体が思うように動かせなくなる麻痺。
身体に麻痺があると、日常生活はもとより仕事でも「できない」事柄が出てきますので、仕事選びはより慎重になるのではないでしょうか。
完全麻痺や不全麻痺、目には見えない神経や呼吸に使う筋肉の麻痺など、その程度はさまざまです。
しかし、麻痺のある方の口コミをみると、仕事で困ったことや職場で受けているサポート、働くうえで工夫していることなどには、共通点も多くあり、役立つアドバイスがたくさんあります。
今回は、口コミをもとに「仕事探しの始め方」「自分に合った仕事の選び方」などをまとめました。
障害者雇用の専門家 中村旬さん(社会福祉士)にもアドバイスをいただいています。
これからの就職や復職の参考にしてください。
「脳腫瘍の手術後、左半身麻痺になった。食べ物に関係した軽作業の仕事は、左手が使えなくて手袋ができないため採用してもらえない。」
「脳性麻痺で、手先の細かい作業が苦手です。電話の応対もしますが、言語障害があり相手にびっくりされたこともたくさんあります。」
「左半身に麻痺があり、歩くことや重い荷物を持つことができない。痺れを抑える薬の副作用で眠気が強い。」
「右腕に麻痺があり、肩から指先まで全て自由に動きません。首が凝りやすく疲れやすいです。」
「多発性硬化症により右手が麻痺しており、字を書くことが非常に難しい状態です。また、両足が不自由で歩くことができず、車いすで普段移動しています。」
「右手の使用が困難なので、電話の受電のときにメモがとれない。」
「両下肢麻痺です。特に左足の膝が曲げられないので階段の上り下りが大変です。」
「装具や杖を突きながらの歩行が余儀なくされるので、走ることやテキパキ動くことができません。」
「後縦靭帯骨化症で下半身に麻痺があり、運動障害で車椅子での生活をしています。」
「施設のバリアフリー化が充実しているとは言えない状況です。」
「トイレには身障者用のトイレが全くないので、大きなマイナス点です。」
「 “バリアフリー”を謳いながら、全くバリアフリーではない。健常の人が『こんなんで大丈夫やろ』みたいな仕事がありありとわかる。車椅子対応しているという入口は、実際に車椅子で移動なんかできっこない。」
「洋式トイレのある部署に配属してもらえた。」
「車内に車椅子対応の設備がある等、働きやすかった。」
「新たな障害者用トイレを設置してくれた。」
「下肢障害のある人については自動車通勤が可能です。」
「通常禁止されている自家用車通勤を許可されている。」
「時差通勤等が可能であれば、重度の障害があっても就労できるのではないかと思う。」
「時間がある程度自由で、体調に合わせて仕事を続けることができています。」
「仕事を配慮して午前中のみの勤務です。」
「身体的に困難な作業は、時間や日を短くする等、上司と相談し無理しない程度にしています。」
「脳梗塞の後遺症で右側が麻痺している。もともと疲れやすかったが、ますます疲れるようになり、最悪朝起きられず、身体が動けるまで休んでしまうことがある。」
「疲れると持病が再発しやすくなるので、適度に休憩を取ることを上司と約束している。」
「突然持病が再発して仕事を休まなくてはならなくなっても、了解してもらえる。」
「疲れてきた場合、休憩を多めにとってくれたり、足が動きにくいときは、今日は無理をしないよう休ませてくれたりと、自分のペースで働かせてくれた。」
「面接時に、自分の障害については正直に話しておいた方がいいと思います。入社してからじゃないと分からないこともありますが、最低限配慮してほしいことを言っておかないと苦労すると思います。」
「主治医の診断書を提出して、自分の病気の特徴、障害の悪化する可能性、できること、できないこと、将来できなくなるであろうことを明確に伝えておく。」
「自分の障害について正確に把握し、身体障害者手帳にも正確な内容が反映されるようにしておいた方がよい。自分の場合には視覚障害が手帳に記載されていなかったとの理由で、入社後困った。障害を隠す、軽く見せるより、最初から自分の困難な点とそれをどうカバーできるかを伝える方がよい。」
「実際の動線やトイレは見ておいた方が良い。」
「突然の病気再発でも休暇を無理なく取れるか確認しておく。」
「通勤のルートも実際に見て、できれば実際に一遍通ってみるのが良い。電車やバス等、表向きはバリアフリーを謳っているが、実際は電車を降りて改札を出てからエレベーターの場所がものすごく遠かったりします。」
「まず自分の障害について、できることとできないことをきちんと伝えることが大切です。 雇用者側はほとんどが障害を持たない人であり、実際どのようなことで困るのかというのはわかりづらいです。」
「病気持ちゆえにできること、できないことをはっきりさせておいて、それをしっかり伝えておくと、急な欠勤にも対応してもらえる。」
「できるかもしれないことは、時間が許されれば自分自身で行うようにしている。」
「早く動けない分、他の人がその部分を担当し、代わりにその人の事務作業を私が受け持つというように、できることをさせてもらっています。」
「左麻痺のためキーボード入力を右手のみで行います。右手キーのダブルタッチで左手タイピングをサポートするフリーソフトを利用しています。」
「パソコンなど自分の使い勝手の良いように仕様を変更し、職場の協力を得て動きやすいようにオフィス内動線を考慮してもらった」
「疲れてきたら無理をしないように、適度に休憩をとりながら、仕事をする。疲れた場合は、早めに上司に現在の状態を言って、休めるときは無理をせず休むようにする。」
「足が硬直するのを防ぐため、しょっちゅう立ち上がって動く。」
「無理せず思い切って休むようにする。」
「障害を知ったうえで理解してくれる会社を探してくれました。仮に障害があっても何の問題もなく働けます。その状況を理解してくれる会社というのが絶対に存在するので、体験談や口コミを見ながら就職サービスのスタッフを良い意味で利用し、妥協せずに根気よく仕事を探していくことだと思います。」
「会社見学ができるならした方がよい。」
「何ができて何ができないのか、自分自身で常々十分に考えて、認識しておくことが大切だと思います。その上で、必要とされる仕事の中に自分にもできる仕事があるか、会社の担当者と一緒によく考えるべきです。意外なことができたり、易しそうな仕事がどうしても無理だったり、というようなことがよくあります。」
「受け身では何もできません。ハンディキャップがあってもできることはたくさんあると思います。初めの一歩で長く続けられる仕事もあると思うので、とりあえずやってみてください。」
製薬会社にて勤務したのち社会福祉士、介護支援専門員の資格を取得。専門学校教職員を経て、協同組合にて通所介護事業所の管理者・生活相談員や福祉用具貸与事業所福祉用具専門相談員、生活困窮者支援員を経験。精神障害のある方を対象にした介護職員初任者研修を運営し、講師も務めた。現在はコミュニティ施設運営、放課後等デイサービス運営、介護職員初任者研修講師等を行っている。「月刊デイ」への寄稿や社会福祉士全国大会での発表経験もあり。
障害、病気のある方の企業や仕事に関する口コミサイト「アンブレ」を運営中。 丁寧な取材や口コミの分析を通して、病気や障害の特性に配慮した働き方や仕事との向き合い方を提案。理想の職場に出会うための、そしてより働きやすくなるための情報を発信しております。障害や病気があってもぴったりの仕事を。