―ここで、企業様とのことについても伺いたいのですが、企業様側からよく寄せられる声には、どんなものがあるのでしょうか?
田中さん:不安に関してはやはり、障がいのある方の雇用実績がなく、「この受け入れ態勢で大丈夫なのか」、「ご縁があっても本当にちゃんと受け入れられるのか」といった声をよく伺います。
受け入れ側の人事の方が、サポートがうまくいかなくてご自身を責めてしまう場合もよくあるんです。
―確かに企業側の方もそこは慎重になってしまうかもしれませんね。
田中さん:ご担当者の方も「企業としてもっと工夫ができないのだろうか」と考えているからこそ、受け入れのハードルが上がってしまうんじゃないかなと。
―そんなときは、どんな風に企業の方へご提案されるのでしょう?
田中さん:私が今まで伺ったことをそのままお伝えすると、初めて障がい者の方を採用したいときには、「精神の方よりは身体の方の方が良いです」とおっしゃられることが多いのですが、実はこれってただ精神障がいのある方への理解が追いついていないだけのケースも多いんです。
だから、そんなときは紹介資料を元に綿密にお話しをして、理想的なマッチングができるようにしています。
佐藤さん:MyMylinkでは、求職者様と面談した後に、その方の紹介資料というものを作成しているんですね。
項目としては、発症の時期だったり状況、現状、対策、あとは配慮事項などを記載していて、見ていただくと精神障がいの方であっても企業のご担当者様から「会ってみたい」と反応されることも少なくないんです。
―例えばどんな内容だと、上手くマッチングできるのでしょうか?
佐藤さん:やっぱり、症状への対策がしっかりされていて、現状が安定している方、スキルがあって人柄も良い方だと採用してみたい・会ってみたいという気持ちになっていただけるので、なるべく企業様の不安を払拭するためにも紹介資料は丁寧に書き上げています。
それから、例えば休養されている期間が長く、数年の離職期間がある方も求職者様の中にはいらっしゃるのですが、ブランク期間に何をしていたかをヒアリングして、規則的な生活を続けていて就労に向けた準備をされていただとか、こういったお人柄で資格取得に励まれていた、といったようなアピールポイントに変わることももちろんあります。
そもそも精神障がいのある方と関わったことがないから、企業様側のハードルが高くなってしまっているようなんです。
ただ、実際に直接会えるかたちでご紹介すると、「表情が柔らかくて素敵ですね」、「コミュニケーションがすごく円滑ですね」などのプラスの印象を持っていただけることがすごく多いですね。
―反対に、求職者様側で「自分が仕事ができるのかな」、「どこまでサポートしてもらえるのかな」と思っている方も多そうです。
佐藤さん:そうですね。例えば、発達障がいの方であれば、周りから言われて「自分が怠けているんだ」って自信をなくされているとか、失敗経験をされている方がすごく多いんですよね。
そんな方々にこそ、例えば選考や面接を受けられて、NGの理由があればはっきりお伝えしています。
曖昧な評価の中で悩まれてきたからこそ、「ダメでした」だけで終わらせたくないというか。
その方の今後のためにどういう風に先方がおっしゃっていたか、どういうところを評価されていたかっていうのは、言葉は考えつつも、なるべくありのまま伝えるようにはさせていただいています。
そうすることで、「丁寧なフィードバック本当にありがとうございます。参考にします。」というようなお声をいただくことはありますね。
―もともとは普通に就職した方が、後になって障がいに気付くケースでは、障がい者枠で働く選択に抵抗がある人もいらっしゃいますか?
佐藤さん:そうですね、たしかに選択を迷われる方もおりますね。ただそういった方が障がい者枠で仕事を探すきっかけをお聞きすると無理をして一般枠で働くことで、心身ともに負荷がかかり、さらには体調を崩して…といったお話をしてくれます。
そのため、周囲のサポートを考えたら障がい特性をオープンにした方が得られることが多いので、障がい者枠での就職を選択される方も多いという印象です。
―入社後のサポートなどもあるのでしょうか?
佐藤さん:入社日、1週間、2ヶ月と定期的に、電話かメールでご連絡させていただいております。
また、企業様からのご要望次第になってしまいますが、ご入社された方に対して、長く安心して働いていけるように一定期間、サポートチームからのサポートも受けられます。
月に1回サポートチームの者が企業様にお伺いし、ご入社された方と面談させていただいております。
日々のサポートチームのサポートは、リモートで行なっております。
ご入社された方にはスマートフォン・パソコンで弊社が開発したサポートシステムに日々の体調面やメンタル面の状態を記録していただきます。
記録した情報はサポートチームも閲覧可能となっており、不調のサインを早期に発見し、予防につなげています。
例えば、ある日、いつもより睡眠時間が短かったとします。その変化にいち早く気付き「お身体はいかがですか?」とご入社された方にコンタクトをとっております。
―就職しても会社以外に支えになってくれる存在があるのは心強いですね。
最後に、障がいのある方でMyMylinkへの登録を迷っている方へ、メッセージをいただけますでしょうか?
佐藤さん:障がい者枠で仕事をしようか悩まれているのであれば、悩まれている状況も含めてお話をお伺いできればなと思っています。
現状を知ってやっぱり障がい者枠じゃなくて一般枠にしようと思われたら、それはそれで良いと思うんですよね。
選択する過程の一つとしてMyMylinkを使っていただき、選考に進むのであればご自身の得意不得意であったり障がい状況、障がい特性について本当に丁寧にヒアリングさせていただいて、なるべく整理をされた状態で面接に挑んでいただきたいと思っているので、そこにはすごく力を入れています。
それに、実際に働くとかじゃなく、「自分自身を知りたい」とか「障がいの配慮って何を書けばいいのか分からない」と悩まれている方であっても、大歓迎です!
もしよかったら、一緒にお話しができればなと思っています。
田中さん:確かに、登録をして電話面談をしたり面接を受けたりすると、イコール就職しないといけないと思っている方がすごく多いですよね。
そうなると、一本お電話したりメールを打つのもすごく勇気のいることだと思うんですが、「お話ししてすごくスッキリした」とか「勇気をもらった」といった方もいらっしゃれば、「一旦現職に留まる」という選択をした方もいるので、本当に自分がどうしていくかを知るための一歩を踏み出すために活用していただければ幸いです。
佐藤がさっき「通過点」と言っていたのはまさにその通りだなと思うので。
あとは、企業様に訪問をして、弊社からのご紹介で転職した方が働いている様子を担当者の方から伺っていると、「すごく一生懸命仕事をしてくれていて本当に助かっています」と言われることもよくあります。
そんな風に社会の一員として求められているところはあると思うので、いきいき働くことを諦めてしまっていたらすごくもったいないというか…。
「自分はちょっと難しいかも」なんて決めつけずに、まずは一歩踏み出していただけたら全力で応援します!」
今回訪問させていただいた、精神疾患、発達障がいの方専門の転職サービス「MyMylink(マイマイリンク)」。
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