車いすでもできる仕事を見つけるためのアドバイス

車いすでもできる仕事を見つけるためのアドバイス

車いすを使用している方は、仕事の何を重視しますか?
業務内容、通勤手段、設備、職場環境など、どれも働きやすさを求めるためには大切です。そして、ハードルが高いと感じることもあるでしょう。

例えば「車いすで満員電車に乗れるだろうか」「職場はバリアフリー環境が整っているだろうか」「行動に時間がかかることもあるが、雇ってもらえるのだろうか」「そもそも、復職や仕事探しはできるのだろうか」といった悩みはありませんか?

そのような悩みがあるときは、同じように車いすを使用しながら、仕事を続けている方々の声に耳を傾けてみましょう。

辛い思いを抱きつつも復職、もしくは転職活動に成功されしている方が大勢いらっしゃいます。そして「どんなことに注意しながら転職活動を行ったか」「車いすを使用している人が特に注意すべき面接のポイント」など、多くの体験談が届いています。

障害者雇用の専門家みちしたさん(社会福祉士、精神保健福祉士)にもアドバイスをいただきました。

ぜひ、復職・転職活動の参考にしてください。

*この記事はみちしたさんに監修していただきました
みちしたさん

社会福祉士・精神保健福祉士(ソーシャルワーカー、精神科ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)の資格を持つ。障害者支援施設にて支援員を8年経験した後、福祉資格を持つ地方公務員として採用され、ソーシャルワーカーとして活躍。


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目次

1. 車いすを使用している方が直面する悩み

2. 働きやすい職場とは?確認したいポイント

3.今の仕事を続けるのか、転職するのか

4.車いすを使用している方におすすめの企業

5.転職活動のはじめかた

6.面接のポイント

7.入社後に心がけたこと

8.専門家からのアドバイス

9.まとめ

1. 車いすを使用している方が直面する悩み

車いすを使用しながら仕事に復帰しようとしている方が直面する悩みには、どのようなことがあるのでしょうか?
口コミには3つのことが多く挙げられていました。

  1. 通勤に対するハードルの高さ
  2. 自由に動けないことの辛さ
  3. 精神的な負担
コメントとともに具体的な内容を見てみましょう。

1-1 通勤に対するハードルの高さ

「私は身体障害者手帳3級の障害をもっていて電動車椅子を使っています。それなので、とても通勤に不便で困っています。」

「通勤も大変です。事故こそ起こしませんでしたが、左手・左足で車を運転するのは、危ないです。」



車いすを使用していると、周りの方と同じように朝の混雑時に電車に乗ることはかなり厳しいのが現状です。そのため、通勤時間や通勤方法に対する会社の配慮が必要不可欠になります。

また、車通勤が可能な職場だとしても遠距離・長時間の通勤は続かないでしょう。まずは「職場に到着するための手段」という悩みが、周りの方には理解できないほど大きな壁となっています。

1-2 自由に動けないことの辛さ

「環境は良いと思うが、夏冬の空調があまり効かないので長く同じところにいるときつい。」

「頸髄損傷で基本的に首から下は動かず、腕は一部動くので、動かない指一本でキーボードを打ってます。長時間車椅子に座っていると、貧血や褥瘡のリスクも大きいです。」



多くの方が行う仕事内容は、デスクワークや電話対応など、車いすでもできることです。しかし、それらの仕事は同じ体勢で長時間続けるために、自由に動けないゆえの悩みや疲労も生じます。

デスクワークに疲れたとき、立って歩き回るなどの気分転換をしたいところですが、車いすの場合それができないためエコノミー症候群のような影響が身体機能全般に表れます。このような特有の悩みが、同僚になかなか理解されないのも辛いことです。

1-3 精神的な負担

「自分でできることが少なかったので他の人たちと対等な関係になれなくて劣等感を持っていた。食堂もあったが手伝って運んでもらわなきゃならなかったので、お弁当を週2回ぐらい持っていった。友達もできず苦痛。性格も内向的。仕事内容は普通の人には簡単だが、私は右手片麻痺なので左手で書かなければならず大変だった。記憶力があったので助かった。」

「私が働いていく上で、いかに健常者に嫌われず、嫌がらせやいじめを受けずに済むのかといった、仕事内容とは関係ないところの工夫が必要でした。」

「靭帯骨化症で長い時間車イスに座っていると、胸や足が痺れてきて耐えられなくなる。 この病気になってから、熱が急に上がるので仕事もままならない。この病気が酷くなって自分で辞めてしまった。かなり迷惑をかけたので、これ以上世話になりたくなかった。」

「私は2か所で就労の経験がありますが、両方とも、障害のある私と一緒に働きたくない人たちばかりだったので、ハラスメントを受けたり窓際族にされたりして、依願退職するように促された。はじめのところでは、ハラスメントによりうつ病になった。でもうつ病になったことを認めてもらえず、嫌な思いをしました。雇う側と配属先が障害のある人を雇用するという考えや理解を共有しないと、私だけではないであろうこの事実はなくならないと思います。健康であっても、もしかすると病気やけがで障害を持つかもしれないのだから、その辺の当たり前で当たり前でないことを本当の意味で理解する必要があると思います。」

「特に車いすを使うようになって最初の頃に経験した辛いことは、差別を感じたり、他の人の世話にならなければならないことにガッカリしたりすることです。身体的には、これまではできたちょっとしたこともできなくなるため、健常者にイライラされたり、自分自身が落ち込んだりすることがあります。」



このように、車いすを使用していることで職場に溶け込めないという悩みは多く、その悩みは大きくわけて2ケースあります。

  1. 自ら周りに気を使うあまりに同僚に溶け込めないケース
  2. 障害に対する理解がない職場での言動や行動により辛い思いをしているケース
上記のコメントにもあったように、精神的な負担は心の障害へもつながりかねません。

しかし、このような職場ばかりなのでしょうか?
口コミには、辛い経験だけではなく、車いすを使用している方でもできる仕事や、配慮のある職場で働いている方のアドバイスもたくさん届いています。

では、車いすを使用しつつも復職・転職に成功している方はどんな職場を選んできたのでしょうか。

2. 働きやすい職場とは?確認したいポイント

どのような職場であれば、車いすを使用する方が働きやすいのでしょうか?
寄せられた口コミから、働きやすい職場の特徴をまとめてみました。

  1. バリアフリー環境が整っている
  2. 勤務時間の調整が可能
  3. 同僚の理解とサポート
では、それぞれ具体的なコメントとともに、詳しく見ていきましょう。

2-1 バリアフリー環境が整っている

「会社の中は床の段差や繋ぎ、つまずきやすい所が少なく、車いす等でも移動しやすい。トイレは洋式も設置され、緊急呼び出しボタンで総務の人を呼び出せる。」 「職場環境は病院ということもあって、玄関、トイレ、エレベーターなどバリアフリー対応については完璧だったが、受付や会計の窓口が高く、車いす利用者には不便だと感じた。しかし入職後間もなく、私に相談しながら、窓口の半分を車いす利用者に合った高さに改築してくれた。」



車いすを使用する方が、社内で自由に移動するためには、バリアフリー環境が必要不可欠です。
長時間働くとなると、トイレや休憩、食事などで社内を移動する必要もあります。常に人の手を借りるとなると、精神的な負担が大きくなり、長く働き続けることが難しくなることも考えられます。

もともとバリアフリーに配慮した企業もあります。またコメントにあったように、意見を取り入れて環境を整備してくれる企業であれば、本当にうれしいことですね。

働く前に企業を見学し、入口から職場への動線だけでなく、トイレや休憩室への動線なども確認することが大切です。

また、障害があり車いすを使用することになっても、車いすのままの体勢で仕事ができる「デスクワーク」なら、体への負担を少なくすることができるのではないでしょうか?

車いすのまま使えるデスクが準備されていることも、確認したいポイントの一つです。

「エレベーターはもちろん、階段の手すりや車いす用トイレなど完備しており 仕事もデスクワーク中心でした。」

「基本的に社内での作業なので接客とかはなく、一日中パソコンと向き合うことになります。長時間座る作業は集中力がもたないと難しいかも知れません。」



ただ、コメントにもある通り、デスクワークは同じ体勢を取り続けることにもなります。 自分で休憩や気分転換を図ることや、デスクまでの動線や周囲のスペースなども考慮する必要があります。

2-2 勤務時間の調整が可能

「納期の早い仕事はほとんどなく、就業時間内に十分できる内容でした。 在宅勤務でしたが、1か月に1~2回ミーティングで通勤していました。その日が悪天候の場合は、別の日に変えてもらうこともありました。職場に障害のある方が多く、それぞれの障害に合わせた仕事のプランを作ることができ、私は昼の休憩時間を長くすることでリハビリの通院時間を作ってもらうことができました。」

「下肢障害のある人は自動車通勤が可能でした。定期的な通院のための休暇もあり、社内に車椅子対応の設備があるため働きやすかった。 」



悩みとしても寄せられていたように、車いすを使用する方にとって通勤手段、通勤時間は大きなハードルになります。また平日の通院で、休みが必要になることもあります。

このような理由から、フレックス制を取り入れている企業や休暇制度が整った企業は、自分の要望を相談しやすいでしょう。
急な休みなどにも対応できるように、業務内容も余裕を持って取り組めるものや、同僚の協力を得ながら進められるものであれば、気持ちに余裕が持てます。


2-3 周囲の理解とサポート

バリアフリーが整った会社であっても、やはり周囲の方々のサポートは必要です。どんな方でも、企業で働く以上、1人で仕事を進めることはできません。

そのためにも、職場の同僚の理解は、仕事を長く続ける上でなくてはならないポイントです。

「さまざまな配慮と同僚達のサポートで仕事ができ、大変恵まれた環境だったと思います。 家族の協力もとてもありがたく、長年働くことができました。」



このように、いつもでなくても良いけれど、必要なときに手を差し伸べてくれる、困ったときに声をかけてくれる仲間がいる職場は、心強いものです。

ここからは、今後の仕事の方向性について考えてみましょう。

3.今の仕事を続けるのか、転職するのか

車いすでの生活が始まったときは、仕事が今まで通りできるのか、今後のどのように仕事を続けるのかなど、この先への不安を抱えることと思います。
まずはこれまで慣れ親しんできた職場に、車いすで行える環境があれば、サポートも受けやすく、勤め続けることができるでしょう。

実際にも、このようなコメントが届いています。

「元からいた会社で、そのまま続けて仕事をしています、特別なことは有りませんが、仕事の時間を短くしてくれたりの計らいを受けています。以前から務めていた会社なので、そのまま使っていてくれるのだと思います、新たに仕事を探すと、このままでは、勤められるような会社は無いと思います、会社が大手だったことが良かったんのだと思います、人生何があるかわかりません、私は、今では車椅子の生活ですが、ラッキーだったと思っていいます。」

「時間が有る程度自由で、短時間の事務系の仕事なので、体調に合わせて仕事を続けることが出来ています。今までいた職場と同じで、昔から付き合いのあるものばかりなので、そして、皆やさしいので、働きやすい環境です、それが一番良いですね、皆、気をきかしすぎないでいてくれることが良いのです、気を使いすぎるとこちらも気になりますから。」



ある程度の年月働いてきた職場の場合は、これまで培った人間関係が助けになることが多いようです。自分では、できないことが多くなるため、もうやめるしかないと考えがちですが、仲間はあなたの持ち味や能力をフルに活用する方法を考えてくれることが少なくありません。

そのため簡単に退職を決めるのではなく、まずは、「今の職場に復職できるかどうか」「仕事復帰できるとすれば、どんな条件があるか」を考えてみることは大切です。

車いすの生活が長い方の中には、前の章で挙げたように、今の職場に悩みを持っている方もいらっしゃると思います。
そういった場合は、こころの悩みが深刻にならないように、今の仕事を見直すことも必要かもしれませんね。

では、ここでアンケートに届いた、オススメの会社を企業名を挙げながら紹介していきます。皆さんの気になっている会社はいかがでしょうか?

4.車いすを使用している方におすすめの企業

次は、寄せられた口コミに基づいて、車いすを使用している方に配慮のあるおすすめ企業を紹介していきます。車いすを使用する方に向いている企業はどんな特徴を持っているでしょうか?

4-1 通勤時・移動時の配慮がある

・東京海上日動火災保険
「身体に障害がある人は満員電車が辛いので、希望があればラッシュ時の通勤を避けられるように、働く時間を調整してくれました。仕事中だけではなく、通勤面でも配慮してもらえているとありがたい気持ちでいっぱいでした。エレベーターや車いす用のトイレが完備されているので、車椅子を利用する人には便利だと思います。オスメイト等はついていないので、注意してください。支店によっては、保健室のようなものもあるので体調が悪くなった時は利用できました。」
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
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・ヤマト運輸株式会社
「身体障害のある人にとても理解がありました。私は、車椅子を使っていました。その私のためにわざわざ職場をバリアフリーにリフォームしていただきました。とても感謝しています。また、私は通勤のときにも車椅子を使っていました。車椅子を使っていると、通勤ラッシュのときには電車に乗ることができません。そのことにも配慮して、仕事を始める時間を遅らせてもらえました。車椅子を使っていると、乗りたい電車に乗れないことがあります。電車に乗るためにスロープをおいてもらうのですが、その作業をしてもらえる警備員さんの都合で、30分以上、駅で待たなくてはならないのです。そのことも鑑みて、時間には余裕を持って行動しなくてはなりませんでした。」
満足度:★★★
配慮 :★★★
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車いすを使用している方の悩みの一つは、通勤時の苦労です。
フレックスタイムを導入している企業や、マイカー通勤を許可している企業は、通勤ラッシュを避けることができるため、車いす使用の方にも向いています。働き方が自由な職場も良いでしょう。



4-2 福利厚生の制度が充実している

・プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社
「身体に障害がある方にとっては、非常に設備面が整っていると思う。また、先ほども書いたように、自分の能力や障害の状況にあった仕事に就けるよう配慮されていることはおすすめポイントだと思う。一方、デメリットは、4年間の有期雇用であること。」
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
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・本田技研工業株式会社
「上司に相談し、トイレの改造を始め、車椅子で働きやすい環境にして頂きました。昼休みは大変混み合うので、10分早く昼休みをとっていいと言ってくれました。職場の上司や同僚や総務課を始め他の課も理解があり、ドアはすべて引き戸にするなど、環境面は直ぐに対応してくれました。 また、仕事を進めるペースも配慮してくれます。 1ヶ月おきに産業医と面談があり、その結果を踏まえ、勤務時間を調整してくれました。」
満足度:★★★
配慮 :★★★
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・株式会社本田技術研究所
「管理職に産業医からの注意事項が共有化されている。 管理職に自己申告するシステムがある。」
満足度:★★★
配慮 :★★★★
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大きな会社や官公庁などは、福利厚生が充実している所も多く、働きやすいかもしれません。特に産業医との定期的な面接があると、困っていることや職場環境の悩みなどを相談することができます。



4-3 在宅で就労できる

・東洋インスペクションズ株式会社
「褥瘡ができて数ヶ月在宅で仕事をしていたこともあり、治った後も在宅勤務になりました。身体に負担がかからないように在宅勤務にしてくれて、どうしても出社しないと打ち合わせができない時のみ出社しています。駐車場の確保もしてくれていましたし、午後からの出社で助かりました。」
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★★
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・株式会社ロシナンテ
「在宅も可能なので身体が不自由な人はとても助かる。仲が良いのでいじめなどもなく、できる仕事をやっていける。お休みや早退は相談に乗ってくれるし、やりやすい環境を作ってくれる。体調によって勤務時間の設定も変えてくれる。」
満足度:★★★
配慮 :★★★★
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在宅勤務が可能であれば、通勤に悩む必要がありません。ウェブ会議や面接、メールや社内ネットワークなどを駆使して、在宅業務の割合を増やし、毎日会社に出なくてもよいように工夫している所もあります。

通勤の問題や、バリアフリー環境に対応できないとしても、在宅就労ができれば、それらの問題をクリアすることができますね。


車いすを使用する方が働いている企業が一覧で確認できます。
身体障害のある方がお仕事、雇用をされている企業一覧

5.転職活動のはじめかた

就職活動や転職活動を行うとき、まず何から始めれば良よいか戸惑うことはありませんか?

まずは、どんな求人スタイルがあるのかを知っておきましょう。

5-1 働き方によって選べる採用枠「一般枠」」と「障害者雇用枠」

求人には「一般枠」と「障害者雇用枠」があり、障害者手帳を所持している方は、どちらにも応募することができます。

一般枠(=クローズ就労)」は、障害のない方と同じように働くことになるため、広い職種から選べ、昇進や昇給などの機会もあります。しかし、周囲同僚のサポートや勤務時間などの配慮を受けにくいのが現状です。

障害者雇用枠(=オープン就労)」は、障害があることを前提に、仕事をすることになります。そのため、職場の理解があり、周囲同僚のサポートが受けやすくなるなど、働きやすい環境が望めます。
また、障害者雇用枠は、障害者専門の人材紹介会社や就労移行支援事業所などのサポートを受けられるというメリットもあります。


5-2 求人はどこで探すの

①ハローワーク

ハローワークには障害のある方専門の窓口があり相談することができますし、障害者雇用の求人も扱っています。

「ハローワークの障害者専用の窓口で、希望の職種やエリアを伝えて探してもらいました。働きたい企業を見つけたので、人事の人に電話をしてもらいました。」

「ハローワークには障害者のある方の就職サポート体制がしっかりしているので、信頼できます。利用して思ったことは『遠慮しないで自分の気持ちを話すこと』です。そうすれば理想に近い職場がみ見つかると思います。」



参考:厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」

②人材紹介会社(エージェント)

障害を抱え不安を覚えている方の就職活動を応援してくれる、専用の人材紹介会社をご存知でしょうか?

履歴書の書き方や面接の練習、おすすめする企業への連絡や事前見学の調整、入社後のケアや相談など、全面的なサポートを行っています。

ハローワークなどでは公開されていない求人情報も扱っています。また、各企業との連絡が密で内情をよく把握しているので、ホームページや求人票からは得られない職場環境なども知ることができます。

ひとりではじめる始める就職活動との違いは、専門のアドバイザーから自分に向いている企業の紹介を受けられるため、担当者と一緒に不安を取り除きながら活動を進めていくことができます。

人材紹介会社も一つの企業。紹介できる企業の得意分野や担当者の性格は様々さまざまです。自分の希望や意見が伝えやすく、理解してもらえる人材紹介会社かどうかをチェックしてみましょう。

③就労移行支援事業所

障害のある方の就職支援を行っている施設の1つに、就労移行支援事業所があります。
就労移行支援事業所では、職業訓練や求職活動のサポートが受けられます。

例えば、障害のために退職し、次の就職までにブランクがあると不安が先にたつ方も多いことでしょう。就労移行支援事業所では、生活のリズムを整えながら施設へ通所し、職業訓練を受けながら実績を作り、自信をつけていきます。安心して就職できるように、様々なプログラムが用意されています。

実際に、就労移行支援事業所を利用した方の声を紹介します。

「埼玉県所沢市にある職業リハビリテーションセンターに半年通い、そこで半年に1回開催される面接会に参加し、就職しました。」

「就労移行支援事業所でパソコンを使用した職業訓練を受けました。その最中に『障害者就労サポートセンター』から、ハローワークに求人情報が出ていることを聞きました。」



多くの就労移行支援事業所では、就職した後も、自分ではうまく伝えられない要望を職場に伝えてくれたり、悩みを相談できたりするなど、仕事を続けるための「職場定着支援」も行っています。

就労移行支援事業所を利用して企業に就職する割合は年々増えています。就労移行支援事業所は、ハローワークや障害者職業センターなどの求人を紹介してくれる機関と連携しているので、適性にあった職場探しが可能です。

6.面接のポイント

6-1 面接の前に、大切なことは自己分析

面接は自分のことを知ってもらい、相手のことを知る大切な場です。
自分のことをきちんと理解してもらうためにも、まずは自分のことをよく分析しましょう。

「自分の障害について正確に把握し、身体障害者手帳にも正確な内容が反映されるようにしておいた方がよい。手帳に視覚障害について記載されていなかったことで、入社後に困ったことがある。障害を隠すとか詳しく伝えずにいるよりも、最初から自分の困難な点とそれをどうカバーできるかを伝えるほうがよい。」

「障害程度や症状は人それぞれです。見学や就労体験等でできる仕事の範囲を、自分と会社の人の双方で確認した上で、続けられるかを判断すればいい。そして自分自身が楽しく仕事に打ち込めるかを考えると良いと思う。」



障害があるゆえにできないことがあります。でも、同僚のサポートがあればできることもあるのではないでしょうか?

仕事に対する前向きな姿勢を示すためにも、できることはもちろん、ひとりではできないこともどのようなサポートがあればできるのかといった説明を加え、仕事へのポジティブな姿勢を印象づけることは大切です。

車いすを使用する障害といっても、人によって障害の程度は様々です。面接では、自分の障害の特徴と自分が働くことで貢献できることを話せるように、あらかじめ準備しておくことが、就職活動を成功させる秘訣です。

6-2 面接で気をつけることは?

それでは、車いすを使用している方が面接で気をつけるポイントとは何でしょうか?
口コミには多くのアドバイスが集まっています。ぜひ参考にしてみてください。

①自分の障害を理解し、前向きに伝えること

「障害のある方が就職活動をするときは、面接や書類の中で自分ができること、できないことをしっかり伝えることが大切だと思います。仕事の内容ばかり目が行きがちですが、通勤面で配慮をしてもらえるかも確認しておくといいと思います。」

「まず、自分の症状を理解してもらうことが必要。プライドを捨て細かい説明が必要。できる仕事とできない仕事、他人との共同作業が良いのか、クリエイティブな仕事が良いのか、単純な組立作業を希望するのかなど、はっきりさせておいたほうが良いと思う。突発の休暇を取得できるかどうかも確認すると良い。」

「雇用が決まったら、今一度人事の方に、本当に障害があっても働ける部署に配属してもらえるのかどうか、必ず確認することをおすすめします。求人は山ほどあります。」

「まず自分の障害について、できることとできないことをきちんと伝えることが大切です。 雇用者側はほとんどが障害のない人であり、実際どのようなことで困るのかというのはわかりづらいです。 また、面接や見学だけでは仕事の内容はわからないので、とにかくコミュニケーションをしっかりとることが大切です。」



前の章でもお話ししましたが、ひとりひとりの障害の種類は異なります。そのため、自分ができること、できないことをきちんと積極的に伝えることが大切です。

②バリアフリー環境を確認すること

「自分が主に車で移動をするのであれば、車での出社が可能かどうか、体調を考慮しフレックス制が可能かどうか、在宅勤務ができるかどうか、会社がバリアフリーになっているかどうか、そうでない場合は同僚が手伝ってくれるかどうか、使えるトイレがあるかどうか、不調の時の様子と対応の仕方を確実に伝えておくべきです。」

「車椅子の場合はエレベーターがあっても、広さによっては入らないことがあるので確認しておくといいと思います。立って仕事する場合、自分がどのくらい立っていられるか試しておくといいと思います。また、病院へ行くためにお休みがとれるかどうかなども大事です。」

「どの会社でも見学のときは、マイナス面は一切出さないと思いますので、なかなか短い時間で把握するのは難しいです。しかし、エレベーター、障害者用トイレ、手すり、車椅子用駐車場などが完備されているかは、隠すことはできないので、それらがすぐ目につくようであれば、障害のある人に対する理解度が判断できると思います。」

「20年以上前に建てられた建物なので、完全なバリアフリーとはいかないと思う。」



面接で職場を訪ねるときには、その会社のバリアフリー環境を自分の目で見て確認することができます。給与面での待遇や同僚との人間関係がよさそうでも、トイレの設備や、通勤の便など、日常生活に支障がない建物なのかという点は注意深くチェックするようにしましょう。

しかし中には、車いすを使用している方の障害に配慮して、社屋のリフォームなどを行ってくれる会社もあります。そのため、バリアフリー環境を備える予定があるかどうかを聞いてみるのもおすすめです。

次は、長く働き続けるためにも、入社してから必要な心がけについて考えてみましょう。

7.入社後に心がけたこと

希望して入社した企業です。長く働き続けていくためには、障害や病気への周囲の理解やサポートも必要ですが、自分の心構えや工夫も大切です。 働いている方は、入社後どのようなことに気をつけ、どのような工夫しているのでしょうか?

7-1 通勤での工夫

「車椅子の方に限っては、悪天候時に対応してもらえる介護タクシーをいくつか抑えておく必要があると思います。」



会社への出社が遅れることを容認してくれているとしても、少しでも早く出社できるように自分なりの対策をすることも必要です。例えば、通勤手段を何通りか準備しておくと、いざというときに焦らなくてすみます。

7-2 段取りの工夫

「他の人より動作が遅く効率が悪いので、段取りや効率などで工夫をし、遅れをとらないようにしている。」



車いすを使用している方の場合、たしかに身体的な制限は大きいでしょう。その分、早めの行動を心がけることで、仕事に対する姿勢を評価されることにもなりますし、その前向きな姿勢こそが信頼関係を深めることにつながります。

また、できないことをあらかじめ周囲の方と共有できていれば、周囲の方もフォローする仕組みを早めに作ることができます。

7-3 体調管理に努める

「背骨の曲げ伸ばしを禁止されているので、上半身を鍛えて家族に少しでも負担をかけないように生活しています。」

「PC作業に集中する時間が長いと肩が凝るので、30分おきに座席で軽いストレッチ。肩を回したり、ぼんやり遠くを見たりする。」



車いすを使用している方が仕事をする場合に気をつけなくてはならないのが、身体を動かせないがゆえの問題です。仕事を長く続けるためには、身体を定期的にケアすることが必要です。意識して休憩をとるなど、早めの対策を心がけましょう。


7-4 サポートを依頼するときの気持ち

「立ち仕事は他の人に代わってもらうようにしました。避難訓練などで階段を使わないといけない場合も、特別にエレベーターの使用を許可してもらいました。」

「きちんと意思の疎通をしていないと、相手はわかったつもりでいてもこちらは理解できていないということが起きることがあります。 きちんと内容や手順を確認しておくこと、迷ったらメール等で細かく相談することが重要です。」



できないことや難しいことは、きちんと伝えて助けてもらうことが大切です。周囲の方の中には、サポートしたいのに何をすればよいか分からないために、助けられないということがあるようです。

普段からコミュニケーションをとり、お願いしたいことをあらかじめ伝えることで、意思疎通がはかれ、車いすでも支障なく働けるようになっていくでしょう。

8.専門家からのアドバイス

車いすを使用している方へ、障害者雇用の専門家 みちしたさんからの仕事探しについてのアドバイスを紹介します。

■働くことを迷っている車いすを使用している方へ

少しずつバリアフリー化が進められてきていますが、十分に整っていないところもまだまだあるのが現状です。
車椅子での外出はちょっとした段差や坂でも障害になってしまい、多くの点に注意しなければならなりません。

「働く」においても不安になることは当然の気持ちです。

ポイントとなるのはその不安な気持ちを、どのように周りに伝え理解してもらえるかです。
あなたの声に耳を傾けてくれる方はたくさんいます。1人で悩まず少しずつ行動を起こしてみることをおすすめします。

■これから働く車いすを使用している方へ

働く気持ちはあるものの「移動方法・仕事内容」など不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

移動手段については自宅と職場までの距離はもちろん、交通機関の有無など多くの条件を考慮しながら自分の無理のない範囲を考慮しながら探してみてください。
また、現代では在宅勤務の普及もあり、通勤のない仕事を検討してみてもいいかもしれません。

現代はインターネットの普及により、パソコンを使う業務が多くあります。
自分に好きなこと、出来ることを考え、新しい自分を見つけてみてください。

面接では、働くうえで得意なこと、助けが必要なことをポジティブに伝えることができれば、ぐっと採用に近づくことができます。理想の職場が見つかるとを祈っています。

9.まとめ

障害を抱え、今までできていたことができなくなることに悩むこともあるでしょう。しかし、失われていない自分の強みに注目すれば、あなたに向いている仕事はたくさんあります。

まずは自己分析をして、できること、できないことを把握しましょう。
自分自身でできることや、サポートがあればできることなどを前向きな気持ちで伝えることが大切です。そのポジティブな姿勢こそが、企業が求めている人材です。

あきらめることなく、自分のペースで転職や就職活動を続けてみてください。
理想の企業に出会い、長く仕事が続けられることを願っています。


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監修者

社会福祉士・精神保健福祉士の資格を取得。障害者支援施設にて支援員を8年経験した後、福祉資格を持つ地方公務員として採用され、ソーシャルワーカーとして活躍。現在はフリーのWEBライターとして、福祉に関する情報を発信している。

保有資格

著者

障害、病気のある方の企業や仕事に関する口コミサイト「アンブレ」を運営中。 丁寧な取材や口コミの分析を通して、病気や障害の特性に配慮した働き方や仕事との向き合い方を提案。理想の職場に出会うための、そしてより働きやすくなるための情報を発信しております。障害や病気があってもぴったりの仕事を。

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