双極性障害(躁うつ病)のある方が働くために、仕事探しのポイントとアドバイス

双極性障害(躁うつ病)のある方が働くために、仕事探しのポイントとアドバイス

そう状態と抑うつ状態を反復する双極性障害(躁うつ病)。仕事が原因だという方もいらっしゃるかもしれません。また双極性障害(躁うつ病)になったことで、仕事を続けられなくなった方もいることでしょう。

例えば
・今の仕事を続けるべきなのか?
・新しい仕事を探すべきなのか?
・そもそも今から仕事を見つけることはできるのか?
・新しい職場で続けられるのか?
このような不安を感じたり悩んだりすることはありませんか?

そのような方は、同じように境遇の方々の声に耳を傾けてみましょう。実体験は、不安を少しずつ取り除くのに役立ちます。

このコラムでは、双極性障害(躁うつ病)のある方から寄せられた口コミをもとに、仕事探しのポイントや就職後の心がけなどをまとめてみました。

また、障害者雇用の専門家みちしたさん(社会福祉士、精神保健福祉士)にもアドバイスをいただきました。

仕事に悩んでいる方、これから就職や転職を考えている双極性障害(躁うつ病)のある方のお役に立つことを願っています。

*この記事はみちしたさんに監修していただきました
みちしたさん

社会福祉士・精神保健福祉士(ソーシャルワーカー、精神科ソーシャルワーカー:社会福祉専門職の国家資格)の資格を持つ。障害者支援施設にて支援員を8年経験した後、福祉資格を持つ地方公務員として採用され、ソーシャルワーカーとして活躍。


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目次

1.双極性障害とは

2.双極性障害(躁うつ病)になりやすい職場

3.双極性障害(躁うつ病)による仕事の悩み

4.双極性障害(躁うつ病)の方にとって働きやすい職場

5.双極性障害のある方がおすすめする企業

6.求人の見つけ方

7.企業情報の集め方

8.入社後に心がけること

9.専門家からのアドバイス

10.最後に

1.双極性障害とは

双極性障害とは
    双極性障害は、精神疾患の中でも気分障害と分類されている疾患のひとつです。うつ状態だけが起こる病気を「うつ病」といいますが、このうつ病とほとんど同じうつ状態に加え、うつ状態とは対極の躁状態も現れ、これらをくりかえす、慢性の病気です。

    昔は「躁うつ病」と呼ばれていましたが、現在では両極端な病状が起こるという意味の「双極性障害」と呼んでいます。なお、躁状態だけの場合もないわけではありませんが、経過の中でうつ状態が出てくる場合も多く、躁状態とうつ状態の両方がある場合とはとくに区別せず、やはり双極性障害と呼びます。

    双極性障害は次のように分類されます。

    ・躁状態:家庭や仕事に重大な支障をきたし、人生に大きな傷跡を残してしまいかねないため、入院が必要になるほどの激しい状態
    ・軽躁状態:はたから見ても明らかに気分が高揚していて、眠らなくても平気で、ふだんより調子がよく、仕事もはかどるけれど、本人も周囲の人もそれほどは困らない程度の状態

    ・双極I型障害:うつ状態に加え、激しい躁状態が起こる双極性障害
    ・双極II型障害:うつ状態に加え、軽躁状態が起こる双極性障害

    双極性障害の原因は、まだ解明されていません。
    しかし、この病気は精神疾患の中でも脳やゲノムなどの身体的な側面が強い病気だと考えられています。ストレスが誘因や悪化要因になりますが、単なる「こころの悩み」ではありません。
参考:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」

双極性障害(躁うつ病)は、ストレスが関わっています。その原因が仕事にあるならば、今後の仕事について考えることも必要になってくるでしょう。

2.双極性障害(躁うつ病)になりやすい職場

双極性障害(躁うつ病)になりやすい職場
双極性障害(躁うつ病)のある方は、どのような職場で働いていたのでしょうか? もちろん、原因は仕事だけではありませんが、次に紹介するコメントを読む限り、仕事が要因の1つになり得ることもわかります。

「就業時間が長時間で上司によるパワハラがあり、退職に追い込まれた。」

「同じ職種の人が私一人なのに、仕事内容は盛りだくさんで走って仕事をしていました。疲労、ストレスからうつ病、双極性障害(躁うつ病)になりとても辛い思いをしました。」

「誰も持ちたくないという部活動顧問を割り当てられた。~中略~ 双極性障害(躁うつ病)で仕事ができなくなり、その後主治医の指導のもと、ライフチャートを作成したところ、4年前の部活動の負担との関連が浮上した。」

職場の環境や人間関係、また担当する業務の内容やキャパシティを超えるほどの仕事量など、仕事においてストレスを感じる要因はさまざまです。少しずつストレスが募り、調子が悪いと気が付いたときには、すでに双極性障害(躁うつ病)を発症していたという方も多くいらっしゃいました。

3.双極性障害(躁うつ病)による仕事の悩み

双極性障害(躁うつ病)による仕事の悩み
次に、双極性障害(躁うつ病)を発症したことで生じた仕事の悩みについて見てみましょう。
寄せられたアドバイスの裏側には、それぞれ辛い経験が読み取れますが、大きく分けると以下の2つにつきるでしょう。

  • 突然あらわれる感情の変化
  • 周りに双極性障害を理解されないこと
では実際のコメントとともに、その内容を見ていきましょう。

3-1.仕事での不安は「突然あらわれる感情の変化」


気分が高まる「そう状態」と気分が落ち込む「抑うつ状態」を繰り返す双極性障害(躁うつ病)。その変化は突然訪れることも多く、感情の変化が仕事のモチベーションに大きく作用します。まずは、みなさんがどのようなことに悩んでいるのかを見てみましょう。

「ハイテンションで気分が高揚する時期と塞ぎこみ落ち込む欝な時期を繰り返す。躁状態は寝なくても平気なため、なかなか眠れず次の日の業務に支障をきたす。鬱状態は注意力が散漫になったり、通勤電車に乗れなくなったり過呼吸になってしまう」

「不定期にうつ状態に陥る。うつ状態となると就業は困難でこれまで何度か休職している。」

「うつがひどく、仕事をドタキャンしてしまうときがある。躁状態のときは仕事を入れすぎて、結果的にガス欠状態になる。」

突然あらわれる症状とその変化。「そう」の時と「うつ」の時との状況は全く異なるため、仕事へのモチベーションも変わります。
また症状があらわれるタイミングや度合いは、同じ双極性障害(躁うつ病)でも分類されているように人さまざまです。そのため、自分が双極性障害(躁うつ病)だと気が付くことが難しく、そのもどかしさに悩むこともあるのはないでしょうか。

このように自分が気付くことさえ難しい症状だけに、周りに理解されることはもっと難しいことなのかもしれません。
次は、「周りの理解」という点について、口コミとともに見ていきましょう。

3-2.職場での辛い思いは「症状を理解されないこと」


前述のような、突然あらわれる感情の変化により仕事ができなくなったとき、最も辛いことは周りの理解が得られないことです。

「週3日しか就労できず、病気のことは話していなかったのでやる気がないと思われていた。」

「障害者の病状の苦しさを解ろうとせず、集団で責められた。」

「なにかがあっても、努力不足だと言われ、障害をカミングアウトすると障害者のレッテルを貼られ、今までこなしてきた業務から全て降ろされて干されてしまいました。」

やる気がなくなったと勘違いされるケースや障害に対する偏見など、辛い思いは双極性障害(躁うつ病)の症状を悪化させてしまいます。
この記事を読んでいるあなたにも、同じような心当たりはありませんか?


しかし、世の中には双極性障害(躁うつ病)と付き合いながら、自分にあった仕事を続けている方もたくさんいらっしゃいます。口コミにも多くのアドバイスが届いています。
ここからは、そのポイントを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。


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→双極性障害(躁うつ病)の方の口コミはこちらへ

4.双極性障害(躁うつ病)の方にとって働きやすい職場

双極性障害(躁うつ病)の方にとって働きやすい職場
双極性障害(躁うつ病)のある方は、仕事をしていく中で双極性障害(躁うつ病)について伝えて働くのか、伝えないで働くのかということに迷うことはありませんか?

それは、周囲の方が双極性障害に理解を示してくれるだろうか、それとも仕事がやりづらくなるのではないだろうか、という不安がよぎるからではないでしょうか。 その悩みは、仕事に満足している双極性障害(躁うつ病)の方の職場の様子を見ながら考えていきましょう。

4-1.双極性障害(躁うつ病)でも満足して働ける職場とは

双極性障害(躁うつ病)のある方が働きやすい職場だと感じる決め手としているのは、職場環境サポートや配慮事項です。

「仕事量を控えめにしてもらっている。プレッシャーのかかる仕事はなるべくさせないようにしてもらっている。」

「いかに長く働き続けるかを考えてもらえ、無理をしないペースで働くように指導してくれる。」

「以前はフルタイムで働いていたが体調を崩すことが多く、勤務形態をパートタイムに変えてもらえた。 勤務時間が少なくなった分、体調にゆとりができ、楽に働けるようになった。」

「月に一回健康管理室の保健師と面談を設定してもらえる。上司にも困っていることを相談できる。」

「周りの方が障害者の事をよく理解してくれました。急な体調の変化にも柔軟に対応し助けてくれました。自分が障害者であることを隠す必要もなく、差別なども全くなくとても勤めやすかったです。」

「一度会社で激しい過呼吸になってしまい迷惑をかけた際、社長が今後また起こったときのためにと、過呼吸についての対処法を聞いてくれて、それを他の社員にも説明し『次に起こったときはこうしてやってくれ』と言ってくれた。」

「そうとうつが交互にきて、周囲を振り回し、仕事辞めたい、しんどい、この世がなくなったら楽になるのにと感じて同僚に話したら、真剣に受け止めてくれました。私の為に、上司が何度も勉強会を開いて、周囲の理解が得られるよう努力してくれました。」

双極性障害(躁うつ病)に対する理解と配慮のある環境は、本当に安心して働けますよね。環境が整っていたり、職場の同僚のサポートがあったり、全体に助け合いの気持ちがあったりすることで、職場はぐっと働きやすくなります。

そして、配慮やサポートを求めるには、まず自分の症状を良く知ってもらう必要があるでしょう。

4-2.自分の双極性障害(躁うつ病)を知ってもらい理解を求める

多くの方がアドバイスしているのは、双極性障害(躁うつ病)であることを隠さないことです。

「入社前に自らの病気を告白することだと思います。それを告白したことで内定を出さない企業なら、入社しても理解が少ない会社だと思います。長く続けられる職場を探すなら勇気を持って最初に病気を告白すべきです。」

「病名を伝え、自分に出来る事、出来ない事を正直に伝えることが大事だと思います。調子が悪くなった時にその会社にあたえてしまうかもしれないデメリットを考えて、伝えることにしています。」

「自分の障害名を伝えるだけでは、その症状や特性まで理解している会社は少ないのが現実です。そのため、何ができて何ができないのかを、最初にハッキリと伝えることができれば入社した後も楽になると思います。 」

「障害をオープンにして働けるなら、ぜひそうしてください。クローズ就労の場合、具合が悪くなっても、味方になってくれる人は少ないでしょう。」

仕事で失敗をしてしまったとき、双極性障害(躁うつ病)の症状が原因だったとしても、職場の同僚はそれに気づくことができないかもしれません。何度もミスを繰り返すあなたに、不信感を抱く可能性もあります。

先にも述べたように、満足できる職場は、職場環境とサポートや配慮が整っている職場です。そのためにも、自分の症状を打ち明けることこそ、無理なく仕事を続けるために必要なことでしょう。

ここで大切なことは、以下の2点です。

  • 自分が自分の双極性障害(躁うつ病)についてよく理解すること
  • 理解した自分の症状や傾向、状態について職場に伝えること
つまり、双極性障害(躁うつ病)ということだけを伝えるのではなく、
  • 何ができて何ができないのか
  • どういう時にサポートが必要なの
  • どういう症状があらわれ、その時に同僚にどう接してほしいのか
というように具体的に伝えれば、職場の同僚もより理解を深めることができるでしょう。

そして、できないことがあっても「一人ではできなくてもサポートがあればできる」という、あなたの仕事に対する前向きな姿勢を伝えることで、企業側に良い印象を与えるでしょう。

「双極性障害(躁うつ病)だから」という理由だけで対応が悪くなる企業や不採用とする企業には、たとえ入社したり今後も継続して働いたりしても、あなたをきちんとケアする環境はとても望めません。


自分にあう企業を、自分のペースで見つけましょう。

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5.双極性障害のある方がおすすめする企業

双極性障害のある方がおすすめする企業
では次に、口コミでポジティブな回答をくれた方が勤務する企業や業界・職種の特徴を紹介します。

5-1.おすすめの会社、企業名

①福利厚生や制度が充実している

・株式会社エルベ
「ある程度自分のペースで仕事が出来る。体調が悪いときに無理に出社する必要が無く、自宅で作業する事も可能。」
満足度:★★★
配慮 :★★★★
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・株式会社ネクサス
「私の存在を契機にフレックスタイム勤務制が導入され、体調不良時などは出社を遅らせることなどができた。」
満足度:★★★★
配慮 :★★★★★
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・株式会社モスフードサービス
「通院日に休みがとりやすかった。」
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★★
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②病気や障害のある方への理解がある

・株式会社アダストリア・ゼネラルサポート
「無理をしないように常に気を配ってくれる。仕事量が多い時は上司やショップスタッフに相談・引き継ぎし、業務の優先順位や業務量を調整してもらえる。必要に応じて上司と面談する時間を作ってくれる。」
満足度:★★★★★
配慮 :★★★★★
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③興味のあることを仕事にする

・城西国際大学
「仕事の目標スピードを変えてもらっています。養護、保健師、産業医、カウンセラーが適時に対応してくださいます。周りに理解があります。障害を気にしなくてもいい仕事をしています。出勤時間が比較的自由です。個室で好きな音楽を聴きながら仕事ができます。」
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
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・積文館書店
「読書が大好きなので、仕事中に常に本と接することが出来て楽しかったです。また、職場内の上司同僚が気さくな方が多かったため、コミュニケーションが取りやすかったです。」
満足度:★★★★
配慮 :★★★★★
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④職場の雰囲気が良い

・エキサイト株式会社
「職場環境が良い。例えば、室温、静けさでは満足しています。病気のことを気兼ねなく相談できる雰囲気があります。」
満足度:★★★★
配慮 :★★★
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・株式会社オカムラ
「月に一回、健康管理室の保健師と面談を設定してもらえる。周りも病気を理解していて、適度に放っておいてもらえる。仕事量が少なく、残業がほとんどない。」

満足度:★★★★
配慮 :★★★★
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・株式会社ROQUE
「毎日ミーティングでオーバーワークになっていないか確認してくれるようになった。病状が改善せず長期間欠勤が続いた際には、会社から一度ゆっくり休むのはどうだ?と休職の提案をしてもらえた。」
満足度:★★★★
配慮 :★★★★
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5-2.おすすめの業界・業種

・アパレルや物販のバックヤード業務
接客など表で行う仕事を裏で支える仕事です。マニュアル化、ルーティン化されていることも多く、症状にあわせて仕事のペースを調整しながら働くことができるでしょう。

・好きなものや好きなことに触れられる仕事
趣味や興味深いものに触れられることで、仕事や業務内容に親しみが生まれるため、仕事を続けやすい環境が期待できます。仕事を探す手がかりとして、興味のあることから業界や職種を選んでみるのは良いことでしょう。ただし、職場の人間関係や雰囲気は仕事満足度に大きく影響を与えますので、事前見学などを通して職場の様子を確認するようにしましょう。

・障害者施設での指導や補助
職場全体が障害に対する知識や理解を持ち合わせているため、働きやすいという意見が多くありました。障害のある子どものサポートや、障害のある方へのパソコン指導などを行う仕事など、具体的な業務はいろいろあります。できるだけ、自分に興味のあるものに関連した業務内容であるほうが良いですね。

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このような企業はどのように探せばよいのでしょうか。次は、仕事の探し方を確認していきましょう。

6.求人の見つけ方

求人の見つけ方

6-1.働き方によって選べる「一般枠」と「障害者雇用枠」

求人には、一般枠障害者雇用枠があり、障害者手帳を所持している方は、どちらにも応募することができます。

「一般枠」は、障害であることを伝えず仕事をすることです(クローズ就労)。
障害のない方と同じように働くため、応募している職種は広く、昇進や昇給などの機会もあります。しかし、双極性障害(躁うつ病)への理解を得られにくく、職場の同僚のサポートを望めないのが現状です。

「障害者雇用枠」は、障害であることを伝えて仕事をすることです(オープン就労)。
職場が双極性障害について理解していることが前提となっているので、サポートが受けやすく、働きやすい環境が望めるでしょう。

実際に「障害者雇用枠」の求人を活用したというアドバイスを紹介します。

「ハローワークの障碍者雇用枠の中から仕事を見つけました。応募してすぐに面接があり、体調が悪いときは休んでもよいという条件付きで就職が出来ました。通院時は有給扱いとなり、半日からでも給料が発生するという破格の扱いでした。」

6-2.求人の探し方

①ハローワーク

病気や障害のある方専用の窓口があるため、働き方の相談をすることができます。障害者雇用枠の求人情報も扱っているので、アドバイスを受けることができます。

「同じような障害を持った方が少しでもいる職場なら理解力はあると思います。障害者雇用の前例のある会社なら理解力はあると思うのであきらめず、ハローワークで障害者雇用の求人から探していきましょう。」

参考:厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」

②専用の人材紹介会社(エージェント)

働くことに不安を抱えた病気や障害のある方の就職活動を支援する「人材紹介会社(エージェント)」をご存知ですか?

この人材紹介会社では、履歴書の書き方や面接の練習、おすすめする企業の紹介やその企業との連絡、事前見学の調整、入社後のケアや相談など、全面的なサポートを行っています。

ハローワークでは公開されていない求人情報を扱っているところもあります。また、企業との連絡を密に行うので、ホームページや求人票からは得られない職場環境なども知ることもできます。

ひとりではじめる就職活動との違いは、専門のアドバイスやサポート、自分にあった企業の紹介を受けられる点です。そのため、担当者と一緒に不安を取り除きながら活動を進めていくことができるでしょう。

口コミにも、専用の人材紹介会社を活用したという声が多くありますのでご紹介します。

「面接の時のアドバイスやフォローをしてもらいました。」

「人材紹介会社を利用した。就労する時もその職場と密に連携を取ってくれた。」

しかし、人材紹介会社も一つの企業です。紹介できる企業の得意分野や担当者の性格はさまざま。自分の希望や意見が伝えやすく、理解してもらえる人材紹介会社かどうかをチェックしてみましょう。

次は、気になる企業の情報収集について、方法を紹介していきます。

7.企業情報の集め方

企業情報の集め方
企業サイトや募集要項だけでは、あなたが実際に働くことになる職場の雰囲気はつかめないかもしれません。できるだけ自分の目で確かめてみましょう。

7-1.事前に見学して企業の雰囲気を確認しましょう

企業によっては職場を事前に見学させてくれるところもありますし、人材紹介会社に登録している方は、アドバイザーを通して見学をお願いすることもできます。まずは確認してみるといいでしょう。

口コミにも、事前に見学を行うことで、新たな発見があったとの意見が多くみられます。

「色々な手段を利用して、離職率や現場の状況の情報を得る事が必要だと思います。」

「社内の人間関係は求人票に記載されているわけでなく、外からでは分かりにくいが、できる限り情報を集めることが最善だと思う。」

「建物、とりわけスロープ、エレベーター、トイレなどの障害者対応ができていることが大切です。また、以前からその組織に勤めている障害者から詳しい話を聞くことが大切です。」

「実際に働く場所の環境(換気、室温、騒音の有無、部屋の広さなど)を眼で見て確認することはとても重要です。」

7-2.面接はその企業を良く知るチャンス

面接は、企業側があなたを審査するだけの場ではありません。大事なのは、あなたが企業に求めるものと、企業があなたに求めるものが合致することです。

不安や疑問がある場合は、面接時に質問して明確にしておきましょう。具体的に聞いておきたい内容は、以下の経験者の口コミを参考にしてみてください。

「離職率や現場の状況の情報を得る事が必要だと思います。雇用者と立場は対等だと考えて、お互いの思いを初めから率直に交換することが大事だと思います。」

「以前からその組織に勤めている同種の障害者から詳しい話を聞くことが大切です。」

「自分と同様の障害を持った人がどのように働いているのか知っておいた方が身のため。 顔色真っ青にして働いているような職場では長く続かない。 」

面接で緊張しすぎて質問できなかったということが無いように、予め知りたいこと書き出しておきましょう。事前に準備をしておくだけで心に余裕ができ、面接にものぞみやすくなります。

働きはじめてから大変な思いをしてしまうと、病気にも大きな負担になってしまいます。心地よい職場環境で病気と上手に向き合っていくためにも、面接での質問のチャンスは大事にしましょう。

8.入社後に心がけること

入社後に心がけること
採用され働くにあたり、入社後の職場の様子は気になるものです。ここでは、実際働いている方が、入社後に心掛けたことを紹介します。
どのような工夫をしているのでしょうか?
これから働く方も今働いている方も、参考にしてみてください。

「出来る限り、自分の今の状態を客観的に把握することに努め、しんどい時には同僚や上司に『〇〇がしんどいです』と具体的に伝えている。」

「二重確認はもちろんのこと、同じ部署の方に最終チェックも頼んでいます。」

「わからないことや困ったことはその都度必ず担当の方に伝えるようにしています。」

「シフトを組むときになるべく週の半ばに休みを入れるようにして、疲れがたまらないよう体を休めることにしている。」

「休憩時間は屋上で独りになれる場所を確保して休んでいます。」

「気分の安定する薬を先に飲んで置き、気分の浮き沈みに対応できるように気を付けている」

自分の症状を確認しながら、疲れやストレスがたまらないようなペースで作業を行うことや、休憩をうまく活用して働くことは、仕事を続ける上で大切なことです。

また、職場の同僚の理解やサポートを受けるためだけでなく、周りの方との人間関係や信頼関係を築くためにも、わからないことや困ったことを自分から確認するという工夫もされていますね。

自分でできることに取り組む姿勢を見せることは、ポジティブな印象を与え、居心地の良い職場づくりにつながります。

9.専門家からのアドバイス

仕事探しを考えている双極性障害のある方へ、障害者雇用の専門家 みちしたさんからのアドバイスを紹介します。

■働くことを迷っている双極性障害のある方へ

双極性障害の認知度は、まだまだ低いのが現状です。皆さんもなかなか周囲に理解されず、辛い思いを経験した方もいるのではないでしょうか。
この結果、社会に出るのが怖くなってしまい働くことを躊躇してしまうかもしれません。

現在は、職業・職種・仕事内容は無数にあり、あなたの長所を活かした仕事もあるはずです。
記事の紹介にもありましたが、仕事を探す方法は複数あり、決して1人だけで行う必要はありません。

まずは不安な部分を相談しながら、自分らしく働ける場所を探してみましょう。

■これから働く双極性障害のある方へ

双極性障害と向き合いながら就労している方はたくさんいます。
記事内にも前向きな意見が多数あり、職場で配慮を受けながら働いていることが分かります。

1日でも長く勤められる職場には、周囲のサポートや理解は必要です。
その際にポイントとなるのが、自分の症状をしっかりと伝えた上で、配慮事項を検討してもらうことです。

オープン就労(障害者雇用枠)かクローズ就労(一般枠)、どちらで働くのかを悩んでいる方は、オープン就労で仕事を探してみることをおすすめします。
働きやすい環境を整えることは特別なことではなく、一般に就職している人も周囲に何らかの配慮をされながら協力して働いています。

皆さんにとって理想の職場が見つかることを願っております。

10.最後に

これまでにご紹介した口コミは、ほんの一部です。症状も人それぞれ、企業の対応もそれぞれ異なります。
まずは自分の症状や、できることやできないことについてまとめてみましょう。そして、自分にあった職場を自分のペースで見つけてください。

双極性障害(躁うつ病)のある方は、配慮が行き届いた「障害者枠」への応募も可能です。「一般枠」と「障害者枠」のどちらが自分にあっているかを検討しましょう。

そして気になる企業の様子やサポート状況は、事前に自分の目で確認するのが理想的です。求人票だけではわからない企業の様子を知るためにも、ハローワークの専門スタッフに相談したり、人材紹介の専門アドバイザーと一緒に就職活動を進めたりするのも良いですね。

あなたの大事な心を守り、ありのままのあなたで仕事をしていくために、最初の段階で我慢をしないことを心がけてください。

さまざまな企業の中で、あなたが幸せに働ける環境に出逢えることを、私たちは心から願っています。


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監修者

社会福祉士・精神保健福祉士の資格を取得。障害者支援施設にて支援員を8年経験した後、福祉資格を持つ地方公務員として採用され、ソーシャルワーカーとして活躍。現在はフリーのWEBライターとして、福祉に関する情報を発信している。

保有資格

著者

障害、病気のある方の企業や仕事に関する口コミサイト「アンブレ」を運営中。 丁寧な取材や口コミの分析を通して、病気や障害の特性に配慮した働き方や仕事との向き合い方を提案。理想の職場に出会うための、そしてより働きやすくなるための情報を発信しております。障害や病気があってもぴったりの仕事を。

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