ーまず、精神障がい者雇用に特化している理由についてお聞かせください。
前山さん:全ての障がい種別の方を受け入れるべきだと思ったのですが、障がい者雇用のノウハウがなかったため、採用対象者を精神障がい者の方に絞り、雇用をスタートしました。
当時は、知的障がい者と身体障がい者の優秀な方ほど大手企業に就職してしまい、採用することが難しい現状でした。
その一方で、精神障がい者の方の雇用はなかなか進まず、就職に困っている方が大勢いました。それならば、一番遅れている精神障がい者雇用から始めたいと思いました。
ー精神障がいのある方を採用してみて感じたことはありますか?
前山さん:設立当初は、6名の精神障がい者の方を採用しましたが、当時は全く仕事がなく、グループワークばかりしていました。
一緒に働く中で分かった彼らの特徴は、緊張や不安が高くて疲れやすいことでした。そして、ものすごく丁寧で”ホスピタリティ”と”正確性”に長けているということでした。また、能力面は個人差があり、それは個性でもあることに気付きました。
そこで、彼らの得意なところを活かしてもらえばよいのではないかと思い、徹底的に強みを活かす仕組みにしました。本人が自覚している限り、課題は特に取り上げません。
ー強みを活かす仕組みとは、どのような取り組みでしょうか?
前山さん:強みや弱みというのは、今まで同じ時間や労力をかけてできているわけですよね。
でも、弱みはある一定のラインを迎えるとそれ以上にはならず、反対に、強みはもっともっと伸びると考えました。
能力のレーダーチャートに例えると、全ての項目を満たす必要はなく、得意不得意がある人でチームとしてすべての項目を満たせば良いという発想をしました。