ADHDの方が転職を繰り返す理由と成功するためのコツを紹介

ADHDの方が転職を繰り返す理由と成功するためのコツを紹介

ADHDの方の中には、どこに転職しても「不真面目だ」とか「努力不足だ」と誤解されて辛い気持ちになり、転職を繰り返すたびに自信がなくなる方が少なくありません。

ADHDを持ちながら、転職に成功するのは無理なのだろうかと悩んだり、短期間に何回もの転職歴があると、次の仕事を見つける際、不利になるのではないかと不安になったりする方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、ADHDを持っていても転職に成功することは可能です。ただ、転職活動を進めるにあたり、少しのコツが必要なのです。

では、転職活動のコツとは何でしょうか?

それは、手当たり次第に転職活動をする前に、一度立ち止まり、自分が転職を繰り返してしまう理由を分析することです。

その分析のために、参考になるのがアンブレに届いた口コミです。転職を繰り返してしまったADHDの方の率直な意見や、ADHDでも転職活動に成功している方のアドバイスから、転職を繰り返さないためのコツを知ることができます。

このコラムでは、ADHDの強みや弱みを理解し、転職に成功するためのコツをご紹介していきます。

*この記事は松好伸一先生に監修していただきました
松好伸一先生

仙台白百合女子大学 人間学部 人間発達学科 講師。保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。日本発達支援学会(監事)。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数。




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目次

ADHDの方はなぜ転職を繰り返すのか

ADHDの方が転職を繰り返さないために必要なこと

まとめ

ADHDの方はなぜ転職を繰り返すのか

何度も転職活動を繰り返してしまう理由が「ADHDの特性」にあるのならば、まず自分の特性と照らしあわせながら、その理由を把握することが必要です。

ADHDの方が転職を繰り返す理由は2つあります。

  • 向いていない仕事を選んでいる
  • ADHDの特性について職場の理解を得られない
このような理由のために、転職を繰り返してしまったADHDの方の体験談や口コミを詳しく見てみましょう。


仕事が向いていない

ADHDの特性は、できることや得意なこと、できないことや苦手なことの差が大きいことです。そのため、できないことや苦手な業務を任されていると、時間がかかったりミスをしたりする機会も増えてしまいます。

一生懸命やっているのに、うまくできないと注意されたり「仕事ができない人」と見られたりすることで、ますます仕事に対する意欲が無くなってしまいます。そのような気持ちでは、仕事を続けることが難しくなるのも当然です。

まずは、自分の特性にあった「向いている仕事」に就いているかどうかを考える必要があります。そのためにも、自分の特性を知ることが大切ですね。その方法には様々な方法がありますが、簡単な診断を載せているクリニックのホームページなどもあります。

また、以下のコラムでもADHDの様々な特性を取り上げていますので、自分の特性を知る参考にご覧ください。

では、どのような仕事が向いていない仕事なのでしょうか?
転職を繰り返した経験のあるADHDの方の口コミから、特性と向いていない仕事を照らし合わせながら見ていきましょう。


マルチタスクが求められる仕事

ADHDの方は、ワーキングメモリの働きが弱いという特性により、複数のことを同時並行で処理するマルチタスクが苦手です。ワーキングメモリー(短期記憶)が十分に働かないと、一つの仕事に取り組んでいるうちに、もう一つの仕事をすっかり忘れてしまうことがあります。

ワーキングメモリが低く、並列処理がとっても苦手だったので、図面の作図や書類作成などを一度に言われると忘れてしまう。男性
複数の作業や事柄を同時並行的に頭の中で処理し対応する行為(マルチタスク)が難しいという障害特性がある。例えば、複数の商品の中から特定のものを探し出す(間違い探し)、複雑で不規則かつ臨機応変さが求められるような作業手順を伴う作業などへの対応が難しい。男性
2つ以上の事を掛け持ちして行うのが苦手です。例えば時間内にやらなければならない品出しや売り場作りの途中にレジに呼ばれたりするとどちらかの作業にミスが起きたり、何かを忘れたり、作業にすごく時間が掛かってしまいます。女性


職種に関わらず、いくつかの仕事を同時にやらなければいけない業務内容や、いくつかの仕事を同時に指示される状況になると、片方の仕事が疎かになってしまうため、ミスを起こしやすくなってしまいます。


正確さが要求される仕事

ADHDの方は、「不注意」という特性から、気が散りやすい、集中して取り組むことを苦手とする傾向があります。特に興味のないことや不得意な分野ではその傾向が出やすく、逆に興味のあることや得意なことに対しては、集中力が持続する場合もあります。

ですから、向いていない仕事であるほどケアレスミスも多くなり、何度も同じことで注意されがちです。

大学卒業後、建設会社の経理をしましたが、不注意が原因でミスの連続でした。その後営業職に異動しました。営業は比較的向いていました。不注意が多い障害なのでどんなにチェックしても見落としてしまう。女性
不注意傾向が強いため集中力と精度が求められる事務的な仕事ができません。男性
注意欠如多動性障害は忘れ物が多く、伝票処理、事務処理にミスが多く何度もやり直しをする事が増え業務に支障がでてくる。また、毎月行われる棚卸では在庫を数えるのがどうしても苦手で、正確な数字を出せず上司の信頼を得られなかった。男性
発達障害特有のケアレスミスが目立ち、事務作業、検品、見積書等に不備があり正確さに欠け信頼を落としてしまい困った。発達障害は注意力が劣っている為事務作業等が苦手。男性
ケアレスミスが多く、気をつけていても細かいミスが発生してしまうことにとても困っていました。事務職で自分のミスが他人のミスに繋がる仕事でしたので、ミスは許されない状況でした。今は転職してしまいましたが、一番向いていない職種だったと思います。女性


これらの口コミを見ていくと、とりわけ事務処理や経理処理など、正確さや緻密さが求められる仕事は、ADHDの方に向いていないということがわかります。もちろん、中には事務処理を得意とする方もいらっしゃるので、得意とする分野であれば、不注意傾向も少なくなるでしょう。

まずは、自分が得意とする業務なのか、興味のある内容なのかという点を自分に問いかける必要がありそうです。


スケジューリング・タスク管理が必要な仕事

ADHDの方は、優先順位を定めて仕事の順番を組み立てることが苦手です。目の前にある仕事に夢中になってしまって、より大事な仕事に手を付けていなかったり、予定を忘れていて信頼を失ってしまったりします。

アポイントの取り方がうまくいかず、ダブルブッキング、トリプルブッキング等をしてしまうことが多い。慌ててしまうことで同じミスを何度も繰り返してしまい、その度にお客様にお詫びしていましたが、いつもミスをしてしまうんじゃないかという不安の中で仕事をしています。男性
スケジュール管理能力がなく、いくつか仕事を振られると何かが抜けてしまうことに困っていました。期限がある仕事を期限通りに終わらせる計画を立てることが苦手で、会計士の補助として仕事を補助する立場としてふさわしくなかったと思います。女性
ADHDで優先順位をつけることが苦手なのです。しかし仕事内容は自分で優先順位を考えながら時間内で終わらせなければならない仕事でした。どうしても時間内に業務が終わらず残業が続きました。女性
重要案件とそうでない案件と区別はつけられているはずなのに、依頼が来た順番でこなしてしまったり、一つのタスクをこなしている途中で気がついたら別のタスクに手をつけていたりしていたりして、大事な仕事も期日に間に合わないことが度々ありました。また、先延ばし癖があり、期日の決まっていない仕事は特に手をつけるには条件が整わないと駄目でした。男性
また、複数業務が同時進行し常に時間に追われている状態だったので、優先順位がわからなく頭が真っ白になり、結局納期に間に合わなくなることが1番困りました。女性


ADHDの方は、仕事の段取りを組み立てるのが苦手なので、予定通りに仕事を仕上げることが難しくなります。残業をしなければいけない状況が続くと、心身ともに疲弊してしまうのではないでしょうか。


ペースが早い仕事

ADHDの方は、不注意でミスを繰り返す傾向がありますが、時間にゆとりを持ち何度も確認するならミスを減らすこともできます。しかし、ペースが早い仕事に就いている時には確認作業ができないので、ミスを防ぐことができません。

忙しさでひと時も心が休まることがなかったことです。依頼を受けてから納品するまでスピード勝負で、正確性も予算も問われ、神経をすり減らしていました。訳者と校正者を電話やメールで手配せねばならず、人と関わることでの苦労も絶えませんでした。 とても不向きな仕事だと思いました。女性
スピード勝負でマルチタスクを必要とするのに、ミスは許されない仕事なので、やはり私のような人間にはいちばん向いていなかったという所と、マニュアルがしっかりしすぎているため暗記するのが苦手な私には辛かったためです。その他
ケアレスミスが多発しやすいADHDという障害の理解がなく、確認作業の時間すら設ける事ができないほど切羽詰まった仕事を回され続けた為。男性


徹底して能率を上げることが要求されるような職場では、焦るばかりです。それ以上に、皆の足を引っ張っているのではないかという不安もつきまといます。ペースの早い仕事に就いているADHDの方は、精神的に疲弊して転職を繰り返してしまうかもしれません。


職場の理解を得られない

ADHDの方が転職を繰り返してしまう、もう一つの理由は、職場の理解が得られないことです。ADHDの方は、一般的に第一印象が良く、コミュニケーション能力もあるため、見た目からでは発達障害だと分からない場合もあります。

しかし、仕事を始めてしばらく経ち、ミスや期限に遅れる状況を目の当たりにした周囲の方からは、「怠けている」「努力不足」と誤解されるようになり、職場にいづらく転職を繰り返すという経験を繰り返す人も多いのではないでしょうか。


誤解されやすい

ADHDの方は、人一倍努力しているのに、真面目に仕事をしていないと評価されがちです。特に、ADHDをオープンにしていない場合は、誤解を受けることが多くなるでしょう。

自分自身障害に気づいていなかったこともあり、職場の人達には「何度言っても直らない」「やる気がない」と厳しく対応され辛かったため。女性
全員が理解してくださるわけではないので、中には「もっと頑張れ」とか「努力すればいい」とか言われて傷ついたりもした。女性
ADHDは同じミスを何度も繰り返すことがあり上司に何度も怒られる。その対策のためにメモを取るが、そのメモごと失くし何度も同じミスをして怒られる。女性
面接の時に、発達障害で人よりも様々なことに時間がかかると言っていたのにも関わらず、言い訳だと言われ、きちんとした知識が広がってないんだと唖然とした。女性


自分の障害を言い出しづらいというADHDの方も多いのではないでしょうか。それゆえに、ADHDであることを知らない上司や同僚からは、「なぜ、真面目にやらないのか」と誤解を受けることも珍しくありません。悪いイメージがつくと、職場の中で孤立してしまい、仕事を続けるのが難しくなってしまいます。


ADHDの認知度が低い

発達障害がメディアで特集される機会は増えています。ADHDに関しても、症名を聞いたことがある方は多いようです。しかし、ADHDの方が、どんな困りごとを経験しているかは、あまり知られていないのが実情です。

世間ではまだまだADHDの知識が広がっておらず、僕がどんなに主張しても言い訳にしか捉えられていなかった。男性
また発達障害は外見では分からない障害のため周囲の理解が得にくく、偏見や差別に繋がる恐れが高く日々不安を覚えている。男性
認知度が低い障害なので周囲の人になかなか理解してもらえなくて本当に困りました。後、わざと同じミスをやってる、わざと怒らせてるなどいろいろ誤解されたり自分のミスではないのに自分のせいにされてるなどがありました。男性
障害への理解がない先輩が1人いたので、その人にいつも怒鳴られてばかりでした。女性


ADHDをオープンにして就労していても、実際に働き始めると、上司や同僚の理解不足に苦しむことがあります。また、人数の多い職場で働いているなら、全員に理解してもらうことは現実的ではありません。

ADHDの方の特性に合う仕事であっても、スムーズに仕事をするためには、指示の出し方など周囲の方の協力も必要な場面が多くあります。職場の理解を得て、協力を得ることは、ADHDの方が転職を繰り返さないために欠かすことができないポイントとなります。

ADHDの方が転職を繰り返さないために必要なこと

ここまで見てきたように、ADHDの方は自分に向いていない仕事や、理解のない職場環境で働く場合、転職を繰り返してしまいがちです。しかし、ADHDの方が転職に失敗する理由がわかれば、これ以上、転職を繰り返さないための方法が見えてきます。

そこで、ここからはADHDの方が転職を繰り返さないために必要な2つのポイントを取り上げます。

  • 向いている仕事を見つける
  • 職場環境を整える
転職活動に成功したADHDの方の体験談や口コミからヒントを得ましょう。


向いている仕事を見つける

ADHDの方は、得手不得手がはっきりしています。向いていない仕事では、ミスや納期の遅れが続きうまく仕事がこなせないという人でも、向いている仕事に就いていれば難なく仕事ができることも多いのです。

そこで、転職活動を焦らず、自分に向いている仕事を選ぶようにすれば、転職の成功率は上がります。ADHDの方にはどんな仕事が向いているのでしょうか。


一つのことに集中できる仕事

ADHDの方は、複数の業務を同時にこなしたり、臨機応変な対応をしたりできない傾向があります。そのため、マルチタスクではなく、シングルタスクの仕事を選ぶようにしましょう。

決まったパターンでこなせる仕事に就けると、ストレスなく仕事を楽しめる方が多いようです。

出来るだけ決まった形の業務が多い職場を見つけること。新しい仕事を覚えたり、応用を利かせたりすることは予想以上に時間がかかります。男性
レジ打ちなど、1つのことに集中できる仕事はしっかりこなすことができたので自信がつきました。男性
対外的なやり取りや、複数の部署と連絡をやり取りしながら進める仕事は向かないと思います。なるべく一人作業が適していると思います。条件が揃えば集中力が発揮できます。女性
毎日やることの内容が変わる仕事では臨機応変に対応することが出来ないので、繰り返し行う一定作業の仕事の方が向いていると思う。女性


ADHDの方は、複数のプロジェクトを管理したり、優先順位を考えてスケジュールを組んだりするのが難しい傾向があります。そのため、管理職ではなく、任された仕事をこなすポジションで実力を発揮できることが多いようです。

接客・品出し・掃除・電話・発注にレジ応援などその場で臨機応変にやっていかなくてはいけませんが私にはできず、レジ担当にしていただきました。やる事がぐんと減りますので自分のペースでやっていく事ができました。女性
コールセンターは一度仕事を覚えれば、お客様と自分だけの世界に入れます。同僚の友達を作らなくても一人で仕事ができます。女性
業務の優先順位(例:ラーメンの提供>客席へのご案内>食器洗い>仕込みなど)が分かるところがやりやすいです。以前事務職として勤務しておりましたが、ADHDにとって事務職は難しいものでした。現在の職種は、飲食業の中でもメニュー数も少なく工程もセントラルキッチンがあるため簡略化されており、複数の店舗展開を始めたことからマニュアルもしっかりあるため、ADHDでもスムーズに働くことができる環境だと思います。男性


毎日やることが決まっている仕事や同じことを繰り返す仕事は、余裕を持ってこなせます。マニュアルがある仕事や、やり方が予め決まっているなど仕組みが整っている飲食店やコールセンターなどの職種が向いている方もいます。


自分のペースでできる仕事

ADHDの方は、不注意傾向があるのでミスが多くなりがちです。しかし、確認作業の時間を取ればミスを減らせます。ADHDの特性を理解したうえで、自分のペースでじっくり取り組める仕事に就いている方が転職に成功しています。

障害を持っていてもクリエイターとしての仕事なので自分のペースで仕事ができました。男性
なるべく小規模、極端に言えば自分のテンポで出来る自営業や、フレックスタイム制を導入した『焦り』の少ない企業が向いていると思う。男性
自分でスケジュール管理を行うため、疲れているときはときは予定を減らすなど工夫して仕事に取り組むことが出来る。女性
自分の仕事をメモに控え、頭の中を整理して仕事できる環境を作り、ミスが多い事をしっかりと自覚し、ゆっくりでいいから一つ一つ丁寧に作業する事を意識すれば、少しは改善出来ると思います。自覚するだけでもミスは減ったと自分では考えてます。男性
発達障害は、自身が身を置く環境がとても重要だと言われています。実際、私もそのように感じています。静かな環境でデスクワークを行うとビックリするくらいはかどります。女性
デイサービスに転職してから、デイサービスのヘルパー部門で働き始め、基本的に一人で利用者さんの対応をしたり自宅を訪れたりします。この仕事をしてから、自分のペースで利用者さんと接することが自分には向いていると感じました。何箇所も転職を繰り返してきた私にとっては、やっと自分に向いている仕事だと思いました。女性


チームで行う仕事は能率を上げることが要求され、自分でペース配分ができないことが多いでしょう。そのような環境ではミスも増え、焦りから実力を発揮できなくなります。そのため、ADHDの方は一人で行う仕事や、在宅ワーク、スケジュールに余裕があり自分のペースを乱されない仕事に就くことで、長所を活かして働けるようになります。


職場環境を整える

ADHDの方の転職活動が失敗してしまう理由の一つは、ADHDに対して職場の理解が得られないことです。多少向いていない仕事に就いていても、職場内でサポートし合える環境や良い人間関係があれば、長く働き続けることは可能です。

コミュニケーション能力を磨き、ADHDの特性を知ってもらう工夫により、働きやすい職場を見つけてきた方の体験談は参考になるでしょう。


障害の特性を伝える

ADHDという症名を知る方は増えてきましたが、本当の意味での認知度は高くありません。ADHDを他の精神疾患と誤解されたり、差別されたりすることもあります。そこで、ADHDについて、いつ、誰に、どのように伝えるかを、よく考えましょう。

一番直接仕事を教えてくれる人となるべく早いうちに信頼関係を結び、こっそり話しておくというのも個人的には効果的です(勇気はいりますが)。女性
自分の症状を話しても理解してくれることが少ないため信頼関係を気づいてから話すべきなのかなと思っている。リーダークラスの方は理解してくれる方が多いためその方だけに伝えるという方法を取った方が良いと思う。女性


また、ADHDという症名をオープンにするだけではなく、自分は何ができて、何ができないのか障害の特性を知らせる努力も大切です。上司や同僚がADHDの方の特性を知れば適材適所の配置に就けてくれたり、サポートをしてくれたりするようになるかもしれません。

自分の特性と取り扱い説明書を考えて把握して書き出してみることをおすすめする。自分だけではわからなかったら、友人や支援者に尋ねてみるといいと思う。気づいていなかったことを自覚出来て、気持ちの整理整頓にもなると思う。女性
障害の名称の知名度はあっても内容を知らない人のほうが多いと思うので、自分の特性や「これが苦手、これが得意、こうすれば仕事しやすい」という分析を説明できると良いと思います。女性
自分の特性、得意なことと苦手なこと、フォローが必要なことなどを整理し、就職する相手に伝えられるようにすることが大切です。障害があるのであれば、できれば障害名や医師の見解を伝え、合わせて上記の点を伝えることをお勧めします。伝えることで相手がどのように答えるかを、あらかじめ確認できるからですし、相手にとっても理解して関わっていくことができるからです。男性


ADHDの特性を上手に伝えるためには、自分のことを知ることが欠かせません。転職活動を繰り返す前に、自己分析のために時間を取り、自分の長所や短所を伝える準備をしましょう。


苦手な仕事を替わってもらう

ADHDの特性は得手不得手の差が大きいため、苦手分野の仕事から外してもらったり、別の分野の仕事と交代してもらったりするようにしている方もいます。そうすることで、職場の中で働きやすいポジションを得られるのです。

同時に複数の仕事をする事が出来ず、不注意が多くなってしまう。人混みが苦手なので、祝日等の客数が多い日に気遣って貰いバックルームの作業に専念させて貰えた。男性
最初はみんななんとかしようとしてくれたが、なんともならんとわかると、できることだけやらせてくれるようになったから。男性
障害の特性にあった業務を任せて頂ける為、集中してやり甲斐を持って業務に取り組むことが出来るから。女性


ADHDの方が、苦手な分野の仕事を替わってもらうために大切なことがあります。それは、苦手な仕事でも一生懸命行うことです。苦手分野でも一生懸命に取り組んでいる姿を見てもらえると、努力してもできないことがあると理解してもらいやすくなります。

そして苦手なことでもしなければならない場面は出てくる可能性はあり、その時もとにかく一生懸命に行うことができるか、他の職員の仕事に対して積極的に協力することができるか、この2点が非常に大切です。一生懸命に仕事をすることで、周囲は心が動き、協力してくれます。男性
仲間意識を強固に共有することで、多少の失敗には目を瞑って頂ける点等、支え合っていける点が素晴らしい内容であると思いました。男性
周りの人たちに力を借りながら取り組めばきっと上手くいきます。人外関係が何よりも大切です。周りの人たちへの感謝の気持ちを忘れずに、協力して働くことです。男性


ADHDの方は、得意分野の仕事に関しては、他の人よりも優れた能力を発揮できる場合も多いでしょう。そこで、自分の強みを活かして同僚の苦手分野を積極的にフォローしたり、他の人が嫌がるような仕事も進んで引き受けたりするなら、信頼関係を築けるので、困った時に助けてくれるようになるはずです。


こまめに相談する

ADHDの方が、職場で働きづらくなってしまうのは「不真面目だ」という誤解を受けがちだからです。こまめに自分の特性や困りごとを相談して、自分のことを知ってもらうなら理解を得やすくなります。 特に、身近な上司には、こまめな相談や報告をするようにしましょう。お互いの気持ちを理解することで、職場の皆が働きやすい職場環境になります。

上司には仕事の困ったことを相談するようにし、適宜サポートしてくれました。同僚は私の愚痴をしばしば聞いてくれました。人間関係には恵まれ、苦労はしましたが長い間勤務できたからです。女性
就労サポートからの紹介でこの職場で働いたこともあり、はじめから上司には自分の障害の特徴を伝えておいたので隠さずに勤められたことは心が楽な点でした。女性


また、一緒に働く同僚との人間関係も大切です。仕事の話だけではなく、日常のコミュニケーションを欠かさないようにしましょう。仲が良くなると、いざという時に助けてもらいやすくなります。

様々なパート従業員の方や、女性アルバイトの方々と悩みを分かちあえたりすることが至福の時間でした。女性
冷たい雰囲気ではなく、日常のことを話したりできる相手がたくさんいた。女性
私の職場は、仲間同士で声を掛け合って、サポートし合うことができているのでよい。男性


転職した職場で、最初から働きやすい職場環境が整っていることは少ないでしょう。
しかし、ADHDの方が努力して自分の特性を伝え、コミュニケーションを図るなら、徐々に職場は働きやすくなっていくはずです。
職場環境が良いものであれば、業務の中に多少の苦手分野があったとしても、仕事を辞めずに続けることが可能です。

まとめ

それでは、ここまで読んでいただいた内容をまとめてみましょう。

ADHDの方はなぜ転職を繰り返してしまうのか

ADHDの方が転職を繰り返してしまう理由は主に二つあります。

一つ目は、自分に向いていない仕事を選んでしまうことです。
ADHDの方は、できることと、できないことの差が大きい傾向があります。そのため、自分に向いていない仕事を選んでしまうと、仕事が長続きせず転職を繰り返してしまいます。

特にマルチタスクが求められる接客業や、正確さや緻密さの要求される事務職、スケジューリングやタスク管理能力が求められる管理職は、ADHDの方には難しい仕事になります。また、ペースが早い仕事に就くと、ミスが多くなり仕事を続けられなくなることもあります。

二つ目は、職場の理解を得られないことです。
ADHDという言葉を聞いたことがあっても、ADHDの方が仕事上でどんな困りごとに直面するのかを知っている方は少ないでしょう。ADHDの特性に対する認知度が低いため、上司や同僚から「不真面目だ」とか「努力不足だ」と誤解されることが多く、孤立してしまう方もいます。職場の理解を得られないと、人間関係が悪くなり仕事を続けられなくなります。

ADHDの方が転職を繰り返さないために必要なこと

ADHDの方が転職を繰り返さないために必要なことが二つあります。

一つ目は、ADHDの特性を分析し、自分に向いている仕事を見つけることです。
ADHDはマルチタスクを苦手とする傾向があります。そのため、一つのことに集中できる仕事に就けるなら長所を活かせます。

毎日やることが決まっている仕事、マニュアルや仕組みがある職場では働きやすいと感じる方が多いようです。また、ADHDは時間をかけて確認することでミスを減らせます。そのため、チームで行う仕事より一人で行う仕事や少人数で行う仕事に就き、自分のペースを保つならストレスなく働き続けられます。

二つ目は、働きやすい職場環境を整えるための努力を惜しまないことです。 ADHDであることを、いつ、誰に、どのように打ち明けるかをよく見極めましょう。また、単に症名を伝えるだけではなく、何ができて、何ができないのか、障害の特性を伝えられるように準備する必要があります。

苦手な分野の仕事を替わってもらったり、サポートしてもらったりするようにしましょう。こまめに相談し、良いコミュニケーションを保っているなら、いざという時でも助けてもらいやすくなります。どの業種にも得手不得手の分野があるはずですが、働きやすい職場環境が整っていれば、転職活動を繰り返さず、仕事を続けることができます。

自分に向いていない仕事に就いていたり、職場の理解が得られなかったりして、何度も転職を経験したADHDの方は自信を失くしてしまいがちです。改めて転職活動に取り組むのも怖く感じるかもしれません。自分を雇ってくれる職場などないと思うこともあるかもしれません。

しかし、このコラムに掲載されている方の口コミから、ADHDの方が転職活動に失敗する理由が見えてきたのではないでしょうか。そして、転職活動に成功されたADHDの方の体験談から、転職を繰り返さないためのコツを発見できたはずです。

ADHDの特性を活かして転職している方は、自分の強みを活かしてイキイキと働いています。ADHDであったとしても、転職活動を成功させることは可能です。

このコラムがADHDを抱えつつも、自分に向いている仕事を発見し、転職を成功させたい方のお役に立つことを願っています。

【監修者:松好伸一先生からのアドバイス】

ADHDの方は自己肯定感が低いことが多く、「自分は何をやってもダメなんだ」と思いがちです。しかし、「やりたいこととできることは違う」と一般的に言われるほど、得手不得手は人によって違います。自己分析をして自分の得手不得手を把握すること(自己認知)と、仕事の内容を細かに調べることが必要でしょう。

例えば「出版系がいい」と思っていても、出版社の仕事は編集だけでなく、取材や裏取り、一般事務、人事などもあります。自分のやりたい仕事を具体的に考え狭めていったときに、自分ができることなのかを考えてみてはいかがでしょう。

ネットなどで「向き不向き」の診断ができるものもありますので、利用してみても良いですね。

ADHDのある方が働いている企業が一覧で確認できます。ぜひ参考になさってください。
▼ADHDのある方がお仕事、雇用をされている企業一覧


ADHDのある方の働き方を紹介しています。
▼ADHDの人が仕事を続けるコツとは?悩みや対策、強みの活かし方を紹介


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監修者

保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数で、2022年3月29日「幼児教育方法論」(共著・一藝社)を刊行。

保有資格

著者

発達障害・心理系のコンテンツを発信するWEBライター。大学で臨床心理学を学び、発達障害や精神疾患への知見を深める。自身もADHD(グレーゾーン)でありつつ社会で働いた経験や、事業を経営してきた経験をもとに、ADHDの仕事・働き方に関する著書を出版。障害を持たれる方が、自分の強みを理解し、イキイキと働けるように支援する活動をライフワークとしている。著書「ADHDの集中力アナドレン: 発達障害に負けない仕事術・タスク管理術 」「大人のADHD読書術」も好評。

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