麻痺のある方が長く働くために、向いている仕事の探し方

麻痺のある方が長く働くために、向いている仕事の探し方

体が思うように動かせなくなる麻痺。
身体に麻痺があると、日常生活はもとより仕事でも「できない」事柄が出てきますので、仕事選びはより慎重になるのではないでしょうか。

完全麻痺や不全麻痺、目には見えない神経や呼吸に使う筋肉の麻痺など、その程度はさまざまです。

しかし、麻痺のある方の口コミをみると、仕事で困ったことや職場で受けているサポート、働くうえで工夫していることなどには、共通点も多くあり、役立つアドバイスがたくさんあります。

今回は、口コミをもとに「仕事探しの始め方」「自分に合った仕事の選び方」などをまとめました。
障害者雇用の専門家 中村旬さん(社会福祉士)にもアドバイスをいただいています。

これからの就職や復職の参考にしてください。

*この記事は中村旬さんに監修していただきました
中村旬さん

社会福祉士(ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)、介護支援専門員。製薬会社にて勤務したのち社会福祉士の資格を取得、専門学校教職員を経て、協同組合にて通所介護事業所の管理者・生活相談員や福祉用具貸与事業所福祉用具専門相談員、生活困窮者支援員を経験。精神障害のある方を対象にした介護職員初任者研修を運営し、講師も務めた。現在はコミュニティ施設運営、放課後等デイサービス運営、介護職員初任者研修講師等。「月刊デイ」への寄稿や社会福祉士全国大会での発表経験あり。


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目次

1. 麻痺のある方が経験した仕事の悩み

2. 麻痺のある方が働きやすい職場

3. おすすめの企業・業界・業種

4. 面接で大切なことは伝え方

5. 入社後に心がけていること

6. これから仕事を探す方へ

7. 専門家からのアドバイス

8.まとめ

1. 麻痺のある方が経験した仕事の悩み

麻痺のある方はどのような不自由さを抱え、生活をしているのでしょう。口コミをみていきましょう。

「脳腫瘍の手術後、左半身麻痺になった。食べ物に関係した軽作業の仕事は、左手が使えなくて手袋ができないため採用してもらえない。」

「脳性麻痺で、手先の細かい作業が苦手です。電話の応対もしますが、言語障害があり相手にびっくりされたこともたくさんあります。」

「左半身に麻痺があり、歩くことや重い荷物を持つことができない。痺れを抑える薬の副作用で眠気が強い。」

「右腕に麻痺があり、肩から指先まで全て自由に動きません。首が凝りやすく疲れやすいです。」

「多発性硬化症により右手が麻痺しており、字を書くことが非常に難しい状態です。また、両足が不自由で歩くことができず、車いすで普段移動しています。」

「右手の使用が困難なので、電話の受電のときにメモがとれない。」



麻痺の部位や程度によって不自由さは異なります。仕事をするためには、個々の状態に合ったサポートや工夫が必要になります。

また、再発防止や痺れを抑える薬などの影響で、眠気や倦怠感を感じやすいという声もありました。これらの症状は、周囲の人からはわかりにくく、このような麻痺の症状以外の体調不良と付き合わなければならないことがわかります。

そして、麻痺のない部分を使ってできる作業があっても、その部分に負担がかかり、新たに痛みが生じることもあります。

こうしたことから、麻痺のある方が仕事をしていくためには、麻痺の症状を加味した上で、それに付随するさまざまな不自由さや課題を職場に理解してもらう必要があります。

それは、一見大変なことのように思えますが、会社や職場の同僚のサポートを受け、麻痺の症状とうまく付き合いながら働いている方は大勢います。

では、どのような環境ならば、麻痺があっても無理なく働き続けることができるのでしょうか? 口コミをもとに働きやすい職場環境をみていきましょう。

2. 麻痺のある方が働きやすい職場

麻痺があっても働きやすく満足度の高い職場には、大きく分けて以下3点の特徴がみられました。

  1. バリアフリーが整備された職場
  2. 通勤に配慮のある職場
  3. 通院・勤務時間などに配慮のある職場
では、それぞれ具体的なコメントとともに、詳しく見ていきましょう。

2-1. バリアフリーが整備された職場

「両下肢麻痺です。特に左足の膝が曲げられないので階段の上り下りが大変です。」

「装具や杖を突きながらの歩行が余儀なくされるので、走ることやテキパキ動くことができません。」

「後縦靭帯骨化症で下半身に麻痺があり、運動障害で車椅子での生活をしています。」

移動に車椅子や杖を利用する方にとって、段差は物理的な障害になります。社会全体でバリアフリー化は進んできていますが、実際に勤務する場所がバリアフリーに対応しているかどうかを確認する必要があります。

「施設のバリアフリー化が充実しているとは言えない状況です。」

「トイレには身障者用のトイレが全くないので、大きなマイナス点です。」

「 “バリアフリー”を謳いながら、全くバリアフリーではない。健常の人が『こんなんで大丈夫やろ』みたいな仕事がありありとわかる。車椅子対応しているという入口は、実際に車椅子で移動なんかできっこない。」



バリアフリー化が不十分で、身体的な負担を日々感じているという意見があります。麻痺のある方にとって、職場の過ごしやすさは仕事に大きく影響を及ぼします。就職活動の際には、職場環境の確認が欠かせません

以下のような、職場からバリアフリーへの配慮があったという回答もあったので紹介します。

「洋式トイレのある部署に配属してもらえた。」

「車内に車椅子対応の設備がある等、働きやすかった。」

「新たな障害者用トイレを設置してくれた。」

働きやすい環境に配属される、新たにトイレやスロープを設置するなどの対応をとってもらえたという回答は、就職活動の励みになります。

2-2.通勤に配慮のある職場

「下肢障害のある人については自動車通勤が可能です。」

「通常禁止されている自家用車通勤を許可されている。」

「時差通勤等が可能であれば、重度の障害があっても就労できるのではないかと思う。」

職場のバリアフリーだけではなく、無理なく安全に通勤できることも重要です。
日々の通勤手段や通勤時間への配慮以外にも、荒天時には在宅勤務ができるなどの配慮があるとより安心できます。

2-3. 通院・勤務時間などに配慮のある職場

「時間がある程度自由で、体調に合わせて仕事を続けることができています。」

「仕事を配慮して午前中のみの勤務です。」

「身体的に困難な作業は、時間や日を短くする等、上司と相談し無理しない程度にしています。」

「脳梗塞の後遺症で右側が麻痺している。もともと疲れやすかったが、ますます疲れるようになり、最悪朝起きられず、身体が動けるまで休んでしまうことがある。」

「疲れると持病が再発しやすくなるので、適度に休憩を取ることを上司と約束している。」

「突然持病が再発して仕事を休まなくてはならなくなっても、了解してもらえる。」

「疲れてきた場合、休憩を多めにとってくれたり、足が動きにくいときは、今日は無理をしないよう休ませてくれたりと、自分のペースで働かせてくれた。」

病気や麻痺による身体への負担で体調がなかなか安定しない方や、疲れやすいという声が多く聞かれました。

働き続けるためには、業務内容への配慮や時短勤務などで無理が生じない環境を整える必要があることがわかります。
最近、導入されているフレックスタイム制や在宅勤務への取り組みが今後も広がると働きやすい職場がますます増えていくでしょう。

物理的にも、精神的にも負担がかからない、配慮のある職場を見つけたいものです。次は、配慮のある働きやすい企業で実際に働いている方々の意見を紹介していきます。

▼他にも麻痺のある方の仕事に関する体験談がたくさん届いています。
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3. おすすめの企業・業界・業種

次は、これまでにあげたポイントと実際に働いている方の声を参考に、満足度の高い企業とその特徴を具体的に紹介します。

【障害も含めて個人として認めてくれる企業】
・日本オラクル株式会社
「障害があろうとも差別することなく、障害を理解した上で他の人と平等に扱ってくれます。身体の状況が違っても、しっかり“1人の人間としての仕事”を向きあってもらえるところです。」
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★★
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【仲間の理解、面談の機会があり問題解決できる企業】
・石田プレス工業株式会社
「脳梗塞による上下肢麻痺がありますが、私の病気を仲間たちが全部知ってくれ、とても配慮があります。障害者であることの枠がなく、不当扱いされていません。たまに人事との面談があり、困ったことがあれば話し合うことができます。」

「脳梗塞の後遺症で左半身麻痺と言語障害です。退職を選ぶことがなく会社側が待ってくれたことが、とても嬉しいです。言語障害で会話ができないため配慮してもらい、配属を変更で午前中のみなので無理せずに仕事することができる。感謝したいと思います。」
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★
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【障害者主体の職場で仕事がしやすい企業】
・株式会社スタッフサービス・ビジネスサポート
「障害者ばかりなので、体調を気遣っていただけること。何かあっても言いやすい。体調面での配慮がとてもあると思います。休みやすく早退もしやすいです。」
満足度:★★★★
配慮 :★★★★★
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【さり気ないサポートが心地よい企業】
・社会福祉法人 協同福祉会
「原因がもやもや病で脳梗塞を発症し半身麻痺、高次脳機能障害です。特に麻痺、手が全く動かず、両手を使うことが困難。また失語症でもあり、相手が何を言っているのかわからないことが多く、理解するのに時間がかかりますが、失語症でとっさに話が出てこないことが多くあり、介護施設の利用者の方に話しかけられたときフォローして下さった。多くの職員の方がさりげなくフォローして下さるのでありがたかった。」
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★★
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今回の紹介した満足度の高い企業は、大企業が多くあげられました。その理由には、一定数の障害者雇用を実施していることや、バリアフリーの設備が整っていることが考えられます。

また医療・福祉系の職場は、医療に関わっている人ならではの障害や病気に対する意識の高さが、働きやすさにつながっているのではないでしょうか。

しかし近年、特に障害者雇用が進んでいることから大企業や医療・福祉系ではなくても、麻痺のある方が働きやすい職場が増えています。
どのような職場でも、働く側も雇う側も、メリットとデメリットがあります。就職活動では自分にとってメリットが大きい企業と出会えるよう、幅広く探していくことをおすすめします。

麻痺のある方115人の口コミから向いている仕事をご紹介しています。
転職・麻痺のある方に向いている仕事は?115人の口コミから解説

麻痺のある方が働いている企業が一覧で確認できます。
満足度の高い企業をチェックしてみてください。
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4. 面接で大切なことは伝え方

ここからは、「面接」のポイントを紹介します。面接は、自分と会社がお互いを知るための最初の機会です。自分のことをどのように伝えるべきなのかを、経験者からのアドバイスをもとにみていきましょう。

4-1.伝えるべきこと

「面接時に、自分の障害については正直に話しておいた方がいいと思います。入社してからじゃないと分からないこともありますが、最低限配慮してほしいことを言っておかないと苦労すると思います。」

「主治医の診断書を提出して、自分の病気の特徴、障害の悪化する可能性、できること、できないこと、将来できなくなるであろうことを明確に伝えておく。」

「自分の障害について正確に把握し、身体障害者手帳にも正確な内容が反映されるようにしておいた方がよい。自分の場合には視覚障害が手帳に記載されていなかったとの理由で、入社後困った。障害を隠す、軽く見せるより、最初から自分の困難な点とそれをどうカバーできるかを伝える方がよい。」

面接では、これまでの経験やスキルとともに、仕事をする上で困難なことや、必要な配慮事項を伝えることが大切です。そのためには、自身の麻痺の症状を正しく伝えられるよう、事前に状況を整理する必要があります。

麻痺の原因となった病気や現在の治療など医師に確認が必要なことは、面接前に聞いて解消しておきましょう。

【面接で伝えること】

  • 麻痺の状態を伝えましょう
  • 麻痺で動かないこと、それによってできないことを伝えましょう
  • サポートがあればできること、どのような配慮や協力が必要なのかを伝えましょう
  • 職務経歴書と併せて、自身の麻痺の状態を分かりやすくまとめたものを準備するのもよいでしょう


  • 4-2.質問すべきこと

    「実際の動線やトイレは見ておいた方が良い。」

    「突然の病気再発でも休暇を無理なく取れるか確認しておく。」

    「通勤のルートも実際に見て、できれば実際に一遍通ってみるのが良い。電車やバス等、表向きはバリアフリーを謳っているが、実際は電車を降りて改札を出てからエレベーターの場所がものすごく遠かったりします。」

    面接当日に会社のトイレを見ることまではせずとも、「仕事をしていく上で職場の環境が整っていることは必要不可欠だ」という意識を持って、面接に臨むとよいでしょう。
    長く働き続けられるように、面接の場で不安や疑問点を解消することが大切です。

    併せて、通勤経路を自分でシミュレーションすることも必要です。面接時に確認しておくと安心して就労できます。

    【面接で質問すること】

  • 動線など動きやすい職場かどうかを確認しましょう
  • 勤務体制を確認し、障害への配慮を得ることができるかを確認しましょう
  • 通勤方法を確認し合うと共に、他の方のケースや会社の助言などを得るようにしましょう

  • 面接時に「伝えること」「質問すること、確認すること」を漏らさないためにも、 事前にチェックシートを作成しておくと安心です。チェックシートの項目や様式、作り方には決まりはありません。自分が使いやすいものを作ってみましょう。

    チェックシートは、面接した経験を次に活かせるように、面接でのやり取りや結果を書き留めておいても良いですね。失敗した経験も振り返りをすることで、将来の役に立ちます。

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    5. 入社後に心がけていること

    採用が決まったあとも、麻痺とうまく付き合いながら働いている方は、さまざまなことを心がけています。
    工夫していることや、職場の同僚のサポートで解決したことなど、実際の業務での経験を紹介します。

    5-1.周囲と連携して働く

    「まず自分の障害について、できることとできないことをきちんと伝えることが大切です。 雇用者側はほとんどが障害を持たない人であり、実際どのようなことで困るのかというのはわかりづらいです。」

    「病気持ちゆえにできること、できないことをはっきりさせておいて、それをしっかり伝えておくと、急な欠勤にも対応してもらえる。」

    「できるかもしれないことは、時間が許されれば自分自身で行うようにしている。」

    「早く動けない分、他の人がその部分を担当し、代わりにその人の事務作業を私が受け持つというように、できることをさせてもらっています。」



    必要なサポートや配慮を受けるためには、「できないこと」「できること」「サポートがあればできること」を会社に理解してもらっていることがわかります。口コミからは、そうした配慮のある会社の期待に応え、良好な関係を維持したいという気持ちが伝わってきます

    また、普段から業務の手順書や自分のタスク状況を共有しておくと、仕事が滞るリスクを回避できます。 そして、自分ができることを積極的に取り組む姿勢は、職場でのスキルアップやキャリアアップができる可能性が広がります

    5-2.自分仕様で働きやすく

    「左麻痺のためキーボード入力を右手のみで行います。右手キーのダブルタッチで左手タイピングをサポートするフリーソフトを利用しています。」

    「パソコンなど自分の使い勝手の良いように仕様を変更し、職場の協力を得て動きやすいようにオフィス内動線を考慮してもらった」



    最近のパソコンは「アクセスビリティ」の機能が充実しており、障害のある方向けのカスタマイズも可能です。さらに、職場の備品にも障害のある方が使いやすい工夫がされたものがあります。

    また、働きやすい環境を作っていくには、デスクの配置なども自分が働きやすいレイアウトにしたり、便利に活用できる物品の導入を検討したりするなど、職場環境の改善について会社と相談できる関係を築いておくとよいでしょう。

    麻痺があっても働きやすい職場は、自分の後に続く同じ境遇の方の希望にもなります。

    5-3.体調管理

    「疲れてきたら無理をしないように、適度に休憩をとりながら、仕事をする。疲れた場合は、早めに上司に現在の状態を言って、休めるときは無理をせず休むようにする。」

    「足が硬直するのを防ぐため、しょっちゅう立ち上がって動く。」

    「無理せず思い切って休むようにする。」



    麻痺のある方は働きながら通院することや、他の方と比べて疲れやすく体調不良に陥ちりやすいことが考えられます。

    継続した健康管理が必要な方にとって、休暇や休息、やむを得ない欠勤は仕事をないがしろにしているのではありません。体調悪化防止や再発防止などの自己管理ができることは、仕事に対する責任でもあります
    健康を維持し、長く安定して仕事を続けられることが大事です。

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    6. これから仕事を探す方へ

    ここでは、麻痺のある方がどのような求職活動をしたのか、仕事探しの方法について紹介します。

    6-1.仕事の探し方

    障害のある求職者は、一般雇用枠障害者雇用枠の両方に応募することができます。

    一般枠は、障害であることを伝えずに働くこと(=クローズ就労)です。
    職種の選択肢は広く、昇進や昇給などの機会もあります。しかし、麻痺への理解や周囲のサポートを得にくいのが現状です。

    障害者雇用枠は、障害であることを伝えて働くこと(=オープン就労)です。職場の理解を得られ、周囲のサポートが受けやすくなるなど、働きやすさにつながることも考えられます。

    仕事探しには、ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センター、就労移行支援事業所、障害者専門の人材紹介会社(エージェント)など、さまざまなサービスを利用することができます。

    ①ハローワーク

    障害のある方専用の窓口があり、専門のスタッフに相談することができるほか、全国にある障害者を対象にした就業支援のための施設の情報もハローワークで尋ねることができます。

    参考:厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」

    ②障害のある方専用の人材紹介会社(エージェント)

    障害を抱えることで、働くことに不安を覚えている方の就職活動を支援する専用の人材紹介会社をご存知でしょうか?

    履歴書の書き方や面接の練習、おすすめする企業の紹介やその企業との連絡、事前見学の調整、入社後のケアや相談など、全面的なサポートを行っています。

    また、扱っている求人情報の中には、ハローワークなどでは公開されていないものもあります。企業との連携ができているため、ホームページや求人票では得られない職場環境なども知ることができます。

    利用した方の口コミを紹介します。

    「障害を知ったうえで理解してくれる会社を探してくれました。仮に障害があっても何の問題もなく働けます。その状況を理解してくれる会社というのが絶対に存在するので、体験談や口コミを見ながら就職サービスのスタッフを良い意味で利用し、妥協せずに根気よく仕事を探していくことだと思います。」

    さまざまな機会を活用して、前向きに就職を目指しましょう。

    6-2.会社見学は積極的に

    「会社見学ができるならした方がよい。」

    口コミには、可能ならば仕事探しの過程で会社見学をした方が良いという声が多く寄せられています。気になる企業があれば、見学の相談をしてみると良いでしょう。

    先ほど紹介した、ハローワークや人材紹介会社でも、見学時期や見学時間の調整をしてくれることがあります。会社見学をすることで通勤ルートや職場環境が確認できるだけではなく、職場の雰囲気も感じることができます。

    新たな気持ちで就職への一歩を踏む出すためにも、会社見学が良い意味で現実を見つめるきっかけになるかもしれません。

    7. 専門家からのアドバイス

    仕事探しを考えている麻痺のある方へ、障害者雇用の専門家 中村旬さんからのアドバイスを紹介します。

    ■働くことを迷っている麻痺のある方へ

    先天性麻痺や後天性麻痺。何らかの麻痺をお持ちでこれから再就職を迷われている方にとって、職場の同僚や企業の障害に対する理解度、環境・物理面の配慮などで心配になることもあるでしょう。 しかし、近年の障害者雇用制度の見直しにより、障害者雇用実績のある企業も増えています。
    軽度麻痺であればクローズ就労も可能かもしれませんが、基本は後のアンマッチング回避のためにオープン就労にした方が、長く働きけるでしょう。

    障害者雇用を支援するサービス機関も多くありますので活用しながら、皆様の身体状況や希望にマッチングした実りある就職活動となるように心より応援いたします。



    ■これから働く麻痺のある方へ

    まずは、就労への「意欲」を大切にしていただければと思います。

    自分のスキルや経験、入社後はどのように貢献していきたいか。そして、どのような作業が難しいかなどを明らかにしましょう。それをしっかりと雇用担当者や企業側に伝えることは重要です。
    そして、希望している企業に、障害者雇用の実績やバリアフリーへの取り組みがあるかどうかは確認したい点です。

    私は、スキルや資格、経験も大事ですが、障害や持病の有無に関わらずまずは「人間性」を見ます。健常者でも「人間性」がマッチしなければ、就職は難しいと思っています。

    8.まとめ

    これまでの内容についてまとめます。

    ■麻痺のある方が仕事を探す上で大切なこととは?

    麻痺の症状、またそれに付随する様々な不自由さや課題を職場に理解してもらう必要があります。また、個々の症状に合ったサポートや工夫をしてもらうことが大切です。

    • ・バリアフリーが整備された職場
    • ・通勤に配慮のある職場
    • ・通院・勤務時間などに配慮のある職場
    上記のような職場は麻痺のある方にとって非常に満足度の高い職場である傾向がありました。 また、採用が決まったあとも、周囲との連携や相談しやすい関係性の構築、体調管理など、様々な工夫を自ら行っている方々も多くいることがわかりました。

    ■麻痺のある方が働きやすい職場環境を手に入れるには?

    自ら積極的に働きかけることで、麻痺によって出来ること・出来ないことを理解してもらい、働きやすい職場環境を作っていきましょう。

    「何ができて何ができないのか、自分自身で常々十分に考えて、認識しておくことが大切だと思います。その上で、必要とされる仕事の中に自分にもできる仕事があるか、会社の担当者と一緒によく考えるべきです。意外なことができたり、易しそうな仕事がどうしても無理だったり、というようなことがよくあります。」

    こちらは、脳梗塞の後遺症で麻痺のある方が寄せて下さったコメントです。このコメントには、今回のコラムで伝えたい要点が凝縮されています。

    先天的に麻痺のある方も、病気や怪我により麻痺が生じた方も、希望の会社に就職して自分らしく働きたいと望んでいます。

    「受け身では何もできません。ハンディキャップがあってもできることはたくさんあると思います。初めの一歩で長く続けられる仕事もあると思うので、とりあえずやってみてください。」

    麻痺のことを職場に伝えることで、必要な支援や協力が得られチャンスが生まれます。受け身でいたばかりに、働きやすい職場環境を手に入れることができなかったり、環境を整える機会を失ったりすることはもったいないことです。

    前向きなチャレンジが道を拓きます。自分らしく働ける仕事を探し、そして働きやすい職場作りを目指していきましょう。


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    ▼麻痺のある方の悩みと対策、職場であるとうれしいサポートについてはこちらでもご紹介しています。
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    ▼障害者枠(オープン就労)の求人の探し方はこちらでご紹介しています
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    監修者

    製薬会社にて勤務したのち社会福祉士、介護支援専門員の資格を取得。専門学校教職員を経て、協同組合にて通所介護事業所の管理者・生活相談員や福祉用具貸与事業所福祉用具専門相談員、生活困窮者支援員を経験。精神障害のある方を対象にした介護職員初任者研修を運営し、講師も務めた。現在はコミュニティ施設運営、放課後等デイサービス運営、介護職員初任者研修講師等を行っている。「月刊デイ」への寄稿や社会福祉士全国大会での発表経験もあり。

    保有資格

    著者

    障害、病気のある方の企業や仕事に関する口コミサイト「アンブレ」を運営中。 丁寧な取材や口コミの分析を通して、病気や障害の特性に配慮した働き方や仕事との向き合い方を提案。理想の職場に出会うための、そしてより働きやすくなるための情報を発信しております。障害や病気があってもぴったりの仕事を。

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