双極性障害を伝える?伝えない?知っておきたい仕事探しのポイントとアドバイス

そう状態と抑うつ状態を反復する双極性障害。仕事が続かなくて転職を考えているときや、療養から仕事復帰をすることになったとき、「今から仕事を見つけることはできるの?」「新しい職場で続けられるの?」こんな不安や悩みが押し寄せることはありませんか?

そんなときは、同じ境遇にいる仲間の実体験を知ることで、不安を少しずつ取り除くことができるかもしれません。

このコラムでは、障害や疾病のある方から寄せられた「職場の実体験」を企業名、障害、疾病別にまとめた口コミサイト『Umbre』をもとに、仕事探しから就職後までのポイントやアドバイスをまとめてみました。

仕事をしながら双極性障害と向き合っている方々から寄せられた、たくさんの体験談を通して、失敗談や対処法、そして成功例をお伝えすることで、これから就職や転職を考えている方のお役に少しでも立てればと願い、ご紹介していきたいと思います。

目次

1、双極性障害の方が語る「不安や辛さ」



1-1 双極性障害がもたらす仕事への不安は「突然あらわれる感情の変化」


気分が高まる「そう状態」と気分が落ち込む「抑うつ状態」を繰り返す双極性障害。その変化は突然訪れることも多く、感情の変化が仕事のモチベーションに大きく作用します。まずは、みなさんがどのようなことに悩んでいるのかを見てみましょう。

「ハイテンションで気分が高揚する時期と塞ぎこみ落ち込む欝な時期を繰り返す。躁状態は寝なくても平気なため中々眠れず次の日の業務に支障をきたす。鬱状態は注意力が散漫になったり、通勤電車に乗れなくなったり過呼吸になってしまう」

「不定期にうつ状態に陥る。うつ状態となると就業は困難でこれまで何度か休職している。」

「うつがひどく、仕事をドタキャンしてしまうときがある。躁状態のときは仕事を入れすぎて、結果的にガス欠状態になる。」

1-2 職場での辛かった思いは「症状を理解されないこと」


前述のような、突然あらわれる感情の変化に悩むことで抱える職場への不満は、突然うつ症状で就業できなくなったときに、周りの理解が得られないことです。

「週3日しか就労できず、病気のことは話していなかったのでやる気がないと思われていた。」

「障害者の病状の苦しさを解ろうとせず、集団で責められた。」

「なにかがあっても、努力不足だと言われ、障害をカミングアウトすると障害者のレッテルを貼られ、今までこなしてきた業務から全て降ろされて干されてしまいました。」

もしかしたら、この記事を読んでいるあなたにも同じような心当たりがあるかもしれません。


※他にも双極性障害のある方の仕事に関する体験談がたくさん届いています。
→双極性障害の方の体験談はこちらへ

2、面接では「双極性障害を正直に伝える」べきか



双極性障害の方が就職や転職を考える際に悩むことの1つは、双極性障害についてオープンにするのか、クローズのまま活動するのかということではないでしょうか?

ではその前に、双極性障害でありながら、今の仕事に満足している方から現在の職場の様子について見てみましょう。

2-1 まずは働いている人に聞く「双極性障害でも満足して働ける職場」とは


双極性障害の方が働きやすい企業を考える場合、会社のミッションや業務内容よりも大きな決め手になりうるのが「職場環境」と「周囲のサポート」です。

「仕事量を控えめにしてもらっている。プレッシャーのかかる仕事はなるべくさせないようにしてもらっている。」

「いかに長く働き続けるかを考えてもらえ、無理をしないペースで働くように指導してくれる。」

「以前はフルタイムで働いていたが体調を崩すことが多く、勤務形態をパートタイムに変えてもらえた。 勤務時間が少なくなった分、体調にゆとりができ、楽に働けるようになった。」

「月に一回健康管理室の保健師と面談を設定してもらえる。上司にも困っていることを相談できる。」

「周りの方が障害者の事をよく理解してくれて急な体調の変化にも柔軟に対応してくれて手助けもしてくれました。自分が障害者であることを隠す必要もなく、差別なども全くなくとても勤めやすかったです。」

「一度会社で激しい過呼吸になってしまい迷惑をかけた際、社長が今後また起こったときのために、と過呼吸についての対処法を聞いてくれて、それを他の社員にも説明し「次に起こったときはこうしてやってくれ」と言ってくれた。」

「双と鬱が交互にきて、周囲を振り回したり、仕事辞めたい、しんどい、この世がなくなったら楽になるのにと感じて同僚に話したら、真剣に受け止めて障害に対する理解があります。私の為に、上司が何度も勉強会を開いて周囲の理解が得られるよう努力してくれました。」

双極性障害に対する理解と配慮のある環境、本当にうれしいですよね。環境が整っていたり、周囲のサポートがあったり、全体に助け合いの気持ちがあることで、職場はぐっと働きやすくなります。

そのためには、自分の症状を良く知ってもらう必要があるかもしれません。

2-2 理解されるために必要なのは「自分の双極性障害を知ってもらうこと」


多くの方がアドバイスとしてあげているのは、「面接で双極性障害の疾患を隠さないこと」。

「入社前に自らの病気を告白することだと思います。それを告白したことで内定を出さない企業なら、入社しても理解が少ない会社だと思います。長く続けられる職場を探すなら勇気を持って最初に病気を告白すべきです。」

「病名は伝え、自分に出来る事、出来ない事を正直に伝えることが大事だと思います。調子が悪くなった時にその会社にあたえてしまうかもしれないデメリットを考えて、伝えることにしています。」

「自分の障害名を伝えるだけでは、その症状や特性まで理解している会社は少ないのが現実です。なので、何ができて何ができないのかを、最初にハッキリと伝えることができれば入社した後も楽になると思います。 」

「障害をオープンにして働けるなら、是非そうしてください。 クローズドで働くと、具合が悪くなっても、味方になってくれる人は少ないでしょう。」

仕事で失敗をしてしまったとき、本当は双極性障害の症状が原因だったとしても、周囲の人々はそれに気づくことができないかもしれません。何度もミスを繰り返すあなたに、不信感を抱いてしまう危険性もあります。

先にも述べたように、満足できる職場は「職場環境」と「周囲のサポート」です。そのためにも、自分の症状を打ち明けることが、入社後、無理なく仕事を続けるためには必要かもしれません。

「双極性障害だから」という理由で不採用になってしまうような企業には、入社してからもあなたをきちんとケアしてくれる環境は望めないはずです。


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3、双極性障害の方にオススメの企業とは



では次に、アンケートでポジティブな回答をくださった方がお勤めする企業や業界・業種の特徴をコメントとともにご紹介していきます。

3-1 オススメの会社、企業名


①福利厚生や制度が充実している

・NPO法人放課後等児童デイサービス音楽堂
「体調を崩して急に休むことが多かったが、仕事をフォローしてくれた。 休んだことに対し、嫌な顔をせず接してくれた。」

・株式会社エルベ
「ある程度自分のペースで仕事が出来る。 体調が悪いときに無理に出社する必要が無く、自宅で作業する事も可能。」
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・株式会社ネクサス
「私の存在を契機にフレックスタイム勤務制が導入され、体調不良時などは出社を遅らせることなどができたから。」
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・株式会社モスフードサービス
「通院日に休みがとりやすかった。」
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②病気や障害者への理解がある

・株式会社アダストリア・ゼネラルサポート
「無理をしないように常に気を配ってくれる。仕事量が多い時は上司やショップスタッフに相談・引き継ぎをし業務の優先順位や業務量を調整してもらえる。必要に応じて上司と面談する時間を作ってくれる。」
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・有限会社サンキュウサービス
「突然しんどくなりその日に休むことになっても快く承諾してくれているので助かります。病気のことを気兼ねなく相談できる雰囲気があります。」

・芳川金型製作所
「会社の代表が、あまり他の人のように仕事ができなくても、障害に対して寛大であった。」

③興味のあることを仕事にする

・城西国際大学
「仕事の目標スピードを変えてもらっています。養護、保健師、産業医、カウンセラーが適時に対応してくださいます。周りに理解があります。障害を気にしなくてもいい仕事をしています。出勤時間が比較的自由です。個室で好きな音楽を聴きながら仕事ができます。」
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・積文館書店
「読書が大好きなので、仕事中に常に本と接することが出来て楽しかったです。また、職場内の上司同僚が気さくな方が多かったため、コミュニケーションが取りやすかったです。」
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④職場の雰囲気が良い

・エキサイト株式会社
「職場環境が良い。例えば、室温、静けさでは満足しています。病気のことを気兼ねなく相談できる雰囲気があります。」
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・株式会社オカムラデザイン
「月に一回健康管理室の保健師と面談を設定してもらえる。周りも病気を理解していて、適度に放っておいてもらえる。仕事量が少なく、残業がほとんどない。」

・株式会社ROQUE
「毎日ミーティングでオーバーワークになっていないか確認してくれるようになった。病状が改善せず長期間欠勤が続いた際には、会社から一度ゆっくり休むのはどうだ?と休職の提案をしてもらえた。」
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3-2 オススメの業界・業種


・アパレルや物販のバックヤード業務
接客など表で行う仕事を裏で支える仕事。マニュアル化、ルーティン化していることも多く、症状に合わせて仕事のペースを調整しやすい。

・好きなものやことに触れられる仕事
趣味や興味深いものに触れられることで、仕事や業務内容に親しみが生まれるため、仕事を続けやすい環境になることもある。

・障害者施設での指導や補助
障害者を持つ子供のサポートや、障害者を持つ方へのパソコン指導などを行う仕事。障害に対する知識や理解があるため、働きやすいという意見がみられる。

4、求人の見つけ方

4-1 働き方によって選べる採用枠「一般枠」」と「障害者雇用枠」


求人には「一般枠」と「障害者雇用枠」があり、障害者手帳を所持している方は、「一般枠」・「障害者雇用枠」のどちらにも応募することができます。

「一般枠」は、障害であることを伝えず(クローズ)仕事をすることになります。障害のない方と同じように働くことため、広い職種から選べ、昇進や昇給などの機会もあります。しかし、双極性障害への理解を得られにくく、周囲のサポートを受けることは難しいのが現状です。

「障害者雇用枠」は、障害であることを伝えて(オープン)仕事をにすることになります。そのため、職場の理解を得られ、周囲のサポートが受けやすくなるなど、働きやすさにつながることも考えられます。実際にも「障害者枠」の求人を活用したというアドバイスもあります。

「ハローワークの障碍者雇用枠の中から仕事を見つけました。応募してすぐに面接があり、体調が悪いときは休んでもよいという条件付きで就職が出来ました。通院時は有給扱いとなり、半日からでも給料が発生するという破格の扱いでした。」<

4-2 求人はどこで探すの


①ハローワーク

障害のある方専門の窓口があるため、相談やアドバイスを受けることができます。求人数や障害のある方への求人情報も多く扱っています。

「同じような障害を持った方が少しでもいる職場なら理解力はあると思います。障害者雇用の前例のある会社なら理解力はあると思うのであきらめず、ハローワークで障害者雇用の求人から探していきましょう。」

参考:厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」

②人材紹介会社

双極性障害など精神的な障害を抱えることで、働くことに不安を覚えている方の就職活動を応援してくれる専用の人材紹介会社をご存知でしょうか?

具体的には、履歴書の書き方や面接の練習、おすすめする企業の紹介やその企業との連絡、事前見学の調整、入社後のケアや相談など、全面的なサポートなどを行ってくれます。

ハローワークなどでは公開されていない求人情報も扱っています。また企業との連絡が密なので、ホームページや求人票からは得られない職場環境なども知ることができます。

ひとりで1からはじめる就職活動との違いは、専門のアドバイスやサポート、自分にあった企業の紹介を受けられるため、担当者と一緒に不安を取り除きながら活動を進めていくことができます。

体験談にも人材紹介会社を活用したという声が多くありますのでご紹介します。

「面接の時のアドバイスやフォローをしてもらいました。」

「人材紹介会社を利用した。就労する時も、その職場と密に連携を取ってくれた。」

しかし、人材紹介会社も一つの企業です。紹介できる企業の得意分野や担当者の性格はさまざま。自分の希望や意見が伝えやすく、理解してもらえる人材紹介会社かどうかをチェックしてみましょう。

5、企業情報の集め方



会社紹介の採用ページや企業サイトだけでは、あなたが実際に働くことになるであろう職場の雰囲気はつかめないかもしれません。できるだけ自分の目で確かめてみましょう。

5-1 事前に見学して企業の雰囲気を確認しましょう


企業によっては職場を事前に見学させてくれるところもありますし、人材紹介会社に登録している方は、アドバイザーを通して見学をお願いすることもできます。まずはお願いしてみるといいでしょう。体験談にも、事前に見学を行うことで、新たな発見があるとの意見が多くみられます。

「色々な手段を利用して、離職率や現場の状況の情報を得る事が必要だと思います。」

「社内の人間関係は求人票に記載されているわけでなく、外からでは分かりにくいが、できる限り情報を集めることが最善だと思う。」

「建物、とりわけスロープ、エレベーター、トイレなどの障害者対応ができていることが大切です。また、以前からその組織に勤めている同種の障害者から詳しい話を聞くことが大切です。」

「実際に働く場所の環境(換気、室温、騒音の有無、部屋の広さなど)を眼で見て確認することはとても重要です。」

5-2 面接はその企業を良く知るチャンス


面接は、企業側があなたを審査するだけの場ではありません。大事なのは、あなたが企業に求めるものと、企業があなたに求めるものがマッチングすること。

不安や疑問がある場合は、面接時の質問タイムなどでクリアにしておきましょう。具体的に聞いておきたい内容については、以下の経験者さんの声を参考にしてみてください。

「離職率や現場の状況の情報を得る事が必要だと思います。 雇用者と立場は対等だと考えて、お互いの思いを初めから率直に交換することが大事だと思います。」

「以前からその組織に勤めている同種の障害者から詳しい話を聞くことが大切です。」

「自分と同様の障害を持った人がどのように働いているのか知っておいた方が身のため。 顔色真っ青にして働いているような職場では長く続かない。 」

働きはじめてから大変な思いをするほうが、あなたの心にとっても大きな負担になってしまいます。心地よい職場環境で病気と上手に向き合っていくためにも、面接時での質問のチャンスは大事にしましょう。

6、入社後の様子と心がけたこと



見事面接に合格し、就職や転職、復職に成功。しかし入社後の様子は気になるもの。ここでは、実際働いている方が入社後心掛けたことを紹介します。どのような工夫をしているのでしょうか?これから働く方も、今働いている方も、不安を取り除くための参考にしてみてください。

「出来る限り、自分の今の状態を客観的に把握することに努め、しんどい時には同僚や上司に「〇〇がしんどいです」と具体的に伝えている。」

「二重確認はもちろんのこと同じ部署の方に最終チェックも頼んでいます。」

「わからないことや困ったことはその都度必ず担当の方に伝えるようにしています。」

「シフトを組むときになるべく週の半ばに休みを入れるようにして、疲れがたまらないよう体を休めることにしている。」

「休憩時間は屋上で独りになれる場所を確保して休んでいます。」

「気分の安定する薬を先に飲んで置き、気分の浮き沈みに対応できるように気を付けている」


※他にも双極性障害のある方の仕事に関する体験談がたくさん届いています。
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7、最後に



これまでにご紹介した体験談は、ほんの一部です。症状も人それぞれ、企業の対応もそれぞれ異なります。仕事により、症状が悪化したり再発したりすることのないように、自分にあった職場を自分のペースで見つけてください。

双極性障害のある方は配慮が行き届いた「障害者枠」への応募も可能です。「一般枠」と「障害者枠」のどちらが自分にあっているかを検討しましょう。

事前に職場を自分の目で判断することや、周囲のサポート状況なども確認できたら理想的です。求人票ではわからない企業の様子を知るためにも、ハローワークの専門スタッフに相談したり、人材紹介の専門アドバイザーと一緒に就職活動を進めるのも良いですね。

あなたの大事な心を守り、ありのままのあなたで仕事をしていくために、最初の段階で我慢をしないことを大切にしてください。

さまざまな企業の中で、あなたが幸せに働ける環境に出逢えることを、私たちは心から願っています。

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