車いすを使用している方は、仕事の何を重視しますか?
業務内容、通勤手段、設備、職場環境など、どれも働きやすさを求めるためには大切です。そして、ハードルが高いと感じることもあるでしょう。
例えば「車いすで満員電車に乗れるだろうか」「職場はバリアフリー環境が整っているだろうか」「行動に時間がかかることもあるが、雇ってもらえるのだろうか」「そもそも、復職や仕事探しはできるのだろうか」といった悩みはありませんか?
そのような悩みがあるときは、同じように車いすを使用しながら、仕事を続けている方々の声に耳を傾けてみましょう。
辛い思いを抱きつつも復職、もしくは転職活動に成功されしている方が大勢いらっしゃいます。そして「どんなことに注意しながら転職活動を行ったか」「車いすを使用している人が特に注意すべき面接のポイント」など、多くの体験談が届いています。
障害者雇用の専門家みちしたさん(社会福祉士、精神保健福祉士)にもアドバイスをいただきました。
ぜひ、復職・転職活動の参考にしてください。
「私は身体障害者手帳3級の障害をもっていて電動車椅子を使っています。それなので、とても通勤に不便で困っています。」
「通勤も大変です。事故こそ起こしませんでしたが、左手・左足で車を運転するのは、危ないです。」
「環境は良いと思うが、夏冬の空調があまり効かないので長く同じところにいるときつい。」
「頸髄損傷で基本的に首から下は動かず、腕は一部動くので、動かない指一本でキーボードを打ってます。長時間車椅子に座っていると、貧血や褥瘡のリスクも大きいです。」
「自分でできることが少なかったので他の人たちと対等な関係になれなくて劣等感を持っていた。食堂もあったが手伝って運んでもらわなきゃならなかったので、お弁当を週2回ぐらい持っていった。友達もできず苦痛。性格も内向的。仕事内容は普通の人には簡単だが、私は右手片麻痺なので左手で書かなければならず大変だった。記憶力があったので助かった。」
「私が働いていく上で、いかに健常者に嫌われず、嫌がらせやいじめを受けずに済むのかといった、仕事内容とは関係ないところの工夫が必要でした。」
「靭帯骨化症で長い時間車イスに座っていると、胸や足が痺れてきて耐えられなくなる。 この病気になってから、熱が急に上がるので仕事もままならない。この病気が酷くなって自分で辞めてしまった。かなり迷惑をかけたので、これ以上世話になりたくなかった。」
「私は2か所で就労の経験がありますが、両方とも、障害のある私と一緒に働きたくない人たちばかりだったので、ハラスメントを受けたり窓際族にされたりして、依願退職するように促された。はじめのところでは、ハラスメントによりうつ病になった。でもうつ病になったことを認めてもらえず、嫌な思いをしました。雇う側と配属先が障害のある人を雇用するという考えや理解を共有しないと、私だけではないであろうこの事実はなくならないと思います。健康であっても、もしかすると病気やけがで障害を持つかもしれないのだから、その辺の当たり前で当たり前でないことを本当の意味で理解する必要があると思います。」
「特に車いすを使うようになって最初の頃に経験した辛いことは、差別を感じたり、他の人の世話にならなければならないことにガッカリしたりすることです。身体的には、これまではできたちょっとしたこともできなくなるため、健常者にイライラされたり、自分自身が落ち込んだりすることがあります。」
「会社の中は床の段差や繋ぎ、つまずきやすい所が少なく、車いす等でも移動しやすい。トイレは洋式も設置され、緊急呼び出しボタンで総務の人を呼び出せる。」 「職場環境は病院ということもあって、玄関、トイレ、エレベーターなどバリアフリー対応については完璧だったが、受付や会計の窓口が高く、車いす利用者には不便だと感じた。しかし入職後間もなく、私に相談しながら、窓口の半分を車いす利用者に合った高さに改築してくれた。」
「エレベーターはもちろん、階段の手すりや車いす用トイレなど完備しており 仕事もデスクワーク中心でした。」
「基本的に社内での作業なので接客とかはなく、一日中パソコンと向き合うことになります。長時間座る作業は集中力がもたないと難しいかも知れません。」
「納期の早い仕事はほとんどなく、就業時間内に十分できる内容でした。 在宅勤務でしたが、1か月に1~2回ミーティングで通勤していました。その日が悪天候の場合は、別の日に変えてもらうこともありました。職場に障害のある方が多く、それぞれの障害に合わせた仕事のプランを作ることができ、私は昼の休憩時間を長くすることでリハビリの通院時間を作ってもらうことができました。」
「下肢障害のある人は自動車通勤が可能でした。定期的な通院のための休暇もあり、社内に車椅子対応の設備があるため働きやすかった。 」
「さまざまな配慮と同僚達のサポートで仕事ができ、大変恵まれた環境だったと思います。 家族の協力もとてもありがたく、長年働くことができました。」
「元からいた会社で、そのまま続けて仕事をしています、特別なことは有りませんが、仕事の時間を短くしてくれたりの計らいを受けています。以前から務めていた会社なので、そのまま使っていてくれるのだと思います、新たに仕事を探すと、このままでは、勤められるような会社は無いと思います、会社が大手だったことが良かったんのだと思います、人生何があるかわかりません、私は、今では車椅子の生活ですが、ラッキーだったと思っていいます。」
「時間が有る程度自由で、短時間の事務系の仕事なので、体調に合わせて仕事を続けることが出来ています。今までいた職場と同じで、昔から付き合いのあるものばかりなので、そして、皆やさしいので、働きやすい環境です、それが一番良いですね、皆、気をきかしすぎないでいてくれることが良いのです、気を使いすぎるとこちらも気になりますから。」
「ハローワークの障害者専用の窓口で、希望の職種やエリアを伝えて探してもらいました。働きたい企業を見つけたので、人事の人に電話をしてもらいました。」
「ハローワークには障害者のある方の就職サポート体制がしっかりしているので、信頼できます。利用して思ったことは『遠慮しないで自分の気持ちを話すこと』です。そうすれば理想に近い職場がみ見つかると思います。」
「埼玉県所沢市にある職業リハビリテーションセンターに半年通い、そこで半年に1回開催される面接会に参加し、就職しました。」
「就労移行支援事業所でパソコンを使用した職業訓練を受けました。その最中に『障害者就労サポートセンター』から、ハローワークに求人情報が出ていることを聞きました。」
「自分の障害について正確に把握し、身体障害者手帳にも正確な内容が反映されるようにしておいた方がよい。手帳に視覚障害について記載されていなかったことで、入社後に困ったことがある。障害を隠すとか詳しく伝えずにいるよりも、最初から自分の困難な点とそれをどうカバーできるかを伝えるほうがよい。」
「障害程度や症状は人それぞれです。見学や就労体験等でできる仕事の範囲を、自分と会社の人の双方で確認した上で、続けられるかを判断すればいい。そして自分自身が楽しく仕事に打ち込めるかを考えると良いと思う。」
「障害のある方が就職活動をするときは、面接や書類の中で自分ができること、できないことをしっかり伝えることが大切だと思います。仕事の内容ばかり目が行きがちですが、通勤面で配慮をしてもらえるかも確認しておくといいと思います。」
「まず、自分の症状を理解してもらうことが必要。プライドを捨て細かい説明が必要。できる仕事とできない仕事、他人との共同作業が良いのか、クリエイティブな仕事が良いのか、単純な組立作業を希望するのかなど、はっきりさせておいたほうが良いと思う。突発の休暇を取得できるかどうかも確認すると良い。」
「雇用が決まったら、今一度人事の方に、本当に障害があっても働ける部署に配属してもらえるのかどうか、必ず確認することをおすすめします。求人は山ほどあります。」
「まず自分の障害について、できることとできないことをきちんと伝えることが大切です。 雇用者側はほとんどが障害のない人であり、実際どのようなことで困るのかというのはわかりづらいです。 また、面接や見学だけでは仕事の内容はわからないので、とにかくコミュニケーションをしっかりとることが大切です。」
「自分が主に車で移動をするのであれば、車での出社が可能かどうか、体調を考慮しフレックス制が可能かどうか、在宅勤務ができるかどうか、会社がバリアフリーになっているかどうか、そうでない場合は同僚が手伝ってくれるかどうか、使えるトイレがあるかどうか、不調の時の様子と対応の仕方を確実に伝えておくべきです。」
「車椅子の場合はエレベーターがあっても、広さによっては入らないことがあるので確認しておくといいと思います。立って仕事する場合、自分がどのくらい立っていられるか試しておくといいと思います。また、病院へ行くためにお休みがとれるかどうかなども大事です。」
「どの会社でも見学のときは、マイナス面は一切出さないと思いますので、なかなか短い時間で把握するのは難しいです。しかし、エレベーター、障害者用トイレ、手すり、車椅子用駐車場などが完備されているかは、隠すことはできないので、それらがすぐ目につくようであれば、障害のある人に対する理解度が判断できると思います。」
「20年以上前に建てられた建物なので、完全なバリアフリーとはいかないと思う。」
「車椅子の方に限っては、悪天候時に対応してもらえる介護タクシーをいくつか抑えておく必要があると思います。」
「他の人より動作が遅く効率が悪いので、段取りや効率などで工夫をし、遅れをとらないようにしている。」
「背骨の曲げ伸ばしを禁止されているので、上半身を鍛えて家族に少しでも負担をかけないように生活しています。」
「PC作業に集中する時間が長いと肩が凝るので、30分おきに座席で軽いストレッチ。肩を回したり、ぼんやり遠くを見たりする。」
「立ち仕事は他の人に代わってもらうようにしました。避難訓練などで階段を使わないといけない場合も、特別にエレベーターの使用を許可してもらいました。」
「きちんと意思の疎通をしていないと、相手はわかったつもりでいてもこちらは理解できていないということが起きることがあります。 きちんと内容や手順を確認しておくこと、迷ったらメール等で細かく相談することが重要です。」