腎臓病のある方へおすすめする、働き方と仕事の探し方

腎臓病のある方へおすすめする、働き方と仕事の探し方

腎臓病のある方は、疲れやさや人工透析による時間の制約で、周囲の方と同じペースで働けないことに不安を感じることはありませんか?


例えば、 「週に数日だけできる仕事はあるのだろうか」 「すぐに疲れるが、仕事を続けることはできるのだろうか」 「今から転職できるだろうか」 などと悩むこともあるでしょう。

不安に感じたときは、ぜひ、同じ境遇の方の体験を参考にしてみてください。
今回は、同じ腎臓病のある方からの口コミをもとに、時間や体力に制約があっても仕事復帰できた方の声をまとめました。
口コミを見ることで、腎臓病があってもできる仕事が多くあることに気づくでしょう。

また、腎臓病のある方から届いた仕事を続けるための工夫や向いてる仕事などの情報も取り上げていきます。ぜひ、参考にしてみてください。

*この記事は中村旬さんに監修していただきました
中村旬さん

社会福祉士(ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)、介護支援専門員。製薬会社にて勤務したのち社会福祉士の資格を取得、専門学校教職員を経て、協同組合にて通所介護事業所の管理者・生活相談員や福祉用具貸与事業所福祉用具専門相談員、生活困窮者支援員を経験。精神障害のある方を対象にした介護職員初任者研修を運営し、講師も務めた。現在はコミュニティ施設運営、放課後等デイサービス運営、介護職員初任者研修講師等。「月刊デイ」への寄稿や社会福祉士全国大会での発表経験あり。


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目次

1.腎臓病とは

2.腎臓病がある方の悩み

3.腎臓病がある方が働きやすい職場

4.腎臓病を伝えるべきか

5.腎臓病がある方におすすめする企業

6.企業情報の集め方

7.求人の見つけ方

8.入社後に心がけたこと

9.専門家からのアドバイス

10.まとめ

1.腎臓病とは

    腎臓病は、腎臓の糸球体や尿細管が冒されることで、腎臓の働きが悪くなる病気です。腎臓病にはさまざまな種類があり、それぞれの原因や症状も異なります。
    透析をしながらでも仕事は出来ます。透析をはじめた人でも社会復帰は十分に可能です。
    また、仕事を続けることが体調維持や生活維持のために大切なことでもあります。

    現在労働就業中であり、症状による労働制限がない場合には、体調が安定次第、勤務時間の調整により働くことが可能なことを職場に伝え、また求職中の人も体調に見合った労働条件を確認しながら、雇用主と相談していくことが大切になります。

参考:社団法人 全国腎臓病協議会

腎臓病であっても、治療と仕事を両立していくことは可能です。そのためにも、腎臓病のある方の口コミを参考に、仕事との向き合い方を考えていきましょう。
まずは、腎臓病のある方の悩みを見ていきます。

2.腎臓病がある方の悩み

口コミに寄せられた悩みには、大きくわけて以下の2点がありました。

  1. 疲労
  2. 時間の制約
では、口コミを具体的に確認してみましょう。

2-1.疲労

腎臓病による慢性的な疲れやすさは、仕事にも影響を及ぼします。「体調が悪くて仕事に行けない」「今のペースでの仕事は続かない」などの悩みを持つ方の中には、以下の口コミに共感する方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「体力がない。疲れやすい。水分補給できない。」

「腎臓が悪く、週に3回午前中通院してから勤務している。症状として非常に疲れやすい、体調が悪くなりやすい。」

「腎臓の病気が原因で電解質異常を引き起こし、急に倒れたり力が入らなかったりしますので、疲労が多い仕事は無理です。」

「慢性腎不全のため疲れやすく、定期的に通院しています。まだ透析に至っていませんが、医者からはそろそろ危険だといわれています。」

疲れやすいのに、周囲と同じような働き方を求められることは、とても辛いことです。
また、仕事のペースが落ちることで、職場の同僚に迷惑をかけていると感じ、気分が落ち込むこともあります。

2-2.時間の制約

「透析による時間制限があるので、納期のある仕事は受けられない。」

「腎臓を悪くして週3回の人工透析を受けています。 そのせいで、週5日の仕事を週2日に減らして勤務しています。勤務の日も体調万全とはいかないので、出勤するのが億劫です。」

「透析で労働時間が制限されることと透析翌日体調がすぐれない時がある。」

「早出をして残業にならないようにしているが、それでも間に合わないときは、透析後に再び会社に戻る時がある。」



時間と日にちを要する人工透析を受けるようになると、働ける時間が限られます。仕事に行きたくても行けないというジレンマを感じることもあるでしょう。
就業時間が短くなる、残業ができないなどの理由から、納期のある仕事への不安がよぎることもあります。

このように、腎臓病の症状や治療が仕事に与える影響に悩む方は多くいらっしゃいますが、仕事が充実している方や満足している方もいます。きっと同じような悩みがあるはずですが、腎臓病の治療と仕事を両立することができているのでしょう。

次は、両立するためのヒントを見つけていきましょう。

3.腎臓病がある方が働きやすい職場

腎臓病とうまく付き合いながら仕事をするためには、何が重要なのでしょうか? 口コミで多く挙げられたのは、過重労働を避けることでした。

「透析のため、はや上がりを許可してくれた。」

「自分のペースで仕事をすることに、同僚や上司が文句を言わない。勤務時間などの相談に応じてくれるところが寛大でいいと思う。病気や介護だけでなく、子供が小さいとか手がかかる時期でも、結構相談に応じてくれる。部署が多いので、見合ったところへの異動もしてくれる。」

残業せずともできる仕事量であれば、腎臓病のある方も無理をすることなく自分のペースで仕事ができます。就職活動や転職活動を行う際には、仕事量の調整に応じてくれる職場を選ぶことが大切です。

そのためにも、仕事量と人員のバランスは良いか、あわただしい雰囲気ではないか、といった職場の様子を確認することも大切です。

「疲れが出てこないように定期的に休憩をとることを職場で理解されている。みなさんが病気に対して理解されており、私は大変満足しています。」

「自分の病気について上司が良く理解してくれているので、急な検査や入院にも対応してくれる。長期間の入院、リハビリで出勤できないときも、人員やスケジュール調整をしてくれた。多くの職員が、さまざまな業務をこなすことができるように、日ごろから仕事を配分しているため、突然職員が休んでしまって担当が急に変わってしまっても、適切に対応できる。」

このように、人間関係がよい職場なら、あなたが出勤できないときでも、サポートできる体制が整っています。その結果、過重労働を避けることができ、無理なく働き続けることができます。

以上のような環境の職場を見つけることは、難しいと感じるかもしれませんが、腎臓病を抱えていることを、あなたが正しく職場に伝えることで、見つけやすくなります。次はその理由を見てみましょう。

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4.腎臓病を伝えるべきか

腎臓病のある方は、就職活動の際に、持病のことを正直に伝えるかどうかは最も悩むことかもしれません。
その悩みは、今の職場環境に満足している方の声を参考に考えてみましょう。

4-1.転職を成功するためには、腎臓病について正直に話しましょう

「病気や障害は正確に伝え、どの程度仕事に影響するかはっきりさせるべき。変に隠してしまうと問題になる。選択肢は減るかもしれないが、後で困らないように、最初にきちんとしておきましょう。」

「自分の障害や病気のことについては、きちんと雇用主に話すべきです。その上でどこまで補助が必要かを具体的に話できれば、ハローワークなどで探す場合は、そこの人に話して相談すべきと思います。私は、結構助けられ良い縁にめぐり合えたと思います。」

「隠さずに自分の病名を詳しく話しておくべきです。どうしても良い面を見せたくなると思いますが、一番悪い状態も伝えておくべきだと思います。会社の仕事内容や勤務時間についてもどの位までできるのか、最初によく話し合っていた方がいいと思います。」

「自分の状況を職場が理解してくれるところかどうか、最初にじっくり話をするべきと思います。」

無理をして病気が再発したり悪化したりしたら、職場に迷惑をかけることになります。転職の成功の秘訣は、自分の状況を正確に把握し、それを隠さずに伝えることだというアドバイスが多く届いています。

そして、たとえ病名を伝えたとしても、採用担当者が正確に理解してくれるとは限りません。必要なことは、腎臓病が仕事にどのように影響するかを理解してもらうことです。

正直に病気のことを話すのは、勇気がいることかもしれません。しかし、今後長くお世話になるかもしれない職場です。ストレスなく働けるように、あなたが不安に思っている点を正直に話しましょう。それが長く働ける職場に出会うための、一番の近道です。

4-2.自分の症状をよく知りましょう

先にも述べたように、大事なことは、自分の病気の症状をあなた自身が正確に理解しておくことです。

「先ず、自分の体の状態を知ることが一番です。無理をして倒れてしまえば本人だけでなくその会社や従業員、社員に迷惑を掛けてしまいます。そのうえで、会社の社長には病名、もしくは体の状態を言っておくと良いでしょう。自分にできる仕事かどうか見て確認した方が良いです。後は職場の雰囲気も大事です。人間関係は少し話せばわかると思います。」

「障害があってもその障害にどのような対処が必要なのか、理解している会社は少ないのではないかと思います。」

できることとできないことを理解しておけば、自分の症状と合わせながらより詳しく面接で伝えることができます。
そして、できないことは、サポートがあればできるかもしれません。そのような前向きな姿勢は、企業にプラスの印象を与えます。

病気のことを正確に伝えるためにも、まず自分をよく知ることが大切です。

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5.腎臓病がある方におすすめする企業


転職活動の参考に、口コミの評判が良かったおすすめの企業や業界の特徴を見ていきましょう。前向きなコメントが多く寄せられています。

5-1.配慮のある企業

・日本電気株式会社
「病気の症状に応じて、上司や同僚が業務を手伝ってくれ、多岐にわたる配慮をしていただいた。仕事の配分や月末月初の業務集中時に上司や同僚が作業分担してくれた。現在、勤務中の職場のおすすめポイントは、グループ内のチーム連携や気配り、配慮があり、チームメンバーがお互いの意見や意思を尊重し、適材適所の判断を行ってくれることです。また、私のような障害者に対する支援や配慮も考えてくれて、働きやすい環境づくりをしていただいております。」
満足度:★★★
配慮 :★★★★
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・カンリクEXPRESS中京株式会社
「病気により体内の熱を外に逃がすことがうまくできないため、夏場はなるべく楽な現場に回してくれました。体調を崩したときは、みんな嫌な顔せず休ませてくれて、とても優しく対応してくださいました。病気のことを心配はしてくれますが、特別病人扱いされるわけではなく、普通に接してくれてるので気持ちがすごく楽です。」
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★
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職場の人間関係がよく、腎臓病に理解のある職場であれば、体調に不安があっても仕事が続けられるでしょう。そのため、腎臓病が分かった段階で病気のことを伝え、職場の同僚や上司の理解を得られるようにしましょう。

5-2.休みがとりやすい企業

口コミには、休みがとりやすいものの、その分の給料が少なくなったという意見もありました。

「透析のため、早上がりを許可してくれた。ただし、週3回30分の早上がりで、給料を10%カットされた。」



治療のための休みが頻繁に必要な場合、上記のような職場では給料が減ってしまい仕事を長く続けることが難しくなります。人間関係のみならず、会社の制度や福利厚生もチェックしておきましょう。

以下は、休みをとりやすい企業です。

・有限会社みのり
「この会社は障害者に広く門戸を開いてることをアピールしている。自由で楽しい職場で、かなりゆるい雰囲気でした。下請け業務がほとんどなので、マニュアルを頭に入れれば簡単な仕事も多く、働きやすかった。」
満足度:★★★
配慮 :★★★
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・福光産業有限会社
「休みたいときでも融通が利く。半日勤務でも寸志などもらえる。体調が悪くて休みたいときでも気兼ねがない。少人数なので楽。仕事も単純作業なのですぐ覚えられる。」
満足度:★★★
配慮 :★★★★
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・株式会社城南進学研究社
「自分の都合に合わせて、勤務時間を配慮してくれることと報酬に満足している。勤務時間や曜日に配慮してくれる。また休養にも配慮してくれている。」
満足度:★★★
配慮 :★★★★
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・サンコー・エア・セルテック株式会社
「通院のための中抜けや、早上がり、勤怠のフレックスタイムなどを実施してもらっている。有休などがある程度自由に使えて、前もって伝えていると忙しいときでも休めるようにスケジュールを組んでもらえる。比較的長期の休みも事前だと調整してもらえるので、この辺は良いところだと思います。」
満足度:★★★
配慮 :★★★★
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体調に合わせて働ける工夫がなされている企業もありました。
障害者雇用を設けていることや、勤務時間に配慮のある企業はおすすめです。あわせて有休や傷病手当などが使えるかどうかも、大切なポイントです。

5-3.おすすめの業界・業種

・大手企業
大手企業は、福利厚生や制度が整備されていることが多く、障害者雇用の経験があればさらに安心して働けます。

・フレックスタイムを導入している企業
人工透析を行う方は、残業ができない、曜日を固定して働けないという制限があります。通院の時間を考え、就業時間を自由に選択できる職場であれば、治療をしながらの仕事も可能です。

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6.企業情報の集め方

6-1.企業情報の集め方

最近は、ネットやSNSによる情報収集も充実しているため、簡単に企業の情報を知ることはできます。

しかし職場環境は、企業に直接聞いたり、自分の目で確かめたりしないとわからない部分も多くあります。職場の様子は、事前見学や面接を通して確認することをおすすめします。

「面接時に病気や障害を持っていても大丈夫と言われますが、実際働くのは面接してくれた方ではない場合が多いです。そういう時は、病気や障害のある人が働いているのか、働いていた実績があるのか、退職の理由など聞きにくい部分も重視するべきだと思います。」

「仕事の内容と体への負荷、就業時間が自分に合うかどうか確実でなければ見送る。採用担当者が大丈夫と言っても、現場では通用しないことが多い。その会社に同じ病気の人がいるかどうかを確認すると分かりやすいかもしれない。双方の納得がなければ、すぐに退社になるだけ。」

「聞きづらいとは思うが、給与や賞与、退職金についてのことはしっかりと聞いておくべきと感じる。また、残業の多さや、持ち帰りの仕事の有無、勉強会の頻度なども確認しておく必要を感じる。」

「始業時間、終業時間、休日、残業等、とにかく始めのうちにしっかりと会社に言うべきことは言って、もらえるべきものはしっかりともらい、泣き寝入りしないようにしてください。口約束ではなく、ちゃんと契約書を交わすことです。」

特に人工透析を受けている場合は、就業時間に関するサポート体制を、必ず聞いておきましょう。無理をして過労が続くと、症状の再発や悪化を招いてしまいます。

6-2.向いてる仕事とは

「自分の好きな仕事、好きになれる仕事を選択すべきであり、収入のために仕事を選ぶと長続きしないばかりか、毎日の仕事にやりがいがなく、辛い思いをすると思う。また、自身の体力や能力以上の職業を選ぶことも同様である。」

「自分のように『人工透析』を行っている方の場合は、終業時間が守られることが、最も大切だと考えます。仮に、どれだけ仕事が忙しい場合でも、無理に残業等を命じられることがないことが必要です。」

自分の体調でもできる仕事を選ぶことが大事です。まず、体力や時間面での融通がきくかどうかを第一に考えて、条件を出してみましょう。
その中で、自分に向いている職種や業種を選ぶのも良いでしょう。

7.求人の見つけ方

就職活動や転職活動を行うとき、何をすれば良いのか戸惑うことはありませんか?

仕事を選びで優先すべきことをまとめたものの、そのあとに何をすればよいか、どこへ行けばよいかわからない方も多いのではないでしょうか。

まずは、求人スタイルや働き方を知りましょう。

7-1.働き方によって選べる採用枠「一般枠」」と「障害者雇用枠」

求人には一般枠障害者雇用枠があり、障害者手帳のある方はどちらにも応募することができます。

一般枠は、障害であることを伝えずに働くことです(=クローズ就労)。職種の選択肢は広く、昇進や昇給などの機会もあります。しかし、病気への理解を得られにくく、周囲のサポートを受けることは難しいのが現状です。

障害者雇用枠は、障害であることを伝えて働くことです(=オープン就労)。職場の理解を得られ、周囲のサポートが受けやすくなるなど、働きやすさにつながることも考えられます。

7-2.求人はどこで探すの

①ハローワーク

ハローワークには障害や病気のある方専用の窓口があり、専門スタッフによるアドバイスを受けることができます。障害のある方への求人情報も多く扱っています。

参考:厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」

②人材紹介会社

病気や障害を抱え働くことに不安を覚えている方の就職活動を支援する、専用の人材紹介会社をご存知ですか?

専門アドバイザーが、履歴書の書き方や面接の練習、おすすめ企業の紹介やその企業との連絡、事前見学の調整、入社後のケアや相談など、全面的なサポートを行っています。

また、ハローワークなどでは公開されていない求人情報も扱っています。各企業のことをよく把握しているので、ホームページや求人票では確認できない職場環境などの情報も得られます。

ひとりではじめる就職活動との違いは、専門的なアドバイスやサポート、自分に合った企業の紹介を受けられ、担当者と一緒に不安なく活動を進めていくことができる点です。

しかし、人材紹介会社も一つの企業です。紹介できる企業の得意分野や担当者の性格はさまざまです。自分の希望や意見が伝えやすく、理解してもらえる人材紹介会社かどうかをチェックしてみましょう。

次の章では、入社後の様子をご紹介します。

8.入社後に心がけたこと

希望の企業に入社したあとも、長く働き続けるためにはどのような心がけや工夫が必要なのでしょうか?

体験談から、仕事復帰に成功した方のアイデアを見てみましょう。

8-1.無理のない範囲で、できることを一生懸命する

「余分な時間は仕事をしないことです。早めに出勤し片付くまで帰らない、ということをしないように。ただし、就業時間内はしっかりやるようにしています。」

「仕事よりも透析最優先、仕事はできる範囲でベストを尽くす。体調の悪いときは、無理をしない。」

「とにかく無理はしないこと。残業は一日1時間程度と決めています。」

人工透析などの定期的な通院がある場合、その時間を確保して仕事を進める必要があります。また疲れや免疫力の低下に備え、疲労が蓄積しないように体調管理に気を付けることもポイントです。

そのため、就業時間が短くても一生懸命働く姿勢を見せることは、周りの方々との信頼関係を作ることに繋がります。プラスの印象を与える努力は、人間関係をうまく築くためにも必要です。

8-2.水分補給を意識する

「日々の体調管理のため、食事改善(塩分制限や水分摂取量)やストレスをできる限りためないように心がけています。」

「冬場は必ずマスクをし、うがい、手洗い、また仕事中はこまめに水分補給をしています。」

「比較的に午前中は体調がよく、午後になると、体調が悪くなることが多いので、早朝出勤している。脱水症状対策で、見えるところに水を置いて水分補給を忘れないようにしている。」

「水分摂取量の把握が必須であるため、ペットボトルから摂取するようにしている。」

腎臓病のある方の多くは、水分摂取量の管理が求めまれます。一定量の水分を摂取しなければならない場合や、反対に、水分を制限する場合があります。摂取する水分量を意識することを心掛けましょう。

8-3.こまめに休む

「血圧が変動しやすいので、無理な力仕事はなるべく避ける。ストレスを溜めない。」

「長時間の移動や負荷をなるべく避ける。また精神的なストレスにさらされないようにする。」

「仕事中でも決まった時間に薬を飲む。適宜休憩する。」

「会社と相談し半日勤務にしてもらった。 休憩を必ずとるようにしている。」

「とにかく無理をしないようにと心がけている。ただし、繁忙期などでどうしても無理をしなければならない場面というのもある。」

「睡眠や休息を十分にとること、食事に注意すること、通勤では必ず座ること。」



腎臓病による「疲れやすさ」は、ためないことが大切です。「疲れた」と感じる前に、小まめに休憩をとりましょう。休憩ばかりしているという印象を与えないためにも、小休憩の必要性と相談をあらかじめしておくと良いですね。

8-4.繰り返し伝える

「最初は病気のことなど配慮をしてくれるようにみえますが、だんだんこれくらいなら大丈夫だろうと思われるようになった。『夜間残業はさせてはいけない』などの引継ぎ事項もなし崩し的になくなって、夜の会議を担当させられることになりました。一度倒れてみたほうがいいのかと思うこともあります。」

「職場の上司はしっかり説明しても、しばらくするとそのことを忘れます。異動により新たにきた上司などは、そもそも引き継ぎ書に目を通しているのかも怪しいくらい病気に対する配慮がないです。」



自分の症状やお願いしたい配慮事項を伝えていたとしても、時が経つと忘れられてしまう事も多いようです。上司の交替や不十分な引き継ぎも原因です。また、腎臓病は、見た目からは分かりづらい病気です。

もし最近の働き方に辛さを感じることや悩みが生じた場合は、自分の状況を何度も伝える努力もが必要です。自分を守るためにも、自分でできる対策はしっかり行いましょう

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9.専門家からのアドバイス

仕事探しを考えている腎臓病のある方へ、障害者雇用の専門家 中村旬さんからのアドバイスを紹介します。

■働くことを迷っている腎臓病のある方へ

これから仕事をしようかと迷っている方の多くは、腎臓病に対して職場の理解が得られるか、また疲れやすく休みが必要であることに対して迷惑をかけてしまうのではないか、と心配していらっしゃることと思います。

ご自身の希望が叶う企業に巡り会うことは難しいかもしれませんが、腎臓病のある方で再就職を叶えた方も少なくありません。
ハローワークや就労移行支援事業所などを通して、障害者雇用の実績がある企業などに諦めず挑戦してみてはいかがでしょうか。

また、自分のスキルや志望動機、できることとできないことをしっかりと分析してみてください。



■これから働く腎臓病のある方へ

これから働こうと意欲を持って活動されている方も、病状への理解や人間関係、福利厚生など自分の希望とマッチングする企業に巡りあえるか不安になることもあるでしょう。
しかし、理想の企業で働いている方はいます。

軽度であればクローズ就労でも問題ないでしょうが、腎機能障害は不可逆的な疾患であることからも病状をオープンにし就職活動をされた方が、後のミスマッチを防ぐことができるでしょう。

病状の把握と説明、自分のスキル、必要なサポートを明らかにしてみてください。実りある就職活動を心より応援いたします。

10.まとめ

腎臓病により、できないことが多いように感じて気持ちが落ち込むこともあるでしょう。それだけでなく、周りの理解が得られず辛くなったり、今の職場を解雇されたり、退職を余儀なくされたりすることもあります。

しかし、今回紹介したアンケートを見ると、病気を抱えながらも仕事復帰に成功している方が多いことがわかります。

これまでの内容について大切なポイントをまとめます。

■腎臓病がある方が働きやすい職場環境とは?

「過重労働を避けること」ができる職場です。そのため就職活動や転職活動においては、仕事量の調整に応じてくれる環境を選ぶことが大切です。
また、人間関係が良い職場であれば、サポートや配慮をより受けやすい環境となるでしょう。

■腎臓病を伝えるべきか?

転職を成功するためには、腎臓病について正直に話しましょう。
採用担当者が正確に理解してくれるとは限りませんが、まずは自分の症状をよく理解し、できることとできないことを正確に把握しましょう。そしてできないことも、サポートがあればできるかもしれないと模索する前向きな姿勢が大切です。できることに一生懸命取り組むことを大切にし、病気に理解のある企業を見つけていきましょう。

そして、自分のペースを大事にしてください。病気を抱えていても、あなたらしく働ける仕事が見つけられることを応援しています。


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監修者

製薬会社にて勤務したのち社会福祉士、介護支援専門員の資格を取得。専門学校教職員を経て、協同組合にて通所介護事業所の管理者・生活相談員や福祉用具貸与事業所福祉用具専門相談員、生活困窮者支援員を経験。精神障害のある方を対象にした介護職員初任者研修を運営し、講師も務めた。現在はコミュニティ施設運営、放課後等デイサービス運営、介護職員初任者研修講師等を行っている。「月刊デイ」への寄稿や社会福祉士全国大会での発表経験もあり。

保有資格

著者

障害、病気のある方の企業や仕事に関する口コミサイト「アンブレ」を運営中。 丁寧な取材や口コミの分析を通して、病気や障害の特性に配慮した働き方や仕事との向き合い方を提案。理想の職場に出会うための、そしてより働きやすくなるための情報を発信しております。障害や病気があってもぴったりの仕事を。

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