ASD(自閉スペクトラム症)の仕事が続かない悩みを解決!強みと特性を活かして働くコツ

ASD(自閉スペクトラム症)の仕事が続かない悩みを解決!強みと特性を活かして働くコツ

ASD(自閉スペクトラム症)の特性を持つ方の中には、一人でモクモク働ける仕事の時は持ち前の集中力で人一倍成果を上げられるのに、電話対応や接客対応になるとミスを連発して、自分にガッカリしてしまう方もおられるのではないでしょうか。

また、上司の曖昧な指示や業務連絡の意味が分からなくて、何すればよいか分からなかっただけなのに「チームプレイができない人」と誤解されてしまう方もいます。

ASDは見た目では分からないため、上司や周りの人にコミュニケーションが苦手なことを理解してもらえず、相談もできずに孤立してしまうことが多いかもしれませんね。

このように仕事が続かない理由はさまざまです。

ご自身の仕事が続かない理由を考えてみたことがありますか。理由を知ることは、ASDの方の仕事が続かない悩みを解決する手がかりになります。

自分のことを客観的に見るのは簡単ではありませんが、アンブレに届いた口コミを見ると、ASDならではの特性に気づきやすくなります。

このコラムでは、あなたと同じようにASDの特性を持ちながらも、仕事を続けている方の悩みと解決策をまとめました。

以下の3つの点に注目することで、仕事を続けるヒントを発見できるはずです。

・ASDの特性から来る仕事での「困りごと」を知ること
・ASDの特性を「強み」として活かすこと
・自分なりの工夫と周囲のサポートを得ること

ご自身の経験とも照らし合わせつつASDの特性を理解し、仕事との付き合い方を知る機会としてこのコラムを活用なさってください。



*この記事は松好伸一先生に監修していただきました
松好伸一先生

仙台白百合女子大学 人間学部 人間発達学科 講師。保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。日本発達支援学会(監事)。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数。




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目次

1.ASDとは

2.ASDのある人が抱える「仕事が続かない」悩み

3.ASDの特性を「強み」として活かすには

4.ASDのある人が仕事を続けるためのコツ

5.まとめ

1.ASDとは

ASDとは

ASD(Autism Spectrum Disorder)とは発達障害のひとつで、日本語では「自閉スペクトラム症」として知られています。ASDには、自閉症やアスペルガー症候群など、様々な名称で呼ばれていた疾患が含まれています。「スペクトラム」という言葉には「連続体」という意味があり、ASDを持つ人の中でも症状には大きな差があります。

ASDは、生まれつきの脳の機能障害で、育った環境や親のしつけなどが影響しているわけではありません。ASDのなかでもアスペルガー症候群は、言語や知的発達の遅れは見られないため、幼少期には見逃されることが多く、学校生活では成績優秀な生徒であることが少なくありません。しかし、大人になるにつれて対人関係の問題や社会生活の難しさゆえに壁にぶつかるようになり、ASDと診断されることがあります。

今、コラムを読んでおられる方の中にも、大人になってから仕事が続かない悩みなどを経験し、ASDと診断された方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ASDの特徴

一般的なASDの特徴として、対人関係を築くのが不得意なことや、こだわりの強さ、感覚過敏などが社会生活を営むのを難しくさせる要素になります。これらの特性により、仕事の種類や職場環境次第では大きなストレスを抱えてしまいがちです。

ASDの二次障害

ASDの特性は、短所だけではなく長所としても活かされるものです。しかし、本人が強いストレスを感じたり、挫折感を味わったりすることが多いと、うつ病や心身症などの「二次障害」を発症してしまうため、仕事が続かない悩みを抱えることになります。

そこで、ASDを持つ人は自分の特性を良く知り、周囲のサポートを得ながら、二次障害を発症させないように気を付けなければなりません。

では、次にASDの特性が仕事に与える影響を考えてみましょう。

参照:厚生労働省e-ヘルスネット「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について」

2.ASDのある人が抱える「仕事が続かない」悩み

ASDの特性を持っている人には、社会生活や対人関係の問題を招きがちな3つの特徴があります。コミュニケーションの問題、こだわりが強すぎること、感覚が過敏だったり鈍感だったりすることです。

それでは、ASDの人が仕事を続けるうえで、どんな点が悩みとなっているのか口コミから見ていきましょう。

困りごと1:コミュニケーションがうまくいかない

ASDの人は総じて人間関係を築くのが不得意です。人の気持ちを察することが苦手で、言われたことを文字通り受け取ってしまうことがあります。また、目を合わせたり、微笑んだり、豊かな表情を作ったりするのが苦手なため「何を考えているか分からない」とみられることがあります。

ASDならではのコミュニケーションの悩みをさらに詳しく見ていきます。

口頭での指示を理解できない

ASDの人は、上司から出される「指示」を聞きとることが困難です。そのため「話を聞いていない」と誤解されることがあります。

疲れやすい、集中力の維持が難しい、一度に多くの事を言われると混乱する。(女性)
辞める決意をする頃には、仕事(職場)に行っただけで居ても立っても居られないような状態で、何を言われても頭に入らないし、頭の中が痺れるような感覚になっていた。(男性)
口頭での長い説明が頭に入ってこなかったり、内容を勘違いしてしまったこと。(女性)

ASDが指示を聞きとれない理由の一つは、耳から入ってくる情報の処理が苦手だからです。そのため、口頭での指示や業務連絡、電話などが主業務である場合には大きなストレスを抱えることになります。

業務上のちょっとした口頭でのやりとりが負担でした。電話対応はもっとしんどかったです。(女性)
口頭での指示理解が飲み込みにくい。頭の中を整理するのに時間がかかる。(女性)
言われたことがうまく理解できないため、何度も聞かないといけない。(女性)
耳からの情報を頭の中で上手く整理出来ない。(男性)
耳で聞いたことをすぐに理解できない(そのため、音声のみのやりとりとなる電話応対や複数人での打ち合わせが苦手)。(男性)
耳で聞いた情報が記憶できないため、電話対応に苦労しています。(女性)

口頭での指示や業務連絡を理解できないと「指示を無視している」と見られることがあり、職場内での人間関係に支障をきたし、仕事が続かないでしょう。

曖昧なことが苦手

ASDの人は明確なマニュアルがあったり、ルーティーンに従ったりするのは得意ですが、曖昧な指示を出されると混乱してしまう傾向があります。

曖昧な指示が理解できない(特に、人によってやり方の違う作業や、そのときによって柔軟に対応しなければいけない作業)。(女性)
全体像や業務内容や指示されたことの定義がはっきりしていないと業務を遂行することが難しく、立ち止まってしまうときがあった。(女性)
「自分で考えて行動して」など抽象的な指示が多くて混乱してしまった。(その他)
指示が曖昧な言い方だとなかなか理解するのに苦しく、先輩などに質問も難しくて無駄な時間を過ごしてしまう。質問した方が良いのは分かっているがそれができないで困ってしまう。(男性)
特に、わからないことがあったときに周りに聞けない。また、聞くべきことなのか、自分で考えるべきなのか、明確でないあいまいなことが苦手である。(女性)
ASDの人にとって難しいのは、「もっと自分で考えてやってください」とか「雰囲気を察してください」という曖昧な指示です。言葉の背後にある気持ちを理解できずに、何をしてよいかわからなくなってしまうのです。

また、確認したり、分からない気持ちを表現したりすることができずに、職場の中で孤立してしまい仕事が続かない状況が繰り返されるのです。



困りごと2:こだわりが強い

ASDの人は、ひとつのことにのめり込むことがあり、決まった手順や方法にこだわります。この特性は、長所にもなりますが、協力しながら仕事をしている職場環境ではトラブルの原因になりがちです。

集中しすぎてしまう

ASDは得意なことや、好きなことには徹底的に集中します。この特性は周りが見えなくなる危険もあることを意味します。

業務の際中にどうしても過集中状態になってしまいがち。(男性)
ASDの特徴で、夢中になったり興奮すると、時間に気づかず進めてしまい、エネルギーが無くなってしまう。(男性)
自分の中でのこだわりポイントがあるところです。気をつけないと見直し作業に必要以上に時間がかかってしまいます。(女性)
自閉スペクトラム症障害。一般的なコミュニケーションや空気を読むことが苦手。自分の中でのルールなど、強いこだわりを持つことが多く、他人や集団に合わせて行動することが難しい。(女性)
発達障害により、仕事上の優先順位を付ける事が苦手であり、重要な案件を後回しにしてしまったり、今する必要の無い事をやり続けてしまう。また、自分のやり方にこだわってしまう為、職場内の連携を乱してしまうことが多く、人間関係の悪化を招いてしまう。(男性)


臨機応変な対応ができない

ASDは、自分だけのルールを作り、それが乱されるとパニックになったり、対応できなくなってしまったりすることがあります。そのため、臨機応変な対応が求められるような仕事では問題を抱えがちです。

予定外の事が起こると焦ってしまい余計に失敗ばかりしてしまう。(女性)
私は臨機応変な対応が苦手で一つのことを黙々と作業している時に急に違うことを頼まれると自分の中にあるスケジュールが狂ってしまい頭の中でパニック状態になります。何時頃にどの作業をしてその作業が終わったらこれ…。というように自分の中でルーティーンがあるのです。それを理解してもらうのにも大変でした。また、マルチタスクが苦手で一度に2つ以上のことをこなすことができません。スーパーにはレジがありますが、レジはレジ打ち、商品をカゴに移す、お客様対応など一度に複数のことをこなします。私には難しいことです。(女性)
自閉スペクトラム症の特徴として想像力が欠如しているため、想定外のことが起きるとパニックに陥りやすいというものがあります。お店では毎日のお客様や関連業者様、本部への対応は常に想定外の連続でした。・・・ひとつの作業中にほかのことを言われると優先順位がわからず固まってしまうことなどがありました。(女性)
業務上の急な予定変更があった場合に臨機応変な対応ができず、パニックになることもあります。(男性)

職人仕事のように、一人で技術を磨き上げていくような仕事であれば、ASDの特性が長所になりますが、チームプレイが求められる職場では浮いてしまうことが多いでしょう。

また、既存のルーティーンや職務の内容に変更が受け入れにくいのもASDの特性になります。例えば「来週から朝礼で一人一言今日の目標を言ってもらいます」とか、「明日から始業前に掃除をします」などといった提案など、周りの方は仕方が無いと言って受け入れるようなことも強い拒否を示し、時には退職のきっかけになることもあります。

急な変更を受け入れられないことが積み重なると、本人も周囲もストレスを感じるようになり、仕事が続かない状況になってしまうのです。



困りごと3:感覚過敏

ASDは聴覚や触覚などの感覚が過敏になって、普通の人が気づかないようなことも、大きなストレスになります。

聴覚過敏の為に騒がしい場所が苦手です。疲れてくると、音が大きく聞こえ過ぎ、更にストレスになって体調を崩します。(女性)
視覚と聴覚がとりわけ敏感で、見たもの聞いた言葉を全て拾ってしまい、頭の中がすぐにいっぱいになりパンク状態となります。厳しい言葉や大きな音も全て拾うので常に神経が高ぶっている状態で消耗が激しいです。(男性)
感覚過敏で音が非常に苦手。作業中、ガムテープを使う機会が多くそれを剥がす音を聞いていると体調を悪くしてしまう。他にも音の処理が苦手で、何をいっているのかよく分からないことがある。(女性)
感覚過敏によるストレスです。コールセンターという職場の性質上、至るところで電話のコール音が鳴り響き応対をするオペレーターの声があちらこちらから聞こえます。聴覚過敏の中でも人の話し声が苦手なタイプで、尚且つ色々な音の中から必要な音を聞き取る能力が低い私にとっては鬼門と言ってもいい環境でした。働き始めて二ヶ月目以降になると、そのストレスからフルタイムで働くことも難しい程体調を崩してしまいました。(女性)

感覚過敏を持つASDの人が合わない仕事や職場環境を選んでしまうと、その場にいること自体が大きなストレスになってしまいます。何の対策もしなければ、ASDの特性に向いていない仕事は続かないでしょう。



困りごと4:理解されない

ASDの特性は見た目では分かりづらいものです。ASDの人は、仕事を遂行する能力や学力は高いため、「怠けている」とか「非協力的だ」と見なされ、周囲からの理解を得るのが難しい場合があります。

見た目では分からない

最近ではテレビでも発達障害の事は取り上げられるようになったが、私が働き出した頃は自分でも障害の事をよく分かっていなかったくらいの認知のレベルで、目に見える障害ではないのでコミュニケーションの面ではかなり苦労した。(女性)
目に見えない病気であるため、理解されるということが難しく、円滑な人付き合いが困難になることもありました。(女性)
自分にとっては共通の話題が持てない人達がほとんどで、雑談についていけず、昼食の時間はいつも手の震えが止まりませんでした。(女性)
相手との信頼を築くためにも休憩時に話をするが、なかなか会話のキャッチボールが続かない。(女性)

ASDは特にコミュニケーションに障害を抱えることが多いため、同僚と親しくなることができず「変わり者」と見なされてしまうことがあります。

ここまで見てきた、ASDの特性は仕事を続けていくうえでの困りごとになります。しかし、ASDの特性は、同時に「強み」にもなります。

では、次に、ASDの長所を活かす方法を考えてみましょう。

3.ASDの特性を「強み」として活かすには

ASDの持つ特性は強みと弱みの凸凹があることです。つまり、極端に得意なことと、苦手なことがあり、バランスをとるのが課題になります。

しかし、ASDの特性は上手に活用されるなら際立った長所ともなり、普通の人にはない「強み」となることもあります。

ASDの持つ強みをいくつか挙げてみましょう。

集中力の高さや、持続力

一人で行える仕事を受け持っている場合には、一心不乱に仕事に打ち込み高い成果を上げることも多いでしょう。エンジニアや技術職、職人仕事などに就いている場合は、ASDの特性が弱みになることはありません。

几帳面でルールを守る

ASDの人は決まったルールやルーティーンに従って動くのが得意です。そのため、毎日・毎週・毎月、繰り返される仕事を確実にこなすことができます。また、人間関係に左右されずに法令遵守することができるのも長所になるでしょう。事務職や経理、法務などの仕事に向いている可能性があります。

このように、ASDの特性を活かせる仕事に就いている場合は、仕事が続かない悩みを抱えることはほとんどありません。

もちろん、現在、ASDの特性に合った仕事を選べている人はそれほど多くないかもしれません。しかし、今行っている業務の中で強みとなることに集中して成果を上げるなら、会社にとって必要な人材になることができます。

ASDの強みを活かして欠かせない人材となる

一人でコツコツ行う仕事や集中力の必要な仕事で際立った成果を上げれば、電話対応や接客など苦手分野を別の社員に変わってもらえるかもしれません。「〇〇の分野なら、〇〇さんにまかせれば安心だ」と思ってもらえるなら、苦手な仕事をフォローしてくれる人も出てくるでしょう。

そのためには、ASDを持つ人自身が自分の特性をよく理解し、会社にどのように貢献できるかを考えることが大切です。また、可能な限り、周囲の人や上司とコミュニケーションをとり、得意な業務を任せてもらう努力が欠かせないでしょう。

では、次に、ASDの人が仕事を続けるためのコツを紹介しましょう。

4.ASDのある人が仕事を続けるためのコツ

ここからは、ASDとうまく付き合いながら仕事を続けるためのコツを紹介します。自分でできることと、周囲の協力を得ることを意識しましょう。

自分なりにできること

自分のことをよく理解しているASDの人は、ストレスを味わわずに仕事を続けられるでしょう。ASDを持つ多くの人に役立っている工夫があります。

メモをとること

ASDの人は口頭での指示を聞きとることができずに、混乱してしまうことがあります。それは、ASDの特徴の一つとして、耳から入ってくる情報を処理する能力が弱いからです。しかし、その一方で視覚情報には強い特徴があるので、メモを頻繁にとることで問題が軽減することがあります。

指示や業務連絡をメールやメッセンジャーなどのテキスト情報で受け取れるようにお願いしたり、聞いた内容を図解したりイメージで書き直したりして、自分が確実に理解できる方法で情報処理するように努力できます。

確認をすること

ASDの人は曖昧な指示を受けると混乱します。さらにASDの特性ゆえに、コミュニケーションが苦手で指示の内容を確認しないまま、仕事を行ってトラブルを抱えがちです。そこで、小さなことでも確認したり、相談したりする習慣を身につけると、トラブルを最小限に抑えることができます。

ASDの人は「何度も確認すると、しつこく思われるのではないか」と考えてコミュニケーションを躊躇することがあります。そこで、上司や同僚に「自分は指示を誤解してしまうことがあるので、何度も確認させてください」とお願いしておくのがよいでしょう。就労前の面接で伝えることもできますし、上司との定期的な面談の際に相談してみることもできます。

自分なりのマニュアルを作ること

ASDの人は想定外の事態に弱く、臨機応変な対応ができないことが多いでしょう。しかし、決まった通りに行動するのは得意なので、業務の中で発生する様々な事態にどう対応するかを、あらかじめ決めておくことができます。自分なりのマニュアルや、作業手順のチェックリストを作っておけば、その通りに行動すればよいので迷うことが少なくなります。

仕事内容によっては、予想できない問題が生じることもありますが、「〇〇の時は、上司に相談・報告する」と決めておくだけで、パニックを起こさなくなるでしょう。

専門家に相談すること

大人になってからASDと診断された人は、自分の特性を十分に理解していないことがあります。そのため、本人の努力ではどうしようもないことを頑張り続けてしまったり、無理して周囲に自分を合わせようとしたりして限界を越えてしまうかもしれません。

ASDの人が自分自身のことを理解するのは簡単ではありません。そのような場合は、専門家に相談することができます。職場に産業医や産業カウンセラーがいるなら、定期的にカウンセリングを活用するのも良いでしょう。また、受診している医師から生活上のアドバイスを受けて、自分自身のことを、よく知るようになった人もいます。

周囲の協力を得ること

ASDの特性が分かっていないと、周囲の人もストレスを感じ仕事が続かない状況が繰り返されます。そこで、上手に自分の特性を伝えることが大切です。

上司や同僚の理解を得ること

とくに、仕事上の指示を直接受ける上司には、ASDの特性について知ってもらうなら仕事がしやすいでしょう。

また、同僚の理解を得るなら、仕事中にノイズキャンセリング機能付きのイヤホンをさせてもらったり、苦手な電話対応や接客などを交代してもらったりできるかもしれません。

発達障害に対しての理解が少ない職場では、必ずしもASDについて直接話す必要はありません。その代わりに、ASDの特性を分かりやすく伝えられるようにしましょう。

「自分はコミュニケーションが苦手なので失礼な対応をしてしまうことがあるかもしれない」
「電話が聞き取れないことがあるので、替わってもらえると助かる」
「指示や連絡を忘れやすいのでメモをしたり、確認したりしている」

障害を持っていない人にも、多かれ少なかれ得手不得手があるので、ASDの特性を具体的に伝えるなら理解してもらいやすいでしょう。職場で互いにサポートし合える環境を作れるなら、仕事を続けることができるはずです。

5.まとめ

ASDは生まれつき持つ脳機能の特性なので、治ることはありません。しかし、自分の特性を理解して能力を上手に使うことはできます。

どんな仕事・業務の時にストレスを感じるのかを分析して、自分の苦手分野をカバーできるような工夫をすることが大事です。メモをとったり、報告や相談をしたり、自分なりのマニュアルを作ることもできます。

上司や同僚など、周囲の人にASDの特性を知ってもらい、サポートを受けるなら仕事上のストレスも大幅に軽減されるはずです。

ASDの人が持つ強みを活かせるなら、会社にとっても大きな戦力になりますし、上司や同僚から頼りにされる人材になれるでしょう。

このコラムをご覧になった方が、これまで抱えてきた悩みを克復し、ASDとうまく付き合いつつ、楽しみながら仕事を続けていかれることを願っています。



【監修者:松好伸一先生からのアドバイス】

ASDの人は特にこだわりや思い込みが強く、仕事に支障をきたすことが多いので、まずは自分の傾向を把握することが大切です。自分だけでなく知人や友人に教えてもらい、「他者からどう見えるのか」を理解しておくとよいでしょう。

家族は「家族にしか見せてない自分」の印象の方が強くなるので、「職場の自分の姿」の参考にはなりにくく、むしろ「家族からの評価」が「知人や友人からの評価」と大きく違うことで混乱してしまうことがあります。

自分が「支障をきたしている」と思っていること以外にも、周りの人が感じていることがあるかもしれません。職場でも同僚などにそれとなく聞いてみても良いでしょう。自分の傾向の理解によって自分でも対策ができるようになると思いますし、同僚に聞くことで「自分なりに改善しようと思っているんだな」と思ってもらうことにもつながります。

そして、同僚等からの指摘や意見などマイナスばかりではなく、プラスの評価も聞けると良いでしょう。自分の強味も意外にわかっていないことがありますので。

また、プライドが高い傾向もあるので、「自分のことわかってくれない」と思うことや、「それは自分がやる仕事なのか?」と考えることもあります。そのため「指摘されたくない」と考え、「報告・連絡・相談」をおろそかにしてしまうこともあります。そういう面も自分で理解して、少しでも円滑な人間関係の構築につなげていきましょう。




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監修者

保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数で、2022年3月29日「幼児教育方法論」(共著・一藝社)を刊行。

保有資格

著者

発達障害・心理系のコンテンツを発信するWEBライター。大学で臨床心理学を学び、発達障害や精神疾患への知見を深める。自身もADHD(グレーゾーン)でありつつ社会で働いた経験や、事業を経営してきた経験をもとに、ADHDの仕事・働き方に関する著書を出版。障害を持たれる方が、自分の強みを理解し、イキイキと働けるように支援する活動をライフワークとしている。著書「ADHDの集中力アナドレン: 発達障害に負けない仕事術・タスク管理術 」「大人のADHD読書術」も好評。

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