経験者に聞く、パニック障害と両立できる仕事の選び方

パニック障害を抱えている方にとって、働くということは多くのハードル感じることと思います。

・会社はもちろん、一緒に働く人たちがパニック障害を理解してくれるのか。
・発作が起きときや体調が悪いときなど、サポート体制のある職場と出合えるのか。
・そもそも、パニック障害を抱えている間は、仕事が決まらないんじゃないか。

これから復職を考えている方、いまの職場環境が合わず転職活動を考えている方は、このような不安でいっぱいではないでしょうか。

ストレスなく働くためにも、職場のサポート環境などを確認し、慎重に選びたいものです。

今回は、みなさんと同じ症状で悩んでいる方々へ、仕事を探した時の様子や、働くうえで経験したことについてアンケートを実施。その結果をもとに、仕事を選ぶ際に参考にしたいポイントをまとめました。

さらに、働きやすい職場の見極め方やオススメの企業も具体的に紹介していきます。

目次

パニック障害を抱えながら働くということ

実際に感じた不満



アンケートでは、症状と上手く付き合える職場に出合えた人もいれば、不満があるという経験者もいます。パニック障害を抱えながら仕事をしている人たちが不満に感じている理由を具体的に見てみましょう。

「過呼吸が起きても理解してもらえず、サボっているように思われた。」

「ストレスに弱い病気なのに、”これくらいやってもらえないと困る”とプレッシャーのかかるようなことを言われた。」

「飲食店で働いていたのですが、ピークタイムを過ぎると、店舗に一人にされてしまうことが多くて。発作が出ても助けてもらえないことが非常に辛かったです。」

不満に感じたという意見には、パニック障害を理解してもらえないことや、職場での人間関係、一人で仕事を任せられてしまう、というこの3点に集中しました。

しかし、良い職場と出合えたという方も大勢います。

「障害を理由に不当な扱いをされたことはありません。得意な”淡々とこなす作業”ができるよう、環境を整えていただいたことに感謝しています」

「休みの希望が通りやすく、体調不良になった時も休みをもらいやすい環境でした

「困ったことがあれば、いつでも相談できる人ばかりでした」

このように、症状と上手く付き合いながら、ストレスなく働くためには、どのような視点で仕事を探していくと良いのでしょうか。症状と上手く付き合って働ける仕事選びのコツを、具体的に紹介していきます。

仕事を探すうえで、まず知っておきたいこと

応募する前にチェックしたい「企業の情報」



たくさんある企業の中から、まずはどんなポイントに注目して企業を見つけていけば良いのでしょうか。これから求人を探す方も、すでに気になる求人を見つけたという方にも、ぜひチェックして欲しい項目をいくつかご紹介します。

①通勤手段と時間

パニック障害の方にとって、通勤そのものも大きな不安やストレスになります。

「電車に乗れないなどの症状がある場合は、職場の近くに引っ越すか、または自宅近くの職場を探すこと。無理をして毎日電車に乗ってしまうと、症状が悪化しやすくなってしまいます。」

「できるだけ家から近い職場を選ぶことが大切です。何事も健康な人より負荷がかかるので、減らせるストレスはできるだけ減らした方が良いです。」

「パニック発作での恐怖で、混雑する急行電車やラッシュの時間の電車に乗れなかったので、業務の開始時間を調整してもらった。」

通勤が原因で会社に行けない状況になってしまう可能性もあります。通勤に不安がある場合は、無理なく通勤できる距離なのか、始業時間に融通がきく勤務体制なのかをチェックしてみましょう。

②職場の人数

仕事に対する不満の中で、「店舗に一人にされてしまうことが多く、発作が出ても助けてもらえないことが非常に辛かった。」という意見があがっていたところからも分かるように、その職場で働いている人数も重要なポイントです。

「二人もしくは一人体制の仕事なので、何かあったときに対応ができない。具合が悪くなっても、休憩ができません。」

「自分が発作や不調を起こしたとき、その分を埋めてくれる人員がいることは重要。ある程度人数の多い職場を選んだ方が良いです。規模の小さい職場は、一人一人の距離が近い分、人間関係などは円滑ですが、自分が欠けたときに回らなくなってしまう可能性も高いと思います。産業医がいる、病気への理解があると同じくらい、働いている人数にも注意してみてください。」

一人に任される仕事にしても、自分のペースでできることと、自分だけに任され逃げられない状況であることは違います。急に具合が悪くなってしまったとき、フォローができる会社なのかを見極めるためにも、まずは従業員数もチェックしてみてください。

③融通がきく

体調が悪くなってしまった時、急な遅刻や欠勤は仕方がないことです。しかし、企業によっては、休みが取りづらいなど融通がきかない場合があります。

「あらかじめ、遅刻・早退・欠勤がしづらい雰囲気のある、忙しい職場ではないかを確認した方が良いと思います。

「求人情報で、”シフト自由”と書かれた会社を主に受けました。シフトの融通がきくのかという点は、一番に確認しておいた方が良いと思います。」

通院などのことを考えても、しっかり休暇を取ることができる環境がある企業がオススメです。また、残業が多くストレスを感じる、と言う意見も多数見られました。自分が無理なく働けるよう、従業員を大切にしている企業かどうか、見極める必要があります。

「企業の情報」を知ろう



求人募集や会社のホームページを見ただけでは、実際の様子は分かりません。ではどうやって皆さん情報を入手しているのでしょうか?

①会社訪問に行く

「どういう人が働いているか、自分が採用されたらどのようなスペースで、どんな作業をするのかなど細かいシュミレーションしてみるのも良いと思います」

「薬を服用する時など、人に見られずにこっそり、の方がお互いに変な気遣いをしないで済むと思うので、一人になれる空間はあるかを見ておいた方が良いと思います。」

入社後に後悔するような事態を避けるためにも、可能であれば、会社見学で直に雰囲気を感じてみてくださいね。

②人材紹介会社や就労支援センターに相談する

自ら求人を見て探すよりも、専門的にアドバイスをくれる人材紹介会社や、就労支援センターで探している人が多いようです。

「人材紹介会社で、担当の人に症状について相談したところ、配慮してもらいやすい職場を探してみると言ってもらえました」

「その都度、体調の確認や変化など確認をしてくれました。」

心の障害を専用とした人材紹介会社もあります。担当者がひとりひとりの症状を理解しながらが、マッチする企業を一緒に探してくれたり、面接前から企業との間に入ってくれることで、仕事探しはもちろん、面接への同行や入社後のサポートもあるので心強いですよね。会社への不満を相談できるなど、心の負担の軽減も期待できます。

では実際に、仕事に満足しているという経験者たちは、どのような企業で働いているのでしょうか。具体的な職種や業種、企業名もご紹介します。

働きやすい企業・職種と業種

満足度の高い企業


実際に、どのような企業が働きやすいのでしょうか。大きく2つの意見に分かれました。

①病気や障害への理解がある
・三菱自動車販売会社
「パニック障害のことを上司にだけ報告していましたが、周りも何となく”配慮が必要”と認識されていた様子で、細やかに対応してもらいました。時短での勤務でしたが、退社後に会議で決まったことについては、全員配信でメールをくれるだけでなく、時間をとって説明してくださいました。」

・三井生命保険株式会社
「同僚が平日の通院を快く行かせてくれた。症状がひどい時はコンビニにも行けなかったのに、替わりに銀行に行ってくれた。直属の上司が体調を気にかけてくれたり、休暇も取得しやすかった。」

・社会福祉法人愛和会
「私のために、上司が何度も勉強会を開いてくださり、周囲の理解が得られるよう努力してくれました。」

・株式会社ROQUE
「一度会社で過呼吸になり、迷惑をかけてしまった時に、社長が”今後また起こった時のために”と過呼吸についての対処法を聞いてくれました。それを他の社員にも”次に起きた時はこうしてやってくれ”と説明してくれました。また、毎日ミーティングの時にオーバーワークになっていないかを確認してくれました。症状が改善せず、長期間欠勤が続いた時には、会社の方から”一度ゆっくり休んでみては?”と提案をしてもらえた。」

・有限会社エーコープランニング
「会社のみんなが気にかけてくれて、調子が悪い時は休ませてくれたり、病院に行ける日を作ってくれました。車で移動する時は、高速が苦手なことを理解してくれて、下道を通ってくれました。飲み会の場所も、電車が苦手な僕に気を遣ってくれて、僕の家の近くにしてくれたりしました。」

・パナソニック株式会社
「アットホームな雰囲気の職場です。優しく丁寧に仕事を教えてくれたり、健常者と障害者が助け合って仕事をしている雰囲気の職場でした。困ったことがあれば、いつでも相談できる人ばかりでした。仕事量や納期はありましたが、みんなで負担が大きくならないよう助け合っていました。」

②休暇など制度が充実している
・株式会社ZOZO
「週休二日制で、休憩もしっかり取れました。残業も可能な時だけだったので、働きやすかったです。」

・トップワーク株式会社
「休みの希望がほぼ通り、体調不良になった時も休みやすい環境でした。」

・国大セミナー
「シフトの融通がききます。また、人間関係も良好で、楽しいと思える時もあります。」

・富士通株式会社
「また、外出ができない時期があった時に、内勤にしてもらえました。福利厚生も整っていて、教育制度もきちんとしているので、スキルアップできる環境もあります。」

・株式会社建帛社
「一時期は休暇に近い状態で低い給与体制に落とされましたが、その後、以前と同待遇で復帰を許されました。基本的には個人で進める仕事のため、周囲への影響が少なく、精神的に楽をさせてもらっています。」

・三井住友銀行
「土日は休みですし、残業はほぼありません。また、休みをたくさん取ることもできました。」

これはほんの一例で、手厚いサポートと理解を示してくれる企業はたくさんあります。もし、今「自分を受け入れてくれる会社はないんじゃないか」と自信をなくされている方がいらっしゃったら、ぜひ以下のポイントに注目して、いろんな企業をのぞいてみましょう。

向いている業界・業種



具体的な企業を紹介してきましたが、どのような職種で探すのが良いのでしょうか。経験者が就職した会社を元に、まとめてみました。

①大手企業
福利厚生が充実しているので、こちらが求めている条件に当てはまりやすい。また、病気へのサポート体制が整っているところも多く、安心して働ける環境が期待できる。

②事務などのデスクワーク
ノルマがなく、ルーティンワークが多いため、負担も少なくなります。動き回ることもなく、体力的にも安心です。

③コールセンター
女性の多い職場のため、細やかな気遣いができる人が多い。また、時間に融通がきく会社も多いので、長時間働けない人やラッシュの電車が苦手な方にもオススメです。

面接のポイント

働きたい会社が決まって面接にこぎつけても、嬉しい反面、緊張感もひときわ。面接で失敗しないよう、注意するべきポイントを経験者の目線から解説します。

①症状は面接で打ち明ける



面接の際、一番大切なポイントは、パニック障害について正直に話すこと。仕事復帰に成功した経験者のほとんどが、この点をアドバイスとして語っています。

「入社前に、自らの病気を告白すること。告白して内定を出さない企業なら、理解が少ない会社だと思います。長く続けられる職場を探すのなら、勇気を持って最初に告白すべきです」

「断られてしまうこともあるかもしれませんが、病気を隠すことだけはやめた方がいいです。万が一、症状が出てしまった時に周りの協力体制がないというのは、とても辛いです」

「面接の時点で病気のことを言うべきだと思います。隠しながら辛い思いをして仕事をするよりも、仕事が決まる前に会社に伝えるべきです。そこで断られたら、受け入れてくれるところを探せばいいだけの話。我慢をして、余計に体調が悪くなってしまう可能性だってあります」

また、自分が得意なことと同様に、パニック障害を抱えているうえで自分が苦手とするものもしっかりと伝えましょう。

「障害は自分の大きなマイナスのポイントです。しかし、長所と短所をアピールするのと同じで、自分のセールスポイントや、やりたいことを必ず見せるべきです。両方を見せた上で相手の手の内を見せてくれるくらいが、今後の関係もやりやすいと思います。」

「自分のできること、できないことを明確にし、セールスポイントを伝え、それを受け入れてくれる職場を選ぶべき。”続けられる仕事”を見極めることが大切だと思います。」

打ち明けることで、採用されないのではないかと不安になるかもしれません。ですが、無理して仕事を引き受けてミスをしてしまえば、あなたへの信用がなくなってしまいます。お互いが気持ち良く仕事をするためにも、できないことも含め、正直に打ち明けることがベストです。その分、この会社に入りたい!という強い気持ちや自分の強みを、自信を持って、伝えてください。

②面接時に確認するべきこと



面接は、人間関係や職場環境など、気になる内部の情報を教えてもらうチャンスでもあります。

「障害や病気になった時、配置換えやきちんと休養できる制度があるかどうか。人材を大切にしている会社かどうかを見て考えた方が良いです。」

「仕事内容を詳細に聞いて、自分にできるのかを考えます。」

不安や疑問に思うことは、遠慮せずに質問をしましょう。解消せずに入社して、辛い思いをするのはあなた自身なのですから。

入社後に気をつけること

面接に見事通過し、採用となっても、まだまだ不安に思うことがあると思います。仕事に満足をしている方たちは、自分の症状を知ってもらうことでストレスを軽減していました。

「まずは、自分のことをよく知ってもらい、理解されることで周囲との関係性を築くこと。自分のできること、苦手なことを知り、周りに伝えることが大切です。」

「障害について理解してもらうことがなくても、悲観しないこと。経験上、一人でも病気について理解してくれる人は必ずいます。」

「困った時に相談できる人を見つけ、症状をしっかり伝えることが大切。精神疾患は症状を理解してもらうことは難しいけど、それでも伝えることが大切だと思います。」

「誰か一人でも病気のことを言える人がいたら、自分一人で抱え込まないように、なるべく口に出して助けを求める」

どんなことも、口にしないと伝わりません。周りの人に知ってもらうことで、症状が起きてしまった時も快くサポートをしてもらえますし、何より自分自身が仕事をしやすい環境に身を置くことができます。

最後に

仕事を探す条件から入社後まで、注意するべきことが多く、ストレスに感じてしまうかもしれません。ですが、仕事選びを慎重にするのは、あなた自身を守るため。

時間がかかるかもしれませんが、無理せず長く働けるような、自分に合った職場を見つけてください。もし入社して、不満や不安に思うことがあれば、立ち止まってください。そして、そばにいる誰かに頼ってください。思い切ってやめることも、悪いことじゃありません。

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