポートを受けること
・強みを活かすこと

今回は、ADHDのある人が仕事をするうえで感じる「悩み」や「自分でできる対策」「強みの活かし方」「必要な職場サポート」などを紹介しながら、ADHDとうまく付き合いながら仕事をするためのコツを紹介していきます。

*この記事は松好伸一先生に監修していただきました
松好伸一先生

石巻専修大学人間学部人間教育学科 特命教授。保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。日本発達支援学会(監事)。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数。




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目次

1.ADHDとは

2.ADHDが仕事に与える影響とは

3.ADHDの強みとは

4.ADHDとうまく付き合いながら仕事をするコツ

5.まとめ

1.ADHDとは

ADHDとは

ADHDは、正式名称を注意欠如・多動性障害といい、「不注意」と「多動・衝動性」を主な特徴とする発達障害のひとつです。

大人になると、子どもの頃に比べて多動性や衝動性による行動は目立たなくなっていき、落ち着きがない、計画的に物事を進めることや感情のコントロールが難しいといった特性が主になっていきます。また、不安や気分の落ち込みや気分の波などの精神的な不調を伴うこともあります。

参考:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」

ADHDの症状

ADHDの症状は大きく分けて「不注意」「多動性」「衝動性」の3つになりますが、多動性と衝動性は重なる特性が多いのでまとめてみていきます。

【不注意】

  • 仕事(以下、家事や育児を含む)や日常生活で不注意ミスが多い
  • 仕事上で注意の持続が困難。「上の空」と周囲から注意される。会議中寝てしまう
  • 仕事の優先順位を考え、計画を立てるのが苦手。仕事を先延ばしにしたり、ためこんだりする
  • 整理整頓が苦手。机に物を積み上げる
  • 落とし物、失くし物、忘れ物が多い(書類、財布、鍵など)
  • スケジュール管理が出来ない。約束を忘れる。遅刻が多い


【多動性・衝動性】

  • いつも落ち着かない感じを与える
  • 身体を動かしていることが多い(顔や身体を触ったり、 貧乏ゆすりをしたり)。じっとしているのが苦手
  • 静かにすることが苦手。おしゃべりとか声が大きいとかいわれる
  • 順番待ちや交通渋滞、その他の待つことが苦手
  • 熟慮せずに発言するまたは行動する。おせっかいや余計な一言が多い


今コラムを読んでいる方の中には、大人になってから上記のようなことを周囲から指摘されて、ADHDの診断を受けたという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

次は、ADHDの特性が仕事に与える影響について、さらに詳しくみていきたいと思います。

参考:公益社団法人 日本精神神経学会

2.ADHDが仕事に与える影響とは

ここまで、ADHDの主な特性についてみてきましたが、こうした特性は仕事にどのような影響を及ぼすのでしょうか? 仕事上の困りごとと照らし合わせてみていきましょう。

【不注意による仕事での困りごと一例】

  • 優先順位をつけることや、順序だてて考えることが苦手
  • マルチタスクが苦手
  • ケアレスミスが多い
  • 締め切りなどの時間が守れない
  • 片付けが苦手、物を紛失しやすい
  • 忘れやすい
  • 仕事や作業に集中できない
【多動性・衝動性による仕事での困りごと一例】

  • 目的のない動きや衝動的な動きをする
  • 感情が不安定になりやすい
  • 過度なおしゃべりや失言がある(空気が読めないと思われる)
  • 暗黙のルールがわからない、人との距離感がわからずコミュニケーションがうまくいかない
例えば、「優先順位をつけることや、順序だてて考えることが苦手」という方は、仕事の内容をざっくり理解したり、目についたものから仕事を進めてしまったりする傾向はありませんか?

そのような傾向は、いざ仕事にとりかかろうとする優先するものの判断ができない、進める順番を意識できないという困りごとに発展することもあります。

これらの困りごとを抱え、働きづらいと感じたり、仕事を続ける自信がないと思ったりする方もいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし、何度も繰り返してしまうこれらの困りごとが、自分の力量不足ではなくADHDの特性によるものとわかれば、必要以上に自分を責めるということも無くなるはずです。

そして、ADHDの特性が仕事に与える影響について理解を深めることもできるようになります。

ADHDの特性が仕事に与える影響について体験談も交えながら詳しく紹介しています。
▼ADHD(注意欠陥・多動性障害)により仕事が続かないという方へ


3.ADHDの強みとは

ADHDの強み

ADHDの特性が仕事に与える影響は、困りごとだけではありません。ADHDには、「強み」として仕事に活かせる特性もあります。

【ADHDの強み】

  • エネルギッシュで行動力がある
  • 発想力が豊かで、違った視点から物事を見ることができる
  • 独創性がある
  • 感受性が強い
  • 興味のあることには集中力を発揮できる


一般的にADHDの方は自己評価が低くなりがちで、「自分に強みなんてない」と考える方もいますし、「苦手なこと」と「やりたくないこと」を混同していることもあります。

そのため、自分の強みを把握する時は、知人や同僚にも聞くなど客観的な意見を参考にするほうが見つけやすいかもしれません。
また、自分の行動を日記のようなもので記録しておくと、行動パターンを意識することができるので、より把握しやすくなります。

このように、困りごとを把握するように、自分の強みについても、主治医、友達、職場の方などの意見を参考にしながら分析してみましょう。

ADHDの強みを活かして働くとは

では、ADHDの強みを活かして働くとはどういうことなのでしょうか?
ここで、一つの例をご紹介します。

ある会社に、細かい作業の繰り返しが得意なAさんがいました。Aさんは商品企画部に配属されましたが新しいアイディアを生み出すことができず「自分はこの職場にいても意味がない」と悩みます。

一方、同じ会社に、おおざっぱだけれど柔軟な発想を持ったBさんがいました。Bさんは商品の点検を担当する部署に配属されましたが、商品の細かな不良を見逃してしまい、毎日のように上司から叱責され「仕事が辛い」と悩んでしまいます。

AさんとBさんは共に仕事に悩んでいますが、働くことに向いていないのでしょうか?

いえ、決してそんなことはありませんね。
もしも二人が、それぞれ逆の業務を任されていれば、結果は違っていたかもしれません。AさんもBさんも、強みを活かしきれていないということに問題があるのです。

強みを活かして働くためには、次のことが大切です。

  • 自分の強みを知ること
  • 自分に強みの仕事への活かし方を知ること
  • 自分の強みを伝えること
必ずしも、職場が本人の適性を見抜いて適材適所に配置してくれるとは限りません。自分自身で強みを見つけて、その強みが発揮できるように仕事の仕方を工夫したり、職場に働きかけたりすることが大切です。

まずは、自分の特性を振り返ってみて、得意なことは何か、好きなことは何か、働きやすい環境はどのような環境なのかを考えてみましょう。

強みを活かす具体的な方法は次の章でご紹介します。

4.ADHDとうまく付き合いながら仕事をするコツ

ここからは、ADHDとうまく付き合いながら仕事をするコツを、次の3つに分けて紹介していきます。

  1. 困りごとへは自分なりの対策を心がけ働きやすくする
  2. 困りごとは周囲の配慮やサポートを受けながら解決していく
  3. 自分の強みを知り活かして働く


①困りごとへは自分なりの対策を心がけ働きやすくする

仕事をするうえでの悩みや不安は、少しの工夫と対策を心がけることで緩和できることもあります。まずは、自分のADHDの傾向を理解し、何ができるのか考えてみましょう。 自分でできる対策には、次のようなものがあります。

【自分でできる対策の一例】

  • 空気が読めない人は、周りの人の会話を参考にして話す前に一呼吸おいてみる
  • 優先順位がわからない人は、メモやチェックリストを活用する
  • ケアレスミスは、ダブルチェックで防ぐ
  • 約束が守れない人は、アラームやリマインド機能を活用する
  • 片づけられない人・物をなくしやすい人に大切なのは場所を決める
  • 忘れやすい人は、確認方法をひと工夫する
  • 落ち着きがない人は、タイミングをみて動く


例えば電話対応のように、今行っている仕事を止めて対応しなければならない業務にあたった後、直前にしていた作業を忘れてしまうということはありませんか?

こうした場合は、中断する前のことをメモや目印でわかるようにしておくと、元の状態を思い出すきっかけになります。

このような自分でできる対策を見つけるときは、同じADHDの方の体験談がヒントになります。よろしければ、以下のコラムを参考にしてください。

ADHDの方から寄せられた体験談とともに働きやすくするためのポイントを紹介しています。
▼ADHDで仕事を休みがちな人にもおすすめ 自分でできる9つの対策


また、仕事を的確に進めようと努力する姿は、周囲の人にもやる気として伝わります。仕事への真摯な姿勢を周囲に認めてもらうことで、職場からのサポートも受けやすくなります。

②困りごとは周囲の配慮やサポートを受けながら解決していく

自分の特性の傾向を把握し、自分なりの対策を行っていても、解決できない困りごとはありますが、そんな時は周囲の方々にサポートをお願いしてみましょう。
ADHDのある方にとって嬉しい職場からのサポートには、以下のようなものがあります。

【ADHDのある方にとって嬉しい職場からのサポートの一例】

  • 業務内容を変更してくれる
  • 業務量を調整してくれる
  • 指示の仕方を工夫してくれる
  • 優先順位を明確にしてくれる
  • 時間配分のアドバイスやリマインドをしてくれる
  • 仕事内容を一緒に確認してくれる
  • 程よい距離感を保ちコミュニケーションのとり方を工夫してくれる
  • 疲れやすさを考慮してくれる
  • 責めないでいてくれる


例えば、あいまいな指示がわかりづらいADHDの方は、指示の仕方に対して以下のような配慮をお願いすると、指示の内容が理解しやすくなります。

  • 指示は口頭だけでなく紙やメールなどの文章で渡してくれる
  • 図やイラストを使って細かく指示を出してくれる
  • 納期日や量などは具体的な数字で示してくれる
  • 声かけによりリマインドしてくれる
  • メモを取る時間を確保してくれる


このように、指示の仕方ひとつとっても一人ひとりの特性によって必要なサポート内容は異なります。まずは、自分が何に困っていて、どのようなサポートが必要なのかということを把握することが重要です。そして、必要なサポートを適切に職場へ伝えることも大切なポイントです。

必要な職場サポートと職場に必要なサポートを相談する方法について詳しく紹介していますので参考にしてください。
▼ADHDが原因による仕事のミスを減らし、働きやすくするためにお願いしたい8つのサポート


③自分の強みを知り活かして働く

ADHDの特性を自分の強みとして活かし働くためには、仕事探しの段階から長所を意識しておくと良いでしょう。
例えば、決まった仕事をもくもくと続けることが得意という方は、パソコンに入力する仕事や同じ作業を続ける軽作業などを選ぶのも有効です。

今の業務が特性に合っていないと悩む方は、職場で強みを活かせる他の業務を探してみましょう。場合によっては、他の部署の仕事の方が向いているという可能性もあります。

職場の人たちも、苦手な作業でミスが増え業務が滞るよりも、得意な作業で能力を発揮して欲しいと思っています。定期的な面談を利用して、業務内容を相談してみるのも良いですね。

その時は、自分の得意なことと苦手なこと、苦手なことに対する自分なりの対策を踏まえた上で必要なサポートについて相談すると、自分の意見に説得力を持たせることができます。

ADHDの方に向いている仕事を紹介しています。
▼ADHDで転職を繰り返す方へ 315人の体験談からわかるオススメの仕事


5.まとめ

ADHDとうまく付き合いながら仕事を続けるためのコツは以下の4点でした。

  • 自分のADHDの特性による傾向を把握し仕事の悩みを明らかにする
  • 困りごとは自分なりの対策を心がけ働きやすくする
  • 困りごとは職場に相談し、必要なサポートを受けながら解決していく
  • 自分の強みを知り活かして働く
これらを実践するためには、仕事内容と悩みを照らし合わせて分析する、自分でできる有効な対策を見つける、自分の強みを見つける、自分に必要なサポートを考えるなど、様々なステップを踏む必要があります。

こうしたステップのすべてを一人で行うことは大変です。また、どこから手をつけていいのかわからないという場合もあるでしょう。

自分の障害や病気のことを把握し説明するためのツール「トリセツ」を使って自己分析するのもおすすめです。自分を知り、働きやすい環境を創り出していけると良いですね。

ADHDとうまく付き合いながら、いきいきと働ける日が続くことを願っています。

【監修者:松好伸一先生からのアドバイス】

自分で自分を評価することに慣れていないかもしれませんが、自分の特性を理解することは仕事を続けるうえで大切なことです。

自分自身がわからない場合には同僚や知人や友人に聞いてみても良いでしょう。家族だと「家族にしか見せない自分」しか見せていませんので、仕事をする上での参考にならないこともあります。

また「自称ADHD」と思われないことも大切ですので、配慮が必要な場合には診断書や手帳などを示し「ただのおっちょこちょいではない」「飽きっぽいのではなく集中力が続かないという特徴がある」ということを明らかにした方が良いこともあります。

ものをなくしたりすることはルーティン化によってある程度解消されますが,スケジュール管理はメモや付箋だけではどうにもならないこともあるため、スマホアプリなど積極的にツールの利用を取り入れていくと良いでしょう。





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▼ナビゲーションブックは難しくない!作ってみよう自分のトリセツ

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監修者

保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数。

保有資格

著者

より望ましい職業の選択や能力開発における相談・助言を専門とする国家資格「キャリアコンサルタント」のほか、米国CCE, Inc.認定の「GCDF-Japanキャリアカウンセラー」の資格を取得。福祉・医療介護分野の研究などにも従事しています。

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