ここからは、発達障害をお持ちの方が転職を繰り返さないために必要なことを考えましょう。
ポイントは2つの点です。
- 自分の得意分野を知り、向いている仕事や適職を探すこと
- 自分の苦手なことを知り、工夫すること
発達障害を持っていても転職に成功している人たちの口コミを見て分析してみましょう。
自分の得意分野を知り、向いている仕事や適職を探すこと
向いている仕事を選び自分の強みを発揮できている状況では、発達障害は「障害」とみなされることはありません。むしろ、会社の戦力とみなされ重宝されるでしょう。
そのため、発達障害の方が転職を成功させるためには、自分の得意分野を知り、適職を選ぶことが大切なのです。
そこで、ここからは、発達障害の特性を理解したうえで適職を見つけた方の口コミを見てみましょう。
マイペースで行える仕事
一度仕事を覚えてしまえば単調な仕事の連続でありますので、障害持ちでも非常に楽でありました。極力上司に障害の状況を伝える形で、単純労務職という形で、誰でもできる仕事をさせて頂けるようにしております。
男性
研修があり形式的な手順(説明・必要項目記入)を理解し接客対応はある程度出来たと思いましたが、あまり調子が良くない時は言葉は出ずらい時がありました。ただイレギュラーも少ない仕事で対応できました。契約は形式的な説明で十分でしたので(まれにイレギュラーな質問等はありますが)研修や日々の仕事で対応を学べば仕事をこなせたからです。
男性
マニュアルがきちんとして、臨機応変な態度を求められるような業務は外して頂くよう配慮して頂いてます。
女性
人によるかもしれませんが、マルチタスクを求められるお仕事は避けた方がいいかもしれません。臨機応変な対応をしなければならないお仕事より、毎日同じような作業を繰り返すお仕事の方がいいかと思います。後は、マニュアルがしっかりしていそうなお仕事がいいと思います。
女性
発達障害の方は自分のペースを守り、コツコツと進められる仕事に向いています。一つのことを継続する力や集中力を活かして成功している方もいます。
マニュアルがあり、イレギュラーな対応が必要ない仕事を選んでいる方は、発達障害の特性を強みとして評価されていることが多いようです。
精神的な負担の軽い仕事
運搬車を使っての部品運搬や空箱回収作業、入荷品の検品とその管理などが中心です。比較的精神的な負担が軽く、体力的な負担も少ないからです。
男性
忙しすぎず、ペースを守って仕事ができる。 事務所員が少なく、人間関係に気を遣いすぎずにすむ。
女性
コミュニケーションや考えることが必要な作業から、単純作業へ変えてもらいました。
男性
できるだけ一人になれるような職場を選択する事、または単純作業の業務の職場を選んでいる。
男性
なるべくスピードを求められる仕事を避けるようにして、精神が安定するようにしている
男性
発達障害の方は、職場での人間関係など、実際の仕事内容とは関係がない部分で精神的な負荷が大きくなり、仕事が続けられなくなる傾向があります。そのため、複雑なコミュニケーションを必要としない仕事や、少人数で進められる仕事を選べるなら、精神的な負担を減らして仕事を続けられます。
苦手な業務のない部署への移動も考慮する
前職は、スーパーの鮮魚売り場で、接客や調理等を担当していたが、接客トークが出来なかったので退職。今は同じスーパーで開店前の清掃業務なので特に問題はない。
女性
発達障害と診断されたと正直に報告し、直接顧客対応を行わない部署へ異動してくれました。
男性
自分自身の障害の特性を事前に迷惑をかけてはならないと思い、マネージャーに相談できたことが良かったと思います。そこからは、配慮ある場所への柔軟なポジションチェンジ等をして頂きました。
女性
発達障害の方は、仕事は好きなのに今のポジションが向いていないということがあります。そのような場合は、同じ職場内の別の部署へ異動を申し出たり、別の業務を担当させてもらったりすることで、別分野の仕事に転職しなくても仕事を続けられるかもしれません。
発達障害を持ちつつ転職に成功している方は、給与が高い仕事や出世にこだわらず、自分に向いている仕事を選ぶようにしている方が多いようです。
自分の苦手なことを知り、工夫すること
発達障害の特性は、人により異なります。それで、自分の得手・不得手を知り、苦手な分野を補える工夫で転職に成功できている方もいます。
実際に転職に成功している人の工夫を参考にしましょう。
メモを取る
メモやノートを活用したり、自分用のマニュアルを作ったりして、覚えるべきことをなるべく文字に起こすことで頭の中も整理でき混乱を防げる。上司に口頭で質問する際も、まずは自分で文字に起こして整理してみる。
女性
私はとにかくメモを取る習慣を習得しました。これまでも物忘れがひどい際に上司から叱責された時にメモを取るように促されておりましたので、メモを取り、自分の忘れ易い性格をカバーしようと思いました。
女性
仕事上重要なことは極力メモを取るようにするようにしています。話を聞いて理解することは苦手だが、目で見て理解することはできるので、仕事のマニュアルは書いてまとめ、スケジュールは表にするなど、必要な情報はなるべく「見える化」して、自分が分かりやすいようにしています。
女性
発達障害の特性として、耳から入る情報の処理が難しいと感じる方が多いようです。そのため、指示を聞き漏らしたり、誤解してしまったりするのです。そこで、メモを携帯し、小さなことでも書く習慣を身につけるなら業務上の支障が少なくなります。事前に、上司や同僚に「忘れやすいのでメモを取るようにしている」と伝えるなら、信頼を得やすいでしょう。
デジタルツールを使う
仲間や上司や相手と仕事内容共有や優先順位の相談、インターネットのカレンダーで共有しています。 仕事依頼を早めにもらいます。
男性
その場の空気を読んで声をかけるのが難しいという事だったので、社内チャットを通じてヘルプの要請や報告などを行うようにしました。そうすることで必要以上に相手の様子やタイミングを伺って話しかける必要も無くなりました。
女性
社内のコミュニケーションも電子メールをメインにして精神的に負荷がかからないようにしている。
男性
全てにおいてボイスレコーダで会話を記録している。後で落ち着いてゆっくり聞き返す。
男性
並行作業が苦手なところは、プロジェクト管理ソフトに頼りました。アプリも多数ありますし、常に状況を更新・参照できますので、常時稼働させています。
男性
苦手分野を補うために、PCソフトやアプリなどのデジタルツールを使っている方もいます。ADHDの方は予定を忘れたり、時間に遅れたりすることが多いので、タスク管理アプリやアラームを使うようにしましょう。また、ASDの方は苦手なコミュニケーション力を補うために、チャットやメールなど、テキスト上で意思疎通を図ることもできます。
スマホには、発達障害をお持ちの方をサポートする様々なアプリがあるので試してみるのはいかがでしょうか。
無理しない
決して無理はせず、休む時には遠慮なく休むことも心がけている。発達障害も双極性障害もストレスで悪くなる傾向があると自覚しているので、できる限りストレスフリーを意識している。
女性
疲れたと感じたら、お手洗いに行って深呼吸をしたり、水を飲んだりして気を紛らわす。
女性
問題ない範囲で手を抜くことを意識している。 できるだけ効率的に作業をする。 少しでも体調に異常を感じたら、休息する。
男性
睡眠時間が一番、体調に反映されやすいので、睡眠リズムを整える。
女性
体調を整えるために、寝る時間や食生活には気をつけています。
男性
発達障害の特性は、ストレスや疲労の影響を受けます。ADHDの方は睡眠不足になると、いつも以上にミスが多くなったり、忘れっぽくなったりするでしょう。ASDの方は疲れがたまると、コミュニケーションが、いつもより雑になるかもしれません。
発達障害の特性ゆえに、集中しすぎてしまう人もいるので、「疲れた」と感じる前に休むようにしましょう。時間を決めて定期的に休憩を取ったり、規則正しい生活習慣を維持したりできれば、良いコンディションを保ちつつ働き続けられます。
相談する
悩みを1人で抱えず、早めに相談して、精神状態が悪くならないように予防する。
男性
優先順位がわからないときは、社員の人に確認や相談して「Todoリスト」で確認する。障害特性を説明して、仕事の分担や進め方を社員の方と相談して決める。
女性
どのように動いたらいいのか、話したらいいのか、一つ一つ上司や長く働いている人に聞いたり、その人たちの動きや接客の方法を見て自分との違いを考えました。なるべく他の店員さんたちと苦手なコミュニケーションをとることで励ましてもらえるようにもなり、少し仕事にたいする気持ちが楽になりました。
女性
自分の苦手なところをきっちりと伝えることにより、力の発揮しにくいところを避けてもらうようにする。障碍者が苦手な部署につくとlose-loseな関係になりやすくなり、職場にいづらくなってしまう。
男性
発達障害の方が、仕事を続けるためには職場環境を整えることが欠かせません。そのためには、相談できる人を見つけ、職場で孤立しないようにしなければなりません。
とりわけ、毎日接する上司や同僚に、発達障害の特性を知ってもらうようにしましょう。苦手なところをフォローしてもらうだけではなく、得意分野は他の人の分も働く意識が大切です。そうすれば、徐々に周囲の協力を得られるようになります。
発達障害をお持ちの方が転職を繰り返さないためには、自分の特性に対する理解を深めて仕事を選び、働き方を工夫することがポイントになります。