ADHDであることは転職に不利?転職に成功するコツを紹介

ADHDであることは転職に不利?転職に成功するコツを紹介

ADHDの人の中には、転職を繰り返す人がいます。何度も転職に失敗すると「ADHDの自分が仕事に就くのは無理なのではないか」とネガティブな気持ちになることはありませんか?

一方、ミスを繰り返したり忘れ物をしたりすることがADHDの特性によるものだとは気づかず、仕事ができない自分に否定的になる方もいらっしゃるかもしれません。

では、ADHDであることは転職に不利なのでしょうか?

転職を繰り返す原因の一つは、ADHDの特性に合った適職に就けていないことです。つまり、適職に出会う事ができれば、ADHDであることは転職が不利になる理由にはならないのです。そして、自分の特性にあった仕事に出会うための方法を知れば、転職を成功させることができます。

今回は、アンブレに届いた口コミから、転職に成功しているADHDの方の体験談を分析しながら転職活動に必要なことをまとめました。転職に成功するためコツのを紹介します。

*この記事は松好伸一先生に監修していただきました
松好伸一先生

仙台白百合女子大学 人間学部 人間発達学科 講師。保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。日本発達支援学会(監事)。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数。




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目次

ADHDであることで転職を不利にしないために大切なこと

ADHDの方の転職のコツ1:自己理解を深め特性をまとめる

ADHDの方の転職のコツ2:自分なりの工夫や対策をまとめる

ADHDの方の転職のコツ3:サポートを必要とすることや相談したいことをまとめる

ADHDの方の転職のコツ4:会社で活かせる自分の強みを考える

ADHDの方の転職のコツ5:自分の特性に向いている仕事を探す

ADHDの方の転職のコツ6:面接ではポイントを押さえてADHDのことを伝える

まとめ

ADHDであることで転職を不利にしないために大切なこと

ADHDは、できること・できないことの差が大きいため、苦手分野の仕事に就いてしまうと、仕事を続けるのが難しくなります。自分の特性に対する理解が不足しているため、何度も転職を繰り返す方もいます。仕事選びの失敗が続くと、「ADHDであることは転職に不利だ」と感じるようになるかもしれません。

しかし得意分野が活かせる仕事に転職した場合、ADHDの特性は長所となります。ADHDの方は、自分の特性に向いている適職を見つければ、思った以上の力を発揮することができるものです。

つまり、自分の特性の活かし方を習得すれば、ADHDであることは、転職に不利にはならないのです。
ここからは、自分の特性を知る方法や活かし方を取り上げながら、転職に成功するためのコツを紹介していきます。

ADHDの方の転職のコツ1:自己理解を深め特性をまとめる

ADHDの方が、自分の障害を他の人に正確に伝えるためには、自分の特性についての自己理解を深めることが必要です。

ADHDの症状は人によって異なり、仕事での困りごとにも差があります。そのため、自分の得手・不得手を知り、それを上手に伝えられるよう、自分が理解しなければなりません。


ADHDの方が自分で自分のことを分析するのは難しいこともあります。時には否定的になって自己理解をするのに時間がかかる方もいるでしょう。そんなときは、身近な家族や友人、医師、復職支援プログラムの相談員の力を借りると、自分の特性に気づきやすくなります。

ADHDに関する自己理解が深まっていけば、自分の特性に合った仕事を選び、自分の特性を上手に伝えられるようになるため、転職活動も進めやすくなります。

仕事の困りごとを思いだすことは自己理解を深めるきっかけになります。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)により仕事が続かない理由と続けるためのコツとは?

ADHDの方の転職のコツ2:自分なりの工夫や対策をまとめる

ADHDの方は、苦手分野を補うために自分なりに行っている工夫や対策がありませんか?例えば予定をメモに書いて忘れないようにしているというのも、その一つです。

そのような工夫や対策をしながら仕事に取り組んでいることを企業側に伝えることは、仕事に対する前向きな姿勢として映り好印象を与えます。

不注意傾向が強くミスをしやすい方は、ミスを防ぐためにどんな対策を講じているか具体的に伝えましょう。


多動・衝動傾向の強いADHDの方は、これまでの経験で学んで改善してきた点を伝えるのが効果的でしょう。

アンブレに寄せられた口コミからADHDの方の工夫を参考にすると、特性による困りごとに対して、どのような工夫や対策ができるかといったアイデアが見つかります。弱みをプラス要素として伝えられるように、参考にしてみてはいかがでしょうか。


ADHDの方の転職のコツ3:サポートを必要とすることや相談したいことをまとめる

これまで、自己理解を深め自分の特性を知ることや、特性による困りごとに対して工夫していることや対策をまとめることの必要性をお伝えしました。

しかし、どれだけ工夫や対策を講じても、働くとなると周囲のサポートや配慮を必要とする場面は出てきます。そしてサポートがあることで、よりスムーズに仕事が進むということもあるでしょう。

必要なサポートや配慮を予め相談することは、自分と職場の方々の両方が、気持ち良く仕事をすることに繋がりますし、結果として働きやすい職場になれば、転職を成功させることになります。


「ADHD」という障害名を知る人は増えてきましたが、具体的に仕事上でどんな困りごとがあるのかは分からないものです。困りごとを説明すると同時に、サポートや配慮があることで仕事の効率が上がる点や働きやすくなることを交えて相談すると、職場の方々によりサポートの必要性が伝わるでしょう。

企業側も事前にADHDによる苦手分野や必要なサポートを知ることができれば、適性のあるポジションや配慮事項をより現実的に考えることができるため、転職に成功しやすくなります。

なお、このような大事なことを相談する際は、口頭ではなく文書にしておくことをおすすめします。言いたいことを適確に伝えることができますし、丁寧な印象を与えるからです。

ADHDの方の転職のコツ4:会社で活かせる自分の強みを考える

これまではADHDの特性による困りごとを中心に述べてきましたが、ADHDの方は特性による強みもあります。自己理解を進める中で見えてきた「強み」は、会社に貢献できることとして転職する際に伝えるようにしましょう。


例えば、過集中に入ると業務を手早く終えられる、柔軟な発想ができるのでアイデアが豊富だ、プレゼンなどでは能力を発揮しやすい、など業務内容に直結するような得意分野をアピールすると、企業側も採用しやすくなります。

ADHDの方の転職のコツ5:自分の特性に向いている仕事を探す

何度か転職を繰り返してきたとしても、これまでは、自分の特性に合った仕事に就けていなかっただけかもしれません。自分の特性を知り、それを最大限活かせる仕事に転職できれば成功に近づきます。


ADHDの方が適職を見つけて転職に成功するためには、手あたり次第に転職活動をするのではなく、自分の特性にあった仕事や職場環境を選ぶ必要があります。ADHDの特性に合う適職に就けば、働きやすい環境に近づくので転職を繰り返す心配も減るでしょう。

ADHDの方の転職のコツ6:面接ではポイントを押さえてADHDのことを伝える

転職する際に、ADHDであることを伝えるのは勇気のいることです。

・ADHDのことを上手に相談できるだろうか? ・ADHDに差別や偏見を持たれるのではないか? ADHDであることが転職に不利になることを心配し、伝えることにためらう方もいらっしゃるでしょう。

しかし、ADHDのことを適確に伝えることができれば、障害は転職に不利にならないでしょう。そのためには、ADHDの伝え方に少しのコツが必要です。

コツをお伝えする前に、なぜADHDのことを伝えるほうが転職に成功するのかを考えていきましょう。


なぜADHDのことを伝えると良いのか


このように、転職に成功したADHDの方の多くが障害をオープンにすることを勧めています。転職の際にADHDのことを伝えるべき理由をいくつか考えてみましょう。

①誤解を防げる

ADHDは見た目からは分からないため、誤解されやすい障害です。そのため、早い段階で信頼できる人に、自分の特性を打ち明けておくことが大切です。特に、身近な同僚や上司に話しておくことで、職場で孤立するリスクを避けられます。


障害を告げずに働いているADHDの方は、できないことが特性によるものではなく、努力不足だと誤解を受けることが多くあります。

特に、得意な仕事に就き突出した能力が認められると、できないこととのギャップを信じられなく感じる人も少なくありません。ADHDならではの「能力の凹凸幅の大きさ」は、より誤解を招いてしまう可能性もあります。

わかってもらえない辛さや風当たりの強さから、働きづらくなり、就職早々に辞めてしまわないように、ADHDの特性を早めに説明しておきましょう。

サポートを得やすくなる

ADHDであることが分かれば、自分にとっても、周囲の方にとっても、双方にメリットがあります。困りごとが具体的にわかれば、周囲の方もサポートしやすくなるので、業務もスムーズに進むようになります。


ADHDの方は、適切なサポートが得られる職場なら、業務の中に苦手分野が含まれていても遂行することができるため、長く働くことができます。早めにADHDの特性を伝えることは、働きやすい職場環境を作る第一歩になります。

二次障害を防げる

何度も転職を繰り返すADHDの方は、ADHDが転職に不利になることを恐れて、障害を隠す傾向があります。しかし、ADHDを隠して働き続けることは、精神的に大きな負担になります。


ADHDの方は、障害ゆえにミスを繰り返したり、他の人に迷惑をかけたりすることが多くなります。そのため、自分を責めて落ち込んでしまうADHDの方も多いでしょう。周囲からのケアやサポートがなければ、ADHDはうつ病や適応障害などの二次障害を引き起こし、働き続けるのが困難になります。

そこで、ストレスを抱え込まずに、長く働き続けるためにも、ADHDであることを隠さずに伝え、仲間を作っていく必要があるのです。


面接で伝えることは「ADHDによる特性や工夫、相談ごと」

採用面接では、これまで転職のコツでまとめてきた下記の内容を上手に伝えましょう。

・自分の特性とそれによる困りごと ・困りごとに対して行っている自分なりの工夫や対策 ・困りごとに対してお願いしたいサポートや配慮事項などの相談ごと ADHDの方は不安に思っている「特性による苦手分野」に関しては、正直に伝えるとともに、自分なりに工夫したり対策したりして努力していることを伝えます。

また、長所を活かし会社に貢献できることも伝えましょう。努力している姿やその企業に対する前向きな気持ちは評価され、転職に成功しやすくなります。

トリセツなら伝えたいことがA4一枚にまとまる

自己理解や自分なりの工夫や対策、相談したいサポートや配慮事項など、転職を成功させるためにまとめるべき項目を紹介してきましたが、結局何から始めればよいのか悩む方もいらっしゃると思います。

そこで、おすすめなのが「ナビゲーションブック」を作ることです。

ナビゲーションブックについての詳しい説明はこちら
ナビゲーションブックとは?作り方とメリットを紹介
ナビゲーションブックに決まりはありません。用紙のフォーマットを紹介しているサイトもありますが、「Torisetu(トリセツ)」は、選択肢を選ぶだけで悩みや配慮事項がA4一枚にまとまります。無料で作成できますので、転職の際の面接や、就職後の面談などに活用してみても良いですね。

Torisetu(トリセツ)についての詳しい説明はこちら
ナビゲーションブックは難しくない!作ってみよう自分のトリセツ
ADHDの方がナビゲーションブックを作って、転職活動をしていることは、自分の特性を活かして会社に貢献したいという気持ちの表れになり、採用担当者に好印象を持たれるはずです。

ADHDの特性を上手に伝えることができれば、ADHDが転職に不利になることはないでしょう。

まとめ

これまで何度も転職を繰り返したADHDの方でも、自分の特性を活かした転職のコツを実践すれば、適職を見つけやすくなります。ADHDであることで転職を不利にしないためには、6つのコツを知っておくことが必要です。おさらいしていきましょう。

■ADHDであることで転職を不利にしないために必要なこととは?

・自己理解を深める
・苦手なことは、対策や工夫を行う
・配慮してほしいこと、相談ごとをまとめておく
・会社で活かせる自分の強みを考える
・自分の特性に合った仕事を見つける
・面接で上手にADHDのことを伝える


それぞれのポイントを簡単に説明してきます。

自己理解を深める

ADHDの方の転職活動は、まず自己理解を深めることから始めましょう。自分の特性による得手・不得手や傾向を知ります。自己理解は、家族や友人、支援者に相談しながら自分を客観的に見つめることでも深めることができます。ナビゲーションブックを作るための無料ツールTorisetu(トリセツ)を使うのもおすすめです。

苦手なことは、対策や工夫を行う

ADHDの特性により苦手なことは、ちょっとした工夫や対策でできるようになることもあります。そして、難しいことでも一生懸命に取り組んでいることを分かってもらえば、周囲からの理解やサポートを得やすくなります。

配慮してほしいこと、相談ごとをまとめておく

ADHDの方は、努力してもできないことや苦手なことがあるものです。しかし、周囲のサポートや配慮を得る事でできるようになったり、仕事がスムーズに行えたりすることもあります。自分、そして周囲がより働きやすい環境になるためにも、自分の特性とともにお願いしたい配慮事項や必要なサポートをまとめておきましょう。上手に伝えられるように、あらかじめ書面に書き出しておくことをおすすめします。

会社で活かせる自分の強みを考える

ADHDの特性には、強みもあります。得意なことは、長所として活かしていきましょう。特に会社に貢献できる分野があれば、積極的にアピールしたり、他の人が苦手で自分が得意な業務であれば積極的に引き受けたりするのも良いことです。会社に自分を雇うメリットが伝われば、転職に成功する率は高くなります。

自分の特性に合った仕事を見つける

ADHDの方は、特性に合っていない仕事や苦手分野の仕事に就くと、ミスが多くなったり誤解を招いたりして、居づらさから早く辞めてしまうこともあります。転職に失敗しないためには、自分に向いていない業務や環境を避け、長所が活かせる仕事を選びましょう。自己分析に沿って、転職活動を行うならADHDの方にとっての適職を見つけられるはずです。

面接で上手にADHDのことを伝える

ADHDの方にとっての転職成功が、長く働き続ける仕事に転職することであれば、ADHDの特性を理解してサポートしてくれる職場環境を見つけなければなりません。そのためにも面接では、予めADHDであることを伝えることをおすすめします。

しかし、ADHDのことを伝えるときは、少しのコツが必要です。自分の特性とそれによる仕事での困りごと、困りごとに対する自分なりの工夫や対策、困りごとに対して相談したいサポートや配慮事項をまとめて話していきましょう。先にも述べたナビゲーションブックを見せながら話をすれば、伝えたいことを適確に、そしてスムーズに伝えることができます。

このコラムで紹介した体験談を寄せてくださったADHDの方も、苦労しつつ、様々な工夫と努力を重ねて転職に成功しています。
何度も繰り返す転職に、できない自分を否定的にとらえてしまうことがあるかもしれません。しかし自己理解を進めることで、どのような働き方が自分の特性に合っているのかわかるようになります。

ADHDの方が自分にとっての適職に出会い、「この仕事が向いている」「この職場が楽しい」と思っていただけることを願っています。

【監修者:松好伸一先生からのアドバイス】

転職活動では、ADHDによる特性がマイナスに働いてしまうこともあるかもしれません。転職しても、新しい環境で新しい仕事を覚えることや、新たな人間関係、職場での作法(職場独特のマナー)などを覚えなければならないことがたくさんあります。

それでも、新たな環境に行ってみようと思えることが大事です。「自分はダメだ」と思わず「この業務が向いていない」「こういう業務なら人よりできる」と自分のことを分析し、その能力が発揮しやすく苦手業務が少ない仕事につけるよう、転職活動に取り組みましょう。

なかなかうまくいかなくても、サイトを参考にしたり、自分なりに続けたりしていくことでノウハウが生まれてくることもあります。ADHD特性の中には「継続した取り組み」が苦手な人もいますので、自分の苦手を意識して「継続した取り組み」をしていきましょう。
ADHDの方がどのような仕事に就くと転職を繰り返しやすいのか、どのような仕事が向いているのかを紹介しています
▼ADHDの方が転職を繰り返す理由と成功するためのコツを紹介


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監修者

保育士や幼稚園教諭、障害児支援に長年従事。またサービス管理責任者として障害者支援の経験を持つ。発達障害や保育に関する教科書など著書も多数で、2022年3月29日「幼児教育方法論」(共著・一藝社)を刊行。

保有資格

著者

発達障害・心理系のコンテンツを発信するWEBライター。大学で臨床心理学を学び、発達障害や精神疾患への知見を深める。自身もADHD(グレーゾーン)でありつつ社会で働いた経験や、事業を経営してきた経験をもとに、ADHDの仕事・働き方に関する著書を出版。障害を持たれる方が、自分の強みを理解し、イキイキと働けるように支援する活動をライフワークとしている。著書「ADHDの集中力アナドレン: 発達障害に負けない仕事術・タスク管理術 」「大人のADHD読書術」も好評。

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