発達障害の方が転職に成功するコツとは? 向いている仕事の探し方を紹介

発達障害の方が転職に成功するコツとは? 向いている仕事の探し方を紹介

発達障害の方の中には、何度も転職を繰り返す方もいます。転職に失敗した経験が続くと、次の仕事探しに不安を感じたり、怖くなったりすることもあるのではないでしょうか?

しかし、転職を繰り返す理由が発達障害の特性と関係しているのであれば、今後の転職活動に向けた対策を考えることができます。

・コツコツと行う仕事を得意とするのに、苦手な電話対応を任されている
・マルチタスクが苦手なのに、色々な人から指示がくる

このように、自分の得手不得手とすることと業務を照らし合わせることで、自分の適職を見つけることができます。まずは、自分の発達障害の特性について理解していきましょう。

そのためには、自分を客観的に見ることが必要ですが、その時に役立つのが、発達障害を持ちながらも転職に成功した方たちの口コミです。

このコラムでは、アンブレに届いた口コミを参考にしながら、発達障害の方が転職を繰り返す理由や、転職を繰り返さないためのポイントを考察します。コラムを読みながら、ご自分の特性についての理解を深め、発達障害があっても転職に成功するためのコツを探ってみてください。

*この記事は松好伸一先生に監修していただきました
松好伸一先生

仙台白百合女子大学 人間学部 人間発達学科 講師。保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。日本発達支援学会(監事)。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数。




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目次

1.発達障害とは

2.発達障害の特性

3.発達障害の方が転職を繰り返す理由

4.発達障害者の方が転職を繰り返さないために必要な2つのポイント

5.発達障害の方が適職を見つけるための転職活動の方法

6.まとめ

1.発達障害とは

発達障害とは、生まれつき脳の働き方(特性)に偏りがある障害の総称です。実際に発達障害と診断される際には、ASD(自閉症スペクトラム症)・ADHD(注意欠如・多動症)・LD(学習障害)などの個別の障害名で呼ばれます。

発達障害は複数の障害が重複して現れることも多く、人により不便を感じる状況は異なります。そのため、正確な診断を受けるのは簡単ではありません。発達障害の方が持つ特性は生まれつきのものですが、大人になってから仕事上のトラブルや対人関係の問題を経験し、発達障害を自覚するようになる方もいます。

2.発達障害の特性

発達障害の特性は様々ですが、一般的には下記のような症状を経験する方が多いでしょう。

できること・できないことの差が大きい

発達障害は能力的に向き、不向きがはっきりとしている。苦手な仕事に就くと、力を発揮しにくくなる。男性
できる仕事とできない仕事の差が酷く、仕事によっては取り返しのつかない失敗をして鬱になる。女性
とにかく言われたことができないことで非常に居辛い環境に陥ったりしました。男性

発達障害の方には共通の特徴があります。それは、できること・できないことの差が大きいことです。発達障害の特性は長所にも短所にもなります。そのため、発達障害の生きづらさを改善するには、自分の特性をよく知ることが必要です。


臨機応変な対応が難しい

場に応じた臨機応変な対応が苦手。女性
想定外のことがあったら思考が止まる。どう動いていいかわからなくなる。女性
急かされて自分のペースが乱れてしまうと過呼吸になってしまいます。女性
予定外のことが起きるとパニックになりやすい。複数の作業が苦手。男性
教わったことにはその通りに対応することができますが、イレギュラーな事が起きた場合に質問したいのに、相手のタイミングが良くないことが多く、どうすればよいのか困り、非常に焦りを感じてしまいます。その他

発達障害の方は、決められた物事を丁寧に行う能力があります。その一方で、マニュアルにない状況に直面するとパニックになってしまいがちです。そのため、臨機応変な対応が求められるような場面では、強みを活かせないことが多いでしょう。


マルチタスクが苦手

マルチタスクが苦手で色々な人からお仕事をもらうとパニクってしまう所があります。女性
マルチタスクができず、基本1つのことにしか集中できない。 男性
あと、目の前の作業に集中できないこと。すぐに気が散って注意散漫になってしまう。マルチタスク能力も欠如していたのでテキパキと要領良く動くことが出来なかった。男性
書類作業は読むのが困難です。マルチタスクが苦手なので、仕事は一つずつしかこなせないです。男性

発達障害の方は、ひとつのことに打ち込む優れた集中力を持っている方もいます。その一方、複数の仕事を並行して行うマルチタスクが苦手だと感じる方が多いようです。たくさんの仕事を前にすると、固まってしまいミスが多くなる方もいます。


コミュニケーションが苦手

他人とコミュニケーションを取ることが大きなストレスになる。特に口頭でのやりとりが苦手なため、上司に質問する際などに上手く伝えられないことがある。女性
人とのコミュニケーションも苦痛に感じることも多く、同僚や上司とも事務的な会話しかしないことが多い。男性
対人関係が思うようにいかず、どこの仕事場でも孤立する。男性
職場での雑談等のコミュニケーションが不得意で人間関係が行き詰ってしまう傾向にある。女性

発達障害の方は、空気を読むような曖昧なコミュニケーションが苦手です。
発達障害の特性のゆえに、指示を理解できなかったり、相談するタイミングが分からなかったりするため、「不真面目だ」とか「怠けている」という不本意な評価を受けることもあります。

また、自己肯定感が低いために「自分が口を出しても…」「手伝った方がいいかな…でも邪魔かも」と思ってしまうことや、会話のパターンからの返事をいくつも想定してしまい「どう返事したら適切なのか…」と固まってしまうこともあります。
さらに「理解されない」と自分から周りを拒否してしまうケースも少なくありません。

こうした発達障害の特性は、大人になって仕事を始めるようになると徐々に表面化することが多いでしょう。

参照:厚生労働省 みんなのメンタルヘルス 発達障害


3.発達障害の方が転職を繰り返す理由

発達障害の方は、繰り返す転職や短期間で仕事をやめてしまう経験から、仕事をすることに自信を失くしがちです。しかし、その理由が分かれば対処法を見つけられます。そして自分の特性を知れば、転職に成功する秘訣もつかめるはずです。

発達障害の方が転職を繰り返す理由は2つあります。

  • 仕事が向いていない
  • 職場環境が合っていない

発達障害で悩みつつ、仕事を続けることが難しいと感じている方の口コミを詳しく分析してみましょう。


仕事が向いていない

発達障害の方が共通して持っている特性は、できること・できないことの差が大きいことです。

発達障害は、生まれつきの特性なので、努力して克復できるものではありません。そのため、自分の特性に向いていない仕事を選ぶと、続けることができず転職を繰り返すことになりがちです。

では、発達障害の方に向いていない仕事とは、どのような仕事なのでしょうか。いくつか例をあげてみましょう。

マルチタスクが求められる仕事

受付業務をしながら、請求作業をして、電話が鳴った場合にはその対応をする必要があり、作業ごとの切り替えがしにくく、自分はマルチタスクが苦手だとそのときに気づきました。女性
生活の為勤務時間を増やせるか勤務先に相談したところ、事務と保育補助を掛け持ちすることになりました。しかし、事務の業務が上手く出来ず、人間関係に問題もない為何かおかしいと思い心療内科を受診したところ発達障害の診断が下りました。その旨を勤務先に報告し、事務の業務はやめ、保育補助のみに専念しましたが指示が聞き取れない、マルチタスクがない為、同時に様々な業務をこなすことに限界を感じました。女性
ミーティングで話し合われていることを「聞く」ことと「メモをする」ことを同時に行うマルチタスクは、私には難しく、他の仕事ができてもこれが基で上司や同僚の足を引っ張ることは私も心が痛み、仕事が終わった後も辛かったです。男性
マルチタスク能力が欠如していたので、言われたことをあれこれテキパキとやるということはできませんでした。ミスや物忘れも多かったと思います。機転も効きませんでした。なので、周囲との軋轢もだいぶありました。とにかく当時は自分の病気を理解できていなかったので、向いてない職場についてしまったと思います。男性


発達障害の方は丁寧に仕事することが多いため、たくさんの指示を一気に与えられるとパニックになってしまいがちです。仕事のペースが速く、常に複数の作業を並行して行うことが求められる業務に割り当てられると、能率が下がりミスを連発してしまいます。

また、優先順位をつけて作業に取り組んだり、複数のプロジェクトを管理したりするのも苦手に感じる方が多いでしょう。そのため、複雑な仕事を任されると、混乱してしまい職場内で皆の足を引っ張ってしまうことになります。


コミュニケーションが欠かせない仕事

1度にたくさんの指示があると、パニックになることがある。また、口頭での指示が理解できていなかったりすることがある。コミュニケーションが苦手。女性
他人とコミュニケーションを取ることが大きなストレスになる。特に口頭でのやりとりが苦手なため、上司に質問する際などに上手く伝えられないことがある。女性
他の店員さんとのコミュニケーションが上手くとれなかったり、お客さんへの接客の対応が上手くできなかったりしました。人が話している言葉が早かったりすると聞き取れないことが多く、聞き返すとお客さんがイライラしてしまったりしました。混んでくると片付けや接客など仕事の優先順位がわからなくなり、お客さんを待たせることが多くなってしまいました。女性
人事異動が多く、新入社員のうちはまず社会人生活に適応できやすくするために販売部門を経験させられました。もちろん接客や電話の応対がなかなかできませんでした。女性


発達障害の方にとって、コミュニケーションが欠かせない仕事はストレスになりがちです。発達障害の方は、曖昧な指示を理解するのに時間がかかったり、報告・連絡・相談が苦手だったりするので、職場内の対人トラブルを抱えることが多いでしょう。また、空気を読んで機敏に動くことが求められる接客の仕事が難しい方もいます。

そのような特性をお持ちの方は、人数の多い職場や、勤務時間中は常にコミュニケーションが求められるような仕事は向いていないでしょう。


電話対応の多い仕事

電話対応が苦手で困りました。具体的には、短期記憶が弱いために電話の対応をしていても、相手の言っていることを聞いたそばから忘れてしまったり、メモが抜けていたりしました。女性
電話応対は出来ないと伝えたはずなのに、部屋に誰もいない時があり出ないといけなくなりとても困った。何度言っても少しお願いと上から言われるのでとても辛かった。健常者と同じ扱いで何も配慮がなかったのでしんどいしかなかった。女性
メモをしながら電話応対ができなくて、相手から聞いた言葉が理解できず、周りに伝わりませんでした。 女性
記憶力は凄くいいが、電話でのコミュニケーションが全く取れない。電話を切ったときに相手が何を伝えたかったのか、自分が何と答えたのか覚えていない。男性


発達障害の方はマルチタスクが苦手です。耳から入る情報をメモしながら理解していく電話対応は、マルチタスクを必要とします。

また、短期記憶に障害を持っていると、相手の話を正確に復唱したりするのが難しくなります。このような特性を持つ発達障害の方が、電話対応を主業務にする仕事を選んでしまうとストレスが大きくなるでしょう。


管理職としての仕事

発達障害が管理職をやるのは無理だった。人望も信頼もどんどん失っていき、最後は精神的にも肉体的にも失調をきたした。男性
出世して部下を数人任されるようになってから、精神的にかなり辛くなり、上司に相談の上、病院を受診したところ、うつ病の1歩手前と分かり休職させてもらいました。入院し、休養を取りながら精密検査を受けていく段階で、発達障害である事がわかりました。男性


もともとは、自分のペースに合う適職に就いていた方でも、管理職になったことがきっかけになり、仕事を続けられなくなってしまう場合があります。

管理職になると業務の範囲が広がります。部下とのコミュニケーション能力が必要になったり、プロジェクト管理能力が求められるようになったりするので、自分のキャパシティを超えてしまうことがあります。向いていない仕事を無理して行おうとすると、うつ病や適応障害などの二次障害を抱えるようになるかもしれません。

職場環境が合っていない 自分に向いている仕事を選んでいる場合でも、職場環境が合っていないと仕事を続けられなくなります。具体的にどのような職場環境がふさわしくないのでしょうか。


発達障害への理解不足

発達障害に関しては概念すら知らない人がほとんどでした。私はただの無能な間抜け者として認識されていました。女性
残念なことしかなかった。入社時に聞かされていなかったセールスをさせられる、誰一人として障害に理解がない、先輩からいじめられて辛い思いをした。女性
次々と業務を変えられ、全く慣れることができなかった。障害への配慮もしているつもりでも全く不足で、「あなたの支援にかける時間が多すぎて通所者を支援できない」と言われ、ハローワークの定着支援も断られた。負担が強すぎてうつ病を再発しそうになり、4ヶ月で退職した。女性
真面目そうに見えるのにだらしない奴というような評価をされていました。男性
上司や先輩に相談しても「気の持ちようでしょ」と一蹴されてしまい、全く理解を得られなかったことから、鬱が悪化してしまいました。会社に迷惑をかけてしまったとも思っているので、申し訳なさはあるのですが、「いない方がマシ」「やる気ないなら帰って」など、誤解からの酷い暴言を受けるなどしました。配慮以前の問題かとも思います。女性


発達障害は目に見えない障害のため、周囲の人に誤解されてしまうことが多いでしょう。専門知識を持たない一般の人が発達障害を理解するのは難しいことです。発達障害をオープンにして働いている場合でも、同僚全員が発達障害に対して理解を持っているわけではありません。

発達障害の中でもADHDをお持ちの方は、単純なミスを繰り返したり、指示を受けても誤解してしまったりするため「不真面目な人」と見られがちです。また、ASDをお持ちの方は、空気を読む曖昧なコミュニケーションが苦手なため「ぶっきらぼうな人」・「無礼な人」と評価される場合があります。

このように、発達障害への理解が不足していることが原因で、人格を否定されるような扱いを受けて退職に追い込まれる方もいます。


サポートを得られない

苦手な電話対応をしているときも助けてくれない、そして約束をしてした月に一度の上司との面談も実施されない……と、一切の気遣いが感じられなかった。おかげですぐに仕事を辞めざるを得なくなり、辛い思いばかりだった。女性
困ったことがあって相談しても助けてもらえない。厳しいベテランアルバイトやパートの方から叱責させる。職場でいじわるされる。仕事を与えてもらえないか業務遂行不能な量を与えられる。男性
入社当時は障害の事を自分が知らなかったので配慮を求めたりしなかった。 数年たってだんだんと仕事についていけない事が多くなったので、どこに助けを求めれば良いのかわからず居辛くなって退職した。男性
入社してから2年間は社員全員が自分の障害を理解してくれたり優しく接してくれて安心感があった。しかし、急にピリピリした空気になり上の人から厳しい言葉を浴びせられ、それに耐えきれなくなって退職した。男性


発達障害を持っていることを伝えたうえで入社したとしても、苦手な業務のサポートが得られなかったり、周囲の配慮が無かったりするため仕事を続けられなくなる方もいます。身近に相談できる人がおらず孤立してしまうこともあります。そのため、発達障害を持つ方が転職を成功させるためには、相互に強み・弱みを理解し、サポートし合う雰囲気の職場を選ぶ必要があるでしょう。

ここまで考えたように、発達障害をお持ちの方が転職を繰り返してしまう理由を理解すると、どんな仕事・職場を選べばよいのかが見えてきたのではないでしょうか。

転職を繰り返さないために発達障害の方ができることがあるでしょうか。次のその点を考えましょう。

4.発達障害者の方が転職を繰り返さないために必要な2つのポイント

ここからは、発達障害をお持ちの方が転職を繰り返さないために必要なことを考えましょう。
ポイントは2つの点です。

  • 自分の得意分野を知り、向いている仕事や適職を探すこと
  • 自分の苦手なことを知り、工夫すること

発達障害を持っていても転職に成功している人たちの口コミを見て分析してみましょう。


自分の得意分野を知り、向いている仕事や適職を探すこと

向いている仕事を選び自分の強みを発揮できている状況では、発達障害は「障害」とみなされることはありません。むしろ、会社の戦力とみなされ重宝されるでしょう。

そのため、発達障害の方が転職を成功させるためには、自分の得意分野を知り、適職を選ぶことが大切なのです。

そこで、ここからは、発達障害の特性を理解したうえで適職を見つけた方の口コミを見てみましょう。

マイペースで行える仕事

一度仕事を覚えてしまえば単調な仕事の連続でありますので、障害持ちでも非常に楽でありました。極力上司に障害の状況を伝える形で、単純労務職という形で、誰でもできる仕事をさせて頂けるようにしております。男性
研修があり形式的な手順(説明・必要項目記入)を理解し接客対応はある程度出来たと思いましたが、あまり調子が良くない時は言葉は出ずらい時がありました。ただイレギュラーも少ない仕事で対応できました。契約は形式的な説明で十分でしたので(まれにイレギュラーな質問等はありますが)研修や日々の仕事で対応を学べば仕事をこなせたからです。男性
マニュアルがきちんとして、臨機応変な態度を求められるような業務は外して頂くよう配慮して頂いてます。女性
人によるかもしれませんが、マルチタスクを求められるお仕事は避けた方がいいかもしれません。臨機応変な対応をしなければならないお仕事より、毎日同じような作業を繰り返すお仕事の方がいいかと思います。後は、マニュアルがしっかりしていそうなお仕事がいいと思います。女性


発達障害の方は自分のペースを守り、コツコツと進められる仕事に向いています。一つのことを継続する力や集中力を活かして成功している方もいます。

マニュアルがあり、イレギュラーな対応が必要ない仕事を選んでいる方は、発達障害の特性を強みとして評価されていることが多いようです。


精神的な負担の軽い仕事

運搬車を使っての部品運搬や空箱回収作業、入荷品の検品とその管理などが中心です。比較的精神的な負担が軽く、体力的な負担も少ないからです。男性
忙しすぎず、ペースを守って仕事ができる。 事務所員が少なく、人間関係に気を遣いすぎずにすむ。女性
コミュニケーションや考えることが必要な作業から、単純作業へ変えてもらいました。男性
できるだけ一人になれるような職場を選択する事、または単純作業の業務の職場を選んでいる。男性
なるべくスピードを求められる仕事を避けるようにして、精神が安定するようにしている男性


発達障害の方は、職場での人間関係など、実際の仕事内容とは関係がない部分で精神的な負荷が大きくなり、仕事が続けられなくなる傾向があります。そのため、複雑なコミュニケーションを必要としない仕事や、少人数で進められる仕事を選べるなら、精神的な負担を減らして仕事を続けられます。


苦手な業務のない部署への移動も考慮する

前職は、スーパーの鮮魚売り場で、接客や調理等を担当していたが、接客トークが出来なかったので退職。今は同じスーパーで開店前の清掃業務なので特に問題はない。女性
発達障害と診断されたと正直に報告し、直接顧客対応を行わない部署へ異動してくれました。男性
自分自身の障害の特性を事前に迷惑をかけてはならないと思い、マネージャーに相談できたことが良かったと思います。そこからは、配慮ある場所への柔軟なポジションチェンジ等をして頂きました。女性


発達障害の方は、仕事は好きなのに今のポジションが向いていないということがあります。そのような場合は、同じ職場内の別の部署へ異動を申し出たり、別の業務を担当させてもらったりすることで、別分野の仕事に転職しなくても仕事を続けられるかもしれません。

発達障害を持ちつつ転職に成功している方は、給与が高い仕事や出世にこだわらず、自分に向いている仕事を選ぶようにしている方が多いようです。


自分の苦手なことを知り、工夫すること

発達障害の特性は、人により異なります。それで、自分の得手・不得手を知り、苦手な分野を補える工夫で転職に成功できている方もいます。

実際に転職に成功している人の工夫を参考にしましょう。

メモを取る

メモやノートを活用したり、自分用のマニュアルを作ったりして、覚えるべきことをなるべく文字に起こすことで頭の中も整理でき混乱を防げる。上司に口頭で質問する際も、まずは自分で文字に起こして整理してみる。女性
私はとにかくメモを取る習慣を習得しました。これまでも物忘れがひどい際に上司から叱責された時にメモを取るように促されておりましたので、メモを取り、自分の忘れ易い性格をカバーしようと思いました。女性
仕事上重要なことは極力メモを取るようにするようにしています。話を聞いて理解することは苦手だが、目で見て理解することはできるので、仕事のマニュアルは書いてまとめ、スケジュールは表にするなど、必要な情報はなるべく「見える化」して、自分が分かりやすいようにしています。女性


発達障害の特性として、耳から入る情報の処理が難しいと感じる方が多いようです。そのため、指示を聞き漏らしたり、誤解してしまったりするのです。そこで、メモを携帯し、小さなことでも書く習慣を身につけるなら業務上の支障が少なくなります。事前に、上司や同僚に「忘れやすいのでメモを取るようにしている」と伝えるなら、信頼を得やすいでしょう。


デジタルツールを使う

仲間や上司や相手と仕事内容共有や優先順位の相談、インターネットのカレンダーで共有しています。 仕事依頼を早めにもらいます。男性
その場の空気を読んで声をかけるのが難しいという事だったので、社内チャットを通じてヘルプの要請や報告などを行うようにしました。そうすることで必要以上に相手の様子やタイミングを伺って話しかける必要も無くなりました。女性
社内のコミュニケーションも電子メールをメインにして精神的に負荷がかからないようにしている。男性
全てにおいてボイスレコーダで会話を記録している。後で落ち着いてゆっくり聞き返す。男性
並行作業が苦手なところは、プロジェクト管理ソフトに頼りました。アプリも多数ありますし、常に状況を更新・参照できますので、常時稼働させています。男性


苦手分野を補うために、PCソフトやアプリなどのデジタルツールを使っている方もいます。ADHDの方は予定を忘れたり、時間に遅れたりすることが多いので、タスク管理アプリやアラームを使うようにしましょう。また、ASDの方は苦手なコミュニケーション力を補うために、チャットやメールなど、テキスト上で意思疎通を図ることもできます。

スマホには、発達障害をお持ちの方をサポートする様々なアプリがあるので試してみるのはいかがでしょうか。


無理しない

決して無理はせず、休む時には遠慮なく休むことも心がけている。発達障害も双極性障害もストレスで悪くなる傾向があると自覚しているので、できる限りストレスフリーを意識している。女性
疲れたと感じたら、お手洗いに行って深呼吸をしたり、水を飲んだりして気を紛らわす。女性
問題ない範囲で手を抜くことを意識している。 できるだけ効率的に作業をする。 少しでも体調に異常を感じたら、休息する。男性
睡眠時間が一番、体調に反映されやすいので、睡眠リズムを整える。女性
体調を整えるために、寝る時間や食生活には気をつけています。男性


発達障害の特性は、ストレスや疲労の影響を受けます。ADHDの方は睡眠不足になると、いつも以上にミスが多くなったり、忘れっぽくなったりするでしょう。ASDの方は疲れがたまると、コミュニケーションが、いつもより雑になるかもしれません。

発達障害の特性ゆえに、集中しすぎてしまう人もいるので、「疲れた」と感じる前に休むようにしましょう。時間を決めて定期的に休憩を取ったり、規則正しい生活習慣を維持したりできれば、良いコンディションを保ちつつ働き続けられます。


相談する

悩みを1人で抱えず、早めに相談して、精神状態が悪くならないように予防する。男性
優先順位がわからないときは、社員の人に確認や相談して「Todoリスト」で確認する。障害特性を説明して、仕事の分担や進め方を社員の方と相談して決める。女性
どのように動いたらいいのか、話したらいいのか、一つ一つ上司や長く働いている人に聞いたり、その人たちの動きや接客の方法を見て自分との違いを考えました。なるべく他の店員さんたちと苦手なコミュニケーションをとることで励ましてもらえるようにもなり、少し仕事にたいする気持ちが楽になりました。女性
自分の苦手なところをきっちりと伝えることにより、力の発揮しにくいところを避けてもらうようにする。障碍者が苦手な部署につくとlose-loseな関係になりやすくなり、職場にいづらくなってしまう。男性


発達障害の方が、仕事を続けるためには職場環境を整えることが欠かせません。そのためには、相談できる人を見つけ、職場で孤立しないようにしなければなりません。

とりわけ、毎日接する上司や同僚に、発達障害の特性を知ってもらうようにしましょう。苦手なところをフォローしてもらうだけではなく、得意分野は他の人の分も働く意識が大切です。そうすれば、徐々に周囲の協力を得られるようになります。

発達障害をお持ちの方が転職を繰り返さないためには、自分の特性に対する理解を深めて仕事を選び、働き方を工夫することがポイントになります。

5.発達障害の方が適職を見つけるための転職活動の方法

発達障害の方が転職に成功するためには、自分に向いている仕事や、自分に合った職場環境を見つけることが必要です。早く仕事を決めようと焦ってしまうと、仕事選びに失敗し、何度も転職を繰り返すことになるかもしれません。

そこで、発達障害の方が転職活動を成功させるために役立つ2つの方法を考えましょう。


①口コミを活用して発達障害の方の体験を参考にする

ひとつの方法は、アンブレのような口コミサイトを活用して、発達障害の方が、どのように転職活動に成功したかを知ることです。

自分と似たような背景や特性を持つ方の悩みに注目すると、何が原因で転職に失敗してしまうのかを客観的に理解できるようになるでしょう。また、発達障害の方が行っている工夫を知り、参考にできる点を真似してみると、転職活動に成功しやすくなります。


②ハローワークやエージェント(人材紹介会社)を利用する

また、別の方法として、ハローワークや障害者雇用に強みを持つエージェントを利用してみるのもおすすめです。一人で悩まず、エージェントと相談しながら自分の特性に合った仕事を探すと、視野が広がり選択肢が増えるかもしれません。

また、最初から、発達障害の特性を理解してくれる企業に転職できれば不要なストレスを減らせるでしょう。

障害をお持ちの方々に向けた就職サービスを素直に利用することをお勧めします。私のように意地を張って健常者と同じように就職しようと思ったら大変なことになります。女性
今では、障害者向け就労サポートサービスが結構ありますので、何社か目を通し、気に入ったところに登録して相談する事をお勧めします。男性
障害の症状は人によって大分違うので、まずは自分の特徴をしっかり理解してからじゃないと、働いてから辛い思いをすることが多くなる。 障害の特性によって人間相手の仕事が向いてるか、物と向き合う仕事が良いのかまったく違う。 仕事探しは障害向けのサイトなどもあるのでそちらで探すのが一番良いかと思う。男性


エージェントやキャリアカウンセラーと相談しながら、仕事選びをすることで、自分の特性をよく理解できるようになった方も多いようです。

自分のことが分かるようになれば、向いている仕事を選べるようになります。また、自分の特性が分かり、苦手分野を補う工夫を発見できれば、転職活動の成功確率が高まります。

6.まとめ

それでは、ここまで読んでいただいた内容をまとめてみましょう。

■発達障害の方が転職を繰り返してしまう理由とは?

発達障害の方が転職を繰り返してしまう理由は主に二つあります。

一つ目の点は、自分に向いていない仕事を選んでしまうことです。発達障害の方は、できること・できないことの差が大きいため、向いていない仕事を選ぶと、短期間での転職を繰り返してしまいがちです。そのため、マルチタスクが求められる仕事、コミュニケーションが欠かせない仕事、電話対応の多い仕事、管理職など、自分の特性から見て向いていない仕事を選ばないようにしましょう。

二つ目の点は、職場環境が自分の特性に合っていないことです。発達障害を理解していない上司や同僚から、パワハラやいじめを経験する方もいます。発達障害の特性ゆえにできないことを「不真面目」だと誤解されて、精神的に疲弊してしまう方もいます。また、発達障害をオープンにして働き始めたものの、必要なサポートが得られず、職場で孤立してしまい退職に追い込まれてしまう場合もあります。そのため、発達障害の方が転職に成功するためには、仕事内容だけではなく、職場環境もチェックするようにしたいものです。

■発達障害の方が転職を繰り返さないためのポイントとは?

発達障害の方が転職を繰り返さないためのポイントは二つあります。

一つ目の点は、自分の得意分野を知り、向いている仕事を選ぶことです。発達障害の方は、マルチタスクが苦手なので、締め切りに追われるような環境では長所を活かしづらいでしょう。また、接客や社内の人間関係が多い仕事は、必要以上の精神的な負担がかかります。一人で進められる仕事や自分のペースを保てる仕事を選ぶのも良い方法です。また、同じ職場でも部署やポジションにより、不得意分野の業務に従事することもあるので、別分野に転職する前に、社内の部署移動をお願いすることもできるでしょう。

二つ目の点は、自分の苦手なことを知り、工夫することです。発達障害により短期記憶が弱く、受けた指示を記憶できない方もいます。そのような方は、いつもメモを携帯したり、デジタルツール・アプリなどを使ったりすることで苦手分野を補えます。また、ストレスや疲労がたまると、発達障害の特性も強くなるので、無理しないようにしましょう。こまめに休憩し、体調管理に気を付けるなら長く働けるでしょう。自分の特性を理解したうえで、職場の上司や同僚に苦手なことを伝えたり、いつでも相談できる関係を築いたりできれば、転職を繰り返さずに済みます。

発達障害を抱えているため、これまで何度も転職を繰り返し、すっかり自信を失ってしまった方もいるかもしれません。しかし、このコラムに掲載されている発達障害の方の口コミから、なぜ転職活動を繰り返してしまうのか、どうしたら転職を繰り返さないで済むのか役立つポイントを発見できたのではないでしょうか。

発達障害を抱えていても、自分の特性を理解するなら転職活動を成功させることは可能です。

このコラムが、発達障害の方にとって、自分に向いている仕事を見つけるきっかけになることを願っています。

【監修者:松好伸一先生からのアドバイス】

発達障害を抱える人の中には、書類審査や面接が通らないことで自己肯定感が下がってしまい、就職意欲が著しく低下してしまう方がいらっしゃいます。しかし、書類や面接だけですべてを判断しているわけではありません。決して自己否定せず転職活動を続けていくことが大切です。

また、転職活動をする際にはその仕事をよく調べることが大切です。表面的な理解や社会的なイメージだけで仕事を選ぶと、実際に就職してみたら「思っていたのと全然違う」と言うことになり兼ねません。自分の特性を理解し、向いている仕事に就くためには自己理解はもちろんですが、仕事内容の理解も大切です。しっかり調べて転職先を選びましょう。

相談する相手によっては「大丈夫、考えすぎないで先ずやってみたら?」「こういうのはタイミングだよ」と言う人もいます。誰に相談するかも大切ですね。身近な人の他に、発達障害を理解している人や医師や臨床発達心理士など専門家にも相談すると良いでしょう。

発達障害の方が働いている企業が一覧で確認できます。ぜひ参考になさってください。
▼発達障害のある方がお仕事、雇用をされている企業一覧


発達障害の方の働き方を紹介しています。
▼発達障害のある方が仕事を続けるために知っておきたいこと


※この記事は投稿いただいた口コミから生まれています。
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監修者

保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数で、2022年3月29日「幼児教育方法論」(共著・一藝社)を刊行。

保有資格

著者

発達障害・心理系のコンテンツを発信するWEBライター。大学で臨床心理学を学び、発達障害や精神疾患への知見を深める。自身もADHD(グレーゾーン)でありつつ社会で働いた経験や、事業を経営してきた経験をもとに、ADHDの仕事・働き方に関する著書を出版。障害を持たれる方が、自分の強みを理解し、イキイキと働けるように支援する活動をライフワークとしている。著書「ADHDの集中力アナドレン: 発達障害に負けない仕事術・タスク管理術 」「大人のADHD読書術」も好評。

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